JP2007217530A - インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録用インク及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット記録用インクセットの長期保存性を評価するに際し、色差(ΔE)や光学濃度差(ΔOD)に頼ることなく、実際の人間の目で感じた評価とほぼ一致する評価指標で規定されたインクジェット記録用インクセットを提供する。
【解決手段】イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを有するインクジェット記録用インクセットは、該イエローインク、該マゼンタインク及び該シアンインクにより光沢紙上に形成された各インクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が、イエローインクについては3°以内、マゼンタインクについては2°以内及びシアンインクについては6°以内である。
【選択図】なし
【解決手段】イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを有するインクジェット記録用インクセットは、該イエローインク、該マゼンタインク及び該シアンインクにより光沢紙上に形成された各インクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が、イエローインクについては3°以内、マゼンタインクについては2°以内及びシアンインクについては6°以内である。
【選択図】なし
Description
近年、インクジェット記録方式により形成される画像に対する大きな要求特性の一つとして、長期保存安定性が挙げられる。
ところで、長期保存によるインクジェット画像の画質低下の要因として、画像が空気中に存在している様々なガス、特にオゾンとの接触に起因することが広く認知されている。このため、インクジェット画像の長期保存安定性を向上させるべく、その耐オゾン性を向上させることが種々試みられている。ここで、耐オゾン性を評価する指標として、オゾン曝露試験前後のL*a*b*表色系(1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化された表色系;日本工業規格(JIS)ではJIS Z8729に規定されている)における色差(ΔE)や、光学濃度差(ΔOD)を使用することが一般的である(特許文献1)。
しかしながら、実際の人間の目には、同じ色差(ΔE)の値でもイエロー、マゼンタ、シアンのそれぞれの色相領域によって、インクジェット画像の劣化の程度が異なって感じられるという問題がある。これは、人間の目が色相角の変化に非常に敏感であり、色相角が変化すると色が変わったと感じ易いからである。また、光学濃度差(ΔOD)に関しては、色相角のような色目の変化を表す指標ではないため、実際の人間の目の光学濃度差(ΔOD)に対する感度が、色相角変化量(Δh)に比べて低いという問題がある。このため、色差(ΔE)や光学濃度差(ΔOD)で規定したインクジェット記録用インクセットは、実際の人間の目で感じた評価と一致しないため、満足のいく長期保存安定性を示すものを定義することはできなかった。
また、三原色(イエロー、マゼンタ及びシアン)及び黒については光学濃度(OD値)を測定することができるが、三原色を用いて減法混色法により表現した中間色(例えば、肌色等)については、その光学濃度(OD値)を測定したとしても、その値は中間色自体の色の濃さを正確に反映する値ではない(イエロー、マゼンタ及びシアンに分解されたそれぞれの光学濃度として表されたり、モノカラーに変換された上での光学濃度として表される)。
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたものであり、インクジェット記録用インクセットの長期保存安定性を評価するに際し、色差(ΔE)や光学濃度差(ΔOD)に頼ることなく、実際の人間の目で感じた評価とほぼ一致する評価指標で規定されたインクジェット記録用インクセット、そのインクセットに適したイエロー、マゼンタ及びシアンの各色インク並びに画像形成方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、色差(ΔE)や光学濃度差(ΔOD)に代えて、光沢紙上に形成された印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)を一定値以下とすることで、光沢紙におけるインクジェット記録画像の耐オゾン性を向上させると共に経時的な退色により生じるカラーバランスの低下を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを有するインクジェット記録用インクセットであって、該イエローインク、該マゼンタインク及び該シアンインクにより光沢紙上に形成された各インクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が、イエローインクについては3°以内、マゼンタインクについては2°以内及びシアンインクについては6°以内であることを特徴とするインクジェット記録用インクセットを提供する。
また、本発明は、上述のインクジェット記録用インクセットに適した、以下に示すイエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを提供する。
即ち、本発明は、少なくともイエロー着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用イエローインクにおいて、該イエロー着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー132を該イエロー着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しており、該イエロー着色剤の合計含有量が該イエローインク全量に対して1〜4重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該イエローインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が3°以内であることを特徴とするインクジェット記録用イエローインクを提供する。
また、本発明は、少なくともマゼンタ着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用マゼンタインクにおいて、該マゼンタ着色剤として一般式(1)
(一般式(1)中、R1は、水素原子、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアリール基を表す。R2は、水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。R3は、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基又は置換されてもよいヘテロ環基を表す。R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立的に水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいヘテロ環基、置換されてもよいスルホニル基又は置換されてもよいアシル基を表す。ただし、R4とR5が共に水素原子であることはなく、R6とR7が共に水素原子であることはない。A1及びA2は、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。)
で表されるマゼンタ染料を該マゼンタ着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しており、該マゼンタ着色剤の合計含有量が該マゼンタインク全量に対して1〜4重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該マゼンタインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が2°以内であることを特徴とするインクジェット記録用マゼンタインクを提供する。
で表されるマゼンタ染料を該マゼンタ着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しており、該マゼンタ着色剤の合計含有量が該マゼンタインク全量に対して1〜4重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該マゼンタインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が2°以内であることを特徴とするインクジェット記録用マゼンタインクを提供する。
また、本発明は、少なくともシアン着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用シアンインクにおいて、該シアン着色剤として一般式(2)
(一般式(2)において、Pc(Cu)は一般式(3)で表される銅フタロシアニン核を表す。
一般式(2)中、R8、R9、R10及びR11は、それぞれ独立的に−SO2−Ra、−SO2NRbRc又は−CO2−Raから選ばれる置換基を表し、R8、R9、R10及びR11はすべてが同一であることはない。但し、R8、R9、R10及びR11の少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。R8、R9、R10及びR11の少なくとも1つ以上は、一般式(3)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのそれぞれに存在する。Raは置換もしくは無置換のアルキル基、Rbは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、Rcは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。kは0<k<8を満たす数、lは0<l<8を満たす数、mは0≦m<8を満たす数、nは0≦n<8を満たす数であり、且つk、l、m及びnは4≦k+l+m+n≦8を満たす数である。)
