JP3406917B2 - インクジェット記録方法、インクジェット記録装置およびブリーディングの軽減方法 - Google Patents

インクジェット記録方法、インクジェット記録装置およびブリーディングの軽減方法

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JP3406917B2
JP3406917B2 JP29037192A JP29037192A JP3406917B2 JP 3406917 B2 JP3406917 B2 JP 3406917B2 JP 29037192 A JP29037192 A JP 29037192A JP 29037192 A JP29037192 A JP 29037192A JP 3406917 B2 JP3406917 B2 JP 3406917B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録方
法及び記録装置に関し、詳しくは、普通紙に対して高品
位印字及び高画質なカラー画像が得られるインクジェッ
ト記録方法及び記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、記録媒体
(インク)の小滴を飛翔させ、紙などの被記録材に付着
させて記録を行うものである。特に、本出願人が特公昭
61−59911号公報、特公昭69−59912号公
報、特公昭61−59914号公報において開示した、
吐出エネルギー供給手段として電気熱変換体を用い、熱
エネルギーをインクに与えて気泡を発生させることによ
り液滴を吐出させる方法によれば、記録ヘッドの高密度
マルチオリフィス化が容易に実現でき、高解像度、高品
質の画像を高速で記録できる。
【0003】しかしながら、従来のインクジェット記録
に用いられるインクは一般に水を主成分とし、これに乾
燥防止、目詰まり防止などの目的でグリコールなどの水
溶性高沸点溶剤を含有したものが一般的で、このような
インクを用いて普通紙に記録を行った場合、インクが記
録紙の内部に浸透してしまい十分な画像濃度が得られな
かったり、記録紙表面の填料、サイズ剤の不均一な分布
によると思われる画像濃度の不均一が生じたりした。ま
た、特にカラー画像を得ようとした場合には、複数の色
のインクがインクが定着する以前に次々と重ねられるこ
とから、異色の画像の境界の部分では、色がにじんだ
り、不均一に混じり合って(以下ブリーディングとい
う)満足すべき画像が得られなかった。
【0004】前記問題を解決する手段として、特開昭5
5−65269号公報に示すインク中に界面活性剤等の
浸透性を高める化合物を添加するインクを用いること、
また、特開昭55−66976号公報には揮発性溶媒を
主体としたインクを用いることが開示されている。しか
し、前者の方法では、インクの記録紙への浸透性が向上
し、ブリーディングはある程度抑えられるもののインク
が着色剤諸共記録紙奥深くまで浸透してしまうため、画
像濃度が低下したり、画像の鮮明性が低下したりするな
どの不都合があった。また、記録紙表面に対する濡れ性
が向上するためインクが広がり易く、解像性の低下をき
たしたり、にじみが発生し、特に黒文字を表現する場合
に品位の低下が起こり好ましくないものであった。一方
後者の場合には、前者の不都合に加え、記録ヘッドのノ
ズル部での溶剤の蒸発による目詰まりが発生し易く好ま
しくないものであった。
【0005】また、インクの噴射に先立って記録紙上に
画像を良好にせしめる液体を付着させる方法が開示され
ている。特開昭63−29971号公報には、1分子当
り2個以上のカチオン性基を有する有機化合物を含有す
る液体を付着させた後、アニオン染料を含有したインク
を記録する方法が、特開昭64−9279号公報には、
コハク酸等含有した酸性液体を付着させた後、インクを
記録する方法が、特開昭64−63185号公報には、
染料を不溶化する液体を記録前に付着させる方法が開示
されている。前記これらの方法は、いずれもインク中の
染料自体の析出により記録画像の定着性、耐水性等を向
上させるものである。しかし、前記何れの場合において
もブリーディングはある程度抑えられ、黒文字品位の低
下もそれほど起こらないものの、析出した染料が記録紙
上で不均一に析出するため、記録紙の紙繊維の被覆性が
悪く、白いボイドが目立つ画像となってしまい好ましい
ものではなかった。また、これらの記録方法では、記録
インクの噴射に先だって、記録紙上に画像を良好にせし
める液体を付着させることが必要であり、前記液体を付
着させる装置あるいは手段が必要となるため、やや記録
装置が複雑化する等の不都合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、普通紙記
録において、十分な画像濃度が得られ、画像濃度の均一
性が高く、特にカラー画像におけるブリーディングを防
止し、また、高い黒文字品位が得られ、さらに、記録装
置の簡素化がはかれるインクジェット記録方法、これに
用いるインクセット及び記録装置を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は以下の本発
明によって達成される。即ち、本発明は、少なくとも、
イエロー、マゼンタ、シアンの各カラーインク、及びブ
ラックのインクを用い、これ等を被記録材上に吐出し、
カラー画像を記録する方法において、前記各カラーイン
クが浸透性を付与する界面活性剤及び、又は、浸透性溶
剤を含有し、かつ、前記ブラックのインクは、色材とし
て、顔料を含有し、 前記ブラックインクを前記カラーイ
ンクに先立って噴射し、カラー画像を形成することを特
