JP2009036148A - 内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構 - Google Patents

内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構 Download PDF

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    • F02B75/048Engines with variable distances between pistons at top dead-centre positions and cylinder heads by means of a variable crank stroke length

Abstract

【課題】 ピストン下死点近傍でピストン12の一部がシリンダ11の下縁部26よりも下降する設定で、隅角形状をなすシリンダ下縁部26とピストン12との接触を防止する。
【解決手段】 ピストン12に連結されたアッパリンク14の下端とクランクピン16に取り付けられたロアリンク17とをアッパピン15により連結する。ピストンピン中心13Aをピストン冠面中心に対してスラスト−反スラスト方向にオフセットさせる。少なくともピストン下死点近傍では、アッパピン15をピストンピン中心13Aに対してピンオフセット側Rへオフセットさせることで、ピストン上部にスラスト荷重を作用させて、シリンダ下縁部26との接触を回避する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関のピストンとクランクシャフトのクランクピンとを複数のリンクにより連係した複リンク式ピストン−クランク機構に関する。
特許文献1に記載されているように、内燃機関のピストン−クランク機構として、本出願人は、ピストンとクランクシャフトのクランクピンとを複数のリンクにより連係した複リンク式ピストン−クランク機構(以下、単に「複リンク機構」とも呼ぶ)を以前に提案している。この複リンク機構は、クランクピンに回転可能に取り付けられたロアリンクとピストンとをアッパリンクにより連結し、かつ、ロアリンクには、その運動を拘束するコントロールリンクが連結されている。このような複リンク機構によれば、ピストンとクランクピンとを一本のコネクティングロッドにより連係した単リンク式ピストン−クランク機構(以下、単にに「単リンク機構」とも呼ぶ)に比して、ピストンストローク特性の設定の自由度が高く、例えばピストンストローク特性を単振動(正弦波)に近づけることで大幅な振動低減化等を図ることができる。また、このような複リンク機構では、コントロールリンクの機関本体側の揺動支点の位置を変更することで、ピストンの上死点位置や下死点位置の変化を伴う内燃機関の幾何学的な圧縮比(以下、単に「機関圧縮比」とも呼ぶ)を変更することができ、容易に可変圧縮比機構として機能させることができる。
特開2004−162895号公報
このような複リンク機構において、高圧縮比化や排気量を拡大するためにピストンストロークを拡大すると、必然的に、ピストンが往復動するシリンダの高さ方向寸法の増加、ひいては内燃機関の大型化を招く傾向にある。このようなピストンストロークの拡大(ロングストローク化)に伴うシリンダの高さ方向寸法の増加を軽減・回避するために、ピストン下死点ではピストン下部のスカート部の一部がシリンダ(ボア)の下端に位置する下縁部よりも下方まで下降・露出するように設定することを本出願人は検討している。
但し、このようにピストンのスカート部が、シリンダ内壁面より折曲する隅角形状(エッジ形状)のシリンダ下縁部よりも下方に露出するものでは、この隅角形状のシリンダ下縁部にピストンのスカート部が接触すると、スカート部の損傷を招くおそれがある。特に、複リンク機構により機関圧縮比を変更可能な構成とした場合、低圧縮比側ではピストン上死点位置を低くすることに伴ってピストン下死点位置が低くなる傾向にあり、また、高回転時にはノッキングを回避するために低圧縮比で運転することが多いので、下死点近傍での慣性力やシリンダからピストンへ作用するスラスト−反スラスト方向のスラスト荷重が大きくなることから、シリンダ下縁部と接触した場合にスカート部が損傷を受けるおそれが高い。
