JP6197760B2 - 内燃機関のオイル劣化抑制装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関において用いられるオイルの劣化を抑制するための内燃機関のオイル劣化抑制装置に関する。
従来、内燃機関(以下、エンジンともいう)の潤滑及び冷却にはエンジンオイルが用いられている。エンジンオイルは、例えば、エンジンの下部に設けられたオイルパンに貯留され、オイルポンプによってエンジン各部に供給される。エンジン各部を循環したエンジンオイルには不純物等の異物が混入している。この異物を取り除くために、エンジンオイルが流れる油路には一般にオイルフィルタが設けられている。
このようなオイルフィルタとしては、濾紙等からなる濾過部材をケーシング内に内蔵したスピンオンタイプやカートリッジタイプのものが一般的に知られている。当該濾過部材の細孔径は一般に18μm程度である。したがって、従来のオイルフィルタでは、比較的大きな異物、例えば摩耗粉等の異物は除去することができるものの、それよりも小さな異物、例えばスーツ成分(炭化水素燃焼物、酸化生成物)やスラッジ成分等の異物は十分に除去することができないという問題があった。このような異物はオイルの劣化を招き、ひいてはエンジン各部に様々な悪影響を及ぼす場合がある。
特許文献1では、サーマルボンドシートを有する潤滑油を濾過するための濾材であって、前記サーマルボンドシートが、(a)繊維径が約5〜15μmであり、繊維長が約0.1〜15cmである約1〜40重量%の2成分バインダファイバと、(b)繊維径が約0.1〜5μmであり、約10〜10,000の範囲のアスペクト比を有する約60〜99重量%のガラスファイバとを含み、前記濾材が約0.2〜2mmの厚さと、約2〜10%のソリディティと、約10〜50g・m-2の坪量と、約0.5〜10μmの細孔径と、約0.03〜9.1m・min-1(0.1〜30ft・min-1)の透過率とを有することを特徴とする濾材が記載されている。
上記の内燃機関のオイルフィルタと異なる技術分野においては、例えば、以下に記載されるような様々な濾過膜やその製造方法が提案されている。
特許文献2では、中空糸形状のフッ化ビニリデン系樹脂多孔膜からなり、ハーフドライ/バブルポイント法(ASTM F316およびASTM E1294)による最大孔径Pmaxと平均孔径Pmの比Pmax/Pmが2.0以下、Pmが0.13μm〜0.25μm、外表面孔径の変動係数が70%以下且つ空孔率が75〜90%であることを特徴とするフッ化ビニリデン系樹脂中空糸多孔膜が記載されている。さらに、特許文献2では、このようなフッ化ビニリデン系樹脂中空糸多孔膜は、濁水の継続的濾過において優れた透水量維持能力を示すことが記載されている。
特許文献3では、多孔質基材の表面に、第1層から第n層までの各層成膜用スラリーを、連続して、クロスフローろ過方式で堆積させる工程と、第1層から第n層までの各層成膜用スラリー堆積後に多孔質基材を乾燥させる工程と、乾燥後の多孔質基材を焼成させる工程とからなる複層構造セラミックフィルターの製造方法が記載されている。
特開2013−240796号公報 国際公開第2010/082437号 特開2009−219961号公報
特許文献1に記載されているような繊維から構成される濾材や、特許文献2に記載されているような樹脂製の中空糸多孔膜から構成される濾材では、細孔径のばらつきが大きく、その分布は一般に分散の大きい正規分布となる。また、これらの濾材では、構成材料が熱膨張等することで細孔径が変化する場合がある。したがって、仮にこれらの濾材をエンジンオイルの濾過において使用したとしても、当該エンジンオイルに含まれる微細な異物を確実に除去することは困難である。
そこで、本発明は、摩耗粉等の比較的大きな異物を除去するとともに、従来のオイルフィルタでは十分に除去することができなかった比較的小さな異物、特にはスーツ成分やスラッジ成分等の異物を温度によって大きく影響を受けることなしに確実に除去することができる新規な内燃機関のオイル劣化抑制装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は下記のとおりである。
(1)第1のオイルフィルタ及び第2のオイルフィルタを備えた内燃機関のオイル劣化抑制装置であって、前記第1のオイルフィルタは、オイルが貯留されたオイルパンからのオイルを濾過するための第1濾過部材を含み、前記第2のオイルフィルタがセラミック材料からなる第2濾過部材であって、前記オイルパンからのオイルを濾過するための第2濾過部材を含み、該第2濾過部材が前記第1濾過部材の平均細孔径よりも小さい平均細孔径を有することを特徴とする、内燃機関のオイル劣化抑制装置。
(2)前記第1濾過部材がセラミック材料とは異なる材料からなることを特徴とする、上記(1)に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
(3)前記第2濾過部材が0.1μm超1μm未満の平均細孔径を有することを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
