JP2004123910A - 画像形成方法及び画像 - Google Patents

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JP2004123910A JP2002290048A JP2002290048A JP2004123910A JP 2004123910 A JP2004123910 A JP 2004123910A JP 2002290048 A JP2002290048 A JP 2002290048A JP 2002290048 A JP2002290048 A JP 2002290048A JP 2004123910 A JP2004123910 A JP 2004123910A
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Abstract

【課題】複数の、異なる色相を有するインクによって形成されてなり、耐光性、耐ガス性に優れた二次色の画像、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを重ね合わせて被記録材上にブラックの画像を形成する工程を有している画像の形成方法であって、該シアンインクが、下記一般式(I)で表されるフタロシアニン染料と、水性媒体として、蒸気圧0.01mmHg(20〜25℃)以上のアミン化合物を含有している水性シアンインクであることを特徴とする画像形成方法:
Figure 2004123910

(式中CuPcは、銅フタロシアニン残基を表し、Mはアルカリ金属又はアンモニウムであり、xは1、2、3または4であり、yは0、1、2または3である。但しx+y=2以下のものを含まないか、或いは実質的に含まない)。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像形成方法及び画像に関し、さらに詳しくは耐ガス性に優れたプロセスブラック画像及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録においてブラックの画像は、主にブラックのインクにより形成されるが、より豊かな階調を再現するために、イエローインク、シアンインク及びマゼンタインク、或いは更に他の色を加えてブラックの画像を形成することが行われている。この様にブラックインク以外の色のインクを重ね合わせることによって形成されてなるブラックの画像は、所謂プロセスブラックと称されている。
【0003】
ところで、近年のインクジェットプリンタ関連の技術の進展により、銀塩写真の画像にほぼ匹敵するような高精細なインクジェット画像が得られるようになってきているが、そのような画像の形成に用いられているカラーインクは、一般的に染料を色材として用いているもの、所謂染料インクである。
【0004】
これは、染料が顔料と比較して色の彩度が優れていることによるものである。しかし、染料インクによる画像は、耐光性や耐ガス性が低いというのは定説となっており、係る課題に対し、様々な改良が染料に加えら、耐光性や耐ガス性等に優れた染料が報告されている。例えば、特開2002−105349号公報には、耐ガス性に優れた、インクジェット用インクに用いるシアン色素化合物として、銅フタロシアニンをクロロスルホン化した後アミド化する際に、アミノ化剤を原料銅フタロシアニン1モルに対して2.5モル以上の割合で反応させて得られる化合物であり、かつ下記式(V)で表される化合物の混合物を開示している:
【外2】
Figure 2004123910
(上記式(V)中、Mはプロトン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、有機アミンのオニウムイオンまたはアンモニウムイオンを示す。mは1から4の整数であり、nは0から3の整数であり、かつm+nは1から4の整数である)。
【0005】
ところで、本発明者らは、複数のカラーインクの重ね合わせにより形成されるプロセスブラックの耐光性や耐ガス性が、プロセスブラックの形成に用いられた各々のカラーインク単独によるカラー画像の耐光性や耐ガス性と必ずしも一致しない、という知見を得た。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−105349号公報
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】
そこで、本発明の目的は、複数の、異なる色相を有するインクによって形成されてなり、耐光性、耐ガス性に優れた二次色の画像、及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明の一実施態様によれば、シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを重ね合わせて被記録材上にブラックの画像を形成する工程を有している画像の形成方法であって、該シアンインクが、下記一般式(I)で表されるフタロシアニン染料と、水性媒体として、蒸気圧0.01mmHg(20〜25℃)以上のアミン化合物を含有している水性シアンインクであることを特徴とする画像形成方法が提供される:
【外3】
Figure 2004123910
(式中CuPcは、銅フタロシアニン残基を表し、Mはアルカリ金属又はアンモニウムであり、xは1、2、3または4であり、yは0、1、2または3である。但しx+y=2以下のものを含まないか、或いは実質的に含まない)。
【0009】
上記画像形成方法において、上記一般式(I)で示される化合物のうち、x+y=3の成分よりもx+y=4の成分をより多く含有していることが好ましい。より詳しくは、一般式(I)の化合物の、測定波長254nmでの高速液体クロマトグラフィー分析において、x+y=4を示すピークの高さをAとし、x+y=3を示すピークの高さをBとしたときに、A/Bが少なくとも1.5であることが好ましい。
【0010】
また、上記画像形成方法において、該シアンインクが、蒸気圧0.01mmHg(20〜25℃)以上のグリコール、特にはエチレングリコールを更に含んでいることが好ましい。
【0011】
また、上記画像形成方法において、シアンインク中のアミン化合物が2−ピロリドンであることが好ましい。
【0012】
また本発明の一実施態様によれば、複数の、互いに異なる色相を有する染料インクによって形成された二次色の画像であって、該画像の分光スペクトル分布において、非会合状態の存在を示す吸収ピーク以外の吸収ピークが最大であることを特徴とする二次色の画像が提供される。
【0013】
また上記の目的を達成できる他の実施態様にかかる画像は、少なくともフタロシアニン染料を含有するシアンインクを含む複数の、互いに異なる色相を有する染料インクによって形成された二次色の画像であって、該画像の分光スペクトル分布において、フタロシアニン染料の非会合状態の存在を示す吸収ピーク以外のピークが最大であることを特徴とする二次色の画像である。
【0014】
また上記の目的を達成できる画像は、イエローの色材、マゼンタの色材及びフタロシアニン染料を含有するシアンの色材の重ね合わせにより被記録材上に形成されてなる黒色の画像であり、該黒色画像の分光スペクトル分布において、波長660〜700nmの領域以外に吸収の最大ピークを有していることを特徴とする黒色の画像である。
【0015】
なお、上記の各画像において、該被記録材は、支持体上にインク受容層を備えているもの、特にはシリカ化合物を含有しているか、或いはアルミナ水和物を含有しているインク受容層を備えているものが好ましい。また該アルミナ水和物としては、下記式(VI)で示されるものが挙げられる:
【外4】
Figure 2004123910
(上記式(VI)中、nは1、2又は3の整数を表し、mは0〜10の整数を表す)。
【0016】
また上記の、インク受容層を備えている被記録材としては、インク受容層と支持体との間に、多孔性の層、具体的には例えばバライタ層を具備しているものが好ましい。
【0017】
また上記画像において、該画像がインクジェット記録画像であること、更には前記した画像形成方法により形成されたものであることが好ましい。
【0018】
即ち、本発明者らは、上記目的に鑑み、二次色画像の耐光性、耐ガス性の改善について更なる検討を加えたところ、二次色画像においては、異なる色相のインクが隣接、重ねて記録されるために、様々な構造の染料分子がスタッキングすることで、同種の染料分子同士の凝集を妨げ、非会合状態の染料分子が多く存在していることによって、特に耐ガス性が悪化すると推察した。
【0019】
非会合状態の染料分子は、光やガスによる影響を受けやすく、その為二次色画像においては、当該二次色画像の形成に用いたカラーインクの各々から推定されるよりも低い耐光性や耐ガス性しか得られないものであるとの結論を得るに至った。
【0020】