また、上記の複リンク機構においては、アッパリンクの運動が単リンク機構とは異なる特有の軌跡を描くことから、予期せぬタイミングでピストン外周とシリンダとが強く接触して打音(スラップ音)を発生するという課題がある。このような打音の発生を軽減・回避するために、ピストンピン中心やピストン重心をスラスト−反スラスト方向にオフセットする技術を本出願人は以前に提案しているが(特開2002−61501号公報参照)、これら従来のものは上述したようなシリンダ下縁部とピストンのスカート部との接触を考慮したものではない。
本発明は、このような特有の技術的課題に鑑みてなされたものであり、ピストンストロークの拡大に伴うシリンダの高さ方向寸法の増加を軽減・回避しつつ、ピストンとシリンダの下縁部との接触を防止し得る新規な内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構を提供することを主たる目的としている。
本発明に係る内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構は、内燃機関のシリンダ内を往復動するピストンにピストンピンを介して一端が連結されたアッパリンクと、このアッパリンクの他端にアッパピンを介して連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに回転可能に取り付けられたロアリンクと、一端がシリンダブロック等の機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンクにコントロールピンを介して連結されたコントロールリンクと、を備えてなり、上述したようにピストンストローク特性の自由度が高く、例えば単リンク機構に比して単振動に近いピストンストローク特性とすることで、大幅な振動低減化等を図ることができるものである。また、上記コントロールリンクの一端の機関本体側の支持位置を変更することによって機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比手段を設けることで、この複リンク機構を容易に可変圧縮比機構として機能させることができる。
また、ピストン下死点でピストンの一部がシリンダの下縁部よりも下方に位置するように、リンクディメンションやピストンストローク特性を設定している。これによって、ピストンストロークの拡大に伴うシリンダの高さ方向寸法の増加を軽減し、ひいては内燃機関の大型化を抑制することができる。
ピストン下死点の付近では、ピストンに下向きの慣性力が作用するとともに、筒内負圧による上向きの力がピストン冠面(中心)に作用する。ここで本発明では、上記ピストンピンの中心をピストンの冠面中心に対してスラスト−反スラスト方向にオフセットさせるとともに、少なくともピストン下死点では、スラスト−反スラスト方向でのピストン冠面中心に対するピストンピン中心のピンオフセット方向と同方向に、上記アッパピンをピストンピン中心に対してオフセットさせている。つまり、ピストン下死点近傍では、アッパリンクを上方へ向けて反ピンオフセット方向へ傾斜させている。
このために、ピストン下死点近傍での筒内負圧が小さく下向きの慣性力が支配的である場合、アッパリンクの傾斜によりピストンが反ピンオフセット側へ押し付けられるとともに、ピストンピンのオフセットによって反ピンオフセット方向への回転モーメントが作用することから、反ピンオフセット側のピストン上部でシリンダと強く接触することとなる。一方、仮にピストン下死点の付近での筒内負圧が大きく、ピストン冠面中心に作用する上向きの力が支配的であっても、アッパリンクの傾斜によりピストンがピンオフセット側へ押し付けられるとともに、ピストンピンのオフセットによってピンオフセット方向への回転モーメントが作用することから、ピンオフセット側のピストン上部でシリンダと強く接触することとなる。このように、シリンダからのスラスト荷重をピストン上部で受ける姿勢に常に保持することができるので、ピストンがシリンダ下縁部と接触することを低減・回避することができる。また、ピストン下部に比して厚肉で剛性の高いピストン上部でスラスト荷重を受けるために、スカート周りの変形が抑制されるとともに、耐久性を向上することができる。
更に、スラスト荷重を受けない側ではピストン下部がシリンダに近接・接触することとなるので、例えばピストン下死点からのピストン上昇中にアッパリンクの傾斜方向が反転し、ピストンの傾斜によりピストンが反対側のシリンダへ押し付けられる際にも、ピストン上部に比して薄肉で剛性の低いピストン下部側から衝突することとなるので、衝突による打音や振動を低減することができる。