(4)前記第2濾過部材が0.2μm以上0.5μm以下の平均細孔径を有することを特徴とする、上記(3)に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
(5)前記第1のオイルフィルタが、前記オイルパンのオイル流れ下流側でかつ内燃機関の潤滑部のオイル流れ上流側に接続され、前記内燃機関の潤滑部に供給されるオイルを濾過するフルフローフィルタであり、前記内燃機関のオイル劣化抑制装置が前記第1のオイルフィルタのオイル流れ方向の上流側又は下流側において分岐して前記オイルパンへと連通するバイパス経路を有し、前記第2のオイルフィルタが前記バイパス経路に配置され、前記オイルパンへ向かうオイルを濾過するバイパスフィルタであることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
(6)前記第1のオイルフィルタのオイル流れ方向の下流側において分岐して前記オイルパンへと連通するバイパス経路を有することを特徴とする、上記(5)に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
(7)前記第2のオイルフィルタが、隔壁で区画された複数のセル通路であって、オイルが流入するセル通路を含みかつセラミック材料からなるハニカム構造体によって構成され、前記隔壁が前記第2濾過部材を含むことを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
(8)前記隔壁が複層構造を有しかつ前記第2濾過部材が該複層構造におけるオイル流入側の表面層を構成することを特徴とする、上記(7)に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
(9)前記複層構造中の各層の平均細孔径が該複層構造のオイル流入側からオイル流出側に向かって次第に大きくなっていることを特徴とする、上記(8)に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
(10)前記第2濾過部材又は前記ハニカム構造体を構成するセラミック材料が、コージェライト、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
(11)前記第1濾過部材が濾紙又は不織布からなることを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
本発明の内燃機関のオイル劣化抑制装置によれば、従来のオイルフィルタ(第1のオイルフィルタ)に加えて、樹脂等の材料と比較して熱膨張係数が極めて小さくかつ細孔径の制御が比較的容易なセラミック材料からなる第2濾過部材を含み、当該第2濾過部材が従来のオイルフィルタにおける第1濾過部材の平均細孔径よりも小さい平均細孔径を有する追加のオイルフィルタ(第2のオイルフィルタ)を使用することで、従来のオイルフィルタでは十分に除去することができなかった比較的小さな異物、特にはスーツ成分等の異物を温度によって大きく影響を受けることなしに確実に除去することができ、それゆえ内燃機関において用いられるオイルの劣化を顕著に抑制することができる。また、上記第2濾過部材の平均細孔径を特定の範囲、例えば0.1μm超1μm未満、特には0.2μm以上0.5μm以下の範囲に制御することで、粘度指数向上剤等の添加剤成分は通しつつ、摩耗粉やスーツ成分等の異物を選択的に除去することが可能である。さらには、上記の第2のオイルフィルタを使用することでオイルの劣化を抑制することができるだけでなく、当該第2のオイルフィルタはある程度劣化が進行したオイルに対してもスーツ成分等の除去性能を維持することができ、それゆえ高い耐久性を達成することが可能である。
従来の内燃機関における潤滑系統を模式的に示した図である。 本発明の内燃機関のオイル劣化抑制装置において用いられる第2のオイルフィルタの一例を示した図である。 第2のオイルフィルタにおいて使用されるハニカム構造体の好ましい態様を示す模式図である。 本発明による内燃機関のオイル劣化抑制装置の実施態様を示す模式図である。 第1のオイルフィルタと第2のオイルフィルタを組み合わせたオイル劣化抑制装置の評価装置を模式的に示す図である。 第2のオイルフィルタとして表面層の平均細孔径が0.1μm〜5μmのハニカム構造体を使用した場合に関する劣化オイルの濾過試験の結果を示す図である。 第2のオイルフィルタとして表面層の平均細孔径が0.1μm、0.2μm及び0.5μmのハニカム構造体を使用した場合に関する劣化度合いの異なるオイルの濾過試験の結果を示す図である。
<内燃機関のオイル劣化抑制装置>
本発明の内燃機関のオイル劣化抑制装置は、第1のオイルフィルタ及び第2のオイルフィルタを備え、前記第1のオイルフィルタは、オイルが貯留されたオイルパンからのオイルを濾過するための第1濾過部材を含み、前記第2のオイルフィルタがセラミック材料からなる第2濾過部材であって、前記オイルパンからのオイルを濾過するための第2濾過部材を含み、該第2濾過部材が前記第1濾過部材の平均細孔径よりも小さい平均細孔径を有することを特徴としている。
