JP6191983B2 - 圧電アクチュエータの製造方法、圧電アクチュエータ、及び、液体吐出装置 - Google Patents

圧電アクチュエータの製造方法、圧電アクチュエータ、及び、液体吐出装置 Download PDF

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Description

本発明は、圧電アクチュエータの製造方法、圧電アクチュエータ、及び、液体吐出装置に関する。
特許文献1には、複数のノズルを含むインク流路が形成された流路ユニットと、前記複数のノズルからそれぞれインクを吐出させる圧電アクチュエータとを備えたインクジェットヘッドが開示されている。流路ユニットは、複数のノズルにそれぞれ連通した複数の圧力室を有する。圧電アクチュエータは、複数の圧力室を覆うように、流路ユニットに接合されている。
圧電アクチュエータは、圧電層と、複数の個別電極と、共通電極とを有する。複数の個別電極は、圧電層の、流路ユニットと反対側の面において、複数の圧力室にそれぞれ対応して設けられている。共通電極は、圧電層の、流路ユニット側の面において、複数の個別電極と圧電層を挟んで対向するように配置されている。各個別電極は、圧力室と対向する領域に配置された部分(以下、主電極部という)と、この主電極部から引き出されて圧力室の外側の領域まで延びる部分(以下、副電極部という)を有する。副電極部の幅は、主電極部の幅よりも狭くなっている。副電極部の先端部には接続端子が設けられており、接続端子には配線部材が接続される。
圧電アクチュエータを駆動するドライバICから、配線部材を介して、個別電極に駆動信号が印加されると、個別電極と共通電極とに挟まれた圧電層の部分(以下、活性部ともいう)に印加される電圧が変化する。このとき、活性部に収縮が生じて圧電アクチュエータが変形するため、圧力室の容積が変化してインクに吐出エネルギーが付与される。
特開2012−206442号公報
ところで、特許文献1に開示されている圧電アクチュエータの製造工程において、圧電層に電極を形成する方法として、スクリーン印刷が一般的に知られている。しかし、このスクリーン印刷による電極形成では、印刷のかすれによって電極に一部欠損等が生じることがある。そして、上述したように、副電極部の幅が主電極部と比べて小さいことから、上記の印刷のかすれによって、特に副電極部において断線等の導通不良が生じやすい。
本発明の目的は、幅の小さい副電極部における導通信頼性を高めることである。
第1の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、圧電層の一方の面に第1電極を形成する第1電極形成工程と、前記圧電層の他方の面に、前記圧電層を挟んで前記第1電極と対向する第2電極を形成する第2電極形成工程と、を備え、
前記第1電極形成工程は、前記圧電層の前記一方の面において、主電極部と、前記主電極部から前記圧電層の前記一方の面に沿った所定方向に延び、且つ、前記所定方向と直交する方向の幅が前記主電極部よりも小さい副電極部とを有する電極本体層を、スクリーン印刷によって形成する、電極本体層形成工程と、前記圧電層の前記一方の面において、前記副電極部に重なるように、部分電極層をスクリーン印刷によって形成する、部分電極層形成工程と、を含むことを特徴とするものである。
本発明では、第1電極形成工程において、電極本体層をスクリーン印刷で形成し、また、この電極本体層の副電極部に重なるように、部分電極層を別のスクリーン印刷工程にて形成する。電極本体層と部分電極層をそれぞれスクリーン印刷で形成したときに、仮に、それぞれの工程で印刷のかすれが生じたとしても、全く同じ位置でかすれが生じる確率は低い。つまり、第1電極を2回の印刷工程で形成することで、1回目のスクリーン印刷でかすれが生じたとしても、2回目のスクリーン印刷で、1回目の印刷かすれによる欠損部分を補うことができる。従って、幅の小さい副電極部において断線が生じにくくなり、副電極部の導通信頼性が高まる。
第2の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第1の発明において、前記部分電極層形成工程において、前記部分電極層の、前記所定方向における長さが、前記副電極部の長さよりも短く、前記部分電極層の、前記所定方向と直交する方向の幅が、前記副電極部の幅よりも小さくなるように、前記部分電極層を形成することを特徴とするものである。
本発明によれば、部分電極層の、副電極部に対する位置が多少ずれても、部分電極層が電極本体層からはみださず、第1電極全体の電極面積が増加しない。従って、圧電層の第1電極と第2電極とに挟まれた部分である、活性部の静電容量は大きくならない。
第3の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第1又は第2の発明において、前記部分電極層形成工程において、前記部分電極層が、前記副電極部から、前記主電極部と前記副電極部との接続部分を跨いで、前記主電極部の一部分にまで延びるように、前記部分電極層を形成することを特徴とするものである。
主電極部と副電極部の接続部分では、電極幅が急激に変化するが故に応力が集中しやすい。本発明では、部分電極層を、副電極部から上記接続部分を跨いで主電極部の一部分まで延びるように形成するため、接続部分における破断が生じにくくなる。
第4の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第3の発明において、前記部分電極層形成工程において、前記部分電極層の、前記副電極部から前記接続部分を跨いで前記主電極部まで延びた部分の先端が、前記主電極部の中央部までは達しないように、前記部分電極層を形成することを特徴とするものである。
本発明では、部分電極層の先端が、主電極部の中央部までは達していないため、部分電極層によって、活性部の変形が阻害されにくくなる。
第5の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第3又は第4の発明において、前記部分電極層形成工程において、スクリーン印刷における位置ズレの許容公差をAとしたときに、前記部分電極層の前記先端が、前記所定方向において前記接続部分から前記許容公差Aの2倍の距離だけ離れた位置にくるように、前記部分電極層を形成することを特徴とするものである。