好ましくは、ピストン上死点の付近でも、ピストンピン中心のピンオフセット方向と同方向にアッパピンをピストンピン中心に対してオフセットさせる。つまり、アッパリンクを上へ向かって反ピンオフセット方向に傾斜させる。これにより、ピストン上死点の付近で、ピストンの冠面(中心)に大きな下向きの燃焼圧力が作用すると、アッパリンクの傾斜によりピストンが反ピンオフセット側のシリンダに押し付けられるとともに、ピストンピンのオフセットにより、反ピンオフセット方向の回転モーメントが作用するために、反ピンオフセット側のピストン上部でシリンダと強く接触してスラスト荷重を受けることになり、つまりピストン下部に比して厚肉で剛性の高いピストン上部において、燃焼圧力に起因する大きなスラスト荷重を受けることができるために、耐久性・信頼性を向上することができる。
また、スラスト荷重を受けない側ではピストン下部がシリンダに近接・接触することとなるので、例えばピストン上死点からのピストン下降中にアッパリンクの傾斜方向が反転し、このアッパリンクの傾斜によりピストンが反対側のシリンダに押し付けられる際にも、ピストン上部に比して薄肉で剛性の低いピストン下部側から衝突することとなるので、衝突による打音や振動を低減することができる。
本発明によれば、ピストンストロークの拡大に伴うシリンダの高さ方向寸法の増加を軽減・回避しつつ、ピストンがシリンダ下縁部に接触することを低減・回避することができる。
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書においては、基本的に、ピストン往復方向を「上下」方向とし、ピストン上死点へ向かう方向を「上」方向、ピストン下死点へ向かう方向を「下」方向としている。
図1〜図6は、この発明の一実施例に係る内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構を示し、図3及び図4はピストンが下死点にあるときの状態、図5及び図6はピストンが上死点にあるときの状態を示している。なお、図1〜図6では、理解を容易にするためにピストンの傾きやシリンダとのクリアランス等を誇張して描いており、実際の形状・寸法を正確に描いたものではない。
この複リンク式ピストン−クランク機構は、シリンダブロック10に設けられたシリンダ11内を往復動するピストン12にピストンピン13を介して一端が連結されたアッパリンク14と、このアッパリンク14の他端にアッパピン15を介して連結され、かつクランクシャフトのクランクピン16に回転可能に取り付けられたロアリンク17と、一端が機関本体としてのシリンダブロック10側に揺動可能に支持され、かつ他端がロアリンク17にコントロールピン18を介して連結されたコントロールリンク19と、を備えている。ロアリンク17は、クランクピン16に組み付け可能なように2部材17A,17Bに分割して構成されている。
コントロールリンク19の一端はシリンダブロック側に回転可能に支持される制御軸の偏心カム部20に回転可能に取り付けられている。偏心カム部20の外周円筒面の軸心は制御軸の回転中心に対して偏心している。制御軸の回転位置をアクチュエータ31により機関運転状態に応じて変更することで、偏心カム部20の位置、つまりコントロールリンク19の揺動支点の位置が変化する。これに伴って、コントロールリンク19によるロアリンク17の運動拘束条件が変化して、ピストン上死点位置やピストン下死点位置が変化し、内燃機関の幾何学的な圧縮比(機関圧縮比)が変化する。これらの制御軸やアクチュエータ31が、上記の複リンク機構を可変圧縮比機構として機能させる可変圧縮比手段を構成している。
このような可変圧縮比機構としての複リンク式ピストン−クランク機構においては、機関運転状態に応じて機関圧縮比を変更可能であることに加え、単リンク機構とは異なりピストンストローク特性の設定の自由度が高く、そのリンクディメンジョンを適切に選定することにより、単リンク機構に比して単振動に近い特性で、かつ、ピストンピン13の往復軸線に対するアッパリンク14の傾斜角度がピストン上昇行程よりもピストン下降行程で小さくなるように設定することができる。これにより、特にピストン上死点近傍での慣性力を大幅に低減しつつ、大きな燃焼荷重が作用するピストン上死点近傍でのピストン下降行程で、シリンダからピストンへ作用するスラスト−反スラスト方向のスラスト荷重を軽減することができる。特に、単リンク機構に比して単振動に近いピストンストローク特性とすることで、ピストン下死点近傍での滞在時間が短縮化され、その加速度が大きくなって慣性力が大きくなるので、後述する筒内負圧が慣性力を上回る領域が小さくなり、シリンダ下縁部との接触をより確実に低減・回避することができる。
