JP5846424B2 - インクジェット記録用水性インク、インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用水性インク、インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置に関する。
水性インクを用いたインクジェット記録では、記録画像において、部分的に光の反射率が異なり、記録画像の観察角度によって金属様光沢が認められる、いわゆるブロンズ現象が生じる場合がある。このブロンズ現象が生じると、記録画像全体としての色バランスが崩れ、記録画像の画質が低下する。
このブロンズ現象の発生を抑制するものとして、尿素誘導体等のアミン化合物を配合したインクが提案されている。また、ブロンズ現象の発生を抑制するものとして、芳香環を複数個有する、多環芳香族へテロ共役系化合物を配合したインクが提案されている。
しかし、前記尿素誘導体を配合したインクでは、ブロンズ現象発生の抑制が不充分である。また、前記多環芳香族へテロ共役系化合物を配合したインクでは、多環芳香族へテロ共役系化合物の共役系が、染料の共役系に影響を与えて染料の吸収波長を変化させ、記録画像の色に影響を与えるおそれがある。
そこで、本発明は、ブロンズ現象の発生を充分に抑制可能で、記録画像の色に影響を与えることのないインクジェット記録用水性インクを提供することを目的とする。
第1の態様に従えば、インクジェット記録用水性インクであって、水と、水溶性有機溶剤と、前記水性インク中に0.2重量%〜0.75重量%含まれるアルコールアミンと、前記水性インク中に0.02重量%〜0.2重量%含まれる硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤および一般式(1)で表わされる染料を含む着色剤を含むインクジェット記録用水性インクが提供される。


一般式(1)において、
環A、AおよびAは、それぞれ、ベンゼン環、2,3−ピリジン環または、3,2−ピリジン環のいずれかであり、且つ、環A、AおよびAの少なくとも一つは、2,3−ピリジン環または3,2−ピリジン環であり、環A、AおよびAは互いに同一でも異なっていてもよく、
aは、0≦a≦4を満たし、bは、0≦b≦4を満たし、cは、0≦c≦4を満たし、且つ、a、bおよびcは、0≦a+b+c≦4を満たし、
zは、1≦z≦3を満たす整数であり、
は、炭素原子数1〜6の直鎖アルキル基である。
第2の態様に従えば、記録媒体に記録を行なうインクジェット記録方法であって、第1の態様のインクジェット記録用水性インクを用意することと、前記インクジェット記録用水性インクを前記記録媒体に吐出することを含むインクジェット記録方法が提供される。
第3の態様に従えば、記録媒体に記録を行なうインクジェット記録装置であって、第1の態様のインクジェット記録用水性インクを収容するインク収容部および前記インク収容部位に収容された前記インクジェット記録用水性インクを前記記録媒体に吐出するインク吐出機構を含むインクジェット記録装置が提供される。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す概略斜視図である。
本発明のインクジェット記録用水性インク(以下、単に「水性インク」または「インク」と言うことがある)について説明する。本発明の水性インクは、着色剤、水および水溶性有機溶剤を含む。前記着色剤は、一般式(1)で表される染料を含む。前記着色剤として、一般式(1)で表される前記染料を用い、且つ、後述のアルコールアミンおよび硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤を併用することで、ブロンズ現象の発生を充分に抑制可能な水性インクを得ることができる。また、本発明の水性インクは、前記多環芳香族へテロ共役系化合物を用いていないため、記録画像の色に影響を与えることがない。
一般式(1)で表される前記染料は、環A、AおよびAがすべて2,3−ピリジン環または3,2−ピリジン環である化合物であってもよいし、環A、AおよびAのうち二つが2,3−ピリジン環または3,2−ピリジン環であり、残り一つがベンゼン環である化合物であってもよいし、環A、AおよびAのうち一つが2,3−ピリジン環または3,2−ピリジン環であり、残り二つがベンゼン環である化合物であってもよい。一般式(1)で表される前記染料は、単一の前記化合物で構成されていてもよいし、2種以上の前記化合物を含む混合物であってもよい。
一般式(1)で表される染料は、一般式(1)において、a、b及びcは、0≦a≦4、0≦b≦4、0≦c≦4、および0≦a+b+c≦4を満たし、更に、1.0≦a≦3.0、0.2≦b≦1.8、0.8≦c≦1.6、およびa+b+c=4を満たすことが好ましい。尚、一般式(1)で表される染料として、2種以上の化合物を含む混合物を用いる場合、a、bおよびcは、混合物における平均値が上記範囲を満たすことが好ましい。
