JPWO2013145319A1 - ハニカムフィルタ - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、深層濾過に起因する急激な圧力損失の上昇を抑えつつ、再生処理の際に濾過層の剥離が生じにくいハニカムフィルタを提供することであり、本発明のハニカムフィルタは、流体を流通させるための多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、上記セルの流体流入側又は流体流出側のいずれかの端部が封止されてなるセラミックハニカム基材と、上記セル壁の表面のうち、上記流体流入側の端部が開口され、上記流体流出側の端部が封止されたセルのセル壁の表面に形成された濾過層とを備えたハニカムフィルタであって、上記濾過層は、中空粒子を含むことを特徴とする。

Description

本発明は、ハニカムフィルタに関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、スス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境や人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、COやHC、NOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境や人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、排ガス中のPMを捕集したり、有害なガス成分を浄化したりするために、排ガス浄化装置が用いられている。
このような排ガス浄化装置は、セラミック等の材料からなるハニカムフィルタを用いて作製される。ハニカムフィルタ内に排ガスを通過させることによって排ガスを浄化することができる。
排ガス浄化装置において排ガス中のPMを捕集するために用いられるハニカムフィルタでは、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、セルのいずれか一方の端部が封止されている。そのため、一のセルに流入した排ガスは、必ずセル同士を隔てるセル壁を通過した後、他のセルから流出するようになっている。すなわち、このようなハニカムフィルタが排ガス浄化装置に備えられていると、排ガス中に含まれるPMは、ハニカムフィルタを通過する際に、セル壁により捕捉される。従って、ハニカムフィルタのセル壁は、排ガスが浄化されるフィルタとして機能する。
ハニカムフィルタがPMを捕集する初期の段階では、セル壁の細孔にPMが侵入し、セル壁の内部でPMが捕集され、セル壁の細孔が閉塞される「深層濾過」の状態になる。深層濾過の状態では、セル壁の内部(細孔)にPMが堆積していく。そのため、PMの捕集開始直後に、セル壁の実質的な気孔率が低下し、急激に圧力損失が上昇するという問題がある。
特許文献1には、ハニカムフィルタを構成するセル壁の表層部分に粒子を堆積させてコンポジット領域を形成させたハニカムフィルタが開示されている。
国際公開2010/110011号パンフレット
排ガス中のPMを捕集するためのハニカムフィルタでは、捕集したPMを燃焼除去するために、ハニカムフィルタの再生処理を行う必要がある。
濾過層の表面に堆積されたPMは、再生処理において燃焼される。再生処理の際、PMの燃焼によって生じた熱が濾過層に蓄積され、濾過層の温度が上昇するが、セル壁の温度が低いままであると濾過層とセル壁の間で熱応力が生じる。そして、この熱応力に起因して濾過層がセル壁の表面から剥がれるという問題が生じる。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、深層濾過に起因する急激な圧力損失の上昇を抑えつつ、再生処理の際に濾過層の剥離が生じにくいハニカムフィルタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載のハニカムフィルタは、
流体を流通させるための多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、上記セルの流体流入側又は流体流出側のいずれかの端部が封止されてなるセラミックハニカム基材と、
上記セル壁の表面のうち、上記流体流入側の端部が開口され、上記流体流出側の端部が封止されたセルのセル壁の表面に形成された濾過層とを備えたハニカムフィルタであって、
上記濾過層は、中空粒子を含むことを特徴とする。
請求項1に記載のハニカムフィルタでは、セラミックハニカム基材のセル壁の表面に形成された濾過層が、中空粒子を含む。そのため、特許文献1に記載の従来のハニカムフィルタに形成されている濾過層よりも、濾過層の熱容量を小さくすることができる。従って、請求項1に記載のハニカムフィルタでは、ハニカムフィルタに堆積されたPMを燃焼させた際、PMが堆積されていた側のセル内に発生した熱のうち濾過層に蓄積される熱量が小さく、熱が濾過層を介してセル壁に伝わりやすくなる。その結果、濾過層とセル壁の間の温度差を小さくすることができるため、上記温度差を原因とする熱応力の差を小さくすることができ、濾過層の剥離を防止することができる。
本明細書において、濾過層とは、セラミックハニカム基材の表面に形成された、PMを濾過することができる表層のことをいう。
請求項2に記載のハニカムフィルタでは、上記中空粒子の中実度は20〜90%である。
中実度が上記範囲であると濾過層とセル壁の間の温度差を小さくすることに特に適している。
中実度が20%未満であると、中空粒子の強度が弱くなるため中空粒子の形状を保持することが難しい。中実度が90%を超えると濾過層の熱容量が高くなってしまうため、熱応力の差を小さくして濾過層の剥離を防止する効果が充分に得られない場合がある。
請求項3に記載のハニカムフィルタでは、上記中空粒子の平均粒子径は、0.3〜2.5μmである。そのため、排ガスに含まれるPMは、主に濾過層の表面に堆積され、PMが深層濾過されることを防止することができる。従って、深層濾過に起因する、ハニカムフィルタの圧力損失が急激に上昇することを防止することができる。
請求項4に記載のハニカムフィルタでは、上記中空粒子は、耐熱性酸化物から構成される。
また、請求項5に記載のハニカムフィルタでは、上記耐熱性酸化物は、アルミナ、シリカ、ムライト、セリア、ジルコニア、コージェライト、ゼオライト及びチタニアからなる群から選択される少なくとも一種である。
このように、濾過層を構成する中空粒子が耐熱性酸化物から構成されると、PMを燃焼させる再生処理を行った際にも、濾過層が溶融する等の不都合が発生しにくくなり、耐熱性に優れたハニカムフィルタとすることができる。
請求項6に記載のハニカムフィルタでは、上記濾過層の厚さは、10〜100μmである。
濾過層の厚さが10μm未満であると、PMが深層濾過されやすくなるため、ハニカムフィルタの圧力損失が上昇しやすくなる。一方、濾過層の厚さが100μmを超えると、PMの深層濾過を防止することはできるが、濾過層が厚すぎるために却って圧力損失が大きくなる。
本発明のハニカムフィルタは、換言すれば以下のとおりである。
1. A honeycomb filter, comprising:
a ceramic body having a plurality of through holes extending in parallel in a longitudinal direction of the ceramic body and a plurality of cell wall portions partitioning the through holes, the plurality of through holes forming a plurality of inlet cells sealed at an outlet end of the ceramic body and a plurality of outlet cells sealed at an inlet end of the ceramic body such that the plurality of cell wall portions is configured to filter a fluid flowing from the inlet cells into the outlet cells,
wherein the ceramic body has a plurality of auxiliary filter layers comprising a porous material and formed on surfaces of the cell wall portions in the inlet cells, respectively.