本発明では、部分電極層の、2つの電極部の接続部分を跨いで主電極部側へ延びる部分を、接続部分から、スクリーン印刷の位置ズレの許容公差Aの2倍の距離だけ離れた位置まで延びるように形成する。これにより、仮に、部分電極層がその正規の位置に対して前記所定方向における一方側にずれ、且つ、副電極部がその正規の位置に対して前記所定方向における他方側にずれても、それぞれの位置ズレ量が共に、許容公差Aの範囲内であれば、前記所定方向における、部分電極層の副電極部に対する位置ズレ量は、2A以下となる。つまり、本発明のように、部分電極層の先端が、接続部分から2Aの距離だけ離れた位置にあれば、部分電極層の先端位置が副電極部側にずれても、部分電極層が接続部分まで必ず形成されることになり、副電極部における断線が確実に防止される。また、逆に、部分電極層の先端位置が主電極部側にずれた場合でも、部分電極層の、接続部分を跨いで主電極部へ延びる部分の先端が、接続部分から最大でも、前記の2Aの2倍、即ち、許容公差Aの4倍離れるだけである。従って、部分電極層によって、活性部の変形が阻害されにくい。
第6の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第1〜第5の何れかの発明において、前記電極本体層形成工程及び前記部分電極層形成工程において、前記電極本体層と前記部分電極層とを、同じ電極材料で形成することを特徴とするものである。
電極本体層と部分電極層とで電極材料を変える必要がないことから、材料を変えるための手間等が省けるため、第1電極形成工程が簡単になる。また、電極本体層と部分電極層とが同じ材料で形成されていると、2つの層の密着性が良好であり、剥離が生じにくい。
第7の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第1〜第6の何れかの発明において、前記電極本体層形成工程において、前記副電極部の前記所定方向における長さが、前記所定方向と直交する方向における幅の2倍以上であることを特徴とするものである。
副電極部に配線部材を接合したときに、接合材料が主電極部まで流れ出しにくくするため、副電極部は長いことが好ましい。一方で、第1電極全体の電極面積を小さく抑えるために、副電極部の幅は小さくすることが好ましい。
第8の発明の圧電アクチュエータは、前記圧力室を覆うように配置された圧電層と、前記圧電層の一方の面に設けられた第1電極と、前記圧電層の他方の面に前記圧電層を挟んで前記第1電極と対向するように設けられた第2電極と、を備え、
前記第1電極は、主電極部と、前記主電極部から前記圧電層の前記一方の面に沿った所定方向に延び、且つ、前記所定方向と直交する方向の幅が前記主電極部よりも小さい副電極部と、を有する、電極本体層と、前記副電極部に重ねて形成された部分電極層と、を備えていることを特徴とするものである。
本発明では、第1電極の電極本体層の、主電極部よりも幅の小さい副電極部に対して、部分電極層が重ねて形成されているため、幅の小さい副電極部において断線が生じにくくなり、副電極部における導通信頼性が高まる。
第9の発明の液体吐出装置は、液体を吐出するノズル、及び、前記ノズルに連通する圧力室を有する流路構造体と、前記流路構造体に設けられた圧電アクチュエータと、を備え、前記圧電アクチュエータは、前記圧力室を覆うように配置された圧電層と、前記圧電層の前記流路構造体と反対側の面に設けられた第1電極と、前記圧電層の前記流路構造体側の面に前記第1電極と対向するように設けられた第2電極と、を備え、
前記第1電極は、前記圧電層の前記流路構造体と反対側の面の、前記圧力室と対向する領域に配置された主電極部と、前記主電極部から前記圧力室と対向しない領域まで、前記圧電体の前記流路構造体と反対側の面に沿った所定方向に延び、且つ、前記所定方向と直交する方向の幅が前記主電極部よりも小さい副電極部と、を有する、電極本体層と、前記副電極部に重ねて形成された部分電極層と、を備えていることを特徴とするものである。
本発明では、第1電極の電極本体層の、主電極部よりも幅の小さい副電極部に対して、部分電極層が重ねて形成されているため、幅の小さい副電極部において断線が生じにくくなり、副電極部における導通信頼性が高まる。
第1電極の電極本体層をスクリーン印刷で形成する。また、この電極本体層の、主電極部よりも幅の小さい副電極部に重なるように、部分電極層をスクリーン印刷で形成する。第1電極を2回の印刷工程で形成することで、1回目のスクリーン印刷でかすれが生じたとしても、2回目のスクリーン印刷で、1回目の印刷かすれによる欠損部分を補うことができる。従って、幅の小さい副電極部において断線が生じにくくなり、副電極部における導通信頼性が高まる。
本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略平面図である。 インクジェットヘッドの平面図である。 図2の一部拡大図である。 図3のIV-IV線断面図である。 図3のV-V線断面図である。 圧電体の3枚の圧電層のそれぞれについての上面図であり、(a)は最上層の圧電層、(b)は中間層の圧電層、(c)は最下層の圧電層をそれぞれ示す。 圧電アクチュエータの製造工程を説明する図である。 焼成時における、主電極部と副電極部の接続部分の応力集中を説明する図である。 変更形態の、個別電極形成工程を説明する図である。 別の変更形態のインクジェットヘッドの一部拡大図である。 さらに別の変更形態のインクジェットヘッドを示す図であり、(a)はインクジェットヘッドの一部拡大図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、液体吐出装置としてのインクジェットプリンタに本発明を適用した一例である。図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略平面図である。尚、以下では、図1の紙面手前側を上方、紙面向こう側を下方と定義して、適宜、「上」「下」の方向語を使用して説明する。図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、プラテン2と、キャリッジ3と、インクジェットヘッド4と、搬送機構5等を備えている。