で表されるシアン染料を該シアン着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しており、該シアン着色剤の合計含有量が該シアンインク全量に対して1〜5重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該シアンインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が6°以内であることを特徴とするインクジェット記録用シアンインクを提供する。
一般式(2)中、R8、R9、R10及びR11は、それぞれ独立的に−SO2−Ra、−SO2NRbRc又は−CO2−Raから選ばれる置換基を表し、R8、R9、R10及びR11はすべてが同一であることはない。但し、R8、R9、R10及びR11の少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。R8、R9、R10及びR11の少なくとも1つ以上は、一般式(3)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのそれぞれに存在する。Raは置換もしくは無置換のアルキル基、Rbは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、Rcは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。kは0<k<8を満たす数、lは0<l<8を満たす数、mは0≦m<8を満たす数、nは0≦n<8を満たす数であり、且つk、l、m及びnは4≦k+l+m+n≦8を満たす数である。)
で表されるシアン染料を該シアン着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しており、該シアン着色剤の合計含有量が該シアンインク全量に対して1〜5重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該シアンインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が6°以内であることを特徴とするインクジェット記録用シアンインクを提供する。
更に、本発明は、前述のインクジェット記録用インクセットを用いてインクジェット記録方式により光沢紙上にインクを付着させて画像を形成する方法において、該イエローインク、該マゼンタインク及び該シアンインクにより光沢紙上に各インクに対応した印字領域を形成する際に、該印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が、イエローインクについては3°以内、マゼンタインクについては2°以内及びシアンインクについては6°以内となるようにすることを特徴とする画像形成方法を提供する。
イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを有する本発明のインクジェット記録用インクセットは、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクにより光沢紙上に形成された各インクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が、イエローインクについては3°以内、マゼンタインクについては2°以内及びシアンインクについては6°以内となるように構成されている。このため、このインクセットを用いて光沢紙に形成された自然画像及び肌色画像は、実際の人間の目で観察しても、耐オゾン性評価試験の前後で変化が小さく、優れた長期保存安定性を示す。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを有する。本発明においては、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクにより光沢紙上に形成された各インクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が、イエローインクについては3°以内、マゼンタインクについては2°以内及びシアンインクについては6°以内となるように構成する。このようにインクについて、色相角変化量(Δh)を調整する理由は以下のとおりである。
即ち、人の目は特に肌色に対して認識感度が高く、わずかな色相の変化でも認識できる。マゼンタは、特に、人の肌の色を表現するために重要な色であり、色相角変化量(Δh)が2°を超えると、人の目に変化が認識されてしまうからである。また、イエローも人の肌の色を表現するために重要な色であるが、マゼンタと比較すると人の目による視認性はわずかに低下するものの、色相角変化量(Δh)が3°を超えてしまうと人の目に変化が認識されるようになるからである。なお、シアンは青空や緑等を表現するために重要な色であるが、マゼンタ及びイエローと比較すると人の目による視認性は低下するものの、色相角変化量(Δh)が6°を超えてしまうと人の目にも変化が認識されるようになるからである。
なお、本発明において、イエローとは、光沢紙上でのL*a*b*表色系(1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化された表色系;日本工業規格(JIS)ではJIS Z8729に規定されている)における明度(L*)が70以上100以下、彩度(C*)が55以上90以下、色相角(h)が70°以上140°以下の範囲である色のことをいい、イエローインクとは単独で当該イエロー色を表現できるインクのことをいう。また、マゼンタとは、同様に明度(L*)が40以上70以下、彩度(C*)が60以上100以下、色相角(h)が320°以上360°以下又は0°以上10°以下の範囲である色のことをいい、マゼンタインクとは単独で当該マゼンタ色を表現できるインクのことをいう。さらに、シアンとは、同様に明度(L*)が50以上85以下、彩度(C*)が40以上80以下、色相角(h)が215°以上255°の範囲である色のことをいい、シアンインクとは単独で当該シアン色を表現できるインクのことをいう。また、人の肌の色、即ち肌色とは、L*a*b*表色系における明度(L*)が35以上80以下、彩度(C*)が15以上30以下、色相角(h)が10°以上55°以下の範囲である色(平均的な日本人の肌の色)のことをいう。
ここで、L*、h及びC*を求めるために必要な知覚色度指数(a*及びb*;以下、それぞれa*,b*という)は、分光光度計等を用いて測定し、それら測定値を用い、下記数式(1)及び(2)により、それぞれC*及びhを求めることができる。
また、本発明において、光沢紙とは、ベースペーパー(原紙ペーパー)に表面平滑性が得られるコート層を設けた紙のことをいい、具体的には、写真光沢紙(ブラザー工業(株)製;BP60GLA)、インクジェットプリンタ用紙 高精細フォト出力用超光沢紙(コクヨ(株)製)、PhotolikeQP<写真画質>シリーズ 光沢厚手(コニカミノルタホールディングス(株)製)、;画彩(登録商標)シリーズの写真仕上げPro,写真仕上げAdvance及びフジフイルム高級光沢紙(富士写真フィルム(株)製)等に代表される紙である。
本発明において、耐オゾン性評価試験とは、室温24℃、湿度60%RH、オゾン濃度1ppmの室内に40時間放置する条件下での試験である。使用する耐オゾン性試験機の例としては、スガ試験機(株)製のオゾンウェザーメーターOMS−Hを挙げることができる。
本発明のインクジェット記録用インクセットに使用するイエローインクは、少なくともイエロー着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有する。ここで、イエロー着色剤は、耐オゾン性に優れた染料、好ましくはC.I.ダイレクトイエロー132を含有する。この染料が含まれるイエローインクは、耐オゾン性評価試験前後の色相角変化量(Δh)が小さくなる。また、イエロー着色剤は、更にC.I.ダイレクトイエロー86等の他の染料を含有してもよい。
イエロー着色剤中のC.I.ダイレクトイエロー132の含有割合は、少なすぎると耐オゾン性が劣るため、イエロー着色剤全量に対して、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%である。
また、イエロー着色剤の合計含有量は、インクの性能及び要求特性により適宜決められるが、少なすぎると色再現範囲が狭くなり、多すぎると水分蒸発による組成物析出に起因する吐出不良を生ずるおそれがあるので、好ましくはイエローインク全量に対して1〜4重量%である。
本発明のインクジェット記録用インクセットに使用するマゼンタインクは、少なくともマゼンタ着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有する。ここで、マゼンタ着色剤は、耐オゾン性に優れた染料、好ましくは前出の一般式(1)で表されるマゼンタ染料を含有する。この染料が含まれるマゼンタインクは、耐オゾン性評価試験前後の色相角変化量(Δh)が小さくなる。また、マゼンタ着色剤は、更にC.I.アシッドレッド52等の他の染料を含有してもよい。
マゼンタ着色剤中の一般式(1)で表されるマゼンタ染料の含有割合は、少なすぎると耐オゾン性が劣るため、マゼンタ着色剤全量に対して、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%である。
マゼンタ着色剤の合計含有量は、インクの性能及び要求特性により適宜決められるが、少なすぎると色再現範囲が狭くなり、多すぎると水分蒸発による組成物析出に起因する吐出不良を生ずるおそれがあるので、好ましくはマゼンタインク全量に対して1〜4重量%である。
本発明のインクジェット記録用インクセットに使用するシアンインクは、少なくともシアン着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有する。ここで、シアン着色剤は、耐オゾン性に優れた染料、好ましくは前出の一般式(2)で表されるシアン染料を含有する。この染料が含まれるシアンインクは、耐オゾン性評価試験前後の色相角変化量(Δh)が小さくなる。また、シアン着色剤は、更にC.I.ダイレクトブルー199等の他の染料を含有してもよい。
シアン着色剤中の一般式(2)で表されるシアン染料の含有割合は、少な過ぎると耐オゾン性が劣るため、シアン着色剤全量に対して、好ましくは70重量%、より好ましくは80重量%である。
シアン着色剤の含有量は、インクの性能及び要求特性により適宜決められるが、少なすぎると色再現範囲が狭くなり、多すぎると水分蒸発による組成物析出に起因する吐出不良を生ずるおそれがあるので、好ましくはシアンインク全量に対して1〜5重量%である。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、黒テキスト印字がコスト的に有利となるように、ブラックインクを備えることが好ましい。このようなブラックインクとしては、インクジェット記録用インクセットに広く用いられている顔料系、染料系のブラックインクを使用することができる。