2. The honeycomb filter according to Claim 1, wherein the porous material of the auxiliary filter layers is porous particles.
図1は、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。 図2(a)は、図1に示すハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)に示すハニカム焼成体のA−A線断面図である。 図3(a)は、濾過層を構成する中空粒子の断面を撮影した電子顕微鏡写真の一例であり、図3(b)は、図3(a)の写真の中空粒子中の画素を白地で塗りつぶした二値化画像である。 図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体のセル構造の一例を模式的に示す側面図である。 図5は、液滴分散工程及びキャリアガスの流入工程の実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
(第一実施形態)
以下、本発明のハニカムフィルタの一実施形態である第一実施形態について説明する。
まず、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタについて説明する。
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタは、
流体を流通させるための多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、上記セルの流体流入側又は流体流出側のいずれかの端部が封止されてなるセラミックハニカム基材と、
上記セル壁の表面のうち、上記流体流入側の端部が開口され、上記流体流出側の端部が封止されたセルのセル壁の表面に形成された濾過層とを備えたハニカムフィルタであって、
上記濾過層は、中空粒子を含むことを特徴とする。
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタでは、セラミックハニカム基材(セラミックブロック)が複数個のハニカム焼成体から構成されている。また、ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体が有する多数のセルが、大容量セルと小容量セルとからなり、大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい。
このように、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタは、ハニカム焼成体を含むセラミックハニカム基材のセル壁の表面に濾過層を形成したものである。
本明細書においては、セル壁の表面に濾過層が形成されていないものを「セラミックハニカム基材」、セル壁の表面に濾過層が形成されたものを「ハニカムフィルタ」として両者を区別する。
また、以下の説明において、単に、ハニカム焼成体の断面と表記した場合、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面を指す。同様に、単に、ハニカム焼成体の断面積と表記した場合、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の面積を指す。
図1は、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図2(a)は、図1に示すハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)に示すハニカム焼成体のA−A線断面図である。
図1に示すハニカムフィルタ100では、複数個のハニカム焼成体110が接着材層101を介して結束されてセラミックハニカム基材(セラミックブロック)103を構成し、さらに、このセラミックハニカム基材(セラミックブロック)103の外周には、排ガスの漏れを防止するための外周コート層102が形成されている。なお、外周コート層は、必要に応じて形成されていればよい。
このような、複数個のハニカム焼成体が結束されてなるハニカムフィルタは、集合型ハニカムフィルタともいう。
ハニカムフィルタ100を構成するハニカム焼成体110については後述するが、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが好ましい。
図2(a)及び図2(b)に示すハニカム焼成体110には、多数のセル111a及び111bがセル壁113を隔てて長手方向(図2(a)中、矢印aの方向)に並設されるとともに、その外周に外周壁114が形成されている。セル111a及び111bのいずれかの端部は、封止材112a又は112bで封止されている。
そして、図2(b)及び図3に示すように、ハニカム焼成体110のセル壁113の表面には、濾過層115が形成されている。後述するように、濾過層115は、中空粒子を含んでいる。なお、図2(a)に示すハニカム焼成体110では、濾過層115を図示していない。
図2(a)及び図2(b)に示すハニカム焼成体110においては、長手方向に垂直な断面の面積が小容量セル111bより相対的に大きい大容量セル111aと、長手方向に垂直な断面の面積が大容量セル111aより相対的に小さい小容量セル111bとが、交互に配設されている。
大容量セル111aの長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、小容量セル111bの長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である。
図2(a)及び図2(b)に示すハニカム焼成体110において、大容量セル111aは、ハニカム焼成体110の第1の端面117a側の端部が開口され、第2の端面117b側の端部が封止材112aにより封止されている。一方、小容量セル111bは、ハニカム焼成体110の第2の端面117b側の端部が開口され、第1の端面117a側の端部で封止材112bにより封止されている。
