JP3304612B2 - 筆記具用蛍光色インキ組成物 - Google Patents
筆記具用蛍光色インキ組成物Info
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Description
組成物に関し、詳しくは、毒性が実質的になく、発色が
よく、しかも、経時安定性にすぐれ、特に、インキ吸蔵
体から毛細管現象にてインキをペン先に流出させて筆記
する所謂中芯式マーキングペンのためのインキ組成物と
して好適に用いることができる油性蛍光色インキ組成物
に関する。
溶剤として、メチルセロソルブやエチルセロソルブ等の
ようなものを用いており、これらは比較的低毒性である
ものの、それでも、人間に対する健康上、好ましくない
といえる。他方、従来、種々の蛍光色インキ組成物も知
られているが、蛍光色着色剤として、蛍光染料を用いる
ものは、発色が悪く、分散型蛍光顔料を用いるものは、
インキ組成物中で蛍光顔料が沈降し、筆跡に蛍光色の濃
度差が生じたり、かすれたりする等して、経時安定性が
悪い。このように、従来、実質的に毒性がなく、しか
も、中芯式筆記具に好適に用いることができる蛍光色イ
ンキ組成物は、知られていない。
具用蛍光色インキ組成物における上述した問題を解決す
るためになされたものであつて、毒性が実質的になく、
蛍光発色がよく、しかも、経時安定性にすぐれ、特に、
中芯式マーキングペンのためのインキ組成物として好適
に用いることができる油性蛍光色インキ組成物を提供す
ることを目的とする。
光色インキ組成物は、(a) 主としてプロピレングリコー
ルモノメチルエーテルからなる溶剤、(b) 着色剤として
の溶解型蛍光顔料、及び(c) ケトン樹脂を含むことを特
徴とする。
は、特に、中芯式マーキングペンに好適に用いることが
できる。中芯式マーキングペンとは、上述したように、
筒体からなる基体内にインキ吸蔵体からなるインキ貯蔵
手段を備えており、そのインキ吸蔵体から毛細管現象に
てインキをペン先に流出させて筆記するものであつて、
ペン先は、通常、フエルト、合成樹脂、合成繊維束等か
らなる多孔体であつて、インキの流出と筆記を可能とす
るように、適度の硬さと流路を有する。
において、溶剤は、主として、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテルからなり、好ましくは、溶剤の80〜
100重量%がプロピレングリコールモノメチルエーテ
ルからなり、必要に応じて、溶剤の一部として、ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテルやエタノールを溶
剤の20〜0重量%の範囲で用いることができる。本発
明によれば、このような溶剤組成とすることによつて、
用いる蛍光顔料を溶剤に完全に溶解させることができ
て、筆跡に所要の濃度を与えることができると共に、得
られるインキ組成物を実質的に毒性のないものとするこ
とができる。
記溶剤は、特に、限定されるものではないが、通常、4
5〜95重量%、好ましくは65〜90重量%の範囲で
含まれる。インキ組成物における溶剤の量が余りに多い
ときは、筆跡に濃度不足が生じ、他方、余りに少ないと
きは、インキ組成物の粘度が過度に高く、筆記性に劣
る。
剤として、溶解型蛍光顔料を含む。一般に、蛍光顔料
は、有機蛍光顔料又は昼光蛍光顔料ともいわれ、よく知
られているように、昼光又は昼光に似た光源によつて光
輝性の色を呈する顔料である。蛍光顔料は、蛍光染料
を、通常、紫外線吸収剤と共に、マトリツクスとしての
透明な合成樹脂(担体)中に溶解(固溶)させたものの
粉末であつて(「色材」58〔2〕、第73〜79頁
(1985年)、このような蛍光顔料が合成樹脂固溶型
蛍光顔料といわれるものである。より詳しくは、代表的
には、合成樹脂を製造する過程か、又は予め製造された
樹脂に、通常、紫外線吸収剤と共に、蛍光染料を溶解
し、かくして、得られた着色された塊状の樹脂を粗砕
し、粉砕することによつて得ることができる。また、乳
化重合法によつても、得ることができる。しかし、本発
明においては、用いる溶解型蛍光顔料は、その製造方法
において、特に、限定されるものではない。
分散型と溶解型とが知られており、分散型は、一般に、
有機溶剤に不溶性の微粉末であり、溶剤に分散させて用
いられる。溶解型は、一般に、種々の有機溶剤に溶解す
る性質を有し、有機溶剤に溶解させて用いられる。蛍光
染料を溶解させるのに用いたマトリツクスとしての合成
樹脂が通常の溶剤に対して不溶性であるとき、得られる
蛍光顔料は分散型であり、蛍光染料を溶解させるために
用いた合成樹脂が種々の溶剤に対して溶解性を有すると
き、得られる蛍光顔料は溶解型である。本発明において
用いる蛍光顔料は、本発明によるインキ組成物の溶剤に
溶解しており、従つて、本発明によるインキ組成物は、
均一な溶液である。
市販品を用いることができ、例えば、日本蛍光化学
(株)製MPI−501、502、503、504、5
05、506、507、508、501C、503C、
504C、505C、506C、507C、508C等
のMPIシリーズの製品、シンロイヒ(株)製FM−1
1、12、13、14、15、16、17、18、2
5、27、103、104、105、106、107、
108等のFM−10及び100シリーズの製品、スタ
ーリング・インダストリアル・カラーズ・リミテツド
(英国)のイエロー31、ローズ35、マジエンタ3
7、ブライトナー22等のフレア410シリーズの製品
を挙げることができる。これらの溶解型蛍光顔料は、単
独にて、又は2種以上を混合物として、用いられる。
を、通常、0.5〜30重量%の範囲で含み、好ましく
は、5〜20重量%の範囲で含む。蛍光顔料を過多に配
合すれば、得られるインキ組成物が粘度が高すぎて、筆
記性が悪くなるほか、インキ組成物がフエルト等からな
るペン先にて目詰まりを起こす。しかし、蛍光顔料の配
合量が少なすぎるときは、筆跡に濃度不足が生じる。
に、蛍光染料やその他の通常の油溶性染料をインキ組成
物に配合してもよい。
れるインキ組成物の経時安定性を高めると共に、筆記面
に対する接着性とレベリング性を与え、また、筆跡に耐
水性を与えるために、樹脂成分として、ケトン樹脂を含
む。ケトン樹脂とは、脂肪族又は芳香族ケトンとアルデ
ヒド(通常、ホルムアルデヒド)との縮合によつて得ら
れる樹脂である。特に、本発明においては、濃度10重
量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液の
EL型粘度計で測定した20℃における粘度が2.7〜3.
