JP2005120217A - シアンインク、インクジェット記録方法、黒色画像の濃度及び定着性の向上方法 - Google Patents

シアンインク、インクジェット記録方法、黒色画像の濃度及び定着性の向上方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 インクジェット記録用インクに要求される吐出安定性等の特性を保ち、不使用ノズルにおけるスタートアップ性能等の低下もなく、あらゆる紙において充分な印字濃度を持ち、堅牢性に優れた画像の形成が可能な、1パス印字を行ってもブリード性能が低下せず鮮明な印字の形成が可能なインクの提供。
【解決手段】 顔料系ブラックインクと共にインクジェット記録用のインクセットを構成するシアンインクであって、シアン染料として1分子中にスルホン基が4基以上導入された銅フタロシアニン染料と、多価金属塩とを含有し、且つ上記顔料系ブラックインクのインク滴と混ざりあったときに、該ブラックインクの分散状態を不安定化させる反応性インクであり、且つ、シアンインクに含まれるシアン染料中の80質量%以上が該銅フタロシアニン染料であるシアンインク。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インク滴を微細な吐出口から噴射し、被記録材上に着弾させて記録を行うインクジェット法による黒色画像を含む多色画像の形成方法、黒色画像を含む多色画像における黒色画像の濃度及び定着性を向上させる方法、及びそれらに用いるシアンインクに関する。
インクジェット記録方法は、記録時の騒音の発生が少なく、高集積のヘッドを使用することにより、高解像度の記録画像を高速で得ることができるという利点を有している。このようなインクジェット記録方法に使用されるインクとしては、従来より、各種色材を水若しくは水と有機溶剤との混合液に溶解又は分散させた水系インクが使用されてきた。しかしながら、該インクによる多色画像は、2つの異なる色のインクが隣接して印字される際、一つの色が他の色に侵入して2色の境界が不鮮明になる現象、即ち、ブリードの発生が問題になっていた。特に、ブラックインクとカラーインクとの間のブリードの発生は、多色画像の画質に与える影響が大きい。
このようなブリード問題を改善するために、従来より種々の試みがなされているが、その一つに、カラーインクの構成を、色材として水溶性染料を使用したカラーインク中に多価金属塩を含有させる、乃至は該カラーインクのpHが酸性領域となるように調整することで、隣接して印字されたブラックインク中の色材(顔料)を凝集させることによりブリードを抑制する方法が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開平5−208548号公報 特開平6−106841号公報
しかしながら、これらいずれの方法においても、アニオン性の水溶性染料と多価金属塩、乃至は有機酸がインク中で共存することになるため、基本的に染料の溶解安定性が低下してしまうという懸念があった。特に、印字のスループットを上げるべく1パス印字を行う際は、従来のマルチパス印字時と比較して、ブリードの発生が顕著であるため、インク中の多価金属塩、乃至は有機酸の含有濃度を上げる必要があるが、この場合には、染料溶解性が特に低下しやすくなる。これに対し、染料溶解性が低下すると、インクジェット記録用のインクに要求される、吐出安定性、長期貯蔵安定性、微細なノズル先端で固化しない性質、更には、不使用ノズルにおけるスタートアップ性能(かすれ)等が低下しやすい傾向があった。特に、低温低湿下での不使用ノズルでのスタートアップ性能の低下が顕著であり、又、吐出液滴量が4pl以下の場合、ノズル口径も非常に小さいものとなるため、該現象は更に顕著になる。このため、早急な改善が望まれている。
従って、本発明は、上記諸問題を解決して、インクジェット記録用のインクに要求される、吐出安定性、長期貯蔵安定性、微細なノズル先端で固化しない性質等の特性を保ち、更に、不使用ノズルにおけるスタートアップ性能(かすれ)等の低下もなく、且つ、耐候性に優れる顔料系インクと、該インク中の色材(顔料)を凝集させる反応性を有するカラーインクとを用いることで、被記録材表面での顔料の凝集性を高め、普通紙を含むあらゆる紙において充分な印字濃度を持ち、堅牢性に優れた記録画像を形成することが可能なインクを提供することを目的とする。又、これとともに、印字のスループットを向上する、即ち、1パス印字を行ってもブリード性能が低下せず鮮明な印字の形成が可能なインクを提供することを目的とする。更に、本発明は、インクジェット法による黒色画像を含む多色画像の形成方法において、黒色画像の濃度及び定着性が向上した高品位画像を提供し得るシアンインク、インクジェット記録方法及び黒色画像の濃度及び定着性の向上方法を提供することを目的とする。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、[1]インクにエネルギーを付与して吐出口からインク滴を吐出させて黒色画像を含む多色の画像を形成する際に用いられる、色材として顔料を含む顔料系ブラックインクと共にインクジェット記録用インクセットを構成するシアンインクであって、該シアンインクは、シアン染料として1分子中にスルホン基が4基以上導入された銅フタロシアニン染料と、多価金属塩と、を含有し、且つ上記顔料系ブラックインクのインク滴と混ざりあったときに、該顔料系ブラックインクの分散状態を不安定化させる反応性インクであり、且つ、シアンインクに含まれるシアン染料の中の80質量%以上が上記銅フタロシアニン染料であることを特徴とするシアンインクである。
上記した本発明にかかるシアンインクの好ましい形態としては、下記の[2]〜[7]が挙げられる。[2]前記多価金属塩が、塩酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、亜硫酸塩及び亜硝酸塩から選ばれる少なくとも1つである上記[1]に記載のシアンインク。[3]前記硝酸塩が、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム及び硝酸バリウムから選ばれる少なくとも1つである上記[2]に記載のシアンインク。[4]前記塩酸塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム及び塩化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つである上記[2]に記載のシアンインク。[5]前記酢酸塩が、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム及び酢酸アルミニウムから選ばれる少なくとも1つである上記[2]に記載のシアンインク。[6]前記硫酸塩が、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム及び硫酸アルミニウムから選ばれる少なくとも1つである上記[2]に記載のシアンインク。[7]前記多価金属塩のインク中における含有量が、3.5〜15質量%である上記[1]〜[6]のいずれかに記載のシアンインク。
本発明の別の実施形態は、[8]インクにエネルギーを付与して吐出口からインク滴を吐出させて黒色画像を含む多色の画像を形成する際に用いられる、色材として顔料を含む顔料系ブラックインクと共にインクジェット記録用インクセットを構成するシアンインクであって、