そこで、耐光性や耐ガス性に優れた、複数のカラーインクの混色により形成されてなる画像(所謂二次色画像)において、トータルの染料の量に対する非会合の染料比率を少なくすることにより、二次色画像の耐光性、耐ガス性を大幅に改善できることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
図25は、後述するシアンインクと、マゼンタインク及びイエローインクとの各々をインクジェット法により被記録材上に、互いに重なり合うように付与して形成してなるプロセスブラック部の分光スペクトルである。図25から明らかな様に、非会合状態を示すフタロシアニン染料の分子のピークの位置(660〜700nm)以外の領域に最大の吸収ピークを有している。
【0022】
シアンインク
ここで用いた水性シアンインクは、下記一般式(I)で示されるフタロシアニン染料を含んでいる。
【0023】
【外5】
Figure 2004123910
【0024】
上記式(I)中、CuPcは、銅フタロシアニン残基を表し、Mはアルカリ金属又はアンモニウムであり、xは1、2、3または4であり、yは0、1、2または3である。但しx+y=2以下のものを含まないか、或いは実質的に含まない。即ち、本発明に係るインクが含んでいるフタロシアニン染料として、具体的には下記の構造を有する染料の何れか、若しくはそれらの混合物を含み、x+y=2の構造のものは含んでいないか、或いは実質的に含んでいない。
【0025】
Figure 2004123910
【0026】
そして係るシアンインクを用いて形成したプロセスブラック画像は、他の色材の存在にも関わらず、非会合状態のフタロシアニン染料の存在の割合が少ない。即ち、非会合状態のフタロシアニン染料を示す、当該プロセスブラック画像の分光スペクトル分布における波長660〜700nmの領域での吸収ピークの、会合状態にあるフタロシアニン染料の存在を示す領域における吸収ピークに対する比率が、従来のフタロシアニンを含むインクを用いて形成されてなるプロセスブラック画像のそれと比較して小さいのである。これにより、本発明にかかるプロセスブラック画像は、光やガスへの暴露により耐光性や耐ガス性が弱い非会合状態のフタロシアニンが破壊されたとしても、会合状態にあるフタロシアニン染料が多く残っているために、本来の二次色としてのブラックの色調が良好に維持されるものと考えられる。
【0027】
ここで、本発明に係るシアンインク中の染料濃度は、インク全体の重量に対して、0.1〜10重量%が好ましい。より好ましくは0.1〜6重量%が好ましい。写真画質プリンタのインクとしては、ハイライト部分の粒状感を軽減するために、フォトインク(淡インク)と呼ばれる、染料濃度の低いインクと、通常のインクとが併用される場合があるが、フォトインクとしては、0.1〜2重量%、通常濃度のインクとしては2〜6重量%が好ましく使用される。
【0028】
インクの物性
インクの物性に関しては、インクジェット適性の観点から、コントロールすることが望ましい。インクの表面張力は20〜50mN/mに、インクの粘度は1〜5mPa・sに、インクのpHはの範囲が好ましい。
【0029】
水性媒体
水性媒体は、基本的に水を主成分とし、水溶性有機溶剤を含んでいてもよい。そして、本発明においては、前記したフタロシアニン染料を含むインクで形成した、耐ガス性に優れた画像の課題であるところの耐水性を、水性媒体中に蒸気圧0.01mmHg(20〜25℃)以上のアミン化合物を含有させることにより大幅に改善することができる。このようなアミン化合物を含有させることにより、画像の耐水性が向上する理由は明らかでないが、以下のように推測している。
【0030】
蒸気圧0.01mmHg(20〜25℃)以下、特に一桁小さい0.001mmHg(20〜25℃)程度以下まで溶剤の蒸気圧が低い場合、プリントによって付与されたインク中の溶剤はプリント物中の中でほとんど蒸発しないといってもよい。
【0031】
そのため、加湿などによってプリントメディアが水分を吸収すると、溶剤が染料と相互作用し耐ガス性を悪化させる場合がある。特に異なる色相を持つ様々なインクが記録されるような場合はそれが顕著である。
対して、蒸気圧0.01mmHg(20〜25℃)以上の溶剤は時間と共に蒸発によって減少し、悪影響を及ぼさない。これによって、プリント物を空気にさらされる環境下で放置した場合の耐ガス性が維持されると考えられる。
【0032】
特に、インクの粘度を1〜5mPa・s、さらに好ましくは1〜2.5mPa・sにコントロールしようとする場合に効果的である。
【0033】
そして、蒸気圧が少なくとも0.01mmHg(20〜25℃)のアミン化合物の具体例としては、例えば2−ピロリドンやモルホリン、モノ、ジ、トリエタノールアミンなどを例示することができ、特に2−ピロリドンは、画像の耐水性を向上させるうえで好ましいものである。かかるアミン化合物のインク中における含有量としては、インクの全質量基準で2〜20質量%、特には4〜10質量%が好ましい。
【0034】
また、蒸気圧が少なくとも0.01mmHg(20〜25℃)のアミン化合物を水性媒体に添加したことによる画像の耐水性向上効果を損なうことなしに、当該インクのインクジェット吐出特性、具体的には、あるノズルからインクを吐出させ、その後インクの吐出を一時中断し、再びそのノズルからインクを吐出させたときのインクの吐出性、所謂間欠吐出性に優れたものとするために、蒸気圧が少なくとも0.01mmHg(20〜25℃)のグリコール類を水性媒体中に含有させることが好ましい。このようなグリコール類としては、例えばエチレングリコールを挙げることができる。かかるグリコール類のインク中における含有量としては、2〜20質量%、特には3〜10質量%が好ましい。
【0035】
代表的な水溶性有機溶媒の、20〜25℃における蒸気圧を表1に示す。各データは、溶剤ハンドブック第一版(講談社)、溶剤ポケットブック(オーム社)を参照した。20〜25℃における蒸気圧の記載がない化合物については、化学便覧基礎編改訂三版(丸善)に記載されている温度−蒸気圧データを、Clapeyron−Clausiusの式から導かれた、
lnP = −ΔHvap/RT + C
(Pは蒸気圧、ΔHvapはモル蒸発熱(定数)、Rは気体定数、Tは温度、Cは定数である)
の関係から、20℃、25℃の蒸気圧に換算して求めた。
【0036】
【表1】
Figure 2004123910
【0037】
界面活性剤
水性媒体には、上記した物質に加え、表面張力の調整のための界面活性剤として公知の物が広く使用できる。 例えば、脂肪酸塩類、高級アルコール酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩類及び高級アルコールリン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤;脂肪族アミン塩類及び第4級アンモニウム塩類等のカチオン界面活性剤;高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪族エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪族エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪族アミドエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル及びアルカノールアミンの脂肪酸アミド類等の非イオン性界面活性剤;アミノ酸型、ベタイン型等の両性界面活性剤等が用いられる。特に制限はないが、より好ましくは高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイドの付加物等の非イオン性界面活性剤を用いる。更に、前記エチレンオキサイド付加物の付加モル数は4〜20の範囲が好ましい。
【0038】
特に、プリントヘッドとのマッチングや、普通紙への印字特性の観点から、アセチレングリコールのエチレンオキサイドの付加物等の非イオン性界面活性剤を用いることが望ましい。
【0039】
マゼンタインク、イエローインク
次に上記したシアンインクと共にプロセスブラックを形成するマゼンタの水性インク及びイエローの水性インクについて説明する。
【0040】
マゼンタインク
マゼンタインクとしては、公知の染料を含む水性インクであれば、特に限定されるものではないが、例えば下記式(II)で示される染料や、下記式(II)で表される染料と下記式(III)及び/又は(IV)で表される染料との混合物を色材として含むマゼンタインクは、色調や、単色での耐光性などの観点からも好ましいものである:
【外6】
Figure 2004123910
【0041】
上記一般式(II)中のR〜Rについて、より具体的には、Rとしては、例えば、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基や置換若しくは未置換のフェニル基等が挙げられる。ここで、フェニル基の置換基としては、例えば、メチル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン酸基若しくはその塩、カルボキシル基若しくはその塩又はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)等が挙げられる。
