JP5987240B2 - 非水性インクジェットインクとその製造方法 - Google Patents
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Description
前記大型のインクジェットプリンタ用の非水性インクジェットインクとしては、耐光性に優れた顔料等の着色剤と、前記着色剤を前記ポリ塩化ビニルシート等の表面に良好に定着させるためのバインダ樹脂と、前記バインダ樹脂を良好に溶解ないしは分散するとともに、前記着色剤を良好に分散しうる有機溶媒とを含むものが主に用いられる。
塩化ビニルに酢酸ビニルを共重合させると、有機溶媒による溶解性を向上させたり、ポリ塩化ビニルシート等の表面に印刷される画像や文字の可撓性を高めて印刷の耐擦過性を向上したりできるためである。
しかし前記従来の有機溶媒の組み合わせでは、非水性インクジェットインクの保存安定性が低く、バインダ樹脂や着色剤が凝集したり沈降したりしやすいという問題があった。
第1の有機溶媒:(a)の溶解性および(b)の膨潤性の両方を有する、
第2の有機溶媒:(a)の溶解性は有しないが(b)の膨潤性は有する、
第3の有機溶媒:(a)の溶解性も(b)の膨潤性も有しない、
の3種に分類し、このうち第1および第2の2種の有機溶媒を併用するか、または第1ないし第3の3種の有機溶媒を併用して前記の効果を得ることが提案されている。
(a) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体〔数平均分子量Mn=22,000、酢酸ビニル含量14質量%〕0.2gを、20mlの有機溶媒に加えて25℃で1時間かく拌することで、全量を溶解させることができる溶解性。
評価する有機溶媒20mlをビーカーに入れ、表面がテフロン(登録商標)でコートされたかく拌子を投入し、25±1℃に設定した恒温槽中で静置して液温を安定させる。
次いでマグネチックスターラを動作させ、かく拌子を回転させて、回転速度500rpm以上、1,000rpm以下の条件でかく拌する。
そして、溶液が透明になったものを溶解性あり、溶液が濁っていたり固形物が沈殿したりしたものを溶解性なしとして評価する。
(b) 日本工業規格JIS K6742:2004に規定された、外径の基準寸法が32.0mm、内径の呼び径が25mmの水道用硬質塩化ビニル管(VP)を、有機溶媒に浸漬させて、60℃で3日間静置した際に、内径の変化率が1%以上となるように膨潤させることができる膨潤性。
評価する有機溶媒300mlをビーカー中に入れ、60±1℃に設定した恒温槽中で静置して液温を安定させる。
次いで前記液中に、あらかじめ長さ80mmに切断すると共に内径を実測した水道用硬質塩化ビニル管(VP)を浸漬して3日間静置した後、液中から引き上げて直ちに内径を実測する。
蛍光色の印刷をするための、蛍光色の着色剤としては、例えば無機または有機の蛍光顔料や蛍光染料等が挙げられる。
しかし、このうち無機の蛍光顔料は粒径が10〜100μm程度と大きいため、インクジェットプリンタのノズルから吐出させることができず、非水性インクジェットインクの着色剤として使用することはできない。
ところが前記有機の蛍光顔料を、前記有機溶媒を含む非水性のインクジェットインクに配合すると、前記蛍光顔料を構成する樹脂の一部が溶解または膨潤して、蛍光顔料が、非水性インクジェットインク中で凝集し易くなる。そのため非水性インクジェットインクの保存安定性が低下したり、インクジェットプリンタのノズルから安定して吐出できなくなったりするという問題がある。
そのため前記有機溶媒が、従来の含窒素複素環化合物等に比べてポリ塩化ビニルシート等に対する浸透性が低く、蛍光染料を伴ってポリ塩化ビニルシート等の内部に浸透しにくいことと相まって、前記ポリ塩化ビニルシート等の表面に、十分な濃度を有する良好な蛍光色の印刷をすることが可能となる。
これは、前記蛍光顔料を構成する第2の樹脂として、一般的に、蛍光染料に対する親和性、相溶性に特に優れたものが用いられていること、および配合前に蛍光染料によって染色されていた第2の樹脂の方が、蛍光染料と第2の樹脂とを別個に配合する場合より蛍光染料と再相溶しやすいことから、前述した、蛍光染料がポリ塩化ビニルシート等の内部に移行するのを抑制する機能に優れているためである。
