JP4888518B2 - レシプロ式内燃機関 - Google Patents

レシプロ式内燃機関 Download PDF

Info

Publication number
JP4888518B2
JP4888518B2 JP2009119376A JP2009119376A JP4888518B2 JP 4888518 B2 JP4888518 B2 JP 4888518B2 JP 2009119376 A JP2009119376 A JP 2009119376A JP 2009119376 A JP2009119376 A JP 2009119376A JP 4888518 B2 JP4888518 B2 JP 4888518B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
axis
link
piston
reciprocating
internal combustion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2009119376A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009257330A (ja
Inventor
克也 茂木
孝之 荒井
博也 藤本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2009119376A priority Critical patent/JP4888518B2/ja
Publication of JP2009257330A publication Critical patent/JP2009257330A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4888518B2 publication Critical patent/JP4888518B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Description

本発明は、自動車等に好適に用いられるレシプロ式内燃機関の改良に関する。
一般的なレシプロ式内燃機関では、クランクシャフトのクランクピンとピストンのピストンピンとが1本のリンク(コンロッド)で連結されている。このような単リンク型レシプロ機関では、コンロッドの長さが有限なので、ピストンの運動に、回転1次振動成分以外の高次振動成分が含まれる。
図9は、単リンク型レシプロ機関におけるピストン加速度(太実線)及び各次数成分の変動を示すグラフである。同図に示すように、従来の一般的な単リンク型レシプロ機関では、ピストン運動の回転1次振動成分に対応するピストン加速度の1次成分の他に、比較的大きな振幅(1次成分の振幅の1/3前後)の2次成分が含まれていることが分かる。このため、機関本体側には、主に回転1次と2次の振動成分に起因する加振力が作用する。
回転1次の振動成分に起因する1次振動は、クランクシャフトのクランクピンと反対側の位置にカウンタウェイトを設けることで十分に抑制することができる。また、多気筒機関では、気筒の配列を工夫することによっても1次振動を十分に抑制することができる。
しかしながら、クランクシャフト回転同期に対する2次の振動成分に起因する2次振動は、気筒配列では解消することができない場合が多く、この2次振動は車室内こもり音の原因となり易い。コンロッドを長くするほど、ピストンの運動は単振動に近づき、ピストン加速度の2次成分を小さくすることができるが、エンジンの全高が高くなるので、重量の増加や車載性の悪化を招き易い。
本発明の目的は、クランクピンとピストンピンとを複数のリンクで連結することにより、エンジン全高の増加を伴なわず、クランクシャフト回転同期に対する2次振動成分を効果的に低減できる新規なレシプロ式内燃機関を提供することにある。
なお、クランクピンとピストンピンとを複数のリンクで連結するレシプロ式内燃機関自体は特開平9−228858号公報等により公知であるが、このようなリンク機構を用いてピストン運動のクランクシャフト回転同期に対する2次振動成分を低減しているものはない。
本発明に係るレシプロ式内燃機関は、ピストンのピストンピンに連結されるアッパーリンクと、このアッパーリンクとクランクシャフトのクランクピンとを連結するロアーリンクと、一端が機関本体側へ揺動可能に支持され、他端が上記アーリンクに連結されるサードリンクと、を備える複リンク型の構成となっている。