該シアンインクは、シアン染料として1分子中に4基以上のスルホン基が導入された銅フタロシアニン染料を含み、且つpH6以下に調整されており、上記顔料系ブラックインクのインク滴と混ざりあったときに、該顔料系ブラックインクの分散状態を不安定化させる反応性インクであり、
該且つ、シアンインクに含まれるシアン染料の80質量%以上が該銅フタロシアニン染料であることを特徴とするシアンインクである。
本発明の別の実施形態は、上記[1]又は[8]に記載のシアンインクを含む染料系カラーインクと顔料系ブラックインクとを独立に有してなるインクジェット記録用インクセットを使用することを特徴とするインクジェット記録方法である。
本発明の別の実施形態は、上記[1]又は[8]に記載のシアンインクを含む染料系カラーインクと顔料系ブラックインクとを独立に有してなるインクジェット記録用インクセットを使用し、上記染料系カラーインクと、上記顔料系ブラックインクとを各々インクジェット法を用いて被記録材上に付与して形成される多色画像に含まれる黒色画像の濃度及び被記録材への定着性を向上させる方法であって、上記被記録材上の黒色画像が形成されるべき領域に、上記ブラックインクを付与する前、若しくは付与した後に、上記シアンインクを付与するように制御して、該ブラックインクのインク滴と該シアンインクのインク滴とが被記録材上で混ざりあうようにして画像を形成して、該ブラックインクの分散状態を不安定化させることを特徴とする黒色画像の濃度及び定着性の向上方法である。
以下に、本発明におけるシアンインクの効果について述べる。本発明者らは、上記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、色材として顔料を含む顔料系ブラックインクと色材として染料を含む染料系カラーインクとを独立に有してなるインクジェット記録用インクセットを用いる場合に、染料系カラーインクを構成するインクのうちの、シアンインクを反応性インクとし、且つシアンインク中のシアン染料として、後述する化学特性を有する化合物を使用することで、前記した種々の技術課題、即ち、インクジェット記録用のインクに要求される吐出安定性、長期貯蔵安定性、微細なノズル先端での固化性能等は勿論のこと、不使用ノズルでのスタートアップ性能の低下も抑制可能となることを見いだして本発明に至った。ここで、本発明における反応性インクとは、(1)多価金属塩が含有され、顔料系ブラックインクのインク滴と混ざりあったときに、該顔料系ブラックインクの分散状態を不安定化させるもの、(2)インクのpHがpH6以下に調整されており、顔料系ブラックインクのインク滴と混ざりあったときに、該顔料系ブラックインクの分散状態を不安定化させるもの、少なくともいずれかの構成を有するもののことである。
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
[シアンインク]
従来より、シアンインクの色材としては、耐光性が良好であり、且つ鮮明で良好な発色を示す銅フタロシアニン構造の水溶性染料が用いられてきた。しかしながら、本発明者らの検討によれば、ブリード抑制、発色性向上等の目的で、上記したような、インク中に多価金属塩を含有させたり、或いはインクのpHを酸性領域に調整してなる反応性シアンインクにおいては、シアン染料として銅フタロシアニン構造の水溶性染料を用いると、スタートアップ性能が低下してしまうといった問題が発生することがある。
(染料の種類)
この原因は、反応性シアンインク中に含有されている多価金属塩が、インク中に共存する上記染料との間でコンプレックスを形成し、染料溶解度が低下するためと考えられる。そこで、本発明者らは、この対策として、使用する染料の水溶性を高めることが必要であると考え、種々の染料について検討した結果、反応性シアンインクの色材として、1分子中にスルホン基が4基以上導入された構造を有する銅フタロシアニン染料、より具体的には、下記一般式(1)で表される構造の銅フタロシアニン染料を用いることが有効であることを見いだした。本発明者らは、上記した構造を有する銅フタロシアニン染料を、反応性シアンインクの色材として用いることで、該染料系インクと顔料系インクとを併用したインクセットを用いた場合に生じていた上記した課題を解決できることを見いだした。
Figure 2005120217
(上記式(1)中のnは、4以上の数であり、Jは連結基、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、有機アンモニウムのいずれかを示す。)
上記式(1)中の有機アンモニウムとしては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンが挙げられる。
本発明にかかるシアンインクは、顔料系インクと併用する染料系のインクであるが、その基本構成は、(1)多価金属塩を含有し、顔料系ブラックインクのインク滴と混ざりあったときに、該顔料系ブラックインクの分散状態を不安定化させるもの、或いは、(2)pH6以下に調整されており、顔料系ブラックインクのインク滴と混ざりあったときに、該顔料系ブラックインクの分散状態を不安定化させるものである。本発明にかかるシアンインクは、更に、上記に例示したような1分子中にスルホン基が4基以上導入された銅フタロシアニン染料が、シアンインクに含まれるシアン染料の80質量%以上の割合で含有されていることを特徴とするが、かかる染料とともに、市販の水溶性シアン染料を併用してもよい。この際に使用することのできる水溶性シアン染料としては、例えば、トリフェニルメタン系染料、及び上記以外の水溶性フタロシアニン染料等が挙げられる。但し、これらの補助的に併用する染料のインク中における含有量は、前記したスタートアップ性能を確保するため、反応性シアンインク中の全染料の20質量%未満とすることが好ましい。
(銅フタロシアニン染料の合成方法)
本発明で使用することのできる前記した一般式(1)の構造を有する銅フタロシアニン染料は、従来公知の合成方法に従って得ることができるが、具体的には、フタロシアニン化合物をスルホン化する工程を通して得ることができる。このスルホン化には、官能基の導入されていないフタロシアニン顔料を、発煙硫酸又はクロルスルホン酸等の強酸と一緒に加熱する方法や、既に置換基が導入されたフタル酸、フタルイミド等の中間体を用いて縮合環化反応により置換フタロシアニン染料を得る方法が主に挙げられる。
本発明で好ましく用いられるシアン染料は、後者の方法によって合成されたものを用いるのが好ましい。前者の方法により合成されたフタロシアニン染料は、一般的なインクジェットインクの色材として用いる限りは、耐光性、色調、溶解性等、全く問題なく良好な性能を示すが、本発明のような反応性シアンインクの色材として用いるには好ましくない。その理由としては、該方法では、スルホン基の導入が不十分な成分が混入してしまい、そのような成分の染料は、水溶性に乏しく、従って、共存する多価金属塩とコンプレックスを形成し、その結果、スタートアップ性能が低下してしまうことがあるためであると考えられる。従って、本発明で使用する銅フタロシアニン染料は、後者の合成方法を用いて得たものを使用することが好ましい。この方法によれば、水溶性の乏しい成分が混入することがないため、スタートアップ性能が低下することが防止できる。後者の合成方法を用いて得られる銅フタロシアニン染料としては、例えば、下記の構造を有するものが挙げられる。これらの染料は、いずれも本発明に好適に使用できる。
Figure 2005120217
(上記各式中のXは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、有機アンモニウムのいずれかを示す。)
