JP6176402B2 - 可変圧縮比内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、制御軸の回転位置に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備えた可変圧縮比内燃機関の制御装置に関する。
特許文献1には、制御軸の回転位置に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備えた内燃機関(以下、「可変圧縮比内燃機関」と呼ぶ)が開示されている。制御軸を駆動するモータ等のアクチュエータと制御軸との間には減速機構が設けられ、この減速機構には、レバーを介して制御軸と連結された回転軸が設けられる。回転軸は、例えば機関本体に固定されるハウジング内に回転可能に支持される。
特開2013−253512号公報
このような可変圧縮比内燃機関では、例えば回転軸を回転可能に保持するハウジングに、回転軸の高圧縮比側及び低圧縮比側への回転可能範囲を機械的に規制する高圧縮比側規制部と及び低圧縮比側規制部が設けられる。そして、回転軸の回転位置を検出する回転センサの検出信号に基づいて、一方の規制部により回転軸の回転位置を機械的に規制・位置決めした状態で、圧縮比基準位置の学習動作が実施される。
しかしながら、規制部と回転センサとが同じハウジングに設けられていると、例えば規制部のストッパ面に制御軸が衝突する際の振動や変形等によって回転センサの検出精度が低下し、圧縮比基準位置の学習精度が低下するなどの問題を生じるおそれがある。
そこで本発明は、可変圧縮比機構を備えた可変圧縮比内燃機関における圧縮比基準位置の学習精度を向上することを主たる目的としている。
本発明の可変圧縮比内燃機関は、機関本体に回転可能に支持される制御軸と、この制御軸の回転位置に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、上記制御軸を回転駆動するアクチュエータと、上記アクチュエータの回転動力を減速して制御軸へ伝達する減速機構と、を有している。この減速機構は、上記機関本体に固定されたハウジング内に回転可能に支持される回転軸と、この回転軸と制御軸とを連結するレバーと、を有している。
そして、上記機関本体に設けられ、上記制御軸を低圧縮比側もしくは高圧縮比側の一方の側へ最も回転した位置に機械的に規制する第1規制部と、上記ハウジングに設けられ、上記回転軸を低圧縮比側もしくは高圧縮比側の他方の側へ最も回転した位置に機械的に規制する第2規制部と、を有している。
例えば、上記第1規制部が、上記制御軸を高圧縮比側へ最も回転した位置に規制するものであり、上記第2規制部が、上記回転軸を低圧縮比側へ最も回転した位置に規制するものである。
好ましくは、上記制御軸と回転軸の一方の軸の回転位置を検出する回転センサと、上記制御軸と回転軸の他方の軸を、上記第1規制部もしくは第2規制部により機械的に規制した状態で、上記回転センサの検出信号に基づいて、圧縮比基準位置の学習動作を実施する基準位置学習手段と、を有している。
本発明によれば、制御軸が設けられる機関本体側と、回転軸が設けられるハウジング側とに、それぞれ圧縮比の回転可能範囲を規制する第1,第2規制部を設けている。このために、レイアウトの自由度が高く、例えば回転センサを用いた圧縮比基準位置の学習動作の際に、回転センサが設けられていない側の規制部によって制御軸もしくは回転軸を機械的に規制した状態とすることにより、回転センサによる検出精度の低下を抑制し、圧縮比基準位置の学習精度を向上することができる。
本発明の一実施例に係る可変圧縮比機構を備えた可変圧縮比内燃機関の制御装置を簡略的に示す構成図。 同じく上記実施例の可変圧縮比内燃機関の制御装置を簡略的に示す構成図。
以下、図1〜図3を参照して、本発明の一実施例に係る可変圧縮比機構10を備えた可変圧縮比内燃機関1の制御装置を説明する。
図1を参照して、可変圧縮比内燃機関1は、機関本体としてのシリンダブロック2と、このシリンダブロック2の上に固定されるシリンダヘッド3と、により大略構成され、シリンダヘッド3のシリンダ4内にはピストン5が昇降可能に嵌合している。
可変圧縮比機構10は、クランクシャフト6のクランクピン7に回転可能に取り付けられるロアーリンク11と、このロアーリンク11とピストン5とを連結するアッパーリンク12と、シリンダブロック2に回転可能に支持される制御軸13と、この制御軸13とロアーリンク11とを連結する制御リンク14と、を有している。アッパーリンク12の上端とピストン5とはピストンピン15により相対回転可能に連結され、アッパーリンク12とロアーリンク11とは第1連結ピン16により相対回転可能に連結され、ロアーリンク11と制御リンク14の上端とは第2連結ピン17により相対回転可能に連結されている。ロアーリンク11の下端部は、制御軸13の回転中心となるジャーナル部13Aから偏心して設けられた制御偏心軸部18に回転可能に取り付けられている。
