JP2016031036A - 内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】可変圧縮比機構を備え、小型の駆動装置でシリンダブロックの振動を抑制する内燃機関を提供する。【解決手段】内燃機関は、クランクケース79とシリンダブロック2との連結部分に配置されている複数のカムシャフト84,85を回転させる駆動装置を含む可変圧縮比機構を備える。カムシャフト84,85は、カムシャフト84,85の回転軸線の周りを回転する偏心軸87を含む。可変圧縮比機構は、偏心軸87が回転することによりクランクケース79に対してシリンダブロック2が相対移動するように形成されている。駆動装置は、偏心軸87の位相が同一になるように複数のカムシャフト84,85を同一方向に回転させる。【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関に関する。
従来の技術においては、燃焼室における混合気の圧縮比を変更する内燃機関が知られている。圧縮比を変更する可変圧縮比機構としては、ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積を変更する機構を採用することが知られている。運転期間中に圧縮比を変更することにより、運転状態に応じて圧縮比を調整し、燃料消費量の低減を図ることができる。
特開2013−194607号公報には、シリンダブロックをクランクケースに対して相対移動させる可変圧縮比機構を備える内燃機関が開示されている。この内燃機関では、シリンダブロックの側面をガイドするガイド壁と、シリンダブロックの側面が摺動する第一スライダおよび第二スライダとが配置されることが開示されている。そして、第一スライダおよび第二スライダは、油圧装置の油圧が作用するとシリンダブロックの側面に押圧されることが開示されている。
特開2010−0250800号公報においては、可変圧縮比機構が作動故障であるか否かを判定する内燃機関が開示されている。この内燃機関では、アイドル運転中に、可変圧縮比機構の故障判定用に設定された故障判定用の目標圧縮比の推移に則して圧縮比変更させる圧縮比強制変更制御を実行する。そして、最大筒内圧変化幅が基準変化幅以下である場合には、可変圧縮比機構に作動故障が生じていると判定することが開示されている。
可変圧縮比機構は、ピストンの上死点の位置を不変にする一方で、クランクケースに対してシリンダブロックを相対的に移動させることにより、燃焼室の大きさを可変することができる。この可変圧縮比機構では、シリンダブロックが可動するために、シリンダブロックが移動する方向と垂直な方向、すなわちシリンダブロックの幅方向に振動が生じる虞がある。
特開2013−194607号公報では、シリンダブロックとクランクケースの壁部との間に配置されたスライダを側方から押圧することにより、シリンダブロックの幅方向の振動を抑制することが開示されている。内燃機関の運転期間中には、燃焼室において混合気が燃焼したときの燃焼圧力がシリンダブロックに作用する。しかし、この公報に開示されている可変圧縮比機構では、燃焼圧力によりシリンダブロックに作用する荷重は、左右の偏心軸が互いに逆向きに回転するために相殺される。
一方で、シリンダブロックの幅方向には、燃焼荷重の他にピストンの慣性によるスラスト力が生じる。このために、シリンダブロックの幅方向の振動を抑制するためには、ピストンの慣性によるスラスト力に対抗可能な大きな付勢力の付勢部材が必要になる。ところが、シリンダブロックを側方から押圧する押圧力を大きくすると、スライダとシリンダブロックとの間の摩擦が大きくなり、この結果、可変圧縮比機構を駆動するモータ等のアクチュエータも大型にする必要が生じる。
本発明は、可変圧縮比機構を備え、小型の駆動装置でシリンダブロックの振動を抑制する内燃機関を提供することを目的とする。