また、低圧縮比の設定状態では、高圧縮比の設定状態に比して、ピストン上死点の位置を低く設定することにともなって、不可避的にピストン下死点の位置が低い設定となり、シリンダ下縁部26から下方へのピストン露出量が増加し、上述したシリンダ下縁部26との接触を招き易い。そこで本実施例では、このような低圧縮比の設定状態では、高圧縮比の設定状態に比して、アッパリンク14の傾斜角度が小さくなるように設定している。これにより、アッパリンク14の傾斜に起因するスラスト荷重自身を小さくすることができ、仮にシリンダ下縁部26と接触したとしても、これによるピストン12への悪影響を低減することができる。
更に、この内燃機関には、吸気弁の作動角を含むバルブリフト特性を変更可能な可変動弁機構として、吸気弁の作動角及びバルブリフト量を連続的に変更可能なリフト作動角可変機構32が設けられている。このようなリフト作動角可変機構32は特開2003−232233号公報等にも記載されているように公知であるので、ここでは説明を省略する。制御部33は、各種制御処理を記憶・実行する機能を有し、各種センサ類により検出される機関運転状態に基づいて、上記のアクチュエータ31やリフト作動角可変機構32に制御信号を出力して、その動作を制御する。
ピストン12は、例えばアルミニウムダイカスト製であり、ピストン上部にはピストンリング(図示省略)が嵌合する複数のリング溝21とランド部22とが交互に形成されている。また、ピストン下部には、ピストンピン13が嵌合するピン孔23Aが形成された2つの略円筒形状のピストンピンボス部23がピストンピン方向に並設されており、両ピンボス部23の間にアッパリンク14の上端部が介装される。また、ピストン下部には、ピストンピン13の中心線13Aと直交するスラスト−反スラスト方向(図1〜図6の左右方向)の外周部分に、ピストン最下端までのびる2つの薄肉形状のスカート部24(24R,24L)が形成されているとともに、ピストンピン方向の外周部分にエプロン部27が形成されている。
そして、ピストンピン13の中心(線)13A(つまり、ピストンピンボス部23の中心)を、ピストン12の冠面中心(ピストン中心線)12Aに対してスラスト−反スラスト方向にオフセットさせている。なお、スラスト−反スラスト方向でピストン冠面中心12Aに対してピストンピン中心13Aがオフセットする方向(図1〜図6の右側)を「ピンオフセット側R」又は「ピンオフセット方向R」と呼び、その反対方向(図1〜図6の左側)を「反ピンオフセット側L」又は「反ピンオフセット方向L」と呼ぶ。また、必要に応じて、ピンオフセット側Rの構成には参照符号の後に「R」を付し、反ピンオフセット側Lの構成には参照符号の後に「L」を付して、両者を区別する。
ピストン下死点近傍及びピストン上死点近傍を含むピストン往復行程の大半で、ピストンピン中心13Aに対して、アッパリンク14の下端部に設けられるアッパピン15がスラスト−反スラスト方向でピンオフセット側Rへオフセットするように、アッパピン15の軌跡15Aつまりピストンストローク特性が設定されている。つまり、アッパリンク14が上方へ向かって反ピンオフセット側Lへ傾斜するように設定されている。これによって、ピストン12のスラスト−反スラスト方向の移動が抑制され、これに伴うシリンダ11の壁面との衝突を有効に低減・回避することができる。但し、アッパピン15の傾斜が過度に大きくなることのないように、ピストン上死点近傍(クランク角40°以内)で、アッパリンク14の傾斜方向が反転するように設定されている。
図3及び図4に示すように、少なくともピストン下死点を含む下死点近傍では、ピストンスカート部24の一部がシリンダ11の下端に位置する隅角形状をなす下縁部26よりも下方に位置し、つまりシリンダ11よりも下方に露出するように、ピストンストローク特性が設定されている。より具体的には、図2に示すように、ピストン下死点でのシリンダ11の下縁部26がピストンピン中心13Aよりも上方に設定されている。これによって、ピストンストロークの拡大に伴うシリンダの高さ方向寸法の増加を抑制することができる。
