JP5212587B2 - インクジェット記録用インクセット - Google Patents

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Description

本発明は、イエロー着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するイエローインク、マゼンタ着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するマゼンタインク、及びシアン着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するシアンインクを有するインクジェット記録用インクセットに関する。
インクジェット記録画像を形成するために用いられるインクには、一般的に、以下に挙げるインクジェット記録特性:
(1)鮮やかで発色性の良好な画像を与えること;
(2)耐光性、耐活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガス、SOx等)性、耐水性等の堅牢性に優れていること;
(3)インクジェット記録装置に使用されている様々な部材と接触しても問題を起こさないこと;
(4)保存安定性に優れ、長期間の使用においてもインクヘッドのノズル詰まり等を生じにくく、充分な噴射安定性を保つこと;
を高いレベルで満足させることが求められている。
特に、イエロー、マゼンタ及びシアンの減法混色によって自然画像等を表現する際には、イエロー、マゼンタ及びシアンのそれぞれのインクの色相が、標準のイエロー、マゼンタ及びシアンの色相に近く、しかも鮮明であることが強く求められている。また、プリントした自然画像等については、良好な発色性と高い光学濃度とを維持できる良好な長期保存安定性が求められている。従って、耐光性、耐活性ガス性に充分に優れているだけでなく、色相のバランスが重要であり、イエロー、マゼンタ及びシアンそれぞれの退色バランスが近いことが重要となる。このため、このような観点から構成されたインクジェット記録用インクセットが提案されている(特許文献1)。
しかし、従来の技術では、イエロー、マゼンタ及びシアンの何れかのインクジェット記録用インクにおいて耐光性、耐活性ガス性等の堅牢性に問題があり、その結果、インクジェット記録物の劣化を招く場合があった。
一般的にインクジェット記録に用いられるマゼンタ染料については、幅広い配合色を得るのに適する色相で且つ鮮やかなものは、耐光性、耐活性ガス性のレベルが低いことが知られている。他方、耐光性及び耐活性ガス性が優れたものは、幅広い配合色を出すには不充分な色相であったり鮮明性に欠けたり、インクジェット記録装置に使用されている様々な部材との接触において問題を起こし易いという問題があり、インクジェット記録装置の長期安定使用の障害になるという問題があった。
また、一般的にインクジェット記録に用いられるフタロシアニン系のシアン染料については、マゼンタやイエローに比べ耐光性に優れるという特徴があるものの、染料の溶解性に起因する問題が生じやすく、例えば、シアンインク製造時に溶解不良を発生させて製造トラブルの原因となったり、製品保存時や使用時に不溶物が析出して種々の問題を生じさせたりすることも多い。特に、前述したインクジェット記録においては、染料の析出によりインクジェットヘッドのノズル目詰まりや吐出不良を引き起こし、印字画像の著しい劣化を引き起こす等の問題がある。また、オゾン等の活性ガスによって退色しやすく、印字濃度が大きく低下してしまうことが大きな問題となっている。
特開2000−178491号公報
本発明の目的は、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを有するインクジェット記録用インクセットであって、保存安定性に優れ長期間の使用においても充分な噴射安定性を保ち、バランスの良い発色性及び鮮明性を有し、且つそれらを用いた記録物の耐光性、耐オゾン性が充分に優れ、且つそれぞれのインクの退色のバランスが近いという効果を有するインクジェット記録用インクセットを提供することである。
本発明者等は、イエローインクについては、イエロー着色剤として特定の2種類の染料を用いることで、鮮やかさ、優れた耐光性及び優れた耐オゾン性を保持したまま、より標準のイエローに近くなり、充分な発色性を示すことが可能となること;マゼンタインクについては、マゼンタ染料として、発色性と噴射安定性に乏しいものの、耐光性と耐オゾン性に優れている特定のピラゾリルアゾピリジン(もしくはピラゾリルアゾピラジン)系染料と、それとは逆に、耐光性と耐オゾン性に乏しいものの、発色性と噴射安定性に優れている別の特定染料とを併用することにより、両者の良好な性質が損なわれることなく、しかもそれぞれの特性が相加平均的な中間レベルとなるのではなく、予想外にもそれぞれの良好な特性が維持されること;そしてシアンインクについては、優れた耐オゾン性を示すが、水への溶解性が低く、発色性が不充分な特定の銅フタロシアニン系染料と、水への溶解性が高く、鮮明な発色性に優れているが、耐オゾン性が不充分な別の特定の銅フタロシアニン系染料等とを、インクジェット記録用シアンインクのシアン染料として併用することにより、両者の良好な性質が損なわれることなく、しかもそれぞれの特性が相加平均的な中間レベルとなるのではなく、予想外にもそれぞれの良好な特性が維持されること;を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、イエロー着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するイエローインク、マゼンタ着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するマゼンタインク、並びにシアン着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するシアンインクを有するインクジェット記録用インクセットにおいて、
該イエローインクが、イエロー着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー132及びC.I.ダイレクトイエロー86を含有し、
該マゼンタインクが、マゼンタ着色剤として一般式(1)で表されるマゼンタ染料(1)
Figure 0005212587

(一般式(1)中、Rは、水素原子、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアリール基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。Rは、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基又は置換されてもよいヘテロ環基を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立的に水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいヘテロ環基、置換されてもよいスルホニル基又は置換されてもよいアシル基を表す。ただし、RとRが共に水素原子であることはなく、RとRが共に水素原子であることはない。A及びAは、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。)と、
遊離酸の形が下記の一般式(2)で表されるマゼンタ染料(2)、
Figure 0005212587
(一般式(2)中、R、R及びR10は、それぞれ独立的に置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシル基、置換されてもよいカルバモイル基、置換されてもよいスルファモイル基、置換されてもよいアミノ基、ニトロ基、スルホン酸エステルの基、置換されてもよいアルキルスルホニル基、置換されてもよいアリールスルホニル基、カルボキシル基又はカルボン酸エステルの基を表わす。mは0、1又は2の数を表わし、R11、R12及びR13は、それぞれ独立的に水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよい脂環基又は置換されてもよいヘテロ環基を表わす。)、C.I.アシッドレッド52及びC.I.アシッドレッド289からなる群より選択される少なくとも一種の染料とを含有し、
該シアンインクが、シアン着色剤として一般式(3)で表されるシアン染料(1)と、
一般式(4)で表されるシアン染料(2)、一般式(5)で表されるシアン染料(3)及びC.I.ダイレクトブルー86