従って、図2(b)に示すように、大容量セル111aに流入した排ガスG(図2(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、必ず、大容量セル111aと小容量セル111bとを隔てるセル壁113を通過した後、小容量セル111bから流出するようになっている。排ガスGがセル壁113を通過する際に、排ガス中のPM等が捕集されるため、大容量セル111a及び小容量セル111bを隔てるセル壁113は、フィルタとして機能する。
このように、ハニカム焼成体110の大容量セル111a及び小容量セル111bには、排ガス等の気体を流通させることができる。図2(b)に示す方向に排ガス等の気体を流通させる場合、ハニカム焼成体110の第1の端面117a側の端部(小容量セル111bが封止されている側の端部)を流体流入側の端部といい、ハニカム焼成体110の第2の端面117b側の端部(大容量セル111aが封止されている側の端部)を流体流出側の端部という。
すなわち、流体流入側の端部が開口している大容量セル111aは、流体流入側のセル111aであり、流体流出側の端部が開口している小容量セル111bは、流体流出側のセル111bといえる。
図3(a)は、濾過層を構成する中空粒子の断面を撮影した電子顕微鏡写真の一例である。倍率は30000倍である。
図3(b)は、図3(a)の写真の中空粒子中の画素を白地で塗りつぶした二値化画像である。
図3(a)には、濾過層を構成する中空粒子の断面が示されている。図3(a)に示す中空粒子は、硝酸アルミニウム0.1M溶液を原材料として作製されたアルミナ粒子である。
中空粒子60には、中空粒子を構成する材料が密に詰まった部分61と、中空粒子を構成する材料の密度が低い部分62が存在する。
中空粒子を構成する材料が密に詰まった部分61は、中空粒子の外周部分に存在しており、材料の密度が高いことに起因して図3(a)において白く示される。
一方、中空粒子を構成する材料の密度が低い部分62は、中空粒子60の中心部分に存在しており、材料の密度が低いことに起因して、中空粒子を構成する材料(図3(a)で白く示される部分)と空間(図3(a)で黒く示される部分)が存在する。
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタにおいて、中空粒子の中実度は20〜90%であることが好ましい。
中空粒子の中実度は、中空粒子中の「実」の部分と「空間」の部分の割合を表す指標であり、中実度が高いほど空間の割合が低いことを示す。
本明細書における中実度は、電子顕微鏡写真から以下のように求める。
図3(a)のように濾過層を構成する中空粒子の断面を撮影し、断面写真を得る。
上記断面写真には白い画素と黒い画素が存在するので、「実」を表す白い画素と「空間」を表す黒い画素の数を計測し、全ての画素数を100%とした場合の白い画素の占有率(%)を算出する。図3(a)では白い画素の割合は36.3%となる。
次に、図3(a)の断面写真に画像処理を加えて、図3(b)のように、中空粒子中の画素を白地で塗りつぶした二値化画像を得る。
これは、撮影した粒子が全て中実粒子(内部に空間を有さない中実度100%の粒子)と仮定した場合の断面写真に相当する。そして、全ての画素数を100%とした場合の白い画素の占有率(%)を算出する。図3(b)では白い画素の割合は46.8%となる。
中実度(%)は、(図3(a)に示すような電子顕微鏡写真における白い画素の割合/図3(b)に示すような二値化画像における白い画素の割合)×100で算出する。
上記例では(36.3/46.8)×100=77.6(%)となる。
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタにおいて、濾過層を形成する中空粒子の平均粒子径は、0.3〜2.5μmであることが好ましく、0.5〜0.8μmであることがより好ましい。
中空粒子の平均粒子径が0.3μm未満であると、中空粒子が小さすぎるために、セル壁の表面に濾過層が形成されにくくなる。また、中空粒子の平均粒子径が0.3μm未満であると、中空粒子がセル壁の内部(細孔)に侵入して細孔を塞ぐことがあるため、圧力損失が大きくなることがある。一方、中空粒子の平均粒子径が2.5μmを超えると、中空粒子が大きすぎるために、濾過層を形成しても、濾過層の気孔径が大きくなる。そのため、PMが濾過層を通過してセル壁の細孔に侵入し、セル壁の内部でPMが捕集される「深層濾過」の状態になってしまい、圧力損失が大きくなる。
なお、濾過層を構成する粒子(中空粒子)の平均粒子径は、以下の方法により測定することができる。
ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体を加工して、10mm×10mm×10mmのサンプルを作製する。
作製したサンプルの任意の1箇所について、サンプルの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する。この際、濾過層を構成する粒子が一視野内に入るようにする。ここで、SEMとしては、Hitachi製、FE−SEM S−4800を使用することができる。また、SEMの観察条件は、加速電圧:15.00kV、作動距離(WD):15.00mm、倍率:10000倍とする。
次に、一視野内における全ての粒子の粒子径を目視で測定する。一視野内にて測定した全ての粒子の粒子径の平均値を平均粒子径とする。
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタにおいて、濾過層を形成する中空粒子は、耐熱性酸化物から構成されることが好ましい。
耐熱性酸化物としては、アルミナ、シリカ、ムライト、セリア、ジルコニア、コージェライト、ゼオライト及びチタニア等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記耐熱性酸化物の中では、アルミナが好ましい。
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタにおいて、濾過層は、流体流入側の端部が開口され、流体流出側の端部が封止されたセルのセル壁の表面のみに形成されている。