【0042】
としては、例えば、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状の低級アルキル基等が挙げられ、Rとしては、例えば、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基、さらにはアリールオキシ基として、例えばフェノキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基を構成するアリール基は、例えば炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、スルホン酸基若しくはその塩、カルボキシル基若しくはその塩等で置換されていても良い。
【0043】
更に、Rとしては、例えば、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状の低級アルキル基等が挙げられる。
【0044】
又、Xについて詳述すると、Xとしては、例えば、−COOMや−SOM[但し、Mは、水素原子、アルカリ金属(例えば、Li、Na等)、アンモニウム(NH)、有機アンモニウム(N(R)]等が挙げられる。ここで、Rとしては、メチル基又はエチル基等が挙げられる。
【0045】
又、上記した色材に共に使用することのできる染料としては、キサンテン系の染料、例えば、C.I.アシッドレッド52やC.I.アシッドレッド289等から選ばれる少なくとも1つの染料、下記一般式(II)及び(III)から選ばれる少なくとも1つの染料、若しくはそれらの両方が挙げられる。特に、インク中の色材として、上記した一般式(I)で示される染料と下記一般式(III)で示される染料とC.I.アシッドレッド289とを組み合わせた場合は、当該インクによる画像のマゼンタの色調は特に優れたものとなり、カラーバランスの変化抑制効果とあいまって、写真調のカラー画像形成のためには特に好ましいものである。
【0046】
【外7】
Figure 2004123910
【0047】
上記一般式(II)中、Arは置換若しくは未置換のフェニル基、又は置換若しくは未置換のナフチル基を表し、Arは、アセチル基、ベンゾイル基、1,3,5−トリアジニル基、SO−C基又はSO−C−CH基のいずれかを表す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属(例えば、Li、Na等)、アンモニウム(NH)及び有機アンモニウム(N(R)のいずれかを表す。ここでRとしては、メチル基またはエチル基等が挙げられる。
【0048】
上記Arのフェニル基やナフチル基は、例えば、カルボキシル基若しくはその塩、スルホン酸基若しくはその塩、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基等から選ばれる1つ又は2つ以上の基や原子で置換されていてもよい。また上記Arが、ベンゾイル基若しくは1,3,5−トリアジニル基である場合には、ベンゼン環若しくは1,3,5−トリアジン環中の少なくとも1つの水素原子が、カルボキシル基やその塩、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、1〜3級アミノ基、アルコキシ基、水酸基等で置換されていてもよい。
【0049】
【外8】
Figure 2004123910
【0050】
上記一般式(IV)中、Ar及びArは、各々独立に、置換若しくは未置換のフェニル基、又は置換若しくは未置換のナフチル基を表す。フェニル基やナフチル基の置換基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基若しくはその塩、スルホン酸基若しくはその塩、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)等が挙げられ、Ar及びArの少なくとも1つはカルボキシル基若しくはその塩、或いはスルホン酸基若しくはその塩の置換基を有す。Mは、スルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属(例えば、Li、Na等)、アンモニウム(NH)及び有機アンモニウム(N(R10)のいずれかを表す。ここで、R10としては、メチル基又はエチル基等が挙げられる。Rは、1,3,5−トリアジンジイル基を表し、1,3,5−トリアジン環中の少なくとも1つの水素原子が、カルボキシル基やその塩、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、1〜3級アミノ基、アルコキシ基、水酸基等で置換されていてもよい。R及びRは、独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基置換若しくは未置換のアラルキル基又はNと共にペルヒドロキシアジン環を形成するに必要な原子群を表し、Lは、2価の有機連結基を表す。R及びRについて、より具体的には、例えば、炭素数1〜6の直鎖上若しくは分岐鎖状のアルキル基や炭素数1〜4の直鎖上若しくは分岐鎖状のアルケニル基やベンジル基等があげられる。ここで、アルキル基、アルケニル基及びベンジル基の置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基若しくはその塩、スルホン酸基若しくはその塩等が挙げられる。
【0051】
以下に、本発明において好適に用いられる上記一般式(II)で示される色材の具体例として、例示化合物II−1〜II−7を示すが、本発明はこれらの色材に限定されるものではない。又、これらの色材を同時に2種類以上用いてもよい。以下、例示化合物II−1〜II−7中のMは、H、Li、Na、NH及びN(Rのいずれかを表す。
【0052】
【外9】
Figure 2004123910
【0053】
【外10】
Figure 2004123910
【0054】
【外11】
Figure 2004123910
【0055】
本発明に好適に用いられる色材である前記一般式(III)で表される化合物としては、例えば、C.I.Reactive Red 180や、以下に挙げる構造を有する例示化合物III−8〜III−13、更には、特開平8−73791号公報、特開平11−209673号公報等に記載されている構造の化合物が挙げられる。以下、例示化合物III−8〜III−13中のMは、H、Li、Na、NH及びN(Rのいずれかを表す。
【0056】
【外12】
Figure 2004123910
【0057】
【外13】
Figure 2004123910
【0058】
【外14】
Figure 2004123910
【0059】
本発明において、好適な色材として用いられる一般式(IV)の化合物としては、下記構造を有する例示化合物IV−14〜IV−22が挙げられる。以下、例示化合物IV−14〜IV−22中のMは、Li、Na、NH及びN(R10のいずれかを表す。
【0060】
【外15】
Figure 2004123910
【0061】
本発明において、好適な色材として用いられる一般式(IV)の化合物としては、下記構造を有する例示化合物IV−14〜IV−22が挙げられる。以下、例示化合物IV−14〜IV−22中のMは、H、Li、Na、NH及びN(R10のいずれかを表す。
【0062】
【外16】
Figure 2004123910
【0063】
【外17】
Figure 2004123910
【0064】
【外18】
Figure 2004123910
【0065】
【外19】
Figure 2004123910
【0066】
イエローインク
イエローインクに用いる染料としては、従来から公知の染料、例えばC.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドイエロー 17、C.I.アシッドイエロー 23、C.I.アシッドイエロー 25、C.I.アシッドイエロー 29、C.I.アシッドイエロー 42、C.I.アシッドイエロー 49、C.I.アシッドイエロー 61、C.I.アシッドイエロー 71、C.I.ダイレクトイエロー 12、C.I.ダイレクトイエロー 24、C.I.ダイレクトイエロー 26、C.I.ダイレクトイエロー 44、C.I.ダイレクトイエロー 86、C.I.ダイレクトイエロー 87、C.I.ダイレクトイエロー 98、C.I.ダイレクトイエロー100、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー 142 等などを用いることができる。
【0067】
水性媒体