徴とするインクジェット記録方法である。 また本発明に
かかるインクジェット記録装置は、ブラックの画像と他
の色の画像とを含むカラー画像を被記録材上に有するイ
ンクジェット記録画像の形成に用いられるインクジェッ
ト記録装置であって、 (i)ブラックインクをインクジェット法によって該被
記録媒体に付与してブラックの画像を形成する手段と; (ii)少なくともイエローインク、マゼンタインクお
よびシアンインクの各々をインクジェット法によって該
被記録媒体に付与して該他の色の画像を形成する手段
と、を有し、該イエローインク、マゼンタインクおよび
シアンインクは、各々のインクをインクを該被記録材上
に互いに隣接する様に付与した場合にも互いのインク間
でのブリーディングが生じないような該被記録媒体への
浸透性を有し、 該ブラックインクは、色材として顔料を
含み、 更に該ブラックインクの該被記録材への付与を、
該他の色のインクの該被記録材への付与に先立って行な
う手段を備えていることを特徴とする。 また本発明にか
かるブリーディングの軽減方法は、ブラックの画像と他
の色の画像とが隣接している部分を含むカラー画像を被
記録材上に有する記録物の、該ブラックの画像と他の色
の画像との境界部分におけるブリーディングを軽減する
方法であって、 (i)ブラックインクをインクジェット法によって該被
記録媒体に付与して該ブラックの画像を形成する工程;
及び (ii)少なくともイエローインク、マゼンタインクお
よびシアンインクの各々をインクジェット法によって該
被記録媒体に付与して、該他の色の画像を形成する工
程、を有し、該イエローインク、マゼンタインクおよび
シアンインクは、各々のインクを該被記録材上に互いに
隣接する様に付与した場合にも互いのインク間でブリー
ディングが生じないような該被記録材への浸透性を有
し、該ブラックインクは、色材として顔料を含み、該工
程(i)及び(ii)をこの順番で行なうことを特徴と
する。また本発明にかかるインクジェット記録方法は、
ブラックの画像と他の色の画像とが隣接している部分を
含むカラー画像を被記録材上に有する記録物のインクジ
ェット記録方法であって、 (i)ブラックインクをインクジェット法によって該被
記録媒体に付与して該ブラックの画像を形成する工程;
及び (ii)少なくともイエローインク、マゼンタインクお
よびシアンインクの各々をインクジェット法によって該
被記録媒体に付与して、該他の色の画像を形成する工
程、を有し、該イエローインク、マゼンタインクおよび
シアンインクは、各々のインクを該被記録材上に互いに
隣接する様に付与した場合にも互いのインク間でブリー
ディングが生じないような該被記録材への浸透性を有
し、該ブラックインクは、色材として顔料を含み、該工
程(i)及び(ii)をこの順番で行なうことを特徴と
する。また本発明にかかるインクジェット記録方法は、
ブラックの画像と他の色の画像とを含むカラー画像を被
記録材上に有する記録物のインクジェット記録方法であ
って、 (i)ブラックインクをインクジェット法によって該被
記録媒体に付与して該ブラックの画像を形成する工程;
及び (ii)少なくともイエローインク、マゼンタインクお
よびシアンインクの各々をインクジェット法によって該
被記録媒体に付与して、該他の色の画像を形成する工
程、を有し、該イエローインク、マゼンタインクおよび
シアンインクは、各々のインクを該被記録材上に互いに
隣接する様に付与した場合にも互いのインク間でブリー
ディングが生じないような該被記録材への浸透性を有
し、該ブラックインクは、色材として顔料を含み、該工
程(i)及び(ii)をこの順番で行なうことを特徴と
する。
【0008】本発明者らは、少なくとも、イエロー、マ
ゼンタ、シアンのカラーインク、及びブラックのインク
を用い、インクを普通紙上に吐出し、カラー画像を記録
する方法において、前記イエロー、マゼンタ、シアンの
カラーインクが浸透性を付与する界面活性剤又は、浸透
性溶剤を含有し、かつ前記ブラックのインクを顔料イン
クとすることによって、ブラックのインクとカラーイン
クが記録紙上で混合した場合でも、前記ブラックのイン
クを記録紙上に着弾した直後に紙の表面において凝集さ
せるようにすれば、前記目的に叶う記録画像が得られる
ことを確かめた。
【0009】即ち、イエロー、マゼンタ、シアンのカラ
ーインク(以下カラーインクという)が浸透性を付与す
る界面活性剤又は、浸透性溶剤を含有すれば、前記カラ
ーインクの記録紙に対する浸透性が向上し、ほぼ瞬間的
にカラーインクは紙に浸透する。したがって、前記カラ
ーインク間のブリーディングは防止できる。しかし、ブ
ラックのインク(以下ブラックインクという)は、前記
カラーインクと同様にしてしまうとにじみが発生し、文
字品位の劣化をおこすため、浸透性を付与することはで
きない。そこで、ブラックインクとして顔料インクを用
いることによってインクが、記録紙上に着弾した直後に
記録紙上で凝集し、顔料成分を記録紙の表面近傍に固定
化させることによって、前記カラーインクが接触した場
合においてカラーインクとブラックインク間のブリーデ
ィングを防止し、高い画像濃度、鮮明で均一な高画質画
像が得られることを見出し、本発明に至った。
【0010】さらに、ブラックインクとして顔料インク
を用いることにより、十分な画像濃度が得られ、カラー
画像におけるブリーディングを防止し、高い文字品位の
良好な画像が得られる。さらに、耐水性、耐光性の優れ
た画像を提供することが可能である。また、ブラックイ
ンクとカラーインクの記録の順序としては、ブラックイ
ンクを先に吐出し、記録を行うことが望ましい。これ