上記の有機アンモニウムとしては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンが挙げられる。
(染料の濃度)
本発明にかかる反応性シアンインク中における上記したような銅フタロシアニン染料を含む染料の濃度としては、得られる画像の発色性や、インクジェット特性の観点から、0.1〜10質量%とするのが好ましい。
(溶媒組成)
本発明にかかるシアンインクは、上記したような染料を、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒に溶解することで得られる。その際に使用できる水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプロピルアルコール等の1価アルコール類、その他、グリセリン、n−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルフォキサイド等を挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は、ノズル先端でのインクの固化、目詰まりを防止するものであり、インク全量に対して、1〜80質量%の範囲で含有されていることが好ましい。
水としては、種々のイオンを含有する水ではなく、イオン交換水が好ましく、インク全量の10〜90質量%含有されていることが好ましい。
(多価金属塩)
本発明にかかるシアンインクは、先に述べたように、併用する顔料系インクのインク滴と混ざりあったときに、該顔料系ブラックインクの分散状態を不安定化させる反応性インクであり、第1の形態としては、シアンインク中に、下記に挙げるような多価金属塩を含有させた形態が挙げられる。即ち、染料系インクであるシアンインク中に多価金属塩を含有させておくことで、顔料系インク中の顔料の凝集を促進することができる。
本発明で使用することのできる多価金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム等の塩酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸アルミニウム等の酢酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩、更に、亜硫酸塩、亜硝酸塩等を使用することができる。但し、水に溶解し、電離するものならば、上記に限定されない。上記したような多価金属塩の含有量は、インク全量の3.5〜15質量%であることが好ましい。
(インクのpH)
本発明にかかるシアンインクは、上記した多価金属塩を含有させる代わりにpH6以下に調整することで、顔料系インクの顔料の凝集を促進させる形態としてもよい。上記した多価金属塩を含有させる場合においても勿論、インクのpHを6以下に調整してもよい。インクのpHを6以下にする調整方法としては、酢酸、塩酸等の酸を必要に応じて添加する方法、塩基性染料を使用する方法等がある。
(添加剤)
本発明にかかるシアンインクは、上記した成分の他、必要に応じて、防錆剤、防腐剤、防かび剤等の各種添加剤を含有させてもよい。
[その他のインク]
上記で説明した本発明にかかるシアンインクは、色材として顔料を含む顔料系ブラックインクと色材として染料を含む染料系カラーインクとを独立に有してなるインクジェット記録用インクセットを構成する染料系カラーインクの一つに用いられる。以下、本発明にかかるシアンインクと併用されるその他のインクの好適な形態について説明する。
(顔料系ブラックインク)
顔料系ブラックインクは、少なくとも顔料分散液、水溶性有機溶媒及び水から構成されることが好ましい。顔料分散液は、顔料を高分子分散剤に分散させたものである。顔料としては、カーボンブラックが好ましく、特に、ファーネス法、チャネル法で製造され、1次粒子径が15〜40mμ(nm)、BET法による比表面積が50〜300m2/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pHが2〜9のカーボンブラックを用いることが好ましい。そのようなカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF.88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、No.2200B(以上、三菱化成製)、RAVEN1255(コロンビア製)、REGAL400R、REGAL330R、REGAL660R、MOGUL L(以上、キャボット製)、Color Black FW1、Color Black FW18、Color Black S170、Color Black S150、Printex 35、Printex U(以上、テグッサ製)等の市販品が挙げられる。これらを使用してもよいし、新たに製造したものでもよい。
高分子分散剤としては、水溶性樹脂であることが好ましく、重量平均分子量が1,000〜30,000、とりわけ3,000〜15,000の樹脂が好ましい。例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と脂肪族アルコールとのエステル、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つの単量体からなり、塩基を溶解させた水溶液及びアルカリ溶液に可溶であるブロック共重合体、グラフト共重合体若しくはランダム共重合体、又はこれらの塩、親水性単量体からなるホモポリマー又はそれらの塩、又はポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の水溶性樹脂を分散剤として挙げることができる。とりわけ、アルカリ可溶型の樹脂は、分散液の低粘度化が可能で、分散も容易である利点がある。更に、pH6以下で凝集を開始する水溶性樹脂を用いることが、画像濃度の向上の点からは、特に好ましい。
分散剤は、インク全量に対して、0.1〜5質量%使用することが好ましい。本発明においては、前記分散剤の溶解性を向上させ、長期保存性を向上させるために、インク全体を中性〜アルカリ性に調整することが、好ましい。但し、この場合、インクジェット記録装置に使用される種々の部材の腐食をさせない程度にpH7〜10とすることが好ましい。この際のpHの調整は、各種界面活性剤、浸透性を付与する溶剤等を適宜含有させることによって行うことができる。
その際の界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、脂肪族アミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン界面活性剤、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪族エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルカノールアミンの脂肪酸アミド類等の非イオン性界面活性剤、アミノ酸型若しくはベタイン型界面活性剤等を使用することができる。とりわけ、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物等の非イオン性界面活性剤が好ましい。更に好ましくは、エチレンオキサイド付加物の付加モル数は4〜20である。