プラテン2の上面には、被記録媒体である記録用紙100が載置される。プラテン2の上方には、図1に示す走査方向に沿って平行に延びる2本のガイドレール10,11が設けられている。キャリッジ3は、2本のガイドレール10,11に取り付けられている。また、キャリッジ3には無端ベルト14が連結されている。キャリッジ駆動モータ15によって無端ベルト14が駆動されることで、キャリッジ3は2本のガイドレール10,11にガイドされながら走査方向に往復移動する。
インクジェットヘッド4はキャリッジ3に搭載されており、キャリッジ3とともに走査方向に移動する。インクジェットヘッド4の、図1における紙面向こう側の面である下面には、搬送方向に沿って4列に配列された複数のノズル25が形成されている。尚、インクジェットヘッド4の構成の詳細については後述する。
プリンタ1のプリンタ本体1aにはカートリッジホルダ9が設けられている。カートリッジホルダ9には、ブラック、イエロー、シアン及びマゼンタの、4色のインクがそれぞれ貯留された4つのインクカートリッジ17が装着される。キャリッジ3に搭載されたインクジェットヘッド4とカートリッジホルダ9は、図示しないチューブによって接続されている。4つのインクカートリッジ17にそれぞれ貯留された4色のインクは、チューブを介してインクジェットヘッド4に供給される。インクジェットヘッド4は、キャリッジ3と一体的に走査方向に移動しつつ、複数のノズル25から、プラテン2に載置された記録用紙100に対して4色のインクを吐出する。
搬送機構5は、搬送方向にプラテン2を挟むように配置された2つの搬送ローラ18,19を有する。2つの搬送ローラ18,19は、図示しないモータによって同期して駆動される。搬送機構5は、2つの搬送ローラ18,19によって、プラテン2に載置された記録用紙100を搬送方向に搬送する。
次に、インクジェットヘッド4について説明する。図2は、インクジェットヘッドの平面図である。図3は、図2の一部拡大図である。図4は、図3のIV-IV線断面図、図5は、図3のV-V線断面図である。尚、図2、図4では、圧電アクチュエータ21に接続されるCOF63を二点鎖線で概略的に示している。また、図5では、図4においては示されている、圧力室26よりも下側の流路構造の図示が省略されている。図2〜図5に示すように、インクジェットヘッド4は、流路ユニット20と圧電アクチュエータ21を備えている。流路ユニット20は、それぞれ流路形成孔が形成された7枚のプレート31〜37が互いに積層されることによって形成されている。これら7枚のプレート31〜37が積層されたときにそれぞれの流路形成孔が連通することによって、流路ユニット20には、以下に述べるようなインク流路が形成されている。
図2に示すように、流路ユニット20の上面には、4つのインクカートリッジ17(図1参照)と接続される4つのインク供給孔23が形成されている。流路ユニット20の内部には、4つのインク供給孔23にそれぞれ接続された4本のマニホールド24が形成されている。4本のマニホールド24には、4つのインクカートリッジ17の4色のインクがそれぞれ供給される。また、4本のマニホールド24は、それぞれ搬送方向に延在している。
また、流路ユニット20は、最下層のプレート37に形成された複数のノズル25と、最上層のプレート31に形成された複数の圧力室26を有する。図2に示すように、流路ユニット20の下面(図3の紙面向こう側の面)において、複数のノズル25は搬送方向に沿って配列され、4本のマニホールド24にそれぞれ対応した4列のノズル列を構成している。各圧力室26は、走査方向に長い、略矩形の平面形状を有する孔である。
複数の圧力室26は、流路ユニット20の上面に沿って平面的に配置されている。流路ユニット20の上面に接合される圧電アクチュエータ21によって、複数の圧力室26は上方から覆われている。また、複数の圧力室26は、4本のマニホールド24、及び、4列のノズル列に対応して、4列に配列されている。各圧力室26は、対応するマニホールド24と絞り流路27を介して連通している。一方で、各圧力室26は、対応するノズル25と連通流路28を介して連通している。以上より、図4に示すように、流路ユニット20には、マニホールド24から分岐して、絞り流路27、圧力室26、及び、連通流路28を経てノズル25に至る、個別インク流路が複数形成されている。
圧電アクチュエータ21は、流路ユニット20の上面に、複数の圧力室26を覆うように接合されている。圧電アクチュエータ21は、3枚の圧電層41〜43からなる圧電体40と、複数の個別電極44、第1共通電極45、及び、第2共通電極46を備えている。図6は、圧電体の3枚の圧電層のそれぞれについての上面図であり、(a)は最上層の圧電層、(b)は中間層の圧電層、(c)は最下層の圧電層をそれぞれ示す。尚、図6(a)〜(c)には、ノズル25及び圧力室26と、個別電極44、第1共通電極45、及び、第2共通電極46との位置関係がわかりやすくなるように、複数のノズル25と複数の圧力室26がそれぞれ破線で示されている。
圧電体40を構成する3枚の圧電層41〜43は、それぞれ、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料からなる。圧電層41〜43は、互いに積層された状態で、複数の圧力室26を覆うように流路ユニット20の上面に平面的に配置されている。
図3〜図6に示すように、複数の個別電極44は、最上層の圧電層41の上面に配置されている。第1共通電極45は、最上層の圧電層41と中間層の圧電層42との間に配置されている。第2共通電極46は、中間層の圧電層42と最下層の圧電層43との間に配置されている。3種類の電極44,45,46には、COF(Chip On Film)63に実装されたドライバIC62(図2参照)によって所定の電位が印加される。
図2、図6(a)に示すように、複数の個別電極44は、複数の圧力室26に対応して搬送方向に沿って配列され、4列の個別電極列を構成している。図3、図4に示すように、各個別電極44は、電極本体層53と部分電極層54の、2層の電極層からなる。