そして、第1の発明は、クランクシャフト軸方向に見たときに、アッパーリンクとロアーリンクを連結する第1の連結点とサードリンクとロアーリンクを連結する第2の連結点とは、クランクピンを通りシリンダ軸線方向に延びる直線を挟んで互いに反対側に配置されるレシプロ式内燃機関であって、
上記アッパーリンクは、ピストンピンから見たときの上記第1の連結点の揺動軌跡が下に凸な円弧となるように、その下端側においてロアーリンクに連結され、上死点と下死点とで第1の連結点が揺動軌跡の円弧の途中に位置するように構成されており、
上記サードリンクは、機関本体側の支持点から見たときの上記第2の連結点の揺動軌跡が上に凸な円弧となるように、その上端側においてロアーリンクに連結され、上死点と下死点とで第2の連結点が揺動軌跡の円弧の途中に位置するように構成され、上死点からピストンが下降してアッパーリンクのシリンダ軸線に対する傾きが増えるとき、サードリンクのシリンダ軸線に対する傾きが増え、かつ、下死点に向かってピストンが下降してアッパーリンクのシリンダ軸線に対する傾きが減るとき、サードリンクのシリンダ軸線に対する傾きが減ることを特徴としている。
言い換えると、ピストン運動の回転2次振動成分の振幅が十分に小さくなるように、複リンク型レシプロ機関を構成する各リンク部材の寸法,形状,レイアウト等を設定している。
また、第2の発明は、ピストン運動のクランクシャフト回転同期に対する2次振動成分の振幅と3次振動成分の振幅とがほぼ等しいことを特徴としている。
言い換えると、ピストン運動の回転2次振動成分の振幅が回転3次振動成分の振幅と同程度まで抑制されるように、複リンク型レシプロ機関を構成する各リンク部材の寸法,形状,レイアウト等を設定している。
このような構成により、第3の発明のように、機関の運転状態等に応じて上記サードリンクの揺動軸心の位置を機関本体に対して移動することにより、ピストン行程を変化させて、機関の圧縮比を変更することが可能である。
このようにピストン行程を変化させて圧縮比を変化させる構成では、圧縮比の変更に伴ってピストン加速度の各次成分の振幅も変化する。そこで、好ましくは、静粛性を要求される低中速回転運転時に高圧縮比とした場合、ピストン加速度の高次成分振幅が小さくなるように設定している。
つまり、第4の発明は、高圧縮比としたときのピストン運動のクランクシャフト回転同期に対する2次振動成分の振幅が、低圧縮比としたときのピストン運動のクランクシャフト回転同期に対する2次振動成分の振幅よりも小さいことを特徴としている。
上記のようにサードリンクの揺動軸心が移動可能に構成されている場合、ピストン加速度が最も大きくなるピストン上死点及び下死点近傍で、サードリンクの揺動軸心を移動可能に支持する部分へ大きな荷重が作用し、この荷重に対向するために大きな保持力が必要となる。
そこで、第5の発明では、少なくともピストン上死点近傍で、サードリンクの揺動軸心を支持する部分へ作用する荷重を効果的に抑制するために、サードリンクからクランクピンの軸心とピストンピンの往復軸線との距離を、サードリンクの揺動軸心とピストンピンの往復軸線との距離よりも小さくしている。
また、第6の発明では、少なくともピストン下死点近傍で、サードリンクの揺動軸心を支持する部分へ作用する荷重を効果的に抑制するために、クランクピンの軸心とピストンピンの往復軸線との距離を、サードリンクの揺動軸心とピストンピンの往復軸線との距離よりも小さくしている。
第7の発明は、クランクシャフトの回転中心を原点とし、ピストンピン及びその往復軸線と直交する方向と平行にx軸をとり、ピストンピンの往復軸線と平行にy軸をとり、かつ、クランクシャフトの回転方向を反時計回り方向と定義した場合、上記サードリンクの揺動軸心のx座標が正で、ピストンピンの往復軸線のx座標が負となるように設定したことを特徴としている。
第8の発明は、上記クランクシャフトの軸心とクランクピンの軸心との距離をL1;
上記クランクピンの軸心と、ロアーリンクとサードリンクとが相対回転可能に連結する部分の第1の軸心と、の距離をL2;
上記サードリンクのリンク長をL3;
上記クランクピンの軸心と、アッパーリンクとロアーリンクとが相対回転可能に連結する部分の第2の軸心と、の距離をL4;
上記第1の軸心と第2の軸心との距離をL5;
上記アッパーリンクのリンク長をL6;
上記サードリンクの揺動軸心の座標位置を(XC,YC);