上記界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類にもよるが、インクの被記録材への浸透性の制御性とインクの初期粘度の上昇の抑制するために、0.01〜10質量%とすることが好ましい。
浸透性を付与する溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプロピルアルコール等が好ましい。これらの含有量は、インクの浸透性や着色剤の溶解性の観点から、インク全量の0.1〜20質量%とすることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプロピルアルコール等の1価アルコール類、その他、グリセリン、n−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルフォキサイド等を使用することができる。これらの水溶性有機溶剤は、ノズル先端でのインクの固化、目詰まりを防止するものであり、インク全量に対して、1〜80質量%含有されていることが好ましい。
水としては、種々のイオンを含有する水ではなく、イオン交換水が好ましく、インク全量の10〜90質量%含有されていることが好ましい。又、所望の物性値を得るために上記成分の他に必要に応じて、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等を添加してもよい。
(シアン以外の染料系カラーインク)
シアンインク以外の染料系カラーインクは、少なくとも各色の水溶性染料、水及び水溶性有機溶剤からなる。シアン以外の水溶性染料としては、通常のインクジェット記録方法に使用されるものが使用でき、例えば、
マゼンタインク:C.I.Basic Red27、C.I.Basic Red46、C.I.Basic Red29、C.I.Acid Red35、C.I.Acid Red37、
イエローインク:C.I.Basic Yellow24、C.I.Basic Yellow51、C.I.Basic Yellow67、C.I.Direct Yellow86、C.I.Direct Yellow142、C.I.Acid Yellow23
等のカラーインデックスに記載されている水溶性の酸性染料、直接染料、塩基性染料等を挙げることができる。又、カラーインデックスに記載のないものでも、水溶性染料であれば使用できる。
染料系カラーインクを構成する水溶性有機溶剤、水については、先に説明した顔料系ブラックインクと同様である。又、所望の物性値を得るために上記成分の他に必要に応じて、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等を添加してもよい。
次いで、本発明にかかるインクジェット記録方法、或いは黒色画像濃度及び定着性の向上方法に好適な記録装置について説明する。本発明において使用するインクを被記録材に付着せしめる方法としては、種々のインクジェット記録方式を用いることができるが、特に好ましいのは、熱エネルギーによって発生した気泡を用いて液滴を吐出するいわゆるオンデマンド型のサーマルインクジェット方式である。
次に、本発明にかかるインクジェット記録方法において使用する、前記した構成を有する本発明かかるシアンインク、これと併用する顔料系ブラックインクを適用することが好適なインクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録装置、及び、これらの装置に好適に用いられる液体吐出ヘッドの構成の具体例を説明する。図1は、本発明にかかるインクジェット記録方法において使用するインクジェット記録装置に好適な、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式のインクジェット記録ヘッドとしての液体吐出ヘッド、及び、このヘッドを用いる液体吐出装置としてのインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
図1においては、インクジェットプリンタは、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられる被記録材としての用紙1028を、図中に示した矢印Pで示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030と、該搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する矢印S方向に略平行に、ガイド軸1014に沿って往復運動せしめられる記録部1010と、記録部1010を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026a、及び、該プーリ1026bに巻きかけられるベルト1016、ローラユニット1022a、及び、該ローラユニット1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を順方向及び逆方向に駆動させるモータ1018、とを含んで構成されている。
モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図1の矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは、図1の矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。又、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図中に示した矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは、図1の矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。更に、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が、記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
記録部1010は、インクジェットカートリッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合がある)1012Y、1012M、1012C及び1012Bが各色、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック顔料を含有した着色顔料インクとして、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。
上記図1では、記録ヘッドを4個使用した例を示したが、これに限定されず、1つの記録ヘッドでイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックインクを液流路を分けて供給する方法でもよい。何れのヘッド構成でもブラックの記録信号を受けたとき、染料系インクの特に本発明にかかるシアンインクが顔料系インクのブラックインクの印字される前、若しくは印字された後にブラックインクと同じ場所に着弾するように構成する。着弾順序は、どちらが先でもよいが、ブラックインクとシアンインクとを殆ど時間差を設けずに着弾させる場合は、ブラックインクを先に着弾させる方がインクの紙に対する定着が速く完了するので好ましい。
図2は、上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示す。本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インク等の液体を収容する液体タンク1001とで主要部が構成されている。