排ガスはハニカムフィルタの流体流入側からセル内に流入するため、排ガス中のPMは、流体流入側の端部が開口され、流体流出側の端部が封止されたセルのセル壁に多く堆積される。従って、濾過層が、流体流入側の端部が開口され、流体流出側の端部が封止されたセルのセル壁の表面のみに形成されていると、濾過層でPMを捕集することができるため、深層濾過を防止することができる。
なお、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタにおいて、濾過層は、流体流入側の端部が開口され、流体流出側の端部が封止されたセルのセル壁の表面の全体に形成されていることが好ましいが、上記セル壁の表面の一部に濾過層が形成されていない部分があってもよい。
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタにおいて、ハニカム焼成体が有する大容量セル及び小容量セルの長手方向に垂直な断面の形状としては、以下のような形状を挙げることができる。
図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体のセル構造の一例を模式的に示す側面図である。
なお、図4(a)、図4(b)及び図4(c)では、濾過層を図示していない。
図4(a)に示すハニカム焼成体120においては、大容量セル121aの長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、小容量セル121bの長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、大容量セル121aと小容量セル121bとが交互に配列されている。同様に、図4(b)に示すハニカム焼成体130においても、大容量セル131aの長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、小容量セル131bの長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、大容量セル131aと小容量セル131bとが交互に配列されている。図4(a)に示すハニカム焼成体120と図4(b)に示すハニカム焼成体130とでは、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積に対する大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積の面積比(大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積/小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積)が異なっている。
また、図4(c)に示すハニカム焼成体140においては、大容量セル141aの長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、小容量セル141bの長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、大容量セル141aと小容量セル141bとが交互に配列されている。
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタにおいて、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積に対する大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積の面積比(大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積/小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積)は、1.4〜2.8であることが好ましく、1.5〜2.4であることがより好ましい。
流体流入側のセルを大容量セルとし、流体流出側のセルを小容量セルとすることにより、流体流入側のセル(大容量セル)に多くのPMを堆積させることができるが、上記面積比が1.4未満であると、大容量セルの断面積と小容量セルの断面積との差が小さいため、大容量セル及び小容量セルを設けた効果が得られにくくなる。一方、上記面積比が2.8を超えると、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積が小さくなりすぎるため、排ガス等の気体が流体流出側のセル(小容量セル)を通過する際の摩擦に起因する圧力損失が大きくなる。
次に、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの製造方法について説明する。
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの製造方法は、
流体を流通させるための多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、上記セルの流体流入側又は流体流出側のいずれかの端部が封止されてなるセラミックハニカム基材と、
上記セル壁の表面のうち、上記流体流入側の端部が開口され、上記流体流出側の端部が封止されたセルのセル壁の表面に形成された濾過層とを備えたハニカムフィルタの製造方法であって、
セラミック粉末を用いて多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、上記セルの流体流入側又は流体流出側のいずれかの端部が封止された多孔質のハニカム焼成体を製造するハニカム焼成体製造工程と、
上記球状セラミック粒子の原材料を含む液滴をキャリアガス中に分散させる液滴分散工程と、
上記キャリアガスを100〜800℃で乾燥し、上記球状セラミック粒子の原材料を含む液滴から球状セラミック粒子かつ中空粒子を形成する乾燥工程と、
上記キャリアガスを、流体流入側の端部が開口され、流体流出側の端部が封止されたセルに流入させ、上記球状セラミック粒子を上記セル壁の表面に堆積させる流入工程と、
上記セラミックハニカム基材を1100〜1500℃に加熱する加熱工程とを含むことを特徴とする。
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの製造方法では、ハニカム焼成体を含むセラミックハニカム基材を作製し、セラミックハニカム基材のセル壁の表面に濾過層を形成する。