本発明の内燃機関は、クランクシャフトを支持する支持構造物と、ピストンが配置される穴部を含むシリンダブロックと、支持構造物とシリンダブロックとの連結部分に配置されている複数のカムシャフトおよびカムシャフトを回転させる駆動装置を含む可変圧縮比機構とを備え、カムシャフトは、シリンダブロックの幅方向の両側の端部に配置され、カムシャフトの回転軸線の周りを回転する偏心軸を含み、可変圧縮比機構は、偏心軸が回転することにより支持構造物に対してシリンダブロックが相対移動するように形成されており、駆動装置は、偏心軸の位相が同一になるように複数のカムシャフトを同一方向に回転させる。
本発明によれば、可変圧縮比機構を備え、小型の駆動装置でシリンダブロックの振動を抑制する内燃機関を提供することができる。
図1から図8を参照して、実施の形態における内燃機関について説明する。本実施の形態においては、車両に配置されている内燃機関を例に取り上げて説明する。
図1は、本実施の形態における内燃機関の概略図である。本実施の形態における内燃機関は、火花点火式である。内燃機関は、機関本体1を備える。機関本体1は、シリンダブロック2とクランクケース79を含む支持構造物とを備える。シリンダブロック2の穴部には、ピストン3が配置されている。機関本体1は、複数の気筒を有し、燃焼室は、それぞれの気筒ごとに形成されている。クランクケース79は、クランクシャフトを支持している。クランクシャフトは、コネクティングロッド23を介してピストン3を支持している。
本実施の形態における内燃機関は、制御装置としての電子制御ユニットを備える。本実施の形態における電子制御ユニットは、デジタルコンピュータにより構成されている。電子制御ユニットには、エアフローメータ、アクセルペダルの踏込量を検出する負荷センサ、クランク角センサ等の各種センサの出力が入力される。また、電子制御ユニットは、対応する駆動回路を介して、燃料噴射弁からの燃料噴射、点火プラグの点火時期およびスロットル弁の開度等を制御する。
本実施の形態における内燃機関は、可変圧縮比機構を備える。本発明においては、ピストンが圧縮上死点に達したときにピストンの冠面とシリンダヘッドとに囲まれる気筒内の空間を燃焼室と称する。内燃機関の圧縮比は、燃焼室の容積等に依存して定まる。本実施の形態における可変圧縮比機構は、燃焼室の容積を変更することにより圧縮比を変更するように形成されている。燃焼室における実際の圧縮比である実圧縮比は、(実圧縮比)=(燃焼室の容積+吸気弁が閉じている期間のピストンの行程容積)/(燃焼室の容積)で示される。
本実施の形態における内燃機関は、クランクケース79を含む支持構造物と、支持構造物の上側に配置されているシリンダブロック2とが互いに相対移動する。本実施の形態における支持構造物は、可変圧縮比機構を介してシリンダブロック2を支持している。なお、クランクケース79とシリンダブロック2との間には、付勢部材としてのリフトスプリングが配置されている。リフトスプリングは、シリンダブロック2をクランクケース79から離す向きに付勢している。
シリンダブロック2の両側の側壁の下方には複数個の突出部80が形成されている。突出部80には、断面形状が円形のカム挿入孔が形成されており、カム挿入穴の内部には円形カム86が回転可能に配置されている。クランクケース79には、複数個の突出部82が形成されている。突出部82には、断面形状が円形のカム挿入孔が形成されており、カム挿入穴の内部には円形カム88が回転可能に配置されている。シリンダブロック2の突出部80は、クランクケース79の突出部82同士の間に嵌合する。
シリンダブロック2の突出部80に挿入されている円形カム86と、クランクケース79の突出部82に挿入されている円形カム88とは、偏心軸87を介して互いに連結されている。複数の円形カム86と複数の円形カム88とが、偏心軸87を介して連結されることにより、カムシャフト84,85が構成されている。本実施の形態においては、一対のカムシャフト84,85が、シリンダブロック2の幅方向の両側の端部に配置されている。このように、偏心軸87を含むカムシャフト84,85が、支持構造物とシリンダブロック2との連結部分に配置されている。