有機溶媒は、前記ポリアルキレングリコールアルキルエーテル類のうち、アルキレン基の炭素数がいずれも2〜4である、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールジアルキルエーテル、およびテトラアルキレングリコールジアルキルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。
前記有機溶媒は、前記ポリアルキレングリコールアルキルエーテル類のうち、先に説明した(a)の溶解性および(b)の膨潤性の両方を有する少なくとも1種の第1の有機溶媒、(a)の溶解性は有しないが(b)の膨潤性は有する少なくとも1種の第2の有機溶媒、および(a)の溶解性および(b)の膨潤性の両方を有しない少なくとも1種の第3の有機溶媒の3種であるのが好ましい。
また第3の有機溶媒は、分子中に水酸基を含む場合、当該水酸基の作用によってポリ塩化ビニルシート等の表面に対する表面張力が高いため、前記表面に到達した非水性インクジェットインクの液滴の、当該表面に対する接触角を大きくする働きをする。そのため、前記表面でのインクの面方向への広がりを抑制することもできる。
蛍光染料としては、前記有機溶媒に可溶である種々の蛍光染料がいずれも使用可能である。かかる蛍光染料としては、下記の各種染料の1種または2種以上が挙げられる。
(油溶性染料)
C.I.ソルベントイエロー44、82、116、C.I.ソルベントレッド43、44、45、49、60、C.I.ソルベントブルー5、C.I.ソルベントグリーン7
(分散染料)
C.I.ディスパーズイエロー82、83、121、124、C.I.ディスパーズオレンジ11、C.I.ディスパーズレッド58、60、C.I.ディスパーズブルー7
(塩基性染料)
ローダミンB、C.I.ベーシックレッド1:1、C.I.ベーシックイエロー40、44、C.I.ベーシックバイオレット7、11、C.I.ベーシックブルー45
(蛍光増白剤、Fluor Bright Agent)
C.I.FBA184
(その他の蛍光染料)
サリチル酸、フルオレセイン、エオシン、チオフラビン、ヘリオドンレッド
〈第2の樹脂〉
第2の樹脂としては、前記蛍光染料が前記媒体の表面から内部に移行するのを抑制する機能を有する、スチレン−ジビニルベンゼン共重合物のソディウムスルホン化物を用いる。
前記蛍光染料と第2の樹脂とは別個に配合してもよいが、例えば第2の樹脂の微細な粒子を蛍光染料で染色するか、または前記蛍光染料のコアを第2の樹脂のシェルで被覆する等して構成された有機の蛍光顔料を、前記蛍光染料と第2の樹脂の出発原料として用い、当該蛍光顔料を有機溶媒に溶解して使用するのが好ましい。
日本蛍光化学(株)製の、NKP−4000、NKP−8300、NKP−9200、NKP−9500C、NKP−9600、NKV−S、NKW−2000、NKW−2100、NKW−3000、NKW−3600、MPI−500C、NKS−1000の各シリーズの各色の蛍光顔料、
シンロイヒ(株)製のFZ−2000、FZ−2800、FZ−3040、FZ−5000、FZ−6000、FA−40、FA−200、FX−300、FA−000、SX−1000、SF−5000、SX−1000、SEL−100、FM−10、FM−100、FNPの各シリーズの各色の蛍光顔料、
デイグロ(DayGlo)社製のT、TM、GT、Z、ZQ、LFY、GPL、AGL、AGR、Phantomの各シリーズの各色の蛍光顔料、
(株)日本触媒製のエポカラーFPシリーズの各色の蛍光顔料、
御国色素(株)製のビクトリアカラーGシリーズの各色の蛍光顔料、
東ソー(株)製のコスモカラーS−1000Fシリーズの各色の蛍光顔料、および
スターリングカラー社製の各色の蛍光顔料、
の1種または2種以上が挙げられる。
顔料の配合割合は、非水性インクジェットインクの総量の0.1質量%以上、特に0.4質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下、特に8質量%以下であるのが好ましい。
〈ポリ塩化ビニル系樹脂〉
バインダ樹脂としては、前記のようにポリ塩化ビニルシート等の表面に対する定着性に優れたポリ塩化ビニル系樹脂が使用される。また前記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、特に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好適に用いられる。