以下、他の工程の説明に先立ち、濾過層を形成する工程の手順について説明する。
本実施形態では、液滴分散工程、乾燥工程、キャリアガスの流入工程、及び、セラミックハニカム基材の加熱工程を行うことによって、セラミックハニカム基材のセル壁の表面に濾過層を形成する。
また、本実施形態の説明では、濾過層を構成する材料が耐熱性酸化物である場合を例にして説明する。
なお、ハニカム焼成体を含むセラミックハニカム基材を作製する工程については後述する。
図5は、液滴分散工程及びキャリアガスの流入工程の実施形態を模式的に示す断面図である。
図5には、キャリアガスをセラミックハニカム基材のセルに流入させる装置である、キャリアガス流入装置1を示している。
キャリアガス流入装置1は、キャリアガス中に液滴を分散させる液滴分散部20、液滴が分散したキャリアガスが通過する配管部30、キャリアガスをセラミックハニカム基材のセルに流入させる流入部40を備える。
以下、キャリアガス流入装置1を用いて液滴分散工程及びキャリアガスの流入工程を行う場合の例を説明する。
キャリアガス流入装置1には、キャリアガスFが図5中の下方から上方に向かって流れている。キャリアガス流入装置1では、キャリアガスFはキャリアガス流入装置1の下方から導入され、液滴分散部20、配管部30、流入部40を経て流入部40の上方から排出される。
キャリアガスFは、キャリアガス流入装置の下方からの加圧、又は、キャリアガス流入装置の上方からの吸引によって生み出された圧力差によって、図5における下方から上方に加圧されてキャリアガス流入装置1内を上方に流れる。
キャリアガスとしては、800℃までの加熱で反応せず、また、キャリアガス中に分散する液滴中の成分と反応しないガスが用いられる。
キャリアガスの例としては、空気、窒素、アルゴン等のガスが挙げられる。
キャリアガス流入装置1の液滴分散部20では、図示しない槽に満たされた酸化物含有溶液がスプレーにより液滴11となって、キャリアガスF中に分散する。
酸化物含有溶液とは、加熱により耐熱性酸化物が形成される耐熱性酸化物前駆体を含む溶液、又は、耐熱性酸化物粒子を含むスラリーを含む概念である。
耐熱性酸化物前駆体とは、加熱により耐熱性酸化物に誘導される化合物を意味する。
例えば、耐熱性酸化物を構成する金属の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水和物などが挙げられる。
耐熱性酸化物がアルミナの場合の耐熱性酸化物前駆体、すなわちアルミナ前駆体としては硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、ダイアスポアなどが挙げられる。
また、耐熱性酸化物粒子を含むスラリーとは、耐熱性酸化物粒子が水中に懸濁した溶液である。
キャリアガスF中に分散した液滴11は、キャリアガスFの流れに乗ってキャリアガス流入装置1の上方に流れていき、配管部30を通過する。
キャリアガス流入装置1の配管部30は、液滴11が分散したキャリアガスFが通過する配管である。
配管部30の、キャリアガスFが通過する通路32は、配管の管壁31で囲まれた空間である。
本実施形態で使用するキャリアガス流入装置1では、配管部30に加熱機構33が設けられている。加熱機構33としては、電気ヒーター等が挙げられる。
本実施形態では、加熱機構33を用いて配管の管壁31を加熱し、液滴11が分散したキャリアガスFを通過させる。そして、配管部30を通過するキャリアガスFを加熱し、キャリアガスFに分散した液滴11を加熱する。
液滴11が加熱されると、液滴に含まれる液体成分が蒸発し、球状セラミック粒子12が形成される。
ここで形成される球状セラミック粒子12は、中空粒子となる。
図5では、中空粒子である球状セラミック粒子12を、白い丸で示している。
液滴に耐熱性酸化物前駆体が含まれている場合、キャリアガスの加熱により耐熱性酸化物前駆体は耐熱性酸化物(球状セラミック粒子)となる。
本実施形態では、加熱機構33を用いて配管の管壁31を100〜800℃に加熱し、液滴11が分散したキャリアガスFを0.1〜3.0秒間通過させることが好ましい。
加熱された配管の温度が100℃未満であり、かつ、キャリアガスを配管に通過させる時間が0.1秒間未満であると、液滴中の水分を充分に蒸発させることができないことがある。一方、加熱された配管の温度が800℃を超え、かつ、キャリアガスを配管に通過させる時間が3.0秒間を超えると、ハニカムフィルタを製造するために必要なエネルギーが大きくなりすぎてしまうため、ハニカムフィルタの製造効率が低下する。
本実施形態において、配管の長さは、特に限定されないが、500〜3000mmであることが好ましい。
配管の長さが500mm未満であると、キャリアガスを配管に通過させる速度を遅くしても、液滴中の水分を充分に蒸発させることができないことがある。
一方、配管の長さが3000mmを超えると、ハニカムフィルタを製造するための装置が大きくなりすぎてしまい、ハニカムフィルタの製造効率が低下する。
球状セラミック粒子12は、キャリアガスF中に分散したまま、キャリアガスFの流れに乗ってキャリアガス流入装置1の上方に流れていき、流入部40においてセラミックハニカム基材103のセルに流入する。
本実施形態では、セラミックハニカム基材として、ハニカム焼成体が接着材層を介して複数個結束されてなるセラミックブロックを用いる。
セラミックハニカム基材103は、キャリアガス流入装置1の上部において、キャリアガス流入装置1の出口を塞ぐように配置されている。
そのため、キャリアガスFは必ずセラミックハニカム基材103の内部に流入する。
図5には、セラミックハニカム基材103の断面として、セラミックブロックを構成するハニカム焼成体の断面(図2(b)に示すものと同様の断面)を模式的に示している。
セラミックハニカム基材103においては、流体流入側のセル111aの端部が開口しており、流体流出側のセル111bが目封止されている。
そのため、キャリアガスFは流体流入側のセル111aの開口からセラミックハニカム基材103の内部に流入する。