一般式(1)で表される前記染料の好ましい具体例としては、化学式(1−A)〜(1−E)で表される化合物があげられる。

化学式(1−A)において、
環A、AおよびAは、それぞれ独立に、2,3−ピリジン環および/または3,2−ピリジン環であり、aは、1.0であり、bは、1.8であり、cは、1.2であり、a、bおよびcは、混合物における平均値である。

化学式(1−B)において、
環AおよびAは、それぞれ独立に、2,3−ピリジン環および/または3,2−ピリジン環であり、環Aは、ベンゼン環であり、
aは、2.4であり、bは、0.6であり、cは、1.0であり、a、bおよびcは、混合物における平均値である。

化学式(1−C)において、
環A、AおよびAは、それぞれ独立に、2,3−ピリジン環および/または3,2−ピリジン環であり、
aは、3.0であり、bは、0.2であり、cは、0.8であり、a、bおよびcは、混合物における平均値である。

化学式(1−D)において、
環Aは、ベンゼン環であり、環AおよびAは、それぞれ独立に、2,3−ピリジン環および/または3,2−ピリジン環であり、
aは、1.8であり、bは、0.9であり、cは、1.3であり、a、bおよびcは、混合物における平均値である。

化学式(1−E)において、
環A、AおよびAは、それぞれ独立に、2,3−ピリジン環および/または3,2−ピリジン環であり、
aは、1.1であり、bは、1.3であり、cは、1.6であり、a、bおよびcは、混合物における平均値である。
一般式(1)で表される前記染料は、従来公知の方法で製造できる。一般式(1)で表される前記染料の製造方法は、例えば、つぎのとおりである。
すなわち、まず、構造式(11)で表される銅ポルフィラジン化合物を合成する。構造式(11)で表される銅ポルフィラジン化合物は、例えば、触媒および銅化合物の存在下、含窒素複素芳香環(2,3−ピリジン環および3,2−ピリジン環の少なくとも一方)ジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体とを反応させることにより得られる。前記含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体と前記フタル酸誘導体の反応のモル比を変えることにより、A、AおよびAの前記含窒素複素芳香環の数とベンゼン環の数を調整することが可能である。前記含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体としては、隣接する2つの位置にそれぞれカルボキシル基、またはそれから誘導される反応性の基(例えば、酸アミド基、イミド基、酸無水物基、カルボニトリル基等)を有する6員環含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体等があげられる。銅ポルフィラジン化合物の合成方法としては、例えば、ニトリル法、ワイラー法等の従来公知の方法があげられる。
つぎに、構造式(11)で表される銅ポルフィラジン化合物を、クロロスルホン酸中でクロロスルホン化するか、硫酸または発煙硫酸中でスルホン化した後、クロロ化剤でスルホ基をクロロスルホ基に変換すること等によって、構造式(12)で表される銅クロロスルホニルポルフィラジン化合物を得る。

つぎに、得られた銅クロロスルホニルポルフィラジン化合物と、構造式(13)で表される有機アミンとを、アミノ化剤(アンモニアまたはアンモニア発生化合物)の存在下で、水溶媒中で、おおよそpH8〜10、5℃〜70℃、1時間〜20時間反応させることにより、一般式(1)で表される前記染料を得ることができる。前記アミノ化剤としては、アンモニアまたは前記反応に際してアンモニアを発生する化合物(アンモニア発生化合物)を使用でき、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩、尿素、アンモニア水、アンモニアガス等があげられる。構造式(13)で表される有機アミンにおいて、XおよびYは、それぞれ、水素原子またはナトリウムである。前記XおよびYは、前記水溶媒中で電離して、イオン(HまたはNa)となっていてもよい。前記有機アミンは、従来公知の方法で製造できる。
このようにして得られた一般式(1)で表される前記染料は、酸析または塩析後、ろ過等により分離できる。塩析は、例えば、酸性〜アルカリ性、好ましくは、約pH1〜11で行うことが好ましい。塩析の際の温度は、特に限定されないが、例えば、約40℃〜80℃、好ましくは、約50℃〜70℃である。
前述の方法で合成される一般式(1)で表される前記染料は、遊離酸またはその塩の形で得られる。遊離酸とするには、例えば、酸析すればよい。塩とするには、例えば、塩析するか、遊離酸としたものに所望の有機または無機の塩基を添加する通常の塩交換法を用いればよい。