図1は、従来の内燃機関における潤滑系統を模式的に示した図である。図1に示すように、エンジンオイルは、エンジンの下部に設けられたオイルパンに貯留され、オイルストレーナを介してオイルポンプで吸い上げられ、次いでオイルフィルタで濾過されてメインギャラリに圧送される。そして、エンジンオイルは、当該メインギャラリからエンジンの各潤滑部に供給され、エンジンの各潤滑部を循環したエンジンオイルは最終的にオイルパンに戻される。
先に記載したとおり、エンジンの各潤滑部を循環したエンジンオイルには不純物等の異物が混入している。この異物を取り除くために、図1に示すように、エンジンオイルが流れる油路にオイルフィルタが設けられている。しかしながら、濾紙等からなる濾過部材をケーシング内に内蔵したスピンオン式やカートリッジ式などの従来のオイルフィルタでは、比較的大きな異物、例えば摩耗粉等の異物は除去することができるものの、それよりも小さな異物、例えばスーツ成分(炭化水素燃焼物、酸化生成物)やスラッジ成分等の異物は十分に除去することができないという問題があった。スーツ成分やスラッジ成分は、オイルの劣化を招くだけでなく、油路の目詰まりやエンジン摺動部の摩耗など、エンジンの各部において様々な悪影響を及ぼす虞がある。
一方、エンジンオイルには、上記の摩耗粉やスーツ成分等の異物以外にも、エンジンオイルの性能を担保するために種々の添加剤成分が含まれている。例えば、エンジンオイルは、温度変化に伴う当該エンジンオイルの粘度変化を低減するために、ポリメタクリレート(PMA)系、オレフィンコポリマー(OCP)系、ポリイソブチレン(PIB)系、及びスチレン/イソプレン(SCP)系などの粘度指数向上剤を含有していることが一般に知られている。
近年、エンジンオイルにおいて摩耗低減剤として使用されるモリブデンジチオカルバメート(MoDTC)などの有機モリブデン化合物は、環境保護の観点からその使用量の削減が求められている。一方で、エンジンオイルの耐摩耗信頼性を確保する観点から、当該エンジンオイルの高温高せん断粘度(HTHS粘度:High Temperature High Shear Viscosity)の改善が求められている。したがって、ポリメタクリレート(PMA)等の粘度指数向上剤は、エンジンオイルの性能を担保又は維持する上で非常に重要な添加剤成分であるといえる。
例えば、エンジンオイル中に含まれる比較的小さな異物であるスーツ成分等を除去するために、従来のオイルフィルタに代えて又はそれに加えて、より目の細かいオイルフィルタを使用した場合には、エンジンオイル中に含まれるスーツ成分等だけでなく、上記の粘度指数向上剤も除去してしまう虞がある。この場合には、エンジンオイルの性能を高い状態のまま維持することができなくなる可能性がある。したがって、異物の混入によるエンジンオイルの劣化を抑制しつつ、添加剤成分によるエンジンオイルの性能を維持するためには、粘度指数向上剤等の添加剤成分は通しつつ、摩耗粉やスーツ成分等の異物を選択的に除去できるオイルフィルタを使用することが必要である。
仮に、従来のオイルフィルタに代えて又はそれに加えて、例えば、医療等の分野で用いられているようなより小さな細孔径を有する樹脂製のフィルタを使用したとしても、このようなフィルタによって摩耗粉及び/又はスーツ成分等を除去しあるいはこれらを選択的に除去することは非常に困難である。なぜならば、このようなフィルタは、細孔径のばらつきが大きく、その分布は一般に分散の大きい正規分布となるため、エンジンオイル中の特定の成分、特にはスーツ成分等を確実に除去することが難しいからである。また、たとえスーツ成分等を除去することができたとしても、同時に粘度指数向上剤等の添加剤成分が除去されてしまう虞がある。さらに、このような樹脂製のフィルタは、その構成材料が熱膨張等することで細孔径が変化するという問題もある。
そこで、本発明者らは、樹脂等の材料と比較して熱膨張係数が極めて小さくかつ細孔径の制御が比較的容易なセラミック材料に着目して検討を行った。その結果として、本発明者らは、従来のオイルフィルタ(第1のオイルフィルタ)に加えて、このようなセラミック材料からなる第2濾過部材を含み、当該第2濾過部材が従来のオイルフィルタにおける第1濾過部材の平均細孔径よりも小さい平均細孔径を有する追加のオイルフィルタ(第2のオイルフィルタ)を使用することで、従来のオイルフィルタでは十分に除去することができなかった比較的小さな異物、特にはスーツ成分等の異物を温度によって大きく影響を受けることなしに確実に除去することができ、それゆえ内燃機関において用いられるオイルの劣化を顕著に抑制することができることを見出した。
また、本発明者らは、上記第2濾過部材の平均細孔径を特定の範囲、例えば0.1μm超1μm未満、特には0.2μm以上0.5μm以下の範囲に制御することで、粘度指数向上剤等の添加剤成分は通しつつ、摩耗粉やスーツ成分等の異物を選択的に除去することができることをさらに見出した。加えて、本発明者らは、上記の第2のオイルフィルタを使用することでオイルの劣化を抑制することができるだけでなく、当該第2のオイルフィルタはある程度劣化が進行したオイルに対してもスーツ成分等の除去性能を維持することができ、それゆえ高い耐久性を示すことも見出した。
[第1のオイルフィルタ]