ピストンピンの往復軸線のx座標をx4;
と定義した場合、
(数2)
L1:L2:L3:L4:L5:L6:XC:YC:x4
≒1:2.4:2.65〜3.5:0.69:3.0〜3.4:3.3〜3.55:3.2〜3.55:−2〜−1.35:−1〜−0.6
が成立することを特徴としている。
第1,2の発明によれば、圧縮比を変更可能な複リンク型のレシプロ式内燃機関において、ピストン運動のクランクシャフト回転同期に対する2次振動成分に起因する2次振動を低減して、この2次振動に起因する車室内こもり音等を十分に抑制することができる。
特に、第4の発明によれば、例えば静粛性を要求される低中速回転運転時に、ピストン加速度の高次成分の振幅を効果的に抑制することができる。
第5,6の発明によれば、サードリンクの揺動軸心が移動可能に構成されている場合に、サードリンクの揺動軸心を移動可能に支持する部分へ作用する荷重が特に大きくなるピストン上,下死点近傍で、その荷重を効果的に抑制することができる。
本発明の一実施例に係る複リンク型レシプロ内燃機関を示す概略構成図(a)及び分解構成図(b)。 本実施例に係る各クランクシャフト回転位置におけるリンク図。 本実施例に係る高圧縮比及び低圧縮比としたときのピストン行程を示すグラフ。 本実施例に係る高圧縮比としたときのピストン加速度及び各次数成分の振幅を示すグラフ。 本実施例に係る低圧縮比としたときのピストン加速度及び各次数成分の振幅を示すグラフ。 本実施例に係るピストン上死点近傍(a)及び下死点近傍(b)のリンク姿勢を示す概略構成図。 本実施例に係るピストン上死点近傍でのピストン加速度の2次成分の振幅を示すグラフ。 本実施例に係るピストン下死点近傍でのピストン加速度の2次成分の振幅を示すグラフ。 従来の単リンク型レシプロ式内燃機関に係るピストン加速度及び各次数成分を示すグラフ。
以下、本発明に係る上記の及び他の構成及び作用効果について、具体的な実施例及び図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る複リンク型レシプロ式内燃機関を示す概略構成図(a)及び分解構成図(b)である。クランクシャフト1には、機関本体を構成するシリンダブロック(図示略)の主軸受(図示略)に回転可能に支持されるクランクジャーナル2が各気筒毎に設けられている。各クランクジャーナル2は、その軸心Oがクランクシャフト1の軸心(回転中心)と一致しており、クランクシャフト1の回転軸部を構成している。
また、クランクシャフト1は、軸心Oから偏心して各気筒毎に設けられたクランクピン3と、クランクピン3をクランクジャーナル2へ連結するクランクアーム3aと、軸心Oに対してクランクピン3と反対側に配置され、主としてピストン運動の回転1次振動成分を低減するカウンターウェイト3bと、を有している。クランクアーム3aとカウンターウェイト3bとは、この実施例では一体的に形成されている。
そして本実施例では、各気筒毎に形成されたシリンダ9に摺動可能に嵌合するピストン8と、上記のクランクピン3とが、複数のリンク部材、すなわちアッパーリンク5とロアーリンク4とにより機械的に連携されている。アッパーリンク5の上端側は、ピストン8に固定的に設けられたピストンピン7に、軸心Oc周りに相対回転可能に外嵌している。また、アッパーリンク5の下端側とロアーリンク4の本体4aとは、両者を挿通する連結ピン6によって、軸心Od周りに相対回転可能に連結されている。
ロアーリンク4は、クランクピン3を狭持するように、本体4aへキャップ4bを取付けて構成されており、この狭持部分でクランクピン3と軸心Oe周りに相対回転可能に連結されている。ロアーリンク本体4aと制御リンク(サードリンク)10の上端側とは、両者を挿通する連結ピン11によって軸心Of周りに相対回転可能に連結されている。
この制御リンク10の下端側は、シリンダブロックに回動可能に支持される制御軸12の大径部12aに、その軸心Oa周りに揺動可能に外嵌,支持されている。すなわち、制御軸12の小径部12bの外周には大径部12aが固定的に設けられており、各大径部12aの軸心Oaは、小径部12bの軸心Obに対して所定量偏心している。この制御軸12は、図示しない圧縮比制御アクチュエータによって、機関の運転状態に応じて回動制御されるとともに、任意の回動位置で保持されるようになっている。