Figure 0005212587
(一般式(3)〜一般式(5)において、Pc(Cu)は一般式(6)で表される銅フタロシアニン核を表す。
一般式(3)中、R14、R15、R16及びR17は、それぞれ独立的に−SO−R、−SONR又は−CO−Rから選ばれる置換基を表し、R14、R15、R16及びR17はすべてが同一であることはない。但し、R14、R15、R16及びR17の少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。R14、R15、R16及びR17の少なくとも1つ以上は、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのそれぞれに存在する。Rは置換もしくは無置換のアルキル基、Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、Rは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。kは0<k<8を満たす数、lは0<l<8を満たす数、pは0≦p<8を満たす数、qは0≦q<8を満たす数であり、且つk、l、p及びqは4≦k+l+p+q≦8を満たす数である。
一般式(4)中、SOM基及びSONH基は、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのいずれかに存在する。ここで、Mはリチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンのいずれかより選ばれる1価の金属カチオンを表す。xは0<x<4を満たす数、yは0<y<4を満たす数であり、且つx及びyは2≦x+y≦5を満たす数を表す。
一般式(5)中、SONH基及びSONH基は、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのいずれかに存在する。)
からなる群より選択される少なくとも一種の染料とを含有することを特徴とするインクジェット記録用インクセットを提供する。
本発明のインクジェット記録用インクセットのイエローインクについては、イエロー着色剤として特定の2種類の染料を用いているので、鮮やかさ、優れた耐光性及び優れた耐オゾン性を保持したまま、より標準のイエローに近くなり、充分な発色性を示すことが可能となる。マゼンタインクについては、マゼンタ染料として発色性と噴射安定性に乏しいものの、耐光性と耐オゾン性に優れている特定のピラゾリルアゾピリジン(もしくはピラゾリルアゾピラジン)系染料と、それとは逆に、耐光性と耐オゾン性に乏しいものの、発色性と噴射安定性に優れている別の特定染料とを併用しているので、両者の良好な性質が損なわれることなく、それぞれの良好な特性が維持される。そしてシアンインクについても、優れた耐光性及び優れた耐オゾン性を示すが、水への溶解性が低く、発色性が不充分な特定の銅フタロシアニン系染料と、水への溶解性が高く、鮮明な発色性に優れ、耐光性にも優れているが、耐オゾン性が不充分な別の特定の銅フタロシアニン系染料とを併用するので、それぞれの良好な特性が維持される。従って、本発明のインクジェット記録用インクセットは、保存安定性に優れ長期間の使用においても充分な噴射安定性を保ち、バランスの良い発色性及び鮮明性を有し、且つそれらを用いた記録物の耐光性、耐オゾン性が充分に優れ、且つそれぞれのインクの退色のバランスが近いという効果を有する。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを含み、また、各インクは対応する着色剤に加えて、少なくとも水と水溶性有機溶剤を含有する。
本発明で使用するイエローインクは、イエロー着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー132とC.I.ダイレクトイエロー86を含有する。これら着色剤は、それぞれ単独で充分な鮮明度、優れた耐光性及び優れた耐オゾン性を示すが、混合することにより、鮮やかさ、優れた耐光性及び優れた耐オゾン性を保持したまま、より標準のイエローに近くなり、充分な発色性を示すことが可能となる。
また、本発明で使用するマゼンタインクは、マゼンタ着色剤として前出の一般式(1)で表されるマゼンタ染料(1)と併用して、遊離酸の形が一般式(2)で表されるマゼンタ染料(2)、C.I.アシッドレッド52及びC.I.アシッドレッド289からなる群より選択される少なくとも一種の染料とを含有する。
一般式(1)で表されるマゼンタ染料(1)は、優れた耐光性及び耐オゾン性を有する。しかし、その一方で発色性や鮮やかさに劣るという弱点を持っている。このため、マゼンタインクのマゼンタ着色剤としてマゼンタ染料(1)を単独で使用した場合、充分な色再現範囲を確保することが困難であり、高彩色画像を形成することも困難となる。また、マゼンタ染料(1)は、インクジェット記録装置に使用されているいくつかの部材との接触により、問題を起こす可能性がある。例えば、インクジェットヘッドを構成する金属パーツ、圧電素子、撥水膜及びそれらを接着する接着剤等を攻撃する可能性が高く、撥水膜の撥水性低下、インク流路内の腐食、ノズルへの異物付着等といった問題を引き起こす可能性がある。このような各種材料に対する攻撃性の強さは、連続噴射安定性の低下だけでなく長期間の噴射安定性の低下も引き起こしかねない。さらにマゼンタ染料(1)をマゼンタインク中に比較的多量に含有させた場合には、インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドに至るインク流路内において、気泡を発生する頻度が高くなることが懸念され、この点からも、噴射安定性の低下が懸念される。
他方、遊離酸の形が一般式(2)で表されるマゼンタ染料(2)、C.I.アシッドレッド52及びC.I.アシッドレッド289は、マゼンタ染料(1)と異なり、耐光性及び耐オゾン性に乏しいが、優れた鮮明性と発色性を有する。また、マゼンタ染料(2)、C.I.アシッドレッド52及びC.I.アシッドレッド289は、インクジェット記録装置に使用されている各種部材に対する攻撃性が低く、むしろ、一部の部材(例えば、ゴムキャップ及びワイパゴム等のゴム部材)に対しては、マゼンタインクの攻撃性を軽減させる働きを示す。
一般に、特性の異なる2種類の染料を併用した場合、両者の良好な性質が損なわれることや、損なわれないとしてもそれぞれの特性が、それらの相加平均的な中間レベルとなることが考えられるが、マゼンタ染料(1)とともに、マゼンタ染料(2)、C.I.アシッドレッド52及びC.I.アシッドレッド289からなる群より選択される少なくとも一種の染料とを併用した場合には、予想外にもそれぞれの良好な特性が維持されるという効果が得られる。
また、本発明で使用するシアンインクは、シアン着色剤として前出の一般式(3)で表されるシアン染料(1)と併用して、一般式(4)で表されるシアン染料(2)、一般式(5)で表されるシアン染料(3)及びC.I.ダイレクトブルー86からなる群より選択される少なくとも一種の染料とを含有する。
一般式(3)で示されるシアン染料(1)はフタロシアニン化合物の会合性を促進することにより、光及びオゾンに対する安定性が非常に優れることを特徴としているが、その一方でフタロシアニン化合物の会合度が大きいため、水への溶解性が低いという弱点を持っている。水への溶解性が低いため、インクの長期保存安定性、蒸発性が懸念される。すなわち、水に対する溶解性が低い染料を使用したインクは少量の水分蒸発で粘度が高くなってしまうという懸念がある。粘度が高すぎるとインクジェットヘッド中での流路抵抗が大きくなり、インクを安定に噴射することが困難になる。また、析出物が発生すると、ノズル詰まり発生の原因やノズル表面に付着してヨレの原因になる等インクを安定に噴射することが困難になる。蒸発の問題を解決させるために染料含有量を減らすと、発色性が悪くなるという別の問題が出てくる。
他方、一般式(4)で示されるシアン染料(2)、一般式(5)で表されるシアン染料(3)及びC.I.ダイレクトブルー86は、発色性及び耐光性に優れ、鮮明度も高い。また、一般式(4)で表されるシアン染料(2)、一般式(5)で表されるシアン染料(3)及びC.I.ダイレクトブルー86は水への溶解性が良好であるが、耐オゾン性に優れないという弱点を持っている。
マゼンタ染料に関して既に説明したように、一般に、特性の異なる2種類の染料を併用した場合、両者の良好な性質が損なわれることや、損なわれないとしてもそれぞれの特性が、それらの相加平均的な中間レベルとなることが考えられるが、シアン染料(1)とともに、シアン染料(2)、シアン染料(3)及びC.I.ダイレクトブルー86からなる群より選択される少なくとも一種の染料とを併用した場合には、予想外にもそれぞれの良好な特性が維持されるという効果が得られる。
本発明における各インクの着色剤中の必須構成着色剤の含有割合に関し、イエローインクの場合、イエロー着色剤はC.I.ダイレクトイエロー132とC.I.ダイレクトイエロー86とを好ましくは70:30〜90:10、より好ましくは80:20〜90:10の重量比率で含有し、マゼンタインクの場合には、マゼンタ染料(1)と、マゼンタ染料(2)、C.I.アシッドレッド52及びC.I.アシッドレッド289からなる群より選択される少なくとも1種の染料とを、好ましくは70:30〜90:10であり、より好ましくは80:20〜90:10の重量比率で含有し、そしてシアンインクの場合、シアン着色剤はシアン染料(1)と、シアン染料(2)、シアン染料(3)及びC.I.ダイレクトブルー86からなる群より選択される少なくとも1種の染料とを、好ましくは70:30〜95:5、より好ましくは85:15〜95:5の重量比率で含有する。各インクの2つの必須構成成分の含有割合がこれらの範囲内であれば、充分に鮮やかで発色性の良好な画像を与え、耐光性、耐オゾン性、耐水性等の堅牢性に優れ、長期間の使用においても充分な噴射安定性を保つそれぞれの染料の特徴を充分に生かしたバランスの取れたインクセットを提供することが可能となる。
本発明における各インク中の着色剤の合計含有量は、インクの性能及び要求特性により適宜決められるが、好ましくはイエローインクの場合、イエローインク全重量の好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜4重量%、マゼンタインクの場合には、マゼンタインク全重量の好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜4重量%、そしてシアンインクの場合、シアンインク全重量の好ましくは1〜5%、より好ましくは2〜5重量%である。これらの範囲内にすることで、それぞれの染料の優れた特性をバランス良く充分に発揮させることができる。なお、各インクの各着色剤には、他の染料を発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。
次に、マゼンタ染料(1)及びマゼンタ染料(2)の一般式中の置換基について説明する。先ず、マゼンタ染料(1)の一般式(1)における置換基R〜R、A〜Aについて説明する。
前述したように、Rは、水素原子、置換されてもよいアルキル基又は置換されてもよいアリール基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。Rは、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基又は置換されてもよいヘテロ環基を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立的に水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいヘテロ環基、置換されてもよいスルホニル基又は置換されてもよいアシル基を表す。ただし、RとRが共に水素原子であることはなく、RとRが共に水素原子であることはない。A及びAは、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。
一般式(1)におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいアルキル基におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、また、置換基の例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、イオン性親水性基(カルボン酸塩、スルホン酸塩等)が挙げられる。置換されてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基及び4−スルホブチル基等が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいアリール基におけるアリール基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。置換基の例としては、アルキル基(メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基等)、アルコキシ基(前述参照)、ハロゲン原子(前述参照)、アルキルアミノ基(メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホアミド基、水酸基、エステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)及びイオン性親水性基(前述参照)が挙げられる。置換されてもよいアリール基の具体例には、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−オクチルフェニル基、メシチル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基等が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいヘテロ環基におけるヘテロ環基としては、5員又は6員環のヘテロ環基が好ましい。置換基の例としては、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホアミド基、水酸基、エステル基(前述参照)、イオン性親水性基(前述参照)が挙げられる。置換されてもよいへテロ環基の具体例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−フリル基、6−スルホベンゾチアゾリル基及び6−スルホン酸塩ベンゾチアゾリル基等)が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいスルホニル基の置換基としては、アルキル基(前述参照)及びアリール基(前述参照)等が挙げられる。置換されてもよいスルホニル基の具体例としては、メチルスルホニル基及びフェニルスルホニル基等が挙げられる。
一般式(1)において、置換されてもよいアシル基のアシル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましく挙げられる。置換基の例としては、イオン性親水性基(前述参照)が挙げられる。置換されてもよいアシル基の具体例としては、アセチル基、ベンゾイル基、クロロアセチル基が挙げられる。
一般式(1)において、A及びAは、既に述べたように、いずれもが置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方が置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。AとAが共に炭素原子である場合がより優れた性能を発揮できる点で好ましい。AとAの炭素原子に結合する置換基としては、炭素原子数1〜3のアルキル基、カルボキシル基、カルバモイル基及びシアノ基等が挙げられる。
なお、一般式(1)において、RとRとは共に水素原子となることはなく、またRとRも共に水素原子となることはない。また、スルホン酸基もしくはカルボキシル基の置換数が多くなるとマゼンタ染料(1)の水溶性が向上する傾向があるので、必要に応じてそれらの置換数を調整することが好ましい。
マゼンタ染料(1)の好ましい態様としては、一般式(1)において、Rがアルキル基、Rがシアノ基、Rが水素原子又は置換されてもよいヘテロ環基、Rが水素原子、置換されてもよいヘテロ環基又は置換されているアリール基、R及びRが置換されているヘテロ環基又は置換されているアリール基、Rが水素原子であり、Aが置換されている炭素原子、Aが置換されてもよい炭素原子である態様が挙げられる。
マゼンタ染料(1)のより好ましい態様としては、一般式(1)において、Rがtert−ブチル基、Rがシアノ基、Rが水素原子又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいベンゾチアゾリル基(好ましくはベンゾチアゾール−2−イル基)、Rが水素原子、スルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいベンゾチアゾリル基(好ましくはベンゾチアゾール−2−イル基)又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されているトリアルキルフェニル基(好ましくはメシチル基)、R及びRはそれぞれ独立的にスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいモノもしくはトリアルキルフェニル基(好ましくはp−オクチルフェニル基もしくはメシチル基)又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されているベンゾチアゾリル基(好ましくはベンゾチアゾール−2−イル基)、Rが水素原子であり、Aがアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されている炭素原子、Aがシアノ基で置換されてもよい炭素原子である態様である。
マゼンタ染料(1)の好ましい具体例としては以下の化学式(1−A)〜(1−E)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005212587
化学式(1−A)で表される化合物は、一般式(1)において、Rがtert−ブチル基、Rがシアノ基、Rがベンゾチアゾール−2−イル基、Rが水素原子、R及びRがp−オクチルフェニル基、Rが水素原子であり、Aがメチル基で置換されている炭素原子、Aがシアノ基で置換されている炭素原子である態様である。












