JP4018353B2 - インクセット、インクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクセット、インクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用として好適なインクセット及びそれを用いたインクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録方法を用いたカラー記録には、それぞれの色調を有する染料を水溶性媒体中に溶解させた水性インクが用いられている。一般的にはカラーインクとしては、シアン、マゼンタ、イエローの3色が主に用いられている。
【0003】
これらのインクには、インクジェットに用いる際の信頼性のほかにも、十分な画像濃度を与えること、乾燥性がよいこと、記録画像ににじみのないこと、水、アルコールなどと接触しても記録画像の流れ出しのないこと、記録画像の耐候性が良好であること、などが求められる。特に、銀塩写真に匹敵する高画質なインクジェット画像が実現されている最近では、画質が良好であることだけではなく、記録した画像の、より長期の保存性も要求されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
画像の保存性において大きく寄与しているのは、露光による光退色である。そのため、より耐光性に優れた画像を形成することが求められている。記録画像が露光することにより、インクに用いられている染料の光劣化がおこり、退色してしまう。そこで、カラーインクに耐光性の優れた構造の染料を用いることや、光退色を防ぐような被記録媒体を使用することによって、画像の耐光性を向上させてきた。
【0005】
しかし、カラー画像を形成するための各カラーインクによって得られる画像の光退色性に大きな差があると、光退色後の画像全体のカラーバランスが崩れ、画質の劣化がより大きい印象を与えがちである。例えば、シアン、マゼンタ、イエローで形成されたマルチカラー画像において、シアンインクによって得られる画像の耐光性がほかの2色によって得られる画像より小さいと、シアンインクを使用した部分の退色が大きくなり、光退色後の画像が印字直後の画像と比較して、青味の薄い画像になってしまう。
【0006】
特開平10−329403号公報には普通紙上のイエロー、マゼンタ、シアンインクそれぞれのオフィス光による1年擬似退色性(ΔE)が25、30、15未満であるインクセットが開示されている。しかし、各色の反射濃度残存率は議論されていなく、各色のΔEは大きいため、耐光性が良好であるとはいえない。加えてこの3色を用いたフルカラーの画像のカラーバランスについては、何ら記載がなく、さらにこれは長期の保存を想定したものではない。
【0007】
そこで本発明では、長期保存した場合の、各カラーインクによって形成される画像の退色性ΔEがほぼ均等であり、且つ、各画像の反射濃度残存率が良好なインクセットを用いることにより、形成される記録画像の長期保存後のカラーバランスを保ち、良好な画質を維持することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的に鑑み、様々なインクについて検討を重ねたところ、カラー画像を形成するための各インクによって得られる画像の光退色性ΔEがほぼ均等であり、且つ、各画像の反射濃度残存率が良好なインクセットを用いることにより、画像全体のカラーバランスを崩すことなく、長期保存後の画質の劣化を防ぐことができることを見いだし、本発明に至った。
【0009】
上記課題を達成するための本発明にかかるインクセットは、色材としての染料と水性媒体とを含有するブラックインク及び色材としての染料と水性媒体とを含有する、互いに色調の異なる少なくともマゼンタインクを含む3種類以上のカラーインク(但し、マゼンタインクが8−複素環アゾ−5−ヒドロキシキノリン色素の遷移金属錯体を含有すること及びシアンインクがニッケルフタロシアニン化合物を含有することを除く)を有するインクセットであって、用いられるいずれのインクも色材として顔料を含有しないインクジェット記録装置用のインクセットにおいて、各インクによって得られる各画像に対する3年以上の擬似室内窓越し太陽光退色に相当する退色を生じる条件による耐光性試験での光退色性に関して、CIELAB色空間表示系における各画像のΔEの差が10以内であり、且つ、各画像の光退色性が反射濃度残存率にして70%以上であることを特徴とするものである。ここでのΔEの差とは、差が0の場合を含む。
【0010】
本発明のインクセットの他の態様は、色材としての染料と水性媒体とを含有するブラックインク、及び少なくともシアン、マゼンタ、イエローの3種のカラーインクを含むインクセットにおいて、該3種のインクがそれぞれ染料と水性媒体とを含有し(但し、マゼンタインクが8−複素環アゾ−5−ヒドロキシキノリン色素の遷移金属錯体を含有すること及びシアンインクがニッケルフタロシアニン化合物を含有することを除く)、用いられるいずれのインクも色材として顔料を含有しないインクジェット記録装置用のインクセットであって、各インクによって得られる各画像に対する3年以上の擬似室内窓越し太陽光退色に相当する退色を生じる条件による耐光性試験での光退色性に関して、CIELAB色空間表示系における各画像のΔEの差が10以内であり、且つ、各画像の光退色性が反射濃度残存率にして70%以上であり、さらに、マゼンタインクが色材として下記一般式(I)で表される染料と、下記一般式(II)で表される染料、下記一般式(III)で表される染料及びキサンテン構造を有する染料から選ばれる少なくとも一種とを、を含むことを特徴とするインクセットである。
【化31】
Figure 0004018353
(上記一般式(I)中、Rは、置換若しくは未置換のアルコキシ基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表し、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換若しくは未置換のアルキル基を表し、Rは、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基又はハロゲン原子を表す。Xは、カルボキシル基若しくはその塩、又はスルホン酸基若しくはその塩を表す。nは1又は2を表す。)
【化32】
Figure 0004018353
(上記一般式(II)中、Arは置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表し、Arは、アセチル基、ベンゾイル基、1,3,5−トリアジニル基、SO−C基又はSO−C−CH基のいずれかを表す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムおよび有機アンモニウムのいずれかを表す。)
【化33】
Figure 0004018353
(上記一般式(III)中、Ar及びArは、各々独立に、置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表し、Ar及びArの少なくとも1つはカルボキシル基若しくはその塩、或いはスルホン酸基若しくはその塩の置換基を有す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム及び有機アンモニウムのいずれかを表す。Rは、1,3,5−トリアジンジイル基を表す。R及びRは、独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、置換アラルキル基又はNと共にペルヒドロキシアジン環を形成するに必要な原子群を表し、Lは、2価の有機連結基を表す。)
【0011】
本発明にかかるマゼンタインクは、色材としての染料と水性媒体とを含有するブラックインク、色材としての染料と水性媒体とを含有するシアンインク及び色材としての染料と水性媒体とを含有するイエローインクと共に用いられる、色材としての染料と水性媒体とを含有するマゼンタインク(但し、マゼンタインクが8−複素環アゾ−5−ヒドロキシキノリン色素の遷移金属錯体を含有すること及びシアンインクがニッケルフタロシアニン化合物を含有することを除く)であって、用いられるいずれのインクも色材として顔料を含有しないインクジェット記録装置用のマゼンタインクにおいて、各インクによって得られる各画像に対する3年以上の擬似室内窓越し太陽光退色に相当する退色を生じる条件による耐光性試験での光退色性に関して、CIELAB色空間表示系における各画像のΔEの差が10以内であり、且つ、各画像の光退色性が反射濃度残存率にして70%以上であることを特徴とするマゼンタインクである。
また、上記構成のインクセットを用いて、長期保存後のカラーバランスを保ち、良好な画質を維持できる記録画像を得るためのインクジェット記録装置やその関連部品等、あるいはインクジェット記録方法等の各種記録方法を提供できる。
【0012】
本発明にかかるインクジェット記録方法は、インクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、該インクがインクジェット記録に用いられる上記インクセットを構成しているインクであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる記録ユニットは、インクを収容したインク収容部及び該インクを吐出させる為のヘッド部を備えた記録ユニットにおいて、該インク収容部が、インクセットを構成しているインクのそれぞれを収容した部分を有し、該インクセットがインクジェット記録に用いられる上記インクセットであることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明にかかるインクカートリッジは、インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該インクカートリッジが、インクセットを構成しているインクのそれぞれを収容している部分を有し、該インクセットが上記のインクセットであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかるインクジェット記録装置の一態様は、インクを収容したインク収容部及び該インクを吐出させるためのヘッド部を有する記録ユニットを備えたインクジェット記録装置において、該インク収容部が、インクセットを構成しているインクのそれぞれを収容した部分を有し、該インクセットがインクジェット記録用に用いられる上記インクセットであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかるインクジェット記録装置の他の態様は、インクを吐出するための記録ヘッド、インクを収容したインク収容部を有するインクカートリッジ及び該インクカートリッジから記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給部を備えたインクジェット記録装置において、該インク収容部が、インクセットを構成しているインクのそれぞれを収容した部分を有し、該インクセットがインクジェット記録用に用いられる上記インクセットであることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明はカラー画像を形成する各カラーインクによって得られる画像の耐光性が同レベルであることを特徴としている。ここで、カラーインクの色は、たとえばCIELABのような色空間を使って表すことができる。CIELAB色空間において、色は3つの項、L*、a*、b*を使って表示される。L*は色の明るさを定義し、0(黒色)から100(白色)の範囲にある。a*およびb*は、色の色相および色度特性を定義している。