ここで、図1(a)に示すように、クランクシャフト1の回転中心(クランクジャーナル2の軸心)Oを原点とし、ピストンピン7及びその往復軸線lと直交する方向(スラスト−反スラスト方向)と平行にx軸をとり、ピストンピン7の往復軸線lと平行にy軸をとり、かつ、クランクシャフト1の回転方向を反時計回り方向と定義した場合、ピストンピン7の軸心Ocを通る往復軸線(≒シリンダ9の軸線)lのx座標が負の値となり、制御リンク10の揺動軸心となる大径部12aの軸心Oaのx座標が正の値となるように設定されている。
より詳細には、
クランクシャフト1の軸心Oとクランクピン3の軸心Oeとの距離をL1;
クランクピン3の軸心Oeと、ロアーリンク4と制御リンク10とを相対回転可能に連結する連結ピン11の軸心(第1の軸心)Ofと、の距離をL2;
制御リンク10のリンク長をL3;
クランクピン3の軸心Oeと、アッパーリンク5とロアーリンク4とを相対回転可能に連結する連結ピン6の軸心(第2の軸心)Odと、の距離をL4;
上記軸心Ofと軸心Odとの距離をL5;
アッパーリンク5のリンク長をL6;
制御リンク10の揺動軸心Oaの座標位置を(XC,YC);
ピストンピン7の往復軸線lのx座標をx4;
と定義した場合、以下の比が成立するように設定されている。
(数3)
L1:L2:L3:L4:L5:L6:XC:YC:x4
≒1:2.4:2.65〜3.5:0.69:3.0〜3.4:3.3〜3.55:3.2〜3.55:−2〜−1.35:−1〜−0.6
なお、XC,YCは制御軸12の回動位置によって変化するが、本実施例では、制御軸12の回動位置が制御範囲内にあるときは、常に上記の比が成立するように設定されている。
このような構成により、クランクシャフト1の回転に伴って、クランクピン3,ロアーリンク4,アッパーリンク5及びピストンピン7を介してピストン8がシリンダ9内を昇降するとともに、ロアーリンク4に連結する制御リンク10が、下端側の揺動軸心Oaを支点として揺動する。参考として、図2に、各クランクシャフト1の回転角度θ(図1)位置におけるリンク姿勢を模式的に示す。
また、上記の圧縮比制御アクチュエータにより制御軸12を回動制御することにより、制御リンク10の揺動軸心となる大径部12aの軸心Oaが小径部12bの軸心Ob周りに回転し、つまり制御リンク10の揺動中心位置Oaが機関本体(及びクランクシャフト回転中心O)に対して移動する。これにより、ピストン8の行程が変化して、機関の各気筒の圧縮比が可変制御される。参考として、図3に、高圧縮比,低圧縮比となるように制御軸12の回動位置を保持した状態における、各ピストン行程(ピストンピン軸心Ocのy座標)を示す。
図4,5は、本実施例の複リンク型レシプロ機関におけるピストン加速度(太実線)及びその各次数成分を示しており、これらの各次数成分は、ピストン運動の各回転次数の振動成分に対応している。なお、図4は高圧縮比としたときの状態を、図5は低圧縮比としたときの状態を示している。
図4に示すように、少なくとも高圧縮比としたときには、回転1次の振動成分の振幅に対し、高次の振動成分の振幅が1割以下に抑えられており、これらの高次振動成分に起因する振動・騒音の発生を十分に小さくすることができる。
また、図5に示す低圧縮比としたときには、図4の高圧縮比時と比較すると、高次の振動成分の振幅が若干大きくなっているが、それでも回転1次の振動成分の振幅の1割以下(詳細には、2次成分の振幅が7%以下、3次成分の振幅が9%以下、4次成分の振幅が7%以下)に抑えられており、これらの高次振動成分に起因する振動・騒音の発生を十分に小さくすることができる。
そして、図4,5に示す本実施例の複リンク型レシプロ機関では、図9に示すような単リンク型レシプロ機関に比して、ほぼ同一のピストンストローク及びほぼ同一のシリンダ高さ(クランクジャーナルの軸心Oを原点としたときのピストン上死点位置でのピストンピンの軸心Ocのy座標)を実現しつつ、クランクシャフト回転同期に対する2次成分が大幅に低減されている。言い換えると、ピストン運動の回転2次振動成分の振幅が、回転3次振動成分の振幅とほぼ同程度まで抑制されている。このため、エンジン全高の増加を伴なわず、ピストン運動の回転2次振動成分に起因する2次振動を低減して、この2次振動に起因する車室内こもり音等を十分に抑制することができる。
ところで、可変圧縮比機構を有する機関では、一般的に、低中速回転運転時に高圧縮比とし、高速回転運転時に低圧縮比とすることが多い。本実施例のように、ピストン行程を変化させて圧縮比を変更する機構では、図4,5に示すように、圧縮比の変更に伴なってピストン加速度の各次数成分の振幅も変化する。そこで本実施例では、より静粛性を要求される低中速回転運転時(高圧縮比時)に、ピストン加速度の高次成分の振幅が、低圧縮比時に比して相対的に小さくなるように設定している。