インクジェット記録ヘッド100は、液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、各インクは、液体タンク1001から図示しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(図3参照)へと導かれるようになっている。図2に示したカートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。
このような構成のインクジェットプリンタに搭載され得る上述の液体吐出ヘッドの具体例を、以下に更に詳しく説明する。図3は、本発明のインクジェット記録装置に好適な液体吐出ヘッドの要部を模式的に示した概略斜視図である。尚、これらの図において、電気熱変換素子を駆動するための電気的な配線等は省略している。
本発明で使用する液体吐出ヘッドにおいては、例えば、図3に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチック或いは金属等からなる基板934が用いられる。このような基板の材質は、本発明の本質ではなく、流路構成部材の一部として機能し、インク吐出エネルギー発生素子、及び後述する液流路、吐出口を形成する材料層の支持体として、機能し得るものであれば特に限定されるものではない。そこで、本例では、Si基板(ウエハ)を用いた場合で説明する。このような基板934上にインク吐出口を形成するが、その方法としては、レーザー光による形成方法の他、例えば、後述するオリフィスプレート(吐出口プレート)935を感光性樹脂として、MPA(Mirror ProjectionAliner)等の露光装置により、吐出口を形成する方法も挙げられる。
図3において、934は、電気熱変換素子(以下、ヒータと記述する場合がある)931、及び、共通液室部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口933を備える基板であり、該インク供給口933の長手方向の両側には、熱エネルギー発生手段であるヒータ931がそれぞれ1列ずつ千鳥状に、電気熱変換素子の間隔が、例えば、300dpiで配列されている。又、この基板934には、インク流路を形成するためのインク流路壁936が設けられている。このインク流路壁936には、更に吐出口832を備える吐出口プレート935が設けられている。
ここで、図3においては、インク流路壁936と吐出口プレート935とは、別部材として示されているが、このインク流路壁936を、例えば、スピンコート等の手法によって基板934上に形成することにより、インク流路壁936と吐出口プレート935とを同一部材として同時に形成することも可能である。ここでは、更に、吐出口面(上面)935a側は撥水処理が施されている。
例示した装置では、図1の矢印S方向に走査しながら記録を行うシリアルタイプのヘッドを用い、例えば、1,200dpiで記録を行う。駆動周波数は10kHzであり、一つの吐出口では、最短時間間隔100μs毎に吐出を行うことになる。
次に、上述の構成のインクジェット記録ヘッドによる液体の吐出動作について図4〜図11を用いて説明する。図4〜図11は、図3に記載の液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための断面図であり、図3に示すX−X断面図である。この断面において吐出口部940のオリフィスプレート厚み方向の端部は、溝1141の頂部1141aとなっている。
図4は、ヒータ上に膜状の気泡が生成した状態を示し、図5は、図4の約1μs後、図6は、図4の約2μs後、図7は、図4の約3μs後、図8は、図4の約4μs後、図9は、図4の約5μs後、図10は、図4の約6μs後、図11は、図4の約7μs後の状態をそれぞれ示している。尚、以下の説明において、「落下」又は「落とし込み」、「落ち込み」とは、いわゆる重力方向への落下という意味ではなく、ヘッドの取り付け方向によらず、電気熱変換素子の方向への移動をいう。
先ず、図4に示すように、記録信号等に基づいたヒータ931への通電に伴ってヒータ931上の液流路1338内に気泡101が生成されると、該気泡は、2μs間に図5及び図6に示したように急激に体積膨張して成長する。気泡101の最大体積時における高さは吐出口面935aを上回るが、このとき、気泡の圧力は大気圧の数分の1から10数分の1にまで減少している。
次に、気泡101の生成から約2μs後の時点で、気泡101は上述のように最大体積から体積減少に転じるが、これとほぼ同時にメニスカス102の形成も始まる。このメニスカス102も、図7に示したように、ヒータ931側への方向に後退、即ち、落下してゆく。
ここで、図示した例の液体吐出ヘッドにおいては、吐出口部に複数の溝1141が分散した状態で設けられていることにより、メニスカス102が後退する際に、溝1141の部分では、メニスカス後退方向FMとは反対方向FCに毛管力が作用する。その結果、仮に何らかの原因により気泡101の状態に多少のバラツキが認められたとしても、メニスカスの後退時のメニスカス及び主液滴(以下、液体又はインクと記述する場合がある)Iaの形状が、吐出口中心に対して略対称形状となるように補正される。
そして、図示した例の液体吐出ヘッドでは、このメニスカス102の落下速度が気泡101の収縮速度よりも速いために、図8に示したように、気泡の生成から約4μs後の時点で気泡101が吐出口832の下面近傍で大気に連通する。このとき、吐出口832の中心軸近傍の液体(インク)は、ヒータ931に向かって落ち込んでゆく。これは、大気に連通する前の気泡101の負圧によってヒータ931側に引き戻された液体(インク)Iaが、気泡101の大気連通後も慣性でヒータ931面方向の速度を保持しているからである。
ヒータ931側に向かって落ち込んでいった液体(インク)は、図9に示すように気泡101の生成から約5μs後の時点でヒータ931の表面に到達し、図10に示すように、ヒータ931の表面を覆うように拡がってゆく。このようにヒータ931の表面を覆うように拡がった液体は、ヒータ931の表面に沿った水平方向のベクトルを有するが、ヒータ931の表面に交差する、例えば、垂直方向のベクトルは消滅し、ヒータ931の表面上に留まろうとし、それよりも上側の液体、即ち、吐出方向の速度ベクトルを保つ液体を下方向に引っ張ることになる。
その後、ヒータ931の表面に拡がった液体と、上側の液体(主液滴)との間の液体部分Ibが細くなってゆき、気泡101の生成から約7μs後の時点で図11に示したようにヒータ931の表面の中央で液体部分Ibが切断され、吐出方向の速度ベクトルを保つ主液滴Iaと、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icとに分離される。このように分離の位置は液流路1338内部、より好ましくは、吐出口832よりも電気熱変換素子931側が望ましい。
主液滴Iaは吐出方向に偏りがなく、吐出ヨレすることなく、吐出口832の中央部分から吐出され、被記録材の被記録面の所定位置に着弾される。又、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icは、従来であれば、主液滴の後続としてサテライト滴となって飛翔するものであるが、ヒータ931の表面上に留まり、吐出されない。