一般式(1)で表される前記染料の配合量(染料割合)は、特に制限されないが、前記水性インク全量に対し、5重量%以下であることが好ましい。前記染料割合を5重量%以下とすれば、コストを低減でき、ブロンズ現象抑制効果を阻害することがない。前記染料割合は、より好ましくは、2重量%〜5重量%であり、さらに好ましくは、2重量%〜4.5重量%である。前記染料割合は、例えば、一般式(1)で表される染料が水溶液として配合される場合には、水を除いた一般式(1)で表される染料自身の量である。
前記着色剤は、一般式(1)で表される前記染料のみで構成されていてもよいし、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、他の染料および顔料等を含んでもよい。
前記水は、イオン交換水または純水であることが好ましい。前記水性インク全量に対する前記水の配合量(水割合)は、例えば、10重量%〜90重量%であり、好ましくは、40重量%〜80重量%である。前記水割合は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、インクジェットヘッドのノズル先端部における水性インクの乾燥を防止する湿潤剤および記録媒体上での乾燥速度を調整する浸透剤があげられる。
前記湿潤剤は、特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン等のケトン;ジアセトンアルコール等のケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリアルキレングリコール、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等があげられる。前記ポリ
アルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等があげられる。前記アルキレングリコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等があげられる。これらの湿潤剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。
前記水性インク全量に対する前記湿潤剤の配合量は、例えば、0重量%〜95重量%であり、好ましくは、5重量%〜80重量%であり、より好ましくは、5重量%〜50重量%である。
前記浸透剤は、例えば、グリコールエーテルがあげられる。前記グリコールエーテルは、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテルおよびトリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等があげられる。前記浸透剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記水性インク全量に対する前記浸透剤の配合量は、例えば、0重量%〜20重量%であり、好ましくは、0.1重量%〜15重量%であり、より好ましくは、0.5重量%〜10重量%である。
前述のとおり、前記水性インクは、アルコールアミンおよび硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤を含む。アミン化合物の中でも特にアルコールアミンを用い、さらに、硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤および前述の一般式(1)で表される染料を併用することで、ブロンズ現象の発生を充分に抑制可能な水性インクを得ることができる。
前記アルコールアミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリメタノールアミン、ジメタノールアミン、モノメタノールアミン、プロパノールアミン等があげられ、安全性(腐食性がない)及びコストの観点から、好ましくは、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミンであり、より好ましくは、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンである。前記アルコールアミンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記アルコールアミンの配合量(アルコールアミン割合)は、前記水性インク全量に対し、0.2重量%〜0.75重量%であることが好ましい。硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤を含む水性インクにおいて、前記アルコールアミン割合を0.2重量%以上とすることで、ブロンズ現象の発生をさらに抑制することが可能となり、また、0.75重量%以下とすることで、蒸発後の流動性により優れた水性インクを得ることができる。「蒸発後の流動性」とは、例えば、開放容器内で水性インクを蒸発させた後、前記開放容器を傾けたときの水性インクの流動性を言う。蒸発後の流動性が悪いと、例えば、インクジェットヘッドで水性インクが一定時間放置され、蒸発すると、流動性がなくなり、吐出不良の原因となる。
