JP2003112437A - 記録方法、インクカートリッジ、印刷装置及び情報記録装置 - Google Patents

記録方法、インクカートリッジ、印刷装置及び情報記録装置

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JP2003112437A JP2001389524A JP2001389524A JP2003112437A JP 2003112437 A JP2003112437 A JP 2003112437A JP 2001389524 A JP2001389524 A JP 2001389524A JP 2001389524 A JP2001389524 A JP 2001389524A JP 2003112437 A JP2003112437 A JP 2003112437A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛍光性発色材の持つ蛍光特性を十分に生かす
ことで、蛍光性を充分に記録部に付与することができ、
強い蛍光強度と、発色性を含めた印字品位に優れ、イン
クの保存性及び吐出性をも含め高い信頼性が得られ、記
録物の安定性や信頼性を向上させることのできる記録方
法、インクカートリッジ等の提供。 【解決手段】 インク接液部材と、該部材に接するイン
クを具備するインクタンクから供給されるインクを被記
録材に対して間隙を介して供給する工程を含み、少なく
とも、蛍光性発色材と、ノニオン性界面活性剤と、該ノ
ニオン性界面活性剤と相溶性のない化合物と、これらを
溶解又は分散するための液媒体を有する水性インクを用
い、且つインク接液部材が、ポリアセテート及びポリオ
レフィンからなる群より選択される化合物を含む記録方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録方法に関し、
例えば、インクを長期保存した後においても得られる記
録物の蛍光強度が良好で、且つ、画像形成の信頼性にも
優れる記録方法に関する。又、本発明は、蛍光発光能を
有する記録物を安定して形成するのに好適に用い得るイ
ンクカートリッジ、蛍光発光能を有する印刷物を高い信
頼性をもって形成することのできる印刷装置、更には、
蛍光発光能を有する情報を安定して被記録材に付与する
ことのできる情報記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、筆記具等に用いられるインク
や、インクジェット記録用インク等については、様々な
検討や報告が行われている。特に、蛍光強度や発色性等
を含めた記録物の品位向上に対しては、下記のような様
々な提案がなされている。例えば、上記した用途のイン
クに好適な新たな構造を有する色材等の提案や、メイン
色材に蛍光性を示す色材(以下、蛍光色材と呼ぶ)を用
いるインクの提案や、インクの色材の1つとして蛍光色
材を併用することについての提案等、がなされている。
特に、蛍光色材の蛍光特性に着目したインクに関する提
案に関しては、例えば、特開平8−151545号公
報、同9−132729号公報、同10−193775
号公報、同10−298462号公報、同10−298
467号公報、及び特許第233038号公報等があ
り、新たな記録方法や蛍光色材が提案されている。
【0003】又、蛍光色材を用いた提案としては、例え
ば、特開平5−293976号公報、同6−19114
3号公報、同6−322307号公報、同7−0097
55号公報、同7−305013号公報、同8−053
639号公報、同9−003375号公報、同9−00
1294号公報、同9−137097号公報、同9−1
37098号公報、同9−137099号公報、同9−
165539号公報、同9−241565号公報、同9
−255904号公報、同9−286939号公報、同
10−007962号公報、同10−183043号公
報、同11−080639号公報、同11−32092
1号公報、特開2000−038529公報、及び特許
第2995853号公報等がある。
【0004】近年、蛍光色材の用途は、従来の単に美麗
な有色画像を形成することに留まらず、例えば、インク
に蛍光性を持たすことで、文字、数字、記号及びバーコ
ード等の情報を被記録材に記録し、適当な波長の紫外光
を照射することで蛍光インクを発光させて、可視情報以
外の情報(例えば、セキュリティ情報等)を付与すると
いった技術展開が提案されている。よって、蛍光を示す
インクの用途は多方面に拡大する余地があり、安定で信
頼性のある蛍光強度の高い発色性に優れたインクの開発
が待望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、被記録
材上におけるインクの発色性に対しては、従来より、色
の尺度として用いられる色度(L*,a*,b*)のみで
考えられており、蛍光色材を用いた場合も同様に、上記
従来の尺度の中で設計されている状態にあり、十分に色
材の蛍光特性を生かしているとは言い難かった。即ち、
上記した蛍光色材を用いた種々の提案においても、色材
の発色性という観点においては、蛍光特性という観点よ
りは、(L*,a*,b*)という観点でのみ蛍光色材を
使用しているか、或いは、色材の蛍光性に着目をしては
いるものの、蛍光の発色特性、言い換えれば、記録物に
おける蛍光性の界面特性については着目しておらず、十
分に蛍光性発色材の蛍光特性を生かしているものではな
かった。
【0006】従って、本発明の目的は、蛍光性発色材の
持つ蛍光特性を十分に生かすことで、得られる記録物に
ついて、自然界の色にとって重要な蛍光性を充分に記録
部に付与することができ、強い蛍光強度と、発色性を含
めた印字品位に優れ、しかも、インクの保存性及び吐出
性をも含め高い信頼性が得られ、その結果、記録物の安
定性や信頼性を向上させることのできるインクジェット
記録方法を提供することにある。
【0007】又、本発明の他の目的は、蛍光発光能を有
する記録物の安定的な形成に用いることができるインク
カートリッジを提供することにある。又、本発明の他の
目的は、蛍光を発し得る印刷物を安定して形成すること
のできる印刷装置を提供することにある。更に、本発明
の他の目的は、蛍光発光し得る情報を被記録材への付与
を安定して行うことのできる情報記録装置を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明によって達成される。即ち、本発明にかかる記録方法
の一実施態様は、インク接液部材と、該インク接液部材
と接しているインクとを具備しているインクタンクから
供給されるインクを被記録材に対して間隙を介して供給
する工程を含む記録方法であって、該インクが 少なく
とも、i)蛍光性発色材と、ii)ノニオン性界面活性剤
と、iii)該ノニオン性界面活性剤と相溶性のない化合
物と、iv)上記i)〜iii)を溶解又は分散するための
液媒体、を有する水性インクであり、且つ、上記インク
接液部材が、ポリアセテート及びポリオレフィンからな
る群より選択される化合物を含んでいることを特徴とす
る。
【0009】又、本発明にかかるインクカートリッジの
一実施態様は、少なくとも、i)蛍光性発色材と、ii)
ノニオン性界面活性剤と、iii)該ノニオン性界面活性
剤と相溶性のない化合物と、iv)上記i)〜iii)を溶
解又は分散するための液媒体を有する水性インクと、該
インクと接するインク接液部材を具備しているインクカ
ートリッジであって、該インク接液部材が、ポリアセテ
ート及びポリオレフィンからなる群より選択される化合
物を含むことを特徴とする。
【0010】又、本発明の一実施態様にかかる印刷装置
は、上記のインクカートリッジと、該インクカートリッ
ジが有しているインクを吐出するためのインクジェット
ヘッドとを具備していることを特徴とする。又、本発明
の一実施態様にかかる情報記録装置は、上記のインクカ
ートリッジと、該インクカートリッジが有しているイン
クを吐出するためのインクジェットヘッドとを具備して
いることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、好ましい実施の形態を挙
げて、本発明を更に詳細に説明する。先ず、本発明で使
用するインクによって、安定性及び信頼性が良好で、し
かも、十分に蛍光特性、及び発色性の良好な記録物を得
ることが可能となるメカニズムについて説明する。本発
明者等は、記録物の安定性及び信頼性が良好で、且つ、
発色性の良好なインクを開発するために、多種多様なメ
カニズムを考え、多種多様な色材やインク組成について
検討及び確認を行ってきた。その結果、従来では考えら
れてこなかった、インクの構成成分として互いに相溶性
のない2種類の化合物を用いることにより、得られる記
録物の発色性を良好なものとできるという新たな事実に
たどりつき、本発明に至った。
【0012】即ち、蛍光性発色材と、ノニオン性界面活
性剤と、該ノニオン性界面活性剤と相溶性のない化合物
と、これらを溶解又は分散するための液媒体とから少な
くともなる水性インクは、被記録材上にインクを付与し
た場合に、蛍光強度や、発色性等を含めた記録物の品位
が向上し、安定性及び信頼性が良好な記録物が得られ、
インクジェット記録に用いた場合に良好な結果を示すこ
とがわかった。加えて、上記の構成を有するインクを、
ポリアセテート及びポリオレフィンからなる群より選択
される化合物を含むインク保持体及び/又はインク収容
体に収容して保管した場合には、長期間の保存後におい
ても、蛍光強度や発色性を含めた記録物の品位に対して
も支障のない画像が得られ、しかも、インクジェット記
録に用いた場合に、インクジェット記録特性に対して何
らの問題もないことがわかった。
【0013】より詳細に述べれば、インクジェット用イ
ンクの、実使用形態におけるインクジェット吐出特性の
安定性や保存安定性は、インクジェットプリンタの信頼
性に密接に関わっている重要な技術事項である。ところ
で、このような実使用形態におけるインクの様々な特性
が、インクと接してインクを保持する部材(インク接液
部材)、例えば、インクタンクや当該インクタンクがイ
ンクを保持する目的で具備していてもよいインク保持体
によって大きな影響を受ける場合がある。例えばこのよ
うなインク接液部材からインク中に微量成分が溶出し、
それによってインク特性が変化することがある。これま
でに、この点を技術課題として、インク接液部材からの
溶出物がインク特性に影響を与えないようにインク組成
を規定したことを特徴とする発明も知られている(特公
平7−51687号公報等)。このように、インクタン
クやインク保持体等のインクと接触する部材と、インク
との相性は、重要な技術事項であるということができ
る。
【0014】かかる技術的背景の下で、本発明にかか
る、これまでに知られていない優れた蛍光特性を示す記
録物を与えるインクが、どのようなインク接液部材に対
してであれば好適に用い得るかは未知数であり、本発明
者らにとっての重要な検討項目であった。かかる課題に
対して本発明者らが検討を重ねたところ、当該蛍光イン
クと、ポリアセテート及びポリオレフィンからなる群よ
り選択される化合物を含んでいるインク接液部材と、の
組合せは、当該インクのインクジェット吐出特性や保存
安定性を考慮したときに良好な組合せであることを見出
し、本発明に至ったものである。
【0015】ここで、インクによって得られる記録物
が、安定した信頼性のある良好な画像となり、且つ、蛍
光強度や発色性等に優れる画像形成を可能とするメカニ
ズムを考える場合、記録物の蛍光性及び発色性を向上さ
せる手段として、インク中で色材をいかに均一に良好な
状態で溶解或いは分散させるかについて注目が集まるの
が一般的である。言い換えれば、インク中における色材
分子又は分散粒子の凝集をいかになくし、色材分子又は
分散粒子を小さくする、例えば、インクで考えれば、イ
ンクの吸光度を高くすることができるか、及び、吸光度
を高い状態に保つことができるかについて検討されて、
インクの設計がなされている。即ち、このように設計す
ることで、被記録材上に記録されたインク中の色材分子
又は分散粒子を凝集しにくくさせ、色材の発色性及び蛍
光特性を良好にしようとすることが試みられるのが通常
である。
【0016】これに対して、本発明者等は、被記録材上
にインクが付与されて形成された記録物(印字物)につ
いて、被記録材上でのインクの状態、及び、世の中にあ
る多種多様な記録物について再度検討し、考察を重ね
た。その結果、先ず、いかなる記録物も、被記録材上
に、シャープではないとしても必ず被記録材とインクと
の界面が存在していること、更には、被記録材上のイン
クは大気に対しても界面を有した状態で存在しているこ
とに注目した。又、例えば、上質紙に記録を行った場合
に、インクの浸透を高めると、見た目の色材の発色性が
低下し易くなること、更に、バックコートフィルムに記
録を行ったり、記録物をラミネートすると、見た目の色
材の発色性が良好になることに着目した。即ち、上記に
列挙したことから、被記録材上において、色材の発色性
が良好となる大気に対するインクの界面状態を記録後に
いかに作るか、更に、その状態をいかにして保持させる
かという観点からの検討を行なうことで、本発明の記録
方法に至った。
【0017】本発明者らは、下記の具体的なメカニズム
によって、記録物の蛍光特性や発色性を格段に向上でき
たものと考えている。本発明に使用されるインクは、イ
ンクの状態では、各成分が液媒体中に十分に溶解或いは
分散して一様な状態で安定に存在している。図7は、本
発明にかかるインクの滴の状態を模式的に示したもので
ある。同図中、7000は被記録材7009に着弾する
前のインク滴を示し、同インク滴中、7003はノニオ
ン性界面活性剤、7001は、ノニオン性界面活性剤7
003と相溶性のない有機化合物、7005は蛍光性発
色材、具体的には例えば、蛍光性を示す化合物及び蛍光
色材の少なくとも一方(以降「色材」と略)を示し、
又、7007は、ノニオン性界面活性剤7003、有機
化合物7001及び色材7005を溶解又は分散させて
いる液媒体を示している。又、7009は被記録材であ
る。このようなインク滴7000が、図8に示したよう
に、被記録材7009上に着弾して記録された場合、記
録後に、図9に示したように、インク成分の一部(特に
液媒体7007)が大気中へ蒸発したり、被記録材70
09内へ浸透し、拡散したりすることにより、被記録材