このように、サテライト滴の吐出を抑制することができるため、サテライト滴の吐出により発生し易いスプラッシュを防止することができ、霧状に浮遊するミストによって被記録材の被記録面が汚れるのを確実に防止することが可能となる。尚、図8〜11において、Idは溝部に付着したインク(溝内のインク)を、又、Ieは液流路1338内に残存しているインクを表している。
このように、図示した例の液体吐出ヘッドでは、気泡が最大体積に成長した後の体積減少段階で液体を吐出する際に、吐出口の中心に対して分散した複数の溝により、吐出時の主液滴の方向を安定化させることができる。その結果、吐出方向のヨレのない、着弾精度の高い液体吐出ヘッドを提供することができる。又、高い駆動周波数での発泡ばらつきに対しても吐出を安定して行うことができることによる、高速高精細印字を実現することができる。
特に、図示した例の液体吐出ヘッドでは、気泡の体積減少段階で、この気泡を初めて大気と連通させることで液体を吐出することにより、気泡を大気に連通させて液滴を吐出する際に発生するミストを防止できるので、所謂、突然不吐出の要因となる、吐出口面に液滴が付着する状態を抑制することもできる。本発明に好適に使用できる、上記したような吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の記録ヘッドの他の実施態様としては、例えば、特許第2783647号公報に記載のように、いわゆるエッジシュータータイプが挙げられる。
本発明にかかるインクジェット記録方法は、特にインクジェット記録方式の中でも、熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行うインクジェット方式の記録ヘッドや記録装置において、優れた効果をもたらすものである。その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書及び同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。
この方式は、いわゆるオンデマンド型及びコンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて膜沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的に、この駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長及び収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの液滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
この際のパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書及び同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率についての発明に関する米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に、優れた記録を行なうことができる。
本発明に好適なインクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録装置を構成する記録ヘッドの構成としては、上記に挙げた各明細書に開示されているような吐出口、液路及び電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書及び米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成のものを使用することも好ましい。
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても有効である。
更に、記録装置が記録できる最大範囲の被記録材の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、或いは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いることもできる。
又、本発明で好ましく使用し得るインクジェット記録装置に設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは、本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或いは吸引手段、電気熱変換体或いはこれとは別の加熱素子、或いはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。
いずれのヘッド構成であっても、本発明においては、ブラックの記録信号を受けたとき、染料系インクの特にシアンインクが、顔料系インクのブラックインクの印字される前、若しくは印字された後に、ブラックインクと同じ場所に着弾するように構成することが好ましい。着弾順序は、どちらが先でもよいが、ブラックインクとシアンインクとを殆ど時間差を設けずに着弾させる場合は、ブラックインクを先に着弾させる方が、インクの紙に対する定着が早くなるので好ましい。
ブラックインクと重ねる染料系インクのインク滴体積は、それぞれ単独で画像を形成したときに問題がない範囲で、できるだけ小さくすることが、重ね打ちしたインクの定着性がよくなるので、好ましい。又、インクカートリッジの大きさも抑えることができる。インク滴の体積は、界面活性剤、浸透性溶剤等を含有させてドット径を大きくすることにより、小さくすることができる。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。特に断わりのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
(1)反応性シアンインクの調製
下記のそれぞれの組成からなる成分を混合した後、ポアサイズが0.22μmのメンブレンフィルター(商品名フロロポアフィルター、住友電工製)にて、加圧濾過し、本発明の実施例にかかる反応性シアンインクC1〜C4、及び比較例にかかる反応性シアンインクC5及びC6を調製した。
(実施例1:反応性シアンインクC1の調製)
・前記シアン染料DC3(X=ナトリウム) 4部
・硝酸マグネシウム 6部
・ジエチレングリコール 10部
・サーフィノール465(日信化学社製) 0.6部
・水 79.4部
(実施例2:反応性シアンインクC2の調製)
・前記シアン染料DC3(X=ナトリウム) 4部
・コハク酸 6部
・ジエチレングリコール 10部
・サーフィノール465(日信化学社製) 0.6部
・水 79.4部
上記で得られた反応性シアンインクC2のpHは4.5であった。
(実施例3:反応性シアンインクC3の調製)
・前記シアン染料DC1(X=ナトリウム) 4部
・硝酸カルシウム 6部
・ジエチレングリコール 10部
・サーフィノール465(日信化学社製) 0.6部
・水 79.4部
(実施例4:反応性シアンインクC4の調製)
・前記シアン染料DC2(X=ナトリウム) 4部
・酢酸マグネシウム 6部
・ジエチレングリコール 10部
・サーフィノール465(日信化学社製) 0.6部
・水 79.4部
(比較例1:反応性シアンインクC5の調製)
・C.I.ダイレクトブルー199 4部
・硝酸マグネシウム 6部
・ジエチレングリコール 10部
・サーフィノール465(日信化学社製) 0.6部
・水 79.4部
(比較例2:反応性シアンインクC6の調製)