Figure 0005212587
化学式(1−B)で表される化合物は、一般式(1)において、Rがtert−ブチル基、Rがシアノ基、R及びRがベンゾチアゾール−2−イル基、R及びRがメシチル基、Rが水素原子であり、Aがメチル基で置換されている炭素原子、Aが炭素原子である態様である。
Figure 0005212587
化学式(1−C)で表される化合物は、一般式(1)において、Rがtert−ブチル基、Rがシアノ基、R及びRが6−スルホナトリウム塩ベンゾチアゾール−2−イル基、R及びRが3−スルホナトリウム塩−メシチル基、Rが水素原子であり、Aがメチル基で置換されている炭素原子、Aが炭素原子である態様である。
Figure 0005212587
化学式(1−D)で表される化合物は、一般式(1)において、Rがtert−ブチル基、Rがシアノ基、R及びRが水素原子、R及びRがメシチル基、Rが水素原子であり、Aがメチル基で置換されている炭素原子、Aが炭素原子である態様である。
Figure 0005212587
化学式(1−E)で表される化合物は、一般式(1)において、Rがtert−ブチル基、Rがシアノ基、R及びRが6−スルホカリウム塩ベンゾチアゾール−2−イル基、R及びRが3−スルホカリウム塩−メシチル基、Rが水素原子であり、Aがメチル基で置換されている炭素原子、Aが炭素原子である態様である。
一般式(1)で表されるマゼンタ染料(1)は、以下に説明する工程(a)〜(c)に従って製造できる。
工程(a)
化学式(1a)で表されるアミノピラゾールと、ジアゾ化剤とを反応させてジアゾニウム塩を形成する。ジアゾ化剤としては、亜硝酸ナトリウムの希塩酸水溶液を好ましく使用することができる。亜硝酸イソペンチルやニトロシル硫酸等も使用できる。


Figure 0005212587
化学式(1a)の置換基RとRとは、マゼンタ染料(1)で説明したとおりである。なお、化学式(1a)アミノピラゾールは、米国特許第3,336,285号明細書、ヘテロサイクルズ(Heterocycles),20,519(1983)、特公平6−19036号公報等に記載されている方法によって合成できる。
工程(b)
次に、工程(a)で形成されたジアゾニウム塩を化学式(1b)で表されるカップリング剤と反応させ、化学式(1c)で表される化合物を形成する。
Figure 0005212587