本発明で使用するマゼンタ、イエロー各インクは、上記に挙げたような色材と水性媒体とを有する水性インクである。この際に使用する水性媒体としては、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合媒体に含まれる水溶性有機溶剤は、水溶性を示すものであれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤はインクの保湿性維持や色材の溶解性向上、インクの記録紙への効果的な浸透等を考慮すると、水溶性有機溶剤の含有量は、インク全体の1〜40質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは3〜30質量%の範囲とする。又、色材である染料のインク中における溶解性が良好であり、安定したインク吐出のための粘度を有し、且つ、ノズル先端における目詰まりを生じさせないために、インク中の水の含有量は30〜95質量%の範囲が好ましい。
【0068】
pH
本発明で使用する各インクのpHは、色材の溶解度性を満足するものであれば特に限定されるものではない。但し、安全性等の面を考慮すると、pH4.0〜11.0の範囲内のものが好ましい。
【0069】
(添加剤)
本発明で使用する各インクを作製する場合には、インクの保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等の保湿性固形分もインク成分として用いてもよい。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等、保湿性固形分のインク中の含有量は、一般には、インクに対して0.1〜20.0質量%の範囲が好ましく、より好ましくは3.0〜10.0質量%の範囲である。更に本発明で使用する各インクには、上記成分以外にも、必要に応じて、界面活性剤pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー等、種々の添加剤を含有させてもよい。
【0070】
記録方法
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適な記録装置としては、これらのインクが収容されるインク収容部を有する記録ヘッドの室内のインクに、記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーによりインク液滴を発生させる装置が挙げられる。
【0071】
図1〜図3に、その主要部である記録ヘッドの構成例を示した。ヘッド13は、インクを通す溝14を有するガラス、セラミックス、又はプラスチック板等と、感熱記録に用いられる発熱抵抗体を有する発熱ヘッド15(図ではヘッドが示されているが、これに限定されるものではない)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、畜熱層19、アルミナ等の放熱性のよい基板20より成っている。インク21は、吐出オリフィス(微細孔)22まで満たされており、圧力Pによりメニスカス23を形成している。上記ヘッド13の電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域(ヒータ)が急速に加熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が吐出し、インク21がヘッドのノズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴となり、被記録材に向かって飛翔する。図3には、図1に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の外観図を示す。このマルチヘッドは、マルチノズル26を有するガラス板27と、図1に説明したものと同じような発熱ヘッド28を接着して作られている。
【0072】
図4に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の1例を示した。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端は、ブレード保持部材によって保持されて、固定端となりカンチレバーの形態をなす。ブレード61は、記録ヘッドによる記録領域に隣接した位置に配設され、また、図4に示した例の場合は、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。62はキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して、吐出面と当接しキャッピングを行う構成を具える。更に、図4中の63は、ブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。
【0073】
上記ブレード61、キャップ62、吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及び吸収体63によってインク吐出口面の水分、塵やほこり等の除去が行われる。
【0074】
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は、記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモータ68(不図示)によって駆動されるベルト69と接続している。これにより、キャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0075】
51は、被記録材を挿入するための給紙部、52は不図示のモータにより駆動される紙送りローラである。これらの構成によって記録ヘッドの吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行するにつれて、排紙ローラ53を配した排紙部へ排紙される。
【0076】
上記構成において、記録ヘッド65が記録終了等でホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中へ突出するように移動する。
【0077】
記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても、記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上記した記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って、上記ワイピングが行われる。
【0078】
図5は、ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の一例を示す断面図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にできる。44は廃インクを受容するインク吸収体である。
【0079】
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上記の如きヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示すようにそれらが一体になったものも好適に用いられる。図6において、70は記録ユニットであって、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。72は記録ユニット内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は、図4で示す記録ヘッド65に代えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
【0080】
次に、本発明に好適に使用できる記録装置及び記録ヘッドの他の具体例について説明する。図7は、本発明に好適な吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の液体吐出ヘッドとしての液体吐出ヘッド、及び、この液体吐出ヘッドを用いる液体吐出装置としてのインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。図7に示したインクジェットプリンタは、ケーシング1008内に、長手方向に沿って設けられる被記録材としての用紙1028を、図7に示す矢印Pで示す方向に間欠的に搬送するための搬送装置1030と、該搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する方向Sに略平行に、ガイド軸1014に沿って往復運動せしめられる記録部1010と、記録部1010を往復運動させるための駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
【0081】
上記搬送装置1030は、互いに略平行に対向配置されている一対のローラユニット1022a及び1022bと、一対のローラユニット1024a及び1024bと、これらの各ローラユニットを駆動させるための駆動部1020とを備えている。かかる構成により、搬送装置1030の駆動部1020が作動状態とされると、用紙1028が、夫々のローラユニット1022a及び1022bと、ローラユニット1024a及び1024bにより狭持されて、図7に示す矢印P方向に間欠送りで搬送されることとなる。
