JP2002294110A - インクジェット記録用水性インク - Google Patents

インクジェット記録用水性インク

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 普通紙へ記録してもカラーブリードが低減さ
れるインクジェット記録用水性インクを提供する。 【解決手段】 少なくとも、水、着色剤、アセチレング
リコールエチレンオキサイド付加体、及び、2種以上の
ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテ
ルを含有するインクジェット記録用水性インクであっ
て、前記ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキ
ルエーテルの少なくとも1種は、3つ以上のプロピレン
オキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブ
チルエーテルであるインクジェット記録用水性インク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リンターに用いる記録用水性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット記録方式として
は、静電吸引方式、圧電素子等を用いてインクに機械的
振動又は変位を与える方式、インクを加熱させることに
より気泡を発生させ、その時の圧力を利用する方法等の
インク吐出方式が知られている。これらの吐出方式によ
りインク小滴を形成し、それらの一部又は全部を紙等の
被記録材に付着させて記録を行うものである。このよう
なインクジェット記録方式に使用するインクとしては、
各種の水溶性染料又は顔料を、水又は水と水溶性有機溶
媒とからなる液媒体に溶解又は分散させたものが知ら
れ、使用されている。
【0003】このようなインクを用い長時間にわたって
良好な記録を行うためには、使用するインクの粘度、表
面張力、導電率、密度等の特性値が適当な値であるこ
と、記録装置のノズル、オリフィスでの目詰まりを防止
するために、熱等により析出物が生じたり、物性値が変
化したりしないこと、記録画像が耐水性、耐光性等に優
れていること、等の条件が必要である。これらの条件を
満足させるため、数多くの提案がなされている。
【0004】しかしながら近年は、コスト、環境への配
慮からインクジェット専用紙に記録するよりも普通紙へ
の記録要求が高まっている。従来の多くのインクでは普
通紙に記録した場合、異なった色同士が隣接する部分で
混ざり合うカラーブリードが発生し易いという問題があ
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点を解決するためになされたものであり、普通紙へ記
録してもカラーブリードが低減されるインクジェット記
録用水性インクを提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも、
水、着色剤、アセチレングリコールエチレンオキサイド
付加体、及び、2種以上のポリオキシアルキレングリコ
ール−n−アルキルエーテルを含有するインクジェット
記録用水性インクであって、上記ポリオキシアルキレン
グリコール−n−アルキルエーテルの少なくとも1種
は、3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロ
ピレングリコール−n−ブチルエーテルであるインクジ
ェット記録用水性インクである。なお、本明細書におい
て、ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエ
ーテルは、オキシアルキレン基を1つ有するモノオキシ
アルキレングリコール−n−アルキルエーテルをも含む
ものである。以下に本発明を詳述する。
【0007】本発明のインクジェット記録用水性インク
は、少なくとも、水、着色剤を含有するものである。
【0008】本発明で用いられる水としては特に限定さ
れないが、水道水等の一般的な水を使用するよりも、イ
オン交換水、蒸留水等の純度の高いものを使用すること
が好ましい。上記水の含有量は、上記着色剤及びポリオ
キシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルの種
類、その組成又は所望されるインクの特性に依存して決
定すればよいが、インクの全重量に対して一般に10〜
98重量%であることが好ましい。10重量%未満であ
っても、98重量%を超えても、通常時のインク粘度を
正常噴射可能な粘度に保つことが困難になる。より好ま
しくは、30〜97重量%であり、更に好ましくは、4
0〜95重量%である。
【0009】本発明で用いられる着色剤としては、例え
ば、染料、顔料等を用いることができる。上記染料とし
ては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等
に代表される水溶性染料が用いられる。上記水溶性染料
としては特に限定されないが、インクジェット記録方式
に用いるインクに好適で、鮮明性、水溶性、安定性、耐
光性、その他の要求される性能を満たすものが好まし
く、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、19、
32、51、71、108、146、154、168;
C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、8
6、90、106、199;C.I.ダイレクトレッド
1、4、17、28、83、227;C.I.ダイレク
トイエロー12、24、26、86、98、132、1
42;C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、
46、60;C.I.ダイレクトバイオレット47、4
8;C.I.ダイレクトブラウン109;C.I.ダイ
レクトグリーン59;C.I.アシッドブラック2、
7、24、26、31、52、63、112、118;
C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、
102、104、113、117、120、167、2
29、234;C.I.アシッドレッド1、6、32、
37、51、52、80、85、87、92、94、1
15、181、256、289、315、317;C.