Figure 0005212587
化学式(1b)及び(1c)における置換基R〜Rは、マゼンタ染料(1)で説明したとおりである。なお、化学式(1c)で表されるピリジン系のカップリング剤は、特開昭51−83631号公報、特開昭49−74718号公報、特公昭52−46230号公報等に記載されている方法で合成できる。
工程(c)
次に、塩基の存在下で、工程(b)で形成された化合物をアルキル化剤、アリール化剤又はヘテリル化剤と反応させることにより、一般式(1)で表されるマゼンタ染料(1)が得られる。この工程で使用する塩基としては、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の無機塩基等を使用することができる。アルキル化剤は“R−X”で表される化合物である。ここで、Rは置換されていてもよいアルキル基である。Xはハロゲン原子又はOSOR'であり、R'はアルキル基又はフェニル基等のアリール基である。また、アリール化剤は“Ar−X”で表される化合物である。ここで、Arは、電子吸引性基が置換されたフェニル基(ハメットのσp値の合計が0.2以上の置換基で置換されていることが好ましい)である。ヘテリル化剤は“Het−X”で表される化合物である。ここで、Hetは、ヘテロ環、例えば、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、トリアジル基及び2−フリル基等が好ましく挙げられる。
次に、マゼンタ染料(2)の一般式(2)における置換基R〜R13について説明する。なお、各置換基に結合しうる置換基の例については、マゼンタ染料(1)の一般式(1)において説明したものを挙げることができる。
前述したように、一般式(2)中、R、R及びR10は、それぞれ独立的に置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシル基、置換されてもよいカルバモイル基、置換されてもよいスルファモイル基、置換されてもよいアミノ基、ニトロ基、スルホン酸エステルの基、置換されてもよいアルキルスルホニル基、置換されてもよいアリールスルホニル基、カルボキシル基又はカルボン酸エステルの基を表わす。mは0、1又は2の数を表わし、R11、R12及びR13は、それぞれ独立的に水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよい脂環基又は置換されてもよいヘテロ環基を表わす。
一般式(2)において、R、R及びR10で表される置換基のうち、置換されてもよいアルキル基としては、好ましくは総炭素数が1〜9のアルキル基が挙げられる。その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、トリフロロメチル基及びジメチルアミノメチル基等が挙げられる。置換されてもよいアルコキシ基としては、好ましくは総炭素数が1〜9のアルコキシ基が挙げられる、その具体例としては、メトキシ基、イソプロポキシ基及びn−ブトキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。置換されてもよいカルバモイル基の具体例としては、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基及びフェニルカルバモイル基等が挙げられる。置換されてもよいスルファモイル基の具体例としては、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基及びp−カルボキシフェニルスルファモイル基等が挙げられる。置換されてもよいアミノ基の具体例としては、N−メチルアミノ基、カルバモイルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基及びアセチルアミノ基等が挙げられる。スルホン酸エステルの基としては、フェノキシスルホニル基等が挙げられる。置換されてもよいアルキルスルホニル基としては、好ましくは総炭素数が1〜9のアルキルスルホニル基が挙げられる。その具体例としては、ヒドロキシエチルスルホニル基等が挙げられる。置換されてもよいアリールスルホニル基としては、好ましくは総炭素数が6〜15のアリールスルホニル基が挙げられる。その具体例としては、ベンジルスルホニル基等が挙げられる。カルボン酸エステルの基の具体例としては、メトキシカルボキニル基等が挙げられる。
一般式(2)において、R11、R12及びR13で表される置換基のうち、置換されてもよいアルキル基としては、好ましくは総炭素数が1〜18のアルキル基が挙げられる。その具体例としては、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基、エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシシクロヘキシルメチル基、1−カルボキシ−2−メルカプトエチル基、1−カルボキシ−2−カルバモイル−エチル基、1−イソプロピル−1−カルボキシメチル基及び1,2−ジカルボキシプロピル基等が挙げられる。置換されてよいアルケニル基としては、好ましくは総炭素数が2〜18のアルケニル基が挙げられる。その具体例としては、2−メチル−1−プロペニル基、ビニル基及びアリル基等が挙げられる。置換されてもよいアリール基の具体例としては、3,4−ジカルボキシフェニル基、4−ブチルフェニル基及び4−カルボキシフェニル基等が挙げられる。置換されてもよいアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、1−カルボキシ−2−フェニル−エチル基、1−カルボキシ−2−ヒドロキシフェニルエチル基及び4−カルボキシベンジル基等が挙げられる。置換されてもよい脂環基の具体例としては、シクロヘキシル基及び4−カルボキシシクロヘキシル基等が挙げられる。置換されてもよいヘテロ環基の具体例としては、ピリジル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等が挙げられる。また、R11,R12及びR13の少なくとも一つが1〜4個のカルボキシル基又はスルファモイル基で置換されているアルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環基、アラルキル基もしくはヘテロ環基等が挙げられる。さらに、R11及びR12は、ぞれぞれ独立的に、水素原子又は3置換フェニル基であってもよい。ここで、3置換フェニル基の三つの置換基は、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、総炭素数が1〜9の置換されてもよいアルキル基、総炭素数が1〜9の置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいカルバモイル基、置換されてもよいスルファモイル基、置換されてもよいアミノ基、ニトロ基、スルホン酸エステルの基又はカルボン酸エステルの基を表す。
染料(2)の好ましい態様としては、一般式(2)においてR11、R12又はR13の少なくとも1つが1〜4個のカルボキシル基又はスルファモイル基で置換されているアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基もしくはシクロヘキシル基が挙げられる。
また、一般式(2)で表されるマゼンタ染料(2)は、その構造中に、スルホン酸基及びカルボキシル基又はこれらの酸の塩の基を合計で6個以下、好ましくは5個以下、特に4個以下有するものが好ましい。また、マゼンタ染料(2)は遊離酸型のまま使用してもよいが製造時、塩型で得られた場合はそのまま使用してもよいし、所望の塩型に変換してもよい。また酸基の一部が塩型のものであってもよく、塩型の色素と遊離酸型の色素が混在していてもよい。このような塩型の例としてNa、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、又は有機アミンの塩が挙げられる。有機アミンの例として、低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換低級アルキルアミン、カルボキシ置換低級アルキルアミン及び炭素数2〜4のアルキレンイミン単位を2〜10個有するポリアミン等が挙げられる。これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。
マゼンタ染料(2)の好ましい態様としては、一般式(2)において、mが0であり、Rがカルボキシル基、カルバモイル基、トリフルオロメチル基又はスルファモイル基であり、R及びR10が水素原子であり、R11がカルボキシル基もしくはスルファモイル基で置換されてもよいフェニル基又はカルボキシアルキル基であり、R12が水素原子であり、R13が水素原子又はアルキル基である態様が挙げられる。
マゼンタ染料(2)の特に好ましい具体例としては以下の化学式(2−A)〜(2−E)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005212587

化学式(2−A)で表される化合物は、一般式(2)において、mが0であり、Rがアゾ基に結合するフェニル基の2位に位置するカルボキシル基、R、R10及びR12が水素原子、R11が2−カルボキシフェニル基、R13が水素原子である態様である。










Figure 0005212587
化学式(2−B)で表される化合物は、一般式(2)において、mが0であり、Rがアゾ基に結合するフェニル基の2位に位置するカルバモイル基、R、R10及びR12が水素原子、R11が2−カルボキシフェニル基、R13が水素原子である態様である。
Figure 0005212587
化学式(2−C)で表される化合物は、一般式(2)において、mが0であり、Rがアゾ基に結合するフェニル基の3位に位置するスルファモイル基、R、R10及びR12が水素原子、R11が2−スルファモイルフェニル基、R13がイソプロピル基である態様である。











Figure 0005212587
化学式(2−D)で表される化合物は、一般式(2)において、mが0であり、Rがアゾ基に結合するフェニル基の2位に位置するトリフルオロメチル基、R、R10及びR12が水素原子、R11が1−カルボキシ−2−メチルブチル基、R13がメチル基である態様である。


Figure 0005212587
化学式(2−E)で表される化合物は、一般式(2)において、mが0であり、Rがアゾ基に結合するフェニル基の2位に位置するカルボキシル基、R、R10及びR12が水素原子、R11がフェニル基、R13が水素原子である態様である。
一般式(2)で表されるマゼンタ染料(2)は、周知の方法に従って製造することができる。例えば以下の工程(A)〜(C)に従って製造できる。
工程(A)
まず、2−アミノ安息香酸(アントラニル酸)と1−アミノ−8−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸(H酸)とから常法(例えば、細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日、技報堂発行)396〜409頁参照)に従って、ジアゾ化、カップリング反応を経てモノアゾ化合物を製造する。
工程(B)
得られたモノアゾ化合物を塩化シアヌル懸濁液に加えて、数時間反応を行う。この際、反応液のpHを4〜6、温度を0〜5℃に維持する。この反応に続いて、室温にて液性がアルカリ性にならない様に反応液に2−アミノ安息香酸(アントラニル酸)水溶液を加えて数時間縮合反応を行う。次いで、25%水酸化ナトリウム水溶液を反応液温度50〜60℃で加え強アルカリ性とすることにより加水分解反応を行い、反応を完結させる。
工程(C)
反応終了後、反応液を冷却し、塩化ナトリウムで塩析することにより、マゼンタ染料(2)が得られる。
本発明におけるマゼンタインクのマゼンタ着色剤として使用できるC.I.アシッドレッド52及びC.I.アシッドレッド289としては、市販品を利用することができる。ここで、C.I.アシッドレッド52及びC.I.アシッドレッド289とは、例えば、以下の化学構造式で表される染料である。







Figure 0005212587
次に、シアン染料(1)及びシアン染料(2)の一般式中の置換基について説明する。先ず、シアン染料(1)の一般式(3)における置換基R14、R15、R16及びR17、Pc(Cu)、並びにk、l、p及びqについて説明する。
前述したように、Pc(Cu)は一般式(6)で表される銅フタロシアニン核を表す。R14、R15、R16及びR17は、それぞれ独立的に−SO−R、−SONR又は−CO−Rから選ばれる置換基を表し、R、R、R及びRはすべてが同一であることはない。但し、R14、R15、R16及びR17の少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。R14、R15、R16及びR17の少なくとも1つ以上は、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのそれぞれに存在する。Rは置換もしくは無置換のアルキル基、Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、Rは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。kは0<k<8を満たす数、lは0<l<8を満たす数、pは0≦p<8を満たす数、qは0≦q<8を満たす数であり、且つk、l、p及びqは4≦k+l+p+q≦8を満たす数である。
一般式(3)において、R、R又はRの置換もしくは無置換のアルキル基としては、炭素数が1〜12の直鎖、分岐及び脂環式アルキル基が好ましく挙げられる。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。
、R又はRの置換アルキル基における置換基の例としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性及びインクの安定性を向上させる点から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−tert−ブチルフェニル、2,4−ジ−tert−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−tert−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−tert−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。これらの中でもヒドロキシル基、エーテル結合又はエステル結合を有する基、シアノ基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していてもよい。
このようなR、R又はRの置換又は無置換のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基及び4−スルホブチル基等が挙げられる。
シアン染料(1)の好ましい態様としては、一般式(3)において、R14、R15、R16及びR17が−SO−Rで示される置換基であり、ここで、R14、R15、R16及びR17がそれぞれ有するRは置換もしくは無置換のアルキル基であるが、但し、これら4つのRの置換もしくは無置換のアルキル基のすべてが完全に同一ではない態様が挙げられる。ここで、完全に同一ではないということは、4つのRの少なくとも一つがイオン性親水性基を有する置換アルキル基であることを前提に、少なくとも2種類のRが存在することを意味する。
シアン染料(1)のより好ましい態様としては、一般式(3)におけるkは0<k<4を満たす数、lは0<l<4を満たす数、pは0≦p<4を満たす数、qは0≦q<4を満たす数であり、且つk、l、p及びqはk+l+p+q=4を満たす数である態様が挙げられる。
シアン染料(1)の好ましい具体例としては、以下の化学式(3−A)〜(3−E)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005212587