図2に示すように、制御軸13を回転駆動するアクチュエータとしてのモーター21の出力軸21Aと、制御軸13と、の動力伝達経路には、モーター21の出力軸21Aの回転動力を減速して制御軸13へ伝える減速機構22が介装されている。この減速機構22は、波動歯車装置などの大きな減速が得られる減速機23と、この減速機23の出力軸と一体的に回転する回転軸24と、この回転軸24と制御軸13(図1参照)とを連結するレバー25と、を有している。回転軸24はシリンダブロック2に横付け固定されるハウジング26内に収容配置されており、制御軸13と平行な姿勢でハウジング26に回転可能に支持されている。レバー25はシリンダブロック2及びハウジング26のスリットを貫通して延在している。
レバー25の一端と、制御軸13のジャーナル部13Aから径方向に延びる第1アーム27の先端とは、第3連結ピン28を介して相対回転可能に連結されている。レバー25の他端と、回転軸24の回転中心となるジャーナル部24Aから径方向へ延びる第2アーム29の先端とは、第4連結ピン30を介して相対回転可能に連結されている。
このような可変圧縮比機構10は、モーター21により減速機構22を介して制御軸13の回転位置を変更すると、制御リンク14を介してロアーリンク11の姿勢が変化して、ピストン上死点位置及びピストン下死点位置を含めたピストン5のストローク特性が変化して、機関圧縮比が連続的に変化する。
図2を参照して、ハウジング26には、実際の機関圧縮比である実圧縮比を検出する圧縮比検出部として、実圧縮比に対応した回転軸24の回転位置、すなわち圧縮比基準位置を検出する回転センサ31が設けられている。またモーター21には、モーター回転数を検出するモーター回転数検出センサ32が設けられている。
制御部33は、各種制御処理を記憶及び実行可能なデジタルコンピュータシステムであり、センサ31,32等から検出される機関運転状態に基づいて、各種のアクチュエータに制御信号を出力して、その動作を統括的に制御する。具体的には、吸気弁(あるいは排気弁)のバルブタイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構34を駆動制御して吸気弁の開時期及び閉時期を制御し、燃焼室内の混合気を火花点火する点火プラグ35を駆動制御して点火時期を制御し、吸気通路を開閉する電制スロットル36を駆動制御して、スロットル開度を制御する。
また制御部33は、機関運転状態に応じて目標圧縮比を設定し、この目標圧縮比と、上記回転センサ31により検出される実圧縮比と、の偏差を可及的に小さく維持するように、モーター21の動作をフィードバック制御する。
図1に簡略的に示すように、互いに連動して回転する制御軸13と回転軸24の回転可能範囲は、低圧縮比側規制部としての低圧縮比側ストッパ面41と、高圧縮比側規制部としての高圧縮比側ストッパ面42と、により機械的に規制・制限されている。この実施例では、低圧縮比側ストッパ面41がハウジング26内に設けられ、回転軸24が最も低圧縮比側(図1の矢印Y1の方向)に回転すると、第2アーム29の側面が低圧縮比側ストッパ面41に突き当てられて、制御軸13及び回転軸24が低圧縮比側ストッパ位置に機械的に係止・規制されるようになっている。また、高圧縮比側ストッパ面42がシリンダブロック2内に設けられ、制御軸13が最も高圧縮比側(図1の矢印Y2の方向)に回転すると、第1アーム27の側面が高圧縮比側ストッパ面42に突き当てられて、制御軸13及び回転軸24が高圧縮比側ストッパ位置に機械的に係止・規制されるようになっている。
回転センサ31のイニシャライズ動作を実施する所定の機関運転状態、例えば機関始動直後(あるいは機関停止直前)である場合には、上記のイニシャライズ動作が実施される。このイニシャライズ動作では、回転軸24を例えば高圧縮比側ストッパ面42に突き当てて、制御軸13を基準位置である高圧縮比側ストッパ位置に機械的に規制・係止させた状態で、回転センサ31の実圧縮比に対応する検出値を、上記の圧縮比基準位置に対応した所定の初期値に初期化・学習する。これによって、実際の制御軸13及び回転軸24の回転位置と、回転センサ31により検出される実圧縮比と、の対応関係を初期の正常な状態にリセットすることができる。