I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、
42、61、71;C.I.アシッドオレンジ7、1
9;C.I.アシッドバイオレット49;C.I.ベー
シックブラック2;C.I.ベーシックブルー1、3、
5、7、9、24、25、26、28、29;C.I.
ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、3
7;C.I.ベーシックバイオレット7、14、27;
C.I.フードブラック1、2等を挙げることができ
る。
【0010】上記顔料としては水相に分散可能なもので
あれば特に限定されず、例えば、アゾレーキ、不溶性ア
ゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔
料;フタロシアニン顔料、ペリレン、ペリノン顔料、ア
ントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔
料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフ
タロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ、酸性
染料型レーキ等の染料レーキ;ニトロ顔料、ニトロソ顔
料、アニリンブラック昼光蛍光顔料等の有機顔料;酸化
チタン、酸化鉄系顔料、カーボンブラック系顔料等の無
機顔料を挙げることができる。本発明で用いられる顔料
として、上記の各種顔料を界面活性剤や高分子分散剤等
で表面処理したもの等を使用することも可能である。こ
のようなものとしては、例えば、グラフトカーボンを挙
げることができる。
【0011】上記顔料を本発明で用いられる着色剤とし
て使用する場合、適当な分散剤、溶媒、純水及び必要に
応じて他の添加剤とともに、従来知られている方法によ
り分散処理を行う。上記分散剤としては、例えば、特開
昭62−101672号公報に記載されている顔料分散
に用いられる高分子分散剤や界面活性剤を使用すること
ができる。上記高分子分散剤としては特に限定されず、
例えば、ゼラチン、アルブミン等の蛋白質;アラビアゴ
ム、トラガントゴム等の天然ゴム類;サポニン等のグル
コシド類;メチルセルロース、カルボキシセルロース、
ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;リ
グニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子;ポリア
クリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニ
ルナフタレン−アクリル酸共重合物の塩、スチレン−マ
レイン酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸
共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホリマリン縮
合物のナトリウム塩、リン酸塩等の陰イオン性高分子;
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエ
チレングリコール等の非イオン性高分子等を挙げること
ができる。
【0012】上記界面活性剤としては、例えば、高級ア
ルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩
類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活
性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオ
キシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキル
エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエ
ステル類等の非イオン性界面活性剤等を挙げることがで
きる。これらの分散剤は単独で用いられてもよく、2種
以上が併用されてもよい。上記分散剤の配合量は、一般
的にインクの全重量に対して0.01〜20重量%であ
ることが好ましい。0.01重量%未満であっても、2
0重量%を超えても、顔料の分散安定性が不充分であ
り、顔料の凝集、沈降等の分散破壊が生じることがあ
る。
【0013】上記顔料の分散処理に用いる分散機として
は特に限定されず、一般的な分散機を広く使用すること
ができるが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンド
ミル等を挙げることができる。なかでも、高速型のサン
ドミルが好ましい。上記染料及び顔料は、それぞれ単独
で用いられてもよいし、染料同士、顔料同士、また、染
料と顔料を2種以上混合して用いられてもよい。上記着
色剤の含有量は、インクの全重量に対して一般に0.1
〜20重量%であることが好ましい。0.1重量%未満
であると、充分な印字濃度が得られず、20重量%を超
えると、染料であれば溶剤へ充分溶解することができず
析出することがあり、顔料であれば分散安定性を保つこ
とが困難となる。より好ましくは、0.3〜15重量%
であり、更に好ましくは、0.5〜10重量%である。
【0014】本発明のインクジェット記録用水性インク
は、更に、アセチレングリコールエチレンオキサイド付
加体、及び、2種以上のポリオキシアルキレングリコー
ル−n−アルキルエーテルを含有することを特徴とす
る。
【0015】本発明で用いられるアセチレングリコール
エチレンオキサイド付加体としては特に限定されず、例
えば、下記一般式(1)で表される化合物を挙げること
ができる。
【0016】
【化1】
【0017】本発明のインクジェット記録用水性インク
は、上記アセチレングリコールエチレンオキサイド付加
体を含有することにより、インクの記録紙への浸透が効
果的に速くなる。
【0018】上記アセチレングリコールエチレンオキサ
イド付加体の含有量としては、インクの全重量に対して
0.01〜10重量%であることが好ましい。0.01
重量%未満であると、記録紙への充分な浸透作用が得ら
れず、10重量%を超えると、通常時のインク表面張力
を正常噴射可能な適正値に保つことが困難になる。より
好ましくは、0.1〜1重量%である。
【0019】本発明で用いられるポリオキシアルキレン
グリコール−n−アルキルエーテルとしては、アルキル