は、ブラックインクが、記録紙上に到達した直後に凝集
し、定着することによって、その後にカラーインクがき
てもシャープな画像を保持することが出来るからであ
る。逆に、カラーインクが印字された後にブラックイン
クを印字すると、カラーインクとブラックインクの境界
部において、残存のカラーインク影響を受て、ブラック
インクの記録紙上での凝集効果が緩和され、シャープな
印字が得られないだけでなく、ブリーディング防止効果
も薄れてしまうことがある。
【0011】以下本発明をさらに詳しく説明する。
【0012】まず本発明のカラーインクは浸透性を付与
する界面活性剤、又は、浸透性溶剤を含有することを特
徴とする。含有される界面活性剤は本発明のカラーイン
クに浸透性を付与するものであれば特に限定されない
が、非イオン性界面活性剤、例えば、高級アルコールの
エチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチ
レンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレ
ンオキサイド共重合体、アセチレングリコールのエチレ
ンオキサイド付加物等が好ましく用いられる。
【0013】界面活性剤の含有量は、使用する界面活性
剤の種類にもより特に制限はないが、インク全重量に対
して0.01〜10重量%の範囲が好ましい。0.01
重量%未満では、一般に所望の浸透性が少なく、10%
を越える場合には、インクの初期粘度が大きくなるので
好ましくないものである。
【0014】また、浸透性を付与する溶剤としては、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、エチレ
ングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチル
エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル
類、エタノール、イソプロピルアルコール等が好ましく
用いられる。
【0015】該溶剤の含有量は使用する溶剤の種類にも
より特に制限はないが、インク全重量に対し0.1〜2
0重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満で、一般
に所望の浸透性が少なく、20重量%を越える場合に
は、着色剤の溶解性がやや低下するので好ましくないも
のである。
【0016】また、前記インクに用いられる染料として
は、カラーインデックス(COLOR INDEX)に
記載されている水溶性の酸性染料、直接染料、塩基性染
料、反応性染料は、そのほとんど全てが使用できる。ま
た、カラーインデックスに記載のないものでも、水溶性
染料であれば使用できる。該染料の使用量について特に
制限はないが、インク全重量に対して0.1重量%〜2
0重量%の範囲が好ましい。
【0017】また、前記インクは、前記界面活性剤或
は、浸透性溶剤の他に、通常、水、及び必要に応じて水
溶性有機溶剤を配合してなる。水溶性有機溶剤として
は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の
アミド類、アセトン等のケトン類、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレング
リコール類、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,2,6ーヘキサントリオール、チオジグリコール、
ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアル
キレングリコール類、エチレングリコールメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエ
チレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコー
ルの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプロピ
ルアルコール等の1価アルコール類、そのほか、グリセ
リン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル
−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スル
ホラン、ジメチルサルフォキサイド等が用いられる。該
水溶性有機溶剤の含有量に付いて、特に制限はないが、
インク全重量に対して1〜80重量%が好ましい範囲で
ある。
【0018】この他、必要に応じて、粘度調整剤、pH
調整剤、防腐剤、酸化防止剤、蒸発促進剤等の添加剤を
配合してもかまわない。
【0019】次に本発明で使用されるブラックインクに
関して説明する。本発明のブラックインク中に使用され
る顔料の含有量はインク全重量に対して1〜20重量
%、好ましくは、2〜12重量%の範囲であることが好
ましい。本発明で色材として使用する顔料は上記性能を
満足するものならばどのようなものでも使用可能だが、
黒インクに使用されるカーボンブラックとしては、ファ
ーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラック
で、一次粒子径が15から40mμ、BET法による比
表面積が50から300平方m/g、DBP吸油量が4
0から150m1/100g、揮発分が0.5から10
%、pH値が2から9を有し、例えば、NO.230
0、NO.900、MCF88、NO.33、NO.4
0、NO.45、NO.52、MA7、MA8、NO.