上のインクの構成や成分比が変化する。すると、このこ
とによって、インクの状態では安定に存在していたイン
ク中のノニオン性界面活性剤7003と、該ノニオン性
界面活性剤と相溶性のない有機化合物7001が、被記
録材上で層状に相分離を生じ、図10に示したように、
インクと大気との間にインク成分同士による界面が形成
されるため、あたかも記録物がラミネートされたような
状態が形成される。
【0018】図11に、図10に示した状態をより分か
り易くするために模式的に表現したものである。ここ
で、1101で表した層はノニオン性界面活性剤700
3と色材7005とを含み、1103で表した層は、有
機化合物7001と色材7005とを含んでいる。そし
て層1101の表面は気液界面1105を構成し、層1
101と1103とは、その間で液体同士の界面110
7を形成している。以上の結果、本発明にかかるインク
によって得られた記録物では、液液界面1107の発現
により、安定な厚みの層1101が形成され、又、界面
1107において、光の反射を有効に発現させることが
できるので蛍光を含む発色性が良好となり、記録物の蛍
光特性や発色性を格段に向上させる有効な手法となる。
【0019】更に詳細に述べると、本発明者らの検討に
よれば、少なくとも、蛍光性発色材と、ノニオン性界面
活性剤と、該ノニオン性界面活性剤と相溶性のない化合
物と、これらを溶解又は分散するための液媒体とを有す
る水性インクを用いた場合には、特に蛍光強度を含む発
色性が良好な画像が得られることがわかった。これは、
図12に示したように、層1101と1103を被覆す
る表層としてノニオン性界面活性剤のミセル層(層12
01)が形成され、この表層により、光の反射をより有
効に発現させることができるので、蛍光強度を含む発色
性が更に良好になったものと考えている。
【0020】更に、本発明者らの検討によれば、本発明
に使用されるインクの液媒体としては、水を使用するこ
とが好ましいことがわかった。即ち、液媒体に水を使用
すると、他の液媒体を使用した場合と比べて多様な化合
物を用いることが可能となるので、インクの構成材料の
選択の余地が広がるだけでなく、上質紙に対しては、非
水系の液媒体を用いたインクと比べて記録物の品位を低
下させにくく、更に、上質紙内に対して浸透により液媒
体を除去させることもでき、しかも、液媒体の蒸発に対
しても安定性があり、この面からも良好であった。本発
明の記録方法では、被記録材に対して間隙を介してイン
クが供給して記録を行う方式を用いる。これに対して、
例えば、ボールペンのような、被記録材に接触させて加
圧した状態でインクを供給して記録を行う方式の場合
は、インクが被記録材内に押し込められてしまい、上記
で述べた本発明のメカニズムが発現しにくくなる。
【0021】以下、上記したメカニズムによって優れた
効果が得られる本発明の記録方法に使用するインクの構
成成分について説明する。本発明に使用されるインクを
構成する、ノニオン性界面活性剤と、該ノニオン性界面
活性剤と相溶性のない有機化合物とは、ノニオン性界面
活性剤と該ノニオン性界面活性剤と相溶性のない有機化
合物のみを混合させた状態で、例えば、水と油の如く、
層状に相分離するものを指す。具体的には、ノニオン性
界面活性剤と、ノニオン性界面活性剤と相溶性のない有
機化合物と、液媒体として水を用いた3成分系を例にと
って説明すると、初期状態においては、上記のノニオン
性界面活性剤と、それと相溶性のない有機化合物はいず
れも水に溶解しているが、例えば、50℃環境で溶媒と
しての水を蒸発させていった場合、ノニオン性界面活性
剤と有機化合物とが分離していくものである。特に、水
の蒸発に伴って液−液の状態での分離を生じるノニオン
性界面活性剤と有機化合物とを組み合わせて用いると、
前記した本発明のメカニズムが発現し易くなる。
【0022】本発明に使用されるインクを構成する液媒
体としては、多種多様な液体の中から、ノニオン性界面
活性剤と、該ノニオン性界面活性剤と相溶性のない有機
化合物の組合せと、これらとの相性とをにらみながら選
択されるが、特に好ましいものは、先に述べたように、
液媒体を水にすることである。この理由としては、イン
クの安定性の他に、前述したメカニズムに記載した非水
系の液媒体を用いた場合の品位等の問題や、ノニオン性
界面活性剤と、該ノニオン性界面活性剤とは相溶性のな
い有機化合物と、の組み合わせを選択する場合の容易性
が挙げられる。従って、本発明の好ましい一態様であ
る、液媒体が水であるときに、好適に用い得るノニオン
性界面活性剤と、該ノニオン性界面活性剤と相溶性のな
い化合物とは、共に水溶性若しくは親水性を有するもの
である。又、後述する本発明の作用効果、つまり記録部
における界面の形成を考慮すると、ノニオン性界面活性
剤と、該ノニオン性界面活性剤と相溶性を有しない有機
化合物とは、共に常温で液体であることが好ましい。
【0023】本発明で使用するノニオン性界面活性剤と
相溶性のない有機化合物としては、上記したように、ノ
ニオン性界面活性剤と混合させた状態で、例えば、水と
油の如く層状に相分離するものであれば何れのものでも
よいが、例えば、ノニオン性界面活性剤と相溶性のない
有機化合物の溶解度パラメーター値が15以上であるも
のが好ましい。溶解度パラメーター値が水の溶解度パラ
メーターに近い方が、本発明の効果が発現し易くなる。
尚、ここで示す溶解度パラメーター値は、Fedors法によ
って求めた値である。
【0024】又、ノニオン性界面活性剤に対して相溶性
のない有機化合物としては、特にグリセリン基を有して
いるものが好ましい。グリセリン基は水和力が強く、上
記記載の本発明の現象の具体例で示した「水と油」の、
水側の化合物として働き易い。この中でも特に、グリセ
リン、キシリトール、エリトリトール等のモノマーとし
ての糖アルコール、グリセリン、ジグリセリン等の二量
体、三量体としての糖アルコールが良好である。
【0025】又、上記に挙げた化合物に対し、エチレン
オキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを付加した
化合物でもよい。以上の中で、特に好ましくは、水酸基
を3個以上有しているもの、常温で液状のものである。
以上に挙げた様な有機化合物のインク中における含有量
は、インク全質量に対して、1.0〜30質量%、更に
は、5.0〜20質量%とするのが好ましい。しかし、
被記録材によっては、これらに限定されない。
【0026】本発明で使用するインクの構成成分として
用いる、上記の有機化合物と組み合わせて用いるノニオ
ン性界面活性剤としては、常温で液体であるものが好ま
しく、又、水溶液状態で、該水溶液(即ち、インクから
発色材を除いたインク)からそれ自身が相分離しないも
のを用いることが好ましい。即ち、水溶液から相分離す
る状態のノニオン性界面活性剤を使用した場合には、好
適な液媒体として水を用いると、インク化したときにイ
ンクが不安定になるので好ましくない。このことは、ノ
ニオン性界面活性剤としては、見かけ上、水に溶けた状
態や均一状に分散しているものを使用することが好まし
いことを示しており、特に、水溶液に対してエマルジョ
ン状態になるノニオン性界面活性剤を選択するとよい。
更に、ノニオン性界面活性剤のインク中の含有量を、水
溶液の状態でエマルジョン状態を保持できる添加量以下
に選択すると、インクの安定性に対する不安がなくなる
のでより好ましい。
【0027】ノニオン性界面活性剤の中でも特に本発明
に好適なものとしては、そのHLBが13以下のものが
挙げられる。一般的に、HLBが13よりも大きくなる
と親水性が強くなり過ぎてしまい、画像を形成した場合
に被記録材表面で相分離が生じにくく、インクと大気の
間にインク成分同士による界面を形成させることによっ
て蛍光強度を含む発色性を良好にする、という先に述べ
たメカニズムが発現されにくくなる。又、特に、先に述
べた溶解度パラメーター値が15以上の有機化合物に対
しても、溶解度パラメーター値が13以下のノニオン性
界面活性剤を組合せて用いることが好ましい。両者の溶
解度パラメーター値が近過ぎると、相溶し易くなって、
先に述べた本発明の効果が発現しにくくなるからであ
る。
【0028】本発明で使用するインク中の、上記に挙げ
たようなノニオン性界面活性剤の含有量としては、具体
的には、インク全質量に対して1.0質量%以上、更に
は、1.0〜20質量%とすることが好ましい。1.0
質量%より少ないと、先に述べたメカニズムの発現の効
果が少なく、又、20質量%より多いと印字品位のバラ
ンス、例えば、濃度や定着性やヒゲ状の滲みであるフェ
ザリングと定着性や濃度とのバランスが悪くなる傾向が
ある。
【0029】以上に挙げた要件を具備するノニオン性界
面活性剤の中でも、本発明で使用するものとして特に好
ましいものは、アセチレン基を有しているもの、より具
体的には例えば、下記の一般式(I)で示される化合
物、及び下記(II)〜(VII)に列挙した化合物が挙げ
られる。 [上記一般式(I)において、A及びBはそれぞれ独立
に、Cn2n+1(nは1〜10の整数)を表し、X及び
Yは、それぞれ開環したエチレンオキサイドユニット及
び/又は開環したプロピレンオキサイドユニットを表
す。]
【0030】
【0031】又、前記一般式(I)で表されるノニオン
性界面活性剤の中でも特に好ましいのは、下記の式(VI
II)で示される化合物である。
【0032】本発明で使用するインクは、更に、インク
中に蛍光特性を示す化合物が含有されて構成される。先
に説明したメカニズムによる効果は、特に、インク中に
蛍光性発色材や蛍光性色材(蛍光性染料等)を用いた場
合に十分に発現される。更に、先に述べた理由により本
発明で使用するインクは、液媒体に水を用いた水系にし
た場合に好ましい結果を示し易いため、本発明で使用す
る蛍光性発色材としては、水に溶解する水溶性のものや
親水性のものを用いることが好ましい。
【0033】上記でいう水溶性或いは親水性の蛍光性発
色材としては、例えば、化合物や色材自身が水に溶解す
るもの(例えば、蛍光増白剤、蛍光染料)、又は、蛍光
性発色材の表面処理をすることで、本来は疎水性である
ものを親水性とし、水にエマルジョン化させる等の方法
で、あたかも水に溶解しているようにしたものも含まれ
る。但し、顔料分散のような、樹脂を分散剤として用い
て色材を分散させる手法はあてはまらない。このタイプ
は、前記したメカニズムの効果を発現し難いだけでな
く、インクの信頼性に対してもあまり好ましい選択とは
言えないからである。以下、上記したような液媒体中で
の蛍光性を示す化合物及び蛍光色材の状態を、断りのな
い限り全て「溶解」と表現する。
【0034】本発明のインクの構成成分として使用する
蛍光性を示す化合物や蛍光色材としては、その構造中に
下記の原子団を含んでいるものが特に好ましい。
【0035】構造中に上記したような原子団を含んでい
る蛍光性発色材としては、具体的には、以下のようなも
のを一例として挙げられる。
【0036】 又、その他、蛍光性発色材としては、例えば、一般的に
用いられている蛍光増白剤等を挙げることができる。
【0037】上記に挙げたような蛍光性発色材のインク
の含有量は、インク全量に対して1.5質量%以下とす
ることが好ましく、更には、1.0質量%以下であるこ
とが好ましい。蛍光性発色材は、インク中での含有量
が、ある値を超えると蛍光強度が低下してくるという性
質がある(濃度減光という)。このことより、濃度が
1.5質量%を超えると、前記したメカニズムでも上記
濃度減光を抑えることができないからである。又、蛍光
特性のみを最重要視する場合は、0.5質量%以下の含
有量とすることが特に好ましい。
【0038】インクの安定性の面から、本発明で使用す
るインクは、更に、インク中に一価アルコールが併用さ
れているものであることが好ましい。一価アルコール
は、例えば、ガソリンの水抜き剤のように、水と油を混
合する効果を有している。このことは、先に説明したメ
カニズムを発現させる際のインクの安定性の面から、一
価アルコールがインクに併用されている形態が好ましい
ものであることを示している。
【0039】更に、一価アルコールは、被記録材上にイ
ンクを付与した場合に、蒸発や、被記録材中への浸透に
対して良好な効果があるため、本発明の効果をより良好
に発現させるものとして有効である。本発明で使用する
インク中での一価アルコールの含有量としては、インク
全質量に対して0.1〜20質量%、更には、0.5〜
10質量%とすることが好ましい。本発明で使用するイ
ンク成分として使用することのできる一価アルコールの
具体例としては、例えば、エタノール、イソプロピルア
ルコール及びn−ブタノール等が挙げられる。
【0040】更に、本発明で使用するインクは、保水剤
が併用されていてもよい。保水剤としては、尿素及び尿
素誘導体から選択される化合物を用いることが好まし
い。尿素及び尿素誘導体をインク中に含有させると、イ
ンクの安定性が良好になる。即ち、尿素及び尿素誘導体
から選択される化合物を含有させることで、インクの状
態の気液界面で、インク中のノニオン性界面活性剤と、
該ノニオン性界面活性剤と相溶性のない有機化合物の組
合せが層状に相分離するというメカニズムが発現するこ
とがないようにするためである。更に、尿素及び尿素誘
導体から選択される化合物は、溶剤助剤としての効果も
あるので、インクの安定性に対しても好ましい。
【0041】更に、例えば、被記録材が上質紙等であっ
た場合、上質紙の水分保水性により本発明のメカニズム
の効果を発現し易くなる。即ち、被記録材中の水分が保
持されることにより、インク成分の被記録材内や大気へ
放出される時間を遅くさせることで、互いに相溶性のな
い上記した2種の有機化合物が層状に相分離するのを良
好にできるのではないかと予測している。
【0042】上記において使用する尿素誘導体として
は、環状化合物ではない化合物が好ましく、例えば、尿
素のアルキル誘導体及び尿素のエチレンオキサイド及び
/又はプロピレンオキサイド付加物から選ばれた少なく
とも1種、又は、上記誘導基の少なくとも2個で誘導さ
れた化合物から適宜に選択して用いることが好ましい。
但し、インクを構成する各成分の量や種類によって適宜
に選択して用いればよい。又、水溶性であるものを使用
することが好ましい。上記使用量については特に制限さ
れないが、一般的には、インクの全質量に対して0.1
〜15質量%の範囲で含有させることが好適であり、更