そして、セラミックハニカム基材103の流体流入側のセル111aに、球状セラミック粒子12が分散したキャリアガスFが流入すると、球状セラミック粒子12はセラミックハニカム基材103のセル壁113の表面に堆積する。
そして、本実施形態では、セラミックハニカム基材103を100〜800℃に加熱しておき、加熱されたセルにキャリアガスFを流入させることが好ましい。
セラミックハニカム基材103が100〜800℃に加熱されていると、球状セラミック粒子12に液体成分が残っていたとしても液体成分が蒸発し、球状セラミック粒子が乾燥した粉末の状態でセル壁の表面に堆積する。
キャリアガスFは、流体流入側のセル111aの開口からセラミックハニカム基材103の内部に流入し、セラミックハニカム基材103のセル壁113を通過し、流体流出側のセル111bの開口から流出する。
このような手順によりキャリアガスの流入工程が行われる。
続いて、セラミックハニカム基材の加熱工程を行う。
キャリアガスの流入工程を経て球状セラミック粒子がセル壁に付着したセラミックハニカム基材を、加熱炉を用いて炉内温度1100〜1500℃で加熱する。
加熱雰囲気としては大気雰囲気、窒素雰囲気、又は、アルゴン雰囲気とすることが望ましい。
この加熱工程によって、球状セラミック粒子の一部が焼結を起こし、架橋体となって球状セラミック粒子同士を結合させる。
そして、セル壁の表面に付着した球状セラミック粒子は加熱により熱収縮を生じてセル壁の表面に強固に固着する。
上記工程を経て濾過層が形成される。
以下、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの製造方法における、ハニカム焼成体を含むセラミックハニカム基材を作製する工程について説明する。
以下で作製するセラミックハニカム基材は、ハニカム焼成体が接着材層を介して複数個結束されてなるセラミックブロックである。
なお、セラミック粉末として、炭化ケイ素を用いる場合について説明する。
(1)セラミック粉末とバインダとを含む湿潤混合物を押出成形することによってハニカム成形体を作製する成形工程を行う。
具体的には、まず、セラミック粉末として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと、液状の可塑剤と、潤滑剤と、水とを混合することにより、ハニカム成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形することにより所定の形状のハニカム成形体を作製する。
この際、図2(a)及び図2(b)に示すセル構造(セルの形状及びセルの配置)を有する断面形状が作製されるような金型を用いてハニカム成形体を作製する。
(2)ハニカム成形体を所定の長さに切断し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封じする封止工程を行う。
ここで、封止材ペーストとしては、上記湿潤混合物を用いることができる。
(3)ハニカム成形体を脱脂炉中で加熱し、ハニカム成形体中の有機物を除去する脱脂工程を行った後、脱脂されたハニカム成形体を焼成炉に搬送し、焼成工程を行うことにより、図2(a)及び図2(b)に示したようなハニカム焼成体を作製する。
なお、セルの端部に充填された封止材ペーストは、加熱により焼成され、封止材となる。
また、切断工程、乾燥工程、封止工程、脱脂工程及び焼成工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
(4)支持台上で複数個のハニカム焼成体を接着材ペーストを介して順次積み上げて結束する結束工程を行い、ハニカム焼成体が複数個積み上げられてなるハニカム集合体を作製する。
接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
(5)ハニカム集合体を加熱して接着材ペーストを加熱固化して接着材層とし、四角柱状のセラミックブロックを作製する。
接着材ペーストの加熱固化の条件は、従来からハニカムフィルタを作製する際に用いられている条件を適用することができる。
(6)セラミックブロックに切削加工を施す切削加工工程を行う。
具体的には、ダイヤモンドカッターを用いてセラミックブロックの外周を切削することにより、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックを作製する。
(7)略円柱状のセラミックブロックの外周面に、外周コート材ペーストを塗布し、乾燥固化して外周コート層を形成する外周コート層形成工程を行う。
ここで、外周コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストを使用することができる。なお、外周コート材ペーストとして、上記接着材ペーストと異なる組成のペーストを使用してもよい。
なお、外周コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
外周コート層を設けることによって、セラミックブロックの外周の形状を整えて、円柱状のセラミックハニカム基材とすることができる。
以上の工程によって、ハニカム焼成体を含むセラミックハニカム基材を作製することができる。
そして、セラミックハニカム基材に対して、上述した液滴分散工程、キャリアガスの流入工程、及び、セラミックハニカム基材の加熱工程を行うことによって、セラミックハニカム基材のセル壁の表面に濾過層を形成してハニカムフィルタを作製することができる。
以下、本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタの作用効果について列挙する。
(1)本実施形態のハニカムフィルタでは、セラミックハニカム基材のセル壁の表面に形成された濾過層が、中空粒子を含む。そのため、特許文献1に記載の従来のハニカムフィルタに形成されている濾過層よりも、濾過層の熱容量を小さくすることができる。従って、本実施形態のハニカムフィルタでは、ハニカムフィルタに堆積されたPMを燃焼させた際、PMが堆積されていた側のセル内に発生した熱のうち濾過層に蓄積される熱量が小さく、熱が濾過層を介してセル壁に伝わりやすくなる。その結果、濾過層とセル壁の間の温度差を小さくすることができるため、上記温度差を原因とする熱応力の差を小さくすることができ、濾過層の剥離を防止することができる。