図6は、本実施例の複リンク型機関における、ピストン上死点近傍(a)及びピストン下死点近傍(b)でのリンク姿勢を示している。
ピストン8が上死点または下死点近傍にあるとき、ピストン8の加速度は最も大きくなり、ピストンピン7,アッパーリンク5,ロアーリンク4,及び制御リンク10を介して制御軸12に作用する荷重が最も大きくなる。また、ピストン8が圧縮上死点近傍にあるときはピストン8が受ける燃焼圧の反力が制御軸12に加わることになる。
制御リンク10側から制御軸12へ作用する荷重は、実質的に大径部12aの軸心Oaに作用することになるが、この軸心Oaは制御軸12の回動中心である小径部12bの軸心Obから偏心しているので、制御リンク10からの荷重は制御軸12を回動させるトルクとして作用する。このトルクが圧縮比制御アクチュエータの回動位置保持トルクよりも大きくなると、制御軸12が制御に反して回転してしまい、圧縮比が勝手に変化してしまうという不具合が生じる。
そこで本実施例では、少なくとも制御リンク10から制御軸12に加わる荷重が大きくなるピストン上,下死点近傍において、クランクピン3の軸心Oeとピストンピン7の軸心Ocとのx軸方向距離αが、制御リンク10の揺動軸心である制御軸大径部12aの軸心Oaとピストンピン7の軸心Ocとのx軸方向距離βよりも小さくなるように、つまりα<βとなるように設定して、てこ比によって制御軸12に加わる荷重を小さくしている。これにより圧縮比制御アクチュエータの回動位置保持トルクを効果的に低減することができる。
加えて、β/αが1より小さくなるとピストン加速度の2次成分の振幅が急に大きくなることを計算で確認しており(図7,8)、この点からもα<βとすることが好ましい。なお、図7,8は、それぞれピストン上死点近傍,ピストン下死点近傍におけるβ/αとピストン加速度の2次成分の振幅との関係を示している。
また本実施例では、上述したように、制御リンク10の揺動軸心となる大径部12aの軸心Oaのx座標が正で、かつピストンピン7の往復軸線lのx座標が負の位置に設定されているため、内燃機関の動力源であるピストン8への下向きの燃焼荷重を、有効にクランクピン3に作用させることができるとともに、機関本体のx軸方向(幅方向)寸法を抑制し、機関本体の小型化を図ることができる。
この点について詳述すると、仮に大径部12aの軸心Oaのx座標が正で、かつピストンピン7の往復軸線lのx座標が正ならば、往復軸線lのx座標と、ピストン下降時(クランクピン3の軸心Oeのy座標減少時)のクランクピン軸心Oeのx座標と、のズレが大きくなるため、ピストン8への下向き燃焼荷重を有効にクランクピン3に作用させることができなくなるとともに、上記のαとβの差を大きく確保するためには、大径部12aの軸心Oaのx座標を大きく(言い換えれば、x軸の正方向に大きく離して)設定しなければならず、結果的に機関本体の幅方向寸法が大きくなってしまう。
また、仮に大径部12aの軸心Oaのx座標が負で、かつピストンピン7の往復軸線lのX座標が負の場合、往復軸線lのx座標と、ピストン下降時(クランクピン3の軸心Oeのy座標減少時)のクランクピン軸心Oeのx座標と、のズレは小さくなるため、ピストン8への下向きの燃焼荷重を有効にクランクピン3に作用させることはできるが、上記のαとβとの差を大きく確保するためには、大径部12aの軸心Oaのx座標を十分に小さく(言い換えれば、x軸の負方向に大きく離して)設定しなければならず、結果的に機関本体の幅方向寸法が大きくなってしまう。
更に、仮に大径部12aの軸心Oaのx座標が負で、かつピストンピン7の往復軸線lのx座標が正の場合、ピストンピン7の往復軸線lのx座標と、下降時(クランクピン3の軸心Oeのy座標減少時)のクランクピン軸心Oeのx座標と、のズレが大きくなるため、ピストン8への下向きの燃焼荷重を有効にクランクピン3に作用させることができなくなってしまう。
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形,変更が可能である。
1…クランクシャフト
3…クランクピン
4…ロアーリンク
5…アッパーリンク
7…ピストンピン
8…ピストン
10…制御リンク(サードリンク)