【0082】
また、移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026a及び1026bに巻きかけられるベルト1016と、ローラユニット1022a及び1022bに略平行に配置され、且つ、記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を、順方向及び逆方向に駆動させるためのモータ1018とを含んで構成されている。
【0083】
そして、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図7の矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは、図7の矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。また、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図7の矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは、図7の矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。更に、この移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が、記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
【0084】
記録部1010には、インクジェットカートリッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合がある)1012Y、1012M、1012C及び1012Bが、各色用毎に、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック用毎に、キャリッジ部材1010aに対して夫々着脱自在に備えられている。
【0085】
図8に、上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示した。本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インク等の液体を収容するための液体タンク1001とで主要部が構成されている。インクジェット記録ヘッド100は、液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インク等の液体は、液体タンク1001から図示しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(図9参照)へと導かれるようになっている。図8に示したカートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。
【0086】
以下に、上記したような構成のインクジェットプリンタに搭載され得る液体吐出ヘッドの具体例を、更に詳しく説明する。
【0087】
図9は、本発明の基本的な形態を示す液体吐出ヘッドの要部を模式的に示す概略斜視図であり、図10〜図13は、図9に示した液体吐出ヘッドの吐出口形状を示す正面図である。尚、電気熱変換素子を駆動するための電気的な配線等は省略している。
【0088】
本例の液体吐出ヘッドにおいては、例えば、図9に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチック或いは金属等からなる基板934が用いられる。このような基板の材質は、本質的なものではなく、流路構成部材の一部として機能し、インク吐出エネルギー発生素子、及び後述する液流路、吐出口を形成する材料層の支持体として機能し得るものであれば、特に限定されるものではない。以下に、Si基板(ウエハ)を用いた場合で説明する。吐出口は、レーザー光による形成方法の他、例えば、後述するオリフィスプレート(吐出口プレート)935を感光性樹脂として、MPA(Mirror Projection Aliner)等の露光装置により形成することもできる。
【0089】
図9において、934は、電気熱変換素子(以下、ヒータと記述する場合がある)931及び共通液室部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口933を備える基板であり、インク供給口933の長手方向の両側に、熱エネルギー発生手段であるヒータ931が夫々1列ずつ千鳥状に、例えば、電気熱変換素子(ヒータ)の間隔が300dpiで配列されている。この基板934上には、インク流路を形成するためのインク流路壁936が設けられている。このインク流路壁936には、更に、吐出口832を備える吐出口プレート935が設けられている。
【0090】
ここで、図9においては、インク流路壁936と吐出口プレート935とは、別部材として示されているが、このインク流路壁936を、例えば、スピンコート等の手法によって基板934上に形成することにより、インク流路壁936と吐出口プレート935とを同一部材として同時に形成することも可能である。本例では、更に、吐出口面(上面)935a側は、撥水処理が施されている。
【0091】
本例では、先に説明した図7の矢印S方向に走査しながら記録を行うシリアルタイプのヘッドを用い、例えば、1200dpiで記録を行う。駆動周波数は10kHzであり、一つの吐出口では、最短時間間隔100μs毎に吐出を行うことになる。また、ヘッドの実例寸法の一例としては、例えば、図10に示すように、隣接するノズルを流体的に隔離する隔壁936aは、幅W=14μmである。図中の1337は発泡室である。また、図13に示すように、インク流路壁936により形成される発泡室1337は、N1(発泡室の幅寸法)=33μm、N2(発泡室の長さ寸法)=35μmである。ヒータ931のサイズは30μm×30μmで、ヒータ抵抗値は53Ωであり、駆動電圧は10.3Vである。また、インク流路壁936及び隔壁936aの高さは12μmで、吐出口プレート935の厚さは11μmのものが使用できる。
【0092】
図9に示した、吐出口832を含む吐出口プレート935に設けられた吐出口部940の断面のうち、インクの吐出方向(オリフィスプレート935の厚み方向)に交差する方向で切断してみた断面の形状は、図11に示したように、概略星形となっており、鈍角の角を有する6つの起部832aと、これら起部832aの間に交互に配され、且つ、鋭角の角を有する6つの伏部832bとから概略構成されている。即ち、吐出口の中心Oから局所的に離れた領域としての伏部832bをその頂部、この領域に隣接する吐出口の中心Oから局所的に近い領域としての起部832aをその基部として、図9に示すオリフィスプレートの厚み方向(液体の吐出方向)に、6つの溝1141が形成されている(図11参照)。
【0093】
本例においては、吐出口部940は、例えば、その厚み方向に交差する方向で切断した断面が、一辺27μmの二つの正三角形を60度回転させた状態で組み合わせた形状となっており、図11に示すT1は8μmである。起部832aの角度はすべて120度であり、伏部832bの角度はすべて60度である。従って、吐出口の中心Oと、互いに隣接する溝の中心部(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の中心(重心))を結んで形成される多角形の重心Gとが一致するようになっている。本例の吐出口832の開口面積は400μm2であり、溝部の開口面積(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の面積)は、1つあたり約33μm2となっている。図12は、図11に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図であり、Cはインク付着部(濡れインク)を示している。
【0094】
次に、上述した構成のインクジェット記録ヘッドによる液体の吐出動作について、図14〜図21を用いて説明する。図14〜図21は、図9〜図13に記載の液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための断面図であり、図13に示す発泡室1337のX−X断面図である。この断面において、図9に示した吐出口部940のオリフィスプレート厚み方向の端部は、溝1141の頂部1141aとなっている。図14は、ヒータ上に膜状の気泡が生成した状態を示し、図15〜図21は、その後の気泡の状態を経時的に表したものである。即ち、図15は、図14の約1μs後、図16は、図14の約2μs後、図17は、図14の約3μs後、図18は、図14の約4μs後、図19は、図14の約5μs後、図20は、図14の約6μs後、図21は図14の約7μs後の状態を夫々示している。尚、以下の説明において、「落下」又は「落とし込み」、「落ち込み」とは、所謂、重力方向への落下という意味ではなく、ヘッドの取り付け方向によらず、電気熱変換素子の方向への移動のことを意味している。