本実施の形態における可変圧縮比機構は、複数のカムシャフト84,85を同一の方向に回転させる駆動装置を含む。円形カム88は、カムシャフト84,85の回転軸線と同軸状に配置されている。円形カム86は、カムシャフト84,85の回転軸線に対して偏心する。また、偏心軸87は、カムシャフト84,85の回転軸線に対して偏心している。2つの偏心軸87は、カムシャフト84,85の回転軸の周りを回転する。
図2に、本実施の形態における可変圧縮比機構の第1の模式図を示す。本実施の形態の可変圧縮比機構の駆動装置は、回転機としてのモータ59を含む。駆動装置は、クラッチ70、ウォーム61,62およびウォームホイール63,64等を含む。回転軸66は、モータ59の出力軸およびクラッチ70の入力軸に接続されている。回転軸60は、クラッチ70の出力軸に接続されている。回転軸60には、カムシャフト84,85を互いに同一方向に回転させるように、螺旋方向が同じ向きの一対のウォーム61,62が取付けられている。ウォーム61,62と噛合するウォームホイール63,64がカムシャフト84,85の端部に固定されている。
可変圧縮比機構は、電子制御ユニットに制御されている。本実施の形態のカムシャフト84,85を回転させるモータ59は、対応する駆動回路を介して電子制御ユニットに接続されている。
本実施の形態における可変圧縮比機構は、クランクケース79に対してシリンダブロック2が相対的に移動することにより、燃焼室の容積が可変に形成されている。本実施の形態においては、下死点から上死点までのピストンの行程容積と燃焼室の容積から定まる圧縮比を機械圧縮比と言う。機械圧縮比は、吸気弁の閉弁時期に依存せずに、(機械圧縮比)=(燃焼室の容積+ピストンの行程容積)/(燃焼室の容積)にて示される。
図1および図2を参照して、機械圧縮比を変更する場合には、駆動装置によりカムシャフト84,85を回転させる。例えば、矢印97に示すように、それぞれのカムシャフト84,85上に配置されている円形カム88を、互いに同一方向に回転させると、偏心軸87が円形カム88の上端に向けて移動する。シリンダブロック2を支持している円形カム86は、カム挿入孔の内部において、円形カム88と反対方向に回転する。シリンダブロック2は、矢印98に示すように、クランクケース79から離れる向きに移動する。ピストン3の上死点の位置は一定であるために燃焼室の容積は大きくなる。この結果、機械圧縮比が低下する。この制御とは反対に、カムシャフト84,85を矢印96に示す方向に回転させることにより機械圧縮比を上昇させることができる。
可変圧縮比機構は、モータ59を駆動することによって、運転期間中に機械圧縮比を変更することができる。内燃機関の運転状態に応じて、機械圧縮比を変更することができる。
図3に、本実施の形態における可変圧縮比機構の第2の模式図を示す。図2および図3を参照して、円形カム88の中心軸aと、偏心軸87の中心軸bと、円形カム86の中心軸cとの位置関係が示されている。可変圧縮比機構は、中心軸aと中心軸bとの接続機構および中心軸bと中心軸cとの接続機構により構成されるリンク機構を有する。
中心軸aと中心軸cとを結ぶ線と、中心軸aと中心軸bとを結ぶ線とのなす一つの回転方向の角度を偏心軸角度と称すると、一方のカムシャフト84の偏心軸角度θ1と他方のカムシャフト85の偏心軸角度θ2とは、互いに同じ角度である。また、偏心軸87が回転する方向も同一である。両側の中心軸bは、中心軸aと中心軸cとを結ぶ線にて分割される領域のうち一方の領域に配置されている。このように、本実施の形態の偏心軸87は、同一の位相にて回転するように配置されている。
図1を参照して、本実施の形態における機関本体1は、シリンダブロック2を一方の側方から押圧する押圧手段としての押圧装置を備える。クランクケース79は、クランクケース79の突出部82およびシリンダブロック2の突出部80を覆うように形成されている壁部77を含む。シリンダブロック2の幅方向の両側の壁部77のうち一方の壁部77とシリンダブロック2との間には、固定スライダ90が配置されている。固定スライダ90は、壁部77に固定され、シリンダブロック2と摺動する。