前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、数平均分子量Mnが15,000以上、中でも20,000以上、特に22,000以上であるのが好ましく、35,000以下、中でも30,000以下、特に27,000以下であるのが好ましい。
また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニル含量は10質量%以上、中でも12質量%以上であるのが好ましく、18質量%以下、中でも16質量%以下であるのが好ましく、特に14質量%前後であるのが好ましい。
また塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、前記通常のものに代えて、懸濁重合法や乳化重合法によって合成された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を使用することもできる。これらの重合法によって合成される塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、従来の、溶液重合法によって合成されるもののように多量の有機溶媒を使用しないため、かかる有機溶媒を大気中に揮散させずに排気処理、廃液処理等によって回収する設備等を必要としない等の利点を有している。
数平均分子量Mnが前記範囲未満では、ポリ塩化ビニルシート等に対する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の定着性が低下して、前記ポリ塩化ビニルシート等の表面に、耐水性、耐光性、耐摩擦性等に優れた画質の良好な画像や文字を印刷する効果が十分に得られないおそれがある。
また懸濁重合法によって合成される塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は1質量%以上、中でも10質量%以上、特に13質量%以上であるのが好ましく、36質量%以下、中でも22質量%以下、特に15質量%以下であるのが好ましい。
また前記範囲を超える場合には、ポリ塩化ビニルシート等に対する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の定着性が低下して、前記ポリ塩化ビニルシート等の表面に、耐水性、耐光性、耐摩擦性等に優れた画質の良好な画像や文字を印刷する効果が十分に得られないおそれがある。
重量平均分子量Mwが前記範囲未満では、ポリ塩化ビニルシート等に対する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の定着性が低下して、前記ポリ塩化ビニルシート等の表面に、耐水性、耐光性、耐摩擦性等に優れた画質の良好な画像や文字を印刷する効果が十分に得られないおそれがある。
また乳化重合法によって合成される塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は1質量%以上、中でも10質量%以上、特に14質量%以上であるのが好ましく、36質量%以下、中でも20質量%以下、特に16質量%以下であるのが好ましい。
また前記範囲を超える場合には、ポリ塩化ビニルシート等に対する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の定着性が低下して、前記ポリ塩化ビニルシート等の表面に、耐水性、耐光性、耐摩擦性等に優れた画質の良好な画像や文字を印刷する効果が十分に得られないおそれがある。
配合割合が前記範囲未満では、バインダ樹脂を配合することによる定着性が不足して、ポリ塩化ビニルシート等の表面に、耐水性、耐光性、耐摩擦性等に優れた画質の良好な画像や文字を印刷する効果が十分に得られないおそれがある。
〈有機溶媒〉
有機溶媒は、少なくともポリアルキレングリコールアルキルエーテル類を含んでいるとともに、その配合割合は、有機溶媒の総量の70質量%以上である必要がある。
これに対し、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル類を前記の割合で配合した有機溶媒を選択的に用いることにより、先に説明した従来の混合溶媒を用いる場合に比べて、非水性インクジェットインクの保存安定性を向上することができる。
で表されるアミド系溶媒が好ましい。
前記式(1)で表されるアミド系溶媒は、ポリ塩化ビニルシート等に対する浸透乾燥性に優れるとともに、速やかに揮発して印刷を実質的に乾燥させる揮発乾燥性にも優れている。