電極本体層53は、AgやAg−Pd等の電極材料からなり、スクリーン印刷によって形成される。図3、図4、図6(a)に示すように、電極本体層53は、主電極部53aと副電極部53bとを有する。主電極部53aは、圧力室26と同じく、走査方向に長い略矩形の平面形状を有し、対応する圧力室26のほぼ全域と対向している。副電極部53bは、圧電層41の上面において、主電極部53aの長手方向一端部から、走査方向に沿って、圧力室26と対向しない領域まで延びている。図3に示すように、副電極部53bの、その延在方向(ここでは走査方向)と直交する方向の幅W2は、主電極部53aの幅W1よりもかなり小さくなっている。また、副電極部53bの幅W2は、この副電極部53bの延在方向の長さL2よりも小さい。具体的には、副電極部53bの長さL2は、幅W2の2倍以上である。つまり、副電極部53bは走査方向に細長く延びた形状を有する。
副電極部53bの、主電極部53aとは反対側の端部には、金などの導電性材料からなるバンプ57が設けられている。図4に示すように、このバンプ57には、配線部材であるCOF63が押し付けられて接合される。これにより、副電極部53bは、バンプ57を介して、COF63に形成された配線と電気的に接続される。また、図3、図4に示すように、副電極部53bの端部に設けられたバンプ57は、圧力室26と対向していない。そのため、COF63をバンプ57に強い力で押し付けながら、異方性導電性材料やハンダ等の導電性接合材で確実に接合することができ、COF63とバンプ57との間の接続信頼性が向上する。
部分電極層54は、電極本体層53と同じく、AgやAg−Pd等の電極材料からなり、スクリーン印刷で形成される。図4に示すように、部分電極層54は、圧電層41の上面と電極本体層53の副電極部53bとの間に介在している。また、図3に示すように、部分電極層54は、副電極部53bと同様に、走査方向に細長く延びた形状を有し、副電極部53bのほぼ全域と重なるように形成されている。但し、部分電極層54の長さLpは、副電極部53bの長さL2よりも少し短く、且つ、部分電極層54の幅Wpは、副電極部53bの幅W2よりも少し小さい。
また、図3に示すように、部分電極層54は、副電極部53bと重なる領域から、主電極部53aと副電極部53bの接続部分53c(図3に二点鎖線の太線で示す)を跨いで、主電極部53aと重なる領域まで延びている。但し、部分電極層54は、主電極部53aの、副電極部53bに近接するほんの一部分に入り込んでいるに過ぎず、主電極部53aの、面積中心Cを含む中央部までは達していない。
図4、図5、図6(b)に示すように、第1共通電極45は、複数の圧力室26にそれぞれ対応した複数の第1定電位電極部45aと、複数の第1定電位電極部45aを互いに導通させる第1接続部45bを有する。各第1定電位電極部45aは矩形の平面形状を有し、対応する圧力室26の、搬送方向における中央部と対向している。複数の第1定電位電極部45aも、個別電極44と同様に、複数の圧力室26に対応して4列に配列されている。後述するように、第1共通電極45の電位は、ドライバIC62(図2参照)により、所定の駆動電位に維持される。
図4、図5、図6(c)に示すように、第2共通電極46は、複数の圧力室26にそれぞれ対応した複数の第2定電位電極部46aと、複数の第2定電位電極部46aを互いに導通させる第2接続部46bを有する。各第2定電位電極部46aはU字形の平面形状を有し、圧力室26の搬送方向における両端部と対向している。複数の第2定電位電極部46aも、個別電極44と同様に、複数の圧力室26に対応して4列に配列されている。後述するように、第2共通電極46の電位は、ドライバIC62(図2参照)により、グランド電位に維持される。
図5に示すように、圧力室26のほぼ全域を覆う個別電極44の主電極部53aは、搬送方向における中央部において、第1定電位電極部45aと対向する。つまり、最上層の圧電層41の、圧力室26の中央部と対向する部分が、個別電極44と第1定電位電極部45aに挟まれている。以下、圧電層41の、個別電極44と第1定電位電極部45aに挟まれた上記部分を第1活性部R1と呼ぶ。第1活性部R1は、圧電体40の厚み方向に分極されている。
また、個別電極44の主電極部53aは、搬送方向における両端部において、第2定電位電極部46aと対向する。つまり、上側2枚の圧電層41,42の、圧力室26の搬送方向両端部と対向する部分が、個別電極44と第2定電位電極部46aに挟まれている。以下、圧電層41,42の、個別電極44と第2定電位電極部46aに挟まれた上記部分を第2活性部R2と呼ぶ。第2活性部R2も、第1活性部R1と同様、圧電体40の厚み方向に分極されている。
図2、図6(a)に示すように、最上層の圧電層41の上面には、第1共通電極45用の第1接続端子47と、第2共通電極46用の第2接続端子48が設けられている。第1接続端子47は、圧電層41に形成された複数のスルーホール50を介して第1共通電極45の第1接続部45bと導通している。第2接続端子48は、圧電層41に形成された複数のスルーホール51、及び、圧電層42に形成された複数のスルーホール52を介して、第2共通電極46の第2接続部46bと導通している。
図2、図6(a)に示すように、最上層の圧電層41の上面に配置された、複数の個別電極44の副電極部53b、第1接続端子47、及び、第2接続端子48には、COF63との接続のためのバンプ57,58,59がそれぞれ設けられている。
上記の圧電アクチュエータは、COF63を介して、プリンタ1の、図示しない制御基板と接続されている。より詳細には、COF63は、図2、図4に示すように、圧電アクチュエータ21を上方から覆うように配置され、異方性導電性材料やハンダなどの導電性接合材によって、複数のバンプ57,58,59と接合される。これにより、圧電体40の上面の複数の個別電極44の副電極部53b、第1共通電極45用の第1接続端子47、及び、第2共通電極46用の第2接続端子48が、バンプ57,58,59を介して、COF63に形成された配線(図示省略)と電気的に接続される。