前記硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤は、硫酸塩構造(−SOM、Mは水素原子以外のカウンターイオン)を有するアニオン界面活性剤であればいかなるものを用いてもよく、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、ライオン(株)製の「サンノール(登録商標)NL1430」、同社製の「ライポン(登録商標)LT−270」、同社製の「ライポン(登録商標)LS−250」、同社製の「サンノール(登録商標)LM−1130」、花王(株)製の「ペレックス TR」等があげられる。
前記硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤の配合量(界面活性剤割合)は、前記水性インク全量に対し、0.02重量%〜0.2重量%であることが好ましい。アルコールアミンを含む水性インクにおいて、前記界面活性剤割合を前記範囲とすることで、ブロンズ現象の発生をさらに抑制することが可能となる。前記界面活性剤割合は、例えば、前記硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤の水溶液を用いる場合であれば、水を除いた前記硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤自身の量である。
ブロンズ現象は、水性インクに含まれる染料の会合によって発生するので、ブロンズ現象を抑制するためには、染料の会合を阻害する必要がある。染料の会合を阻害し、ブロンズ現象を抑制する試薬としては、含窒素化合物が知られているが、本発明の水性インクに含まれる一般式(1)で表わされる染料に対しては、含窒素化合物の中で、アルコールアミンのみが、硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤と併用した場合に、ブロンズ現象を抑制する効果を奏する。他の含窒素化合物と硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤を併用しても、一般式(1)で表わされる染料に対しては、ブロンズ現象を抑制する十分な効果は得られない。更に、硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤を併用せず、アルコールアミンのみを用いた場合、少量であればブロンジングを抑制する十分な効果は得られず、多量であればブロンジングは十分に抑制されるものの、インクのpHが上昇してしまう。そして、pHの上昇を抑えるためには、多量のpH調整剤を水性インクに添加する必要があり、このような大量のpH調整剤は、水性インクの蒸発特性を低下させる。
硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤も、一般式(1)で表わされる染料の会合を阻止することに寄与していると考えられ、硫酸塩構造を有さない界面活性剤をアルコールアミンと併用しても、ブロンズ現象を抑制する十分な効果を得られない。更に、アルコールアミンを併用せず、硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤のみを用いた場合も、十分な効果は得られない。
また、アルコールアミンおよび硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤を併用した場合であっても、一般式(1)で表わされる染料以外の染料に対しては、ブロンズ現象を抑制する十分な効果は得られない。ブロンズ現象は、水性インクに含まれる染料の会合によって発生するので、染料ごとに、ブロンズ現象を抑制できる試薬、及びその組合せは異なると推察される。
本発明の水性インクにおいては、一般式(1)で表わされる染料と、アルコールアミンおよび硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤が、何らかの相互作用を生じ、一般式(1)で表わされる染料の会合を効率的に阻止するものと推測される。このように、本発明者は、一般式(1)で表わされる染料を用いた水性インクにおいて、ブロンズ現象を十分に抑制できる試薬の組合せを見出した。
特に、本発明において、前記アルコールアミン割合を0.2重量%〜0.75重量%とし、且つ、前記界面活性剤割合を0.02重量%〜0.2重量%とすることが好ましい。これにより、ブロンズ現象をさらに抑制することが可能となると共に、蒸発後の流動性により優れた水性インクを得ることができる。