2200B(以上三菱化成製)、RAVEN1255
(コロンビア製)、REGAL400R、REGAL3
30R、REGAL660R、MOGUL L(キャボ
ット製)、Color BlackFW1、COLOR
Black FW18、Color Black S
170、Color Black S150、Prin
tex 35、Printex U(デグッサ)等の市
販品を使用することが出来る。本発明のブラックインク
には顔料の分散するために分散剤が含有される。分散剤
は、水溶性樹脂ならどんなものでも使用可能だが、重量
平均分子量が1000から30000の範囲のものが好
ましい。さらに、好ましくは、3000から15000
の範囲である。具体的には、スチレン、スチレン誘導
体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α、
β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエ
ステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン
酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導
体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少な
くとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親
水性単量体)からなるブロック共重合体、あるいは、ラ
ンダム、グラフト共重合体、また、これらの塩等が挙げ
られる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可
溶でアルカリ可溶型樹脂である。さらに、親水性単量体
からなるホモポリマー、また、それらの塩でも良い。ま
た、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロー
ス、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の
水溶性樹脂も使用することが可能である。しかし、アル
カリ可溶型の樹脂を用いた場合の方が、分散液の低粘度
化が可能で、分散も容易であるという利点が有る。さら
に、pH6以下で、凝集を開始する樹脂が、印字濃度の
向上、及び、ブリーディングの防止には、特に好まし
い。尚、前記水溶性樹脂はインク全重量に対して0.1
〜5重量%の範囲で含有される事が好ましい。さらに、
本発明のブラックインクは、好ましくはインク全体が中
性またはアルカリ性に調整されていると、前記水溶性樹
脂の溶解性を向上させ、一層の長期保存性に優れたイン
クとすることができるので望ましい。但し、この場合、
インクジェット記録装置に使われている種々の部材の腐
食の原因となる場合があるので7〜10のpH範囲とす
ることが望ましい。
【0020】また、pH調整剤としては、例えば、ジエ
タノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機ア
ミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、
有機酸や、鉱酸があげられる。以上のごとき、顔料及び
水溶性樹脂は水溶性媒体中に分散または溶解される。
【0021】本発明のブラックインクにおいて好適な水
性媒体は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒であり、水
としては種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イ
オン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
【0022】また、その他、併用しうる任意の溶剤成分
として水と混合して使用される水溶性有機溶剤として
は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n
−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−
ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ter
t−ブチルアルコール等の炭素数1−4のアルキルアル
コール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等の
ケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、
ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコー
ル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
チレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,
6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレ
ングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基
が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;
グリセリン;エチレングリコールモノメチル(またはエ
チル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(または
エチル)エーテル、トリエチレングリコールメチル(ま
たはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキ
ルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロ
リドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が
あげられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でもジ
エチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレン
グリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多
価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
【0023】さらに、吐出の安定性をえるためにはエタ
ノール、あるいは、イソプロピルアルコールを1%以上
添加することが効果的である。これはこれら溶剤を添加
することによって記録液の薄膜抵抗体上での発泡をより
安定に行うことができるからと考えられる。
【0024】本発明のブラックインク中の上記水溶性有
機溶剤の含有量は、一般にはインク全重量の3〜50重
量%の範囲で有り、好ましくは、3〜40重量%の範囲
で有り、使用する水はインク全重量の10〜90重量
%、好ましくは、30〜80重量%の範囲である。
【0025】又、本発明のブラックインクは、上記の成
分のほかに必要に応じて所望の物性値を持つインクとす
るために、界面活性剤、消泡材、防腐剤等を添加するこ
とができ、さらに、市販の水溶性染料などを添加するこ
ともできる。
【0026】界面活性剤としては、インクに対して保存
安定性等の悪影響を及ぼさないものであれば限られるも
のではなく、例えば、脂肪酸塩類、弗素系界面活性剤、
高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エス
テル塩酸、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、
ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエ
チレンソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアル
コール、アセチレングリコール等の非イオン性界面活性
剤があり、これらの1種または、2種以上を適宜選択し
て使用できる。その使用量は分散剤により異なるがイン
ク全重量に対して0.01から5重量%が望ましい。
【0027】本発明のブラックインクの調製方法は、は
じめに、分散樹脂、水を少なくとも含有する水溶液に顔
料を添加し、かくはんした後、後述の分散手段を用いて
分散を行い、必要に応じて遠心分離処理を行い、所望の
分散液を得る。次に、この分散液に本発明において使用
される化合物、上記で挙げたような成分を加え、攪拌し
インクとする。
【0028】又、アルカリ可溶型樹脂を使用する場合、
樹脂を溶解させるために塩基を添加することが必要であ
る。
【0029】更に、顔料を含む水溶液を分散処理する前
にプレミキシングを30分間以上行うことが効果的であ
る。このプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改
善し、顔料表面への吸着を促進するものである。
【0030】アルカリ可溶型樹脂を使用した場合の分散
液に添加される塩基類としては、モノエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミ
ンメチルプロパノール、アンモニア等の有機アミン、あ
るいは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩
基が好ましい。
【0031】一方、本発明のブラックインクを調製する
ために使用する分散機は、一般に使用される分散機な
ら、如何なるものでも良いが、たとえば、ボールミル、
ロールミル、サンドミルなどが挙げられる。
【0032】その中でも、高速型のサンドミルが好まし
く、たとえば、スーパーミル、サンドグラインダー、ビ
ーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミ
ル、パールミル、コボルミル(いずれも商品名)等が挙
げられる。
【0033】本発明において、所望の粒度分布を有する
顔料を得る方法としては、分散機の粉砕メディアのサイ
ズを小さくする、粉砕メディアの充填率を大きくする、
また処理時間を長くする、吐出速度を遅くする、粉砕後
フィルターや遠心分離機分等で分級するなどの手法が用
いられる。またはそれらの手法の組合せが挙げられる。
【0034】本発明に使用する記録紙については特に限
定されるのもではなく、従来から使用されている普通紙
が好適に使用される。
【0035】次いで、本発明の記録装置について説明す
る。本発明には記録ヘッドの記録インクに記録信号を与
え、発生した熱エネルギーにより液滴を吐出する方式が
好ましい。また電気機械交換素子を使用した記録ヘッド
も使用することができる。熱エネルギーを使用したその
装置の主要部である記録ヘッドの構成を図1、図2、図
3に示す。
【0036】ヘッド13はインクを流路を形成したガラ
ス、セラミック、又はプラスチック等と感熱記録に用い
られる発熱抵抗体を有する発熱ヘッド15(図ではヘッ
ドが示されているが、これに限定されるものではない)
とを接着して得られる。発熱ヘッド15は酸化シリコン
等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−
1、17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層1
8、畜熱層19、アルミナ等の放熱性のよい基板20よ
りなっている。
【0037】記録インク21は吐出オリフィス22まで
来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成してい
る。
【0038】ここで、電極17−1、17−2に電気信
号が加わると、発熱ヘッド15のnでしめされる領域が
急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発
生し、その圧力でメニスカスが吐出し、オリフィス22
より記録液滴24となり、被記録材25に向かって飛翔
する。図3には図1にしめしたノズルを多数並べた記録
ヘッドの概略図を示す。該記録ヘッドは多数の流路を有
するガラス板等27と図1において説明したものと同様
の発熱ヘッド28を密着して作られる。
【0039】尚、図1はインク流路に沿ったヘッド13
の断面図であり、図2は図1のA−B線での断面図であ
る。
【0040】図4に、該ヘッドを組み込んだインクジェ
ット記録装置の一例を示す。
【0041】図4において、61はワイピング部材とし
てのブレードで、その一端はブレード保持部材によって
保持されて固定端となり、カレンチレバーの形態をな
す。ブレード61は記録ヘッドによる記録領域に隣接し
た位置に配置され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向
に移動して吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成
を備える。さらに63はブレード61に隣接して設けら
れるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘ
ッドの移動経路中に突出した形態で保持される。前記ブ
レード61、キャップ62、吸収体63によって吐出回
復部64が構成され、ブレード61、及び吸収体63に
よってインク吐出口面に水分、塵等の除去が行われる。
【0042】65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐
出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐
出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を
とうさいして記録ヘッド65の移動を行う為のキャリッ
ジである。キャリッジ66はガイド軸67とよう動可能
に係合し、キャリッジ66の一部はモータ68によって
駆動されるベルト69と接続(図示せず)している。こ
れによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が
可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣
接した領域の移動が可能となる。
【0043】51は被記録材を挿入するための給紙部、
52はモータ(図示せず)により駆動される紙送りロー
ラーである。これらの構成によって記録ヘッドの吐出口
面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行す
るにつれて、排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙さ
れる。
【0044】上記構成において記録ヘッド65が記録終
了等でホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64の
キャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避して
いるが、ブレード61は移動経路中に突出している。こ
の結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされ
る。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に当
接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘ
ッドの移動経路中に突出するように移動する。
【0045】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は前記したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐
出口面はワイピングされる。
【0046】前記の記録ヘッドのホームポジションへの
移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりではなく、記録
ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間
隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、こ
の移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0047】図5は、ヘッドにインク供給部材、例えば
チューブを介して供給されるインクを収容したインクカ
ートリッジの一例を示す図である。ここで40は供給用
インクを収容したインク収容部、例えばインク袋であ
り、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。こ
の栓42に針(図示せず)を挿入することにより、イン
ク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならしめる。4
4は廃インクを受容する吸収体である。
【0048】インク収容部としては、インクとの接液面
がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されている
ものが好ましい。
【0049】本発明で使用されるインクジェット記録装
置としては、前記の如きヘッドとインクカートリッジが
別体となったものに限らず、図6に示す如きそれらが一
体となったものも好適に用いられる。
【0050】図6において、70は記録ユニットであっ
て、この中にインクを収容したインク収容部、例えばイ
ンク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中の
インクが複数のオリフィスを有するヘッド部71からイ
ンク滴として吐出される構成になっている。インク吸収
体の材料としては、例えばポリウレタンを用いることが
できる。72は記録ユニット内部を大気に連通させるた
めの大気連通口である。この記録ユニット70は、図4
で示す記録ヘッドに変えて用いられるものであって、キ
ャリッジ66に対し脱着自在になっている。尚、本発明
に使用する記録装置において、上記ではインクに熱エネ
ルギーを作用させてインク液滴を吐出するインクジェッ
ト記録装置を例に挙げたが、そのほか圧電素子を使用す
るピエゾ方式のインクジェット記録装置でも同様に利用
できる。
【0051】さて、本発明の記録方法を実施する場合に
は、例えば、前記図3に示した記録ヘッドを4つのキャ
リッジ上に並べた記録装置を使用する。図7はその一例
である。81、82、83、84はそれぞれイエロー、
マゼンタ、シアン、ブラック各色の記録インクを吐出す
るための記録ヘッドである。該ヘッドは前記した記録装
置に配置され、記録信号に応じて、各色の記録インクを
吐出する。また、図7では記録ヘッドを4つ使用した例
を示したが、これに限定されるものではなく、図8に示
したように1つの記録ヘッドでイエロー、マゼンタ、シ
アン、ブラックを液流路を分けて行う場合も好ましい。
【0052】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いてさらに具体
的に説明する。尚以下の記載で、部、%とあるものは特
に断らない限り重量基準である。
【0053】(実施例1−5)まず、下記の成分を混合
溶解した後、さらにポアサイズが0.22μmのメンブ
レンフィルター(商品名 フロロポアフィルター、住友
電工製)にて加圧ろかし、イエロー、マゼンタ、シアン
のインク(1)〜(5)を得た。さらに、ブラックイン
ク(1)〜(5)に関しては、詳細な作成方法を下記に
示した。
【0054】カラーインク(1)の組成 イエロー C.I.ダイレクトイエロー86 2部 ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物 0.5
部(付加モル数10) ジエチレングリコール 25部 水 72.5部 マゼンタ C.I.アシッドレッド35 3部 ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物 0.5
部(付加モル数10) ジエチレングリコール 30部 水 66.5部 シアン C.I.ダイレクトブルー199 2部 ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物 0.5
部(付加モル数10) ジエチレングリコール 30部 水 67部
【0055】ブラックインク(1) スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体
1.5部(酸価140、重量平均分子量5000) モノエタノールアミン 1部 イオン交換水 81.5部 ジエチレングリコール 5部 上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、
樹脂分を完全に溶解させる。この溶液に新たに試作され
たカーボンブラック(MCF88 三菱化成製)10
部、イソプロピルアルコール1部を加え、30分間プレ
ミキシングをおこなった後、下記の条件で分散処理を行
った。 分散機 サンドグラインダー(五十嵐機械製) 粉砕メディア ジルコニウムビーズ 1mm径 粉砕メディアの充填率 50%(体積) 粉砕時間 3時間 さらに遠心分離処理(12000RPM、20分間)を
おこない、粗大粒子を除去して分散液とした。 (記録液の作成) 上記分散液 25部 グリセリン 10部 エチレングリコール 5部 N−メチルピロリドン 3部 イソプロピルアルコール 2部 イオン交換水 55部 上記成分を混合し、ブラックインクを調製した。
【0056】カラーインク(2)の組成 イエロー C.I.ダイレクトイエロー142 2部 ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物 5部 (付加モル数18) ジエチレングリコール 30部 水 63部 マゼンタ C.I.アシッドレッド35 3部 ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物 5部 (付加モル数18) ジエチレングリコール 30部 水 62部 シアン C.I.ダイレクトブルー199 2部 ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物 5部 (付加モル数18) ジエチレングリコール 30部 水 63部
【0057】ブラックインク(2) スチレン−マレイン酸−マレイン酸ハーフエステル共重
合体 4部(酸価200、重量平均分子量12000) アミノメチルプロパノール 2部 イオン交換水 74部 ジエチレングリコール 5部 上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、
樹脂分を完全に溶解させる。この溶液にカーボンブラッ
ク(MCF88 三菱化成製)15部を加え、30分間
プレミキシングをおこなった後、下記の条件で分散処理
を行った。 分散機 パールミル(アシザワ製) 粉砕メディア ガラスビーズ 1mm径 粉砕メディアの充填率 50%(体積) 吐出速度 100ml/min. さらに遠心分離処理(12000RPM、20分間)を
おこない、粗大粒子を除去して分散液とした。 (記録液の作成) 上記分散液 25部 グリセリン 10部 エチレングリコール 5部 チオジグリコール 5部 エタノール 5部 イオン交換水 50部 上記成分を混合し、pHが8から10になるように、ア
ミノメチルプロパノールで調製し、ブラックインク
(2)とした。
【0058】カラーインク(3)の組成 イエロー C.I.ダイレクトイエロー86 2部 エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体 3