図2に示すように、COF63にはドライバIC62が設けられている。ドライバIC62は、COF63に形成された配線を介して、個別電極44、第1共通電極45、及び、第2共通電極46と接続されている。ドライバIC62は、複数の個別電極44のそれぞれに印加する電位を、所定の駆動電位とグランド電位との間で切り換える。また、ドライバIC62は、第1共通電極45の電位を、常時、駆動電位に維持する一方で、第2共通電極46の電位については、常時、グランド電位に維持する。
次に、ドライバIC62によって個別電極44の電位が切り換えられたときの、圧電アクチュエータ21の動作について、図5を参照して説明する。
個別電極44の電位がグランド電位である状態では、個別電極44と第1共通電極45の第1定電位電極部45aとの間に電位差が生じて、第1活性部R1に、第1定電位電極部45aから個別電極44に向かう、厚み方向の電界が作用する。このとき、第1活性部R1に作用する電界の方向と分極方向とが平行となることから、第1活性部R1が厚み方向に延びて面方向に収縮する。圧力室26の中央部と対向する第1活性部R1の収縮により、圧電体40が圧力室26側に凸となるように撓んだ状態となる。尚、このとき、個別電極44と第2共通電極46の第2定電位電極部46aとの間には電位差が生じないことから、第2活性部R2には面方向の収縮は生じていない。
この状態から、個別電極44の電位が駆動電位に切り換えられると、個別電極44と第1定電位電極部45aとの間に電位差がなくなり、第1活性部R1の収縮が解消される。これにより、圧電体40がほぼ平坦な状態となり、上記の個別電極44に駆動電位が印加されている場合と比べて圧力室26の容積が増加する。尚、個別電極44と第2定電位電極部46aとの間においては逆に電位差が発生し、第2活性部R2には、個別電極44から第2定電位電極部46aに向かう電界が作用する。この電界の方向は第2活性部R2の分極方向と平行となることから、第2活性部R2は面方向に収縮することになる。
このように、個別電極44の電位を駆動電位とグランド電位との間で切り換えると、圧力室26と対向する領域において圧電体40が上下に変位するため圧力室26の容積が変化する。この容積変化によって、圧力室26内のインクに圧力(吐出エネルギー)が付与され、圧力室26に連通するノズル25からインクが吐出される。
また、個別電極44の電位がグランド電位から駆動電位に切り換えられて、第1活性部R1の収縮が解消するときに、第2活性部R2は逆に面方向に収縮する。つまり、第1活性部R1の収縮解消による伸びと、第2活性部R2の収縮とが相殺される。逆に、個別電極44の電位が駆動電位からグランド電位に切り換えられる場合では、第1活性部R1の収縮と、第2活性部R2の収縮解消による伸びとが相殺される。つまり、個別電極44の電位が変化したときの、圧電体40の、1つの圧力室26を覆う部分全体で、面方向の収縮量の変化が小さく抑えられる。これにより、ある圧力室26における圧電体40の変形が、隣接する別の圧力室26に伝わる現象、いわゆるクロストークが抑制される。
次に、上記のインクジェットヘッド4の製造方法について説明する。本実施形態では、流路ユニット20と圧電アクチュエータ21をそれぞれ別々に作製し、その後、両者を接合するという方法を採用する。
(流路ユニット製造工程)
複数枚のプレートが積層された構造を有する流路ユニット20の作製については、従来から知られている技術であり、図4を参照して簡単に述べる。まず、流路ユニットを構成するプレート31〜37に、それぞれ、ノズル25、圧力室26、マニホールド24等の流路部分となる孔をエッチングやレーザー加工等の公知の加工技術を用いて形成する。次に、プレート31〜37を互いに積層して熱硬化性接着剤等で接合することにより、流路ユニット20を得る。
(アクチュエータ製造工程)
図7は、圧電アクチュエータの製造工程を説明する図である。まず、それぞれ圧電層41,42,43となる3枚のグリーンシートを準備する。図7(a)に示すように、圧電層41には、個別電極44、第1接続端子47、及び、第2接続端子48(図6(a)参照)を含む導電パターンを形成する。図7(b)に示すように、圧電層42には、第1共通電極45を形成する。図7(c)に示すように、圧電層43には、第2共通電極46を形成する。これら3枚の圧電層41〜43への電極等の形成は、それぞれスクリーン印刷によって行う。尚、上記では、3枚の圧電層41,42,43に3種類の電極45、46,47をそれぞれ形成するとしているが、1枚の圧電層の両面、より具体的には、圧電層41又は圧電層42の何れか一方の両面に、2種類の電極を形成してもよい。例えば、圧電層41の2つの面に、個別電極44と第1共通電極45をそれぞれ形成してもよい。圧電層41〜43への電極の形成が完了したら、図7(d)に示すように、圧電層41〜43を積層してから、所定温度で所定時間加熱する。これにより、圧電層41〜43及び3種類の電極44〜46の焼成を同時に行う。
図7(a)に示す個別電極44の形成工程について、さらに詳細に説明する。まず、未焼成のグリーンシートである圧電層41の一表面に、AgやAg−Pd等の電極材料を用いて、スクリーン印刷により部分電極層54を形成する。部分電極層54は、次の工程で形成される電極本体層53の、副電極部53bが配置される領域に形成する。また、図3に示すように、部分電極層54は、後で形成する副電極部53bよりも長さが短く、且つ、幅も小さくなるように形成する。さらに、部分電極層54は、電極本体層53の主電極部53aと副電極部53bの接続部分53cが形成される位置(図7に二点鎖線P1で示す位置)を跨いで、図中左側の主電極部53aが形成される領域まで延びるように形成する。但し、部分電極層54が、二点鎖線P1で示す位置を跨いで、主電極部53aのほんの一部分のみと重なるように、部分電極層54の、主電極部53aの形成領域側へ延びる部分の長さは短くしておく。具体例を挙げると、図3において、部分電極層54の接続部分53cを超えて主電極部53a側へ延びる部分の長さΔLは、主電極部53aの長さL1の5%程度とする。