前記水性インクのpHは、好ましくは、7〜9である。pHを前記範囲とすることで、取り扱い性により優れた水性インクとすることができる。前記水性インクは、さらに、pH調整剤を含むことが好ましい。前記pH調整剤は、例えば、前記アルコールアミンを中和する機能を有する。前記pH調整剤としては、例えば、硫酸、イタコン酸、L−グルタミン酸、ベンゾトリアゾール、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、リン酸、クエン酸、硝酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸等があげられる。特に、水性インクへの溶解性の観点から、硫酸、イタコン酸、L−グルタミン酸及びベンゾトリアゾールを用いることが好ましい。前記pH調整剤の配合量(pH調整剤割合)は、前記アルコールアミン割合に応じて適宜調整すればよいが、前記水性インク全量に対し、2重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.1重量%〜0.9重量%である。pH調整剤の配合量を上記範囲とすることで、水性インクの蒸発後の流動性を保ちつつ、水性インクのpHを調製することができる。
前記水性インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
前記水性インクは、例えば、着色剤、水、水溶性有機溶剤、アルコールアミンおよび硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤と、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
つぎに、本発明のインクジェット記録用水性インクは、インクカートリッジとして提供することも可能である。本発明のインクカートリッジは、インクジェット記録用水性インクを含むインクカートリッジであって、前記水性インクが、本発明のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とする。前記インクカートリッジの本体としては、例えば、従来公知のものを使用できる。
以上説明した本発明のインクジェット記録用水性インクは、ブロンズ現象の発生を充分に抑制可能で、前記多環芳香族へテロ共役系化合物に起因した記録画像の色に与える影響も回避できる。
つぎに、前記水性インクを用いた本発明のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に水性インクをインクジェット方式により吐出して記録するインクジェット記録方法であって、前記水性インクとして、本発明のインクジェット記録用水性インクを用いることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部およびインク吐出機構を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出機構によって吐出するインクジェット記録装置であって、前記インク収容部に、本発明のインクジェット記録用水性インクが収容されていることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、例えば、本発明のインクジェット記録装置を用いて実施可能である。前記記録は、印字、印画、印刷等を含む。
図1に、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す。図示のとおり、このインクジェット記録装置1は、4つのインクカートリッジ2と、インク吐出機構(インクジェットヘッド)3と、ヘッドユニット4と、キャリッジ5と、駆動ユニット6と、プラテンローラ7と、パージ装置8とを主要な構成要素として含む。
前記4つのインクカートリッジ2は、ブラック、シアン、イエローおよびマゼンタの4色の水性インクを、それぞれ1色ずつ含む。例えば、前記水性シアンインクが、本発明の水性インクである。その他の水性インクは、一般的な水性インクを用いてよい。前記ヘッドユニット4に設置された前記インクジェットヘッド3は、記録媒体(例えば、記録用紙)Pに記録を行う。前記キャリッジ5には、前記4つのインクカートリッジ2および前記ヘッドユニット4が搭載される。前記駆動ユニット6は、前記キャリッジ5を直線方向に往復移動させる。前記駆動ユニット6としては、例えば、従来公知のものを使用できる(例えば、特開2008−246821号公報参照)。前記プラテンローラ7は、前記キャリッジ5の往復方向に延び、前記インクジェットヘッド3と対向して配置されている。