本発明によれば、第1のオイルフィルタとしては、オイルが貯留されたオイルパンからのオイルを濾過するための第1濾過部材であって、後で説明する第2のオイルフィルタにおける第2濾過部材の平均細孔径よりも大きな平均細孔径を有する第1濾過部材を含む任意のオイルフィルタを使用することができる。特に限定されないが、好ましくは、第1のオイルフィルタとしては、セラミック材料とは異なる材料からなる第1濾過部材、特には濾紙又は不織布からなる第1濾過部材を含むものを使用することができる。より詳しくは、第1のオイルフィルタとしては、濾紙又は不織布からなる第1濾過部材をケーシング内に内蔵したスピンオン式やカートリッジ式などの従来公知のオイルフィルタを使用することができる。このような従来公知のオイルフィルタにおいて使用される濾紙又は不織布からなる濾過部材の細孔径は一般に18μm程度である。したがって、このようなオイルフィルタを本発明における第1のオイルフィルタとして使用することで、比較的大きな異物、例えば摩耗粉等の異物を確実に除去することが可能である。
[第2のオイルフィルタ]
本発明によれば、上記第1のオイルフィルタと組み合わせて第2のオイルフィルタが使用される。第2のオイルフィルタは、セラミック材料からなる第2濾過部材であって、オイルが貯留されたオイルパンからのオイルを濾過するための第2濾過部材を含み、当該第2濾過部材が上記第1のオイルフィルタの第1濾過部材の平均細孔径よりも小さい平均細孔径を有する。このようなオイルフィルタを上記第1のオイルフィルタと組み合わせて使用することで、第1のオイルフィルタでは十分に除去することができなかった比較的小さな異物を確実に除去することが可能である。
セラミック材料は、他の材料、例えば金属や樹脂等と比較して熱膨張係数が極めて小さい材料であることが知られている。さらに、セラミック材料を使用した場合には、当技術分野とは異なる技術分野において用いられているような繊維や中空糸からなる濾材と比較して、細孔径が所定の値又は範囲内によく制御された濾材を容易に製造することが可能である。すなわち、繊維や中空糸からなる濾材は、細孔径のばらつきが大きく、その分布が一般に分散の大きい正規分布を有するのに対し、セラミック材料を使用した場合には、非常にシャープな細孔径分布を有する濾材を得ることができる。
それゆえ、当該セラミック材料を使用することで、他の材料を使用した場合と比較して、温度変化による細孔径の変動(すなわち拡大及び/又は縮小)が小さくかつ細孔径が所定の値又は範囲内によく制御された濾過部材を含むオイルフィルタを製造することが可能となる。したがって、このようなオイルフィルタを従来のオイルフィルタと組み合わせて使用することで、従来のオイルフィルタでは十分に除去することができなかった比較的小さな異物を確実に除去することができるだけでなく、そのような異物をオイル中の種々の添加剤成分に対して選択的に除去することも可能となる。
本発明によれば、セラミック材料からなる第2濾過部材の平均細孔径は、オイル中の除去すべき不純物又は異物の大きさ等に応じて適宜決定すればよく、特に限定されないが、一般的には、セラミック材料からなる第2濾過部材は、0μm超5μm未満の平均細孔径を有することが好ましい。
セラミック材料からなる第2濾過部材の平均細孔径が5μm以上の場合には、オイル中の比較的小さな異物、特にはスーツ成分及び/又はスラッジ成分を十分に除去することができない場合がある。一方で、第2濾過部材が非常に小さな平均細孔径、例えば0.1μm以下の平均細孔径を有する場合には、当該第2濾過部材の目詰まりが生じる虞があり、さらにはオイル中に含まれる種々の添加剤成分、例えばPMA等の粘度指数向上剤まで除去してしまう場合がある。したがって、このような添加剤成分は通しつつ、オイル中の比較的小さな異物、特にはスーツ成分及び/又はスラッジ成分を十分に除去するためには、セラミック材料からなる第2濾過部材は、より好ましくは0.1μm超1μm未満の平均細孔径を有し、最も好ましくは0.2μm以上0.5μm以下の平均細孔径を有する。
なお、上記の粘度指数向上剤としては、先に記載したとおり、PMA以外にもOCPやPIBなどが使用され得るが、これらの粘度指数向上剤は一般に同等の体積を有する。したがって、例えば、PMA以外の他の粘度指数向上剤が使用される場合においても、セラミック材料からなる第2濾過部材の平均細孔径を上記の範囲に制御することで、PMAを使用した場合と同様にこれらの粘度指数向上剤に対してスーツ成分等を選択的に除去することが可能である。
なお、本発明において「平均細孔径」とは、特に断りのない限り、上記の第2濾過部材を透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)等の電子顕微鏡を用いて測定したときに、無作為に選択した100個以上の細孔の定方向径を測定した場合のそれらの測定値の算術平均値を言うものである。特には、本発明において「平均細孔径」とは、上記の第2濾過部材をオイルの流れ方向に沿って切断した切断面を透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)等の電子顕微鏡を用いて測定したときに、無作為に選択した100個以上の細孔のオイルの流れ方向における細孔径の算術平均値を言うものである。
[第2のオイルフィルタの好ましい態様]