【0018】
ここで用いるΔEとは、CIELAB色空間における、初期画像と光退色後の該画像との色の差を示すものであり、ΔEの差とは2色の画像間の退色の差異を表すもので、ΔEの差が大きくなると、2色間の退色の差異は大きくなる。ΔEは以下の式で表される。
【0019】
【数1】
Figure 0004018353
また、反射濃度残存率とは、印字直後の画像の反射濃度を100(%)とした時の光退色後の反射濃度を表した数値であり、光退色後に反射濃度がどの程度維持されているかを示すものである。
【0020】
このΔEと反射濃度残存率を用いて、カラーインクの耐光性を知ることができる。つまり、反射濃度残存率が高く、印字直後と光退色後の画像のΔEが小さいと、光退色は小さい。そして、このΔEが各色同レベルであると、画像の全体的な光退色が多少認められても、カラーバランスは保たれているので、画像全体の画質の劣化が小さい印象を与える。
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の態様をあげて詳細に説明する。
(耐光性試験)
本発明における光退色を評価する手段としては、耐光性試験が用いられ、さらに、この耐光性試験としては、画像の保存される環境を考慮すると、室内で、窓越しの太陽光を想定した条件で行うのが好ましい。また耐光性試験における照射量としては、長期の保存を考えると、6000klux・hr以上であるのがより好ましい。例えば、照度63kluxでの100時間の試験を行うことにより、一日あたりの室内での太陽光の照射量を5klux・hrとして3年以上の保存を想定した試験となる。
【0022】
また、より好ましくはISO10977に準拠する室内窓越しの太陽光を想定した各条件で行う。
【0023】
照度については、ISO規格では6kluxであるが、6000klux・hr以上の試験を行うと、試験時間が長くなってしまう。そこで照度を高くすることによって、試験時間を短くしても、得られる結果に相反性がなければよい。
【0024】
(被記録媒体)
本発明に用いられる被記録媒体としては、特に限定されないが、光沢紙、コート紙、光沢フィルムと呼ばれるようなコート層を有する被記録媒体を用いるのが好ましい。吸収性、発色性、解像度を良好なものとするために、例えば、基材上に多孔質粒子層、多孔質高分子層等を有する被記録媒体が好ましい。
【0025】
本発明で用いられる被記録媒体の1例をさらに詳述すると、染料や顔料などの色材をインク受容層内の多孔質構造を形成する微粒子に吸着させて、少なくともこの吸着した微粒子から画像が形成される被記録媒体であり、インクジェット法を利用する場合に特に好適である。このような被記録媒体としては支持体上のインク受容層に形成された空隙によりインクを吸収する、いわゆる吸収タイプであることが好ましい。吸収タイプのインク受容層は、微粒子を主体とし、必要に応じて、バインダーやその他の添加剤を含有する多孔質層として構成される。微粒子の例としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナあるいはアルミナ水和物等の酸化アルミニウム、珪藻土、酸化チタン、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛等の無機顔料や尿素ホルマリン樹脂、エチレン樹脂、スチレン樹脂等の有機顔料が挙げられ、これらの1種以上が使用される。バインダーとして好適に使用されているものには水溶性高分子やラテックスを挙げることができる。例えば、ポリビニルアルコールまたはその変性体、澱粉またはその変性体、ゼラチンまたはその変性体、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸またはその共重合体、アクリル酸エステル共重合体などが使用され、必要に応じて2種以上を組み合せて用いることができる。その他、添加剤を使用することもでき、例えば、必要に応じて分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが使用される。
【0026】
特に、上述の微粒子として、平均粒子径が1μm以下の微粒子を主体として、インク受容層を形成したものが好ましく、上記の微粒子として、特に好ましいものは、例えばシリカまたは酸化アルミニウム微粒子等が挙げられる。シリカ微粒子として好ましいものは、コロイダルシリカに代表されるシリカ微粒子である。コロイダルシリカ自体も市場より入手可能なものであるが、特に好ましいものとして、例えば特許第2803134号、同2881847号公報に掲載されたものを挙げることができる。酸化アルミ微粒子として好ましいものとしては、アルミナ水和物微粒子を挙げることができる。このようなアルミナ系顔料の一つとして下記一般式(1)により表されるアルミナ水和物を好適なものとして挙げることができる。
【0027】
Al23-n(OH)2n・mH2O・・・(1)
上記式(1)中、nは1、2または3の整数のいずれかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。但し、mとnは同時には0にはならない。mH2Oは、多くの場合mH2O結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すものである為、mは整数または整数でない値を取ることもできる。またこの種の材料を加熱するとmは0の値に達することがありうる。アルミナ水和物は一般的には、米国特許第4242271号、米国特許第4202870号に記載されているようなアルミニウムアルコキシドの加水分解やアルミン酸ナトリウムの加水分解のような、また特公昭57-44605号公報に記載されているアルミン酸ナトリウム等の水溶液に硫酸ナトリウム、塩化アルミニウム等の水溶液を加えて中和を行う方法などの公知の方法で製造されたものを使用したものが好適である。
【0028】
図24は、紙などからなる支持体上にインク受容層を備える、いわゆるコート紙の1例の断面構造を模式的に示している。図24において、1000は支持体、1003は、支持体1000に保持されているインク受容層としてのコート層である。コート層1003は、微粒子1005を含む多孔質層として形成されており、微粒子は、結着剤1007によって固定されている。そしてこのようなコート紙に付与されたインク滴は、コート層1003に染み込んでいく過程において、インクに含まれる色材1009が微粒子1005の表面に吸着され、この微粒子に吸着された色材がその位置に固定されることで画像が形成される。
【0029】
(色材)
本発明の一実施態様にかかるカラーインクは、例えば、シアン、マゼンタ及びイエローから選ばれる2色もしくは3色のカラーインクからなり、更に、夫々のカラーインクは同一の色調を有し、色材の濃度の異なる2種もしくはそれ以上の種類のカラーインクを包含していても良い。そしてこれらのカラーインクで用いられる色材については、特に限定されるものではないが、カラーインデックスに記載されている水溶性のキサンテン系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、モノアゾ系、ジスアゾ系、トリスアゾ系、テトラアゾ系、銅フタロシアニン系の染料が好ましい。同一インク中にこれらの色材の1種または2種以上を組み合せてインクを調製する。インク中での色材の含有量は、一般には、インク全体に対して0.1〜15.0重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0重量%の範囲である。
【0030】
本発明の一実施態様にかかるインクセットにマゼンタインクを含む場合は、少なくとも下記一般式(I)で示される色材を用いることが好ましい。
【0031】
【化4】
Figure 0004018353
(上記一般式(I)中、R1は、置換若しくは未置換のアルコキシ基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表し、R2及びR4は、各々独立に、水素原子又は置換若しくは未置換のアルキル基を表し、R3は、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基又はハロゲン原子を表す。X1は、カルボキシル基若しくはその塩、又はスルホン酸基若しくはその塩を表す。nは1又は2を表す。)
上記一般式(I)中のR1〜R4について、より具体的には、R1としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基や置換若しくは未置換のフェニル基等が挙げられる。ここで、フェニル基の置換基としては、例えば、メチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン酸若しくはその塩、カルボキシル基若しくはその塩又はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素など)等が挙げられる。R2としては、例えば、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状の低級アルキル基等が挙げられ、R3としては、例えば、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基、さらにはアリールオキシ基として、例えばフェノキシ基などが挙げられる。アリールオキシ基を構成するアリール基は、例えば炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、スルホン酸基もしくはその塩、カルボキシル基もしくはその塩等で置換されていても良い。更に、R4としては、例えば、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状の低級アルキル基等が挙げられる。又、X1について詳述すると、X1としては、例えば、−COOMや−SO3M[但し、Mは、水素原子、アルカリ金属(例えば、Li、Na等)、アンモニウム(NH4)、有機アンモニウム(N(R8)4)]等が挙げられる。ここで、R8としては、メチル基又はエチル基等が挙げられる。
【0032】
以下に一般式(I)で示される色材の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。また、これらの色材を同時に同一インク中に2種類以上用いてもよい。
【0033】
上記一般式(I)の化合物に含まれる色材の具体例は、以下の構造を有する。
【0034】
【化5】
Figure 0004018353
【0035】
【化6】
Figure 0004018353
【0036】
【化7】
Figure 0004018353
また、マゼンタインクの色材としては一般式(I)で表される色材を少なくとも1種と、下記一般式(II)、下記一般式(III)で表される色材及びキサンテン構造を有する色材のうち少なくとも1種とを含んでいるのがさらに好ましい。
【0037】
【化8】
Figure 0004018353