には0.1〜10質量%の範囲で含有させることが好適
である。
【0043】本発明で使用するインクは、必要に応じ
て、更に、水溶性有機溶剤、前記した以外の界面活性
剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止
剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー及びp
H調整剤等の種々の添加剤を含有してもよい。
【0044】本発明で使用するインクを調製する場合に
用いる液媒体としては、先に述べたように水を用いるこ
とが好ましいが、更に、水と水溶性有機溶剤との混合物
であることが好ましい。この際に使用する具体的な水溶
性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン等のケト
ン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリ
エチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオー
ル、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチ
レングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子
を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレン
グリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチ
レングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ト
リエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテ
ル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−
メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジ
メチルサルフォキサイド、2−ピロリドン、ε−カプロ
ラクタム等の環状アミド化合物及びスクシンイミド等の
イミド化合物等が挙げられる。
【0045】又、本発明で使用するインク中に含有させ
ることのできる化合物としては、該化合物の溶解度パラ
メーターが、先に述べたノニオン性界面活性剤の溶解度
パラメーター値と、該ノニオン性界面活性剤に対して相
溶性のない化合物の溶解度パラメーター値との間の溶解
度パラメーター値を有するものであることが好ましい。
インクの構成をこのようにすれば、画像形成に用いた場
合に、インク状態での気液界面を含めた安定性がより好
ましいものとなる。このような化合物としては、特に、
常温で液体(液状)であるグリコール化合物が好まし
い。使用量については、特に限定されないが、一般的に
は、インク全質量に対して0.1〜15質量%の範囲が
好適であり、より好ましくは0.1〜10質量%であ
る。
【0046】上記したような水溶性有機溶剤の総含有量
は、一般には、インクの全質量に対して質量基準で1〜
40%であることが好ましく、より好ましくは3〜30
%の範囲とする。又、インク中の水の含有量は、30〜
95質量%の範囲で使用される。このような範囲では、
色材の溶解性等の低下が生じにくく、インクの粘度も上
昇しにくい。又、インクから蒸発成分が多過ぎることが
なく、その結果として十分な固着防止特性が有効に維持
される。
【0047】本発明で使用するインク中には、蛍光性発
色材に加えて、調色のために、更に蛍光を示さない色材
が含有されているものであってもよい。この際に使用す
る色材としては、水に溶解する色材の方がインクの安定
性の面から好ましい(蛍光性発色材の場合と同様に、こ
の場合も、色材を、例えば、エマルジョン化し、あたか
も色材自身が溶解しているかのようにしたものも含
む)。又、本発明で使用するインクによって形成した記
録物の耐水性を考慮した場合、インクの安定性も考慮す
ると、被記録材に直接染着する色材(直接染料等)を用
いることが好ましい。更には、その構造中にアゾ基を有
しているものの方が良好である。又、蛍光を示さない色
材としては、カルボキシル基又はその塩の基を有してい
る構造の色材を用いることが好ましい。更に、色材の親
水基としてカルボキシル基又はその塩の基のみを有する
色材を用いることが好ましい。カルボキシル基は、スル
ホン基に比べて水との親和力が弱いため、本発明で使用
するインクによって形成した記録物の耐水性を向上させ
ることができる。
【0048】更に、本発明で使用するインク中における
蛍光性を示さない色材の含有量は、先に説明した蛍光性
発色材の含有量以上とすることが好ましい。本発明に使
用されるインクは、蛍光性発色材を含む化合物を気液界
面に浮かすようにして、蛍光特性を向上させている。
又、蛍光性発色材は、濃度減光により、多くをインク中
に用いることはできない。このことにより、記録物を目
視で判別したり、記録物が水に触れることによって蛍光
がなくなってしまったような場合においても、記録状態
が残り易く、記録内容までも完全に消失してしまうとい
ったことを生じなくするためである。但し、蛍光性を示
さない色材の選択をする場合には、蛍光性発色材による
記録物における蛍光性の発現状態や、発色性とのバラン
スにより適宜に選択することが必要となる。
【0049】蛍光性を示さない色材としては、具体的に
は、例えば、ダイレクトブラック168、ダイレクトブ
ラック154、直接性の強いジスアゾ色材、トリスアゾ
色材、ダイレクトイエロー142、ダイレクトイエロー
86、ダイレクトレッド227、ダイレクトレッド80
等の二量体構造の色材、ダイレクトブルー199等の含
金色材、及び、下記の遊離酸の形で一般式(A)〜
(C)で示される色材が挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0050】遊離酸の形で下記一般式(A)で表わされ
る色材: [一般式(A)中、Pcは含金属フタロシアニン核、R
1、R2及びR3は各々独立に、水素原子、アルキル基
(例えば、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状の
アルキル基等)、置換アルキル基(例えば、当該アルキ
ル基の少なくとも1つの水素原子がF、Cl、Br等の
ハロゲン原子や炭素数1〜3のアルコキシル基等で置換
されているアルキル基等)アルケニル基(例えば、炭素
数1〜20のアルケニル基等)、置換アルケニル基(例
えば、当該アルケニル基の少なくとも1つの水素原子が
F、Cl、Br等のハロゲン原子や炭素数1〜3のアル
コキシル基等で置換されているアルケニル基等)、アラ
ルキル基(例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル
基等)、又は置換アラルキル基(例えば、当該アラルキ
ル基を構成するアリール基が、F、Cl、Br等のハロ
ゲン原子や炭素数1〜3のアルコキシル基等で置換され
ているアラルキル基等)のいずれかを表す。Lは、2価
の有機連結基を表す。Xは、カルボニル基又は下記
(2)〜(4)式で示される構造を表す。
【0051】 (上記(2)〜(4)式中の各Zは、それぞれ独立に、
NR45、SR6又はOR6のいずれかを表し、(3)式
中のYは、水素原子、Cl、Z、SR7又はOR 7を表
し、(4)式中のEは、Cl又はCNを表す。上記のR
4、R5、R6及びR 7は各々独立に、水素原子、アルキル
基(例えば、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状
のアルキル基等)、置換アルキル基(例えば、当該アル
キル基の少なくとも1つの水素原子がF、Cl、Br等
のハロゲン原子や炭素数1〜3のアルコキシル基等で置
換されているアルキル基等)、アリール基(例えば、フ
ェニル基等)、置換アリール基(例えば、F、Cl、B
r等のハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシル基、
炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基等
から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたフェニル
基等)、アラルキル基(例えば、フェニルメチル基、フ
ェニルエチル基等)、又は置換アラルキル基(例えば、
当該アラルキル基を構成するアリール基がF、Cl、B
r等のハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシル基、
炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基等
から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたアラルキ
ル基等)のいずれかを表し、R4及びR5は窒素原子と共
に5又は6員環を形成する場合がある。)一般式(A)
中のGは、1又は2個のCOSH又はCOOHで置換さ
れた無色有機残基を表し、t+qは3又は4とする。]
【0052】上記の一般式(A)で表される化合物とし
ては、例えば、以下のものが挙げられる。 上記の例示色材(1)において、Gは、−COSH及び
−COOHから選択される1個又は2個の基によって置
換された有機基(例えば−CH2COOH、−Ph−C
OOH等)Zは、NR12、SR3、SR4の何れかを示
し、ここでR1〜R4は各々独立に水素原子、アルキル基
(例えば炭素数1〜6程度の直鎖状又は分岐鎖状のアル
キル基等)、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、
これらは、ハロゲン原子等によって置換されていてもよ
い。
【0053】遊離酸の形で下記一般式(B)で表わされ
る色材:
【0054】[上記一般式(B)式中、Jは下記式を表
す。
【0055】一般式(B)式中のAr1及びAr2は、各
々独立に、アリール基(例えばフェニル基等)又は置換
アリール基(例えば、F、Cl、Br等のハロゲン原
子、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3の直
鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基等から選ばれる少な
くとも1つの基で置換されたフェニル基等)であって、
Ar1とAr2の少なくとも1つが独立に、COOHとC
OSHから選ばれる置換基を1個以上有する。又、R1
及びR2は各々独立に、水素原子、アルキル基(例え
ば、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキ
ル基等)、置換アルキル基(例えば、当該アルキル基の
少なくとも1つの水素原子がF、Cl、Br等のハロゲ
ン原子や炭素数1〜3のアルコキシル基等で置換されて
いるアルキル基等)、アルケニル基(例えば、炭素数1
〜20のアルケニル基等)又は置換アルケニル基(例え
ば、当該アルケニル基の少なくとも1つの水素原子が
F、Cl、Br等のハロゲン原子や炭素数1〜3のアル
コキシル基等で置換されているアルケニル基等)のいず
れかを表し、Lは2価の有機連結基を表し、nは0又は
1を表す。Xは、カルボニル基、又は下記(2)、
(3)又は(4)式で示される構造を表す。
【0056】(上記(2)〜(4)式中のZはそれぞれ
独立に、NR34、SR5又はOR5のいずれかを表し、
(3)式中のYは、水素原子、Cl、Z、SR6又はO
6を表し、(4)式中のEは、Cl又はCNを表す。
上記のR3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素
原子、アルキル基(例えば、炭素数1〜20の直鎖状若
しくは分岐鎖状のアルキル基等)、置換アルキル基(例
えば、当該アルキル基の少なくとも1つの水素原子が
F、Cl、Br等のハロゲン原子や炭素数1〜3のアル
コキシル基等で置換されているアルキル基等)、アルケ
ニル基(例えば、炭素数1〜20のアルケニル基等)、
置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基(例え
ば、当該アルケニル基の少なくとも1つの水素原子が
F、Cl、Br等のハロゲン原子や炭素数1〜3のアル
コキシル基等で置換されているアルケニル基等)、アラ
ルキル基(例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル
基等)、置換アラルキル基(例えば、当該アラルキル基
を構成するアリール基が、F、Cl、Br等のハロゲン
原子や炭素数1〜3のアルコキシル基等で置換されてい
るアラルキル基等)のいずれかを表し、R3又はR4は、
窒素原子と共に5又は6員環を形成する場合もある。)
一般式(B)で表される化合物は、少なくともSO3
と同数のCOOH又はCOSHから選ばれた基を有す
る。]
【0057】一般式(B)で示される化合物として、具
体的には、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0058】
【0059】 上記の例示色材(2)〜(5)において、Zは、NR1
2、SR3、SR4の何れかを示し、ここでR1〜R4
各々独立に水素原子、アルキル基(例えば炭素数1〜6
程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基等)、アリール
基、アラルキル基等が挙げられ、これらは、ハロゲン原
子などによって置換されていてもよい。
【0060】遊離酸の形で下記一般式(C)で表わされ
る色材: [上記一般式(C)中、Ar及びAr1はそれぞれ独立
に、アリール基(例えばフェニル基等)又は置換アリー
ル基(例えば、F、Cl、Br等のハロゲン原子、炭素
数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3の直鎖状若し
くは分岐鎖状のアルキル基等から選ばれる少なくとも1
つの基で置換されたフェニル基等)のいずれかを示し、
Ar及びAr1の少なくとも1つは、スルホン基、カル
ボキシル基及びチオカルボキシル基からなる群から選ば