Claims (8)

  1. ピストンのピストンピンに連結されるアッパーリンクと、
    このアッパーリンクとクランクシャフトのクランクピンとを連結するロアーリンクと、
    一端が機関本体側へ揺動可能に支持され、他端が上記ロアーリンクに連結されるサードリンクと、を備え、
    クランクシャフト軸方向に見たときに、アッパーリンクとロアーリンクを連結する第1の連結点とサードリンクとロアーリンクを連結する第2の連結点とは、クランクピンを通りシリンダ軸線方向に延びる直線を挟んで互いに反対側に配置されるレシプロ式内燃機関であって、
    上記アッパーリンクは、ピストンピンから見たときの上記第1の連結点の揺動軌跡が下に凸な円弧となるように、その下端側においてロアーリンクに連結され、上死点と下死点とで第1の連結点が揺動軌跡の円弧の途中に位置するように構成され、
    上記サードリンクは、機関本体側の支持点から見たときの上記第2の連結点の揺動軌跡が上に凸な円弧となるように、その上端側においてロアーリンクに連結され、上死点と下死点とで第2の連結点が揺動軌跡の円弧の途中に位置するように構成され、上死点からピストンが下降してアッパーリンクのシリンダ軸線に対する傾きが増えるとき、サードリンクのシリンダ軸線に対する傾きが増え、かつ、下死点に向かってピストンが下降してアッパーリンクのシリンダ軸線に対する傾きが減るとき、サードリンクのシリンダ軸線に対する傾きが減ることを特徴とするレシプロ式内燃機関。
  2. ピストン運動のクランクシャフト回転同期に対する2次振動成分の振幅と3次振動成分の振幅とがほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載のレシプロ式内燃機関。
  3. 上記サードリンクの揺動軸心の位置を機関本体に対して移動することにより、機関の圧縮比を変更することを特徴とする請求項1または2に記載のレシプロ式内燃機関。
  4. 高圧縮比としたときのピストン運動のクランクシャフト回転同期に対する2次振動成分の振幅が、低圧縮比としたときのピストン運動のクランクシャフト回転同期に対する2次振動成分の振幅よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載のレシプロ式内燃機関。
  5. 少なくともピストン上死点近傍で、クランクピンの軸心とピストンピンの往復軸線との距離が、サードリンクの揺動軸心とピストンピンの往復軸線との距離よりも小さいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレシプロ式内燃機関。
  6. 少なくともピストン下死点近傍で、クランクピンの軸心とピストンピンの往復軸線との距離が、サードリンクの揺動軸心とピストンピンの往復軸線との距離よりも小さいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレシプロ式内燃機関。
  7. クランクシャフトの回転中心を原点とし、ピストンピン及びその往復軸線と直交する方向と平行にx軸をとり、ピストンピンの往復軸線と平行にy軸をとり、かつ、クランクシャフトの回転方向を反時計回り方向と定義した場合、
    上記サードリンクの揺動軸心のx座標が正で、ピストンピンの往復軸線のx座標が負となるように設定したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のレシプロ式内燃機関。
  8. 上記クランクシャフトの軸心とクランクピンの軸心との距離をL1;
    上記クランクピンの軸心と、ロアーリンクとサードリンクとが相対回転可能に連結する部分の第1の軸心と、の距離をL2;
    上記サードリンクのリンク長をL3;
    上記クランクピンの軸心と、アッパーリンクとロアーリンクとが相対回転可能に連結する部分の第2の軸心と、の距離をL4;
    上記第1の軸心と第2の軸心との距離をL5;
    上記アッパーリンクのリンク長をL6;
    上記サードリンクの揺動軸心の座標位置を(XC,YC);
    ピストンピンの往復軸線のx座標をx4;
    と定義した場合、
    (数1)
    L1:L2:L3:L4:L5:L6:XC:YC:x4
    ≒1:2.4:2.65〜3.5:0.69:3.0〜3.4:3.3〜3.55:3.2〜3.55:−2〜−1.35:−1〜−0.6
    が成立することを特徴とする請求項7に記載のレシプロ式内燃機関。
JP2009119376A 2009-05-18 2009-05-18 レシプロ式内燃機関 Expired - Lifetime JP4888518B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009119376A JP4888518B2 (ja) 2009-05-18 2009-05-18 レシプロ式内燃機関