(2)本実施形態のハニカムフィルタでは、中空粒子の中実度は20〜90%である。
中実度が上記範囲であると濾過層とセル壁の間の温度差を小さくすることに特に適している。
中実度が20%未満であると、中空粒子の強度が弱くなるため中空粒子の形状を保持することが難しい。中実度が90%を超えると濾過層の熱容量が高くなってしまうため、熱応力の差を小さくして濾過層の剥離を防止する効果が充分に得られない場合がある。
(3)本実施形態のハニカムフィルタでは中空粒子の平均粒子径は、0.3〜2.5μmである。そのため、排ガスに含まれるPMは、主に濾過層の表面に堆積され、PMが深層濾過されることを防止することができる。従って、深層濾過に起因して、ハニカムフィルタの圧力損失が急激に上昇することを防止することができる。
(4)本実施形態のハニカムフィルタでは、中空粒子は、耐熱性酸化物から構成され、耐熱性酸化物は、アルミナ、シリカ、ムライト、セリア、ジルコニア、コージェライト、ゼオライト及びチタニアからなる群から選択される少なくとも一種である。
このように、濾過層を構成する中空粒子が耐熱性酸化物から構成されると、PMを燃焼させる再生処理を行った際にも、濾過層が溶融する等の不都合が発生しにくくなり、耐熱性に優れたハニカムフィルタとすることができる。
(5)本実施形態のハニカムフィルタでは、濾過層の厚さは、10〜100μmである。
濾過層の厚さが10μm未満であると、PMが深層濾過されやすくなるため、ハニカムフィルタの圧力損失が上昇しやすくなる。一方、濾過層の厚さが100μmを超えると、PMの深層濾過を防止することはできるが、濾過層が厚すぎるために却って圧力損失が大きくなる。
(実施例)
以下、本発明の第一実施形態のハニカムフィルタをより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(セラミックハニカム基材の作製)
まず、平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末54.6重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末23.4重量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)4.3重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.6重量%、グリセリン1.2重量%、及び、水13.9重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する成形工程を行った。
本工程では、図2(a)に示したハニカム焼成体110と同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体を作製した。
次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させることにより、ハニカム成形体の乾燥体を作製した。その後、ハニカム成形体の乾燥体の所定のセルに封止材ペーストを充填してセルの封止を行った。なお、上記湿潤混合物を封止材ペーストとして使用した。セルの封止を行った後、封止材ペーストを充填したハニカム成形体の乾燥体を再び乾燥機を用いて乾燥させた。
続いて、セルの封止を行ったハニカム成形体の乾燥体を400℃で脱脂する脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行った。
これにより、四角柱のハニカム焼成体を作製した。
上記工程により得られたハニカム焼成体間に接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成し、接着材ペースト層を加熱固化して接着材層とすることにより、16個のハニカム焼成体が接着材層を介して結束されてなる略角柱状のセラミックブロックを作製した。
なお、接着材ペーストとしては、平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む接着材ペーストを使用した。
その後、ダイヤモンドカッターを用いて、角柱状のセラミックブロックの外周を切削することにより、直径142mmの円柱状のセラミックブロックを作製した。
次に、円柱状のセラミックブロックの外周面に外周コート材ペーストを塗布し、外周コート材ペーストを120℃で加熱固化することにより、セラミックブロックの外周部に外周コート層を形成した。
なお、上記外周コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストと同様のペーストを使用した。
以上の工程によって、直径143.8mm×長さ150mmの円柱状のセラミックハニカム基材を作製した。
(液滴分散工程及び濾過層形成工程)
図5に示すキャリアガス流入装置を用いてセラミックハニカム基材に濾過層を形成した。
図5に示すようにキャリアガス流入装置の上方に、セラミックハニカム基材を配置した。
この際、流体流入側のセルとしての大容量セルの開口部をキャリアガス流入装置の下方に向けてセラミックハニカム基材を配置した。
酸化物含有溶液として、耐熱性酸化物前駆体であるベーマイトを含有する溶液を準備した。ベーマイトの濃度は0.1mol/lとした。
そして、ベーマイトを含有する液滴をスプレーによりキャリアガス中に分散させた。
キャリアガス流入装置の配管の管壁の温度を450℃に加熱しておき、キャリアガスを流速15.8mm/secでキャリアガス流入装置の上方(セラミックハニカム基材側)に向けて流し、キャリアガス中に分散した液滴中の水分を蒸発させた。キャリアガスが配管を通過する際に液滴中の水分が蒸発することにより、液滴は中空の球状アルミナ粒子となった。
なお、配管の長さは1200mmであった。
中空の球状アルミナ粒子が分散したキャリアガスをセラミックハニカム基材のセルに流入させ、中空の球状アルミナ粒子をセル壁の表面に付着させた。
その後、セラミックハニカム基材をキャリアガス流入装置から取出し、焼成炉中で1350℃、3時間、大気雰囲気下で加熱した。
上記工程により、アルミナの中空粒子からなる濾過層がセル壁の表面に形成されたハニカムフィルタを製造した。