上記一般式(II)中、Ar1は置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表し、Ar2は、アセチル基、ベンゾイル基、1,3,5−トリアジニル基、SO2−C65基又はSO2−C64−CH3基のいずれかを表す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属(例えば、Li、Na等)、アンモニウム(NH4)および有機アンモニウム(N(R9)4)のいずれかを表す。ここで、R9としては、メチル基またはエチル基等が挙げられる。上記Ar1のフェニル基やナフチル基は、例えば、カルボキシル基もしくはその塩、スルホン酸基もしくはその塩、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素など)、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基等から選ばれる1つまたは2つ以上の基や原子で置換されていてもよい。また上記Ar2が、ベンゾイル基もしくは1,3,5−トリアジニル基である場合には、ベンゼン環もしくは1,3,5−トリアジン環中の少なくとも1つの水素原子が、カルボキシル基やその塩、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素など)、1〜3級アミノ基、アルコキシ基、水酸基などで置換されていてもよい。
【0038】
【化9】
Figure 0004018353
上記一般式(III)中、Ar3及びAr4は、各々独立に、置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表す。フェニル基やナフチル基の置換基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基もしくはその塩、スルホン酸基もしくはその塩、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素など)等が挙げられ、Ar3及びAr4の少なくとも1つはカルボキシル基若しくはその塩、或いはスルホン酸基若しくはその塩の置換基を有す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属(例えば、Li、Na等)、アンモニウム(NH4)及び有機アンモニウム(N(R104)のいずれかを表す。ここで、R10としては、メチル基又はエチル基等が挙げられる。R5は、1,3,5−トリアジンジイル基を表し、1,3,5−トリアジン環中の少なくとも1つの水素原子が、カルボキシル基やその塩、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、1〜3級アミノ基、アルコキシ基、水酸基等で置換されていてもよい。
【0039】
6及びR7は、独立に、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアラルキル基又はNと共にペルヒドロキシアジン環を形成するに必要な原子群を表し、Lは、2価の有機連結基を表す。R6及びR7について、より具体的には、例えば、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基や炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基やベンジル基等があげられる。ここで、アルキル基、アルケニル基およびベンジル基の置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基もしくはその塩、スルホン酸基もしくはその塩等が挙げられる。
【0040】
上記一般式(II)の化合物の色材としては、例えばC. I. Reactive Red 180や以下の構造を有するもの、更には特開平8−73791号公報、特開平11−209673号公報などに記載されている構造の化合物が挙げられる。
【0041】
【化10】
Figure 0004018353
【0042】
【化11】
Figure 0004018353
【0043】
【化12】
Figure 0004018353
上記一般式(III)の化合物の色材は、例えば、以下の構造を有するものが挙げられる。
【0044】
【化13】
Figure 0004018353
【0045】
【化14】
Figure 0004018353
【0046】
【化15】
Figure 0004018353
【0047】
【化16】
Figure 0004018353
【0048】
【化17】
Figure 0004018353
キサンテン構造を有する色材の具体例としては、C.I.Acid Red 52、92、94、289等が挙げられる。
【0049】
本発明の一態様にかかるマゼンタインク中の一般式(I)で表される色材と、一般式(I)以外の色材(一般式(II)、一般式(III)で表される色材、キサンテン構造を有する色材の少なくとも1種を含む)との重量比は、鮮明な色調と高い画像濃度と更に優れた耐光性が得られるという効果を考慮すると、95:5〜20:80の範囲が好ましい。
【0050】
本発明の一態様にかかるインクセットにシアンインクを含む場合におけるシアンインクの色材としては、銅フタロシアニン染料を用いるのがより好ましい。銅フタロシアニン構造の色材の具体例としては、C.I. Acid Blue 249、 C.I. Direct Blue 86、C.I. Direct Blue 199、C.I. Direct Blue 307等が挙げられる。これら銅フタロシアニン染料のほかに、他のシアン色材を併用してもよい。しかし併用する場合の、銅フタロシアニン染料と他の染料との重量比は、95:5〜20:80の範囲がより好ましい。
【0051】
本発明の一態様にかかるインクセットにイエローインクを含む場合におけるイエローインクの色材としては、Direct Yellow 132を用いるのが好ましい。
【0052】
本発明の一態様にかかるインクセットには更にブラックインクを含ませてもよく、その場合には他のカラーインクと同様、3年以上の擬似室内光退色後の光退色性が、CIELAB色空間表示系におけるトEの差が10以内で、且つ反射濃度残存率が70%以上、好ましくは80%以上となるようなインクとすることが好ましい。そしてこのようなブラックインクとしては染料系のブラックインクが用いられる
【0053】
染料系のブラックインクを用いる場合に、該インクに用い得る染料としては、例えば下記一般式(IV)〜(VI)で示されるものの中から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。
【0054】
【化18】
Figure 0004018353
(式中、Wはカルボキシル基を、Xは水素原子、カルボキシル基またはスルホン基を、Yは水素原子、カルボキシル基またはスルホン基を、Zは水素原子、カルボキシル基またはスルホン基を、R1は水素原子、カルボキシル基及びアルコキシル基の少なくとも1つで置換されたアルキル基、置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のアルカノイル基を、それぞれ表わす。ここで、フェニル基、アルカノイル基の置換基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、アルコキシ基等が挙げられる。)
一般式(IV)において、R1が表わすカルボキシルアルキル基は、好ましくはアルキル基がC1-6(炭素数が1〜6、以下同様)のカルボキシアルキル基、より好ましくはアルキル基がC1-4のカルボキシアルキル基を挙げることができる。
【0055】
【化19】
Figure 0004018353
(式中、Q1は低級アルキルカルボニルアミノ基及び低級アルコキシ基から選択された少なくとも1種により置換されたフェニル基もしくはナフチル基;またはスルホン基で置換されたナフチル基を表わし、Q2はスルホン基で置換されたナフチル基;または低級アルコキシ基で置換されたフェニル基を表わし、Q3は未置換もしくはSO3M基で置換されたフェニル基またはナフチル基を表し、R2及びR3はそれぞれ独立して、低級アルキル基、低級アルコキシ基または低級アルキルカルボニル基を表わし、R4は水素原子またはスルホン基で置換されたフェニル基を表わし、nは0または1であり、Mはアルカリ金属(例えば、Li、Na等)、アンモニウム(NH4)、有機アンモニウム(N(R54)等が挙げられる。ここでR5としては、メチル基またはエチル基等が上げられる。)
一般式(V)及び(VI)で表わされる染料構造中の低級アルキルカルボニルアミノ基としては、C1-4アルキルカルボニルアミノ基が好ましく、低級アルコキシ基としては、C1-4アルコキシ基が好ましく、また、低級アルキル基としてはC1-4アルキル基が好ましい。
【0056】
上記一般式(V)で示される染料の具体例としては例えば下記構造式23〜27が挙げられる。
【0057】
【化20】
Figure 0004018353
一般式(VI)で示される染料としては例えば下記に示す例示化合物No.28〜32が挙げられる。
【0058】
【化21】
Figure 0004018353
このほかにも,例えばC.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、90、108、146、154、168、195、C.I.フードブラック1、2なども挙げることができる。これらの黒色染料は単独で、または本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜組み合せて用いてもよい。
【0060】
ところで、上記した各種の色材を含むイエロー、マゼンタ及びシアンのカラーインクは、特に前記した被記録媒体の中、アルミナ水和物微粒子をインク受容層に含んでいる被記録媒体との相性がよく、本発明にかかる耐光性試験での光褪色性に関して、ΔEの差が10以内であって、且つ反射濃度残存率が70%以上、特には80%以上という条件を達成することができる。この色材と被記録媒体との相性が良好な理由は明らかでないが、アルミナ水和物に対する色材の吸着状態が、色材の劣化の抑制に寄与しているものと考えられる。
【0061】
ここで、カラーインクの色調と、良好な耐光性とを極めて高いレベルで達成することのできるカラーインクの色材の組合せとしては、以下のものが挙げられる。
・マゼンタインク:上記一般式(I)と、上記一般式(II)、上記一般式(III)及びキサンテン構造を有する色材から選ばれる少なくとも1つの色材との混合、より具体的には、前記例示化合物I−7、前記例示化合物II−8およびC.I.Acid Red
289 の混合
・シアンインク:Direct Blue 199
・イエローインク:Direct Yellow 132
また、上記のYMCの各カラーインクによって構成されるインクセットにブラックインクを追加する場合には、色材として、例えば、C.I.フードブラック2と前記例示化合物23と前記例示化合物28とを含むインクが好ましい。
【0062】
本発明にかかる他のインクセットとして、色材濃度の異なり、且つ、同一の色調を有する少なくとも2つのインクを含む上記のインクセットがあげられる。上記2つのインクの内、色材濃度が低いインクとは、例えばインク全重量に対して2%以下程度のインクが好ましく、この色材濃度の低いインクによって得られる画像の耐光性が、もう一方のインク(色材濃度の高いインク)によって得られる画像の耐光性と同程度か若しくは高いことが好ましい。マゼンタインクとして色材濃度の異なる2種のインクを有するインクセットの場合、色材濃度の低いマゼンタインクに前記一般式(I)で示される染料を唯一の色材として含むものを、シアンインクとして色材濃度の異なる2種のインクを有するインクセットの場合は、色材濃度の低いシアンインクにDirect Blue 199を唯一の色材として含むものを用いることが好ましい。