また、シリンダブロック2の幅方向の両側の壁部77のうち他方の壁部77と、シリンダブロック2との間には、押圧スライダ91が配置されている。押圧スライダ91は付勢部材としてのスプリング92により押圧されている。スプリング92は壁部77に形成された穴部78の内部に配置されている。スプリング92は、壁部77に固定されている押え部材93に固定されている。押圧スライダ91は、シリンダブロック2と摺動する。また、押圧スライダ91は、矢印99に示す方向にシリンダブロック2を押圧する。押圧装置がシリンダブロック2を押圧することにより、シリンダブロック2の幅方向の振動を抑制することができる。
本実施の形態では、矢印99に示すスプリング92にてシリンダブロック2を押圧する方向をスラスト方向と称し、矢印99と反対側の矢印100に示す方向を反スラスト方向と称する。スラスト方向および反スラスト方向は、シリンダブロック2の幅方向と略平行な方向である。
本実施の形態における押圧装置は、固定スライダ90および押圧スライダ91がシリンダブロックの高さ方向の2箇所に配置され、押圧スライダ91がスプリング92により付勢されている。押圧装置としては、この形態に限られず、シリンダブロック2を側方から一方向に押圧可能な任意の装置を採用することができる。
図4に、比較例の可変圧縮比機構を備える内燃機関の概略断面図を示す。比較例の可変圧縮比機構において、クランクケース79に対してシリンダブロック2が相対的に移動することは、本実施の形態における可変圧縮比機構と同様である。また、スプリング92により、シリンダブロック2が矢印99に示すスラスト方向に付勢されていることも本実施の形態の可変圧縮比機構と同様である。比較例の可変圧縮比機構は、一対の偏心軸87の位置が本実施の形態の可変圧縮比機構と異なる。
クランクケース79に対して、シリンダブロック2を上昇させる場合には、矢印97に示す向きに円形カム88を回転させる。比較例の可変圧縮比機構では、カムシャフト84の円形カム88とカムシャフト85の円形カム88とを互いに逆向きに回転させる。円形カム88を互いに逆向きに回転させることにより、偏心軸87はクランクケース79から離れる向きに移動する。この結果、クランクケース79からシリンダブロック2を離す向きに移動させることができる。
図5に、比較例の可変圧縮比機構の模式図を示す。図4および図5を参照して、比較例のカムシャフト84の偏心軸87は、中心軸aと中心軸cとを結ぶ線により分割された領域のうち、スプリング92が配置されている側と反対側の領域に配置されている。これに対して、カムシャフト85の偏心軸87は、中心軸aと中心軸cとを結ぶ線により分割された領域のうち、スプリング92が配置されている側の領域に配置されている。
比較例の可変圧縮比機構では、カムシャフト84の偏心軸角度θ1と、カムシャフト85の偏心軸角度θ2とが互いに異なっている。カムシャフト84が回転する角度とカムシャフト85が回転する角度θ3とは互いに同じ大きさであるが、偏心軸87の回転方向が逆向きである。すなわち、中心軸bは、互いに反対方向に移動している。このように、一対の偏心軸87の位相が互いに異なる。
機関本体1の運転期間中には、シリンダブロック2に対して様々な幅方向の力が加わる。燃焼室にて燃料が燃焼することにより、シリンダブロック2には、クランクケース79から離れる向きに燃焼荷重が作用する。比較例の内燃機関では、2つの偏心軸87の回転する方向が互いに逆向きであるために、左右のリンク機構によりシリンダブロック2に作用する幅方向の燃焼荷重による力は互いに打ち消される。
また、内燃機関が駆動することにより、ピストン3はシリンダブロック2の穴部の軸方向に往復移動する。このために、シリンダブロック2には、ピストン3の重量に起因する慣性力が加わる。クランクシャフトが回転することに伴うピストン3の慣性力は、矢印100に示す反スラスト方向に加わる。ピストン3の慣性力により発生する幅方向の力は、スプリング92が付勢するスラスト方向と逆向きになる。このために、比較例の可変圧縮比機構では、シリンダブロック2の振動を抑制するためには、付勢力の大きなスプリング92を採用する必要がある。