部(付加モル数7) エチレングリコール 10部 グリセリン 10部 尿素 5部 チオジグリコール 5部 水 65部 マゼンタ C.I.アシッドレッド35 3部 エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体 3
部(付加モル数7) ジエチレングリコール 30部 水 64部 シアン C.I.ダイレクトブルー199 2部 エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体 3
部(付加モル数7) トリエチレングリコール 15部 ジエチレングリコール 15部 水 65部
【0059】ブラックインク(3) スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体 3
部(酸価140、重量平均分子量5000) モノエタノールアミン 1部 イオン交換水 76部 エチレングリコール 5部 上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、
樹脂分を完全に溶解させる。この溶液に新たに試作され
たカーボンブラック(MCF88 三菱化成製)15部
を加え、30分間プレミキシングをおこなった後、下記
の条件で分散処理を行った。 分散機 サンドグラインダー(五十嵐機械製) 粉砕メディア ジルコニウムビーズ 1mm径 粉砕メディアの充填率 50%(体積) 粉砕時間 3時間 さらに遠心分離処理(12000RPM、20分間)を
おこない、粗大粒子を除去して分散液とした。 (記録液の作成) 上記分散液 25部 グリセリン 10部 エチレングリコール 3部 チオジグリコール 7部 エチルアルコール 4部 イオン交換水 51部 上記成分を混合し、ブラックインク(3)を調製した。
【0060】カラーインク(4)の組成 イエロー C.I.ダイレクトイエロー86 3部 アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1部 (付加モル数10) グリセリン 10部 チオジグリコール 5部 尿素 5部 水 75部 マゼンタ 下記一般式のマゼンタ染料 3部
【0061】
【外1】 アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1部 (付加モル数10) グリセリン 10部 チオジグリコール 5部 尿素 5部 水 79部 シアン C.I.ダイレクトブルー199 3部 アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1部 (付加モル数10) グリセリン 10部 チオジグリコール 5部 尿素 5部 水 76部
【0062】ブラックインク(4) ブラックインク(1)で用いた分散液 25部 チオジグリコール 7部 エチレングリコール 5部 グリセリン 10部 エチルアルコール 4部 ノイゲンET−150E(第一工業(株)) 0.1部 イオン交換水 58.9部 上記成分を混合し、ブラックインク(4)を調製した。
【0063】カラーインク(5)の組成 イエロー C.I.ダイレクトイエロー86 2部 デカグリセリンモノラウレート 15部 エチレングリコール 20部 水 63部 マゼンタ C.I.アシッドレッド35 2部 デカグリセリンモノラウレート 15部 ポリエチレングリコール 20部 水 63部 シアン C.I.ダイレクトブルー199 2部 デカグリセリンモノラウレート 15部 グリセリン 10部 エチルアルコール 3部 水 70部
【0064】ブラックインク(5) ブラックインク(2)の分散液 27部 グリセリン 8部 エチレングリコール 5部 チオジグリコール 10部 エタノール 5部 イオン交換水 45部 上記成分を混合し、pHが8から10になるように、ア
ミノメチルプロパノールで調製し、ブラックインク
(5)とした。
【0065】次に、得られたカラーインク(1)〜
(5)及びブラックインク(1)〜(5)を用いて市販
コピー用紙、ボンド紙に記録を行い、実施例1〜5を得
た。使用したインクジェット記録装置としては、図4に
示したと同様の記録装置を用い、図7に示した4つの記
録ヘッドを用いてカラー画像を形成した。尚、ここで用
いた記録ヘッドとしてはBJC820(商品名 キヤノ
ン製インクジェットプリンター)に使用されているもの
と同一の記録ヘッドを用いた。記録ヘッドの駆動条件、
すなわちヒータへの通電条件としては各ヘッドとも印加
電圧28V、パルス幅3.2μsec、駆動周波数5K
Hzとした。尚、図7において、記録ヘッド84にはブ
ラックインク、83にはシアンインク、82にはマゼン
タインク、81にはイエローインクを充填した。
【0066】比較例1 カラーインクとして、(1)の各カラーインクのラウリ
ルアルコールエチレンオキサイド付加物を除いたインク
を使用した以外は実施例1と同様に記録を行った。
【0067】比較例2 カラー記録インクとして、(2)の各カラーインクのノ
ニルフェノールエチレンオキサイド付加物を除いたイン
クを使用した以外は実施例2と同様に記録を行った。
【0068】比較例3 ブラックインクとして、(2)ブラックインクの顔料分
散液のかわりに、C.I.フードブラック1を3部を加
え、イオン交換水を72部とした以外は実施例2と同様
に記録を行った。
【0069】比較例4 カラーインクとして、(1)の各カラーインクのラウリ
ルアルコールエチレンオキサイド付加物を除き、(1)
のブラックインクに顔料分散液のかわりに、C.I.フ
ードブラック1を3部加えたものを使用した以外は実施
例(1)と同様に記録を行った。
【0070】実施例1〜5、比較例1〜3の記録物のカ
ラーインク間のブリーディング、カラーブラックインク
間のブリーディング、黒文字の品位の評価を行い、結果
を表2に示した。
【0071】尚、記録物の評価は次の方法で行った。
【0072】(ブリーディング)市販コピー用紙、ボン
ド紙にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色ベ
タ部を隣接して記録し、カラーインク間各色の境界部、
カラー・ブラックインク間の境界部で色がにじんだり、
不均一に混じり合っていないか、観察した。評価は以下
の基準とした。 〇:色がにじんだり、不均一に混じり合った部分がなか
った。 △:色がにじんだり、不均一に混じり合った部分が多少
あったが、実用上問題ない。 ×:色がにじんだり、不均一に混じり合っており、実用
上問題ある。
【0073】(黒文字の品位)市販のコピー用紙、ボン
ド紙に英数文字を記録し、該記録物を顕微鏡で拡大し、
文字の先鋭性、解像性をみた。評価は以下の基準とし
た。 〇:文字のエッジがシャープで解像性よい。 △:文字のエッジに多少にじみがあったが、実用上問題
ない。 ×:文字の解像性が悪く、また、にじみがあり、実用上
問題ある。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の記録方法
及び記録装置を用いることにより、普通紙に対して高い
画像濃度、画像濃度の均一性が高く、黒文字の品位も良
く、さらにブリーディングのない高画質なカラー画像が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッド部の縦断面図
である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッド部の横断面図
である。
【図3】インクジェット記録装置のヘッド部の外観斜視
図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図で
ある。
【図5】インクカートリッジの縦断面図である。
【図6】記録ユニットの斜視図である。
【図7】本発明の実施例で使用した複数の記録ヘッドが
配列した記録部を示した斜視図である。
【図8】本発明に使用する別の記録ヘッドの斜視図であ
る。
【符号の説明】