【0063】
更に、本発明にかかる好ましいインクセットとしては、得られる画像の各ΔEが20以下、更に好ましくは15以下であるインクによって構成されているものである。
【0064】
(水性媒体)
本発明にかかるインクセットを構成するインクは本発明に用いられる色材を溶解または分散させる液状媒体としては、水を主体とする水性媒体が利用される。この水性媒体としては、水単独、あるいは水と水溶性有機溶剤を含むものが利用できる。この水溶性有機溶剤としては、水溶性を示すものであれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などが挙げられる。これらの溶剤はインクの保湿性維持や色材の溶解性向上、インクの記録紙への浸透剤などの用途として用いられる。水溶性有機溶剤の含有量は、一般にはインク全体の1〜40重量%の範囲が好ましく、より好ましくは3〜30重量%の範囲である。又、インク中の水の含有量は、染料の溶解性やインクの吐出安定性を良好に保つために、30〜95重量%の範囲が好ましい。
【0065】
(添加剤)
また、インクの保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等の保湿性固形分もインク成分として用いてもよい。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等、保湿性固形分のインク中の含有量は一般にはインクに対して0.1〜20.0重量%の範囲が好ましく、より好ましくは3.0〜10.0重量%の範囲である。さらに本発明のインクには上記成分以外にも必要に応じて界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー等、種々の添加剤を含有させてもよい。
【0066】
(pH)
本発明に用いられるインクで、低いpH領域において水に対する溶解度が低下する色材を用いる場合には、ノズルの先端での目詰まり防止やインクの長期保存性といった観念から、インクのpHはアルカリ領域に保つことが好ましい。また、インクのpHが11.0を越えると、インクと接触する記録手段を構成する部材の溶解や腐食が進みやすくなることがある。これらのことから、インクのpHは7.0〜11.0の範囲であるのが好ましい。
【0067】
(インクジェット記録装置、インクジェット記録方法)
本発明にかかるインクセットを適用し得るインクジェット記録装置として熱エネルギーを利用した装置の主要部であるヘッド構成例を図1及び図2に示す。
【0068】
図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での切断面図である。ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコン又はプラスチック板等と発熱素子基板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成される保護層16、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金等で形成される電極17−1、17−2、HfB2、TaN、TaAl等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層18、熱酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成される畜熱層19、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放熱性の良い材料で形成される基板20より成り立っている。
【0069】
上記ヘッドの電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインクに気泡が発生し、その発生する圧力でメニスカス23が突出し、インクがヘッドのノズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴24となり、被記録材25に向かって飛翔する。
【0070】
図3には図1に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。このマルチヘッドはマルチノズル26を有するガラス板27と、図1に説明したものと同じ様な発熱ヘッド28を接着して作られている。
【0071】
図4に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワイピング部材としてのブレ−ドであり、その一端はブレ−ド保持部材によって保持固定されており、カンチレバ−の形態をなす。ブレ−ド61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0072】
62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレ−ド61に隣接するホ−ムポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレ−ド61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレ−ド61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレ−ド61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレ−ド61及びインク吸収体63によって吐出口面に水分、塵埃等の除去が行われる。
【0073】
65は、吐出エネルギ−発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に系合し、キャリッジ66の一部はモ−タ−68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。51は被記録材を挿入するための紙給部、52は不図示のモ−タ−により駆動される紙送りロ−ラ−である。
【0074】
これらの構成により記録ヘッドの65吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行につれて排紙ロ−ラ−53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホ−ムポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレ−ド61は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホ−ムポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレ−ド61は上記したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。
【0075】
上述の記録ヘッドのホ−ムポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホ−ムポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0076】
図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チュ−ブを介して供給されるインクを収容したインクカ−トリッジ45の一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
【0077】
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上述の様にヘッドとインクカ−トリッジとが別体となったものに限らず、図6に示すようなそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図6において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタンを用いることが本発明にとって好ましい。又、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72はカ−トリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図4に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
【0078】
次に、第二の力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の形態として、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。
【0079】
その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成例を図23に示す。この例のヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧伝素子83と、オリフィスプレート81、振動板等を指示固定するための基板84とから構成されている。
【0080】
図23において、インク流路80は、感光性樹脂等で形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケル等の金属を電鋳やプレス加工による穴あけ等により吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタン等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等で形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZT(Pb[ZrTi]O2)等の誘電体材料で形成される。
【0081】
以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、ひずみ応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレートの吐出口85より吐出して記録を行うように動作する。
【0082】
この様な記録ヘッドは図4に示したものと同様な記録装置に組み込んで使用される。記録装置の細部の動作は先述と同様に行うもので差しつかえない。
【0083】
次に本発明に好適に使用できる記録装置および記録ヘッドの他の具体例を説明する。
【0084】
図7は、本発明に係る吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の液体吐出ヘッドとしての液体吐出ヘッドおよびこのヘッドを用いる液体吐出装置としてのインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。図7においては、インクジェットプリンタは、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられる記録媒体としての用紙1028を図7に示す矢印Pで示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030と、搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する方向Sに略平行に往復運動せしめられる記録部1010と、記録部1010を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