前記記録用紙Pは、例えば、このインクジェット記録装置1の側方または下方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙される。前記記録用紙Pは、前記インクジェットヘッド3と、前記プラテンローラ7との間に導入される。導入された前記記録用紙Pに、前記インクジェットヘッド3から吐出されるインクにより所定の記録がされる。前記アルコールアミン割合を0.2重量%〜0.75重量%、かつ前記界面活性剤割合を0.02重量%〜0.2重量%とした蒸発後の流動性により優れた本発明の水性インクを用いれば、前記インクジェットヘッド3で加熱され、蒸発しても、流動性を失うことがないため、吐出安定性に優れる。記録された前記記録用紙Pは、前記インクジェット記録装置1から排紙される。本発明の水性インクを用いた前記記録物では、ブロンズ現象の発生が充分に抑制される。また、本発明の水性インクは、前記多環芳香族へテロ共役系化合物の化合物を用いていないため、記録画像の色に影響を与えることがない。なお、図1においては、前記記録用紙Pの給紙機構および排紙機構の図示を省略している。
前記パージ装置8は、前記インクジェットヘッド3の内部に溜まる気泡等を含んだ不良インクを吸引する。前記パージ装置8としては、例えば、従来公知のものを使用できる(例えば、特開2008−246821号公報参照)。
前記パージ装置8の前記プラテンローラ7側には、前記パージ装置8に隣接してワイパ部材20が配設されている。前記ワイパ部材20は、へら状に形成されており、前記キャリッジ5の移動に伴って、前記インクジェットヘッド3のノズル形成面を拭うものである。図1において、キャップ18は、インクの乾燥を防止するため、記録が終了すると前記リセット位置に戻される前記インクジェットヘッド3の複数のノズルを覆うものである。
前記インクジェット記録装置において、前記4つのインクカートリッジは、複数のキャリッジに搭載されていてもよい。また、前記インクカートリッジは、前記キャリッジには搭載されず、インクジェット記録装置内に配置、固定されていてもよい。この態様においては、例えば、前記インクカートリッジと、前記キャリッジに搭載された前記ヘッドユニットとが、チューブ等により連結され、前記インクカートリッジから前記ヘッドユニットに前記インクが供給される。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例により限定および制限されない。
[実施例1〜11および比較例1〜33]
水性インク組成(表1〜3)の各成分を、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製の親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)タイプメンブレンフィルタ(孔径0.20μm)を用いてろ過することで、実施例1〜11および比較例1〜33のインクジェット記録用水性インクを得た。なお、表1〜3において、染料(1−A)〜(1−E)は、それぞれ、化学式(1−A)〜(1−E)で表される化合物であり、10重量%濃度の水溶液として配合され、括弧内の数値が染料(1−A)〜(1−E)自身の量である。また、表1〜3において、アルコールアミンとしては、トリエタノールアミン、およびジエタノールアミンを用い、硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤としては、ライオン(株)製の「サンノール(登録商標)NL1430」、同社製の「ライポン(登録商標)LT−270」、同社製の「ライポン(登録商標)LS−250」、同社製の「サンノール(登録商標)LM−1130」、および花王(株)製の「ペレックス TR」を用いた。更に、pH調整剤としては、硫酸、イタコン酸、L−グルタミン酸、およびベンゾトリアゾールを用いた。
また、表3において、染料(2)は、化学式(2)で表される化合物であり、10.5重量%濃度の水溶液として配合され、括弧内の数値が染料(2)自身の量である。化学式(2)において、Pc(Cu)は、一般式(Pc)で表される銅フタロシアニン核である。





染料(2)の製造方法について説明する。染料(2)は、例えば、下記工程(A)〜(C)に示す従来公知の銅フタロシアニン置換方法等により製造できる。
工程(A)
まず、クロロスルホン化剤を用いて銅フタロシアニン化合物をクロロスルホン化する。前記クロロスルホン化剤としては、例えば、クロロスルホン酸とクロロ化剤(オキシ塩化リンまたは三塩化リン)との混合物等があげられる。クロロスルホン酸と銅フタロシアニン化合物とのモル比(クロロスルホン酸:銅フタロシアニン化合物)は、約5:1〜200:1が好ましく、クロロ化剤と銅フタロシアニン化合物のモル比(クロロ化剤:銅フタロシアニン化合物)は、約0.5:1〜10:1が好ましい。
このクロロスルホン化反応は、例えば、温度約90℃〜180℃で、約0.5時間〜16時間行われる。一般に、クロロスルホン化の反応時間は、反応温度に依存しており、反応温度が高ければ短くなり、温度が低ければ長くなる傾向にある。前記クロロスルホン化反応は、温度約135℃〜145℃で、約1.5時間〜5.0時間行われることがより好ましい。
前記クロロスルホン化剤は、硫酸を含んでもよい。前記クロロスルホン化剤が硫酸を含む場合には、硫酸と銅フタロシアニン化合物とのモル比(硫酸:銅フタロシアニン化合物)は、約0.3:1〜2:1が好ましい。
工程(B)
つぎに、工程(A)で得られた生成物をアンモニアと縮合反応させて構造式(21)で表される化合物を得る。