第2のオイルフィルタとしては、上記のセラミック材料からなる第2濾過部材を含むものであればよく、種々の構成を有するものを採用することが可能である。したがって、特に限定されないが、例えば、第2のオイルフィルタとしては、隔壁で区画された複数のセル通路であって、オイルが流入するセル通路を含みかつセラミック材料からなるハニカム構造体によって構成され、当該隔壁が上記の第2濾過部材を含むようなものを使用することが好ましい。
なお、本発明において「ハニカム構造体」とは、隔壁で区画された複数のセル通路を含む任意の構造体を包含するものである。また、当該ハニカム構造体の各セル通路の断面形状としては、特には限定されず、四角形、六角形、その他の多角形、あるいは円形等、任意の形状のものを適宜選択することができる。
図2は、本発明の内燃機関のオイル劣化抑制装置において用いられる第2のオイルフィルタの一例を示した図である。具体的には、図2(a)は、第2のオイルフィルタ20を示し、図2(b)は、第2のオイルフィルタ20によるオイルの濾過機構を説明する概念図であり、図2(c)は、第2のオイルフィルタ20がケーシング24に内蔵された状態を示す図である。
図2(a)を参照すると、第2のオイルフィルタ20は、隔壁21で区画された複数のセル通路22を含むハニカム構造体23によって構成されている。当該ハニカム構造体23はセラミック材料からなり、隔壁21は上記のセラミック材料からなる第2濾過部材を含む。例えば、隔壁21は上記の第2濾過部材のみによって構成してもよいし、主として当該第2濾過部材によって構成してもよく、又は少なくとも部分的に当該第2濾過部材によって構成してもよい。
この第2のオイルフィルタ20は、一般的には、図2(c)に示すようにケーシング24に内蔵された形態で使用される。このような第2のオイルフィルタ20を用いたオイルの濾過について具体的に説明すると、オイルは、まず、ケーシング24のオイル入口部25から流入し、次いで、ケーシング24に内蔵されたハニカム構造体23のセル通路22から当該ハニカム構造体23内に流入する。次に、流入したオイルは、図2(b)に示すように、所定の平均細孔径を有する第2濾過部材を含む隔壁21をハニカム構造体23の内側から外側へ向かって通過することによって濾過され、最後に、濾過されたオイルは、ハニカム構造体23の外周部からケーシング24の濾過オイル出口部26を通って外部へ排出される。
ハニカム構造体23としては、セル通路22の両方の端部が開放された構成を採用することができる。あるいはまた、ハニカム構造体23としては、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)等において一般的に知られているように、一方の端部が開放されかつ他方の端部が封止されたセル通路22と、一方の端部が封止されかつ他方の端部が開放された別のセル通路22とが交互に配置された構成を採用することも可能である。しかしながら、ハニカム構造体23に目詰まりが生じた場合の洗浄等を考慮すると、ハニカム構造体23としては、セル通路22の両方の端部が開放された構成を採用することが好ましい。
より具体的に説明すると、第2のオイルフィルタ20を使用してオイルの濾過を行う場合には、時間の経過とともにスーツ成分等が隔壁21の第2濾過部材上に蓄積し、最終的に第2のオイルフィルタ20に目詰まりが生じる場合がある。しかしながら、セル通路22の両方の端部が開放されたハニカム構造体23においては、このような場合においても、例えば、図2(c)に示すケーシング24のオイル入口部25からオイル出口部27に所定の時間にわたってオイルを流すことにより、隔壁21の第2濾過部材上に蓄積したスーツ成分等を適切に除去することができ、その結果として第2のオイルフィルタ20の目詰まりを比較的容易に解消することが可能である。
ハニカム構造体23の隔壁21は、上記のとおり、セラミック材料からなる第2濾過部材を含む。好ましくは、ハニカム構造体23の隔壁21は複層構造を有し、上記の第2濾過部材が当該複層構造におけるオイル流入側の表面層を構成する。このように構成することで、時間の経過とともにスーツ成分及び/又はスラッジ成分が隔壁21の第2濾過部材上に蓄積して目詰まりが生じた場合においても、当該スーツ成分等はセル通路22の表面上に蓄積するため、上記のようにケーシング24のオイル入口部25からオイル出口部27に所定の時間にわたってオイルを流すことにより、当該スーツ成分等を適切に除去して第2のオイルフィルタ20の目詰まりを比較的容易に解消することが可能である。
より好ましくは、ハニカム構造体23の隔壁21は複層構造を有し、上記の第2濾過部材が当該複層構造におけるオイル流入側の表面層を構成するとともに、複層構造中の各層の平均細孔径が当該複層構造のオイル流入側からオイル流出側に向かって次第に大きくなるようにハニカム構造体23が構成される。例えば、ハニカム構造体23の隔壁21が3層の複層構造を有する場合について以下に詳しく説明する。
図3は、第2のオイルフィルタにおいて使用されるハニカム構造体の好ましい態様を示す模式図である。