【0085】
搬送装置1030は、互いに略平行に対向配置される一対のローラユニット1022aおよび1022bと、一対のローラユニット1024aおよび1024bと、これらの各ローラユニットを駆動させる駆動部1020とを備えている。これにより、駆動部1020が作動状態とされるとき、用紙1028が図7に示す矢印P方向にそれぞれのローラユニット1022aおよび1022bと、ローラユニット1024aおよび1024bにより狭持されて間欠送りで搬送されることとなる。
【0086】
移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026aおよび1026bに巻きかけられるベルト1016と、ローラユニット1022aおよび1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を順方向および逆方向に駆動させるモータ1018とを含んで構成されている。
【0087】
モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図7の矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは図7の矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。また、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図7の矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは図7の矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。さらに、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
【0088】
記録部1010は、インクジェットカートリッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合がある)1012Y、1012M、1012Cおよび1012Bが各色、例えばイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックごとにそれぞれ、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。
【0089】
図8は上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示す。本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インクなどの液体を収容する液体タンク1001とで主要部が構成されている。インクジェット記録ヘッド100は液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インクなどの液体 は、液体タンク1001から図示しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(図9参照)へと導かれるようになっている。カートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。
【0090】
このような構成のインクジェットプリンタに搭載され得る上述の液体吐出ヘッドの具体例を以下にさらに詳しく説明する。
【0091】
図9は本発明の基本的な形態を示す液体吐出ヘッドの要部を模式的に示す概略斜視図であり、図10〜図13は図9に示した液体吐出ヘッドの吐出口形状を示す正面図である。なお、電気熱変換素子を駆動するための電気的な配線などは省略している。
【0092】
本例の液体吐出ヘッドにおいては、例えば図9に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチックあるいは金属などからなる基板934が用いられる。このような基板の材質は、本発明の本質ではなく、流路構成部材の一部として機能し、インク吐出エネルギー発生素子、および後述する液流路,吐出口を形成する材料層の支持体として、機能し得るものであれば、特に限定されるものではない。そこで、本例では、Si基板(ウエハ)を用いた場合で説明する。吐出口は、レーザー光による形成方法の他、例えば後述するオリフィスプレート(吐出口プレート)935を感光性樹脂として、MPA(Mirror Projection Aliner)などの露光装置により形成することもできる。
【0093】
図9において934は電気熱変換素子(以下、ヒータと記述する場合がある)931および共通液室部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口933を備える基板であり、インク供給口933の長手方向の両側に熱エネルギ発生手段であるヒータ931がそれぞれ1列ずつ千鳥状に電気熱変換素子の間隔が、例えば300dpiで配列されている。この基板934上にはインク流路を形成するためのインク流路壁936が設けられている。このインク流路壁936には、さらに吐出口832を備える吐出口プレート935が設けられている。
【0094】
ここで、図9においてはインク流路壁936と吐出口プレート935とは、別部材として示されているが、このインク流路壁936を例えばスピンコートなどの手法によって基板934上に形成することによりインク流路壁936と吐出口プレート935とを同一部材として同時に形成することも可能である。本例では、さらに、吐出口面(上面)935a側は撥水処理が施されている。
【0095】
本例では、図7矢印S方向に走査しながら記録を行うシリアルタイプのヘッドを用い、例えば、1200dpiで記録を行う。駆動周波数は10kHzであり、一つの吐出口では最短時間間隔100μsごとに吐出を行うことになる。
【0096】
また、ヘッドの実例寸法の一例としては、例えば、図10に示すように、隣接するノズルを流体的に隔離する隔壁936aは、幅w=14μmである。図13に示すように、インク流路壁936により形成される発泡室1337は、N1(発泡室の幅寸法)=33μm、N2(発泡室の長さ寸法)=35μmである。ヒータ931のサイズは30μm×30μmでヒータ抵抗値は53Ωであり、駆動電圧は10.3Vである。また、インク流路壁936および隔壁936aの高さは12μmで、吐出口プレート厚は11μmのものが使用できる。
【0097】
吐出口832を含む吐出口プレートに設けられた吐出口部940の断面のうち、インクの吐出方向(オリフィスプレート935の厚み方向)に交差する方向で切断してみた断面の形状は概略星形となっており、鈍角の角を有する6つの起部832aと、これら起部832aの間に交互に配されかつ鋭角の角を有する6つの伏部832bとから概略構成されている。すなわち、吐出口の中心Oから局所的に離れた領域としての伏部832bをその頂部、この領域に隣接する吐出口の中心Oから局所的に近い領域としての起部832aをその基部として、図9に示すオリフィスプレートの厚み方向(液体の吐出方向)に6つの溝1141が形成されている。
【0098】
本例においては、吐出口部940は、例えばその厚み方向に交差する方向で切断した断面が一辺27μmの二つの正三角形を60度回転させた状態で組み合わせた形状となっており、図11に示すT1は8μmである。起部832aの角度はすべて120度であり、伏部832bの角度はすべて60度である。従って、吐出口の中心Oと、互いに隣接する溝の中心部(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の中心(重心))を結んで形成される多角形の重心Gとが一致するようになっている。本例の吐出口832の開口面積は400μm2であり、溝部の開口面積(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の面積)は1つあたり約33μm2となっている。図12は図11に示した吐出口の部分に付着したインク(C)の状態を示す模式図である。
【0099】
次に、上述の構成のインクジェット記録ヘッドによる液体の吐出動作について図14〜21を用いて説明する。図14〜21は、図9〜図13に示した液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための断面図であり、図13に示す発泡室1337のX−X断面図である。この断面において吐出口部940のオリフィスプレート厚み方向の端部は、溝1141の頂部1141aとなっている。図14はヒータ上に膜状の気泡が生成した状態を示し、図15は図14の約1μs後、図16は図14の約2μs後、図17は図14の約3μs後、図18は図14の約4μs後、図19は図14の約5μs後、図20は図14の約6μs後、図21は図14の約7μs後の状態をそれぞれ示している。なお、以下の説明において、「落下」または「落とし込み」、「落ち込み」とは、いわゆる重力方向への落下という意味ではなく、ヘッドの取り付け方向によらず、電気熱変換素子の方向への移動をいう。
【0100】
まず、図14に示すように、記録信号などに基づいたヒータ931への通電に伴いヒータ931上の液流路1338内に気泡101が生成されると、約2μs間に図15および図16に示すように急激に体積膨張して成長する。気泡101の最大体積時における高さは吐出口面935aを上回るが、このとき、気泡の圧力は大気圧の数分の1から10数分の1にまで減少している。次に、気泡101の生成から約2μs後の時点で気泡101は上述のように最大体積から体積減少に転じるが、これとほぼ同時にメニスカス102の形成も始まる。このメニスカス102も図17に示すようにヒータ931側への方向に後退、すなわち落下してゆく。ここで、本例においては、吐出口部に複数の溝1141を分散させて有していることにより、メニスカス102が後退する際に、溝1141の部分ではメニスカス後退方向FMとは反対方向FCに毛管力が作用する。その結果、仮に何らかの原因により気泡101の状態に多少のバラツキが認められたとしても、メニスカスの後退時のメニスカスおよび主液滴(以下、液体またはインクと記述する場合がある)Iaの形状が、吐出口中心に対して略対称形状となるように補正される。
【0101】
