JP2004352766A - インクセット、記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及び記録装置 - Google Patents

インクセット、記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及び記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は該インクセットを使用した記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ、および記録装置を提供することを更なる目的とするものである。
【解決手段】フタロシアニン骨格を有する色材を含むシアンインクと一般式Iで表される色材と一般式IIで表される色材の少なくとも1種を含むブラックインクを有することを特徴とし、耐ガス性に優れたシアン画像を得ることができるインクジェット用インクセット及び該インクセットを用いた記録方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット用インクセット、特に記録信号に応じてオリフィスから吐出させて記録媒体に記録を行うインクセットに関し、インクジェット記録に好適に使用できる記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及び記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、カラー画像を容易に形成できる手段として、とりわけオフィスや個人使用において広く用いられるようになっている。近年では、インクジェット記録画像の高画質化が進み、銀塩写真に匹敵するほどの高画質な記録画像の実現が可能となっており、そのため、求められる性能としても色調再現性が優れていることや、光学濃度が高く、色調が鮮明な画像を与えるといった、記録画像に対する品位性能に加え画像の長期保存性が挙げられるようになった。長期保存性とはすなわち、太陽光や各種照明光などによる変腿色を起こさないこと(耐光性)や、大気中に微量に含まれる酸化性ガス(オゾン、NOx、SOx等)に対して変腿色を起こさない(耐ガス性)といった画像堅牢性である。
この画像堅牢性は、従来は主として太陽光や各種照明光による褪色が問題視され、これらの褪色の問題は耐光性に優れた染料の選択によって解決が図られてきた。しかしながら高画質化と共に室内展示の機会が増え、耐光性とともに大気中の酸化性ガスによって起こる褪色又は変色が問題とされるようになった。特にフタロシアニン骨格を有するシアン染料及びアゾ系ブラック染料はガス性に劣る傾向にあり、ブラックインクにおいては、耐ガス性に劣る染料を用いると褪色するだけではなく黒色が茶色に変色する傾向があるため、フルカラー画像に対する画像品質を急激に低下させる要因となる。
【0003】
この技術課題に対しては例えば、特登録02919615号公報、特公平8−26263号公報において色調およびオゾンガスに対する耐変色性の改良がなされているが、銀塩写真に匹敵するほどの高画質な記録画像を得ることができる近年のインクジェット記録方式においては、耐ガス性のより一層の改善が依然として必要であるとの認識を得ている。
【0004】
さらに、色調に優れ、耐水性及び耐光性の向上を目的として色材構造を提案した技術が特許第3306945号公報、特表2002−535432号公報に挙げられている。これらの公報において提案されている色材の耐ガス性については、特表2002−535432号公報の明細書中に、酸化性の空気汚染物質への耐性、という記載が一文あるだけで具体的な記載はなされていないが、本発明者らが検討した結果、耐ガス性の効果としても前述の2報に対し大きな効果が得られた。
【0005】
又、インクの鮮明性、色調再現性や光学濃度を高める為使用される、基材上に顔料とバインダーとを含むインク受容層を形成した被記録材においては、著しく変褪色を示す場合があり、その点においても耐ガス性の改良が望まれる。
【0006】
従来、シアンインクにおいては、耐光性の点からフタロシアニン骨格を有するC.I.ダイレクトブルー199やC.I.ダイレクトブルー86といった染料が用いられてきたためこれらの染料では耐ガス性の問題は解決されていないのが現状である。
【0007】
又、耐ガス性の向上手段のひとつとして、インク中に褪色防止剤を加えることにより劣化を防ぐ技術が、例えば特開2002−60667号公報に提案されている。しかしながら、添加剤を含有させることは、一般に保存安定性にかけること、又はヘッドでの目詰まりを起こしやすく吐出不安定の要因となり、問題を残す。
【0008】
またシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色系インクによってシアン領域の画像を形成する場合、特に濃度の高い画像領域はシアンとブラックまたは、シアンとマゼンタ、イエローの3色で画像を形成することで、シアンインクの色相に近い濃度の濃い画像を得ることができる。前者の場合、フタロシアニン系のシアンと一般にインクジェットインクとして用いられるようなブラックでは耐ガス性が充分ではないため、画像の劣化がみられる。一方、後者においては一般に耐ガス性はブラックを用いた場合に比べ良好であるが、同濃度の画像を得るためにはインクの打ち込み量を多く必要とするため被記録材での吸収が問題になる場合がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、シアン画像領域において、色相に優れ高濃度で且つ耐ガス性に優れたインクセットを提案することにある。
【0010】
更に本発明は該インクセットを使用した記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ、および記録装置を提供することを更なる目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。本発明の一実施態様にかかるインクセットは、フタロシアニン骨格を有する色材を含むシアンインクと一般式Iで表される色材と一般式IIで表される色材の少なくとも1種を含むブラックインクを有するインクジェット用インクセットであることを特徴とするものである。
【外4】
Figure 2004352766
【0012】
(上記一般式I中、R1、R2は各々独立的に置換もしくは未置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、少なくともR1、R2のうちいずれかは1つの水酸基を有する。R3、は水素原子もしくは、、置換もしくは未置換のフェニル基を表す。X1はカルボキシル基およびその塩を表す。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩或いは有機アンモニウムのいずれかを有する。mは1〜2の整数を表す。Mは対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