れる置換基を有する。J及びJ1はそれぞれ独立に、下
記一般式(2)、(3)又は(4)の構造を示す。
【0061】 (上記式(2)中、R5は、水素原子、アルキル基(例
えば、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアル
キル基等)、置換アルキル基(例えば、当該アルキル基
の少なくとも1つの水素原子がF、Cl、Br等のハロ
ゲン原子や炭素数1〜3のアルコキシル基等で置換され
ているアルキル基等)、アルコキシル基(例えばメトキ
シ基、エトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、F、C
l、Br等)、CN基、ウレイド基及びNHCOR6
ら選択される。該R6は、水素原子、アルキル基(例え
ば、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキ
ル基等)、置換アルキル基(例えば、当該アルキル基の
少なくとも1つの水素原子がF、Cl、Br等のハロゲ
ン原子や炭素数1〜3のアルコキシル基等で置換されて
いるアルキル基等)、アリール基(例えば、フェニル基
等)、置換アリール基(例えば、F、Cl、Br等のハ
ロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1
〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基等から選ば
れる少なくとも1つの基で置換されたフェニル基等)、
アラルキル基(例えば、フェニルメチル基、フェニルエ
チル基等)及び置換アラルキル基(例えば、当該アラル
キル基を構成するアリール基がF、Cl、Br等のハロ
ゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜
3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基等から選ばれ
る少なくとも1つの基で置換されたアラルキル基等)か
ら選択される。式(3)中の、Tはアルキル基を示し、
Wは、水素原子、CN、CONR1011、ピリジウム基
及びカルボキシル基から選択され、mは、炭素数2〜8
のアルキレン鎖を示す。上記のR10及びR11はそれぞれ
独立に、水素原子、アルキル基(例えば、炭素数1〜2
0の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基等)及び置換
アルキル基(例えば、当該アルキル基の少なくとも1つ
の水素原子がF、Cl、Br等のハロゲン原子や炭素数
1〜3のアルコキシル基等で置換されているアルキル基
等)から選択される。式(4)中のBは、水素原子、ア
ルキル基(例えば炭素数1〜20の直鎖上若しくは分岐
鎖状のアルキル基等)及びカルボキシル基から選択され
る。
【0062】一般式(C)中の、R1、R2、R3及びR4
はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル及び置換アルキ
ル基から選択され、Lは、2価の有機結合基を示し、n
は、0又は1を示し、Xは、カルボニル基又は下記一般
式(5)、(6)又は(7)の構造をで示す。
【0063】 (上記式(5)〜(7)中のZは、それぞれ独立に、O
7、SR7及びNR89から選択され、式(6)中のY
は、水素原子、Cl、CN及びZから選択され、式
(7)中のEは、Cl及びCNから選択される。上記の
7、R8及びR9はそれぞれ独立に、水素原子、アルケ
ニル基(例えば、炭素数1〜20のアルケニル基等)、
置換アルケニル基(例えば、当該アルケニル基の少なく
とも1つの水素原子が、F、Cl、Br等のハロゲン原
子や炭素数1〜3のアルコキシル基等で置換されている
アルケニル基等)、置換アルキル基(例えば、当該アル
キル基の少なくとも1つの水素原子がF、Cl、Br等
のハロゲン原子や、炭素数1〜3のアルコキシル基等で
置換されているアルキル基等)、アリール基(例えばフ
ェニル基等)、置換アリール基(例えばF、Cl、Br
等のハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭
素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基等か
ら選ばれる少なくとも1つの基で置換されたフェニル基
等)、アラルキル基(例えばフェニルメチル基、フェニ
ルエチル基等)、及び置換アラルキル基(例えば当該ア
ラルキル基を構成するアリール基がF、Cl、Br等の
ハロゲン原子、炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状
のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基等から選
ばれる少なくとも1つの基で置換されているアラルキル
基等)から選択され、更に、R8又はR9は、これらが結
合された窒素原子と共に5又は6員環を形成する場合も
ある。)且つ、一般式(C)の化合物がスルホン基をも
たない場合は、少なくとも2個のカルボキシル基及びチ
オカルボキシル基から選ばれる基を有し、一般式(C)
の化合物は、スルホン基と少なくともスルホン基と同数
のカルボキシル基及びチオカルボキシル基から選ばれる
基を有する。]
【0064】上記一般式(C)で示される化合物とし
て、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】上記のような蛍光性を示さない色材の使用
量については特に制限されないが、一般的には、インク
の全質量に対して0.1〜15質量%の範囲で含有させ
ることが好適で、より好適には0.1〜10質量%であ
る。
【0069】本発明で使用するインクは、表面張力の値
が40mN/m(dyn/cm)以下のものであること
が好ましい。先に説明したメカニズムの発現のために
は、例えば、液滴が記録後に広がりを有する方が効果を
出すのは好ましいからである。又、本発明で使用するイ
ンクのpHは、インクの安定性の面から8以上であるこ
とが好ましい。
【0070】更に、本発明で使用するインクは、インク
中に、アルカリ金属イオンとアンモニウムイオンとを併
用することが好ましい。インクジェット記録に用いた場
合、両者が併用されていると、インクの安定性及びイン
クの吐出性が良好になる。アルカリ金属イオンとして
は、Li+、Na+及びK+等を挙げることができる。本
発明で使用するインクは、このようにして色材及び添加
剤を除いたインク系で、ノニオン性に調整されたもので
あることが好ましい。
【0071】本発明で使用するインクにおいては、イン
ク中の蛍光性発色材が、インク中における最大蛍光強度
を示す含有量以上含まれていることが、画像の蛍光強度
を増す点で好ましい。この理由としては、推論ではある
が、被記録材に水系インクで記録した場合には、インク
の滲み、浸透等によって見かけ上の色材濃度が下がるの
で、このように構成されたインクで被記録材に記録すれ
ば、選択された被記録材に対して良好な発色が保たれる
ためではないかと考えている。
【0072】本発明にかかる記録方法では、以上で説明
したような構成成分からなるインクを、ポリアセテート
及びポリオレフィンからなる群より選択される化合物を
含むインク収容体、或いは、ポリアセテート及びポリオ
レフィンからなる群より選択される化合物を含むインク
保持体を有しているインク収容体に収め、かかるインク
収容体に収容されているインクを被記録材に対して間隙
を介して供給させる。
【0073】本発明において使用することのできるポリ
アセテートとしては、例えばセルロースアセテートから
なるポリマー等が挙げられ、このような材料としては、
例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピ
オン酸セルロースからなるフィルムや繊維素等を用いる
ことができる。ポリオレフィン材料としては、ポリプロ
ピレン等やこれらの縮合化合物(ポリプロピレン繊維
等)等を挙げることができる。これらの中でも、ポリエ
チレンフィルムや、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸
セルロースフィルム等をインクとの接液面に使用したイ
ンク収容体や、ポリプロピレンや酢酸セルロースで形成
されたインク保持体を用いることが好ましい。更には、
上記したような材料からなるインク保持体としては、多
孔質であるもの、多層構造を有しているもの、或いは繊
維集合体からなるものを使用することが好まし。又、単
一の材料からなるものでも、複数の材料を混合してなる
ものでもよい。
【0074】上記したようなポリアセテート及びポリオ
レフィンからなる群より選択される化合物は、pHによ
る影響や、水及び有機溶剤等に対しての安定性が高い。
本発明者らの検討によれば、本発明で使用するインクの
優れた特性が、これらの材料からなるインク保持体及び
/又はインク収容体に長期間に渡って収納した場合にも
損なわれることがないので、これらを組み合わせて使用
することによって、画像形成において、安定して高い信
頼性を保持することが可能となる。
【0075】先に述べたように、本発明で使用するイン
クは、通常の文具用のインクとしても用いることができ
るが、被記録材に対して間隙を介して供給される記録方
法に適用した場合に優れた効果が得られる。更に、記録
信号に応じてオリフィスよりインク滴を吐出させて被記
録材に記録を行って記録物を得るインクジェット記録方
法に用いられると、特に優れた効果を発揮する。即ち、
インクジェット記録は、ボールペン等の文具のような被
記録材に接触させて筆圧で被記録材に記録する方式とは
異なり、飛翔させたインク滴を被記録材表面に着弾さ
せ、インク滴自身の浸透、広がりで記録を行うものであ
るため、インク滴の界面状態を、先に述べたメカニズム
によって色材の蛍光強度を含む良好な発色性の発現に大
きな影響を及ぼすものとできるため、結果として画像品
位の高い記録物が得られる。
【0076】インクジェット記録方式としては、インク
に力学的エネルギーを作用させて液滴を吐出する記録方
法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡に
より液滴を吐出するインクジェット記録方法があるが、
本発明では、特に、熱エネルギーによるインクの発泡現
象によってインクを吐出させるタイプのインクジェット
記録方式を適用するのがよく、吐出が極めて安定とな
り、サテライトドットの発生等が生じないという特徴が
ある。但し、この場合には、熱的な物性値(例えば、比
熱、熱膨張係数、熱伝導率等)を調整する場合もある。
【0077】更に、本発明で使用するインクは、インク
ジェット用ヘッドに対するマッチングを良好にする面か
ら、インク自体の物性として、特に、25℃における表
面張力が30〜40mN/m(dyn/cm)、粘度が
15cP以下、好ましくは10cP以下、より好ましく
は5cP以下に調整されることが望ましい。従って、上
記物性にインクを調整し、普通紙における問題を解決す
るためには、本発明で使用するインク中に含有される水
分量としては50質量%以上98質量%以下、好ましく
は60質量%以上95質量%以下とするのが好適であ
る。
【0078】本発明で使用するインクを用いて記録を行
うのに好適なインクジェット記録装置としては、記録ヘ
ッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギー
を与え、該熱エネルギーにより液滴を発生させる装置が
挙げられる。
【0079】先ず、その装置の主要部であるヘッド構成
例を、図1、図2及び図3に示す。図1は、インク流路
に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は、図1のA
−B線での断面図である。ヘッド13は、インクを通す
溝14を有する、ガラス、セラミック又はプラスチック
板等と、感熱記録に用いられる発熱ヘッド15(図では
薄膜ヘッドが示されているが、これに限定されるもので
はない。)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は、
酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム
電極17−1及び17−2、ニクロム等で形成される発
熱抵抗体層18、蓄熱層19、及びアルミナ等の放熱性
のよい基板20よりなっている。
【0080】インク21は、吐出オリフィス(微細孔)
22まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成
している。今、アルミニウム電極17−1及び17−2
に電気信号情報が加わると、発熱ヘッド15のnで示さ
れる領域が急激に発熱し、ここに接しているインク21
に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、
インク21が吐出しインク小滴24となり、吐出オリフ
ィス22より被記録材25に向って飛翔する。
【0081】図3には、図1に示すヘッドを多数並べた
マルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘッドは、マル
チ溝26を有するガラス板27と、図1で説明したもの
と同様の発熱ヘッド28を密着して作製されている。
尚、図1はインク流路に沿ったヘッド13の断面図であ
り、図2は図1のA−B線の切断面である。
【0082】図4に、上記ヘッドを組み込んだインクジ
ェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワ
イピング部材としてのブレードであり、その一端はブレ
ード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチ
レバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65に
よる記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場
合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持
される。62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップで
あり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設
され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動し
て、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成
を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けら
れるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘ
ッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0083】上記ブレード61、キャップ62及びイン
ク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレ
ード61及びインク吸収体63によってインク吐出口面
の水分、塵挨等の除去が行われる。65は吐出エネルギ
ー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する
被記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、6
6は記録ヘッド65を搭載してその移動を行うためのキ
ャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動
可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68に
よって駆動されるベルト69と接続(不図示)してい
る。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った
移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及び
その隣接した領域の移動が可能となる。
【0084】51は被記録材を挿入するための給紙部、
52は不図示のモーターにより駆動する紙送りローラー
である。これらの構成によって記録ヘッド65の吐出口
面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行す
るにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙され
る。上記構成において記録ヘッド65が記録終了等でホ
ームポジションに戻る際、吐出回復部64のキャップ6
2は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブ
レード61は移動経路中に突出している。この結果、記
録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。尚、キャ
ップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピ
ングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路
中に突出するように移動する。
【0085】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は、上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐
出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッド65のホ
ームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ば
かりでなく、記録ヘッド65が記録のために記録領域を
移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポ
ジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが
行われる。
【0086】図5は、ヘッドにインク供給部材、例え
ば、チューブを介して供給されるインクを収容したイン
クカートリッジ45の一例を示す図である。ここで、4
0は供給用インクを収容したインク収容部、例えば、イ
ンク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられ
ている。この栓42に針(不図示)を挿入することによ
り、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならし
める。44は廃インクを受容するインク吸収体である。
先に述べたように、本発明においては、このインク収容
部として、ポリアセテート及びポリオレフィンからなる
群より選択される化合物を含む材料によって形成された
ものを使用する。特に、インクとの接液面がポリオレフ
ィン、特にポリプロピレンで形成されているものが本発
明にとっては好ましい。
【0087】本発明で使用するインクジェット記録装置
は、上記の如きヘッドとインクカートリッジとが別体と
なったものに限らず、図6に示す如きそれらが一体にな
ったものにも好適に用いられる。図6において、70は
記録ユニットであって、この中にはインクを収容したイ
ンク収容部、例えば、インク保持体が収納されており、
かかるインク保持体中のインクが複数のオリフィスを有
するヘッド部71からインク滴として吐出される構成に
なっている。
【0088】インク保持体の材料としては、無機化合物
のポリマー、ポリウレタンや、ポリアセテート及びポリ
オレフィンからなる群より選択される高分子化合物材料
等を用いることができるが、先に述べたように、本発明
においては、ポリアセテート及びポリオレフィンからな
る群より選択される化合物を含むインク保持体を使用す
る。更に、インク保持体が多孔質体であるものや、好ま
しくは多層構造を有するものを使用することが好ましい
が、インク保持性、インク吐出性、信頼性の面から、繊
維の集合体を圧縮したタイプが特に良好である。例え
ば、ポリプロピレンの繊維集合体からなるインク保持体
が好適に利用ができる。又、多層構造体の多層配列方向
や繊維集合体の繊維配列方向が、インク収容部のインク
排出方向に配列しているものを使用することが好まし
い。更に、上記したようなインク保持体がインク収容部
と接触面を有しているものを使用することが好ましい。
72は、記録ユニット内部を大気に連通させるための大
気連通口である。この記録ユニット70は、図4で示す
記録ヘッドに代えて用いられるものであって、キャリッ
ジ66に対し着脱自在になっている。
【0089】次に、本発明に好適に使用できる記録装置
及び記録ヘッドの他の具体例を説明する。図13は、本
発明に係る吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の液
体吐出ヘッドとしての液体吐出ヘッド、及びこのヘッド
を用いる液体吐出装置としてのインクジェットプリンタ
の一例の要部を示す概略斜視図である。
【0090】図13においては、インクジェットプリン
タは、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けら
れる被記録材としての用紙1028を図中に示す矢印P
で示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030と、搬
送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直
交する矢印S方向に、ガイド軸1014に沿って略平行
に往復運動せしめられる記録部1010と、記録部10
10を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部10
06とを含んで構成されている。
【0091】上記搬送装置1030は、互いに略平行に
対向配置されている一対のローラユニット1022a及
び1022bと、一対のローラユニット1024a及び
1024bと、これらの各ローラユニットを駆動させる
ための駆動部1020とを備えている。かかる構成によ
り、搬送装置1030の駆動部1020が作動状態とさ
れると、用紙1028が、それぞれのローラユニット1
022a及び1022bと、ローラユニット1024a
及び1024bにより狭持されて、図13に示す矢印P
方向に間欠送りで搬送されることとなる。
【0092】移動駆動部1006は、所定の間隔をもっ
て対向配置される回転軸に配されるプーリ1026a、
及び、プーリ1026bに巻きかけられるベルト101
6、ローラユニット1022a、及び、ローラユニット
1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリ
ッジ部材1010aに連結されるベルト1016を順方
向及び逆方向に駆動させるモータ1018とを含んで構
成されている。
【0093】モータ1018が作動状態とされてベルト
1016が図13の矢印R方向に回転したとき、記録部
1010のキャリッジ部材1010aは図13の矢印S
方向に所定の移動量だけ移動される。又、モータ101
8が作動状態とされてベルト1016が図中に示した矢
印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010の
キャリッジ部材1010aは図13の矢印S方向とは反
対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。更
に、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材
1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1
010の吐出回復処理を行うための回復ユニット102
6が記録部1010のインク吐出口配列に対向して設け
られている。
【0094】記録部1010は、インクジェットカート
リッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合があ
る)1012Y、1012M、1012C及び1012
Bが各色、例えばイエロー、マゼンタ、シアン及びブラ
ック毎にそれぞれ、キャリッジ部材1010aに対して
着脱自在に備えられる。
【0095】図14は上述のインクジェット記録装置に
搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示す。
本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプ
のものであり、インクジェット記録ヘッド100と、イ
ンク等の液体を収容する液体タンク1001とで主要部
が構成されている。
【0096】インクジェット記録ヘッド100は液体を
吐出するための多数の吐出口832が形成されており、
インク等の液体は、液体タンク1001から図示しない
液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室
(図15参照)へと導かれるようになっている。図14
に示したカートリッジ1012は、インクジェット記録
ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成
し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給で
きるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド10
0に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構
造を採用するようにしてもよい。
【0097】このような構成のインクジェットプリンタ
に搭載され得る上述の液体吐出ヘッドの具体例を以下に
更に詳しく説明する。図15は、本発明で使用するイン
クジェット記録装置に好適な液体吐出ヘッドの要部を模
式的に示す概略斜視図であり、図16〜図19は図15
に示した液体吐出ヘッドの吐出口形状を示す正面図であ
る。尚、これらの図において電気熱変換素子を駆動する
ための電気的な配線等は省略している。
【0098】本例の液体吐出ヘッドにおいては、例えば
図15に示されるような、ガラス、セラミックス、プラ
スチック或いは金属等からなる基板934が用いられ
る。このような基板の材質は、本発明の本質ではなく、
流路構成部材の一部として機能し、インク吐出エネルギ
ー発生素子、及び後述する液流路、吐出口を形成する材
料層の支持体として、機能し得るものであれば特に限定
されるものではない。そこで、本例では、Si基板(ウ
エハ)を用いた場合で説明する。このような基板934
上にインク吐出口を形成するが、その方法としては、レ
ーザー光による形成方法の他、例えば、後述するオリフ
ィスプレート(吐出口プレート)935を感光性樹脂と
して、MPA(Mirror Projection Aliner)等の露光装
置により吐出口を形成する方法も挙げられる。
【0099】図15において934は、電気熱変換素子
(以下、ヒータと記述する場合がある)931、及び共
通液室部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口
933を備える基板であり、インク供給口933の長手
方向の両側には、熱エネルギー発生手段であるヒータ9
31がそれぞれ1列ずつ千鳥状に、電気熱変換素子の間
隔が、例えば、300dpiで配列されている。又、こ
の基板934上には、インク流路を形成するためのイン
ク流路壁936が設けられている。このインク流路壁9
36には、更に吐出口832を備える吐出口プレート9
35が設けられている。
【0100】ここで、図15においては、インク流路壁
936と吐出口プレート935とは別部材として示され
ているが、このインク流路壁936を、例えば、スピン
コート等の手法によって基板934上に形成することに
よりインク流路壁936と吐出口プレート935とを同
一部材として同時に形成することも可能である。ここで
は、更に、吐出口面(上面)935a側は撥水処理が施
されている。
【0101】例示した装置では、図13の矢印S方向に
走査しながら記録を行うシリアルタイプのヘッドを用
い、例えば、1,200dpiで記録を行う。駆動周波
数は10kHzであり、一つの吐出口では最短時間間隔