図1および図3を参照して、これに対して、本実施の形態の可変圧縮比機構においては、カムシャフト84の偏心軸87とカムシャフト85の偏心軸87とは、互いに同じ位相にて回転する。シリンダブロック2に燃焼荷重が加わった場合には、シリンダブロック2にはクランクケース79から離れる向きの力が作用する。そして、シリンダブロック2の幅方向のうち、矢印99に示すスラスト方向に力が作用する。矢印100に示すピストン3の慣性力による反スラスト方向とは逆向きの力が作用する。このために、ピストン3の慣性力による反スラスト方向の力を打ち消すことができる。なお、他の気筒において燃焼荷重によりピストン3が押し下げられる時に発生する幅方向の力は、矢印99に示すスラスト方向に作用する。
この結果、シリンダブロック2に加わる反スラスト方向の力を小さくすることができて、付勢力の小さなスプリング92を採用することができる。または、押圧スライダ91を押圧する構造を簡易にすることができる。また、スプリング92の押圧力を小さくすると、固定スライダ90または押圧スライダ91とシリンダブロック2との間の摩擦が低減する。このために、偏心軸87を回転させる駆動装置を小型にすることができる。たとえば、偏心軸87を回転させるモータ59の容量を小さくすることができる。更には、スライダとシリンダブロック2との間の摩擦が小さくなるために、機械圧縮比の変更の応答速度が向上する。すなわち、内燃機関を運転する時の応答性が向上する。
このように、本実施の形態の可変圧縮比機構のリンク機構は、ピストン3の慣性によるスラスト力に対向する力が生じるように偏心軸の回転方向が定められている。または、膨張行程において、リンク機構によりシリンダブロック2が固定スライダ90,91に押し付けられる力が発生するように偏心軸の位置が定められている。
図6に、可変圧縮比機構のシリンダブロックに加わる反スラスト方向の荷重のグラフを示す。横軸はクランク角度であり、縦軸は矢印100に示す反スラスト方向に加わる力である。比較例の可変圧縮比機構よりも本実施の形態の可変圧縮比機構の方がシリンダブロックに加わる反スラスト方向の荷重が小さくなっていることが分かる。このように、本実施の形態における可変圧縮比機構は、シリンダブロックに対して反スラスト方向に加わる力を小さくすることができる。
次に、本実施の形態における押圧装置の異常を検出する制御について説明する。図2を参照して、本実施の形態におけるクラッチ70は、いわゆる逆入力遮断クラッチである。本実施の形態における逆入力遮断クラッチは、入力軸からの回転力を出力軸に伝達し、出力軸からの回転力を遮断するように形成されている。すなわち、クラッチ70は、モータ59から伝達される回転軸66の回転力はウォーム61,62に伝達し、ウォーム61,62から伝達される回転軸60の回転力は遮断して、モータ59に伝達しない構造を有する。本実施の形態においては、モータ59が出力するトルクによりクラッチ70の入力軸に加わるトルクをクラッチ70の入力トルクと称する。また、シリンダブロック2に作用する力によりカムシャフト84,85を介してクラッチ70の出力軸に加わるトルクをクラッチ70の逆入力トルクと称する。
本実施の形態の内燃機関は、カムシャフト84,85から駆動装置に伝達される逆入力トルクを検出するトルク検出手段としてのトルク検出装置を備える。本実施の形態のトルク検出装置は、クラッチ70の出力軸の逆入力トルクを検出するトルク検出器68を含む。本実施の形態のトルク検出器68は、歪みゲージ式である。トルク検出器68は、回転軸60のねじれを検出し、検出したねじれに基づいて逆入力トルクを検出する。トルク検出装置としては、この形態に限られず、駆動装置に加わる逆入力トルクを測定可能な任意の装置を採用することができる。たとえば、磁歪式のトルクセンサを採用しても構わない。