5、好ましくは、2.8〜3.4センチポイズの範囲にある
ものが好ましい。このようなケトン樹脂も、種々の市販
品を用いることができ、例えば、本州化学工業(株)製
のハロン80(濃度10重量%のプロピレングリコール
モノメチルエーテル溶液のEL型粘度計で測定した20
℃における粘度(以下、同じ。)2.87センチポイ
ズ)、ハロン110H(粘度3.29センチポイズ)、日
立化成(株)製のハイラツク110H(粘度3.34セン
チポイズ)、荒川化学工業(株)製のケトンレジンK−
90(粘度2.99センチポイズ)等を挙げることができ
る。
用いるときは、その理由は必ずしも明らかではないが、
得られるインキ組成物の経時安定性を阻害したり、或い
は得られるインキ組成物や筆跡を変色させたりすること
があるので、用いるに適しない。しかし、このような不
都合を引き起こさない限りは、ケトン樹脂以外の樹脂を
少量併用することは支障ない。
を1〜20重量%、好ましくは、2〜15重量%の範囲
で含む。ケトン樹脂の配合量が余りに多いときは、得ら
れるインキ組成物の粘度が高すぎて、筆記性に劣り、他
方、配合量が余りに少ないときは、筆記したとき、筆跡
が筆記面への接着性に劣り、また、筆跡が耐水性にも劣
る。
筆記面に筆記したときに、筆跡が筆記面上で弾かれた
り、むらを生じたりするのを防止するために、ビツク・
ケミー・ジヤパン(株)製のBYK−300、310、
302等のシリコーン樹脂系のレベリング剤や、ダウ・
ケミカル日本(株)製のエトセル10(エチルセルロー
ス樹脂)等をレベリング剤として、2重量%以下の範囲
で、適宜量を含んでいてもよい。
法について、何ら限定されるものではないが、通常、ケ
トン樹脂を溶剤に加熱溶解させ、次いで、蛍光顔料及び
その他の添加剤を必要に応じて加え、攪拌混合すればよ
い。
び比較例の成分配合例(重量%)を示す。
先を備え、中綿をインキ組成物貯蔵手段として用いる中
芯式筆記具((株)サクラクレパス製サクラマーカーS
G7)に充填し、蛍光発色、経時安定性及び変色性の試
験を行なつた。結果を表1に示す。
を充填した上記筆記具を用いて、JIS P 3201
に規定する紙に手書きにて筆記し、鮮やかな蛍光発色が
あるときを○、蛍光発色が弱いときを△、蛍光発色がな
いときを×で示す。経時安定性は、インキ組成物を充填
した上記筆記具を50℃の恒温槽に1か月間放置した
後、JIS P 3201に規定する紙に手書きにて筆
記し、濃淡差のない筆跡を得たときを○、かすれによつ
て筆記ができなかつたときを×で示す。
記筆記具を用いて、JIS P 3201に規定する紙
に手書きにて筆記し、筆跡における発色が蛍光顔料(又
は染料)を溶剤に溶解させた溶液の色と比べて、実質的
に同じであるときを○、くすんでいるときときを×で示
す。
経時安定性及び変色性のすべてにおいてすぐれている。
これに対して、比較例1によるインキ組成物は、分散型
蛍光顔料を用いているので、経時安定性に劣り、比較例
2によるインキ組成物は、蛍光染料を用いているので、
筆跡が変色し、蛍光発色に劣る。比較例3によるインキ
組成物は、樹脂成分として、アルキルフエノール樹脂を
用いるので、蛍光発色せず、しかも、変色が著しい。
光色インキ組成物は、蛍光顔料として溶解型蛍光顔料を
用いると共に、樹脂成分としてケトン樹脂を、溶剤とし
て、主としてプロピレングリコールモノメチルエーテル
からなるものを組合わせて用いるので、実質的に毒性が
なく、蛍光発色がよく、しかも、経時安定性にすぐれ
る。特に、本発明による筆記具用蛍光色インキ組成物
は、中芯式マーキングペンのためのインキ組成物として
好適に用いることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】(a) 主としてプロピレングリコールモノメ
チルエーテルからなる溶剤、 (b) 着色剤としての溶解型蛍光顔料、及び (c) ケトン樹脂 を含むことを特徴とする筆記具用蛍光色インキ組成物。 - 【請求項2】溶剤がプロピレングリコールモノメチルエ
ーテル80〜100重量%と、ジプロピレングリコール
モノメチルエーテル及びエタノールから選ばれる少なく
とも1種20〜0重量%とからなる請求項1記載の筆記
具用蛍光色インキ組成物。 - 【請求項3】請求項1記載の中芯式筆記具用蛍光色イン
キ組成物。
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