【外5】
Figure 2004352766
【0013】
(上記一般式II中、R、Rは各々独立的に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルカノイルアミノ基、アルコキシ(炭素数1〜4)−アルコキシ(炭素数1〜4)基を表し、R、Rのうちいずれかは炭素数1〜4のアルコキシ基を有する。Rは水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基、ベンゾイル基、ベンジル基を表す。Xはカルボキシル基及びその塩、またはスルホン酸もしくはその塩を表す。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩或いは有機アンモニウムのいずれかを有する。nは1〜2の整数を表す。Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
本発明者らは鋭意検討の結果、上記手段を用いることにより高濃度で色相に優れ且つ耐ガス性に優れた画像が得られることを見出した。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0015】
(インク)
ブラックインクに含まれる一般式Iで表されるの色材について説明する
【外6】
Figure 2004352766
【0016】
(上記一般式I中、R1、R2は各々独立的に置換もしくは未置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、少なくともR1、R2のうちいずれかは1つの水酸基を有する。R3、は水素原子もしくは、、置換もしくは未置換のフェニル基を表す。X1はカルボキシル基およびその塩を表す。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩或いは有機アンモニウムのいずれかを有する。mは1〜2の整数を表す。Mはスルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)。
【0017】
上記一般式I中のR1〜R3についてより具体的には、R1、R2は各々独立的に置換もしくは未置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、R1、R2のうち、少なくともいずれかは1つの水酸基を有し、アルキル基の置換基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシル基、アミノ基、或いはハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)等が挙げられる。R3としては、例えば、水素原子、置換もしくは未置換のフェニル基等が挙げられる。フェニル基の置換基としては例えば、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、スルホン基、若しくはこれらの塩、カルボキシル基若しくはその塩等が挙げられる。また、上記式中のX1について詳述すると、X1としては、例えば、−COOMや−SO3M等が挙げられる。但し、Mが、水素原子、アルカリ金属(例えば、LI、Na等)、アンモニウム(NH4)、有機アンモニウム(N(R7)4)等であるもの、R7、メチル基或いはエチル基等であるものが挙げられる。
【0018】
以下に、一般式Iで示される第1の色材の具体例として例示化合物1〜5を示すが、この他に特表2002−535432に記載されている構造の化合物等が挙げられる。本発明で使用する第1の色材は、これらに限定されるものではない。また、下記に挙げるような色材を同時に2種類以上用いてもよい。
【外7】
Figure 2004352766
【0019】
ブラックインクに含まれる一般式IIで表されるの色材について説明する。
【外8】
Figure 2004352766
【0020】
(上記一般式II中、R、Rは各々独立的に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルカノイルアミノ基、アルコキシ(炭素数1〜4)−アルコキシ(炭素数1〜4)基を表し、R、Rのうちいずれかは炭素数1〜4のアルコキシ基を有する。Rは水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基、ベンゾイル基、ベンジル基を表す。Xはカルボキシル基及びその塩、またはスルホン酸もしくはその塩を表す。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩或いは有機アンモニウムのいずれかを有する。nは1〜2の整数を表す。Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)。
【0021】
上記一般式II中のRについて詳述すると、フェニル基の置換基としては例えば、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、スルホン基、若しくはこれらの塩、カルボキシル基若しくはその塩等が挙げられる。X2としては、例えば、−COOMや−SO3M等が挙げられる。但し、Mが、水素原子、アルカリ金属(例えば、LI、Na等)、アンモニウム(NH4)、有機アンモニウム(N(R)4)等であるもの、Rが、メチル基或いはエチル基等であるものが挙げられる。
【0022】
本発明に用いられる一般式IIの化合物の色材としては、以下に挙げる構造を有する例示化合物6〜9があるが、これらに限定されるものではない。また、下記に挙げるような色材を同時に2種類以上用いてもよい。
【外9】
Figure 2004352766
【0023】
上記した一般式I又は一般式IIで表される色材が含有されているインクによって得られる画像は、非常に優れた色調を示し、さらに優れた耐オゾン性を示す。
【0024】
本実施態様にかかるブラックインク中に含まれる全色材の含有量は、インク全量に対して0.1〜15.0質量%、特には0.5〜10.0質量%の範囲が好ましい。
【0025】
次に本発明のシアンインクで用いられる一般式IIIで表される色材について説明する。
【外10】
Figure 2004352766
【0026】
上記式III中、CuPcは、銅フタロシアニン残基を表している。またQはアルカリ金属(例えばLI、Na、K、Rb、Cs、Frなど)又はアンモニウムである。また、xは1、2、3または4であり、yは1、2または3である。そしてx+y=2のものを含まないか、或いは実質的に含まない。