化学式(3−A)で表される化合物は、一般式(3)において、R14がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R15がN−(2−ヒドロキシプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基であり、kが3、lが1、p及びqが共に0である態様である。



Figure 0005212587


化学式(3−B)で表される化合物は、一般式(3)において、R14がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R15がN−(2−ヒドロキシイソプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基であり、kが3、lが1、p及びqが共に0である態様である。
Figure 0005212587

化学式(3−C)で表される化合物は、一般式(3)において、R14がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R15がN,N−(ジ(2−ヒドロキシエチル))スルファモイルプロピルスルホニル基であり、kが3、lが1、p及びqが共に0である態様である。







Figure 0005212587

化学式(3−D)で表される化合物は、一般式(3)において、R14がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R15がN−(2−ヒドロキシプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基、R16がN−(2−ヒドロキシイソプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基であり、kが2、lが1、pが1、qが0である態様である。




















Figure 0005212587
化学式(3−E)で表される化合物は、一般式(3)において、R14がリチウムスルホナトプロピルスルホニル基、R15がリチウムカルボキシラトプロピルスルホニル基、R16がN−(2−ヒドロキシプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基、R17がN−(2−ヒドロキシイソプロピル)スルファモイルプロピルスルホニル基であり、k、l、p及びqが共に1である態様である。
以下に一般式(3)で表されるシアン染料(1)の製造方法について説明するが、一般に、無置換のフタロシアニン化合物は、特表2002-526589(WO00/17275)号公報等に記載されているようにスルホン化すると、比較的容易にフタロシアニン核にスルホ基を導入することができる。スルホン化したフタロシアニン化合物を水溶性染料として使用する場合には、スルホ基をアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムで造塩し、スルホン酸塩としてそのまま染料として使用することができる。この場合、スルホン化がフタロシアニン核の任意の位置でも起こり得る上に、導入されるスルホ基の個数の制御も困難である。従って、スルホ基の導入位置、導入個数を考慮することなく、主としてスルホン化の容易さのみを考慮した反応条件でスルホン化した場合には、生成物に導入されたスルホ基の位置と個数の特定は困難であり、置換基の個数や置換位置の異なる混合物が得られてしまう。そこで、シアン染料(1)の耐オゾン性を向上させるためには、耐オゾン性が劣った生成物の混入を防止する必要があるため、あらかじめフタル酸誘導体に特定の置換基を導入し、この置換フタル酸誘導体とCuCl等の銅誘導体とから銅フタロシアニンを合成することが必要である。フタル酸誘導体と銅誘導体とから銅フタロシアニンを合成する方法に関しては特開2000-303009号公報等に記載されている。
以下に、シアン染料(1)の製造方法の一例を示す。ここで、置換フタル酸誘導体は、以下のスキームに従って製造することができる。
原料となるフタル酸誘導体としては、置換フタロニトリル、置換ジイミノイソインドリン、置換フタル酸ジアミド、置換フタルイミド、置換フタル酸及びその塩、置換無水フタル酸等を用いることができる。
置換フタル酸誘導体の置換基は、溶解性基もしくはその前駆体である。溶解性基とは、銅フタロシアニン染料に溶解性を付与する置換基であり、溶解性基により銅フタロシアニン染料に水溶性を付与する場合には、親水性基を表す。親水性基としては、例えばイオン性親水性基もしくはイオン性親水性基が置換された置換基が挙げられる。また、溶解性基の前駆体とは、フタロシアニン環を形成後、反応により溶解性基に変換され得る置換基を表す。置換フタル酸誘導体の置換基は、−SO−R、−SONR又は−CO−Rから選ばれる置換基が好ましい。Rは置換もしくは無置換のアルキル基、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、Rは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
Figure 0005212587

次に、上記の化合物a〜hに代表されるフタル酸誘導体と、CuCl等の金属誘導体をモル比(金属誘導体:フタル酸誘導体)3:1〜6:1で混合し、沸点80℃以上、好ましくは130℃以上の有機溶媒存在下で、80〜300℃の範囲で反応させる。この反応温度が80℃未満であると反応速度が極端に遅くなることがあり、一方、300℃を超えると得られるフタロシアニン染料の分解が起こる可能性がある。また、この反応の際の反応時間は、好ましくは2〜20時間である。この反応時間が2時間未満であると未反応原料が多く存在してしまうことがあり、一方20時間を超えると、得られるフタロシアニン染料の分解が起こる可能性がある。なお、この反応は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)あるいはモリブデン酸アンモニウム等の触媒の存在下で行なうことができる。次いで透析によって元のカチオンを除去し、次いで1価の金属カチオンを添加する(例えば、アルカリ金属水酸化物の添加による)等の方法により交換することができる。反応終了後、通常の有機合成反応の後処理方法に従って処理することにより、所望の耐オゾン性を有する一般式(3)で表されるフタロシアニン系のシアン染料(1)を得ることができる。
次に、シアン染料(2)の一般式(4)における置換基M、Pc(Cu)、x及びyについて説明する。
前述したように、一般式(4)中、Pc(Cu)は一般式(6)で表される銅フタロシアニン核を表す。SOM基及びSONH基は、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのいずれかに存在する。ここで、Mはリチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンのいずれかより選ばれる1価の金属カチオンを表す。xは0<x<4を満たす数、yは0<y<4を満たす数であり、且つx及びyは2≦x+y≦5、好ましくはx+y=4を満たす数を表す。
シアン染料(2)の特に好ましい具体例としては、以下の化学式(4−A)〜(4−C)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005212587
化学式(4−A)で表される化合物は、一般式(4)において、Mがナトリウムイオンであり、xが1、yが3であり、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核の4つのベンゼン環A、B、C及びDのそれぞれに一つの置換基が存在する態様である。
Figure 0005212587
化学式(4−B)で表される化合物は、一般式(4)において、Mがナトリウムイオンであり、x及びyが共に2であり、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核の4つのベンゼン環A、B、C及びDのそれぞれに一つの置換基が存在する態様である。
Figure 0005212587
化学式(4−C)で表される化合物は、一般式(4)において、Mがナトリウムイオンであり、xが3、yが1であり、一般式(4)で表される銅フタロシアニン核の4つのベンゼン環A、B、C及びDのそれぞれに一つの置換基が存在する態様である。
一般式(4)で表されるシアン染料(2)は、例えば以下の工程(i)、(ii)及び(iii)からなる公知の銅フタロシアニン置換方法等により製造することができる。
工程(i)
まず、クロロスルホン化剤を用いて銅フタロシアニンをクロロスルホン化する。クロロスルホン化剤としては、例えば、クロロスルホン酸と塩素化剤(オキシ塩化リン又は三塩化リン)との混合物を含んだものを使用する。クロロスルホン酸と銅フタロシアニン化合物のモル比(クロロスルホン酸:銅フタロシアニン化合物)は、5:1〜200:1の範囲が好ましく、塩素化剤と銅フタロシアニンのモル比(塩素化剤:銅フタロシアニン)は、0.5:1〜10:1の範囲が好ましい。
このクロロスルホン化反応は、90〜180℃の範囲の温度で、0.5〜16時間行われる。一般に、クロロスルホン化の反応時間は、反応温度に依存しており、反応温度がより高ければ短くなり、温度がより低ければ長くなる傾向にある。クロロスルホン化のより好ましい温度と時間の条件は、135〜145℃で1.5〜5.0時間である。
さらに、このクロロスルホン化剤は硫酸を含んでいてもよい。クロロスルホン化剤が硫酸を含有する場合、硫酸と銅フタロシアニン化合物のモル比(硫酸:銅フタロシアニン化合物)は、好ましくは0.3:1〜2:1の範囲である。
工程(ii)
次に、工程(i)で得られた生成物をアンモニアと縮合させて以下の化学式(4′)で表される化合物を得る。
Figure 0005212587
この工程は、3〜35重量%の水酸化アンモニウムを用いて、0〜50℃の反応温度で行なわれる。一般に、この反応時間は、反応温度に依存しており、反応温度がより高ければ短くなり、反応温度がより低ければ長くなる傾向にある。縮合反応の好ましい温度と時間の条件は、0〜45℃で0.5〜24時間である。
工程(iii)
次に、工程(ii)で得られる化学式(4′)の化合物中のNH +を1価の金属カチオンで交換する。この金属カチオン交換反応は、工程(ii)の生成物を酸性にし(例えば、塩酸を用いてNH +をH+に交換し)、次いで透析によって元のカチオンを除去し、次いで1価の金属カチオンを添加する(例えば、アルカリ金属水酸化物の添加による)等の方法により交換することができる。以上のような工程により一般式(4)で表される銅フタロシアニン系のシアン染料(2)を製造することができる。
次に、シアン染料(3)の一般式(5)における置換基及びPc(Cu)について説明する。
前述したように、一般式(5)中、Pc(Cu)は一般式(6)で表される銅フタロシアニン核を表す。SONH基及びSONH基は、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのいずれかに存在する。
一般式(5)で表されるシアン染料(3)は、例えば以下の工程(i)及び(ii)からなる公知の銅フタロシアニン置換方法等により製造することができる。
工程(i)
まず、クロロスルホン化剤を用いて銅フタロシアニンをクロロスルホン化する。クロロスルホン化剤としては、例えば、クロロスルホン酸と塩素化剤(オキシ塩化リン又は三塩化リン)との混合物を含んだものを使用する。クロロスルホン酸と銅フタロシアニン化合物のモル比(クロロスルホン酸:銅フタロシアニン化合物)は、5:1〜200:1の範囲が好ましく、塩素化剤と銅フタロシアニンのモル比(塩素化剤:銅フタロシアニン)は、0.5:1〜10:1の範囲が好ましい。
このクロロスルホン化反応は、90〜180℃の範囲の温度で0.5〜16時間行われる。一般に、クロロスルホン化の反応時間は反応温度に依存しており、反応温度がより高ければ短くなり、温度がより低ければ長くなる傾向にある。クロロスルホン化のより好ましい温度と時間の条件は、135〜145℃で1.5〜5.0時間である。
さらに、このクロロスルホン化剤は硫酸を含んでいてもよい。クロロスルホン化剤が硫酸を含有する場合、硫酸と銅フタロシアニン化合物のモル比(硫酸:銅フタロシアニン化合物)は、好ましくは0.3:1〜2:1の範囲である。
工程(ii)
次に、工程(i)で得られた生成物をアンモニアと縮合させて以下の一般式(5)で表される化合物を得る。
Figure 0005212587
この工程は、3〜35重量%の水酸化アンモニウムを用いて0〜50℃の反応温度で行なわれる。一般に、この反応時間は反応温度に依存しており、反応温度がより高ければ短くなり、反応温度がより低ければ長くなる傾向にある。縮合反応の好ましい温度と時間の条件は、0〜45℃で0.5〜24時間である。
本発明におけるシアンインクのシアン着色剤として使用できるC.I.ダイレクトブルー86としては、市販品を利用することができる。ここで、C.I.ダイレクトブルー86とは、例えば、以下の化学構造式で表される染料である。