図3を参照すると、ハニカム構造体の隔壁は、オイル流出側の基材層31と、中間層32と、オイル流入側の表面層33とからなる3層の複層構造を有し、当該表面層33は、上記のセラミック材料からなる第2濾過部材によって構成されている。本発明の好ましい態様では、各層の平均細孔径がオイル流入側からオイル流出側に向かって次第に大きくなるようにこれらの層が配置される。すなわち、図3に関連して説明すると、表面層33が最も小さい平均細孔径を有し、中間層32が表面層33の平均細孔径よりも大きな平均細孔径を有し、基材層31が最も大きな平均細孔径を有する。ハニカム構造体の隔壁をこのような複層構造とすることで、いわゆる毛細管現象を利用してオイルの濾過を促進させることが可能である。
上記のような複層構造を有する隔壁を含むハニカム構造体は、当業者に公知の任意の方法によって製造することが可能である。例えば、まず、基材層31を構成するセラミック製の多孔質基材の表面に所定の粒径を有するセラミック粉末及びバインダー等を含有するスラリーをコートした後、任意選択で熱処理等することにより中間層32を形成する。次いで、当該中間層32の表面に、中間層32を形成するのに使用したセラミック粉末よりも小さな粒径を有するセラミック粉末及びバインダー等を含有するスラリーをコートして、同様に熱処理等することにより表面層33を形成する。このような方法により、各層の平均細孔径がオイル流入側からオイル流出側に向かって次第に大きくなる複層構造を有する隔壁を含むハニカム構造体を製造することができる。なお、基材層31、中間層32、及び表面層33は、同じセラミック材料によって形成してもよいし、あるいはまた、異なるセラミック材料によって形成してもよい。
本発明における第2濾過部材又は上記のハニカム構造体を構成するセラミック材料としては、任意のセラミック材料を使用することができ、例えば、排ガス浄化用触媒やディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)等において一般的に用いられるハニカム基材を構成するセラミック材料を使用することができる。特に限定されないが、例えば、上記の第2濾過部材又はハニカム構造体を構成するセラミック材料は、コージェライト(2MgO・2Al23・5SiO2)、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。耐熱性や強度の観点からは、上記の第2濾過部材又はハニカム構造体を構成するセラミック材料は、コージェライト(2MgO・2Al23・5SiO2)、炭化ケイ素(SiC)、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することが好ましい。
[オイル劣化抑制装置の実施態様]
本発明の1つの実施態様によれば、第1のオイルフィルタは、オイルが貯留されたオイルパンのオイル流れ下流側でかつ内燃機関の潤滑部のオイル流れ上流側に接続され、当該内燃機関の潤滑部に供給されるオイルを濾過するフルフローフィルタとして使用されることが好ましく、また、内燃機関のオイル劣化抑制装置は、上記第1のオイルフィルタのオイル流れ方向の上流側又は下流側において分岐してオイルパンへと連通するバイパス経路を有し、第2のオイルフィルタが、当該バイパス経路に配置され、オイルパンへ向かうオイルを濾過するバイパスフィルタとして使用されることが好ましい。
図4は、本発明による内燃機関のオイル劣化抑制装置の実施態様を示す模式図である。図4を参照すると、第1のオイルフィルタ45はフルフローフィルタとして使用されている。すなわち、オイルパン41に貯留される全てのオイルは、オイルストレーナ42を経由してオイルポンプ43からメインギャラリ44を通ってエンジンの各潤滑部に供給される前に第1のオイルフィルタ45によって濾過される。このようにすることで、エンジンの各潤滑部にオイルを供給する前に、エンジンに不具合を発生させる虞のある摩耗粉等の異物を当該第1のオイルフィルタ45によって確実に除去することができる。
一方、第2のオイルフィルタ46又は46’は、第1のオイルフィルタ45のオイル流れ方向の下流側又は上流側におけるバイパス経路に配置され、オイルパン41へ向かうオイルを濾過するバイパスフィルタとして使用されている。本発明における第2のオイルフィルタ46又は46’は、上記のとおり第1のオイルフィルタ45と比較して濾過部材の平均細孔径が小さい。したがって、第2のオイルフィルタ46又は46’を第1のオイルフィルタ45と同様にフルフローフィルタとして使用した場合には、全ての油圧が当該第2のオイルフィルタ46又は46’に集中して掛かることになり、必要な流量を確保することができない場合がある。
それゆえ、第2のオイルフィルタ46又は46’をエンジンの各潤滑部へ供給するオイルを濾過するためではなく、図4に示すようにオイルパン41へ向かうオイルを濾過するバイパスフィルタとして使用することで、フルフローフィルタである第1のオイルフィルタ45では除去することができない比較的小さな異物を時間をかけて確実に除去することが可能である。また、第2のオイルフィルタ46又は46’をバイパスフィルタとして使用することで、流量制限等の制約などがないため、除去すべき不純物又は異物に応じて濾過部材の平均細孔径を適切に設計することができ、その結果として非常に濾過性能の高いオイルフィルタを製造することが可能となる。