次に、一般式(1)で表されるマゼンタ染料における置換基R1〜R7、A1〜A2について説明する。
前述したように、R1は、水素原子、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアリール基を表す。R2は、水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。R3は、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基又は置換されてもよいヘテロ環基を表す。R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立的に水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいヘテロ環基、置換されてもよいスルホニル基又は置換されてもよいアシル基を表す。ただし、R4とR5が共に水素原子であることはなく、R6とR7が共に水素原子であることはない。A1及びA2は、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。
一般式(1)におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいアルキル基におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、また、置換基の例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、イオン性親水性基(カルボン酸塩、スルホン酸塩等)が挙げられる。置換されてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基及び4−スルホブチル基等が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいアリール基におけるアリール基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。置換基の例としては、アルキル基(メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基等)、アルコキシ基(前述参照)、ハロゲン原子(前述参照)、アルキルアミノ基(メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホアミド基、水酸基、エステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)及びイオン性親水性基(前述参照)が挙げられる。置換されてもよいアリール基の具体例には、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−オクチルフェニル基、メシチル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基等が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいヘテロ環基におけるヘテロ環基としては、5員又は6員環のヘテロ環基が好ましい。置換基の例としては、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホアミド基、水酸基、エステル基(前述参照)、イオン性親水性基(前述参照)が挙げられる。置換されてもよいへテロ環基の具体例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−フリル基、6−スルホベンゾチアゾリル基及び6−スルホン酸塩ベンゾチアゾリル基等)が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいスルホニル基の置換基としては、アルキル基(前述参照)及びアリール基(前述参照)等が挙げられる。置換されてもよいスルホニル基の具体例としては、メチルスルホニル基及びフェニルスルホニル基等が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいアシル基のアシル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましく挙げられる。置換基の例としては、イオン性親水性基(前述参照)が挙げられる。置換されてもよいアシル基の具体例としては、アセチル基、ベンゾイル基、クロロアセチル基が挙げられる。
一般式(1)において、A1及びA2は、既に述べたように、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。A1とA2が共に炭素原子である場合がより優れた性能を発揮できる点で好ましい。A1とA2の炭素原子に結合する置換基としては、炭素原子数1〜3のアルキル基、カルボキシル基、カルバモイル基及びシアノ基等が挙げられる。
なお、一般式(1)において、R4とR5とは共に水素原子となることはなく、またR6とR7も共に水素原子となることはない。また、スルホン酸基もしくはカルボキシル基の置換数が多くなると染料(1)の水溶性が向上する傾向があるので、必要に応じてそれらの置換数を調整することが好ましい。
一般式(1)で表されるマゼンタ染料の好ましい態様としては、一般式(1)において、R1がアルキル基、R2がシアノ基、R3が水素原子又は置換されてもよいヘテロ環基、R4が水素原子、置換されてもよいヘテロ環基又は置換されているアリール基、R5及びR6が置換されているヘテロ環基又は置換されているアリール基、R7が水素原子であり、A1が置換されている炭素原子、A2が置換されてもよい炭素原子である態様が挙げられる。
一般式(1)で表されるマゼンタ染料のより好ましい態様としては、一般式(1)において、R1がtert−ブチル基、R2がシアノ基、R3が水素原子又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいベンゾチアゾリル基(好ましくはベンゾチアゾール−2−イル基)、R4が水素原子、スルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいベンゾチアゾリル基(好ましくはベンゾチアゾール−2−イル基)又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されているトリアルキルフェニル基(好ましくはメシチル基)、R5及びR6はそれぞれ独立的にスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいモノもしくはトリアルキルフェニル基(好ましくはp−オクチルフェニル基もしくはメシチル基)又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されているベンゾチアゾリル基(好ましくはベンゾチアゾール−2−イル基)、R7が水素原子であり、A1がアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されている炭素原子、A2がシアノ基で置換されてもよい炭素原子である態様である。
一般式(1)で表されるマゼンタ染料の好ましい具体例としては、以下の化学式(1−A)〜(1−E)で表される化合物が挙げられる。
化学式(1−A)で表される化合物は、一般式(1)において、R1がtert−ブチル基、R2がシアノ基、R3がベンゾチアゾール−2−イル基、R4が水素原子、R5及びR6がp−オクチルフェニル基、R7が水素原子であり、A1がメチル基で置換されている炭素原子、A2がシアノ基で置換されている炭素原子である態様である。
化学式(1−B)で表される化合物は、一般式(1)において、R1がtert−ブチル基、R2がシアノ基、R3及びR4がベンゾチアゾール−2−イル基、R5及びR6がメシチル基、R7が水素原子であり、A1がメチル基で置換されている炭素原子、A2が炭素原子である態様である。
化学式(1−C)で表される化合物は、一般式(1)において、R1がtert−ブチル基、R2がシアノ基、R3及びR4が6−スルホナトリウム塩ベンゾチアゾール−2−イル基、R5及びR6が3−スルホナトリウム塩−メシチル基、R7が水素原子であり、A1がメチル基で置換されている炭素原子、A2が炭素原子である態様である。
化学式(1−D)で表される化合物は、一般式(1)において、R1がtert−ブチル基、R2がシアノ基、R3及びR4が水素原子、R5及びR6がメシチル基、R7が水素原子であり、A1がメチル基で置換されている炭素原子、A2が炭素原子である態様である。
化学式(1−E)で表される化合物は、一般式(1)において、R1がtert−ブチル基、R2がシアノ基、R3及びR4が6−スルホカリウム塩ベンゾチアゾール−2−イル基、R4及びR5が3−スルホカリウム塩−メシチル基、R7が水素原子であり、A1がメチル基で置換されている炭素原子、A2が炭素原子である態様である。
一般式(1)で表されるマゼンタ染料は、以下に説明する工程(a)〜(c)に従って製造できる。
工程(a)
化学式(1a)で表されるアミノピラゾールと、ジアゾ化剤とを反応させてジアゾニウム塩を形成する。ジアゾ化剤としては、亜硝酸ナトリウムの希塩酸水溶液を好ましく使用することができる。亜硝酸イソペンチルやニトロシル硫酸等も使用できる。
化学式(1a)で表されるアミノピラゾールと、ジアゾ化剤とを反応させてジアゾニウム塩を形成する。ジアゾ化剤としては、亜硝酸ナトリウムの希塩酸水溶液を好ましく使用することができる。亜硝酸イソペンチルやニトロシル硫酸等も使用できる。
化学式(1a)における置換基R1とR2とは、一般式(1)で表されるマゼンタ染料で説明したとおりである。なお、化学式(1a)アミノピラゾールは、米国特許第3,336,285号明細書、ヘテロサイクルズ(Heterocycles),20,519(1983)、特公平6−19036号公報等に記載されている方法によって合成できる。
工程(b)
次に、工程(a)で形成されたジアゾニウム塩を化学式(1b)で表されるカップリング剤と反応させ、化学式(1c)で表される化合物を形成する。
次に、工程(a)で形成されたジアゾニウム塩を化学式(1b)で表されるカップリング剤と反応させ、化学式(1c)で表される化合物を形成する。