次に、圧電層の一表面に、AgやAg−Pd等の電極材料を用いて、電極本体層53をスクリーン印刷で形成する。ここでは、電極本体層53を、副電極部53bが部分電極層54に重なり、且つ、主電極部53aと副電極部53bの接続部分53cが二点鎖線P1の位置にくるように形成する。また、副電極部53bは、部分電極層54よりも一回り大きく形成して、部分電極層54を電極本体層53で完全に覆う。図3に示すように、部分電極層54の長さLp及び幅Wpは、それぞれ副電極部53bの長さL2及び幅W2よりも小さいため、部分電極層54と電極本体層53の相対位置が少しずれたとしても、副電極部53bから部分電極層54がはみ出すことがない。また、先の工程で、部分電極層54を、二点鎖線P1の位置を跨ぐように形成しているため、部分電極層54は、主電極部53aと副電極部53bの接続部分53cを跨いで主電極部53aの一部分まで延びることになる。
尚、電極本体層53と部分電極層54は、同じ電極材料で形成してもよいし、異なる電極材料で形成してもよい。但し、2つの電極層53,54を同じ電極材料で形成する方が、材料を変えるための手間等が省けるため、個別電極44の形成工程が簡単になる。また、電極本体層53と部分電極層54とが同じ材料で形成されていると、2つの層の密着性が良好であり、剥離が生じにくいという利点もある。
(接合工程)
流路ユニット20と圧電アクチュエータ21の作製が完了したら、圧電アクチュエータ21を、流路ユニット20の上面に熱硬化性接着剤を用いて貼り付ける。この接合後、圧電アクチュエータ21の副電極部53bの先端部に、バンプ57(図4参照)をスクリーン印刷で形成する。そして、圧電アクチュエータ21の複数のバンプ57にCOF63を押し付けながら、異方性導電性材料やハンダなどの導電性接合材によって、COF63とバンプ57とを接合して導通させる。
以上説明したように、本実施形態では、個別電極44の形成工程において、電極本体層53をスクリーン印刷で形成し、また、この電極本体層53の副電極部53bに重なるように、部分電極層54を別のスクリーン印刷工程にて形成する。ここで、スクリーン印刷による電極形成では、印刷のかすれによって電極の一部欠損が生じる虞がある。しかしながら、仮に、各々の印刷工程で印刷のかすれが生じたとしても、2回の印刷工程で、全く同じ位置でかすれが生じる確率は低い。つまり、個別電極44を2回の印刷工程で形成することで、1回目のスクリーン印刷でかすれが生じたとしても、2回目のスクリーン印刷で、1回目の印刷かすれによる欠損部分を補うことができる。従って、印刷のかすれが生じたとしても幅の小さい副電極部53bに断線が生じにくくなり、副電極部53bにおける導通信頼性が高まる。
尚、個別電極44をCOF63と接続するための、副電極部53bの面積が大きいと、その分、個別電極44全体の電極面積が大きくなる。従って、個別電極44と第1共通電極45とに挟まれる、第1活性部R1の静電容量が大きくなる。第1活性部R1の静電容量が大きくなると、第1活性部R1を変形させたときの発熱量が大きくなるし、電力消費が無駄に増えるという問題もある。しかし、副電極部53bの面積を小さくするために、副電極部53bの長さを短くすると、副電極部53bにCOF63を接合したときに、導電性接合材が主電極部53aに流れ出して第1活性部R1の変形を阻害する虞がある。そこで、本実施形態では、副電極部53bが、その幅が長さよりも小さい細長い形状となっている。具体的には、副電極部53bの長さL2が、幅W2の2倍以上である。このように、副電極部53bの幅が小さくなっているが故に、主電極部53aと比べて、副電極部53bにおいて断線が生じやすくなると言える。
また、本実施形態では、部分電極層54の長さLpが副電極部53bの長さL2よりも短く、且つ、部分電極層54の幅Wpが副電極部53bの幅W2よりも小さくなるように、部分電極層54を形成する。これにより、部分電極層54の、副電極部53bに対する位置が多少ずれても、部分電極層54が電極本体層53からはみださない。つまり、個別電極44全体の電極面積が増加しないため、第1活性部R1の静電容量が大きくならない。
電極本体層53と部分電極層54との位置ズレは、主に、圧電体40(圧電層41〜43)と印刷用スクリーン製版との間の位置ズレに起因する。また、圧電体40と印刷用スクリーン製版との位置ズレの要因としては、製版の位置決めのためのマークを画像認識する際の誤差や、製版を何度も使用することによる製版自体の変形、あるいは、印刷時の液体の滲み等を挙げることができる。
主電極部53aと副電極部53bの接続部分53cでは、電極幅が急激に変化している。そのため、第1活性部R1及び第2活性部R2の収縮等によって力が作用したときに、接続部分53cに応力が集中して破断する虞がある。また、以下のように、圧電層41〜43の焼成時にも、接続部分53cにおいて破断する場合がある。図8は、焼成時における、主電極部と副電極部の接続部分の応力集中を説明する図である。説明の便宜上、図8では、個別電極44の全領域を、その短手方向において、主電極部53aから副電極部53bまで繋がった領域Xと、主電極部53aのみが形成されている領域Yとに分ける。ここで、圧電層41〜43及び電極44〜46の焼成時には、熱膨張係数の大きい金属材料を含む電極44〜46が大きく収縮する。このとき、領域Xと領域Yとで、図中左右方向における電極長さが異なることにより、領域Xと領域Yとの間で、左右方向における収縮量に差が出るため、領域Xと領域Yの境目に位置する、主電極部53aと副電極部53bの接続部分53cに応力が集中して破断する虞がある。
この点、本実施形態では、部分電極層54を、副電極部53bから上記接続部分53cを跨いで主電極部53aの一部分まで延びるように形成するため、接続部分53cにおける破断が生じにくくなる。一方で、部分電極層54の、接続部分53cを跨いで主電極部53aへ延びる部分の先端は、主電極部53aのほんの一部分に入り込んでいるだけであり、主電極部53aの中央部までは達していない。従って、部分電極層54によって、活性部R1,R2の変形が阻害されにくい。
また、電極本体層53に部分電極層54を重ね合わせることにより、次のような効果も得られる。圧電層及び電極の焼成時に、圧電層と電極との間の熱膨張係数の違いによって、電極に挟まれる活性部には残留圧縮応力が生じる。この残留圧縮応力は活性部の圧電特性を低下させることが知られている。この点、本実施形態では、図3に示すように、副電極部53bと重なる部分電極層54の大部分は、圧力室26の外側に位置している。つまり、部分電極層54を設けることによって、圧力室26の外側の領域における電極材料の量が増える。そのため、焼成時に、上記の圧力室26の外側にある電極材料の収縮量が大きくなる。これにより、活性部R1、R2のうちの、圧力室26と対向する部分に、外側から引っ張るような力が作用する。この作用により、活性部R1,R2の、圧力室26と対向する部分の残留圧縮応力が低減され、圧電特性の低下が抑えられる。