ピストン下死点近傍では、ピストン12に対し、筒内負圧による上向きの力がピストン冠面(実質的には冠面中心12A)に作用するとともに、下向きの慣性力が作用する。筒内負圧が小さく、下向きの慣性力が支配的である場合には、アッパリンク14の傾斜によりピストン12が反ピンオフセット側Lのシリンダ11Lに押し付けられ、かつ、ピストンピン中心13Aのオフセットにより反ピンオフセット方向L(図の反時計回り方向)のモーメントが作用することから、反ピンオフセット側Lのピストン上部がシリンダ11Lと強く接触する。また、筒内負圧による上向きの力が下向きの慣性力を上回り、この上向きの力が支配的となっても、アッパリンク14の傾斜によりピストン12がピンオフセット側Rのシリンダ11Rへ押し付けられるとともに、ピストンピン中心13Aのオフセットによりピストンピン中心13A周りにピンオフセット側MRへの回転方向、つまり図3及び図4の時計周り方向のモーメントMRが作用し、図4に誇張して描いているように、ピンオフセット側Rでは、ピストン下部に比してピストン上部がシリンダ11Rと強く接触し、ピストン下部がシリンダ11の下縁部26Rから離れることとなる。このように、ピストン下死点近傍では、ピストン上部側でスラスト荷重を受ける姿勢、つまりピストン下部側がシリンダ11から離れる姿勢に維持することができ、ピストン下部のスカート部24とシリンダ下縁部26Rとの接触を低減・回避することができる。
図2を参照して、ピストン冠面中心(ピストン中心線)12Aに対するピストンピン中心13Aのスラスト−反スラスト方向のオフセット量をY、ピストン下死点でのシリンダ軸線やピストンピン往復軸線に対するアッパリンク14の傾斜角度をθ、ピストン下死点でのピストンピン中心13Aからシリンダ下縁部26までのシリンダ軸方向距離をピストンピン露出量Xと定義する。筒内負圧等によりピストン冠面中心12Aに上向きの力Fnが作用すると、その反作用として、アッパリンク14の傾斜方向に沿う下向きの力Fn/cosθが作用するとともに、ピンオフセット側Rのシリンダ11Rの壁面からFn×tanθのスラスト荷重が作用する。
従って、上述したようにピストン下死点でピストンピン中心13Aがシリンダ下縁部26よりも下降するように設定されている場合、仮にピストン下部がシリンダ下縁部26と接触して、このシリンダ下縁部26からスラスト荷重(Fn×tanθ)を受けると、ピストン12には、上記の上向きの力Fnに起因して、(Fn×Y)のモーメントがピンオフセット方向R(時計回り方向)に作用するとともに、上記のスラスト荷重に起因して、(Fn×tanθ×X)のモーメントが反ピンオフセット方向L(反時計回り方向)に作用する。
Y≧X・tanθ …(1)
そこで、上式(1)式を満たすように設定することで、仮にピストン12がシリンダ下縁部26と接触したとしても、筒内負圧によるピンオフセット方向MRのモーメント(Fn×Y)がスラスト荷重による反ピンオフセット方向のモーメント(Fn×tanθ×X)を常に上回ることとなり、ピストン12のかじりを防止し、ピストン12の損傷を低減・回避することができる。
このように、筒内負圧に起因する不具合を解消できるために、筒内負圧に対する制限が緩和され、上述したようなリフト作動角可変機構32による設定の自由度が高くなり、つまり大きな筒内負圧が発生する設定を用いることも可能となり、機関運転状態に応じて吸気弁のバルブリフト特性を適切に可変制御することによって、燃費・排気性能を著しく向上することができる。
図5及び図6に示すように、ピストン上死点近傍においては、アッパリンク14の上部が反ピンオフセット方向Lへ傾斜するとともに、大きな下向きの燃焼圧力Fcが実質的にピストン冠面中心12Aに作用することから、アッパリンク14の傾斜によりピストン12が反ピンオフセット方向Lへ押し付けられるとともに、ピストンピン中心13Aの傾斜により反ピンオフセット方向Lへのモーメント、つまり図5,図6で反時計回り方向のモーメントMLが作用し、反ピンオフセット側Lにおけるピストン上部でシリンダ11Rと強く接触することとなる。ここで、ピストン上部はピストン下部に比して厚肉で剛性が高いことから、耐久性・信頼性が向上する。
また、上述したように、ピストン上死点近傍(クランク角で40°以内)で、ピストン上死点後の下降行程中にアッパリンク14の傾斜方向が反転すると、アッパリンク14からピストン12へ作用する力の方向がスラスト−反スラスト方向で反転し、ピンオフセット側Rのシリンダ11Rと衝突する場合に、ピストン上部に比して薄肉で剛性の低いピストン下部のスカート部24Rから衝突することとなるので、打音や振動を低減することができる。