化学式(1b)及び(1c)における置換基R1〜R7は、一般式(1)で表されるマゼンタ染料で説明したとおりである。なお、化学式(1c)で表されるピリジン系のカップリング剤は、特開昭51−83631号公報、特開昭49−74718号公報、特公昭52−46230号公報等に記載されている方法で合成できる。
工程(c)
次に、塩基の存在下で、工程(b)で形成された化合物をアルキル化剤、アリール化剤又はヘテリル化剤と反応させることにより、一般式(1)で表されるマゼンタ染料が得られる。この工程で使用する塩基としては、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の無機塩基等を使用することができる。アルキル化剤は“R−X”で表される化合物である。ここで、Rは置換されていてもよいアルキル基である。Xはハロゲン原子又はOSO2R'であり、R'はアルキル基又はフェニル基等のアリール基である。また、アリール化剤は“Ar−X”で表される化合物である。ここで、Arは、電子吸引性基が置換されたフェニル基(ハメットのσp値の合計が0.2以上の置換基で置換されていることが好ましい)である。ヘテリル化剤は“Het−X”で表される化合物である。ここで、Hetは、ヘテロ環、例えば、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、トリアジル基及び2−フリル基等が好ましく挙げられる。
次に、塩基の存在下で、工程(b)で形成された化合物をアルキル化剤、アリール化剤又はヘテリル化剤と反応させることにより、一般式(1)で表されるマゼンタ染料が得られる。この工程で使用する塩基としては、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の無機塩基等を使用することができる。アルキル化剤は“R−X”で表される化合物である。ここで、Rは置換されていてもよいアルキル基である。Xはハロゲン原子又はOSO2R'であり、R'はアルキル基又はフェニル基等のアリール基である。また、アリール化剤は“Ar−X”で表される化合物である。ここで、Arは、電子吸引性基が置換されたフェニル基(ハメットのσp値の合計が0.2以上の置換基で置換されていることが好ましい)である。ヘテリル化剤は“Het−X”で表される化合物である。ここで、Hetは、ヘテロ環、例えば、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、トリアジル基及び2−フリル基等が好ましく挙げられる。
次に、一般式(2)で表されるシアン染料における置換基R8、R9、R10及びR11、Pc(Cu)、並びにk、l、m及びnについて説明する。
前述したように、Pc(Cu)は一般式(3)で表される銅フタロシアニン核を表す。R8、R9、R10及びR11は、それぞれ独立的に−SO2−Ra、−SO2NRbRc又は−CO2−Raから選ばれる置換基を表し、R8、R9、R10及びR11はすべてが同一であることはない。但し、R8、R9、R10及びR11の少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。R8、R9、R10及びR11の少なくとも1つ以上は、一般式(3)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのそれぞれに存在する。Raは置換もしくは無置換のアルキル基、Rbは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、Rcは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。kは0<k<8を満たす数、lは0<l<8を満たす数、mは0≦m<8を満たす数、nは0≦n<8を満たす数であり、且つk、l、m及びnは4≦k+l+m+n≦8を満たす数である。
一般式(2)において、Ra、Rb又はRcの置換もしくは無置換のアルキル基としては、炭素数が1〜12の直鎖、分岐及び脂環式アルキル基が好ましく挙げられる。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。
Ra、Rb又はRcの置換アルキル基における置換基の例としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性及びインクの安定性を向上させる点から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−tert−ブチルフェニル、2,4−ジ−tert−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−tert−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−tert−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。これらの中でもヒドロキシル基、エーテル結合又はエステル結合を有する基、シアノ基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していてもよい。
このようなRa、Rb又はRcの置換又は無置換のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基及び4−スルホブチル基等が挙げられる。
一般式(2)で表されるシアン染料の好ましい態様としては、一般式(2)において、R8、R9、R10及びR11が−SO2−Raで示される置換基であり、ここで、R8、R9、R10及びR11がそれぞれ有するRaは置換もしくは無置換のアルキル基であるが、但し、これら4つのRaの置換もしくは無置換のアルキル基のすべてが完全に同一ではない態様が挙げられる。ここで、完全に同一ではないということは、4つのRaの少なくとも一つがイオン性親水性基を有する置換アルキル基であることを前提に、少なくとも2種類のRaが存在することを意味する。
一般式(2)で表されるシアン染料のより好ましい態様としては、一般式(2)におけるkは0<k<4を満たす数、lは0<l<4を満たす数、mは0≦m<4を満たす数、nは0≦n<4を満たす数であり、且つk、l、m及びnはk+l+m+n=4を満たす数である態様が挙げられる。
一般式(2)で表されるシアン染料の好ましい具体例としては、以下の化学式(2−A)〜(2−E)で表される化合物が挙げられる。
化学式(2−A)で表される化合物は、一般式(2)において、R8がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R9がN−(2−ヒドロキシプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基であり、kが3、lが1、m及びnが共に0である態様である。
化学式(2−B)で表される化合物は、一般式(2)において、R8がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R9がN−(2−ヒドロキシイソプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基であり、kが3、lが1、m及びnが共に0である態様である。
化学式(2−C)で表される化合物は、一般式(2)において、R8がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R9がN,N−(ジ(2−ヒドロキシエチル))スルファモイルプロピルスルホニル基であり、kが3、lが1、m及びnが共に0である態様である。
化学式(2−D)で表される化合物は、一般式(2)において、R8がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R9がN−(2−ヒドロキシプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基、R10がN−(2−ヒドロキシイソプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基であり、kが2、lが1、mが1、nが0である態様である。
化学式(2−E)で表される化合物は、一般式(2)において、R8がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R9がリチウムカルボキシラトプロピルスルホニル基、R10がN−(2−ヒドロキシプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基、R11がN−(2−ヒドロキシイソプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基であり、k、l、m及びnが共に1である態様である。
以下に一般式(2)で表されるシアン染料の製造方法について説明するが、一般に、無置換のフタロシアニン化合物は、特表2002-526589(WO00/17275)号公報等に記載されているようにスルホン化すると、比較的容易にフタロシアニン核にスルホ基を導入することができる。スルホン化したフタロシアニン化合物を水溶性染料として使用する場合には、スルホ基をアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムで造塩し、スルホン酸塩としてそのまま染料として使用することができる。この場合、スルホン化がフタロシアニン核の任意の位置でも起こり得る上に、導入されるスルホ基の個数の制御も困難である。従って、スルホ基の導入位置、導入個数を考慮することなく、主としてスルホン化の容易さのみを考慮した反応条件でスルホン化した場合には、生成物に導入されたスルホ基の位置と個数の特定は困難であり、置換基の個数や置換位置の異なる混合物が得られてしまう。そこで、一般式(2)で表されるシアン染料の耐オゾン性を向上させるためには、耐オゾン性が劣った生成物の混入を防止する必要があるため、あらかじめフタル酸誘導体に特定の置換基を導入し、この置換フタル酸誘導体とCuCl2等の銅誘導体とから銅フタロシアニンを合成することが必要である。フタル酸誘導体と銅誘導体とから銅フタロシアニンを合成する方法に関しては、特開2000-303009号公報等に記載されている。
以下に、一般式(2)で表されるシアン染料の製造方法の一例を示す。ここで、置換フタル酸誘導体は、以下のスキームに従って製造することができる。
原料となるフタル酸誘導体としては、置換フタロニトリル、置換ジイミノイソインドリン、置換フタル酸ジアミド、置換フタルイミド、置換フタル酸及びその塩、置換無水フタル酸等を用いることができる。