尚、本実施形態の個別電極44が、本発明の「第1電極」に相当する。本実施形態の第1共通電極41及び第2共通電極42が、本発明の「第2電極」に相当する。本実施形態の流路ユニット20が、本発明の「流路構造体」に相当する。
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]前記実施形態では、圧電層41の上面に部分電極層54を形成してから、その上に電極本体層53を形成していたが、図9に示すように、電極本体層53を先に形成してから部分電極層54を形成してもよい。つまり、電極本体層53の副電極部53bの上に、部分電極層54が積層されてもよい。
2]副電極部53bに重なる部分電極層54の形状、形成位置等は、例えば、以下のように変更可能である。
幅の小さい副電極部53bにおける断線の発生を確実に防止するには、部分電極層54の、主電極部53a側の端は少なくとも、主電極部53aと副電極部53bとの接続部分53cまで達していることが好ましい。この観点では、図10(a)に示すように、部分電極層54の、主電極部53a側の先端が、前記接続部分53cにちょうど位置するように、部分電極層54を形成してもよい。
但し、スクリーン印刷によって電極本体層53及び部分電極層54を形成する際に、それぞれの層の位置がずれることがある。そのため、図10(a)のように、部分電極層54の先端位置が接続部分53cの位置にくるように、部分電極層54を形成しても、スクリーン印刷での位置ズレにより、実際に形成された部分電極層54が接続部分53cまで達しないこともあり得る。そこで、図10(b)に示すように、スクリーン印刷における位置ズレの許容公差をAとしたときに、部分電極層54の主電極部53a側の先端が、接続部分53cから許容公差Aの2倍の距離だけ離れた位置にくるように、部分電極層54を形成してもよい。
この場合、仮に、部分電極層54がその正規の位置に対して図中左右方向の一方側にずれ、且つ、副電極部53bがその正規の位置に対して左右方向の他方側にずれても、それぞれの位置ズレ量が共に、許容公差Aの範囲内であれば、左右方向における、部分電極層54の副電極部53bに対する位置ズレ量は、2A以下となる。つまり、部分電極層54の先端が、接続部分53cから2Aの距離だけ離れた位置にあれば、部分電極層54の先端位置が副電極部53b側にずれても、部分電極層54が接続部分53cまで必ず形成されることになり、副電極部53bにおける断線が確実に防止される。また、逆に、部分電極層54の先端位置が主電極部53a側にずれた場合でも、部分電極層54の、接続部分53cを跨いで主電極部53aへ延びる部分の先端が、接続部分53cから最大でも、前記の2Aの2倍、即ち、許容公差Aの4倍離れるだけである。従って、部分電極層54によって、活性部の変形が阻害されにくい。
また、図10(c)に示すように、部分電極層54を、副電極部53bの、長手方向における途中部とのみ重なるように形成してもよい。この場合、部分電極層54の主電極部53a側の端が、接続部分53cまで達していない。また、図示は省略するが、部分電極層54の幅と長さの少なくとも一方が、副電極部53bと比べて多少大きくてもよい。
3]前記実施形態の圧電アクチュエータは、個別電極44と2種類の共通電極45,46を有するものであったが、本発明の適用対象は、上記構成の圧電アクチュエータには限られない。例えば、図11に示す圧電アクチュエータは、圧電層81,82と、圧電層81を挟んで対向する個別電極84と1種類の共通電極85を有する。そして、個別電極84が、主電極部93aと副電極部93bとを有する電極本体層93と、部分電極層94の2層で構成されている。
以上説明した実施形態及びその変更形態は、本発明を、記録用紙にインクを吐出するインクジェットヘッドの圧電アクチュエータに適用したものであるが、液体吐出以外の用途に使用するアクチュエータにも本発明を適用することができる。
4 インクジェットヘッド
20 流路ユニット
21 圧電アクチュエータ
25 ノズル
26 圧力室
41,42,43 圧電層
44 個別電極
45 第1共通電極
46 第2共通電極
53 電極本体層
53a 主電極部
53b 副電極部
53c 接続部分
54 部分電極層
81,82 圧電層
84 個別電極
85 共通電極
93 電極本体層
93a 主電極部
93b 副電極部
94 部分電極層

Claims (11)

  1. 圧電層の一方の面に第1電極を形成する第1電極形成工程と、
    前記圧電層の他方の面に、前記圧電層を挟んで前記第1電極と対向する第2電極を形成する第2電極形成工程と、を備え、
    前記第1電極形成工程は、
    前記圧電層の前記一方の面において、主電極部と、前記主電極部から前記圧電層の前記一方の面に沿った所定方向に延び、且つ、前記所定方向と直交する方向の幅が前記主電極部よりも小さい副電極部とを有する電極本体層を、スクリーン印刷によって形成する、電極本体層形成工程と、
    前記圧電層の前記一方の面において、前記副電極部に重なるように、部分電極層をスクリーン印刷によって形成する、部分電極層形成工程と、
    を含み、
    前記部分電極層形成工程において、
    前記部分電極層が、前記副電極部から、前記主電極部と前記副電極部との接続部分を跨いで、前記主電極部の一部分にまで延びるように、前記部分電極層を形成することを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  2. 前記部分電極層形成工程において、
    前記部分電極層の、前記副電極部から前記接続部分を跨いで前記主電極部まで延びた部分の先端が、前記主電極部の中央部までは達しないように、前記部分電極層を形成することを特徴とする請求項に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  3. 前記部分電極層形成工程において、