【0027】
即ち、本発明に係るインクが含んでいるフタロシアニン染料として、具体的には下記の構造を有する染料の何れか、若しくはそれらの混合物を含み、x+y=2の構造のものは含んでいないか、或いは実質的に含んでいない。
【0028】
Figure 2004352766
さらに、一般式IIIで表される色材は、x+y=3の成分よりx+y=4の成分をより多く含有する場合、耐ガス性の上で、特に良好になる。
その比率は、一般式IIIで表される色材を波長254nmにおいて高速液体クロマトグラフィーによって各分子量での比率を算出することによって求められる。
【0029】
本実施態様にかかるシアンインク中に含まれる全色材の含有量は、インク全量に対して0.1〜15.0質量%、特には1〜10.0質量%の範囲が好ましい。
【0030】
本発明のインクにおいて用いられる水性媒体は、水及び/又は水溶性有機溶剤からなるが、水溶性有機溶剤としては、水溶性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒等を用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は、インクの保湿性維持や色材の溶解性向上、インクの記録紙への効果的な浸透等を考慮すると、その含有量は、インク全体の1〜40重量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、3〜30重量%の範囲とする。又、色材である染料のインク中における溶解性が良好であり、安定したインク吐出のための粘度を有し、且つ、ノズル先端における目詰まりを生じさせないために、インク中の水の含有量は30〜95重量%の範囲であることが好ましい。
【0031】
また、本発明においては、必要に応じて、尿素又はエチレン尿素などの含窒素化合物、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤及び水溶性ポリマー等、種々の添加剤を含有させてもよい。
【0032】
本発明のインクセットは、上記で説明したブラックインクとシアンインクとが組み合わされていることを特徴とするが、その他に、必要に応じて、イエローインク、マゼンタインク等が組み合わされて構成してもよい。
【0033】
ここで、イエローインク、マゼンタインクに含有される色材としては、染料及び顔料を用いることができるが、染料としては、例えば、カラーインデックスに記載されている水溶性のキサンテン系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、モノアゾ系、ジスアゾ系、トリスアゾ系、テトラアゾ系の染料を使用することができる。
【0034】
(色相)
本発明においてシアン領域の画像とはCIE L*a*b*色空間において、以下の式(1)で表される色相角Hで、215〜265°付近の色相の画像を表し、又、好ましい色相は220〜255°の範囲のである。
H=180°+tan−1(b/a) a≦0,b≦0 …(1)
(記録方法)
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適な記録装置としては、これらのインクが収容されるインク収容部を有する記録ヘッドの室内のインクに、記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーによりインク液滴を発生させる装置が挙げられる。
【0035】
図1〜図3に、その主要部である記録ヘッドの構成例を示した。ヘッド13は、インクを通す溝14を有するガラス、セラミックス、又はプラスチック板等と、感熱記録に用いられる発熱抵抗体を有する発熱ヘッド15(図ではヘッドが示されているが、これに限定されるものではない)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、畜熱層19、アルミナ等の放熱性のよい基板20より成っている。インク21は、吐出オリフィス(微細孔)22まで満たされており、圧力Pによりメニスカス23を形成している。上記ヘッド13の電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域(ヒータ)が急速に加熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が吐出し、インク21がヘッドのノズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴となり、被記録材に向かって飛翔する。図3には、図1に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の外観図を示す。このマルチヘッドは、マルチノズル26を有するガラス板27と、図1に説明したものと同じような発熱ヘッド28を接着して作られている。
【0036】
図4に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の1例を示した。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端は、ブレード保持部材によって保持されて、固定端となりカンチレバーの形態をなす。ブレード61は、記録ヘッドによる記録領域に隣接した位置に配設され、また、図4に示した例の場合は、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。62はキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して、吐出面と当接しキャッピングを行う構成を具える。更に、図4中の63は、ブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。
【0037】
上記ブレード61、キャップ62、吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及び吸収体63によってインク吐出口面の水分、塵やほこり等の除去が行われる。
【0038】
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は、記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモータ68(不図示)によって駆動されるベルト69と接続している。これにより、キャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0039】