前記ポリアルキレングリコールアルキルエーテル類は、先に説明したように第1ないし第3の3種に分類することができ、このうち第1および第2の2種の有機溶媒を併用するか、または第1ないし第3の3種の有機溶媒を併用するのが好ましい。
前記のうち第1の有機溶媒としては、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、およびジエチレングリコールエチルメチルエーテル等の1種または2種以上が挙げられる。
さらに第3の有機溶媒としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、イソプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびトリプロピレングリコールジメチルエーテル等の1種または2種以上が挙げられる。
かかる有機溶媒は、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル類の中でもポリ塩化ビニルシート等に対する浸透性が低いため、蛍光染料を伴ってポリ塩化ビニルシート等の内部に浸透することが殆どない。したがってポリ塩化ビニルシート等の表面に、より一層高い濃度を有する良好な蛍光色の印刷をすることができる。
また第2の有機溶媒としては、例えばジエチレングリコールジエチルエーテル、および/またはテトラエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
さらに第3の有機溶媒としては、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの1種または2種以上が好ましい。
特に前記第1ないし第3の3種の有機溶媒を併用するのが好ましい。
かかる3種の併用系において、前記第1の有機溶媒は、含窒素複素環化合物等の非プロトン性極性有機溶媒ほどではないもののポリ塩化ビニルシート等、およびバインダ樹脂としてのポリ塩化ビニル系樹脂に対する溶解性を有しているのに対し、第3の有機溶媒は、前記ポリ塩化ビニルシート等、およびポリ塩化ビニル系樹脂に対する溶解性を有していない。また第2の有機溶媒も含めて、前記3種の有機溶媒は非常に相溶性に優れている。
また第3の有機溶媒は、分子中に水酸基を含む場合、当該水酸基の作用によってポリ塩化ビニルシート等の表面に対する表面張力が高いため、前記表面に到達した非水性インクジェットインクの液滴の、当該表面に対する接触角を大きくする働きをする。そのため、前記表面でのインクの面方向への広がりを抑制することもできる。
前記3種の併用系において、第3の有機溶媒の配合割合は、前記併用系の総量の1質量%以上、特に2質量%以上であるのが好ましく、7質量%以下、特に5質量%以下であるのが好ましい。
一方、前記範囲より配合割合が多い場合には、ポリ塩化ビニルシート等の表面に対する非水性インクジェットインクの定着性が低下したり、バインダ樹脂であるポリ塩化ビニル系樹脂の溶解性不足に起因してインクの安定性が低下したりするおそれがある。
前記範囲より配合割合が少ない場合には、ポリ塩化ビニルシート等の表面に対する非水性インクジェットインクの定着性が低下したり、バインダ樹脂であるポリ塩化ビニル系樹脂の溶解性不足に起因してインクの安定性が低下したりするおそれがある。
第2の有機溶媒の配合割合は、前記第1および第3の有機溶媒の配合割合の残量である。すなわち第2の有機溶媒を加えて3種の有機溶媒の総量が100質量%となるように配合割合を設定すればよい。
前記式(1)で表されるアミド系溶媒において、式中のR1〜R3に相当するアルキル基としては、それぞれ個別に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の、炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
前記アミド系溶媒(1)の具体的化合物としては、例えば式(2):
前記式(1)のアミド系溶媒は、先の(a)の溶解性、および(b)の膨潤性で分類すると、第1の有機溶媒に相当する。そのため、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル類と、式(1)のアミド系溶媒とを併用する場合は、前記ポリアルキレングリコールアルキルエーテル類のうち第1の有機溶媒の少なくとも一部を、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル類の配合割合が前記70質量%以上となる範囲内で、式(1)のアミド系溶媒で置換するのが好ましい。