この工程は、例えば、約3重量%〜35重量%の水酸化アンモニウムを用いて、約0℃〜50℃の反応温度で行われる。一般に、この反応時間は、反応温度に依存しており、反応温度が高ければ短くなり、温度が低ければ長くなる傾向にある。前記縮合反応は、温度約0℃〜45℃で、約0.5時間〜24時間行われることが好ましい。
工程(C)
つぎに、必要に応じて、工程(B)で得られた構造式(21)で表される化合物中のNH4+を1価の金属カチオンで交換する。この金属カチオン交換反応は、工程(B)の生成物を酸性にし(例えば、塩酸を用いてNH4+をHに交換し)、ついで透析によって元のカチオンを除去し、つぎに1価の金属カチオンを添加する(例えば、アルカリ金属水酸化物の添加による)等の方法により行うことができる。このようにして、前記染料(2)を製造できる。
実施例および比較例の水性インクについて、(a)ブロンジング評価、(b)蒸発後の流動性評価および(c)pH測定を、下記の方法により実施した。
(a)ブロンジング評価
ブラザー工業(株)製のインクジェットプリンタ搭載デジタル複合機DCP−385Cを使用して、実施例および比較例の水性インクを用いてブラザー工業(株)製の写真光沢紙BP71G上に解像度1200dpi×2400dpiで単色パッチを記録した。前記単色パッチの60°光沢をスガ試験機(株)製のハンディ光沢計HG−268により測定し、ブロンジングを、下記評価基準に従って評価した。
ブロンジング評価 評価基準
A:60°光沢が、47以下
B:60°光沢が、47を超えて52以下
C:60°光沢が、52を超えて60以下
D:60°光沢が、60を超える
(b)蒸発後の流動性評価
実施例および比較例の水性インク5gを、開放瓶(口径:20.2mm)に注入した。その開放瓶を、温度60℃、相対湿度40%の恒温槽中に5日間保存した。前記保存後、前記開放瓶内の水性インクの状態を目視で観察し、下記の評価基準に従って評価した。
蒸発後の流動性評価 評価基準
A+:流動性あり(開放瓶を傾けたときに水性インクに大きな動きがあった)
A :流動性あり(開放瓶を傾けたときに水性インクにわずかに動きがあった)
B+:流動性あり(衝撃を与えたら、水性インクに大きな動きがあった)
B :流動性あり(衝撃を与えたら、水性インクにわずかに動きがあった)
C :流動性なし(開放瓶を傾けても、衝撃を与えても、水性インクに動きがなかった)
(c)pH測定
実施例および比較例の水性インクのpHを、(株)堀場製作所製のコンパクトpHメーターを用いて測定した。
実施例の水性インクの組成および評価、測定結果を、表1に示す。また、比較例の水性インクの組成および評価、測定結果を、表2及び表3に示す。
表1に示すとおり、実施例1〜11の水性インクは、一般式(1)で表わされる染料、アルコールアミンおよび硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤を含み、アルコールアミン割合は、0.2重量%〜0.75重量%、硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤割合は、0.02重量%〜0.2重量%である。実施例1〜11の水性インクは、ブロンジング評価の結果がA、蒸発後の流動性評価結果がA+であり、ブロンズ現象の発生が充分に抑制されると共に、蒸発後の流動性評価結果が優れていた。実施例1〜11の水性インク中のpH調整剤割合は、0.90重量%以下であり、このpH調整剤割合も、実施例1〜11の水性インクの蒸発後の流動性評価結果が優れていることに、影響を与えていると考えられる。また、pHが7〜9である実施例1〜7および9〜11の水性インクは、作業者が取り扱う上で、またユーザが使用する上で、安全性の面で特に優れていた。
表2に示すとおり、比較例1〜13の水性インクは、一般式(1)で表わされる染料、アルコールアミンおよび硫酸塩構造を有する界面活性剤を含んでいるが、アルコールアミン割合が0.2重量%〜0.75重量%の範囲の外、および/または、硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤割合が0.02重量%〜0.2重量%の範囲の外である。比較例1〜13の水性インクは、ブロンジング評価の結果および流動後の流動性評価結果がAまたはBであり、実施例1〜11の水性インクの評価結果と比較して劣っていた。一方で、pH調整剤割合が0.90重量%以下である比較例1〜3、5〜9、12および13の水性インクは、蒸発後の流動性評価結果がAであり、pH調整剤割合が0.90重量%より多い比較例4、10および11の水性インクと比較して優れていた。また、pHが7〜9である比較例1〜12の水性インクは、作業者が取り扱う上で、またユーザが使用する上で、安全性の面で特に優れていた。
一方、表3に示すとおり、アルコールアミンおよび硫酸塩構造を有する界面活性剤を用いなかった比較例14では、ブロンジング評価の結果がDであり、ブロンズ現象発生の抑制が不充分であった。