51は、被記録材を挿入するための給紙部、52は不図示のモータにより駆動される紙送りローラである。これらの構成によって記録ヘッドの吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行するにつれて、排紙ローラ53を配した排紙部へ排紙される。
【0040】
上記構成において、記録ヘッド65が記録終了等でホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中へ突出するように移動する。
【0041】
記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても、記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上記した記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って、上記ワイピングが行われる。
【0042】
図5は、ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の一例を示す断面図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にできる。44は廃インクを受容するインク吸収体である。
【0043】
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上記の如きヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示すようにそれらが一体になったものも好適に用いられる。図6において、70は記録ユニットであって、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。72は記録ユニット内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は、図4で示す記録ヘッド65に代えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
【0044】
次に、本発明に好適に使用できる記録装置及び記録ヘッドの他の具体例について説明する。図7は、本発明に好適な吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の液体吐出ヘッドとしての液体吐出ヘッド、及び、この液体吐出ヘッドを用いる液体吐出装置としてのインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。図7に示したインクジェットプリンタは、ケーシング1008内に、長手方向に沿って設けられる被記録材としての用紙1028を、図7に示す矢印Pで示す方向に間欠的に搬送するための搬送装置1030と、該搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する方向Sに略平行に、ガイド軸1014に沿って往復運動せしめられる記録部1010と、記録部1010を往復運動させるための駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
【0045】
上記搬送装置1030は、互いに略平行に対向配置されている一対のローラユニット1022a及び1022bと、一対のローラユニット1024a及び1024bと、これらの各ローラユニットを駆動させるための駆動部1020とを備えている。かかる構成により、搬送装置1030の駆動部1020が作動状態とされると、用紙1028が、夫々のローラユニット1022a及び1022bと、ローラユニット1024a及び1024bにより狭持されて、図7に示す矢印P方向に間欠送りで搬送されることとなる。
【0046】
また、移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026a及び1026bに巻きかけられるベルト1016と、ローラユニット1022a及び1022bに略平行に配置され、且つ、記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を、順方向及び逆方向に駆動させるためのモータ1018とを含んで構成されている。
【0047】
そして、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図7の矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは、図7の矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。また、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図7の矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは、図7の矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。更に、この移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が、記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
【0048】
記録部1010には、インクジェットカートリッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合がある)1012Y、1012M、1012C及び1012Bが、各色用毎に、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック用毎に、キャリッジ部材1010aに対して夫々着脱自在に備えられている。
【0049】
図8に、上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示した。本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インク等の液体を収容するための液体タンク1001とで主要部が構成されている。インクジェット記録ヘッド100は、液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インク等の液体は、液体タンク1001から図示しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(図9参照)へと導かれるようになっている。図8に示したカートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。
【0050】
以下に、上記したような構成のインクジェットプリンタに搭載され得る液体吐出ヘッドの具体例を、更に詳しく説明する。