そして、本例では、このメニスカス102の落下速度が気泡101の収縮速度よりも速いために、図18に示すように気泡の生成から約4μs後の時点で気泡101が吐出口832の下面近傍で大気に連通する。このとき、吐出口832の中心軸近傍の液体(インク)はヒータ931に向かって落ち込んでゆく。これは、大気に連通する前の気泡101の負圧によってヒータ931側に引き戻された液体(インク)Iaが、気泡101の大気連通後も慣性でヒータ931面方向の速度を保持しているからである。ヒータ931側に向かって落ち込んでいった液体(インク)は、図19に示すように気泡101の生成から約5μs後の時点でヒータ931の表面に到達し、図20に示すようにヒータ931の表面を覆うように拡がってゆく。このようにヒータ931の表面を覆うように拡がった液体はヒータ931の表面に沿った水平方向のベクトルを有するが、ヒータ931の表面に交差する、例えば垂直方向のベクトルは消滅し、ヒータ931の表面上に留まろうとし、それよりも上側の液体、すなわち吐出方向の速度ベクトルを保つ液体を下方向に引っ張ることになる。その後、ヒータ931の表面に拡がった液体と上側の液体(主液滴)との間の液体Ibが細くなってゆき、気泡101の生成から約7μs後の時点で図21に示すようにヒータ1の表面の中央で液体Ibが切断され、吐出方向の速度ベクトルを保つ主液滴Iaとヒータ931の表面上に拡がった液体Icとに分離される。このように分離の位置は液流路1338内部、より好ましくは吐出口832よりも電気熱変換素子931側が望ましい。主液滴Iaは吐出方向に偏りがなく、吐出ヨレすることなく、吐出口832の中央部分から吐出され、記録媒体の被記録面の所定位置に着弾される。また、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icは、従来であれば主液滴の後続としてサテライト滴となって飛翔するものであるが、ヒータ931の表面上に留まり、吐出されない。このようにサテライト滴の吐出を抑制することができるため、サテライト滴の吐出により発生し易いスプラッシュを防止することができ、霧状に浮遊するミストにより記録媒体の被記録面が汚れるのを確実に防止することができる。なお図18〜21において、Idは溝部に付着したインク(溝内のインク)を、またIeは液流路内に残存しているインクを表している。
【0102】
このように、本例の液体吐出ヘッドでは、気泡が最大体積に成長した後の体積減少段階で液体を吐出する際に、吐出口の中心に対して分散した複数の溝により、吐出時の主液滴の方向を安定化させることができる。その結果、吐出方向のヨレのない、着弾精度の高い液体吐出ヘッドを提供することができる。また、高い駆動周波数での発泡ばらつきに対しても吐出を安定して行うことができることによる、高速高精細印字を実現することができる。
【0103】
特に、気泡の体積減少段階でこの気泡を始めて大気と連通させることで液体を吐出することにより、気泡を大気に連通させて液滴を吐出する際に発生するミストを防止できるので、所謂、突然不吐の要因となる、吐出口面に液滴が付着する状態を抑制することもできる。
【0104】
また本発明に好適に使用できる、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の記録ヘッドの他の実施態様として、例えば日本特許登録第2783647号に記載のように、いわゆるエッジシュータータイプが挙げられる。
【0105】
本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行うインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもたらすものである。
【0106】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0107】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0108】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。
【0109】
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても本発明は有効である。
【0110】
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0111】
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0112】
また、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0113】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0114】
以上説明した本発明の実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化するもの、もしくは液体であるもの、あるいは上述のインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0115】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか、またはインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能である。このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても良い。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0116】
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダと組み合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るものであってもよい。
【0117】
次に、上述した液体吐出ヘッドを搭載する液体吐出装置の概略について説明する。
【0118】
図22は、本発明の液体吐出ヘッドを装着して適用することのできる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置600の概略斜視図である。図22において、インクジェットヘッドカートリッジ601は、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに供給するインクを保持するインクタンクとが一体となったものである。このインクジェットヘッドカートリッジ601は、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア603,604を介して回転するリードスクリュ605の螺旋溝606に対して係合するキャリッジ607上に搭載されており、駆動モータ602の動力によってキャリッジ607とともにガイド608に沿って矢印a,b方向に往復移動される。被記録材Pは、図示しない被記録材搬送手段によってプラテンローラ609上を搬送され、紙押え板610によりキャリッジ607の移動方向にわたってプラテンローラ609に対して押圧される。
【0119】
リードスクリュ605の一端の近傍には、フォトカプラ611,612が配設されている。これらはキャリッジ607のレバー607aのこの域での存在を確認して駆動モータ602の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション検知手段である。
【0120】
支持部材613は、上述のインクジェットヘッドカートリッジ601の吐出口のある前面(吐出口面)を覆うキャップ部材614を支持するものである。また、インク吸引手段615は、キャップ部材614の内部にインクジェットヘッドカートリッジ601から空吐出等されて溜まったインクを吸引するものである。このインク吸引手段615によりキャップ内開口部(不図示)を介してインクジェットヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われる。インクジェットヘッドカートリッジ601の吐出口面を払拭するためのクリーニングブレード617は、移動部材618により前後方向(上記キャリッジ607の移動方向に直交する方向)に移動可能に設けられている。これらクリーニングブレード617及び移動部材618は、本体支持体619に支持されている。クリーニングブレード617は、この形態に限らず、他の周知のクリーニングブレードであってもよい。
【0121】
液体吐出ヘッドの吸引回復操作にあたって、吸引を開始させるためのレバー620は、キャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達手段で移動制御される。インクジェットヘッドカートリッジ601の液体吐出ヘッドに設けられた発熱体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェット記録制御部は装置本体側に設けられており、ここには図示しない。
【0122】
上述の構成を有するインクジェット記録装置600は、図示しない被記録材搬送手段によりプラテンローラ609上を搬送される被記録材Pに対し、インクジェットヘッドカートリッジ601は被記録材Pの全幅にわたって往復移動しながら記録を行う。
【0123】
【実施例】
次に実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、特に指定のない限り、インク成分は「重量部」を意味する。
(インク作成)
下記のインク組成1に示される各成分と、下記表1に示される各色材(1種または2種以上の組合せ)をそれぞれ用い、これらにイオン交換水を加え全体量を100部としたものを混合し、0.20μmフィルターにて加圧濾過を行い、各々のインクとした。
【0124】
インク組成1
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
ジエチレングリコール 10.0部
アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製) 0.7部
エタノール 5.0部
色材 表1に示すもの
イオン交換水 残部(合計100部)
(画像サンプル作成方法)
上記インクを用い、インクジェット記録装置として発熱素子をインク吐出のエネルギー源にするオンデマンド式インクジェットプリンタを使用して印字を行った。
(1)反射濃度残存率、ΔE
プリンターに表1に示したC1〜Bk2の各インクを充填して、光沢紙(PR−101;キヤノン製)に各色の反射濃度1.0のベタ部を印字した後、印字物を24時間自然乾燥させ、ガラスカバーをした上からキセノンフェードメーターCi3000(アトラス社製)にて耐光性試験を行った。照度は63klux、照射時間は100時間とした。その他のランプ、フィルター、曹内温度、湿度はすべてISO10977室内窓越し太陽光の条件に準拠した(槽内温度25℃、相対湿度55%)。照度については、ISO 規格では6kluxであるが、6000klux・hr以上の試験を行うと、試験時間が長くなってしまうため、63klux、100hrで行い、同じ照射量の時に相反性がないことを確認した。
【0125】
試験前後での印字物のベタ部の反射濃度、カラー座標L*、a*、b*を反射濃度計X−Rite938(商品名:X−Rite社製)で測定し、反射濃度残存率と、光退色性ΔEを前出の式1に従って算出した。その結果を表1に示す。
【0126】
【表1】
Figure 0004018353
なお、上記表1中のLC、LM、LYはそれぞれ淡色のシアン、マゼンタ、イエローインクを示す。
【0127】
(2)カラーバランス
プリンターに所定の下記表2に示した組合せの各インクセットを用意し、各インクセットごとにインクをインクジェット記録装置のインク収納部にそれぞれ充填し、光沢紙(PR−101;キヤノン製)に、充填した各インクを用いてフルカラーの画像を印字した。印字後24時間自然乾燥させ、上記の耐光性試験を行った。試験後の印字物のカラーバランスを目視にて評価した。
【0128】
【表2】
Figure 0004018353