・C.I.ダイレクトブルー199 4部
・コハク酸 6部
・ジエチレングリコール 10部
・サーフィノール465(日信化学社製) 0.6部
・水 79.4部
上記で得られた反応性シアンインクC6のpHは4.6であった。
実施例1〜4、比較例1及び2
<スタートアップ性試験>
上記の如く調製した反応性シアンインクC1〜C6を用いて、コピー用紙(キヤノンのNP−DRY A4サイズ)にインクジェット記録方法により英数字をプリントした。その際、先ずヘッド回復操作を行った後、何も印字せずヘッドのみ走査する空スキャン操作を10回行い、上記パターンを印字した。このようにしてプリントしたパターンの書き出し部におけるカスレの度合いを、目視で観察し、下記の基準でスタートアップ性能を評価した。その結果を下記表1に示したが、本実施例のシアンインクは、比較例のシアンインクと比較してカスレの発生の度合いが低いことが確認できた。尚、記録ヘッドは、ノズル口径10μm、吐出液滴1plのものを使用し、プリントした部屋の環境は、気温10℃、湿度5%の環境で行った。
[スタートアップ性能(カスレ)の評価基準]
A:書き出し部におけるカスレの発生が全くない。
B:ややカスレの発生が見られるが、文字の判読可能。
C:明らかに書き出し部において文字のカスレが発生しており、文字の判読困難。
D:書き出し部の文字がインクの不吐出により欠落しているため文字の判読不可能。
Figure 2005120217
<普通紙記録時の印字濃度試験>
市販の各種のコピー用紙(キヤノン IJ用普通紙 SW101、ゼッロクス4020紙、エプソン上質普通紙)、及びボンド紙(ハンマーミルボンド)に、下記のようにして記録を行い、普通紙記録時の印字濃度試験をした。その際の印字条件は、下記の通りである。印字装置には、キヤノンPIXUS 850iを使用した。上記の如く調製した反応性シアンインクC1〜C6と、後述するようにして調製したブラックインクを夫々インクカートリッジに詰め、上記装置の所定の位置に該カートリッジを装着し、印字を行った。印字としては、ブラックインクが紙に付与されるより前のタイミングに、シアンインクが紙に付与されるような駆動を行って、3cm×3cm角のブラックインク+シアンインクによるパターンを作成した。この際、ブラックインクとシアンインクの紙へのインク付与量比率は、ブラック:シアン=5:1となるように、各インクの吐出量を制御した。尚、インクパターンを形成しているブラックインクとシアンインクは、上記したようにシアンインクの比率が低いため、作成した3cm×3cm角のパターンは黒色であった。
上記のようにして作成した各黒色パターンについて、光学濃度(OD値)を測定し、普通紙に対する印字濃度について評価した。この結果、本発明にかかる実施例のC1〜C4のシアンインクを使用した各黒色パターンに関しては、シアンインクを付与せずブラックインクのみで作成したパターンと比較すると、C1〜C4のシアンインクを使用したものは、何れの紙に対する黒色パターンも、ブラックインクのみで作成したパターンよりも光学濃度(OD値)で0.1以上高かった。尚、C5、C6のシアンインク(比較例のインク)を使用した場合も、上記と同様の傾向であった。この結果、顔料系のブラックインクに、本発明にかかる実施例のC1〜C4のシアンインクを併用して形成した黒色パターンは、普通紙を含むあらゆる紙において充分な印字濃度を持ち、堅牢性に優れた記録画像となることが確認できた。
上記で使用した黒色顔料インクは、下記の方法にて作製した。
(黒色顔料インクの作製)
[ブラック顔料分散液作製用液組成]
・スチレン−アクリル酸共重合体(酸価200、
重量平均分子量=8,700) 1.5部
・水酸化カリウム10%水溶液 3.6部
・ジエチレングリコール 5.0部
・イオン交換水 89.9部
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させる。この溶液にカーボンブラック(NIPex180IQ、デグサ社製)10部、イソプロピルアルコール1部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)
・粉砕メディア:ジルコニウムビーズ、1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積比)
・粉砕時間:3時間
更に、遠心分離処理(12,000rpm.、20分間)を行い、粗大粒子を除去した。
次いで、上記のように粗大粒子を除去した顔料分散液を超遠心分離処理(70,000rpm.、120分間)を行い、デカンテーションを行うことで顔料分散液中の浮遊ポリマー及び顔料分散時に添加した少量の溶剤と顔料分散体を分離した。次いで、遠沈管底部に堆積した顔料分散体に蒸留水を加え2昼夜放置し、黒色の顔料分散液とした。該顔料分散液中の固形分量(顔料分散体の質量)を赤外天秤にて測定したところ、16%であった。
[着色顔料インクK1の作製]
上記で得た黒色の顔料分散液を使用し、下記の組成比を有する成分を混合し、カーボンブラックを含有するインクを作製して黒色の顔料インクとした。
・上記顔料分散液 30.0部
・グリセリン 10.0部
・エチレングリコール 5.0部
・サーフィノール465(日信化学工業製)
0.3部
・イオン交換水 54.7部
<普通紙記録時の定着速度試験>
上記した印字濃度試験の場合と同一の方法にて、C1〜C4のシアンインクを使用して、ブラック+シアンインクの黒色パターンを作成した。そして、パターン作成後、10秒後に軽く指触し、指へのインクの付着具合、及び印字面の汚れを目視にて観察した。その結果、こうして作成された黒色パターンでは、指へのインク付着、印字部の汚れは発生しなかった。一方、C5、C6のシアンインク(比較例のインク)を用いてブラック+シアンインクの黒色パターンを作成した場合、及びブラックインクに先立ってシアンインクを付与しなかった黒色パターンの場合は、いずれの場合も指へのインク付着、及び印字部の汚れが発生した。この結果、本発明にかかる実施例のC1〜C4のシアンインクを併用して形成した黒色パターンは、比較例のシアンインクを使用した場合、或いはブラックインクのみで形成した黒色パターンと比べて、明らかに定着性が向上しており、汚れのない高品位画像であることが確認できた。
<1パスブリード性能試験>
前記した印字濃度試験と同様の条件にて1cm角の黒色パターンと、同じく1cm角のイエローパターンを夫々のインクが隣接するような配置のパターン(チェッカーフラッグパターン)を作成した。イエローパターンを形成するためのイエローインクには、キヤノンPIXUS 850i用のインクを使用した。黒色パターンを形成する際に、ブラックインクに先立って前記と同様の条件にてC1〜C4のシアンインクを紙に付与した(イエローインクの付与部には、シアンインクは付与しない)。こうして作成された上記、黒色パターン、イエローパターンからなる、黒色部と黄色部とのチェッカーフラッグパターンの何れの部分においても境界にじみは生じていなかった。
これに対し、黒色パターンの形成の際にブラックインクと併用するシアンインクにC5、C6のシアンインク(比較例のインク)を用いた場合、及びブラックインクに先立ってシアンインクを付与せずにブラックインクのみで黒色パターンを形成した場合は、いずれの場合も、チェッカーフラッグパターンの、黒色部と黄色部との境界部においてブリード現象が発生した。
この結果、黒色顔料インクに本発明にかかる実施例のC1〜C4のシアンインクを併用した場合は、比較例のC5、C6のシアンインクを使用した場合、或いはブラックインクのみを使用した場合と比較し、明らかに1パス印字を行ってもブリード性能が低下せず鮮明な印字の形成が可能であることが確認できた。