【0095】
先ず、図14に示すように、記録信号等に基づいたヒータ931への通電に伴い、ヒータ931上の液流路1338内に気泡101が生成されると、約2μs間に、図15及び図16に示すように、気泡101は急激に体積膨張して成長する。気泡101の最大体積時における高さは吐出口面935aを上回るが、このとき、気泡の圧力は大気圧の数分の1から10数分の1にまで減少している。
【0096】
次に、気泡101の生成から約2μs後の時点で、上述のように、気泡101は最大体積から体積減少に転じるが、これとほぼ同時に、メニスカス102の形成も始まる。図17に示すように、このメニスカス102もヒータ931側への方向に後退、即ち、落下して行く。ここで、本例においては、先に述べたように、吐出口部に複数の溝1141を分散させて有していることにより、メニスカス102が後退する際に、溝1141の部分では、メニスカス102の後退方向FMとは反対方向FCに毛管力が作用する。その結果、仮に何らかの原因により気泡101の状態に多少のバラツキが認められたとしても、メニスカス102の後退時のメニスカス及び主液滴(以下、液体又はインクと記述する場合がある)Iaの形状が、吐出口中心に対して略対称形状となるように補正される。
【0097】
そして、本例では、このメニスカス102の落下速度が気泡101の収縮速度よりも速いために、図18に示すように、気泡の生成から約4μs後の時点で気泡101が吐出口832の下面近傍で大気に連通する。このとき、吐出口832の中心軸近傍の液体(インク)は、ヒータ931に向かって落ち込んで行く。これは、大気に連通する前の気泡101の負圧によってヒータ931側に引き戻された液体(インク)Iaが、気泡101が大気と連通した後も慣性でヒータ931面方向の速度を保持しているからである。ヒータ931側に向かって落ち込んでいった液体(インク)は、図19に示すように、気泡101の生成から約5μs後の時点でヒータ931の表面に到達し、図20に示すようにヒータ931の表面を覆うように拡がって行く。
【0098】
このようにヒータ931の表面を覆うように拡がった液体は、ヒータ931の表面に沿った水平方向のベクトルを有するが、ヒータ931の表面に交差する、例えば、垂直方向のベクトルは消滅し、ヒータ931の表面上に留まろうとし、それよりも上側の液体、即ち、吐出方向の速度ベクトルを保つ液体を下方向に引っ張ることになる。その後、ヒータ931の表面に拡がった液体と上側の液体(主液滴)との間の液体Ibが細くなってゆき、図21に示すように、気泡101の生成から約7μs後の時点でヒータ931の表面の中央で液体Ibが切断され、吐出方向の速度ベクトルを保つ主液滴Iaと、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icとに分離される。このように、分離の位置は、液流路1338内部、より好ましくは、吐出口832よりも電気熱変換素子(ヒータ)931側が望ましい。
【0099】
主液滴Iaは、吐出方向に偏りがなく、吐出ヨレすることなく、吐出口832の中央部分から吐出され、被記録材の被記録面の所定位置に着弾される。また、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icは、従来であれば、主液滴の後続としてサテライト滴となって飛翔するものであるが、ヒータ931の表面上に留まり、吐出されない。このように、サテライト滴の吐出を抑制することができるため、サテライト滴の吐出により発生し易いスプラッシュを防止することができ、霧状に浮遊するミストにより被記録材の被記録面が汚れるのを確実に防止することができる。尚、図18〜21において、Idは、溝部に付着したインク(溝内のインク)を、また、Ieは、液流路内に残存しているインクを表している。
【0100】
上記で説明したように、本例の液体吐出ヘッドでは、気泡が最大体積に成長した後の体積減少段階で液体を吐出する際に、吐出口の中心に対して分散した複数の溝により、吐出時の主液滴の方向を安定化させることができる。その結果、吐出方向のヨレのない、着弾精度の高い液体吐出ヘッドを提供することができる。また、高い駆動周波数での発泡ばらつきに対しても吐出を安定して行うことができることにより、高速高精細印字を実現することができる。
【0101】
特に、気泡の体積減少段階で、この気泡を初めて大気と連通させることで液体を吐出することにより、気泡を大気に連通させて液滴を吐出する際に発生するミストを防止できるので、所謂、突然不吐の要因となる、吐出口面に液滴が付着する状態を抑制することもできる。また、本発明に好適に使用できる、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の記録ヘッドの他の実施態様としては、例えば、日本特許登録第2783647号に記載のように、所謂エッジシュータータイプが挙げられる。
【0102】
被記録材
本発明に用い得る被記録材としては、インクを付着して記録を行う被記録媒体であればいずれのものでも使用することができる。
本発明は、染料や顔料などの色材をインク受容層内の多孔質構造を形成する微粒子に吸着させて、少なくともこの吸着した微粒子から画像が形成される被記録媒体に適用され、インクジェット法を利用する場合に特に好適である。このようなインクジェット用の被記録材としては支持体上のインク受容層に形成された空隙によりインクを吸収するいわゆる吸収タイプであることが好ましい。吸収タイプのインク受容層は、微粒子を主体とし、必要に応じて、バインダーやその他の添加剤を含有する多孔質層として構成される。微粒子の例としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナあるいはアルミナ水和物等の酸化アルミニウム、珪藻土、酸化チタン、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛等の無機顔料や尿素ホルマリン樹脂、エチレン樹脂、スチレン樹脂等の有機顔料が挙げられ、これらの1種以上が使用される。バインダーとして好適に使用されているものには水溶性高分子やラテックスを挙げることができる。例えば、ポリビニルアルコールまたはその変性体、澱粉またはその変性体、ゼラチンまたはその変性体、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロオイルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸またはその共重合体、アクリル酸エステル共重合体などが使用され、必要に応じて2種以上を組み合せて用いることができる。その他、添加剤を使用することもでき、例えば、必要に応じて分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが使用される。
【0103】
特に、本発明に好適に用い得る被記録材は、上述の微粒子として、平均粒子径が1μm以下の微粒子を主体として、インク受容層を形成したものが好ましい。上記の微粒子として、特に好ましいものは、例えばシリカまたは酸化アルミニウム微粒子等が挙げられる。シリカ微粒子として好ましいものは、コロイダルシリカに代表されるシリカ微粒子である。コロイダルシリカ自体も市場より入手可能なものであるが、特に好ましいものとして、例えば特許第2803134号、同2881847号公報に掲載されたものを挙げることができる。酸化アルミ微粒子として好ましいものとしては、アルミナ水和物微粒子を挙げることができる。このようなアルミナ系顔料の一つとして下記一般式(VI)により表されるアルミナ水和物を好適なものとして挙げることができる。
【0104】
【外20】
Figure 2004123910
【0105】
上記式(VI)中、nは1、2または3の整数のいずれかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。但し、mとnは同時には0にはならない。mHOは、多くの場合mHO結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すものである為、mは整数または整数でない値を取ることもできる。またこの種の材料を加熱するとmは0の値に達することがありうる。アルミナ水和物は一般的には、米国特許第4242271号、米国特許第4202870号に記載されているようなアルミニウムアルコキシドの加水分解やアルミン酸ナトリウムの加水分解のような、また特公昭57−44605号公報に記載されているアルミン酸ナトリウム等の水溶液に硫酸ナトリウム、塩化アルミニウム等の水溶液を加えて中和を行う方法などの公知の方法で製造されたものを使用したものが好適である。