置換フタル酸誘導体の置換基は、溶解性基もしくはその前駆体である。溶解性基とは、銅フタロシアニン染料に溶解性を付与する置換基であり、溶解性基により銅フタロシアニン染料に水溶性を付与する場合には、親水性基を表す。親水性基としては、例えばイオン性親水性基もしくはイオン性親水性基が置換された置換基が挙げられる。また、溶解性基の前駆体とは、フタロシアニン環を形成後、反応により溶解性基に変換され得る置換基を表す。置換フタル酸誘導体の置換基は、−SO2−Ra、−SO2NRbRc又は−CO2−Raから選ばれる置換基が好ましい。Raは置換もしくは無置換のアルキル基、Rbは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、Rcは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
次に、上記の化合物a〜hに代表されるフタル酸誘導体と、CuCl2等の金属誘導体をモル比(金属誘導体:フタル酸誘導体)3:1〜6:1で混合し、沸点80℃以上、好ましくは130℃以上の有機溶媒存在下で、80〜300℃の範囲で反応させる。この反応温度が80℃未満であると反応速度が極端に遅くなることがあり、一方、300℃を超えると得られるフタロシアニン染料の分解が起こる可能性がある。また、この反応の際の反応時間は、好ましくは2〜20時間である。この反応時間が2時間未満であると未反応原料が多く存在してしまうことがあり、一方20時間を超えると、得られるフタロシアニン染料の分解が起こる可能性がある。なお、この反応は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)あるいはモリブデン酸アンモニウム等の触媒の存在下で行なうことができる。次いで透析によって元のカチオンを除去し、次いで1価の金属カチオンを添加する(例えば、アルカリ金属水酸化物の添加による)等の方法により交換することができる。反応終了後、通常の有機合成反応の後処理方法に従って処理することにより、所望の耐オゾン性を有する一般式(2)で表されるフタロシアニン系の染料を得ることができる。
次に、本発明のインクジェット記録用インクセットの各インクを構成する水及び水溶性有機溶剤について説明する。
本発明で使用する水としては、イオンを含有する一般の水ではなく、脱イオン水を使用することが好ましい。水の含有量は、併用する水溶性有機溶剤の種類、組成あるいは所望とされるインクの特性に依存して広い範囲で決定されるが、少なすぎるとインクの粘度が上昇してインクジェットヘッドからの吐出が困難となり、多すぎると水分蒸発によって着色剤の析出等が生じてインクジェットヘッドのノズルの目詰まりが起きやすくなるので、各インク全量に対して好ましくは10〜95重量%、より好ましくは10〜80重量%の範囲である。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットの各インクに用いる水溶性有機溶剤は、湿潤剤と浸透剤に大別される。湿潤剤として使用される水溶性有機溶媒は、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを防止するためにインクに添加されるものであり、浸透剤として使用される水溶性有機溶媒は、印字した際、インクを速やかに被記録材内部に浸透させるためにインクに添加される。
このような湿潤剤の具体例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の水溶性グリコールが挙げられる。湿潤剤としての水溶性有機溶剤の含有量は、少なすぎるとインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを防止するために不充分であり、多すぎるとインクの粘度が上昇してインクジェットヘッドからの吐出が困難となるので、各インク全量に対して、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%の範囲である。
一方、前述した浸透剤の具体例としては、エチレングリコール系及びプロピレングリコール系のアルキルエーテルに代表されるグリコールエーテル等が挙げられる。エチレングリコール系アルキルエーテルの具体例としては、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールイソブチルエーテル等が挙げられ、プロピレングリコール系アルキルエーテルの具体例としては、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等が挙げられる。浸透剤としての水溶性有機溶剤の含有量は、少なすぎると浸透性が不充分であり、多すぎると過剰な浸透性によってフェザリング等のにじみを生じやすくなるので、各インク全量に対して、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜7重量%の範囲である。
また、湿潤剤及び浸透剤に加え、インクジェットヘッドの先端部におけるインクの乾燥を防止し、印字濃度を高くし、また鮮やかな発色を実現する等の別目的で、さらに別の水溶性有機溶剤を含むこともできる。このような水溶性有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;グリセリン;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットを構成するイエローインク、マゼンタインク及びシアンインクの基本組成は以上の通りであるが、その他従来公知の界面活性剤;ポリビニルアルコール、セルロース等の粘度調製剤;表面張力調整剤;防黴剤;防錆剤等を必要に応じて添加することができる。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色について着色剤と、水と、水溶性有機溶剤と、その他の必要に応じて各種添加剤とを、常法に従って均一に混合することにより各色のインクを調製し、それらを組み合わせることにより製造することができる。なお、各色のインクには、本発明の効果を損なわない範囲で、以上説明した着色剤以外の染料や顔料を配合することができる。例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等を用いることができる。また、染料の構造で分類すれば、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料及び金属フタロシアニン染料等を配合することができる。
本発明のインクジェット記録用インクセットに適したイエローインク、マゼンタインク及びシアンインクの好ましい態様を以下に例示する。これらの各色のインクも本発明の一部である。なお、これらのインクを構成要素は、本発明のインクジェット記録用インクセットで説明した構成要素と同じである。
(イエローインク)
少なくともイエロー着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用イエローインクにおいて、該イエロー着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー132を該イエロー着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しており、該イエロー着色剤の合計含有量が該イエローインク全量に対して1〜4重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該イエローインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が3°以内であることを特徴とするインクジェット記録用イエローインク。
少なくともイエロー着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用イエローインクにおいて、該イエロー着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー132を該イエロー着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しており、該イエロー着色剤の合計含有量が該イエローインク全量に対して1〜4重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該イエローインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が3°以内であることを特徴とするインクジェット記録用イエローインク。
(マゼンタインク)
少なくともマゼンタ着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用マゼンタインクにおいて、該マゼンタ着色剤として前出の一般式(1)で表されるマゼンタ染料を該マゼンタ着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しており、該マゼンタ着色剤の合計含有量が該マゼンタインク全量に対して1〜4重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該マゼンタインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が2°以内であることを特徴とするインクジェット記録用マゼンタインク。
少なくともマゼンタ着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用マゼンタインクにおいて、該マゼンタ着色剤として前出の一般式(1)で表されるマゼンタ染料を該マゼンタ着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しており、該マゼンタ着色剤の合計含有量が該マゼンタインク全量に対して1〜4重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該マゼンタインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が2°以内であることを特徴とするインクジェット記録用マゼンタインク。
(シアンインク)