本実施の形態における内燃機関の可変圧縮比機構は、シリンダブロック2を幅方向に押圧する押圧装置の異常を検出可能に形成されている。押圧装置の異常としては、たとえば、長年の使用により固定スライダ90および押圧スライダ91にへたりが生じたり破損したりする場合がある。または、スプリング92の弾性力が弱くなったり破損したりする場合がある。または、スライダが油圧装置により押圧されている場合には、油圧装置の制御油の抜け等により、スライダを押圧する力が小さくなる場合がある。
図3を参照して、このような押圧装置の異常の場合には、シリンダブロック2に矢印95に示すロール方向の振動が生じる。ロール方向の振動がシリンダブロック2に生じると、偏心軸の打音、偏心軸を受ける円形カムの摩耗、およびシリンダブロック2に固定されている電気部品の破損などが生じる。
図7に、カムシャフトからクラッチの出力軸に伝達される逆入力トルクのグラフを示す。本実施の形態の可変圧縮比機構は、クランクケース79から離れる向きにシリンダブロック2を付勢するリフトスプリングを備える。このために、押圧装置が正常である時には、機械圧縮比が低下する方向(シリンダブロックが離れる方向)に逆入力トルクが加わっている。すなわち、機械圧縮比が低下する方向を正の方向とすると、クラッチ70の出力軸には常に正方向の逆入力トルクが加わっている。
ところが、押圧装置に異常が生じた場合には、図3の矢印95に示すロール方向の振動により、逆入力トルクの負側に向かう振動が大きくなる。そして、機械圧縮比が上昇する方向(シリンダブロックが近づく方向)に逆入力トルクが加わる場合がある。すなわち、リフトスプリングの弾性力よりもシリンダブロックの振動に起因する逆入力トルクが大きくなり、機械圧縮比が上昇する方向の逆入力トルクが加わる場合がある。
図2を参照して、本実施の形態の制御装置は、トルク検出器68により逆入力トルクを取得し、逆入力トルクが機械圧縮比の上昇する方向に作用したことを検出する。そして、制御装置は、可変圧縮比機構の押圧装置が異常であると判別する。
図8に、可変圧縮比機構の異常を検出する制御のフローチャートを示す。始めにステップ111においては、トルク検出器68により、回転軸60に加わる逆入力トルクを検出する。
ステップ112においては、回転軸60に加わる逆入力トルクが機械圧縮比の増大する方向か否かを判別する。ステップ112において、回転軸60に加わる逆入力トルクが機械圧縮比の増大する方向でない場合には、押圧装置が正常であると判別することができる。そして、ステップ111に戻り、同様の制御を繰り返すことができる。
ステップ112において、回転軸60に加わる逆入力トルクが機械圧縮比の増大する方向である場合には、ステップ113に移行する。この場合には、押圧装置に異常が生じたと判別することができる。例えば、スライダやスプリングに異常が生じたと判別することができる。
ステップ113において、制御装置は、予め定められた退避走行状態になるように機関本体1を制御する。例えば、ピストンの慣性力が小さくなるように機関回転数が低い状態を維持するように制御する。または、内燃機関の負荷を下げてピストンの慣性力を低下させた状態を維持する制御を実施することができる。このように、所定の条件を加えて内燃機関の運転を継続することができる。
次に、ステップ114においては、運転者に対して内燃機関に異常が生じたことを知らせる制御を実施する。本実施の形態においては、運転席のインストルパネルに配置された異常ランプを点灯させる。運転者は、内燃機関に異常が生じたことを認識することができる。そして、修理工場まで自走で車両を搬送することができる。このように、シリンダブロックのスラスト方向の振動を早期に検出し、故障が進行して運転できなくなる前に修理を依頼することができる。
なお、図5を参照して、比較例の内燃機関においては、矢印95に示すようにロール方向の振動は、シリンダブロック2の幅方向の両側のリンク機構により相殺されるために、ロール方向の振動がクラッチ70のまで伝達されにくい。したがって、比較例の内燃機関では、本実施の形態の制御を実施して押圧装置の故障を判別することは困難である。