基の炭素数が5以下であり、オキシアルキレン基の炭素
数が12以下であるものが好ましい。分子の鎖の長いも
のは粘度の上昇が激しくインクジェット記録用水性イン
クの材料として適さない。
【0020】上記ポリオキシアルキレングリコール−n
−アルキルエーテルとしては、エチレングリコール系、
プロピレングリコール系のアルキルエーテルに代表され
るグリコールエーテルを挙げることができる。
【0021】上記エチレングリコール系化合物として
は、例えば、エチレングリコール−n−メチルエーテ
ル、エチレングリコール−n−エチルエーテル、エチレ
ングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコ
ール−n−ブチルエーテル、エチレングリコール−n−
イソブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−メチ
ルエーテル、ジエチレングリコール−n−エチルエーテ
ル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジ
エチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレン
グリコール−n−イソブチルエーテル、トリエチレング
リコール−n−メチルエーテル、トリエチレングリコー
ル−n−エチルエーテル、トリエチレングリコール−n
−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブ
チルエーテル、トリエチレングリコール−n−イソブチ
ルエーテル等を挙げることができる。
【0022】上記プロピレングリコール系化合物として
は、例えば、プロピレングリコール−n−メチルエーテ
ル、プロピレングリコール−n−エチルエーテル、プロ
ピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレン
グリコール−n−イソプロピルエーテル、プロピレング
リコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコー
ル−n−メチルエーテル、ジプロピレングリコール−n
−エチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロ
ピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−イソプロ
ピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエ
ーテル、トリプロピレングリコール−n−メチルエーテ
ル、トリプロピレングリコール−n−エチルエーテル、
トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ト
リプロピレングリコール−n−イソプロピルエーテル、
トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、テト
ラプロピレングリコール−n−メチルエーテル、テトラ
プロピレングリコール−n−エチルエーテル、テトラプ
ロピレングリコール−n−プロピルエーテル、テトラプ
ロピレングリコール−n−イソプロピルエーテル、テト
ラプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ペンタ
プロピレングリコール−n−メチルエーテル、ペンタプ
ロピレングリコール−n−エチルエーテル、ペンタプロ
ピレングリコール−n−プロピルエーテル、ペンタプロ
ピレングリコール−n−イソプロピルエーテル、ペンタ
プロピレングリコール−n−ブチルエーテル等を挙げる
ことができる。
【0023】本発明は、上記ポリオキシアルキレングリ
コール−n−アルキルエーテルの少なくとも1種が、3
つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレン
グリコール−n−ブチルエーテルであることを必須の要
件とする。上記3つ以上のプロピレンオキサイドを有す
るポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルとし
ては、例えば、トリプロピレングリコール−n−ブチル
エーテル、テトラプロピレングリコール−n−ブチルエ
ーテル、ペンタプロピレングリコール−n−ブチルエー
テル等を挙げることができる。
【0024】本発明のインクジェット記録用水性インク
は、上記ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキ
ルエーテルを含有することにより、記録紙上での遅乾性
に起因するカラーブリードが効果的に低減する。
【0025】上記3つ以上のプロピレンオキサイドを有
するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルは
単独で使用してもカラーブリードを効果的に低減するこ
とはできないが、先に挙げたアセチレングリコールエチ
レンオキサイド付加体、他のポリオキシアルキレングリ
コール−n−アルキルエーテルと組み合わせてインク組
成物に添加することにより、普通紙へ記録した場合にお
いても異なった色同士が隣接する部分で混ざり合うカラ
ーブリードを極めて効果的に低減できる。アセチレング
リコールエチレンオキサイド付加体、他のポリオキシア
ルキレングリコール−n−アルキルエーテル及び3つ以
上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリ
コール−n−モノブチルエーテルを併用することによっ
てカラーブリードを効果的に低減できる理由は定かでは
ないが、以下のように推定することができる。
【0026】3つ以上のプロピレンオキサイドを有する
ポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルはポリ
オキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルの
中でも特にインクと空気との界面に局在化しやすい性質
を持ちインク滴が記録紙に着弾する際、他のポリアルキ
レングリコール−n−アルキルエーテルを単独で用いた
場合よりもインクの浸透速度を効果的に速めているもの
と考えられる。また、アセチレングリコールエチレンオ
キサイド付加体は濡れ性が高い為、記録紙へのインクの