少なくともシアン着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用のシアンインクにおいて、該シアン着色剤として前出の一般式(2)で表されるシアン染料を該シアン着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有し、該シアン着色剤の合計含有量が該シアンインク全量に対して1〜5重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該シアンインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が6°以内であることを特徴とするインクジェット記録用シアンインク。
少なくともシアン着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用のシアンインクにおいて、該シアン着色剤として前出の一般式(2)で表されるシアン染料を該シアン着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有し、該シアン着色剤の合計含有量が該シアンインク全量に対して1〜5重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該シアンインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が6°以内であることを特徴とするインクジェット記録用シアンインク。
以上説明した本発明のインクセットは、インクジェット記録方式により光沢紙上にインク滴を付着させて画像を形成する方法に適用できる。この画像形成方法は、該イエローインク、該マゼンタインク及び該シアンインクにより光沢紙上に各インクに対応した印字領域を形成する際に、該印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が、イエローインクについては3°以内、マゼンタインクについては2°以内及びシアンインクについては6°以内となるようにすることを特徴とするものである。この画像形成方法によれば、光沢紙上に、実際の人間の目で観察しても、耐オゾン性評価試験の前後で画質変化が小さく、優れた長期保存安定性を示す自然画像及び肌色画像を形成することができる。特に、肌色に関しては、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクにより光沢紙上に肌色印字領域を形成する際に、肌色印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)を、10°以内となるようにすることが好ましい。
なお、この画像形成方法においては、総インク付着量が、100%duty換算で1μg/inch2以上30μg/inch2以下となるように、光沢紙上にインクを付着させることが好ましい。これは、この範囲を下回ると発色性が不充分となり、上回るとインクの定着性の点で問題が生ずるからである。ここで、dutyとは被記録媒体の印字領域面積に対する実際の印字面積の割合、即ち、印字領域を埋める全ドット数に対する実際の印字ドット数の割合である。よって、100%dutyとは、印字領域に対する最大インク付着量を意味する。
以下、本発明を実施例により説明する。
1)インクの調製
<イエローインクY−1〜Y−7>
表1に示すインク組成成分を均一に混合することにより、インクジェット記録用イエローインクY−1〜Y−7を調製した。ここで、イエローインクY−1〜Y−6は本発明のイエローインクであり、イエローインクY−7は比較例のイエローインクである。
<イエローインクY−1〜Y−7>
表1に示すインク組成成分を均一に混合することにより、インクジェット記録用イエローインクY−1〜Y−7を調製した。ここで、イエローインクY−1〜Y−6は本発明のイエローインクであり、イエローインクY−7は比較例のイエローインクである。
<マゼンタインクM−1〜M−7>
表2に示すインク組成成分を均一に混合することにより、インクジェット記録用マゼンタインクM−1〜M−7を調製した。なお、染料(1−A)〜(1−E)は、それぞれ前出の化学式(1−A)〜(1−E)で表される化合物に相当する。ここで、マゼンタインクM−1〜M−6は本発明のマゼンタインクであり、マゼンタインクY−7は比較例のマゼンタインクである。
表2に示すインク組成成分を均一に混合することにより、インクジェット記録用マゼンタインクM−1〜M−7を調製した。なお、染料(1−A)〜(1−E)は、それぞれ前出の化学式(1−A)〜(1−E)で表される化合物に相当する。ここで、マゼンタインクM−1〜M−6は本発明のマゼンタインクであり、マゼンタインクY−7は比較例のマゼンタインクである。
<シアンインクC−1〜C−7>
表3に示すインク組成成分を均一に混合することによりインクジェット記録用シアンインクC−1〜C−7を調製した。なお、染料(2−A)〜(2−E)は、それぞれ前出の化学式(2−A)〜(2−E)で表される化合物に相当する。ここで、シアンインクC−1〜C−6は本発明のシアンインクであり、シアンインクC−7は比較例のイエローインクである。
表3に示すインク組成成分を均一に混合することによりインクジェット記録用シアンインクC−1〜C−7を調製した。なお、染料(2−A)〜(2−E)は、それぞれ前出の化学式(2−A)〜(2−E)で表される化合物に相当する。ここで、シアンインクC−1〜C−6は本発明のシアンインクであり、シアンインクC−7は比較例のイエローインクである。
2)インクの評価
各色のインクジェット記録用インクを所望のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;DCP−110C)に装着し、光沢紙にイエロー、マゼンタ及びシアンインク各色の単色グラデーションサンプルを印字した。使用した光沢紙は、画彩(登録商標)フジフィルム高級光沢紙(富士写真フィルム(株)製)である。
各色のインクジェット記録用インクを所望のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;DCP−110C)に装着し、光沢紙にイエロー、マゼンタ及びシアンインク各色の単色グラデーションサンプルを印字した。使用した光沢紙は、画彩(登録商標)フジフィルム高級光沢紙(富士写真フィルム(株)製)である。
得られた各色の単色グラデーションサンプルに耐オゾン性評価試験を施した。耐オゾン性評価試験は、スガ試験機(株)製オゾンウェザーメーターOMS―Hを用いて、各グラデーションサンプルを、室温24℃、湿度60%RH、オゾン濃度1ppmの室内に40時間放置して行った。
以下に、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクの耐オゾン性評価について詳細に説明する。
(a)目視評価
耐オゾン性評価試験を施した上述の各グラデーションサンプルについて、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色それぞれが充分に表現されているか否かを、以下の評価基準に従って目視にて評価した。得られた評価結果を表1〜3に示す。
○…各色が充分に表現できている
×…各色の表現が不足している
耐オゾン性評価試験を施した上述の各グラデーションサンプルについて、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色それぞれが充分に表現されているか否かを、以下の評価基準に従って目視にて評価した。得られた評価結果を表1〜3に示す。
○…各色が充分に表現できている
×…各色の表現が不足している
(b)色相角変化量(Δh)評価
イエロー、マゼンタ及びシアンの各グラデーションサンプルのうち、耐オゾン性評価試験前にOD値1.0のパッチについて、耐オゾン性評価試験前における色相角(hb)及び耐オゾン性評価試験後における色相角(ha)を測定した。色相角(h)はGretag Macbeth社製Spectrolino(光源:D65;視野:2°;status A)によりL*、a*及びb*を測定し、前出の数式(2)に従って色相角(h)を算出した。そして数式(3)により、OD値1.0のパッチの試験前後の色相角変化量(Δhy,Δhm,Δhc)を求め、以下の評価基準に基づき評価した。得られた結果を表1〜3に示す。ここで、Δhyはイエローについての色相角変化量、Δhmはマゼンタについての色相角変化量、Δhcはシアンについての色相角変化量を表す。
イエロー、マゼンタ及びシアンの各グラデーションサンプルのうち、耐オゾン性評価試験前にOD値1.0のパッチについて、耐オゾン性評価試験前における色相角(hb)及び耐オゾン性評価試験後における色相角(ha)を測定した。色相角(h)はGretag Macbeth社製Spectrolino(光源:D65;視野:2°;status A)によりL*、a*及びb*を測定し、前出の数式(2)に従って色相角(h)を算出した。そして数式(3)により、OD値1.0のパッチの試験前後の色相角変化量(Δhy,Δhm,Δhc)を求め、以下の評価基準に基づき評価した。得られた結果を表1〜3に示す。ここで、Δhyはイエローについての色相角変化量、Δhmはマゼンタについての色相角変化量、Δhcはシアンについての色相角変化量を表す。
イエローについて
◎…色相角変化量(Δhy)が2°以内
○…色相角変化量(Δhy)が2°を超え3°以内
×…色相角変化量(Δhy)が3°を超える
マゼンタについて
◎…色相角変化量(Δhm)が1°以内
○…色相角変化量(Δhm)が1°を超え2°以内
×…色相角変化量(Δhm)が2°を超える
シアンについて
◎…色相角変化量(Δhc)が4°以内
○…色相角変化量(Δhc)が4°を超え6°以内
×…色相角変化量(Δhc)が6°を超える
◎…色相角変化量(Δhy)が2°以内
○…色相角変化量(Δhy)が2°を超え3°以内
×…色相角変化量(Δhy)が3°を超える
マゼンタについて
◎…色相角変化量(Δhm)が1°以内
○…色相角変化量(Δhm)が1°を超え2°以内
×…色相角変化量(Δhm)が2°を超える
シアンについて
◎…色相角変化量(Δhc)が4°以内
○…色相角変化量(Δhc)が4°を超え6°以内
×…色相角変化量(Δhc)が6°を超える
表1から解るように、Y−1〜Y−6のインクジェット記録用イエローインクは、イエロー着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有し、イエロー着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー132を含有し、そしてイエロー着色剤の合計含有量がイエローインク全量に対して1〜4重量%の範囲に入っており、しかも光沢紙上に形成されたイエローインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δhy)が3°以内である。このため、イエロー色の変化が目視では認識できなかった。特に、C.I.ダイレクトイエロー132をイエロー着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しているY−1〜Y−3、Y−5及びY−6のイエローインクは、Y−4のイエローインクに比べて、色相角変化量(Δhy)が小さく、好ましいものであった。一方、Y−7のインクジェット記録用イエローインクは、耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δhy)が14°であるので、目視で認識できてしまうほどイエロー色が変化してしまった。