【0051】
図9は、本発明の基本的な形態を示す液体吐出ヘッドの要部を模式的に示す概略斜視図であり、図10〜図13は、図9に示した液体吐出ヘッドの吐出口形状を示す正面図である。尚、電気熱変換素子を駆動するための電気的な配線等は省略している。
【0052】
本例の液体吐出ヘッドにおいては、例えば、図9に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチック或いは金属等からなる基板934が用いられる。このような基板の材質は、本質的なものではなく、流路構成部材の一部として機能し、インク吐出エネルギー発生素子、及び後述する液流路、吐出口を形成する材料層の支持体として機能し得るものであれば、特に限定されるものではない。以下に、SI基板(ウエハ)を用いた場合で説明する。吐出口は、レーザー光による形成方法の他、例えば、後述するオリフィスプレート(吐出口プレート)935を感光性樹脂として、MPA(MIrror ProjectIon AlIner)等の露光装置により形成することもできる。
【0053】
図9において、934は、電気熱変換素子(以下、ヒータと記述する場合がある)931及び共通液室部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口933を備える基板であり、インク供給口933の長手方向の両側に、熱エネルギー発生手段であるヒータ931が夫々1列ずつ千鳥状に、例えば、電気熱変換素子(ヒータ)の間隔が300dpIで配列されている。この基板934上には、インク流路を形成するためのインク流路壁936が設けられている。このインク流路壁936には、更に、吐出口832を備える吐出口プレート935が設けられている。
【0054】
ここで、図9においては、インク流路壁936と吐出口プレート935とは、別部材として示されているが、このインク流路壁936を、例えば、スピンコート等の手法によって基板934上に形成することにより、インク流路壁936と吐出口プレート935とを同一部材として同時に形成することも可能である。本例では、更に、吐出口面(上面)935a側は、撥水処理が施されている。
【0055】
本例では、先に説明した図7の矢印S方向に走査しながら記録を行うシリアルタイプのヘッドを用い、例えば、1200dpIで記録を行う。駆動周波数は10kHzであり、一つの吐出口では、最短時間間隔100μs毎に吐出を行うことになる。また、ヘッドの実例寸法の一例としては、例えば、図10に示すように、隣接するノズルを流体的に隔離する隔壁936aは、幅W=14μmである。図中の1337は発泡室である。また、図13に示すように、インク流路壁936により形成される発泡室1337は、N1(発泡室の幅寸法)=33μm、N2(発泡室の長さ寸法)=35μmである。ヒータ931のサイズは30μm×30μmで、ヒータ抵抗値は53Ωであり、駆動電圧は10.3Vである。また、インク流路壁936及び隔壁936aの高さは12μmで、吐出口プレート935の厚さは11μmのものが使用できる。
【0056】
図9に示した、吐出口832を含む吐出口プレート935に設けられた吐出口部940の断面のうち、インクの吐出方向(オリフィスプレート935の厚み方向)に交差する方向で切断してみた断面の形状は、図11に示したように、概略星形となっており、鈍角の角を有する6つの起部832aと、これら起部832aの間に交互に配され、且つ、鋭角の角を有する6つの伏部832bとから概略構成されている。即ち、吐出口の中心Oから局所的に離れた領域としての伏部832bをその頂部、この領域に隣接する吐出口の中心Oから局所的に近い領域としての起部832aをその基部として、図9に示すオリフィスプレートの厚み方向(液体の吐出方向)に、6つの溝1141が形成されている(図11参照)。
【0057】
本例においては、吐出口部940は、例えば、その厚み方向に交差する方向で切断した断面が、一辺27μmの二つの正三角形を60度回転させた状態で組み合わせた形状となっており、図11に示すT1は8μmである。起部832aの角度はすべて120度であり、伏部832bの角度はすべて60度である。従って、吐出口の中心Oと、互いに隣接する溝の中心部(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の中心(重心))を結んで形成される多角形の重心Gとが一致するようになっている。本例の吐出口832の開口面積は400μm2であり、溝部の開口面積(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の面積)は、1つあたり約33μm2となっている。図12は、図11に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図であり、Cはインク付着部(濡れインク)を示している。
【0058】
次に、上述した構成のインクジェット記録ヘッドによる液体の吐出動作について、図14〜図21を用いて説明する。図14〜図21は、図9〜図13に記載の液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための断面図であり、図13に示す発泡室1337のX−X断面図である。この断面において、図9に示した吐出口部940のオリフィスプレート厚み方向の端部は、溝1141の頂部1141aとなっている。図14は、ヒータ上に膜状の気泡が生成した状態を示し、図15〜図21は、その後の気泡の状態を経時的に表したものである。即ち、図15は、図14の約1μs後、図16は、図14の約2μs後、図17は、図14の約3μs後、図18は、図14の約4μs後、図19は、図14の約5μs後、図20は、図14の約6μs後、図21は図14の約7μs後の状態を夫々示している。尚、以下の説明において、「落下」又は「落とし込み」、「落ち込み」とは、所謂、重力方向への落下という意味ではなく、ヘッドの取り付け方向によらず、電気熱変換素子の方向への移動のことを意味している。
【0059】
先ず、図14に示すように、記録信号等に基づいたヒータ931への通電に伴い、ヒータ931上の液流路1338内に気泡101が生成されると、約2μs間に、図15及び図16に示すように、気泡101は急激に体積膨張して成長する。気泡101の最大体積時における高さは吐出口面935aを上回るが、このとき、気泡の圧力は大気圧の数分の1から10数分の1にまで減少している。
【0060】