評価結果
実施例1〜4はいずれも耐光性試験後もカラーバランスが崩れていなく、鮮明な画像であった。比較例1はイエローインク部分の退色により、比較例2はBkインク部分の変色によりカラーバランスが崩れていた。比較例3は淡色のイエローや淡色のシアンインクを使用した部分が大きく退色し、かつBkインク部分が変色したため、カラーバランスが崩れ、画質が著しく変化していた。また、比較例4はシアンやマゼンタインク部分の反射濃度残存率が低く、画像全体の画質の低下が見られた。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、長期的に露光してもカラーバランスが崩れず、良好な画質が維持できるカラー画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッドの一実施態様を示す縦断面図である。
【図2】図1のA−B線断面図である。
【図3】マルチヘッドの概略説明図である。
【図4】インクジェット記録装置の一実施態様を示す概略斜視図である。
【図5】インクカートリッジの一実施態様を示す縦断面図である。
【図6】記録ユニットの一例を示す斜視図である。
【図7】液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【図8】液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカートリッジの一例を示す概略斜視図である。
【図9】液体吐出ヘッドの一例の要部を模式的に示す概略斜視図である。
【図10】液体吐出ヘッドの一例の一部を抽出した概念図である。
【図11】図10に示した吐出口の部分の拡大図である。
【図12】図11に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
【図13】図10における主要部の模式図である。
【図14】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図15〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図15】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14および図16〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図16】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14,図15および図17〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図17】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図16および図18〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図18】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図17および図19〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図19】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図18,図20および図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図20】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図19および図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図21】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図20と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図22】本発明が適用し得るインクジェット記録装置の構成を示す図である。
【図23】インクジェット記録ヘッドの別の構成例を示す概略図である。
【図24】本発明で使用される被記録媒体の1例の断面構造を模式的に示す概略図である。
【符号の説明】
13 ヘッド
14 インク溝
15 発熱ヘッド
16 保護膜
17−1、17−2 電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
21 インク
22 吐出オリフィス(微細孔)
23 メニスカス
24 インク小滴
25 被記録材
26 マルチ溝
27 ガラス板
28 発熱ヘッド
40 インク袋
42 栓
44 インク吸収体
45 インクカートリッジ
51 給紙部
52 紙送りローラー
53 排紙ローラー
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モーター
69 ベルト
70 記録ユニット
71 ヘッド部
72 大気連通口
832 吐出口
832a 起部
832b 伏部
931 電気熱変換素子(ヒータ,インク吐出エネルギ発生素子)
933 インク供給口(開口部)
934 基板
935 オリフィスプレート(吐出口プレート)
935a 吐出口面
936 インク流路壁
936a 隔壁
940 吐出口部
1337 発泡室
1338 液流路
1141 溝
1141a 頂部
100 インクジェット記録ヘッド
101 気泡
102 メニスカス
1001 液体タンク
1006 移動駆動部
1008 ケーシング
1010 記録部
1010a キャリッジ部材
1012 カートリッジ
1012Y,M,C,B インクジェットカートリッジ
1016 ベルト
1018 モータ
1020 駆動部
1022a,1022b ローラユニット
1024a,1024b ローラユニット
1026 回復ユニット
1026a,1026b プーリ
1028 用紙
1030 搬送装置
C 濡れインク
M メニスカス後退方向
C メニスカス後退方向と反対方向
G 重心
I インク
a 主液滴(液体,インク)
b,Ic:液体(インク)
d:溝部に付着したインク(溝内のインク)
e:液流路内に残存しているインク
L:液室(インク供給口)から吐出口に向かう線
1:発泡室の幅寸法
2:発泡室の長さ寸法
O:吐出口の中心
P:用紙の搬送方向
R ベルトの回転方向
S :用紙の搬送方向と略直交する方向
w 隔壁の幅寸法

Claims (26)

  1. 色材としての染料と水性媒体とを含有するブラックインク及び色材としての染料と水性媒体とを含有する、互いに色調の異なる少なくともマゼンタインクを含む3種類以上のカラーインク(但し、マゼンタインクが8−複素環アゾ−5−ヒドロキシキノリン色素の遷移金属錯体を含有すること及びシアンインクがニッケルフタロシアニン化合物を含有することを除く)を有するインクセットであって、用いられるいずれのインクも色材として顔料を含有しないインクジェット記録装置用のインクセットにおいて、各インクによって得られる各画像に対する3年以上の擬似室内窓越し太陽光退色に相当する退色を生じる条件による耐光性試験での光退色性に関して、CIELAB色空間表示系における各画像のトEの差が10以内であり、且つ、各画像の光退色性が反射濃度残存率にして70%以上であることを特徴とするインクセット。
  2. 前記耐光性試験の室内窓越し太陽光を想定した照射量が6000klux・hr以上の試験である請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記耐光性試験が、ISO規格に準拠する室内窓越し太陽光を想定した条件である請求項1または2に記載のインクセット。
  4. 前記耐光性試験が、被記録媒体として、特殊媒体を用いた画像で試験する請求項1〜3のいずれかに記載のインクセット。
  5. 色材濃度が異なり、且つ、同一の色調を有する少なくとも2つのインクを含む請求項1〜4のいずれかに記載のインクセット。
  6. 少なくともシアン、マゼンタ及びイエローインクを含む請求項1〜5のいずれかに記載のインクセット。
  7. シアン、マゼンタ及びイエローインクから選ばれる少なくとも1色のインクが、色材濃度が異なり、且つ、同一の色調を有する少なくとも2種のインクより構成される請求項6に記載のインクセット。
  8. マゼンタインクが、色材として、下記一般式(I)で表される染料の少なくとも1種を含む請求項6または7に記載のインクセット。
    Figure 0004018353
    (上記一般式(I)中、R1は、置換若しくは未置換のアルコキシ基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表し、R2及びR4は、各々独立に、水素原子又は置換若しくは未置換のアルキル基を表し、R3は、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基又はハロゲン原子を表す。X1は、カルボキシル基若しくはその塩、又はスルホン酸基若しくはその塩を表す。nは1又は2を表す。)
  9. マゼンタインクの色材として、更に、下記一般式(II)で表される染料、下記一般式(III)で表される染料及びキサンテン構造を有する染料のうち少なくとも一種を含む請求項8に記載のインクセット。
    Figure 0004018353
    (上記一般式(II)中、Ar1は置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表し、Ar2は、アセチル基、ベンゾイル基、1,3,5−トリアジニル基、SO2−C65基又はSO2−C64−CH3基のいずれかを表す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムおよび有機アンモニウムのいずれかを表す。)
    Figure 0004018353
    (上記一般式(III)中、Ar及びArは、各々独立に、置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表し、Ar及びArの少なくとも1つはカルボキシル基若しくはその塩、或いはスルホン酸基若しくはその塩の置換基を有す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム及び有機アンモニウムのいずれかを表す。Rは、1,3,5−トリアジンジイル基を表す。R及びRは、独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、置換アラルキル基又はNと共にペルヒドロキシアジン環を形成するに必要な原子群を表し、Lは、2価の有機連結基を表す。)
  10. シアンインクが、色材として銅フタロシアニン構造の染料を少なくとも1種含む請求項6または7に記載のインクセット。
  11. シアンインクが、色材としてDirect Blue 199を含む請求項10に記載のインクセット。
  12. イエローインクが、色材としてDirect Yellow 132を含む請求項6または7に記載のインクセット。
  13. マゼンタインクが、色材として下記一般式(I)で表される染料と、下記一般式(II)で表される染料、下記一般式(III)で表される染料及びキサンテン構造を有する染料から選ばれる少なくとも一種と、を含み、シアンインクが、色材としてDirect Blue 199を含み、イエローインクが、色材としてDirect Yellow 132を含む請求項6または7に記載のインクセット。