図2を参照して、本実施の形態においては、回転軸60に加わる逆入力トルクの方向に基づいて押圧装置の故障を判別している。制御装置は、機械圧縮比を低下させる方向の逆入力トルクが零未満になった場合に押圧装置に異常が生じていると判別している。制御装置としては、この形態に限られずに、機械圧縮比を低下させる方向の逆入力トルクが予め定められた判定値未満になった場合に押圧装置に異常が生じていると判別することができる。なお、トルク検出手段による逆入力トルクの変化の検出は、機械圧縮比が一定の期間中に加えて、機械圧縮比を変更している期間中にも検出することができる。
また、上記の実施の形態においては、トルク検出手段により検出した逆入力トルクに基づいて、押圧装置の異常の有無を判別しているが、この形態に限られず、トルク検出手段の代わりに、回転軸60の回転数を検出する回転数検出手段を備えていても構わない。例えば、クラッチ70が配置されていない駆動装置においては、回転軸60の回転数を検出可能な回転数センサを配置する。制御装置は、回転数センサから回転軸60の回転数を取得し、回転軸60の回転数に基づいて押圧手段に異常が生じているか否かを判別することができる。
たとえば、制御装置は、機械圧縮比が一定の状態の時に、回転軸60が機械圧縮比を低下させる方向に回転したことを検出し、押圧装置に異常が生じていると判別することができる。または、機械圧縮比を変更している期間中に、機械圧縮比を低下させる方向に回転軸60の回転数が変化する場合がある。この回転数の変化が予め定められた判定値よりも大きい場合に、押圧装置に異常が生じていると判別することができる。
上述のそれぞれの制御においては、機能および作用が変更されない範囲において適宜ステップの順序を変更することができる。
上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される実施の形態の変更が含まれている。
1 機関本体
2 シリンダブロック
3 ピストン
59 モータ
60 回転軸
68 トルク検出器
70 クラッチ
77 壁部
79 クランクケース
84,85 カムシャフト
87 偏心軸
91 押圧スライダ
92 スプリング
2 シリンダブロック
3 ピストン
59 モータ
60 回転軸
68 トルク検出器
70 クラッチ
77 壁部
79 クランクケース
84,85 カムシャフト
87 偏心軸
91 押圧スライダ
92 スプリング
Claims (1)
- クランクシャフトを支持する支持構造物と、
ピストンが配置される穴部を含むシリンダブロックと、
支持構造物とシリンダブロックとの連結部分に配置されている複数のカムシャフトおよびカムシャフトを回転させる駆動装置を含む可変圧縮比機構とを備え、
カムシャフトは、シリンダブロックの幅方向の両側の端部に配置され、カムシャフトの回転軸線の周りを回転する偏心軸を含み、
可変圧縮比機構は、偏心軸が回転することにより支持構造物に対してシリンダブロックが相対移動するように形成されており、
駆動装置は、偏心軸の位相が同一になるように複数のカムシャフトを同一方向に回転させることを特徴とする、内燃機関。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014153135A JP2016031036A (ja) | 2014-07-28 | 2014-07-28 | 内燃機関 |
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---|---|---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2014-07-28 JP JP2014153135A patent/JP2016031036A/ja active Pending
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