次に、気泡101の生成から約2μs後の時点で、上述のように、気泡101は最大体積から体積減少に転じるが、これとほぼ同時に、メニスカス102の形成も始まる。図17に示すように、このメニスカス102もヒータ931側への方向に後退、即ち、落下して行く。ここで、本例においては、先に述べたように、吐出口部に複数の溝1141を分散させて有していることにより、メニスカス102が後退する際に、溝1141の部分では、メニスカス102の後退方向FMとは反対方向FCに毛管力が作用する。その結果、仮に何らかの原因により気泡101の状態に多少のバラツキが認められたとしても、メニスカス102の後退時のメニスカス及び主液滴(以下、液体又はインクと記述する場合がある)Iaの形状が、吐出口中心に対して略対称形状となるように補正される。
【0061】
そして、本例では、このメニスカス102の落下速度が気泡101の収縮速度よりも速いために、図18に示すように、気泡の生成から約4μs後の時点で気泡101が吐出口832の下面近傍で大気に連通する。このとき、吐出口832の中心軸近傍の液体(インク)は、ヒータ931に向かって落ち込んで行く。これは、大気に連通する前の気泡101の負圧によってヒータ931側に引き戻された液体(インク)Iaが、気泡101が大気と連通した後も慣性でヒータ931面方向の速度を保持しているからである。ヒータ931側に向かって落ち込んでいった液体(インク)は、図19に示すように、気泡101の生成から約5μs後の時点でヒータ931の表面に到達し、図20に示すようにヒータ931の表面を覆うように拡がって行く。
【0062】
このようにヒータ931の表面を覆うように拡がった液体は、ヒータ931の表面に沿った水平方向のベクトルを有するが、ヒータ931の表面に交差する、例えば、垂直方向のベクトルは消滅し、ヒータ931の表面上に留まろうとし、それよりも上側の液体、即ち、吐出方向の速度ベクトルを保つ液体を下方向に引っ張ることになる。その後、ヒータ931の表面に拡がった液体と上側の液体(主液滴)との間の液体Ibが細くなってゆき、図21に示すように、気泡101の生成から約7μs後の時点でヒータ931の表面の中央で液体Ibが切断され、吐出方向の速度ベクトルを保つ主液滴Iaと、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icとに分離される。このように、分離の位置は、液流路1338内部、より好ましくは、吐出口832よりも電気熱変換素子(ヒータ)931側が望ましい。
【0063】
主液滴Iaは、吐出方向に偏りがなく、吐出ヨレすることなく、吐出口832の中央部分から吐出され、被記録材の被記録面の所定位置に着弾される。また、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icは、従来であれば、主液滴の後続としてサテライト滴となって飛翔するものであるが、ヒータ931の表面上に留まり、吐出されない。このように、サテライト滴の吐出を抑制することができるため、サテライト滴の吐出により発生し易いスプラッシュを防止することができ、霧状に浮遊するミストにより被記録材の被記録面が汚れるのを確実に防止することができる。尚、図18〜21において、Idは、溝部に付着したインク(溝内のインク)を、また、Ieは、液流路内に残存しているインクを表している。
【0064】
上記で説明したように、本例の液体吐出ヘッドでは、気泡が最大体積に成長した後の体積減少段階で液体を吐出する際に、吐出口の中心に対して分散した複数の溝により、吐出時の主液滴の方向を安定化させることができる。その結果、吐出方向のヨレのない、着弾精度の高い液体吐出ヘッドを提供することができる。また、高い駆動周波数での発泡ばらつきに対しても吐出を安定して行うことができることにより、高速高精細印字を実現することができる。
【0065】
特に、気泡の体積減少段階で、この気泡を初めて大気と連通させることで液体を吐出することにより、気泡を大気に連通させて液滴を吐出する際に発生するミストを防止できるので、所謂、突然不吐の要因となる、吐出口面に液滴が付着する状態を抑制することもできる。また、本発明に好適に使用できる、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の記録ヘッドの他の実施態様としては、例えば、日本特許登録第2783647号に記載のように、所謂エッジシュータータイプが挙げられる。
【0066】
(記録メディア)
本発明に用い得る被記録媒体としては、インクを付着して記録を行う被記録媒体であればいずれのものでも使用することができる。
【0067】
本発明は、染料や顔料などの色材をインク受容層内の多孔質構造を形成する微粒子に吸着させて、少なくともこの吸着した微粒子から画像が形成される被記録媒体に適用され、インクジェット法を利用する場合に特に好適である。このようなインクジェット用の被記録媒体としては支持体上のインク受容層に形成された空隙によりインクを吸収するいわゆる吸収タイプであることが好ましい。吸収タイプのインク受容層は、微粒子を主体とし、必要に応じて、バインダーやその他の添加剤を含有する多孔質層として構成される。微粒子の例としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナあるいはアルミナ水和物等の酸化アルミニウム、珪藻土、酸化チタン、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛等の無機顔料や尿素ホルマリン樹脂、エチレン樹脂、スチレン樹脂等の有機顔料が挙げられ、これらの1種以上が使用される。バインダーとして好適に使用されているものには水溶性高分子やラテックスを挙げることができる。例えば、ポリビニルアルコールまたはその変性体、澱粉またはその変性体、ゼラチンまたはその変性体、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロオイルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸またはその共重合体、アクリル酸エステル共重合体などが使用され、必要に応じて2種以上を組み合せて用いることができる。その他、添加剤を使用することもでき、例えば、必要に応じて分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが使用される。
【0068】
特に、本発明に好適に用い得る被記録媒体は、上述の微粒子として、平均粒子径が1μm以下の微粒子を主体として、インク受容層を形成したものが好ましい。上記の微粒子として、特に好ましいものは、例えばシリカまたは酸化アルミニウム微粒子等が挙げられる。シリカ微粒子として好ましいものは、コロイダルシリカに代表されるシリカ微粒子である。コロイダルシリカ自体も市場より入手可能なものであるが、特に好ましいものとして、例えば特許第2803134号、同2881847号公報に掲載されたものを挙げることができる。酸化アルミ微粒子として好ましいものとしては、アルミナ水和物微粒子を挙げることができる。このようなアルミナ系顔料の一つとして下記一般式(VI)により表されるアルミナ水和物を好適なものとして挙げることができる。