〈その他〉
非水性インクジェットインクには、前記各成分に加えてさらに、ポリ塩化ビニル系樹脂の脱塩酸反応によって生じる塩素を捕捉するためのエポキシ化物や、あるいは高分子分散剤、界面活性剤、可塑剤、帯電防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、ラジカル重合禁止剤、pH調整剤、金属配位化合物、紫外線吸収剤、光安定化剤、防かび剤、殺生剤等の種々の添加剤を、必要に応じて任意の割合で配合してもよい。
蛍光染料と第2の樹脂の複合体である蛍光顔料を出発原料として使用する場合は、先に説明したように前記蛍光顔料を、非水性インクジェットインクを構成する有機溶媒に溶解する工程を経て、非水性インクジェットインクを製造するのが好ましい。
より具体的には、前記蛍光顔料を、前記有機溶媒の一部に溶解して溶液を調製し、かかる溶液をその他の成分と配合して非水性インクジェットインクを製造するのがよい。その他の手順は、従来同様である。
前記各成分を含む本発明の非水性インクジェットインクは、例えばサーマル方式〔サーマルジェット(登録商標)方式、バブルジェット(登録商標)方式〕、ピエゾ方式等の、いわゆるオンデマンド型のインクジェットプリンタに使用できる他、インクを循環させながらインクの液滴を形成して印刷を行う、いわゆるコンティニュアス型のインクジェットプリンタにも使用可能である。
〈実施例1〉
着色剤としては、第2の樹脂としてのスチレン−ジビニルベンゼン共重合物のソディウムスルホン化物の粒子を、蛍光染料としてのC.I.ディスパーズイエロー82で染色してなる蛍光顔料〔シンロイヒ(株)製のFNP−35、レモンイエロー〕を用いた。
また別に、第2の有機溶媒としてのジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)33質量部、およびテトラエチレングリコールジメチルエーテル(4EG−2M)10質量部と、第3の有機溶媒としてのジエチレングリコールモノエチルエーテル(2EG−1E)3質量部との混合溶媒に、バインダ樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体〔前出の、米国ダウ・ケミカル社製のVYHH、数平均分子量Mn=27,000、酢酸ビニル含量14質量%〕4質量部を加え、かく拌して前記バインダ樹脂を膨潤させた。
前記バインダ樹脂の溶液70質量部をかく拌下、先の蛍光染料と第2の樹脂の溶液30質量部を加えたのち、均一相を形成するようにさらにかく拌して非水性インクジェットインクを製造した。
蛍光顔料に代えて、第2の樹脂としてのスチレン−ジビニルベンゼン共重合物のソディウムスルホン化物1質量部と、蛍光染料としてのC.I.ディスパーズイエロー82 3.5質量部とを別個に配合したこと以外は実施例1と同様にして非水性インクジェットインクを製造した。
〈実施例3〉
第1の有機溶媒としてのジエチレングリコールエチルメチルエーテル(2EG−EM)に代えて、前記式(2)で表されるアミド系溶媒〔出光興産(株)製のエクアミド(登録商標)M100、分子量:131.2、沸点:216℃〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして非水性インクジェットインクを製造した。
〈実施例4〉
第3の有機溶媒としてのジエチレングリコールモノエチルエーテル(2EG−1E)を配合せず、第2の有機溶媒としてのジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)の配合量を61.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして非水性インクジェットインクを製造した。
〈比較例1〉
蛍光顔料に代えて、蛍光染料としてのC.I.ディスパーズイエロー82 3.5質量部のみを配合したこと以外は実施例1と同様にして非水性インクジェットインクを製造した。
〈比較例2〉
蛍光顔料とジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)とを、蛍光顔料が溶解しないようにチラーで冷却しながら混合して、前記蛍光顔料が溶解せずに分散した分散液を調製し、前記分散液を、バインダ樹脂の溶液に配合したこと以外は実施例1と同様にして非水性インクジェットインクを製造した。