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009119376A JP4888518B2 (ja) 2009-05-18 2009-05-18 レシプロ式内燃機関

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000037380A Division JP2001227367A (ja) 2000-02-16 2000-02-16 レシプロ式内燃機関

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009257330A JP2009257330A (ja) 2009-11-05
JP4888518B2 true JP4888518B2 (ja) 2012-02-29

Family

ID=41385024

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009119376A Expired - Lifetime JP4888518B2 (ja) 2009-05-18 2009-05-18 レシプロ式内燃機関

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4888518B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR977781A (fr) * 1942-11-10 1951-04-05 Dispositif de transmission par bielle et manivelle pour moteurs à combustion interne
JPS5732267Y2 (ja) * 1980-06-19 1982-07-15
DE3030615C2 (de) * 1980-08-13 1983-09-29 Gerhard 8501 Allersberg Mederer Brennkraftmaschine
FR2581702A1 (fr) * 1985-05-10 1986-11-14 Bruey Raymond Moteur a combustion interne
JPH09228858A (ja) * 1996-02-24 1997-09-02 Hondou Jutaku:Kk レシプロエンジン
GB2392475A (en) * 2002-08-27 2004-03-03 Edward Allen I.c. engine connecting rod arrangement

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009257330A (ja) 2009-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001227367A (ja) レシプロ式内燃機関
JP5146250B2 (ja) 複リンク式エンジンの振動低減構造
JP2010216276A (ja) 可変圧縮比機構
JP2009257315A (ja) 内燃機関
JP4992602B2 (ja) 複リンク型ピストンクランク機構
JP5417977B2 (ja) マルチリンクエンジンの振動低減構造
JP5515468B2 (ja) 内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構及びその設計方法
JP4888518B2 (ja) レシプロ式内燃機関
JP2009046984A (ja) マルチリンクエンジンのリンクジオメトリ
JP2007232112A (ja) 複リンク式ピストンクランク機構の軸受構造
JP2009036146A (ja) 複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造
JP4816588B2 (ja) 内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構
JP4591079B2 (ja) 内燃機関のクランク機構
JP5126100B2 (ja) 複リンク機構
JP5696573B2 (ja) 内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構
JP4822183B2 (ja) ストローク特性可変エンジン
JP4816587B2 (ja) 内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構
JP2010203345A (ja) 複リンク式内燃機関の軸受構造
JP5293856B2 (ja) 複リンク式エンジンの振動低減構造
JP5327361B2 (ja) 複リンク式エンジンの振動低減構造
JP4581675B2 (ja) 内燃機関
JP5077189B2 (ja) 複リンク式エンジンの振動低減構造
JP2008069679A (ja) ストローク特性可変エンジン
JP2009036143A (ja) 内燃機関
JP5099028B2 (ja) 内燃機関の複リンク式可変圧縮比装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110412

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110613

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110712

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111012

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20111019

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111115

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4888518

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

EXPY Cancellation because of completion of term