【外11】
Figure 2004352766
【0069】
上記式(VI)中、nは1、2または3の整数のいずれかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。但し、mとnは同時には0にはならない。mHOは、多くの場合mHO結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すものである為、mは整数または整数でない値を取ることもできる。またこの種の材料を加熱するとmは0の値に達することがありうる。アルミナ水和物は一般的には、米国特許第4242271号、米国特許第4202870号に記載されているようなアルミニウムアルコキシドの加水分解やアルミン酸ナトリウムの加水分解のような、また特公昭57−44605号公報に記載されているアルミン酸ナトリウム等の水溶液に硫酸ナトリウム、塩化アルミニウム等の水溶液を加えて中和を行う方法などの公知の方法で製造されたものを使用したものが好適である。
【0070】
【発明の実施の形態】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。尚、特に指定のない限り、実施例、比較例のインク成分は「質量部」を意味する。
【0071】
<インクセットの作製>
表1、表2に示した各成分を混合し、十分攪拌して溶解後、0.20μmフィルターにて加圧濾過を行い、インクを夫々調製し、各々表3に従って実施例1〜4、比較例1〜4とした。
【0072】
【表1】
Figure 2004352766
【0073】
【表2】
Figure 2004352766
【0074】
【表3】
Figure 2004352766
【0075】
前記のプリンターに所定のインクを充填して、光沢紙(GP−301;キヤノン製)にシアンインクを用いた打ち込み量100%ベタ画像と、ブラックインクの打ち込み量10%の画像を重ねて印字した。
【0076】
但し、実施例3のブラックインクの打ち込み量は40%、比較例1、2のブラックインクの打ち込み量は0とする。
【0077】
その後、印字物を24時間自然乾燥させ、CIE L*a*b*、ODをGretag SpectrolIno(商品名:Gretag社製)で測定し、測定値から色相角Hを算出した。
【0078】
<評価>
上記で得られた本発明の実施例1〜5、及び比較例1〜3のインクセットの各インクを記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置であるカラーインクジェットプリンターにそれぞれ搭載し、ガス性について下記の方法及び基準に従って評価した。表4、5に、これらのインクを用いて得られた評価結果を示した。
【0079】
ガス性
(1)OD及び色相角を算出した画像をオゾンフェードメーターにて、槽内温度40℃、相対湿度55%、3ppmのオゾン雰囲気下の条件で、2時間印字物を投入した。試験前後の印字物をCIE L*a*b*をGretag SpectrolIno(商品名:Gretag社製)で測定し、これらの測定値から色差(△E)を以下の式にて算出し評価した。
【0080】
△E=(△L*+△a*+△b*1/2
○:△Eが15未満
△:△Eが15以上25未満
×:△Eが25以上
【0081】
【表4】
Figure 2004352766
【0082】
(2)実施例1〜2、比較例3に対し、マゼンタインク、イエローインクとしてそれぞれBCI−6M、BCI−6Y(キヤノン社製)に使用されているインクを用い、4色のインクを用いた画像を印字した。その後(1)と同様の方法でガス試験を行なった。
○:画像が試験前と比べ実用上劣化がみとめられない
×:画像に変褪色がみられ、色調の変化が大きい
【0083】
【表5】
Figure 2004352766
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる実施態様によれば、高濃度で色相に優れ且つ耐ガス性に優れたシアン画像を得ることができるインクセット、インクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッド部の縦断面図である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッド部の横断面図である。
【図3】インクジェット記録装置のヘッド部の外観斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
【図5】インクカートリッジの縦断面図である。
【図6】記録ユニットの斜視図である。
【図7】液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【図8】液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカートリッジの一例を示す概略斜視図である。
【図9】液体吐出ヘッドの一例の要部を模式的に示す概略斜視図である。
【図10】液体吐出ヘッドの一例の一部を抽出した概念図である。
【図11】図10に示した吐出口の部分の拡大図である。
【図12】図11に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
【図13】図10における主要部の模式図である。
【図14】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図15〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図15】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14及び図16〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図16】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14、図15及び図17〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図17】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図16及び図18〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図18】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図17及び図19〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図19】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図18、図20及び図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図20】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図19及び図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図21】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図20と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