次に、このような本実施例において特徴となる構成やその作用効果について、以下に列記する。
(1)機関本体としてのシリンダブロック2に設けられ、制御軸13を低圧縮比側もしくは高圧縮比側の一方の側へ最も回転した位置に機械的に規制する第1規制部としての高圧縮比側ストッパ面42と、ハウジング26に設けられ、回転軸24を低圧縮比側もしくは高圧縮比側の他方の側へ最も回転した位置に機械的に規制する第2規制部としての低圧縮比側ストッパ面41と、を有している。このように高圧縮比側ストッパ面42と低圧縮比側ストッパ面41とを制御軸13側と回転軸24側に分けて設けることで、レイアウトの自由度が増し、後述するように、圧縮比基準位置の学習動作の際に、制御軸13と回転軸24のうち、回転センサ24が設けられる軸と、ストッパ面41,42により回転位置が機械的に規制される側の軸と、を異ならせることができる。これによって、軸のストッパ面への当接による振動や変形の影響を受けることなく学習動作を実施することができ、学習動作における検出精度を向上することができる。
(2)また本実施例では、第1規制部としての高圧縮比側ストッパ面42が、制御軸13を高圧縮比側へ最も回転した位置に規制し、第2規制部としての低圧縮比側ストッパ面41が、回転軸24を低圧縮比側へ最も回転した位置に規制するように構成している。つまり、学習動作の際に、機関本体側に設けられる高圧縮比側ストッパ面42によって制御軸13を機械的に規制することで、ハウジング側で規制する場合に比して、ストッパ面への衝突音が機関本体のオイルパンによって緩和されるために、学習動作時における衝突音を抑制することができる。また、ストッパ面41,42の一方にのみ軸を当接させて学習を行なうことで、学習時間を短縮することができる。
(3)制御軸13と回転軸24の一方の軸の回転位置を検出する回転センサ31を設け、制御軸13と回転軸24の他方の軸を、第1規制部もしくは第2規制部により機械的に規制した状態で、回転センサ31の検出信号に基づいて、圧縮比基準位置の学習動作を実施している。このように、圧縮比基準位置の学習動作の際に、制御軸13と回転軸24のうち、回転センサ24が設けられる軸と、ストッパ面41,42により回転位置が機械的に規制される側の軸と、を異ならせることによって、軸のストッパ面41,42への当接に起因する振動や変形の影響を受けることなく学習動作を実施することができ、学習動作における検出精度を向上することができる。
(4)また本実施例では、回転センサ31が回転軸24の回転位置を検出するものであり、制御軸13を高圧縮比側ストッパ面42に機械的に規制した状態で、回転センサの検出信号に基づいて、圧縮比基準位置の学習動作を実施するようにしている。
高圧縮比側は制御軸13の回転角度に対する圧縮比の変化量が大きいことから、圧縮比の精度要求が厳しい高圧縮比側で学習動作を実施することにより、高圧縮比側の制御精度を向上することができる。これによって、高圧縮比側でノッキングの発生を抑制することができるとともに、高圧縮比側ではバルブとピストンとが接近し易いことから、バルブとピストンとが過剰に接近することを抑制することができる。
また、制御軸13側で回転位置を規制した上で、回転軸24の回転位置を回転センサ31により検出する構成とすることで、制御軸13と回転軸24との間の動力伝達経路におけるリンク長さ,軸孔,連結ピンクリアランス等のばらつきを相殺・吸収して、制御精度を向上することができる。
更に、最大負荷が作用する最低圧縮比時は、モーター21の圧縮比保持トルクを低減するために、制御軸13と回転軸24間の減速比を大きく(好ましくは、最大化)することが効果的であるが、仮に制御軸13側に低圧縮比側ストッパ面を設定すると、過大な減速比によってモータトルクが増幅されて、過大なトルクが低圧縮比側ストッパ面に作用し、低圧縮比側ストッパ面の摩耗や破損を生じるおそれがある。本実施例では、回転軸24の側に低圧縮比側ストッパ面41を設けているために、減速比が増幅されることがなく、ストッパ面41に過大なトルクが作用することがないので、低圧縮比側ストッパ面41の保護を図ることができる。