表2から解るように、M−1〜M−6のインクジェット記録用マゼンタインクは、マゼンタ着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有し、マゼンタ着色剤として一般式(1)で表されるマゼンタ染料を含有し、そしてマゼンタ着色剤の合計含有量がマゼンタインク全量に対して1〜4重量%の範囲に入っており、しかも光沢紙上に形成されたマゼンタインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δhm)が2°以内である。このため、マゼンタ色の変化が目視では認識できなかった。特に、一般式(1)で表されるマゼンタ染料をマゼンタ着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しているM−1〜M−3、M−5及びM−6のマゼンタインクは、M−4のマゼンタインクに比べて、色相角変化量(Δhm)が小さく、好ましいものであった。一方、M−7のインクジェット記録用マゼンタインクは、耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δhm)が7°であるので、目視で認識できてしまうほどマゼンタ色が変化してしまった。
表3から解るように、C−1〜C−6のインクジェット記録用シアンインクは、シアン着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有し、シアン着色剤が一般式(2)で表されるシアン染料を含有し、そしてシアン着色剤の合計含有量が1〜5重量%の範囲に入っており、しかも光沢紙上に形成されたシアンインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δhc)が6°以内である。このため、シアン色の変化が目視では認識できなかった。特に、一般式(2)で表されるシアン染料をシアン着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しているC−1〜C−3、C−5及びC−6のシアンインクは、C−4のシアンインクに比べて、色相角変化量(Δhc)が小さく、好ましいものであった。一方、C−7のインクジェット記録用シアンインクは、耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δhc)が17°であるので、目視で認識できてしまうほどシアン色が変化してしまった。
3)インクセットの構成
実施例1〜7及び比較例1〜4
表4及び表5に示すようにイエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを組み合わせ、本発明のインクジェット記録用インクセットを構成した。
実施例1〜7及び比較例1〜4
表4及び表5に示すようにイエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを組み合わせ、本発明のインクジェット記録用インクセットを構成した。
4)インクセットの評価
各色のインクジェット記録用インクを所望のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;DCP−110C)に装着し、光沢紙に自然画像サンプルとしてJIS SCID No.2を、肌色画像サンプルとして肌色のベタサンプルを印字した。評価試験で用いた肌色は、45≦L*≦55,15≦C*≦25及び15≦h≦30の範囲内である。また、使用した光沢紙は、画彩(登録商標)フジフィルム高級光沢紙(富士写真フイルム(株)製)である。
各色のインクジェット記録用インクを所望のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;DCP−110C)に装着し、光沢紙に自然画像サンプルとしてJIS SCID No.2を、肌色画像サンプルとして肌色のベタサンプルを印字した。評価試験で用いた肌色は、45≦L*≦55,15≦C*≦25及び15≦h≦30の範囲内である。また、使用した光沢紙は、画彩(登録商標)フジフィルム高級光沢紙(富士写真フイルム(株)製)である。
得られた自然画像サンプル及び肌色画像サンプルに耐オゾン性評価試験を施した。耐オゾン性評価試験は、スガ試験機(株)製オゾンウェザーメーターOMS―Hを用いて行った。各サンプルを、室温24℃、湿度60%RH、オゾン濃度1ppmの室内に40時間放置して行った。
以下に、インクジェット記録用インクセットの耐オゾン性評価について詳細に説明する。
(c)自然画像サンプル目視評価
耐オゾン性評価試験を施した上述の自然画サンプルについて、以下の評価基準に基づき目視にて評価した。この評価結果を表4及び表5に示す。
○…画像の色が変化していると認識されない
×…画像の色が変化していると認識される
耐オゾン性評価試験を施した上述の自然画サンプルについて、以下の評価基準に基づき目視にて評価した。この評価結果を表4及び表5に示す。
○…画像の色が変化していると認識されない
×…画像の色が変化していると認識される
(d)肌色画像サンプル目視評価
耐オゾン性評価試験を施した上述の肌色画像サンプルについて、以下の評価基準に基づき目視にて評価した。この評価結果を表4及び表5に示す。
○…画像の色が変化していると認識されない
×…画像の色が変化していると認識される
耐オゾン性評価試験を施した上述の肌色画像サンプルについて、以下の評価基準に基づき目視にて評価した。この評価結果を表4及び表5に示す。
○…画像の色が変化していると認識されない
×…画像の色が変化していると認識される
(e)肌色画像サンプル色相角変化量
各インクジェット記録用インクセットの肌色画像サンプルにおいて、耐オゾン性評価試験前における色相角(hb)及び耐オゾン性評価試験後における色相角(ha)をそれぞれ5箇所ずつ測定し、それらの平均値を用いて数式(4)により、試験前後の色相角変化量(Δhf)を求め、以下の評価基準に基づき評価した。得られた結果を表4及び表5に示す。ここで、色相角(h)はGretag Macbeth社製Spectrolino(光源:D65;視野:2°;status A)によりL*、a*及びb*を測定し、前述の数式(2)に従って色相角(h)を算出した。
各インクジェット記録用インクセットの肌色画像サンプルにおいて、耐オゾン性評価試験前における色相角(hb)及び耐オゾン性評価試験後における色相角(ha)をそれぞれ5箇所ずつ測定し、それらの平均値を用いて数式(4)により、試験前後の色相角変化量(Δhf)を求め、以下の評価基準に基づき評価した。得られた結果を表4及び表5に示す。ここで、色相角(h)はGretag Macbeth社製Spectrolino(光源:D65;視野:2°;status A)によりL*、a*及びb*を測定し、前述の数式(2)に従って色相角(h)を算出した。
◎…色相角変化量(Δhf)が7°以内
○…色相角変化量(Δhf)が7°を超え10°以内
×…色相角変化量(Δhf)が10°を超える
○…色相角変化量(Δhf)が7°を超え10°以内
×…色相角変化量(Δhf)が10°を超える
(f)総合評価
各インクジェット記録用インクセットについて、(c)自然画像サンプル目視評価、(d)肌色画像サンプル目視評価及び(e)肌色画像サンプル色相角変化量の結果から、以下の評価基準により総合評価を行った。得られた結果を表4及び表5に示す。
G…すべての評価結果が◎又は○である
NG…評価結果のいずれかに×がある
各インクジェット記録用インクセットについて、(c)自然画像サンプル目視評価、(d)肌色画像サンプル目視評価及び(e)肌色画像サンプル色相角変化量の結果から、以下の評価基準により総合評価を行った。得られた結果を表4及び表5に示す。
G…すべての評価結果が◎又は○である
NG…評価結果のいずれかに×がある
表4から解るように、実施例1〜7のインクセットの場合、耐オゾン性評価試験の前後で、自然画像サンプル及び肌色画像サンプルについて画像の色が変化していると認識されなかった。また肌色画像サンプルの色相角変化量(Δhf)については、実施例1、実施例2及び実施例5のインクセットの場合には6°、実施例3、実施例6及び実施例7のインクセットの場合には7°、実施例4のインクセットの場合には9°で、いずれも良好な結果であり、総合評価も好ましいものであった。
一方、表5から解るように、比較例1〜4のインクセットの場合、自然画像サンプル及び肌色画像サンプルについて画像の色が変化していると認識された。また肌色画像サンプルの色相角変化量(Δhf)については、比較例4のインクセットの場合には6°であったが、比較例1のインクセットの場合には19°、比較例2のインクセットの場合には13°、比較例3のインクセットの場合には21°であり、後者の3つのインクセットの場合は好ましい結果ではなかった。総合評価については、いずれの比較例のインクセットも好ましい結果ではなかった。
本発明のインクジェット記録用インクセットを用いて光沢紙に形成された自然画像及び肌色画像の色は、実際の人間の目で観察しても、耐オゾン性評価試験の前後で画質変化が小さく、優れた長期保存安定性を示す。従って、本発明のインクジェット記録用インクセットは、各種画像の形成に有用である。
Claims (17)
- イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを有するインクジェット記録用インクセットであって、該イエローインク、該マゼンタインク及び該シアンインクにより光沢紙上に形成された各インクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が、イエローインクについては3°以内、マゼンタインクについては2°以内及びシアンインクについては6°以内であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