各実施例及び比較例において製造したハニカムフィルタについて、下記評価を行った。
(中実度の測定)
ハニカムフィルタの濾過層をSEM(装置名:Hitachi製、FE−SEM S−4800)を用いて撮影し、上述したような中実度の測定方法に従って、写真中の画素数を計測することによって中実度を求めた。その結果、中実度は77.6%であった。
SEM写真の撮影条件は反射電子像、加速電圧1.0kV、倍率30000倍とした。
(濾過層の剥離状態の観察)
以下の手順により、濾過層の剥離状態を観察した。
まず、ハニカムフィルタを乾燥機内で150℃/1時間乾燥した。その後、ハニカムフィルタの流体流出側の端部から水中に浸漬し、水中で超音波洗浄(43kHz)を30分行う。その後、ハニカムフィルタの流体流出側の端部から水を流入させ、水をセル壁を通過させて、流体流入側の端部から水を流出させる。
水を切った後乾燥機に投入し、150℃で2時間乾燥させる。
その後、電子顕微鏡を用いて濾過層に剥離が生じているかを観察した。
実施例1で製造したハニカムフィルタについて濾過層の剥離状態を観察したところ、剥離は生じておらず、強固な濾過層が形成されることが確認された。
150℃での加熱を経て濾過層の剥離が生じていなかったことから、再生処理におけるPM燃焼時(例えば800℃)での加熱を経ても、同様の効果が生じるため、剥離は生じない。
(その他の実施形態)
本発明の第一実施形態に係るハニカムフィルタでは、濾過層は、流体流入側の端部が開口され、流体流出側の端部が封止されたセルのセル壁の表面のみに形成されている。
しかしながら、本発明の他の実施形態に係るハニカムフィルタでは、濾過層は、流体流入側の端部が開口され、流体流出側の端部が封止されたセルのセル壁の表面に加えて、流体流入側の端部が封止され、流体流出側の端部が開口されたセルのセル壁の表面に形成されていてもよい。
このようなハニカムフィルタは、予め作製しておいた中空粒子を含むスラリーにセラミックハニカム基材を浸漬した後に加熱することによって製造することができる。
本発明の実施形態に係るハニカムフィルタの製造方法では、液滴に、セラミック粒子の原材料として、耐熱性酸化物粒子が含まれていてもよい。
液滴に耐熱性酸化物粒子が含まれている場合、キャリアガスを加熱することによって液滴中の水分を除去して耐熱性酸化物の中空粒子を得ることができる。そして、耐熱性酸化物の中空粒子をセルに流入させることによって、耐熱性酸化物の中空粒子から構成される濾過層を形成することができる。
また、耐熱性酸化物粒子を含む液滴をセルに流入させた後、液滴中の水分を除去することによっても、耐熱性酸化物の中空粒子から構成される濾過層を形成することができる。
本発明の実施形態に係るハニカムフィルタにおいて、ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体が有するセルの長手方向に垂直な断面の形状は、すべて等しい形状であってもよく、ハニカム焼成体の一の端面において封止されているセルと開口されているセルの長手方向に垂直な断面の面積が互いに等しくてもよい。
本発明の実施形態に係るハニカムフィルタにおいて、セラミックハニカム基材(セラミックブロック)が1つのハニカム焼成体から構成されていてもよい。
このような、1つのハニカム焼成体からなるハニカムフィルタは、一体型ハニカムフィルタともいう。一体型ハニカムフィルタの主な構成材料としては、コージェライトやチタン酸アルミニウムを用いることができる。
本発明の実施形態に係るハニカムフィルタにおいて、ハニカム焼成体の各セルのハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の形状は、略四角形に限定されるものではなく、例えば、略円形、略楕円形、略五角形、略六角形、略台形、又は、略八角形等の任意の形状であればよい。また、種々の形状を混在させてもよい。
本発明のハニカムフィルタにおいては、セラミックハニカム基材のセル壁の表面に濾過層が形成されており、上記濾過層が中空粒子を含んでいることを必須の構成要素としている。
係る必須の構成要素に、第一実施形態、及び、その他の実施形態で詳述した種々の構成(例えば、濾過層の構成、濾過層の形成方法、ハニカム焼成体のセル構造、ハニカムフィルタの製造工程等)を適宜組み合わせることにより所望の効果を得ることができる。
1 キャリアガス流入装置
11 液滴
12 球状セラミック粒子(中空粒子)
60 中空粒子
100 ハニカムフィルタ
103 セラミックハニカム基材(セラミックブロック)
110、120、130、140 ハニカム焼成体
111a、111b、121a、121b、131a、131b、141a、141b セル
113 セル壁
115 濾過層
F キャリアガス
排ガス

Claims (6)

  1. 流体を流通させるための多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、前記セルの流体流入側又は流体流出側のいずれかの端部が封止されてなるセラミックハニカム基材と、
    前記セル壁の表面のうち、前記流体流入側の端部が開口され、前記流体流出側の端部が封止されたセルのセル壁の表面に形成された濾過層とを備えたハニカムフィルタであって、
    前記濾過層は、中空粒子を含むことを特徴とするハニカムフィルタ。
  2. 前記中空粒子の中実度は20〜90%である請求項1に記載のハニカムフィルタ。
  3. 前記中空粒子の平均粒子径は、0.3〜2.5μmである請求項1又は2に記載のハニカムフィルタ。
  4. 前記中空粒子は、耐熱性酸化物から構成される請求項1〜3のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
  5. 前記耐熱性酸化物は、アルミナ、シリカ、ムライト、セリア、ジルコニア、コージェライト、ゼオライト及びチタニアからなる群から選択される少なくとも一種である請求項4に記載のハニカムフィルタ。
  6. 前記濾過層の厚さは、10〜100μmである請求項1〜5のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
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