Figure 0005212587

(ここで、Pc(Cu)は、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核を表す。SONa基は、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのいずれかに存在する。)
次に、本発明のインクジェット記録用インクセットを構成する各インクの水及び水溶性有機溶剤について説明する。
本発明で使用する水としては、塩類の少ないイオン交換水が好ましい。インクジェット記録用インクセットを構成する各インク中における水の含有量は、他の成分の残部という位置づけであるから、他の成分の含有量に依存するが、各インク全重量に対して、通常、10〜90重量%、好ましくは40〜80重量%である。
本発明で使用する水溶性有機溶剤には、主としてインクジェットヘッドのノズル先端部におけるインクの乾燥を防止するための湿潤剤と、主として紙面上での乾燥速度を速くするための浸透剤とが含まれる。
湿潤剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール;グリセリン;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。中でも、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好適である。
インクジェット記録用の各インク中における湿潤剤の含有量は、各インク全重量に対して、一般的には0〜95重量%、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは10〜50重量%である。
一方、浸透剤としては、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルエーテル等のグリコール系エーテルが挙げられる。
インクジェット記録用の各インク中における浸透剤の含有量は、各インク全重量に対して、一般的には0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%である。なお、含有量が過剰であると、インクの紙への浸透性が高くなりすぎて滲みの原因となってしまうことがある点に留意する必要がある。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、更に必要に応じて、ポリビニルアルコール、セルロース及び水溶性樹脂等の粘度調整剤;表面張力調整剤;防黴剤等の従来公知の添加剤を含有していてもよい。
本発明のインクジェット記録用のインクセットは、水、着色剤、水溶性有機溶剤及びその他の必要に応じて各種添加剤を、常法に従って均一に混合することにより各インクを調製し、組み合わせることにより製造することができる。
<イエローインクの調製>
表1に示すインク組成成分を、均一に混合することによりイエローインクを調製した。ここで、比較のために使用したC.I.アシッドイエロー23の構造は下記の通りとなり、C.I.ダイレクトイエロー132ともC.I.ダイレクトイエロー86とも基本骨格が異なる。
Figure 0005212587
<マゼンタインクの調製>
表2に示すインク組成成分を、均一に混合することによりマゼンタインクを調製した。染料(1−A)〜(1−E)はそれぞれ化学式(1−A)〜(1−E)で表される化合物、染料(2−A)は化学式(2−A)で表される化合物、染料(2−C)は化学式(2−C)で表される化合物、そして染料(2−E)は化学式(2−E)で表される化合物に該当する。また、比較のために使用したC.I.ダイレクトレッド227はジスアゾ系の染料であり、マゼンタ染料(1)、マゼンタ染料(2)、C.I.アシッドレッド52及びC.I.アシッドレッド289とも基本骨格が異なる。
<シアンインクの調製>
表3に示すインク組成成分を、均一に混合することによりシアンインクを調製した。染料(3−A)〜(3−E)はそれぞれ化学式(3−A)〜(3−E)で表される化合物、染料(4−A)〜(4−C)はそれぞれ化学式(4−A)〜(4−C)で表される化合物、そして染料(5)は一般式(5)で表される化合物に該当する。また、比較のために使用したC.I.アシッドブルー9はフタロシアニン系染料ではなく、構造は下記の通りとなり、シアン染料(1)、シアン染料(2)、シアン染料(3)及びC.I.ダイレクトブルー86とも基本骨格が異なる。













Figure 0005212587
<インクの評価>
得られたイエロー、マゼンタ及びシアンインクについて、(a)噴射安定性評価、(b)インク発色性評価、(c)インク耐オゾン性評価、(d)インク耐光性評価及び(e)インク総合評価を次のように行った。得られた結果を表1〜表3に示す。
まず、イエロー、マゼンタ及びシアンインクを所望のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;DCP−110C)に装着し印字評価を行った。(b)インク発色性評価、(c)インク耐オゾン性評価及び(d)インク耐光性評価のためのサンプルとしては、光沢紙(ブラザー工業(株)製;写真光沢紙(型番;BP60GLA))にイエロー、マゼンタ及びシアンインク各々の単色インクで作成した単色グラデーションサンプルをプリントし、初期OD値1.0のパッチを使用した。
(a)噴射安定性評価
1億ドット(約3万枚)の連続印字評価を行い、以下の基準に従って評価した。
噴射安定性評価基準
◎…連続印字中において不吐出及び吐出曲がり全くなし
○…連続印字中において不吐出もしくは吐出曲がりが僅かにあり、不吐出もしくは吐出曲がりは共に5回以内のパージによって回復
×…連続印字中において不吐出及び吐出曲がり多数有り、不吐出及び吐出曲がり共に短時間で回復せず
(b)インク発色性評価
上述のグラデーションサンプルを、目視にてイエロー、マゼンタ及びシアンインクそれぞれの色について充分に表現されているか否かを以下の評価基準に基づき評価した。
インク発色性評価基準
○…充分表現できている
×…表現が不足している
(c)インク耐オゾン性評価
上述のグラデーションサンプルを用いて、耐オゾン性試験を行った。耐オゾン性試験は、スガ試験機(株)製オゾンウェザーメーターOMS−Hを用いて、オゾン濃度1ppm、槽内温度24℃、湿度60%RHで40時間放置して行った。試験前にOD値1.0を示すイエロー、マゼンタ及びシアンインクのそれぞれの単色カラーパッチについて、耐オゾン性試験後におけるOD値を測定した。OD値はGretag Macbeth社製Spectrolino(光源:D65;視野:2°;Status A)により測定した。次の数式Iにより、試験前のOD値1.0のパッチについて、耐オゾン性OD値減少率として求めた。得られた耐オゾン性OD値減少率を以下の評価基準に基づき評価した。
Figure 0005212587
インク耐オゾン性評価基準
◎…耐オゾン性OD値減少率が20%未満
○…耐オゾン性OD値減少率が20%以上30%未満
△…耐オゾン性OD値減少率が30%以上40%未満
×…耐オゾン性OD値減少率が40%以上
(d)インク耐光性評価
上述のグラデーションサンプルを用いて、耐光性試験を行った。耐光性試験は、スガ試験機(株)製強エネルギーキセノンウェザーメーターSC750―WNを用いて行った。光源にキセノンランプ光を用いて、室温25℃、湿度50%RH、照度93000Luxで100時間照射させた。試験前にOD値1.0を示すイエロー、マゼンタ及びシアンインクのそれぞれの単色カラーパッチについて、耐光性試験後におけるOD値を測定した。OD値はGretag Macbeth社製Spectrolino(光源:D65;視野:2°;Status A)により測定した。次の数式IIにより、試験前のOD値1.0のパッチについて、耐光性OD値減少率として求めた。得られた耐光性OD値減少率を以下の評価基準に基づき評価した。