    Figure 0004018353
    (上記一般式(I)中、Rは、置換若しくは未置換のアルコキシ基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表し、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換若しくは未置換のアルキル基を表し、Rは、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基又はハロゲン原子を表す。Xは、カルボキシル基若しくはその塩、又はスルホン酸基若しくはその塩を表す。nは1又は2を表す。)
    Figure 0004018353
    (上記一般式(II)中、Arは置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表し、Arは、アセチル基、ベンゾイル基、1,3,5−トリアジニル基、SO−C基又はSO−C −CH基のいずれかを表す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムおよび有機アンモニウムのいずれかを表す。)
    Figure 0004018353
    (上記一般式(III)中、Ar及びArは、各々独立に、置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表し、Ar及びArの少なくとも1つはカルボキシル基若しくはその塩、或いはスルホン酸基若しくはその塩の置換基を有す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム及び有機アンモニウムのいずれかを表す。Rは、1,3,5−トリアジンジイル基を表す。R及びRは、独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、置換アラルキル基又はNと共にペルヒドロキシアジン環を形成するに必要な原子群を表し、Lは、2価の有機連結基を表す。)
  14. 該インクセットを構成する各インクが、インクジェット記録に用いられるものである請求項1〜13のいずれかに記載のインクセット。
  15. インクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、該インクが請求項14に記載のインクセットを構成しているインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  16. インクに熱エネルギーを作用させてインクを吐出させる請求項15に記載のインクジェット記録方法。
  17. インクを収容したインク収容部及び該インクを吐出させる為のヘッド部を備えた記録ユニットにおいて、該インク収容部が、インクセットを構成しているインクのそれぞれを収容した部分を有し、該インクセットが請求項14に記載のインクセットであることを特徴とする記録ユニット。
  18. 該ヘッド部が、インクに熱エネルギーを作用させてインクを吐出させるヘッドを含む請求項17に記載の記録ユニット。
  19. インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該インクカートリッジが、インクセットを構成しているインクのそれぞれを収容している部分を有し、該インクセットが請求項1〜14のいずれかに記載のインクセットであることを特徴とするインクカートリッジ。
  20. インクを収容したインク収容部及び該インクを吐出させるためのヘッド部を有する記録ユニットを備えたインクジェット記録装置において、該インク収容部が、インクセットを構成しているインクのそれぞれを収容した部分を有し、該インクセットが請求項14に記載のインクセットであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  21. 該ヘッド部が、インクに熱エネルギーを作用させてインクを吐出させるヘッドである請求項20に記載のインクジェット記録装置。
  22. インクを吐出するための記録ヘッド、インクを収容したインク収容部を有するインクカートリッジ及び該インクカートリッジから記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給部を備えたインクジェット記録装置において、該インク収容部が、インクセットを構成しているインクのそれぞれを収容した部分を有し、該インクセットが請求項14に記載のインクセットであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  23. 該記録ヘッドが、インクに熱エネルギーを作用させてインクを吐出させるヘッドである請求項22に記載のインクジェット記録装置。
  24. 色材としての染料と水性媒体とを含有するブラックインク、及び少なくともシアン、マゼンタ、イエローの3種のカラーインクを含むインクセットにおいて、該3種のインクがそれぞれ染料と水性媒体とを含有し(但し、マゼンタインクが8−複素環アゾ−5−ヒドロキシキノリン色素の遷移金属錯体を含有すること及びシアンインクがニッケルフタロシアニン化合物を含有することを除く)、用いられるいずれのインクも色材として顔料を含有しないインクジェット記録装置用のインクセットであって、各インクによって得られる各画像に対する3年以上の擬似室内窓越し太陽光退色に相当する退色を生じる条件による耐光性試験での光退色性に関して、CIELAB色空間表示系における各画像のトEの差が10以内であり、且つ、各画像の光退色性が反射濃度残存率にして70%以上であり、さらに、マゼンタインクが色材として下記一般式(I)で表される染料と、下記一般式(II)で表される染料、下記一般式(III)で表される染料及びキサンテン構造を有する染料から選ばれる少なくとも一種とを、を含むことを特徴とするインクセット。
    Figure 0004018353
    (上記一般式(I)中、Rは、置換若しくは未置換のアルコキシ基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表し、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換若しくは未置換のアルキル基を表し、Rは、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基又はハロゲン原子を表す。Xは、カルボキシル基若しくはその塩、又はスルホン酸基若しくはその塩を表す。nは1又は2を表す。)
    Figure 0004018353
    (上記一般式(II)中、Arは置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表し、Arは、アセチル基、ベンゾイル基、1,3,5−トリアジニル基、SO−C基又はSO−C−CH基のいずれかを表す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムおよび有機アンモニウムのいずれかを表す。)
    Figure 0004018353
    (上記一般式(III)中、Ar及びArは、各々独立に、置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表し、Ar及びArの少なくとも1つはカルボキシル基若しくはその塩、或いはスルホン酸基若しくはその塩の置換基を有す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム及び有機アンモニウムのいずれかを表す。Rは、1,3,5−トリアジンジイル基を表す。R及びRは、独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、置換アラルキル基又はNと共にペルヒドロキシアジン環を形成するに必要な原子群を表し、Lは、2価の有機連結基を表す。)
  25. 色材としての染料と水性媒体とを含有するブラックインク、色材としての染料と水性媒体とを含有するシアンインク及び色材としての染料と水性媒体とを含有するイエローインクと共に用いられる、色材としての染料と水性媒体とを含有するマゼンタインク(但し、マゼンタインクが8−複素環アゾ−5−ヒドロキシキノリン色素の遷移金属錯体を含有すること及びシアンインクがニッケルフタロシアニン化合物を含有することを除く)であって、用いられるいずれのインクも色材として顔料を含有しないインクジェット記録装置用のマゼンタインクにおいて、各インクによって得られる各画像に対する3年以上の擬似室内窓越し太陽光退色に相当する退色を生じる条件による耐光性試験での光退色性に関して、CIELAB色空間表示系における各画像のトEの差が10以内であり、且つ、各画像の光退色性が反射濃度残存率にして70%以上であることを特徴とするマゼンタインク。
  26. 前記マゼンタインクが色材として下記一般式(I)で表される染料と、下記一般式(II)で表される染料、下記一般式(III)で表される染料及びキサンテン構造を有する染料から選ばれる少なくとも一種とを、を含む請求項25に記載のマゼンタインク。
    Figure 0004018353
    (上記一般式(I)中、Rは、置換若しくは未置換のアルコキシ基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表し、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換若しくは未置換のアルキル基を表し、Rは、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリールオキシ基又はハロゲン原子を表す。Xは、カルボキシル基若しくはその塩、又はスルホン酸基若しくはその塩を表す。nは1又は2を表す。)
    Figure 0004018353
    (上記一般式(II)中、Arは置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表し、Arは、アセチル基、ベンゾイル基、1,3,5−トリアジニル基、SO−C基又はSO−C−CH基のいずれかを表す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムおよび有機アンモニウムのいずれかを表す。)
    Figure 0004018353
    (上記一般式(III)中、Ar及びArは、各々独立に、置換もしくは未置換のフェニル基、または置換もしくは未置換のナフチル基を表し、Ar及びArの少なくとも1つはカルボキシル基若しくはその塩、或いはスルホン酸基若しくはその塩の置換基を有す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム及び有機アンモニウムのいずれかを表す。R5は、1,3,5−トリアジンジイル基を表す。R及びRは、独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、置換アラルキル基又はNと共にペルヒドロキシアジン環を形成するに必要な原子群を表し、Lは、2価の有機連結基を表す。)
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