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形・変更を含むものである。例えば、上記実施例ではピストン下縁部の高さ位置をスラスト−反スラスト方向で同一としているが、異なる高さ位置に設定しても良い。
本発明の一実施例に係る内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構を示す断面対応図。 ピストンピンのオフセット量を示す説明図。 上記実施例の複リンク式ピストン−クランク機構を示すピストン下死点での断面対応図。 ピストン下死点でのピストンの姿勢を示す断面対応図。 上記実施例の複リンク式ピストン−クランク機構を示すピストン上死点での断面対応図。 ピストン上死点でのピストンの姿勢を示す断面対応図。
符号の説明
11…シリンダ
12…ピストン
13…ピストンピン
14…アッパリンク
15…アッパピン
16…クランクピン
17…ロアリンク
18…コントロールピン
19…コントロールリンク
24…スカート部
26…シリンダ下縁部

Claims (8)

  1. 内燃機関のシリンダ内を往復動するピストンにピストンピンを介して一端が連結されたアッパリンクと、このアッパリンクの他端にアッパピンを介して連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに回転可能に取り付けられたロアリンクと、一端が機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンクにコントロールピンを介して連結されたコントロールリンクと、を備えてなる内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構において、
    上記ピストンピンの中心をピストンの冠面の中心に対してスラスト−反スラスト方向にオフセットさせ、
    かつ、少なくともピストン下死点では、上記ピストンの一部がシリンダの下縁部よりも下方に位置するとともに、スラスト−反スラスト方向でピストン冠面中心に対するピストンピン中心のピンオフセット方向と同方向に、上記アッパピンをピストンピン中心に対してオフセットさせることを特徴とする内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構。
  2. 少なくともピストン上死点では、上記ピンオフセット方向と同方向に、上記アッパピンをピストンピン中心に対してオフセットさせることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構。
  3. 上記ピストン下死点では、ピストンピン中心がシリンダの下縁部よりも低い位置まで下降するように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構。
  4. 上記ピストン冠面中心に対するピストンピン中心のスラスト−反スラスト方向のオフセット量をY、ピストン下死点でのシリンダ軸線に対するアッパリンクの傾斜角度をθ、ピストン下死点でのピストンピン中心からシリンダ下縁部までのシリンダ軸方向距離をXとすると、
    Y≧X・tanθ …(1)
    上記(1)式を満たすように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構。
  5. ピストンピンとクランクピンを一本のリンクにより連結した単リンク式ピストン−クランク機構よりも単振動に近いピストンストローク特性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構。
  6. 上記コントロールリンクの一端の支持位置を変更することによって、機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構。
  7. 低圧縮比の設定状態では、高圧縮比の設定状態に比して、ピストン下死点の位置が下方に設定されるとともに、ピストン下死点におけるアッパリンクの傾斜角度が小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構。
  8. 上記内燃機関に吸気弁の作動角を含むバルブリフト特性を変更可能な可変動弁機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構。
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