(5)回転軸24を低圧縮比側ストッパ面41に機械的に規制した状態のとき、制御軸13からレバー25を介して回転軸24に伝達される回転軸回りのトルクが最も小さくなる回転位置を含む所定の角度範囲内に回転軸24が位置するように設定されている。構造的には、レバー25のリンク中心線25A(第3連結ピン28の中心と第4連結ピン30の中心とを結ぶ線)と、第2アーム29のリンク中心線29A(回転軸24のジャーナル部24Aの中心と第4連結ピン30の中心とを結ぶ線)と、のなす角度θが小さくなるほど、制御軸13からレバー25を介して回転軸24に伝達される回転軸24回りのトルクが小さくなる。従って、制御軸13及び回転軸24を低圧縮比側ストッパ位置に係止させた状態のとき、上記の角度θが最も小さくなる位置(リンク中心線25Aとリンク中心線29Aとが同一線上にあるとき)を含む所定の角度範囲内に回転軸24が位置するように設定している。
これによって、大きな燃焼荷重が作用する高負荷時や、大きな慣性荷重が作用する高回転時に、例えば何らかの理由により正常な圧縮比の制御が不能となった場合に、燃焼圧により低圧縮比側ストッパ位置まで低圧縮比化した後、制御軸13から回転軸24側へ作用するトルクを抑制し、低圧縮比側ストッパ位置の状態に安定して保持することができる。また、制御軸13から回転軸24へ変動トルクが作用しても、回転軸24が低圧縮比側ストッパ面41へ衝突することを低減するとともに、その衝突音を抑制し、摩耗や圧痕の発生を抑制することができる。
(6)高圧縮比側ストッパ面の表面精度を、低圧縮比側ストッパ面の表面精度よりも高く設定している。このように、学習制御に用いられる高圧縮比側ストッパ面42の表面精度を確保しつつ、低圧縮比側ストッパ面41の表面精度を緩和することで、例えば低圧縮比側ストッパ面41の表面加工を省略し、製造工数の削減による生産性の向上及び低コスト化を図ることができる。

Claims (7)

  1. 機関本体に回転可能に支持される制御軸と、
    この制御軸の回転位置に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、
    上記制御軸を回転駆動するアクチュエータと、
    上記アクチュエータの回転動力を減速して制御軸へ伝達する減速機構と、を有し、
    この減速機構は、上記機関本体に固定されたハウジング内に回転可能に支持される回転軸と、この回転軸と制御軸とを連結するレバーと、を有する可変圧縮比内燃機関において、
    上記機関本体に設けられ、上記制御軸を低圧縮比側もしくは高圧縮比側の一方の側へ最も回転した位置に機械的に規制する第1規制部と、
    上記ハウジングに設けられ、上記回転軸を低圧縮比側もしくは高圧縮比側の他方の側へ最も回転した位置に機械的に規制する第2規制部と、を有する可変圧縮比内燃機関。
  2. 上記第1規制部が、上記制御軸を高圧縮比側へ最も回転した位置に規制するものであり、
    上記第2規制部が、上記回転軸を低圧縮比側へ最も回転した位置に規制するものである、請求項1に記載の可変圧縮比内燃機関。
  3. 上記制御軸と回転軸の一方の軸の回転位置を検出する回転センサと、
    上記制御軸と回転軸の他方の軸を、上記第1規制部もしくは第2規制部により機械的に規制した状態で、上記回転センサの検出信号に基づいて、圧縮比基準位置の学習動作を実施する基準位置学習手段と、
    を有する請求項1又は2に記載の可変圧縮比内燃機関。
  4. 上記回転センサが回転軸の回転位置を検出するものであり、
    上記基準位置学習手段は、上記制御軸を第1規制部により機械的に規制した状態で、上記回転センサの検出信号に基づいて、圧縮比基準位置の学習動作を実施する、
    請求項3に記載の可変圧縮比内燃機関。
  5. 上記回転軸を第2規制部により機械的に規制した状態のとき、上記制御軸からレバーを介して回転軸に伝達される回転軸回りのトルクが最も小さくなる回転位置を含む所定の角度範囲内に上記回転軸が位置するように設定されている請求項1〜4のいずれかに記載の可変圧縮比内燃機関の制御装置。
  6. 上記第1規制部が、上記制御軸を高圧縮比側へ最も回転したときに、上記制御軸の一部が突き当てられる高圧縮比側ストッパ面を有し、
    上記第2規制部が、上記回転軸を低圧縮比側へ最も回転したときに、上記回転軸の一部が突き当てられる低圧縮比側ストッパ面を有し、
    上記高圧縮比側ストッパ面の表面精度を、上記低圧縮比側ストッパ面の表面精度よりも高く設定した請求項1〜5のいずれかに記載の可変圧縮比内燃機関。
  7. 上記可変圧縮比機構が、
    クランクシャフトのクランクピンに回転可能に取り付けられるロアーリンクと、
    このロアーリンクと内燃機関のピストンとを連結するアッパーリンクと、
    上記制御軸とロアーリンクとを連結する制御リンクと、を有する請求項1〜6のいずれかに記載の可変圧縮比内燃機関の制御装置。
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