本発明の活用例としては、顔料系ブラックインクと併用した場合に、下記に挙げるような優れた効果が得られる画像形成が可能な、シアンインク、該インクを適用したインクジェット記録方法、記録装置、及び黒色画像の濃度及び定着性の向上方法が挙げられる。
(1)普通紙を含むあらゆる紙において充分な印字濃度を持ち、堅牢性に優れた記録画像を形成することが可能である。
(2)印字のスループットを向上する、即ち、1パス印字を行ってもブリード性能が低下せず鮮明な印字の形成が可能である。
(3)インクジェット記録方式による黒色画像を含む多色画像の形成において、黒色画像の濃度及び定着性が向上した高品位画像が提供される。
インクジェットプリンタの一例を示す概略斜視図である。 インクジェットカートリッジの一例を示す概略斜視図である。 液体吐出ヘッドの一例を示す模式的概略斜視図である。 液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。 液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。 液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。 液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。 液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。 液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。 液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。 液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
符号の説明
100:インクジェット記録ヘッド
101:気泡
102:メニスカス
832:吐出口
931:電気熱変換素子(ヒータ、インク吐出エネルギー発生素子)
933:インク供給口(開口部)
934:基板
935:オリフィスプレート(吐出口プレート)
935a:吐出口面
936:インク流路壁
940:吐出口部
1001:液体タンク
1006:移動駆動部
1008:ケーシング
1010:記録部
1010a:キャリッジ部材
1012:カートリッジ
1012Y、M、C、B、S:インクジェットカートリッジ
1014:ガイド軸
1016:ベルト
1018:モータ
1020:駆動部
1022a、1022b:ローラユニット
1024a、1024b:ローラユニット
1026:回復ユニット
1026a、1026b:プーリ
1028:用紙
1030:搬送装置
1338:液流路
1141:溝
1141a:頂部
M:メニスカス後退方向
C:メニスカス後退方向と反対方向
I:インク
a:主液滴(液体、インク)
b、Ic:液体(インク)
d:溝部に付着したインク(溝内のインク)
e:液流路内に残存しているインク
P:用紙の搬送方向
R:ベルトの回転方向
S:用紙の搬送方向と略直交する方向

Claims (10)

  1. インクにエネルギーを付与して吐出口からインク滴を吐出させて黒色画像を含む多色の画像を形成する際に用いられる、色材として顔料を含む顔料系ブラックインクと共にインクジェット記録用インクセットを構成するシアンインクであって、
    該シアンインクは、シアン染料として1分子中にスルホン基が4基以上導入された銅フタロシアニン染料と、多価金属塩と、を含有し、且つ上記顔料系ブラックインクのインク滴と混ざりあったときに、該顔料系ブラックインクの分散状態を不安定化させる反応性インクであり、
    且つ、シアンインクに含まれるシアン染料の中の80質量%以上が、上記銅フタロシアニン染料であることを特徴とするシアンインク。
  2. 前記多価金属塩が、塩酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、亜硫酸塩及び亜硝酸塩から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載のシアンインク。
  3. 前記硝酸塩が、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム及び硝酸バリウムから選ばれる少なくとも1つである請求項2に記載のシアンインク。
  4. 前記塩酸塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム及び塩化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つである請求項2に記載のシアンインク。
  5. 前記酢酸塩が、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム及び酢酸アルミニウムから選ばれる少なくとも1つである請求項2に記載のシアンインク。
  6. 前記硫酸塩が、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム及び硫酸アルミニウムから選ばれる少なくとも1つである請求項2に記載のシアンインク。
  7. 前記多価金属塩のインク中における含有量が、3.5〜15質量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載のシアンインク。
  8. インクにエネルギーを付与して吐出口からインク滴を吐出させて黒色画像を含む多色の画像を形成する際に用いられる、色材として顔料を含む顔料系ブラックインクと共にインクジェット記録用インクセットを構成するシアンインクであって、
    該シアンインクは、シアン染料として1分子中に4基以上のスルホン基が導入された銅フタロシアニン染料を含み、且つpH6以下に調整されており、上記顔料系ブラックインクのインク滴と混ざりあったときに、該顔料系ブラックインクの分散状態を不安定化させる反応性インクであり、
    該且つ、シアンインクに含まれるシアン染料の中の80質量%以上が、上記銅フタロシアニン染料であることを特徴とするシアンインク。
  9. 請求項1又は8に記載のシアンインクを含む染料系カラーインクと顔料系ブラックインクとを独立に有してなるインクジェット記録用インクセットを使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
  10. 請求項1又は8に記載のシアンインクを含む染料系カラーインクと顔料系ブラックインクとを独立に有してなるインクジェット記録用インクセットを使用し、上記染料系カラーインクと、上記顔料系ブラックインクとを各々インクジェット法を用いて被記録材上に付与して形成される多色画像に含まれる黒色画像の濃度及び被記録材への定着性を向上させる方法であって、
    上記被記録材上の黒色画像が形成されるべき領域に、上記ブラックインクを付与する前、若しくは付与した後に、上記シアンインクを付与するように制御して、該ブラックインクのインク滴と該シアンインクのインク滴とが被記録材上で混ざりあうようにして画像を形成して、該ブラックインクの分散状態を不安定化させることを特徴とする黒色画像の濃度及び定着性の向上方法。
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