浸透を促し、他のポリオキシアルキレングリコール−n
−アルキルエーテルと3つ以上のプロピレンオキサイド
を有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテ
ルとを同時に用いることで、それぞれを単独で用いた場
合よりもインクの記録紙上への浸透速度を相乗効果的に
速めていると考えられる。
【0027】すなわち、他のポリアルキレングリコール
−n−アルキルエーテルを単独で使用した場合にはポリ
アルキレングリコール−n−アルキルエーテルはインク
中で局在することなく均等に分散して存在するため、イ
ンクの浸透性を均一に速める効果を有するのみであるが
更にアセチレングリコールエチレンオキサイド付加体及
び3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピ
レングリコール−n−ブチルエーテルを併用することに
より、ポリアルキレングリコール−n−アルキルエーテ
ルの均一な浸透効果に加えて、インク滴の最表面に3つ
以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレング
リコール−n−ブチルエーテルとアセチレングリコール
エチレンオキサイド付加体とが均一に局在化することに
よって、記録紙に着弾した瞬間の極初期の浸透速度を速
めているものと考えられる。
【0028】また、3つ以上のプロピレンオキサイドを
有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル
は上記のようにインク滴が記録紙に着弾する際、インク
の浸透速度を効果的に速めるものではあるが、水への溶
解性が大きくない為、水性インクへの多量添加が困難で
あり、3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプ
ロピレングリコール−n−ブチルエーテルの単独使用で
効果的な記録紙への浸透作用が得られることは少ない。
【0029】更に、このような優れたカラーブリード低
減効果は、例えば、3つ以上のプロピレンオキサイドを
有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル
の代わりに一般的な界面活性剤を用いても充分には得ら
れない。このことは、一般的な界面活性剤と比較して3
つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレン
グリコール−n−ブチルエーテルの分子が小さく、イン
ク滴最表面への移動速度が充分に速いことに起因するも
のと考えられる。また、他のポリアルキレングリコール
−n−アルキルエーテルと3つ以上のプロピレンオキサ
イドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエ
ーテルの構造が類似していることもインク滴の記録紙へ
の浸透がインク滴最表面から内部に渡って連続的、且
つ、スムーズに進行するために必要な要素となっている
ものと推察される。
【0030】上記ポリオキシアルキレングリコール−n
−アルキルエーテルの総含有量は、インクの全重量に対
して2〜15重量%であることが好ましい。2重量%未
満であると、インクの記録紙への浸透速度が遅く、乾燥
時間が長く、カラーブリードに問題を生じることがあ
る。一方、15重量%を超えると、インクの記録紙への
浸透が激しくなり、記録紙の裏までインクが達してしま
ったり、紙の繊維に沿ってインクが髭状に滲む現象であ
るフェザリングにも問題を生じることがある。より好ま
しくは、3〜12重量%であり、更に好ましくは、4〜
10重量%である。
【0031】3つ以上のプロピレンオキサイドを有する
ポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルと他の
ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテ
ルとの配合比は、その組成又は所望されるインクの特性
に依存して広い範囲で決定される。一般にポリオキシア
ルキレングリコール−n−アルキルエーテルの総含有量
に対して3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリ
プロピレングリコール−n−ブチルエーテルが占める割
合が1〜80重量%であることが好ましい。1重量%未
満であると、記録紙への効果的な浸透作用を得ることが
困難になり、80重量%を超えると、ポリプロピレング
リコール−n−ブチルエーテルの水への溶解性が大きく
ないので、インク中に充分溶解せず、効果的な浸透作用
を得ることが困難になる。より好ましくは、3〜60重
量%であり、更に好ましくは、5〜50重量%である。
【0032】本発明のインクジェット記録用水性インク
は、その他、従来公知の各種分散剤、界面活性剤、粘度
調整剤、表面張力調整剤、pH調整剤、防腐防カビ剤等
を必要に応じて含有してもよい。
【0033】本発明のインクジェット記録用水性インク
は、更に、例えば、インクの液安定性を向上させる為に
以下に掲げる化合物を含有してもよい。このような化合
物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,
2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリ
オール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール
等の多価アルコール類;N−メチル−2−ピロリドン、
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリド
ン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラ
クタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の
アミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチ
ルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルス
ルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄
化合物等を挙げることができる。これらは単独で用いら
れてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0034】これらの化合物はインクジェットプリンタ
ーヘッドのノズルでのインクの乾燥防止(湿潤)効果を
有する。これらの化合物の含有量は、インクの組成又は
所望されるインクの特性に依存して広い範囲で決定され
るが、一般に0〜40重量%であることが好ましい。4
0重量%を超えると、インクが必要以上に増粘して、吐
出不能となったり、記録紙上での乾燥が極端に遅くなっ
たりする等の問題を生じることがある。より好ましく
は、5〜30重量%である。
【0035】また、本発明のインクジェット記録用水性
インクが、記録液を帯電させるタイプのインクジェット
記録方法に使用される場合には、塩化リチウム、塩化ア
ンモニウム、塩化ナトリウム等の無機塩類等の比抵抗調
整剤を含有してもよい。更に、本発明のインクジェット
記録用水性インクが、熱エネルギーの作用によってイン
クを吐出させるタイプのインクジェット方式に使用され
る場合には、例えば、比熱、熱膨張係数、熱電導率等の
熱的な物性値が調整されてもよい。
【0036】以上のようにして得られる本発明のインク
ジェット記録用水性インクは、従来技術の問題点が充分
に解決されており、インクジェット方式におけるカラー
ブリードが低減され、鮮明なカラー記録を与えることが
できる。
【0037】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0038】(実施例1〜8及び比較例1〜8)表1〜
16に、それぞれ実施例1〜8及び比較例1〜8におい
て作成したインクの組成を示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】
【表8】
【0047】
【表9】
【0048】
【表10】
【0049】
【表11】
【0050】
【表12】
【0051】
【表13】
【0052】
【表14】
【0053】
【表15】
【0054】
【表16】
【0055】実施例1〜8と比較例1〜8のインクそれ
ぞれについて各材料を充分に混合攪拌した後、0.8μ
mのメンブランフィルタで濾過して以下の評価に使用し
た。
【0056】これらの黒インク、シアンインク、マゼン
タインク、イエローインクをMFC−7150C(ブラ
ザー工業社製)を用いて記録した。記録サンプルは色の
異なる2色のインクがそれぞれ文字色と背景色になるよ
うに色を組み合わせて記録し、色の混ざり合う境界面の
滲みと文字の判別を評価対象とし、各色背景なしで記録
した文字を評価の基準となる記録サンプルとした。記録
した文字の大きさはMicrosoftWord97を
用いて文字のサイズを11に設定し、MFC−7150
Cを用いて普通紙(Xerox4200)を使用して記
録した。比較例のインクも各色同様の記録を行った。
【0057】次に記録した記録サンプルの評価方法を以
下に示す。評価基準は背景なしの文字と比較して、背景
有りの文字がどの程度滲んでいるのかを目視評価した。
評価基準は以下の通りである。
【0058】◎・・・カラーブリードがほとんどなく、
背景なしの文字と比較して同程度の鮮明さがある。 ○・・・背景なしの文字と比較して僅かなカラーブリー
ドが発生しているが、文字は充分に判読できる。 △・・・背景なしの文字と比較して明らかにカラーブリ
ードが発生しているが、文字は判読できる。 ×・・・背景なしの文字と比較して明らかにカラーブリ
ードが発生し、文字の判読も困難である。 表19に、各インクを使用した記録サンプルの評価結果
を示した。
【0059】
【表17】
【0060】
【表18】
【0061】表17に示した通り、各実施例において、
本発明のインクジェット記録用水性インクではカラーブ
リードによる滲みはほとんど認められず、優れたカラー
ブリード低減効果を得ることができた。一方、表18に
示した通り、比較例においては明らかにカラーブリード
が発生しており、満足いく印字品質を得ることはできな
かった。
【0062】
【発明の効果】本発明は、上述の構成よりなるので、カ
ラーブリードが低減され、鮮明なカラー記録を行うこと
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 直道 名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 ブラザー 工業株式会社内 (72)発明者 後藤 数摩 名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 ブラザー 工業株式会社内 (72)発明者 青山 美千子 名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 ブラザー 工業株式会社内 (72)発明者 東山 俊一 名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 ブラザー 工業株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA12 FC01 FC02 2H086 BA53 BA55 BA59 4J039 AB01 AB02 AB07 AB09 AD03 AD06 AD09 AD14 AE01 AE07 BA04 BA13 BA35 BA37 BC09 BC12 BC39 BC60 BE01 BE03 BE04 BE05 BE22 CA03 CA06 EA15 EA16 EA17 EA19 EA20 EA21 EA47 GA24

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、水、着色剤、アセチレング
    リコールエチレンオキサイド付加体、及び、2種以上の
    ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテ
    ルを含有するインクジェット記録用水性インクであっ
    て、前記ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキ
    ルエーテルの少なくとも1種は、3つ以上のプロピレン
    オキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブ
    チルエーテルであることを特徴とするインクジェット記
    録用水性インク。
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