Figure 0005212587
インク耐光性評価基準
◎…耐光性OD値減少率が20%未満
○…耐光性OD値減少率が20%以上30%未満
△…耐光性OD値減少率が30%以上40%未満
×…耐光性OD値減少率が40%以上
(e)インク総合評価
各インクにおいて、上記の結果から以下の評価基準により総合評価を行った。
総合評価基準
G…すべての評価結果が◎又は○である
NG…評価結果のいずれかに△又は×がある






























Figure 0005212587





















Figure 0005212587



Figure 0005212587



表1から解るように、イエロー着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー132及びC.I.ダイレクトイエロー86とを併用するイエローインクY−1〜Y−3については、(a)噴射安定性評価、(b)インク発色性評価、(c)インク耐オゾン性評価、(d)インク耐光性評価及び(e)インク総合評価がいずれも好ましい結果であった。一方、それらをいずれも使用していないイエローインクY−4cについては、特に(c)インク耐オゾン性と(d)インク耐光性で好ましい結果が得られず、(e)インク総合評価も好ましい結果ではなかった。
表2から解るように、マゼンタ着色剤として一般式(1)で表されるマゼンタ染料(1)と、遊離酸の形が一般式(2)で表されるマゼンタ染料(2)、C.I.アシッドレッド52及びC.I.アシッドレッド289からなる群より選択される少なくとも一種の染料とを併用するマゼンタインクM−1〜M−7については、(a)噴射安定性評価、(b)インク発色性評価、(c)インク耐オゾン性評価、(d)インク耐光性評価及び(e)インク総合評価がいずれも好ましい結果であった。一方、それらの一方を使用していないもしくは双方を使用していないマゼンタインクM−8c〜M−11cについては、評価項目のいずれかが好ましい結果ではなく、(e)インク総合評価も好ましい結果ではなかった。
表3から解るように、シアン着色剤として一般式(3)で表されるシアン染料(1)と、一般式(4)で表されるシアン染料(2)、一般式(5)で表されるシアン染料(3)及びC.I.ダイレクトブルー86からなる群より選択される少なくとも一種の染料とを併用するインクジェット記録用シアンインクC−1〜C−7については、(a)噴射安定性評価、(b)インク発色性評価、(c)インク耐オゾン性評価、(d)インク耐光性評価及び(e)インク総合評価がいずれも好ましい結果であった。一方、それらの一方を使用しないもしくは双方を使用していないマゼンタインクC−8c〜C−11cについては、評価項目のいずれかが好ましい結果ではなく、(e)インク総合評価も好ましい結果ではなかった。
<インクジェット記録用インクセットの構成>
実施例1〜13及び比較例1〜15
表4及び表5に示すようにイエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを組み合わせ、本発明のインクジェット記録用インクセットを構成した。なお、実施例1〜13のインクジェット記録用インクセットでは、インクセットを構成するイエローインク、マゼンタインク及びシアンインクとして、いずれも(e)インク総合評価が良好なもの(G)を使用し、一方、比較例1〜15のインクセットでは、インクセットを構成するイエローインク、マゼンタインク及びシアンインクの少なくともいずれ一種のインクとして、(e)インク総合評価が好ましくないもの(NG)を使用した。
<インクジェット記録用インクセットの評価>
インクカートリッジに充填されたインクを表4及び表5に示したように組み合わせて、インクジェット記録用セットを構成し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;DCP−110C)に装着し印字を行った。得られた印字物に対し、(f)インクセット発色性評価、(g)インクセット耐オゾン性評価、(h)インクセット耐光性評価及び(i)インクセット総合評価を行った。得られた結果を表4及び表5に示す。なお、これらの評価試験に使用した評価サンプルは、光沢紙(ブラザー工業(株)製;写真光沢紙(BP60GLA))に自然画像サンプル(JIS SCID No.2)をプリントして使用した。
(f)インクセット発色性評価
各インクセットのカラーバランスが充分に表現されているか否かについて、上述の人物画像サンプルを目視にて、以下の基準に従って評価した。
インクセット発色性評価基準
○…充分表現できている
×…表現が不足している
(g)インクセット耐オゾン性評価
上述の自然画像サンプルを、スガ試験機(株)製オゾンウェザーメーターOMS−Hを用いて、オゾン濃度1ppm、槽内温度24℃、湿度60%RHで40時間放置した後の画像の色について、目視にて、以下の基準に従って評価した。
インクセット耐オゾン性評価
○…画像の色が変化していると認識されない
×…画像の色が変化していると認識される
(h)インクセット耐光性評価
上述の自然画像サンプルを、スガ試験機(株)製強エネルギーキセノンウェザーメーターSC750―WNを用いて、光源にキセノンランプ光を用いて、室温25℃、湿度50%RH、照度93000Luxで100時間照射させた後の画像の色について目視にて、以下の基準に従って評価した。
インクセット耐光性評価基準
○…画像の色が変化していると認識されない
×…画像の色が変化していると認識される
(i)インクセット総合評価
各インクセットについて、上記の結果から以下の基準により総合評価を行った。
インクセット総合評価基準
G…すべての評価結果が◎又は○である
NG…評価結果のいずれかに△又は×がある





















Figure 0005212587

Figure 0005212587

実施例1〜13のインクセットは、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクについて、いずれも(e)インク総合評価が良好なインクを使用したため、(f)インクセット発色性、(g)インクセット耐オゾン性及び(h)インクセット耐光性の全ての評価項目において良好な結果が得られた。従って、(i)インクセット総合評価も良好な結果であった。
それに対し、比較例1、4、7及び10のインクセットは、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクについて、いずれも(e)インク総合評価が好ましくないインクを使用したため、(f)インクセット発色性、(g)インクセット耐オゾン性及び(h)インクセット耐光性の全ての評価項目において好ましくない結果が得られた。従って、(i)インクセット総合評価も好ましくない結果であった。
比較例2、3、5、6、8、9、11及び12のインクセットは、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクのうちの二つのインクについて、(e)インク総合評価が好ましくないインクを使用したため、(f)インクセット発色性、(g)インクセット耐オゾン性及び(h)インクセット耐光性の全ての評価項目において好ましくない結果が得られた。従って、(i)インクセット総合評価も好ましくない結果であった。
比較例13のインクセットは、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクのうちのイエローインクについて、(e)インク総合評価が好ましくないインクを使用したため、(f)インクセット発色性は好ましい結果であったものの、(g)インクセット耐オゾン性及び(h)インクセット耐光性の評価項目において好ましくない結果が得られた。従って、(i)インクセット総合評価も好ましくない結果であった。
比較例14のインクセットは、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクのうちのマゼンタインクについて、(e)インク総合評価が好ましくないインクを使用したため、(g)インクセット耐オゾン性及び(h)インクセット耐光性については好ましい結果であったものの、(f)インクセット発色性については好ましくない結果が得られた。従って、(i)インクセット総合評価も好ましくない結果であった。
比較例15のインクセットは、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクのうちのシアンインクについて、(e)インク総合評価が好ましくないインクを使用したため、(g)インクセット耐オゾン性及び(h)インクセット耐光性については好ましい結果であったものの、(f)インクセット発色性については好ましくない結果が得られた。従って、(i)インクセット総合評価も好ましくない結果であった。
イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを有する本発明のインクジェット記録用インクセットは、保存安定性に優れ長期間の使用においても充分な噴射安定性を保ち、バランスの良い発色性及び鮮明性を有し、且つそれらを用いた記録物の耐光性、耐オゾン性が充分に優れ、且つそれぞれのインクの退色のバランスが近いという効果を有する。