アルコールアミンを用いたが、硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤を用いなかった比較例15および16の水性インクでは、ブロンジング評価結果がDおよびCであり、ブロンズ現象発生の抑制が不充分であった。
硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤を用いたが、アルコールアミンを用いなかった比較例17〜21の水性インクでは、ブロンジング評価の結果がCまたはDであり、ブロンズ現象発生の抑制が不充分であった。
アルコールアミンと共に、硫酸塩構造を有しないアニオン界面活性剤を用いた比較例22〜27の水性インクでは、ブロンジング評価の結果がDであり、ブロンズ現象発生の抑制が不充分であった。
硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤と共に、アルコールアミン以外の含窒素化合物を用いた比較例28〜32の水性インクでは、ブロンジング評価の結果がDであり、ブロンズ現象発生の抑制が不充分であった。
一般式(1)で表される染料以外の銅フタロシアニン系染料(染料(2))を用いた比較例33の水性インクでは、アルコールアミンおよび硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤を用いているのにもかかわらず、ブロンジング評価の結果がDであり、ブロンズ現象発生の抑制が不充分であった。
以上の実施例及び比較例の結果から、アルコールアミンおよび硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤を併用することで、一般式(1)で表わされる染料を用いた水性インクのブロンズ現象発生を十分に抑制することがわかった。
以上のように、本発明の水性インクは、ブロンズ現象の発生を充分に抑制可能で、記録画像の色に影響を与えることがない。本発明の水性インクの用途は、特に限定されず、各種のインクジェット記録に広く適用可能である。
1 インクジェット記録装置
2 インクカートリッジ
3 インク吐出機構(インクジェットヘッド)
4 ヘッドユニット
5 キャリッジ
6 駆動ユニット
7 プラテンローラ
8 パージ装置

Claims (9)

  1. インクジェット記録用水性インクであって、
    水と、
    水溶性有機溶剤と、
    前記水性インク中に0.2重量%〜0.75重量%含まれる、アルコールアミンと、
    前記水性インク中に0.02重量%〜0.2重量%含まれる硫酸塩構造を有するアニオン界面活性剤および
    一般式(1)で表わされる染料を含む着色剤を含むインクジェット記録用水性インク。
    一般式(1)において、
    環A、AおよびAは、それぞれ、ベンゼン環、2,3−ピリジン環または、3,2−ピリジン環のいずれかであり、且つ、環A、AおよびAの少なくとも一つは、2,3−ピリジン環または3,2−ピリジン環であり、環A、AおよびAは互いに同一でも異なっていてもよく、
    aは、0≦a≦4を満たし、bは、0≦b≦4を満たし、cは、0≦c≦4を満たし、且つ、a、bおよびcは、0≦a+b+c≦4を満たし、
    zは、1≦z≦3を満たす整数であり、
    は、炭素原子数1〜6の直鎖アルキレン基である。
  2. 一般式(1)で表わされる前記染料は、前記水性インク全量に対し、5重量%以下である請求項1に記載のインクジェット記録用水性インク。
  3. pHが、7以上9以下である請求項1に記載のインクジェット記録用水性インク。
  4. さらに、pH調整剤を含む請求項3に記載のインクジェット記録用水性インク。
  5. 前記アルコールアミンが、トリエタノールアミンまたは、ジエタノールアミンである請求項1に記載のインクジェット記録用水性インク。
  6. 前記pH調整剤が、硫酸、イタコン酸、L−グルタミン酸又は、ベンゾトリアゾールである請求項4に記載のインクジェット記録用水性インク。
  7. 前記インクジェット記録用水性インクが、水性シアンインクである請求項1に記載のインクジェット記録用水性インク。
  8. 記録媒体に記録を行なうインクジェット記録方法であって、
    請求項1に記載のインクジェット記録用水性インクを用意することと、
    前記インクジェット記録用水性インクを前記記録媒体に吐出することを含むインクジェット記録方法。
  9. 記録媒体に記録を行なうインクジェット記録装置であって、
    請求項1に記載のインクジェット記録用水性インクを収容するインク収容部および
    前記インク収容部に収容された前記インクジェット記録用水性インクを前記記録媒体に吐出するインク吐出機構を含むインクジェット記録装置。
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