【0106】
(実施例)
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[実施例1〜4、比較例1〜2]
染料の調製
銅フタロシアニン顔料のスルホン化は、
1.銅フタロシアニンをクロロスルホン酸によってスルホン化し、続いてアンモニアによってスルホン酸をスルホンアミド化する。
【0107】
2.スルホン化、スルホンアミド化されたフタル酸、フタロニトリルを出発物質として銅フタロシアニンとし、必要なら続いてスルホンアミド化する。
などの定法によって合成した。
【0108】
合成した染料をLC/MS(ウォーターズ社製)により分析した。カラムとしてウォーターズSymmetry C18を使用し、移動相として水/酢酸アンモニウム/アセトニトリル溶媒をグラジエント条件で分析した。
【0109】
図22〜図24にそれぞれの染料のクロマトグラムを示す。
さらに、各成分の分析は、MSのチャートから、MHイオンが757〜759のものをx+y=2、MHイオンが814〜816のものをx+y=3、MHイオンが757〜759のものを894〜896のものをx+y=4と帰属してカウントした。
【0110】
帰属結果を表2に示す。
【0111】
表3に実施例と比較例で使用した染料を示す。更に各成分の分析は、MSのチャートから、MH+イオンが734〜735のものをx+y=2、MH+イオンが814〜816のものをx+y=3、MH+イオンが894〜896のものをx+y=4と帰属してカウントした。帰属結果を下記表2に示す。また表3は、上記表2の結果として各染料中に含まれているフタロシアニン染料の各種構造の割合を示したものであり、表中、x+yは一般式(I)の染料中のx+yを示す。各数字は液体クロマトグラム中の各ピーク高さの和になっている。
【0112】
【表2】
Figure 2004123910
【0113】
【表3】
Figure 2004123910
【0114】
(実施例1)
インク組成
シアンインク
・表3に示す染料1                     4.5部
・グリセリン                        8.0部
・尿素                          8.0部
・ジエチレングリコール                  5.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)     0.6部
・エタノール                       2.0部
・イオン交換水                     71.9部
マゼンタインク
・第1の色材である例示化合物II−7            2.5部
・第2の色材である例示化合物III−8           1.7部
・グリセリン                       10.0部
・尿素                           8.0部
・プロピレングリコール                   5.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)      0.6部
・エタノール                        2.0部
・イオン交換水                      71.2部
イエローインク
・C.I.ダイレクトイエロー132             3.0部
・グリセリン                        9.0部
・尿素                           8.0部
・2−ピロリドン                      5.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)      0.6部
・エタノール                        2.0部
・イオン交換水                      72.4部
各成分を混合し、充分攪拌して溶解した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフイルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、シアン、マゼンタ、イエローインクを調製した。
【0115】
上記のインクを用いて、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJF−870(キヤノン製)を用いてプリント物の評価を行った。
【0116】
耐ガス性の評価用紙として、無機顔料をコート層に用いた、プロフェッショナルフォトペーパーPR−101(キヤノン製)を用いた。
【0117】
評価項目は以下である。
【0118】
1.記録物の反射分光スペクトル
80%デューティのプロセスブラックベタの印字を行い、グレタグ社製分光測色機スペクトロリノによってスペクトル測定を行った。結果を図25の実線に示す。
【0119】
フタロシアニン染料の非会合に基づく660〜700nm付近のピークが、他のピーク、特に500〜700nmの範囲における他のピークより小さいことが分かる。
【0120】
2.耐ガス堅牢性
温度45℃、相対湿度55%下にて、オゾン濃度3ppmで2時間、80%デューティのプロセスブラックベタ印字物を暴露した。
【0121】
初期のODに対する残存率によって以下のような評価を行った。
【0122】
A:残存率80%以上 非常に良好である
B:残存率70〜80% 実用上の支障は少ない
C:残存率70%未満 変色が目立つ
評価結果はAであった。
【0123】
(実施例2)
インク組成
シアンインク
・表3に示す染料1                     0.7部
・グリセリン                        8.0部
・尿素                           8.0部
・ジエチレングリコール                   5.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)      0.6部
・エタノール                        2.0部
・イオン交換水                      75.7部
マゼンタインク
・第1の色材である例示化合物II−7            1.0部
・グリセリン                       10.0部
・尿素                           8.0部
・プロピレングリコール                   5.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)      0.6部
・エタノール                        2.0部
・イオン交換水                      73.4部
イエローインク
・C.I.ダイレクトイエロー132             3.0部
・グリセリン                        9.0部
・尿素                           8.0部
・2−ピロリドン                      5.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)      0.6部
・エタノール                        2.0部
・イオン交換水                      72.4部
実施例1と同様にインクを調整し、同様の評価を行った。
【0124】
1.記録物の反射分光スペクトル
60%デューティのプロセスブラックベタの印字を行い、グレタグ社製分光測色機スペクトロリノによってスペクトル測定を行った。結果を図25の破線に示す。
【0125】
フタロシアニン染料の非会合に基づく660〜700nm付近のピークが、他のピーク、特に500〜700nmの範囲における他のピークより小さいことが分かる。
【0126】
2.耐ガス堅牢性
上記実施例1と同様の方法で耐ガス堅牢性を評価したところ、
評価結果はAであった。
【0127】
(比較例1)
シアンインクの組成を以下にする以外、マゼンタとイエローのインクは実施例1と同様にして評価を行った。
【0128】
シアンインク
・表3に示す染料3                     4.5部
・グリセリン                        8.0部
・尿素                           8.0部
・ジエチレングリコール                   5.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)      0.6部
・エタノール                        2.0部
・イオン交換水                      71.9部
1.記録物の反射分光スペクトル