    スクリーン印刷における位置ズレの許容公差をAとしたときに、前記部分電極層の前記先端が、前記所定方向において前記接続部分から前記許容公差Aの2倍の距離だけ離れた位置にくるように、前記部分電極層を形成することを特徴とする請求項又はに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  4. 前記部分電極層形成工程において、
    前記部分電極層の、前記所定方向における長さが、前記副電極部の長さよりも短く、
    前記部分電極層の、前記所定方向と直交する方向の幅が、前記副電極部の幅よりも小さくなるように、前記部分電極層を形成することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  5. 前記電極本体層形成工程において、前記副電極部の前記所定方向における長さが、前記所定方向と直交する方向における幅の2倍以上であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  6. 圧電層の一方の面に第1電極を形成する第1電極形成工程と、
    前記圧電層の他方の面に、前記圧電層を挟んで前記第1電極と対向する第2電極を形成する第2電極形成工程と、を備え、
    前記第1電極形成工程は、
    前記圧電層の前記一方の面において、主電極部と、前記主電極部から前記圧電層の前記一方の面に沿った所定方向に延び、且つ、前記所定方向と直交する方向の幅が前記主電極部よりも小さい副電極部とを有する電極本体層を、スクリーン印刷によって形成する、電極本体層形成工程と、
    前記圧電層の前記一方の面において、前記副電極部に重なるように、部分電極層をスクリーン印刷によって形成する、部分電極層形成工程と、
    を含み、
    前記電極本体層形成工程において、前記副電極部の前記所定方向における長さが、前記所定方向と直交する方向における幅の2倍以上であることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  7. 前記電極本体層形成工程及び前記部分電極層形成工程において、前記電極本体層と前記部分電極層とを、同じ電極材料で形成することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  8. 電層と、前記圧電層の一方の面に設けられた第1電極と、前記圧電層の他方の面に前記圧電層を挟んで前記第1電極と対向するように設けられた第2電極と、を備え、
    前記第1電極は、
    主電極部と、前記主電極部から前記圧電層の前記一方の面に沿った所定方向に延び、且つ、前記所定方向と直交する方向の幅が前記主電極部よりも小さい副電極部と、を有する、電極本体層と、
    前記副電極部に重ねて形成された部分電極層と、
    を備え
    前記部分電極層が、前記副電極部から、前記主電極部と前記副電極部との接続部分を跨いで、前記主電極部の一部分にまで延びていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  9. 電層と、前記圧電層の一方の面に設けられた第1電極と、前記圧電層の他方の面に前記圧電層を挟んで前記第1電極と対向するように設けられた第2電極と、を備え、
    前記第1電極は、
    主電極部と、前記主電極部から前記圧電層の前記一方の面に沿った所定方向に延び、且つ、前記所定方向と直交する方向の幅が前記主電極部よりも小さい副電極部と、を有する、電極本体層と、
    前記副電極部に重ねて形成された部分電極層と、
    を備え
    前記副電極部の前記所定方向における長さが、前記所定方向と直交する方向における幅の2倍以上であることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  10. 液体を吐出するノズル、及び、前記ノズルに連通する圧力室を有する流路構造体と、前記流路構造体に設けられた圧電アクチュエータと、を備え、
    前記圧電アクチュエータは、
    前記圧力室を覆うように配置された圧電層と、前記圧電層の前記流路構造体と反対側の面に設けられた第1電極と、前記圧電層の前記流路構造体側の面に前記第1電極と対向するように設けられた第2電極と、を備え、
    前記第1電極は、
    前記圧電層の前記流路構造体と反対側の面の、前記圧力室と対向する領域に配置された主電極部と、前記主電極部から前記圧力室と対向しない領域まで、前記圧電体の前記流路構造体と反対側の面に沿った所定方向に延び、且つ、前記所定方向と直交する方向の幅が前記主電極部よりも小さい副電極部と、を有する、電極本体層と、
    前記副電極部に重ねて形成された部分電極層と、
    を備え
    前記部分電極層が、前記副電極部から、前記主電極部と前記副電極部との接続部分を跨いで、前記主電極部の一部分にまで延びていることを特徴とする液体吐出装置。
  11. 液体を吐出するノズル、及び、前記ノズルに連通する圧力室を有する流路構造体と、前記流路構造体に設けられた圧電アクチュエータと、を備え、
    前記圧電アクチュエータは、
    前記圧力室を覆うように配置された圧電層と、前記圧電層の前記流路構造体と反対側の面に設けられた第1電極と、前記圧電層の前記流路構造体側の面に前記第1電極と対向するように設けられた第2電極と、を備え、
    前記第1電極は、
    前記圧電層の前記流路構造体と反対側の面の、前記圧力室と対向する領域に配置された主電極部と、前記主電極部から前記圧力室と対向しない領域まで、前記圧電体の前記流路構造体と反対側の面に沿った所定方向に延び、且つ、前記所定方向と直交する方向の幅が前記主電極部よりも小さい副電極部と、を有する、電極本体層と、
    前記副電極部に重ねて形成された部分電極層と、
    を備え
    前記副電極部の前記所定方向における長さが、前記所定方向と直交する方向における幅の2倍以上であることを特徴とする液体吐出装置。
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