なお、第2のオイルフィルタは、図4の符号46又は46’で示されるように、第1のオイルフィルタ45のオイル流れ方向の下流側又は上流側で分岐したいずれのバイパス経路において配置してもよく、特に限定されないが、好ましくは、第2のオイルフィルタは、図4の符号46で示されるように、第1のオイルフィルタ45のオイル流れ方向の下流側で分岐したバイパス経路に配置される。このようにすることで、オイル中のより大きな異物が第1のオイルフィルタ45によって除去された後に第2のオイルフィルタ46による濾過が行われることになる。したがって、第1のオイルフィルタ45のオイル流れ方向上流側で分岐したバイパス経路に配置した場合と比較して、第2のオイルフィルタ46の寿命を延ばすことが可能である。
本発明によるオイル劣化抑制装置は、ガソリンエンジン及びディーゼルエンジンのいずれの内燃機関においても適用することが可能である。
以下、本発明の内燃機関のオイル劣化抑制装置について、実験結果に基づいてより詳細に説明する。
第1のオイルフィルタとしては、濾紙からなる濾過部材をケーシング内に内蔵した従来のオイルフィルタを使用した。一方、第2のオイルフィルタとしては、隔壁で区画された複数のセル通路を含みかつ当該隔壁が3層の複層構造を有する炭化ケイ素(SiC)製のハニカム構造体をケーシングに内蔵したものを使用した。当該ハニカム構造体は、複層構造中の各層の平均細孔径が当該複層構造のオイル流入側からオイル流出側に向かって次第に大きくなっており、当該複層構造におけるオイル流入側の表面層が下表1に示すように0.1μm〜5μmの平均細孔径を有するものである。
[除去性能の評価1]
上記の第1のオイルフィルタと第2のオイルフィルタを組み合わせたオイル劣化抑制装置について、オイル中に含まれる異物の除去性能を評価した。実験は、図5に示す評価装置を用いて行った。
図5を参照すると、評価装置50は、エンジンオイルを所定の温度に加熱するためのオイルバス51を備え、当該オイルバス51はパイプヒータ52を具備している。オイルバス51は、当該オイルバスにおいて用いられるシリコンオイルを循環させるためのシリコンオイル循環用ポンプ53に連結されている。また、オイルバス51は、エンジンオイル循環用ポンプ54を介して第1のオイルフィルタ55のオイル入口部に連結されている。そして、第1のオイルフィルタ55のオイル出口部が第2のオイルフィルタ56のオイル入口部57に連結され、当該第2のオイルフィルタ56の濾過オイル出口部58には、ポリエチレン(PE)容器60が備えられ、第2のオイルフィルタ56によって濾過されたオイルが当該PE容器60内に溜まるようにされている。
一方、第2のオイルフィルタ56の別のオイル出口部59がオイルバス51に連結され、第2のオイルフィルタ56が目詰まりを起こした際に、エンジンオイルを第2のオイルフィルタ56のオイル入口部57からオイル出口部59に流すことによってこのような目詰まりを解消することができるようにしている。
上記の評価装置50により、第2のオイルフィルタとして表面層の平均細孔径が0.1μm、0.2μm及び0.5μmのハニカム構造体を使用した場合について、所定量の粒子状物質(PM)を含有する劣化オイルの濾過試験を行った。試験時間は8時間であった。その結果を下表2に示す。
表2に示す結果から明らかなように、いずれの第2のオイルフィルタを使用した場合においても、非常に高いPM除去率を達成することができた。
[除去性能の評価2]
次に、同様の評価装置を用いて、第2のオイルフィルタとして表面層の平均細孔径が0.1μm〜5μmのハニカム構造体を使用した場合について、約2500ppmwのスラッジ成分を含有する劣化オイルの濾過試験を行った。その結果を図6に示す。
図6は、第2のオイルフィルタとして表面層の平均細孔径が0.1μm〜5μmのハニカム構造体を使用した場合に関する劣化オイルの濾過試験の結果を示す図である。なお、図6の縦軸は、濾過されたオイル中に含まれるスラッジ成分量(ppmw)を示し、比較を容易にするため、本試験に使用した劣化オイル自体のスラッジ成分量も併せて図中に示している。
図6を参照すると、第2のオイルフィルタとして表面層の平均細孔径が5μmのハニカム構造体を使用した場合には、劣化オイル中のスラッジ成分を十分に除去することはできなかったことがわかる。しかしながら、それよりも小さい表面層の平均細孔径を有するハニカム構造体を使用することで、劣化オイル中のスラッジ成分を除去することができ、例えば1μm未満、特には0.5μm以下の表面層の平均細孔径を有するハニカム構造体を使用した場合には、とりわけ顕著なスラッジ成分に対する除去性能を達成することができた。
[選択性の評価]
次に、同様の評価装置を用いて、第2のオイルフィルタとして表面層の平均細孔径が0.1μm及び0.2μmのハニカム構造体を使用した場合について、粘度指数向上剤として所定量のポリメタクリレート(PMA)を含有するオイルの濾過試験を行った。なお、分析は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用いて行った。