13 ヘッド
14 インク溝
15 発熱ヘッド
16 保護膜
17−1、17−2 アルミニウム電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
21 インク
22 吐出オリフィス(微細孔)
23 メニスカス
24 インク滴
25 被記録媒体
26 マルチノズル
27 ガラス板
28 発熱ヘッド
40 インク袋
42 栓
44 インク吸収体
45 インクカートリッジ
51 給紙部
52 紙送りローラ
53 排紙ローラ
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モータ
69 ベルト
70 記録ユニット
71 ヘッド部
72 大気連通口
100 インクジェット記録ヘッド
101 気泡
102 メニスカス
832 吐出口
832a 起部
832b 伏部
931 電気熱変換素子(ヒータ、インク吐出エネルギー発生素子)
933 インク供給口(開口部)
934 基板
935 オリフィスプレート(吐出口プレート)
935a 吐出口面
936 インク流路壁
936a 隔壁
940 吐出口部
1001 液体タンク
1006 移動駆動部
1008 ケーシング
1010 記録部
1010a キャリッジ部材
1012 カートリッジ
1012Y,M,C,B インクジェットカートリッジ
1014 ガイド軸
1016 ベルト
1018 モータ
1020 駆動部
1022a、1022b ローラユニット
1024a、1024b ローラユニット
1026 回復ユニット
1026a、1026b プーリ
1028 用紙
1030 搬送装置
1141 溝
1141a 頂部
1337 発泡室
1338 液流路
C 濡れインク
FM メニスカス後退方向
FC メニスカス後退方向と反対方向
G 重心
I インク
Ia 主液滴(液体,インク)
Ib,Ic 液体(インク)
Id 溝部に付着したインク(溝内のインク)
Ie 液流路内に残存しているインク
L 液室(インク供給口)から吐出口に向かう線
N1 発泡室の幅寸法
N2 発泡室の長さ寸法
O 吐出口の中心
P 用紙の搬送方向
R ベルトの回転方向
S 用紙の搬送方向と略直交する方向
T1 吐出口伏部寸法
W 隔壁の幅寸法

Claims (7)

  1. フタロシアニン骨格を有する色材を含むシアンインクと一般式Iで表される色材と一般式IIで表される色材の少なくとも1種を含むブラックインクを有することを特徴とするインクジェット用インクセット
    【外1】
    Figure 2004352766
    (上記一般式I中、R1、R2は各々独立的に置換もしくは未置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、少なくともR1、R2のうちいずれかは1つの水酸基を有する。R3、は水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基を表す。X1はカルボキシル基およびその塩を表す。
    塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩或いは有機アンモニウムのいずれかを有する。mは1〜2の整数を表す。Mは対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
    【外2】
    Figure 2004352766
    (上記一般式II中、R、Rは各々独立的に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルカノイルアミノ基、アルコキシ(炭素数1〜4)−アルコキシ(炭素数1〜4)基を表し、R、Rのうちいずれかは炭素数1〜4のアルコキシ基を有する。Rは水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基、ベンゾイル基、ベンジル基を表す。Xはカルボキシル基及びその塩、またはスルホン酸もしくはその塩を表す。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩或いは有機アンモニウムのいずれかを有する。nは1〜2の整数を表す。Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
  2. 前記シアンインクに含まれるフタロシアニン骨格を有する色材として一般式IIIで表される染料を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インクセット。
    【外3】
    Figure 2004352766
    (式中CuPcは、銅フタロシアニン残基を表し、Qはアルカリ金属又はアンモニウムであり、xは1、2、3または4であり、yは1、2または3である。但しx+y=2以下のものを含まないか、或いは実質的に含まない)
  3. 請求項1〜2に記載のインクをインクジェット法で被記録材に向けて吐出させる工程を有し、該シアンインクと該ブラックインクによってシアン画像が形成されることを特徴とするインクジェット記録方法。
  4. 該被記録材が、支持体上にインク受容層を備えているものである請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 請求項1〜2に記載のインクセットを構成している各インクを収容しているインク収容部を具備しているインクカートリッジ。
  6. 請求項1〜2に記載のインクセットを構成している各インクを収容しているインク収容部及び各インクを吐出するためのヘッド部を具備している記録ユニット。
  7. 請求項1〜2に記載のインクと、該インクを吐出させるためのインクジェット記録ヘッドを有していることを特徴とするインクジェット記録装置。
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