Claims (9)

  1. イエロー着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するイエローインク、マゼンタ着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するマゼンタインク、並びにシアン着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有するシアンインクを有するインクジェット記録用インクセットにおいて、
    該イエローインクが、イエロー着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー132及びC.I.ダイレクトイエロー86を含有し、
    該マゼンタインクが、マゼンタ着色剤として一般式(1)で表されるマゼンタ染料(1)
    Figure 0005212587
    (一般式(1)中、Rは、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。Rは、水素原子、イオン性親水性基で置換されてもよいアルキル基、イオン性親水性基で置換されてもよいアリール基又はイオン性親水性基で置換されてもよいヘテロ環基を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立的に水素原子、イオン性親水性基で置換されてもよいアルキル基、イオン性親水性基で置換されてもよいアリール基、イオン性親水性基で置換されてもよいヘテロ環基、アルキルまたはアリール基で置換されてもよいスルホニル基又はイオン性親水性基で置換されてもよいアシル基を表す。ただし、RとRが共に水素原子であることはなく、RとRが共に水素原子であることはない。A及びAは、いずれもが炭素原子またはアルキル基又はシアノ基で置換されていてもよい炭素原子であるか、あるいはこれらの一方がアルキル基又はシアノ基で置換されていてもよい炭素原子であり、他方が窒素原子である。)と、
    遊離酸の形が下記の一般式(2)で表されるマゼンタ染料(2)
    Figure 0005212587
    (一般式(2)中、R、R及びR10は、それぞれ独立的にアルキル基、アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸エステルの基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルボキシル基又はカルボン酸エステルの基を表わす。mは0、1又は2の数を表わし、R11、R12及びR13は、それぞれ独立的に水素原子、カルボキシル基もしくはスルファモイル基で置換されてもよいアルキル基、カルボキシル基もしくはスルファモイル基で置換されてもよいアルケニル基、カルボキシル基もしくはスルファモイル基で置換されてもよいアリール基、カルボキシル基もしくはスルファモイル基で置換されてもよいアラルキル基、カルボキシル基もしくはスルファモイル基で置換されてもよい脂環基又はカルボキシル基もしくはスルファモイル基で置換されてもよいヘテロ環基を表わす。)、C.I.アシッドレッド52及びC.I.アシッドレッド289からなる群より選択される少なくとも一種の染料とを含有し、
    該シアンインクが、シアン着色剤として一般式(3)で表されるシアン染料(1)と、一般式(4)で表されるシアン染料(2)、一般式(5)で表されるシアン染料(3)及びC.I.ダイレクトブルー86
    Figure 0005212587
    (一般式(3)〜一般式(5)において、Pc(Cu)は一般式(6)で表される銅フタロシアニン核を表す。
    一般式(3)中、R14、R15、R16及びR17は、それぞれ独立的に−SO−R、−SONR又は−CO−Rから選ばれる置換基を表し、R14、R15、R16及びR17はすべてが同一であることはない。但し、R14、R15、R16及びR17の少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。R14、R15、R16及びR17の少なくとも1つ以上は、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのそれぞれに存在する。Rは置換アルキル基、Rは水素原子、置換アルキル基、Rは置換アルキル基を表す。kは0<k<8を満たす数、lは0<l<8を満たす数、pは0≦p<8を満たす数、qは0≦q<8を満たす数であり、且つk、l、p及びqは4≦k+l+p+q≦8を満たす数である。
    一般式(4)中、SOM基及びSONH基は、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのいずれかに存在する。ここで、Mはリチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンのいずれかより選ばれる1価の金属カチオンを表す。xは0<x<4を満たす数、yは0<y<4を満たす数であり、且つx及びyは2≦x+y≦5を満たす数を表す。
    一般式(5)中、SONH基及びSONH基は、一般式(6)で表される銅フタロシアニン核中の4つのベンゼン環A、B、C及びDのいずれかに存在する。)
    からなる群より選択される少なくとも一種の染料とを含有しており、
    イエローインクのイエロー着色剤が、C.I.ダイレクトイエロー132とC.I.ダイレクトイエロー86とを70:30〜90:10の重量比率で含有し、
    マゼンタインクのマゼンタ着色剤が、マゼンタ染料(1)と、マゼンタ染料(2)、C.I.アシッドレッド52及びC.I.アシッドレッド289からなる群より選択される少なくとも1種の染料とを70:30〜90:10の重量比率で含有し、そして
    シアンインクのシアン着色剤が、シアン染料(1)と、シアン染料(2)、シアン染料(3)及びC.I.ダイレクトブルー86からなる群より選択される少なくとも1種の染料とを70:30〜95:5の重量比率で含有することを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
  2. イエローインク中のイエロー着色剤の合計含有量がイエローインク全重量に対して1〜5重量%であり、マゼンタインク中のマゼンタ着色剤の合計含有量がマゼンタインク全重量に対して1〜5重量%であり、シアンインク中のシアン着色剤の合計含有量がシアンインク全重量に対して1〜5重量%である請求項1記載のインクジェット記録用インクセット。
  3. 一般式(1)において、Rがアルキル基、Rがシアノ基、Rが水素原子又はイオン性親水性基で置換されてもよいヘテロ環基、Rが水素原子、イオン性親水性基で置換されてもよいヘテロ環基又はイオン性親水性基で置換されているアリール基、R及びRイオン性親水性基で置換されているヘテロ環基又はイオン性親水性基で置換されているアリール基であり、Rが水素原子であり、Aアルキル基又はシアノ基で置換されている炭素原子であり、Aアルキル基又はシアノ基で置換されてもよい炭素原子である請求項1又は2記載のインクジェット記録用インクセット。
  4. 一般式(1)において、Rがtert−ブチル基であり、Rが水素原子又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいベンゾチアゾリル基であり、Rが水素原子、スルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいベンゾチアゾリル基又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されているトリアルキルフェニル基であり、R及びRはそれぞれ独立的にスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいモノもしくはトリアルキルフェニル基又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されているベンゾチアゾリル基であり、Aがアルキル基で置換されている炭素原子であり、Aがシアノ基で置換されてもよい炭素原子である請求項記載のインクジェット記録用インクセット。
  5. 一般式(1)において、Rが水素原子又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいベンゾチアゾール−2−イル基であり、Rが水素原子、スルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいベンゾチアゾール−2−イル基又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されているトリメチルフェニル基であり、R及びRはそれぞれ独立的にスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されてもよいp−オクチルフェニル基もしくはメシチル基又はスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩基で置換されているベンゾチアゾール−2−イル基であり、Aがメチル基で置換されている炭素原子であり、Aがシアノ基で置換されてもよい炭素原子である請求項記載のインクジェット記録用インクセット。
  6. 該マゼンタインクが、マゼンタ着色剤として、一般式(1)で表されるマゼンタ染料(1)と、一般式(2)で表されるマゼンタ染料(2)とを含有する場合、一般式(2)において、mが0であり、Rがカルボキシル基、カルバモイル基、トリフルオロメチル基又はスルファモイル基であり、R及びR10が水素原子であり、R11がカルボキシル基もしくはスルファモイル基で置換されてもよいフェニル基又はカルボキシアルキル基であり、R12が水素原子であり、R13が水素原子又はアルキル基である請求項1記載のインクジェット記録用インクセット。
  7. 一般式(3)において、R14、R15、R16及びR17が−SO−Rで示される置換基であり、ここで、R14、R15、R16及びR17がそれぞれ有するRは置換アルキル基であるが、但し、これら4つのRの置換アルキル基のすべてが完全に同一でない請求項1又は2記載のインクジェット記録用インクセット。
  8. 一般式(3)におけるkは0<k<4を満たす数、lは0<l<4を満たす数、pは0≦p<4を満たす数、qは0≦q<4を満たす数であり、且つk、l、p及びqはk+l+p+q=4を満たす数である請求項1又は2記載のインクジェット記録用インクセット。
  9. 該シアンインクが、シアン着色剤として、一般式(3)で表されるシアン染料(1)と、一般式(4)で表されるシアン染料(2)とを含有する場合、一般式(4)におけるxは0<x<4を満たす数、yは0<y<4を満たす数であり、且つx及びyはx+y=4を満たす数である請求項1又は2記載のインクジェット記録用インクセット。
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