〈比較例3〉
アミド系溶剤の量を32質量部、ジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)の量を合計で44.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして非水性インクジェットインクを製造した。
〈蛍光濃度評価〉
前記各実施例、比較例の非水性インクジェットインクを、ポリ塩化ビニル製ターポリンの表面に、ワイヤーバー(ドクター0.1、直径0.1mmのワイヤーを金属の棒に巻きつけたもの)を用いて塗布し、乾燥させたのち、日本電色工業(株)製のハンディ型分光色差計NF−999を用いて、分光反射率と波長450nmでのOD値とを測定した。そして下記の基準で蛍光濃度を評価した。
△:波長500〜550nmの間に分光反射率の極大値があり、なおかつ波長450nmでのOD値が0.9以上、1.1未満であった。蛍光濃度通常レベル。
○:波長500〜550nmの間に分光反射率の極大値があり、なおかつ波長450nmでのOD値が1.1以上、1.3未満であった。蛍光濃度良好。
◎:波長500〜550nmの間に分光反射率の極大値があり、なおかつ波長450nmでのOD値が1.5以上であった。蛍光濃度極めて良好。
〈吐出安定性試験〉
ピエゾ方式のインクジェットプリンタを用いて、前記各実施例、比較例の非水性インクジェットインクにより、ポリ塩化ビニル製ターポリンの表面に、幅1ポイントの罫線を印刷し、その状態を観察して、下記の基準で、インクジェットプリンタのノズルからの吐出の安定性を評価した。
×:印刷の全般にわたって罫線にかすれが見られた。吐出安定性不良。
以上の結果を表2、表3に示す。
また比較例2の結果より、着色剤として蛍光染料と第2の樹脂とを含む蛍光顔料を使用して、それを有機溶媒に溶解させずに分散させた場合には、分散させた蛍光顔料が凝集して、吐出安定性が低下することが判った。また保存安定性が低下することも予想された。
Claims (4)
- 少なくとも表層がポリ塩化ビニル系樹脂からなる媒体の表面に印刷するための非水性インクジェットインクであって、着色剤としての蛍光染料、バインダ樹脂としてのポリ塩化ビニル系樹脂、少なくともポリアルキレングリコールアルキルエーテル類を総量の70質量%以上の割合で含む有機溶媒、および第2の樹脂としてのスチレン−ジビニルベンゼン共重合物のソディウムスルホン化物を含むことを特徴とする非水性インクジェットインク。
- 前記有機溶媒は、前記ポリアルキレングリコールアルキルエーテル類のうち、アルキレン基の炭素数がいずれも2〜4である、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールジアルキルエーテル、およびテトラアルキレングリコールジアルキルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の非水性インクジェットインク。
- 前記有機溶媒は、前記ポリアルキレングリコールアルキルエーテル類のうち、
(a) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体〔数平均分子量Mn=22,000、酢酸ビニル含量14質量%〕0.2gを、20mlの有機溶媒に加えて25℃で1時間かく拌することで、全量を溶解させることができる溶解性、および
(b) 日本工業規格JIS K6742:2004に規定された、外径の基準寸法が32.0mm、内径の呼び径が25mmの水道用硬質塩化ビニル管(VP)を、有機溶媒に浸漬させて、60℃で3日間静置した際に、内径の変化率が1%以上となるように膨潤させることができる膨潤性、
のうち、(a)の溶解性および(b)の膨潤性の両方を有する少なくとも1種の第1の有機溶媒、(a)の溶解性は有しないが(b)の膨潤性は有する少なくとも1種の第2の有機溶媒、および(a)の溶解性および(b)の膨潤性の両方を有しない少なくとも1種の第3の有機溶媒の3種である請求項1または2に記載の非水性インクジェットインク。 - 前記請求項1ないし3のいずれか1項に記載の非水性インクジェットインクの製造方法であって、前記第2の樹脂と蛍光染料とを含む蛍光顔料を出発原料として用い、前記蛍光顔料を前記有機溶媒に溶解させる工程を含むことを特徴とする非水性インクジェットインクの製造方法。
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