- 該イエローインクが、少なくともイエロー着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有し、該イエロー着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー132を含有している請求項1記載のインクジェット記録用インクセット。
- C.I.ダイレクトイエロー132の含有割合が、該イエロー着色剤全量に対して少なくとも70重量%である請求項2記載のインクジェット記録用インクセット。
- 該イエロー着色剤の合計含有量が、該イエローインク全量に対して1〜4重量%である請求項2又は3に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 該マゼンタインクが、少なくともマゼンタ着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有し、該マゼンタ着色剤として一般式(1)
(一般式(1)中、R1は、水素原子、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアリール基を表す。R2は、水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。R3は、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基又は置換されてもよいヘテロ環基を表す。R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立的に水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいヘテロ環基、置換されてもよいスルホニル基又は置換されてもよいアシル基を表す。ただし、R4とR5が共に水素原子であることはなく、R6とR7が共に水素原子であることはない。A1及びA2は、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。)
で表されるマゼンタ染料を含有している請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。 - 該一般式(1)で表されるマゼンタ染料の含有割合が、該マゼンタ着色剤全量に対して少なくとも70重量%である請求項5記載のインクジェット記録用インクセット。
- 該マゼンタ着色剤の合計含有量が、該マゼンタインク全量に対して1〜4重量%である請求項5又は6に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 該シアンインクが、少なくともシアン着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有し、該シアン着色剤として一般式(2)
(一般式(2)において、Pc(Cu)は一般式(3)で表される銅フタロシアニン核を表す。
一般式(2)中、R8、R9、R10及びR11は、それぞれ独立的に−SO2−Ra、−SO2NRbRc又は−CO2−Raから選ばれる置換基を表し、R8、R9、R10及びR11はすべてが同一であることはない。但し、R8、R9、R10及びR11の少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。R8、R9、R10及びR11の少なくとも1つ以上は、一般式(3)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのそれぞれに存在する。Raは置換もしくは無置換のアルキル基、Rbは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、Rcは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。kは0<k<8を満たす数、lは0<l<8を満たす数、mは0≦m<8を満たす数、nは0≦n<8を満たす数であり、且つk、l、m及びnは4≦k+l+m+n≦8を満たす数である。)
で表されるシアン染料を含有している請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。 - 該一般式(2)で表されるシアン染料の含有割合が、該シアン着色剤全量に対して少なくとも70重量%である請求項8記載のインクジェット記録用インクセット。
- 該シアン着色剤の合計含有量が、該シアンインク全量に対して1〜5重量%である請求項8又は9に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 更に、ブラックインクを含有する請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
- 少なくともイエロー着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用イエローインクにおいて、該イエロー着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー132を該イエロー着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しており、該イエロー着色剤の合計含有量が該イエローインク全量に対して1〜4重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該イエローインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が3°以内であることを特徴とするインクジェット記録用イエローインク。
- 少なくともマゼンタ着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用マゼンタインクにおいて、該マゼンタ着色剤として一般式(1)
(一般式(1)中、R1は、水素原子、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアリール基を表す。R2は、水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。R3は、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基又は置換されてもよいヘテロ環基を表す。R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立的に水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいヘテロ環基、置換されてもよいスルホニル基又は置換されてもよいアシル基を表す。ただし、R4とR5が共に水素原子であることはなく、R6とR7が共に水素原子であることはない。A1及びA2は、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。)
で表されるマゼンタ染料を該マゼンタ着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しており、該マゼンタ着色剤の合計含有量が該マゼンタインク全量に対して1〜4重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該マゼンタインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が2°以内であることを特徴とするインクジェット記録用マゼンタインク。 - 少なくともシアン着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用シアンインクにおいて、該シアン着色剤として一般式(2)
(一般式(2)において、Pc(Cu)は一般式(3)で表される銅フタロシアニン核を表す。
一般式(2)中、R8、R9、R10及びR11は、それぞれ独立的に−SO2−Ra、−SO2NRbRc又は−CO2−Raから選ばれる置換基を表し、R8、R9、R10及びR11はすべてが同一であることはない。但し、R8、R9、R10及びR11の少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。R8、R9、R10及びR11の少なくとも1つ以上は、一般式(3)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのそれぞれに存在する。Raは置換もしくは無置換のアルキル基、Rbは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、Rcは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。kは0<k<8を満たす数、lは0<l<8を満たす数、mは0≦m<8を満たす数、nは0≦n<8を満たす数であり、且つk、l、m及びnは4≦k+l+m+n≦8を満たす数である。)
で表されるシアン染料を該シアン着色剤全量に対して少なくとも70重量%含有しており、該シアン着色剤の合計含有量が該シアンインク全量に対して1〜5重量%であり、且つ光沢紙上に形成された該シアンインクに対応した印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が6°以内であることを特徴とするインクジェット記録用シアンインク。 - 請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用いてインクジェット記録方式により光沢紙上にインクを付着させて画像を形成する方法において、該イエローインク、該マゼンタインク及び該シアンインクにより光沢紙上に各インクに対応した印字領域を形成する際に、該印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が、イエローインクについては3°以内、マゼンタインクについては2°以内及びシアンインクについては6°以内となるようにすることを特徴とする画像形成方法。
- 請求項15に記載の画像形成方法において、該イエローインク、該マゼンタインク及び該シアンインクにより光沢紙上に肌色印字領域を形成する際に、該肌色印字領域の耐オゾン性評価試験前後における色相角変化量(Δh)が、10°以内となるようにすることを特徴とする画像形成方法。
- 総インク付着量が、100%duty換算で1μg/inch2以上30μg/inch2以下となるように、光沢紙上にインクを付着させる請求項15又は16に記載の画像形成方法。
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