13 ヘッド 15 発熱ヘッド 21 インク 25 被記録材 28 発熱ヘッド 40 インク袋 44 インク吸収体 45 インクカートリッジ 61 ワイピング部材 65 記録ヘッド 66 キャリッジ 70 記録ユニット 71 ヘッド部 72 大気連通孔
フロントページの続き (72)発明者 片山 正人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−1936(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 - 13/00 B41J 2/01 - 2/21 B41M 5/00

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、イエロー、マゼンタ、シア
    ンの各カラーインク、及びブラックのインクを用い、こ
    れ等を被記録材上に吐出し、カラー画像を記録する方法
    において、前記各カラーインクが浸透性を付与する界面
    活性剤及び、又は、浸透性溶剤を含有し、かつ、前記ブ
    ラックのインクは、色材として、顔料を含有し、 前記ブラックインクを前記カラーインクに先立って噴射
    し、カラー画像を形成 することを特徴とするインクジェ
    ット記録方法。
  2. 【請求項2】 前記イエロー、マゼンタ、シアンのカラ
    ーインクが浸透性を付与する界面活性剤としてイオン性
    界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤の
    単独、或は2種以上の混合物を含むことを特徴とする請
    求項1記載のインクジェット記録方法。
  3. 【請求項3】 前記イエロー、マゼンタ、シアンのカラ
    ーインクが浸透性を付与する界面活性剤として非イオン
    性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1記載のイ
    ンクジェット記録方法。
  4. 【請求項4】 前記浸透性を付与する界面活性剤が高級
    アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェ
    ノールのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイ
    ド−プロピレンオキサイド共重合体、アセチレングリコ
    ールのエチレンオキサイド付加物から選ばれた少なくと
    も一種であることを特徴とする請求項1記載のインクジ
    ェット記録方法。
  5. 【請求項5】 前記イエロー、マゼンタ、シアンのカラ
    ーインクが浸透性を付与する溶剤としてエーテル類、多
    価アルコールの低級アルキルエーテル類、1価アルコー
    ル類から選ばれた1種を含有することを特徴とする請求
    項1記載のインクジェット記録方法。
  6. 【請求項6】 前記ブラックインクが、少なくとも、カ
    ーボンブラック、水溶性樹脂、水溶性有機溶剤、水を含
    むことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録
    方法。
  7. 【請求項7】 ブラックの画像と他の色の画像とを含む
    カラー画像を被記録材上に有するインクジェット記録画
    像の形成に用いられるインクジェット記録装 置であっ
    て、 (i)ブラックインクをインクジェット法によって該被
    記録媒体に付与してブラックの画像を形成する手段と; (ii)少なくともイエローインク、マゼンタインクお
    よびシアンインクの各々をインクジェット法によって該
    被記録媒体に付与して該他の色の画像を形成する手段
    と、を有し、該イエローインク、マゼンタインクおよび
    シアンインクは、各々のインクをインクを該被記録材上
    に互いに隣接する様に付与した場合にも互いのインク間
    でのブリーディングが生じないような該被記録媒体への
    浸透性を有し、 該ブラックインクは、色材として顔料を含み、 更に該ブラックインクの該被記録材への付与を、該他の
    色のインクの該被記録材への付与に先立って行なう手段
    を備えていることを特徴とする インクジェット記録装
    置。
  8. 【請求項8】 ヘッド部が、インクに熱エネルギーを作
    用させてインク滴を吐出させるヘッドを含む請求項
    載のインクジェット記録装置。
  9. 【請求項9】 ヘッド部が、インクに電気機械変換素子
    を作用させてインク滴を吐出させるヘッドを含む請求項
    記載のインクジェット記録装置。
  10. 【請求項10】 該イエローインク、マゼンタインク及
    びシアンインクの各々が、浸透性を付与する界面活性剤
    及び、又は浸透性溶剤を含有している請求項7〜9の何
    れかに記載のインクジェット記録装置。
  11. 【請求項11】 ブラックの画像と他の色の画像とが隣
    接している部分を含むカラー画像を被記録材上に有する
    記録物の、該ブラックの画像と他の色の画像との境界部
    分におけるブリーディングを軽減する方法であって、 (i)ブラックインクをインクジェット法によって該被
    記録媒体に付与して該ブラックの画像を形成する工程;
    及び (ii)少なくともイエローインク、マゼンタインクお
    よびシアンインクの各々をインクジェット法によって該
    被記録媒体に付与して、該他の色の画像を形成する工
    程、を有し、 該イエローインク、マゼンタインクおよびシアンインク
    は、各々のインクを該被記録材上に互いに隣接する様に
    付与した場合にも互いのインク間でブリーディングが生
    じないような該被記録材への浸透性を有し、 該ブラックインクは、色材として顔料を含み、該工程
    (i)及び(ii)をこの順番で行なうことを特徴とす
    るブリーディングの軽減方法。
  12. 【請求項12】 ブラックの画像と他の色の画像とが隣
    接している部分を含むカラー画像を被記録材上に有する
    記録物のインクジェット記録方法であって、 (i)ブラックインクをインクジェット法によって該被
    記録媒体に付与して該ブラックの画像を形成する工程;
    及び (ii)少なくともイエローインク、マゼンタインクお
    よびシアンインクの各々をインクジェット法によって該
    被記録媒体に付与して、該他の色の画像を形成する工
    程、を有し、 該イエローインク、マゼンタインクおよびシアンインク
    は、各々のインクを該被記録材上に互いに隣接する様に
    付与した場合にも互いのインク間でブリーディングが生
    じないような該被記録材への浸透性を有し、 該ブラックインクは、色材として顔料を含み、該工程
    (i)及び(ii)をこの順番で行なうことを特徴とす
    るインクジェット記録方法。
  13. 【請求項13】 ブラックの画像と他の色の画像とを含
    むカラー画像を被記録材上に有する記録物のインクジェ
    ット記録方法であって、 (i)ブラックインクをインクジェット法によって該被
    記録媒体に付与して該ブラックの画像を形成する工程;
    及び (ii)少なくともイエローインク、マゼンタインクお
    よびシアンインクの各々をインクジェット法によって該
    被記録媒体に付与して、該他の色の画像を形成する工
    程、を有し、 該イエローインク、マゼンタインクおよびシアンインク
    は、各々のインクを該被記録材上に互いに隣接する様に
    付与した場合にも互いのインク間でブリーディングが生
    じないような該被記録材への浸透性を有し、 該ブラックインクは、色材として顔料を含み、該工程
    (i)及び(ii)をこの順番で行なうことを特徴とす
    るインクジェット記録方法。
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