100μs毎に吐出を行うことになる。
【0102】又、ヘッドの実例寸法の一例としては、例
えば、図16に示すように、隣接するノズルを流体的に
隔離する隔壁936aは、幅w=14μmである。図1
9に示すように、インク流路壁936により形成される
発泡室1337は、N1(発泡室の幅寸法)=33μ
m、N2(発泡室の長さ寸法)=35μmである。ヒー
タ931のサイズは30μm×30μmでヒータ抵抗値
は53Ωであり、駆動電圧は10.3Vである。又、イ
ンク流路壁936及び隔壁936aの高さは12μm
で、吐出口プレート厚は11μmのものが使用できる。
【0103】図15に示したように、吐出口832を含
む吐出口プレートに設けられた吐出口部940の断面の
うち、インクの吐出方向(オリフィスプレート935の
厚み方向)に交差する方向で切断してみた断面の形状
は、図17に示したように、概略星形となっており、鈍
角の角を有する6つの起部832aと、これら起部83
2aの間に交互に配され、且つ、鋭角の角を有する6つ
の伏部832bとから概略構成されている。即ち、吐出
口の中心Oから局所的に離れた領域としての伏部832
bをその頂部、この領域に隣接する吐出口の中心Oから
局所的に近い領域としての起部832aをその基部とし
て、図15に示すオリフィスプレートの厚み方向(液体
の吐出方向)に6つの溝が形成されている(溝部の位置
については図20の1141a参照)。
【0104】図示した例の液体吐出ヘッドにおいては、
吐出口部940は、例えばその厚み方向に交差する方向
で切断した断面が一辺27μmの二つの正三角形を60
度回転させた状態で組み合わせた形状となっており、図
17に示すT1は8μmである。起部832aの角度は
すべて120度であり、伏部832bの角度はすべて6
0度である。
【0105】従って、吐出口の中心Oと、互いに隣接す
る溝の中心部(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの
基部とを結んでできる図形の中心(重心))を結んで形
成される多角形の重心Gとが一致するようになっている
(図17参照)。本例の吐出口832の開口面積は40
0μm2であり、溝部の開口面積(溝の頂部と、この頂
部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の面積)
は1つあたり約33μm2となっている。図18は図1
7に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図
である。図18において、Cはインク付着部を表す。
【0106】次に、上述の構成のインクジェット記録ヘ
ッドによる液体の吐出動作について図20〜図27を用
いて説明する。図20〜図27は、図15〜図19に記
載の液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための断
面図であり、図19に示す発泡室1337のX−X断面
図である。この断面において吐出口部940のオリフィ
スプレート厚み方向の端部は、溝1141の頂部114
1aとなっている。
【0107】図20はヒータ上に膜状の気泡が生成した
状態を示し、図21は図20の約1μs後、図22は図
20の約2μs後、図23は図20の約3μs後、図2
4は図20の約4μs後、図25は図20の約5μs
後、図26は図20の約6μs後、図27は図20の約
7μs後の状態をそれぞれ示している。尚、以下の説明
において、「落下」又は「落とし込み」、「落ち込み」
とは、いわゆる重力方向への落下という意味ではなく、
ヘッドの取り付け方向によらず、電気熱変換素子の方向
への移動をいう。
【0108】先ず、図20に示すように、記録信号等に
基づいたヒータ931への通電に伴いヒータ931上の
液流路1338内に気泡101が生成されると、該気泡
は約2μs間に図21及び図22に示すように急激に体
積膨張して成長する。気泡101の最大体積時における
高さは吐出口面935aを上回るが、このとき、気泡の
圧力は大気圧の数分の1から10数分の1にまで減少し
ている。
【0109】次に、気泡101の生成から約2μs後の
時点で気泡101は上述のように最大体積から体積減少
に転じるが、これとほぼ同時にメニスカス1004の形
成も始まる。このメニスカス1004も図23に示すよ
うにヒータ931側への方向に後退、すなわち落下して
ゆく。
【0110】ここで、図示した例の液体吐出ヘッドにお
いては、吐出口部に複数の溝1141が分散した状態で
設けられていることにより、メニスカス1004が後退
する際に、溝1141の部分ではメニスカス後退方向F
Mとは反対方向FCに毛管力が作用する。その結果、仮
に何らかの原因により気泡101の状態に多少のバラツ
キが認められたとしても、メニスカスの後退時のメニス
カス及び主液滴(以下、液体又はインクと記述する場合
がある)Iaの形状が、吐出口中心に対して略対称形状
となるように補正される。
【0111】そして、図示した例の液体吐出ヘッドで
は、このメニスカス1004の落下速度が気泡101の
収縮速度よりも速いために、図24に示したように、気
泡の生成から約4μs後の時点で気泡101が吐出口8
32の下面近傍で大気に連通する。このとき、吐出口8
32の中心軸近傍の液体(インク)はヒータ931に向
かって落ち込んでゆく。これは、大気に連通する前の気
泡101の負圧によってヒータ931側に引き戻された
液体(インク)Iaが、気泡101の大気連通後も慣性
でヒータ931面方向の速度を保持しているからであ
る。
【0112】ヒータ931側に向かって落ち込んでいっ
た液体(インク)は、図25に示すように気泡101の
生成から約5μs後の時点でヒータ931の表面に到達
し、図26に示すようにヒータ931の表面を覆うよう
に拡がってゆく。このようにヒータ931の表面を覆う
ように拡がった液体はヒータ931の表面に沿った水平
方向のベクトルを有するが、ヒータ931の表面に交差
する、例えば、垂直方向のベクトルは消滅し、ヒータ9
31の表面上に留まろうとし、それよりも上側の液体、
すなわち吐出方向の速度ベクトルを保つ液体を下方向に
引っ張ることになる。
【0113】その後、ヒータ931の表面に拡がった液
体と上側の液体(主液滴)との間の液体部分Ibが細く
なってゆき、気泡101の生成から約7μs後の時点で
図27に示すようにヒータ931の表面の中央で液体部
分Ibが切断され、吐出方向の速度ベクトルを保つ主液
滴Iaとヒータ931の表面上に拡がった液体Icとに分
離される。このように分離の位置は液流路1338内
部、より好ましくは吐出口832よりも電気熱変換素子
931側が望ましい。
【0114】主液滴Iaは吐出方向に偏りがなく、吐出
ヨレすることなく、吐出口832の中央部分から吐出さ
れ、被記録材の被記録面の所定位置に着弾される。又、
ヒータ931の表面上に拡がった液体Icは、従来であ
れば主液滴の後続としてサテライト滴となって飛翔する
ものであるが、ヒータ931の表面上に留まり、吐出さ
れない。
【0115】このようにサテライト滴の吐出を抑制する
ことができるため、サテライト滴の吐出により発生し易
いスプラッシュを防止することができ、霧状に浮遊する
ミストにより被記録材の被記録面が汚れるのを確実に防
止することが可能となる。尚、図24〜図27におい
て、Idは溝部に付着したインク(溝内のインク)を、
又、Ieは液流路内に残存しているインクを表してい
る。
【0116】このように、図示した例の液体吐出ヘッド
では、気泡が最大体積に成長した後の体積減少段階で液
体を吐出する際に、吐出口の中心に対して分散した複数
の溝により、吐出時の主液滴の方向を安定化させること
ができる。その結果、吐出方向のヨレのない、着弾精度
の高い液体吐出ヘッドを提供することができる。又、高
い駆動周波数での発泡ばらつきに対しても吐出を安定し
て行うことができることによる、高速高精細印字を実現
することができる。
【0117】特に、図示した例の液体吐出ヘッドでは、
気泡の体積減少段階でこの気泡を始めて大気と連通させ
ることで液体を吐出することにより、気泡を大気に連通
させて液滴を吐出する際に発生するミストを防止できる
ので、所謂、突然不吐出の要因となる、吐出口面に液滴
が付着する状態を抑制することもできる。
【0118】本発明に好適に使用できる、上記したよう
な吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の記録ヘッド
の他の実施態様として、例えば特許第2783647号
公報に記載のように、いわゆるエッジシュータータイプ
が挙げられる。
【0119】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記
録を行うインクジェット方式の記録ヘッドや記録装置に
おいて、優れた効果をもたらすものである。
【0120】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,
740,796号明細書に開示されている基本的な原理
を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオン
デマンド型、コンティニュアス型の何れにも適用可能で
あるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(イン
ク)が保持されているシートや液路に対応して配置され
ている電気熱変換体に、記録情報に対応していて膜沸騰
を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動
信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネル
ギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生
じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液
体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。こ
の気泡の成長及び収縮により吐出用開口を介して液体
(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成す
る。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気
泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液
体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0121】このパルス形状の駆動信号としては、米国
特許第4,463,359号明細書及び同第4,34
5,262号明細書に記載されているようなものが適し
ている。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の
米国特許第4,313,124号明細書に記載されてい
る条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことがで
きる。
【0122】本発明で使用するインクジェット記録装置
を構成する記録ヘッドの構成としては、上記に挙げた各
明細書に開示されているような吐出口、液路及び電気熱
変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流
路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている
構成を開示する米国特許第4,558,333号明細
書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構
成のものを使用することも好ましい。
【0123】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギー
の圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開
示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成
としても本発明は有効である。
【0124】更に、記録装置が記録できる最大範囲の被
記録材の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの
記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されている
ような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを
満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドと
しての構成の何れでもよいが、本発明は、上述した効果
を一層有効に発揮することができる。
【0125】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、或
いは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられ
たカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本
発明は有効である。
【0126】又、本発明で使用するインクジェット記録
装置の構成に設けられる、記録ヘッドに対しての回復手
段、予備的な補助手段等を付加することは、本発明の効
果を一層安定できるので好ましいものである。これらを
具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング
手段、クリーニング手段、加圧或いは吸引手段、電気熱
変換体或いはこれとは別の加熱素子或いはこれらの組み
合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予
備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有
効である。
【0127】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッド
を一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも
よいが、異なる色の複色カラー、又は混色によるフルカ
ラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて
有効である。
【0128】以上の説明においては、インクを液体とし
て説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクで
あって、室温で軟化するもの、若しくは液体であるも
の、或いは上述のインクジェット方式においては、イン
ク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行
ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御
するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にイ
ンクが液状をなすものであれば何れのものでもよい。
【0129】加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温
をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネル
ギーとして使用せしめることで防止するか、又はインク
の蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用
いるかして、何れにしても熱エネルギーの記録信号に応
じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐
出するものや、被記録材に到達する時点では既に固化し
始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液
化する性質のインクの使用も本発明には適用可能であ
る。このような場合インクは、特開昭54−05684
7号公報或いは特開昭60−071260号公報に記載
されるような、多孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は
固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して
対向するような形態としても良い。本発明においては、
上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した
膜沸騰方式を実行するものである。
【0130】更に加えて、本発明で使用するインクジェ
ット記録装置の形態としては、ワードプロセッサやコン
ピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体、
又は別体に設けられるものの他、リーダと組み合せた複
写装置、更には送受信機能を有するファクシミリ装置の
形態を採るものであってもよい。
【0131】次に、上述した液体吐出ヘッドを搭載する
液体吐出装置の概略について説明する。図28は、上記
構成を有する液体吐出ヘッドを装着して適用することの
できる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装
置600の概略斜視図である。図28において、インク
ジェットヘッドカートリッジ601は、上述した液体吐
出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに供給するインクを保持
するインクタンクとが一体となったものである。このイ
ンクジェットヘッドカートリッジ601は、駆動モータ
602の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア603、6
04を介して回転するリードスクリュ605の螺旋溝6
06に対して係合するキャリッジ607上に搭載されて
おり、駆動モータ602の動力によってキャリッジ60
7とともにガイド608に沿って矢印a,b方向に往復
移動される。被記録材P’は、図示しない被記録材搬送
手段によってプラテンローラ609上を搬送され、紙押
え板610によりキャリッジ607の移動方向にわたっ
てプラテンローラ609に対して押圧される。
【0132】リードスクリュ605の一端の近傍には、
フォトカプラ611及び612が配設されている。これ
らはキャリッジ607のレバー607aのこの領域での
存在を確認し、駆動モータ602の回転方向切り換え等
を行うためのホームポジション検知手段である。
【0133】支持部材613は、上述のインクジェット
ヘッドカートリッジ601の吐出口のある前面(吐出口
面)を覆うキャップ部材614を支持するものである。
又、インク吸引手段615は、キャップ部材614の内
部にインクジェットヘッドカートリッジ601から空吐
出等されて溜まったインクを吸引するものである。この
インク吸引手段615によりキャップ内開口部(不図
示)を介してインクジェットヘッドカートリッジ601
の吸引回復が行われる。インクジェットヘッドカートリ
ッジ601の吐出口面を払拭するためのクリーニングブ
レード617は、移動部材618により前後方向(上記
キャリッジ607の移動方向に直交する方向)に移動可
能に設けられている。これらクリーニングブレード61
7及び移動部材618は、本体支持体619に支持され
ている。クリーニングブレード617は、この形態に限
らず、他の周知のクリーニングブレードであってもよ
い。
【0134】液体吐出ヘッドの吸引回復操作にあたっ
て、吸引を開始させるためのレバー620は、キャリッ
ジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、
駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換え等の
公知の伝達手段で移動制御される。インクジェットヘッ
ドカートリッジ601の液体吐出ヘッドに設けられた発
熱体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を
司ったりするインクジェット記録制御部は装置本体側に
設けられており、ここには図示しない。
【0135】上述の構成を有するインクジェット記録装
置600は、図示しない被記録材搬送手段によりプラテ
ンローラ609上を搬送される被記録材P’に対し、イ
ンクジェットヘッドカートリッジ601は被記録材P’
の全幅にわたって往復移動しながら記録を行う。
【0136】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明する。尚、文中、「部」及び「%」とあ
るものは、特に断りない限り質量基準である。 <実施例1〜8及び比較例1〜8>下記表1に示す各成
分を混合し、十分に攪拌して溶解及び/又は分散させた
後、ポアサイズ0.1μmのフロロポアフィルター(商
品名:住友電工(株)製)にて加圧濾過し、実施例及び
比較例で使用するNo.1〜8のインクをそれぞれ調製
した。
【0137】
【0138】<評価>表1に示した組成を有するNo.
1〜8のインクを、市販のインクジェットプリンターB
JC440J(商品名:キヤノン(株)製)に搭載し、
画出し試験をし、得られた画像について、下記の方法及
び基準でそれぞれ評価を行った。その際に、インク保持
体としてポリオレフィンであるポリプロピレンの繊維集
合体を有しているポリプロピレン製のインク収容体から
なるインクカートリッジを用いた場合を実施例1〜8と
した。これに対して、インク保持体として、ポリウレタ
ンからなる発泡体を有しているポリプロピレン製のイン
ク収容体からなるインクカートリッジを用いた場合を比
較例1〜8とした。表2に、得られた評価結果をまとめ
て示した。
【0139】1;(吐出性) 表1に示した組成を有するNo.1〜8のインクを、B
JC440Jの前記したそれぞれの材質のインク保持体
を有するインクタンクに所定量入れ、英数文字を市販の
上質紙にインクを使い切るまで記録した。そして、記録
後、記録の初めの記録物と最後の記録物について目視で
比較し、下記の基準で評価した。 A:両者で変化がなかった。 B:初めの記録物と比べて最後の記録物に若干品位の乱
れが見られる。 C:初めの記録物と比べて最後の記録物に品位の乱れが
多く見られる、又は、インクの不吐出が多く見られる。
【0140】2;(保存性の評価1) 表1に示した組成を有するNo.1〜8のインクを、前
記したそれぞれの材質のインク保持体を有するインクカ
ートリッジに入れ、60℃の環境下に3ヶ月間放置後、
23℃、50%RH環境下で、市販の上質紙にDuty
50%のベタを印字した。そして、蛍光強度測定機とし
て、FP−750(日本蛍光(株)製)を用い、No.
1〜8のインクに用いた色材の蛍光強度を最も測定し易
い条件である、励起波長260nm、発光波長600n
mで、得られた画像の蛍光強度を測定し、下記の基準で
評価した。 A:蛍光強度≧350 B:350>蛍光強度≧300 C:300>蛍光強度
【0141】3;(保存性の評価2) 表1に示した組成を有するNo.1〜8のインクをガラ
ス容器に入れて密閉し、60℃の環境下に1ケ月間放置
した後、更に常温環境下に1日放置後、インクを目視で
観察し、インクの保存性を下記の基準で評価した。尚、
本評価の結果は、インクそのものの保存性の評価である
が、実施例の項目に記載した。 A:沈降物、浮遊物も見られず、又、インク成分の分離
もなかった。 B:沈降物又は浮遊物が僅かに見られた。 C:インクの気液界面に分離が見られた。 D:沈降物が多量に見られた。
【0142】4;(発色性) 表1に示した組成を有するNo.1〜8のインクを前記
したそれぞれのインクカートリッジに入れ、市販の上質
紙に英数文字及び単色の画像を記録した。そして、得ら
れた記録物をそれぞれ目視で観察し、下記の基準で評価
した。 A:鮮やかさがある。 B:鮮やかさはないが、くすんでは見えない。 C:くすんで見える。
【0143】5;(蛍光特性の評価1) 表1に示した組成を有するNo.1〜8のインクを前記
したそれぞれのインクカートリッジに入れ、23℃、5
0%RH環境下で、市販の上質紙にDuty50%のベ
タを印字した。そして、得られた画像について、蛍光強
度測定機としてFP−750(日本蛍光(株)製)を用
い、No.1〜8のインクの色材の蛍光強度を最も測定
し易い条件である励起波長260nm、発光波長600
nmで蛍光強度を測定し、下記の基準でそれぞれ評価し
た。 A:蛍光強度≧350 B:350>蛍光強度≧300 C:300>蛍光強度
【0144】6;(蛍光特性の評価2) 蛍光特性の評価1と同じことを、15℃、10%の低温
低湿の環境下で行って、蛍光特性の評価1と同様の方法
及び基準で評価した。
【0145】
【0146】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
蛍光特性を十分に生かすことで、得られる記録物につい
て、自然界の色にとって重要な蛍光性を充分に記録部に
付与することができ、高い蛍光強度と、発色性を含めた
印字品位に優れた画像が得られ、しかも、インクの保存
性及び吐出性をも含め高い信頼性が得られ、その結果、
記録物の安定性や信頼性を向上させることのできる記録
方法、及び該方法に好適なインクカートリッジが提供さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置ヘッドの縦断面図であ
る。
【図2】インクジェット記録装置ヘッドの縦横面図であ
る。
【図3】図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外
観斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図で
ある。
【図5】インクカートリッジの縦断面図である。
【図6】記録ユニットの一例を示す斜視図である。
【図7】本発明のインクジェット記録方法によって得ら
れる画像の蛍光強度を含む発色のメカニズムを説明する
ための図である。
【図8】本発明のインクジェット記録方法によって得ら
れる画像の蛍光強度を含む発色のメカニズムを説明する
ための図である。
【図9】本発明のインクジェット記録方法によって得ら
れる画像の蛍光強度を含む発色のメカニズムを説明する
ための図である。
【図10】本発明のインクジェット記録方法によって得
られる画像の蛍光強度を含む発色のメカニズムを説明す
るための図である。
【図11】本発明のインクジェット記録方法によって得
られる画像の蛍光強度を含む発色のメカニズムを説明す
るための図である。
【図12】本発明のインクジェット記録方法によって得
られる画像の蛍光強度を含む発色のメカニズムを説明す
るための図である。
【図13】液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェット
プリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【図14】液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカー
トリッジの一例を示す概略斜視図である。
【図15】図14に示したインクジェットカートリッジ
に用いられている液体吐出ヘッドの一例の要部を模式的
に示す概略斜視図である。
【図16】図14に示した液体吐出ヘッドの一例の一部
を抽出した概念図である。
【図17】図16に示した吐出口の部分の拡大図であ
る。
【図18】図17に示した吐出口の部分のインク付着状
態を示す模式図である。
【図19】図16における主要部の模式図である。
【図20】図19中のX−X斜視断面形状に対応し図2
1〜図27と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時
的に説明するための概略断面図である。
【図21】図19中のX−X斜視断面形状に対応し図2
0及び図22〜図27と共に液体吐出ヘッドの液体吐出
動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図22】図19中のX−X斜視断面形状に対応し図2
0、図21及び図23〜図27と共に液体吐出ヘッドの
液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図であ
る。
【図23】図19中のX−X斜視断面形状に対応し図2