80%デューティのプロセスブラックベタの印字を行い、グレタグ社製分光測色機スペクトロリノによってスペクトル測定を行った。結果を図26の実線に示す。
【0129】
フタロシアニン染料の非会合に基づく660〜700nm付近のピークが、他のピーク、特に500〜700nmの範囲における他のピークと比較して、最も高いことが分かる。
【0130】
2.耐ガス堅牢性
上記実施例1、2と同様の条件にて、比較例1の画像の耐ガス堅牢性を評価したところ、評価結果はCであった。(実施例3)
シアンの染料を俵2中の染料2と同じにする以外は実施例1と同様にして評価を行った。
【0131】
660nm〜700nmのピークは他のピークと比較して低く、また上記実施例1、2と同様の条件にで耐ガス堅牢性を評価したところ、OD残存率は70〜80%の間にあり、多少の変色は認められるものの、実用上の支障は少ないものであった。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、彩度が高く、かつ変退色が生じにくいシアン色インク、特に無機顔料をコート層に用いたコート紙に記録されたときに変色が少ないインクを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッド部の縦断面図である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッド部の横断面図である。
【図3】インクジェット記録装置のヘッド部の外観斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
【図5】インクカートリッジの縦断面図である。
【図6】記録ユニットの斜視図である。
【図7】液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【図8】液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカートリッジの一例を示す概略斜視図である。
【図9】液体吐出ヘッドの一例の要部を模式的に示す概略斜視図である。
【図10】液体吐出ヘッドの一例の一部を抽出した概念図である。
【図11】図10に示した吐出口の部分の拡大図である。
【図12】図11に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
【図13】図10における主要部の模式図である。
【図14】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図15〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図15】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14及び図16〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図16】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14、図15及び図17〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図17】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図16及び図18〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図18】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図17及び図19〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図19】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図18、図20及び図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図20】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図19及び図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図21】図13中のX−X矢視断面形状に対応し、図14〜図20と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図22】染料1の液体クロマトグラムである。
【図23】染料2の液体クロマトグラムである。
【図24】染料3の液体クロマトグラムである。
【図25】実施例1に係るプロセスブラック画像の反射分光スペクトルである。
【図26】比較例1に係るプロセスブラック画像の反射分光スペクトルである。
【符号の説明】
13 ヘッド
14 インク溝
15 発熱ヘッド
16 保護膜
17−1、17−2 アルミニウム電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
21 インク
22 吐出オリフィス(微細孔)
23 メニスカス
24 インク滴
25 被記録媒体
26 マルチノズル
27 ガラス板
28 発熱ヘッド
40 インク袋
42 栓
44 インク吸収体
45 インクカートリッジ
51 給紙部
52 紙送りローラ
53 排紙ローラ
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モータ
69 ベルト
70 記録ユニット
71 ヘッド部
72 大気連通口
100 インクジェット記録ヘッド
101 気泡
102 メニスカス
832 吐出口
832a 起部
832b 伏部
931 電気熱変換素子(ヒータ、インク吐出エネルギー発生素子)
933 インク供給口(開口部)
934 基板
935 オリフィスプレート(吐出口プレート)
935a 吐出口面
936 インク流路壁
936a 隔壁
940 吐出口部
1001 液体タンク
1006 移動駆動部
1008 ケーシング
1010 記録部
1010a キャリッジ部材
1012 カートリッジ
1012Y,M,C,B インクジェットカートリッジ
1014 ガイド軸
1016 ベルト
1018 モータ
1020 駆動部
1022a、1022b ローラユニット
1024a、1024b ローラユニット
1026 回復ユニット
1026a、1026b プーリ
1028 用紙
1030 搬送装置
1141 溝
1141a 頂部
1337 発泡室
1338 液流路
C 濡れインク
FM メニスカス後退方向
FC メニスカス後退方向と反対方向
G 重心
I インク
Ia 主液滴(液体,インク)
Ib,Ic 液体(インク)
Id 溝部に付着したインク(溝内のインク)
Ie 液流路内に残存しているインク
L 液室(インク供給口)から吐出口に向かう線
N1 発泡室の幅寸法
N2 発泡室の長さ寸法
O 吐出口の中心
P 用紙の搬送方向
R ベルトの回転方向
S 用紙の搬送方向と略直交する方向
T1 吐出口伏部寸法
W 隔壁の幅寸法

Claims (4)

  1. シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを重ね合わせて被記録材上にブラックの画像を形成する工程を有している画像の形成方法であって、該シアンインクが、下記一般式(I)で表されるフタロシアニン染料と、水性媒体として、蒸気圧0.01mmHg(20〜25℃)以上のアミン化合物を含有している水性シアンインクであることを特徴とする画像形成方法:
    【外1】
    Figure 2004123910
    (式中CuPcは、銅フタロシアニン残基を表し、Mはアルカリ金属又はアンモニウムであり、xは1、2、3または4であり、yは0、1、2または3である。但しx+y=2以下のものを含まないか、或いは実質的に含まない)。
  2. 複数の、互いに異なる色相を有する染料インクによって形成された二次色の画像であって、該画像の分光スペクトル分布において、染料の非会合状態の存在を示す吸収ピーク以外のピークが最大であることを特徴とする二次色の画像。
  3. 少なくともフタロシアニン染料を含有するシアンインクを含む複数の、互いに異なる色相を有する染料インクによって形成された二次色の画像であって、該画像の分光スペクトル分布において、フタロシアニン染料の非会合状態の存在を示す吸収ピーク以外のピークが最大であることを特徴とする二次色の画像。
  4. イエローの色材、マゼンタの色材及びフタロシアニン染料を含有するシアンの色材の重ね合わせにより被記録材上に形成されてなる黒色の画像であり、該黒色画像の500nm〜700nmの範囲の分光スペクトル分布において、波長660〜700nmの領域以外に吸収の最大ピークを有していることを特徴とする黒色の画像。
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