GPC分析の結果を比較すると、第2のオイルフィルタを透過する前のPMA含有オイルでは、分子量が約5万〜約25万の範囲内にあるPMAの数平均分子量及び重量平均分子量がそれぞれ約12.8万及び約13.7万であったのに対し、第2のオイルフィルタとして表面層の平均細孔径が0.2μmのハニカム構造体を使用した場合のPMA含有オイルでは、分子量が同じ範囲内のPMAの数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ約12.3万及び約13.2万であった。すなわち、第2のオイルフィルタとして表面層の平均細孔径が0.2μmのハニカム構造体を使用した場合には、当該第2のオイルフィルタの透過前後で分析結果に大きな差は見られなかった。したがって、粘度指数向上剤としてエンジンオイルに添加されたPMAは、そのほとんどが除去されることなく、当該第2のオイルフィルタを透過していることがわかる。
一方で、第2のオイルフィルタとして表面層の平均細孔径が0.1μmのハニカム構造体を使用した場合のPMA含有オイルでは、分子量が同じ範囲内のPMAの数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ約11.0万及び約11.8万であり、第2のオイルフィルタを透過する前のPMA含有オイルの結果と比較して減少する傾向が見られた。したがって、第2のオイルフィルタとして表面層の平均細孔径が0.1μmのハニカム構造体を使用した場合には、約5〜25万の分子量を有するPMAが当該第2のオイルフィルタによって一部除去されていることがわかる。
[耐久性評価]
最後に、本発明における第2のオイルフィルタについて、劣化度合いの異なるオイルを使用した場合の除去性能を調べた。その結果を図7に示す。
図7は、第2のオイルフィルタとして表面層の平均細孔径が0.1μm、0.2μm及び0.5μmのハニカム構造体を使用した場合に関する劣化度合いの異なるオイルの濾過試験の結果を示す図である。図中、低劣化オイルとは、約7500km走行後のオイルに相当する劣化オイルであり、中劣化オイルとは、約15000km走行後のオイルに相当する劣化オイルである。図7の結果から、使用した第2のオイルフィルタの全てに関して、劣化がある程度進行したオイルに対しても、スラッジ成分の除去性能を維持できることがわかった。
20 第2のオイルフィルタ
21 隔壁
22 セル通路
23 ハニカム構造体
24 ケーシング
25 オイル入口部
26 濾過オイル出口部
27 オイル出口部
41 オイルパン
42 オイルストレーナ
43 オイルポンプ
44 メインギャラリ
45 第1のオイルフィルタ
46、46’ 第2のオイルフィルタ

Claims (6)

  1. 第1のオイルフィルタ及び第2のオイルフィルタを備えた内燃機関のオイル劣化抑制装置であって、前記第1のオイルフィルタは、オイルが貯留されたオイルパンからのオイルを濾過するための第1濾過部材を含み、前記第2のオイルフィルタがセラミック材料からなる第2濾過部材であって、前記オイルパンからのオイルを通過させて濾過するための第2濾過部材を含み、該第2濾過部材が前記第1濾過部材の平均細孔径よりも小さい0.2μm以上0.5μm以下の平均細孔径を有し、
    前記第2のオイルフィルタが、隔壁で区画された複数のセル通路であって、オイルが流入するセル通路を含みかつセラミック材料からなるハニカム構造体によって構成され、前記隔壁が前記第2濾過部材を含み、
    前記隔壁が複層構造を有しかつ前記第2濾過部材が該複層構造におけるオイル流入側の表面層を構成し、
    前記複層構造中の各層の平均細孔径が該複層構造のオイル流入側からオイル流出側に向かって次第に大きくなっていることを特徴とする、内燃機関のオイル劣化抑制装置。
  2. 前記第1濾過部材がセラミック材料とは異なる材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
  3. 前記第1のオイルフィルタが、前記オイルパンのオイル流れ下流側でかつ内燃機関の潤滑部のオイル流れ上流側に接続され、前記内燃機関の潤滑部に供給されるオイルを濾過するフルフローフィルタであり、前記内燃機関のオイル劣化抑制装置が前記第1のオイルフィルタのオイル流れ方向の上流側又は下流側において分岐して前記オイルパンへと連通するバイパス経路を有し、前記第2のオイルフィルタが前記バイパス経路に配置され、前記オイルパンへ向かうオイルを濾過するバイパスフィルタであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
  4. 前記第1のオイルフィルタのオイル流れ方向の下流側において分岐して前記オイルパンへと連通するバイパス経路を有することを特徴とする、請求項3に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
  5. 前記第2濾過部材又は前記ハニカム構造体を構成するセラミック材料が、コージェライト、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
  6. 前記第1濾過部材が濾紙又は不織布からなることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
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