0〜図22及び図24〜図27と共に液体吐出ヘッドの
液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図であ
る。
【図24】図19中のX−X斜視断面形状に対応し図2
0〜図23及び図25〜図27と共に液体吐出ヘッドの
液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図であ
る。
【図25】図19中のX−X斜視断面形状に対応し図2
0〜図24及び図26、図27と共に液体吐出ヘッドの
液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図であ
る。
【図26】図19中のX−X斜視断面形状に対応し図2
0〜図25及び図27と共に液体吐出ヘッドの液体吐出
動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図27】図19中のX−X斜視断面形状に対応し図2
0〜図26と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時
的に説明するための概略断面図である。
【図28】本発明のインクジェット記録方法に用いるこ
とのできる液体吐出装置の一例であるインクジェット記
録装置600の概略斜視図である。
【符号の説明】
13:ヘッド 14:インク溝 15:発熱ヘッド 16:保護膜 17−1、17−2:アルミニウム電極 18:発熱抵抗体層 19:蓄熱層 20:基板 21:インク 22:吐出オリフィス(微細孔) 23:メニスカス 24:インク滴 25:被記録材 26:マルチ溝 27:ガラス板 28:発熱ヘッド 40:インク袋 42:栓 44:インク吸収体 45:インクカートリッジ 51:給紙部 52:紙送りローラー 53:排紙ローラー 61:ブレード 62:キャップ 63:インク吸収体 64:吐出回復部 65:記録ヘッド 66:キャリッジ 67:ガイド軸 68:モーター 69:ベルト 70:記録ユニット 71:ヘッド部 72:大気連通口 100:インクジェット記録ヘッド 101:気泡 102:記録ヘッド 600:インクジェット記録装置 601:インクジェットヘッドカートリッジ 602:駆動モータ 603、604:駆動力伝達ギア 605:リードスクリュ 606:螺旋溝 607:キャリッジ 607a:レバー 608:ガイド 609:プラテンローラ 610:紙押え板 611、612:フォトカプラ 613:支持部材 614:キャップ部材 615:インク吸引手段 617:クリーニングブレード 618:移動部材 619:本体支持体 620:(吸引開始)レバー 621:カム 832:吐出口 832a:起部 832b:伏部 931:電気熱変換素子(ヒータ、インク吐出エネルギ
ー発生素子) 933:インク供給口(開口部) 934:基板 935:オリフィスプレート(吐出口プレート) 935a:吐出口面 936:インク流路壁 936a:隔壁 940:吐出口部 1001:液体タンク 1004:メニスカス 1006:移動駆動部 1008:ケーシング 1010:記録部 1010a:キャリッジ部材 1012:カートリッジ 1012Y,M,C,B:インクジェットカートリッジ 1014:ガイド軸 1016:ベルト 1018:モータ 1020:駆動部 1022a、1022b:ローラユニット 1024a、1024b:ローラユニット 1026:回復ユニット 1026a、1026b:プーリ 1028:用紙 1030:搬送装置 1101:7003と色材を含んでいる層 1103:7001と色材を含んでいる層 1105:気液界面 1107:液液界面 1141:溝 1141a:頂部 1201:界面活性剤のミセル層 1337:発泡室 1338:液流路 7000:インク滴 7001:7003と相溶性ない有機化合物 7003:ノニオン性界面活性剤 7005:色材 7007:液媒体 7009:被記録材 C:インク付着部 FM:メニスカス後退方向 FC:メニスカス後退方向と反対方向 G:重心 I:インク Ia:主液滴(液体,インク) Ib、Ic:液体(インク) Id:溝部に付着したインク(溝内のインク) Ie:液流路内に残存しているインク N1:発泡室の幅寸法 N2:発泡室の長さ寸法 O:吐出口の中心 P’:被被記録材 P:用紙の搬送方向 R:ベルトの回転方向 S:用紙の搬送方向と略直交する方向 T1:吐出口伏部寸法 w:隔壁の幅寸法
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 祥司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA04 FA03 FC01 KC10 2H086 BA53 BA56 BA59 BA60 4J039 BA06 BC02 BC07 BC09 BC12 BC17 BC19 BC32 BC36 BC37 BC39 BE01 BE02 BE12 BE22 CA06 EA28 EA48 GA24

Claims (49)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク接液部材と、該インク接液部材と
    接しているインクとを具備しているインクタンクから供
    給されるインクを被記録材に対して間隙を介して供給す
    る工程を含む記録方法であって、該インクが 少なくと
    も i)蛍光性発色材と、 ii)ノニオン性界面活性剤と、 iii)該ノニオン性界面活性剤と相溶性のない化合物
    と、 iv)上記i)〜iii)を溶解又は分散するための液媒
    体、 を有する水性インクであり、且つ、上記インク接液部材
    が、ポリアセテート及びポリオレフィンからなる群より
    選択される化合物を含んでいることを特徴とする記録方
    法。
  2. 【請求項2】 前記インク接液部材が、インク収容体で
    ある請求項1に記載の記録方法。
  3. 【請求項3】 前記インク接液部材がインク保持体であ
    る請求項1に記載の記録方法。
  4. 【請求項4】 前記インク接液部材が、インク収容体
    と、該インク収容体がその内部に有しているインク保持
    体とである請求項2に記載の記録方法。
  5. 【請求項5】 被記録材に対して間隙を介して供給され
    る記録方法が、記録信号に応じてオリフィスよりインク
    滴を吐出させて被記録材に記録を行って記録物を得るイ
    ンクジェット記録方法である請求項1に記載の記録方
    法。
  6. 【請求項6】 インクに熱エネルギーを作用させてオリ
    フィスよりインク滴を吐出させる請求項5に記載の記録
    方法。
  7. 【請求項7】 前記蛍光性発色材が、水溶性或いは親水
    性である請求項1に記載の記録方法。
  8. 【請求項8】 前記蛍光性発色材のインク中における含
    有量が、インク中で最大蛍光強度を示す濃度以上である
    請求項1に記載の記録方法。
  9. 【請求項9】 前記蛍光性発色材の含有量が、インク全
    量に対して1.5質量%以下である請求項1に記載の記
    録方法。
  10. 【請求項10】 前記蛍光性発色材が、蛍光性色材であ
    る請求項1に記載の記録方法。
  11. 【請求項11】 前記ノニオン性界面活性剤が、常温で
    液状である請求項1に記載の記録方法。
  12. 【請求項12】 前記ノニオン性界面活性剤のHLB
    が、13以下である請求項1に記載の記録方法。
  13. 【請求項13】 前記ノニオン性界面活性剤の含有量
    が、インク中で分離することのない量である請求項1に
    記載の記録方法。
  14. 【請求項14】 前記ノニオン性界面活性剤のインク中
    での含有量が、蛍光性発色材を除いたインク中で分離す
    ることのない含有量である請求項1に記載の記録方法。
  15. 【請求項15】 前記ノニオン性界面活性剤の含有量
    が、インク全量に対して1.0質量%以上である請求項
    1に記載の記録方法。
  16. 【請求項16】 前記ノニオン性界面活性剤が、水溶性
    或いは親水性である請求項1に記載の記録方法。
  17. 【請求項17】 前記ノニオン性界面活性剤が、アセチ
    レン基を有している請求項1に記載の記録方法。
  18. 【請求項18】 前記ノニオン性界面活性剤が、下記一
    般式(I)で示される構造を有する請求項1に記載の記
    録方法。 [上記一般式(I)において、A及びBはそれぞれ独立
    に、Cn2n+1(nは1〜10の整数)を表し、X及び
    Yは、それぞれ開環したエチレンオキサイドユニット及
    び/又は開環したプロピレンオキサイドユニットを表
    す。]
  19. 【請求項19】 前記ノニオン性界面活性剤と相溶性の
    ない化合物の溶解度パラメーターが、15以上である請
    求項1に記載の記録方法。
  20. 【請求項20】 前記ノニオン性界面活性剤と相溶性の
    ない化合物が、常温で液状である請求項1又は4に記載
    の記録方法。
  21. 【請求項21】 前記ノニオン性界面活性剤と相溶性の
    ない化合物が、水溶性或いは親水性である請求項1に記
    載の記録方法。
  22. 【請求項22】 前記ノニオン性界面活性剤と相溶性の
    ない化合物が、糖アルコール、糖アルコールの複合体、
    及びこれらのエチレンオキサイド及び/又はプロピレン
    オキサイドを付加した化合物である請求項1に記載の記
    録方法。
  23. 【請求項23】 前記インク保持体が、ポリプロピレン
    で形成されている請求項3又は4に記載の記録方法。
  24. 【請求項24】 前記インク保持体が、縮合化合物で構
    成されている請求項3又は4に記載の記録方法。
  25. 【請求項25】 前記インク保持体が、繊維集合体であ
    る請求項3又は4に記載の記録方法。
  26. 【請求項26】 前記繊維集合体が、インク排出方向に
    配列されている請求項25に記載の記録方法。
  27. 【請求項27】 前記インク保持体が、インク収容体と
    接触面を有している請求項4に記載の記録方法。
  28. 【請求項28】 前記インクが、更に一価アルコールを
    含有している請求項1に記載の記録方法。
  29. 【請求項29】 前記インクが、更に蛍光性を示さない
    色材を含有している請求項1に記載の記録方法。
  30. 【請求項30】 前記蛍光性を示さない色材が、水溶性
    或いは親水性である請求項29に記載の記録方法。
  31. 【請求項31】 前記蛍光性を示さない色材が、アゾ染
    料である請求項29に記載の記録方法。
  32. 【請求項32】 前記蛍光性を示さない色材のインク中
    での含有量が、蛍光性発色材の含有量以上である請求項
    29に記載の記録方法。
  33. 【請求項33】 前記インクが、アンモニウムイオンと
    アルカリ金属イオンとを含有している請求項1に記載の
    記録方法。
  34. 【請求項34】 前記インクが、更に尿素及び尿素誘導
    体から選択された少なくとも一種を含有している請求項
    1に記載の記録方法。
  35. 【請求項35】 前記尿素誘導体が、尿素のアルキル誘
    導体、尿素のエチレンオキサイド及びプロピレンオキサ
    イド付加物から選択されたものである請求項34に記載
    の記録方法。
  36. 【請求項36】 前記インクの表面張力の値が、40m
    N/m(dyn/cm)以下である請求項1に記載の記
    録方法。
  37. 【請求項37】 前記インクのpHが、8以上である請
    求項1に記載の記録方法。
  38. 【請求項38】 少なくとも、i)蛍光性発色材と、 ii)ノニオン性界面活性剤と、 iii)該ノニオン性界面活性剤と相溶性のない化合物
    と、 iv)上記i)〜iii)を溶解又は分散するための液媒体
    を有する水性インクと、該インクと接するインク接液部
    材を具備しているインクカートリッジであって、該イン
    ク接液部材が、ポリアセテート及びポリオレフィンから
    なる群より選択される化合物を含む材料によって形成さ
    れていることを特徴とするインクカートリッジ。
  39. 【請求項39】 前記インク接液部材が、インク収容体
    と、該インク収容体の内部のインク保持体と、から選ば
    れる少なくとも一方である請求項38に記載のインクカ
    ートリッジ。
  40. 【請求項40】 前記インク保持体が、多孔質体である
    請求項39に記載のインクカートリッジ。
  41. 【請求項41】 前記インク保持体が、前記インク収容
    部と接触面を有している請求項39に記載のインクカー
    トリッジ。
  42. 【請求項42】 前記インク保持体が、多層構造を有し
    ている請求項39に記載のインクカートリッジ。
  43. 【請求項43】 前記多層構造を構成する層が、インク
    収容部のインク排出方向に配列している請求項42に記
    載のインクカートリッジ。
  44. 【請求項44】 前記インク保持体が、インク収容部と
    接触面を有している請求項42に記載のインクカートリ
    ッジ。
  45. 【請求項45】 前記インク保持体が、繊維集合体であ
    る請求項39に記載のインクカートリッジ。
  46. 【請求項46】 前記繊維集合体が、インク収容部のイ
    ンク排出方向に配列している請求項45に記載のインク
    カートリッジ。
  47. 【請求項47】 前記インク保持体が、インク収容部と
    接触面を有している請求項46に記載のインクカートリ
    ッジ。
  48. 【請求項48】 請求項38に記載のインクカートリッ
    ジと、該インクカートリッジが有しているインクを吐出
    するためのインクジェットヘッドと、を具備しているこ
    とを特徴とする印刷装置。
  49. 【請求項49】 請求項38に記載のインクカートリッ
    ジと、該インクカートリッジが有しているインクを吐出
    するためのインクジェットヘッドと、を具備しているこ
    とを特徴とする情報記録装置。
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