JP2010216276A - 可変圧縮比機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造が複雑なクラッチ機構を介在させることなく、圧縮比を制御(変更)あるいは保持するのに適した可変圧縮比機構を提供する。
【解決手段】アッパーリンク2と、ロアリンク3と、コントロールリンク4と、第1コントロールシャフト6と、リンク9と、第2コントロールシャフト7とを備える可変圧縮比機構において、第1コントロールシャフト6を回転させたときの第1コントロールシャフト偏心軸6bの作動角θ1が、第2コントロールシャフト7を回転させたときの第2コントロールシャフト偏心軸7bの作動角θ2よりも小さい。
【選択図】図1

Description

本発明は、ピストン上死点位置を変化させることで機関圧縮比を変化させる可変圧縮比機構に関する。
可変圧縮比機構として、ピストンとクランク軸とを複数のリンクで接続し、電動モータ等のアクチュエータにより複数のリンクの姿勢を変化させることでピストン上死点位置を変化させるものが知られている。このような可変圧縮比機構では、圧縮比可変応答性を高めるためにボールネジ等の高効率を持つ減速機が用いられる。
しかし、リンク姿勢をアクチュエータにより変化させる効率(正効率)が高いということは、これとは逆に、エンジン負荷がリンク姿勢を変化させる効率(逆効率)も高くなる。
このため、所望の圧縮比を保持する手段が必要となるが、モータにリンク姿勢保持用の駆動力を発生させることは、逆効率が高くなるほど消費エネルギの増大を招くので、省電力で保持可能な保持機構が望まれる。
そこで、特許文献1では、所望の圧縮比を保持するための機構として、アクチュエータがリンク姿勢を変化させる入力は伝達し、エンジン負荷がリンク姿勢を変化させようとする入力は遮断するクラッチ機構を設けている。
特開2005−30234号公報
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、保持機構として、構造が複雑なクラッチ機構を介在させることで、システムの大型化やコスト増大等という問題が生じてしまう。
そこで、本発明では、構造が複雑なクラッチ機構を介在させることなく、圧縮比を制御(変更)あるいは保持するのに適した可変圧縮比機構を提供することを目的とする。
本発明の可変圧縮比機構は、一端がピストンとピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、アッパーリンクの他端とアッパピンを介して連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに連結されるロアリンクと、一端がコントロールピンを介してロアリンクに連結される第1コントロールリンクと、第1コントロールリンクの他端が揺動可能に連結される偏心軸を有しクランクシャフトと平行に配置される第1コントロールシャフトと、一端が前記第1コントロールシャフトの偏心部位と回転可能に連結されたリンクと、リンクの他端が回転可能に連結される偏心軸を有しクランクシャフトと平行に配置される第2コントロールシャフトと、を備え、低負荷時には高圧縮比、高負荷時には低圧縮比となるようにピストンの上死点位置を変化させる可変圧縮比機構である。そして、第1コントロールシャフトを回転させたときの第1コントロールシャフト偏心軸の作動角θ1が、第2コントロールシャフトを回転させたときの第2コントロールシャフト偏心軸の作動角θ2よりも小さい。
本発明によると、第1コントロールシャフトを介することで角度変化が減少する(減速する)ので、第2コントロールシャフトの圧縮比を駆動あるいは保持するトルクが相対的に小さくて済むとともに、最高圧縮比および最低圧縮比のときにセルフロックの効果を得ることができるので、構造が複雑なクラッチ機構を介在させることなく、圧縮比を制御しあるいは保持するのに適した可変圧縮比機構が提供される。
複リンク式可変圧縮比機構の概略構成図であり、(a)は最高圧縮比時、(b)は最低圧縮比時の様子を表した図である。 第1コントロールシャフト主軸に作用する荷重について説明するための図である。 コントロールリンクの揺動角範囲を示す図である。
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態に適用する複リンク式可変圧縮比機構の概略構成図であり、図1(a)は最高圧縮比時、図1(b)は最低圧縮比時の様子を表した図である。なお、図1においては、可変圧縮比機構を駆動する機構及び設定した圧縮比を保持する保持機構については省略している。駆動する機構と保持機構は別々の機構であるか共通の機構であるかは問題ではなく、例えば1つのモータであっても構わない。
また、複リンク式可変圧縮比機構は、後述する複数のコントロールシャフト部分を除いて、その構成、圧縮比が変化するメカニズム及び圧縮比制御方法等は公知の複リンク式可変圧縮比機構(例えば特開2002−115571号公報等)と同様なので、詳細な説明は省略する。
図1において、1はピストン、2はアッパーリンク、3はロアリンク、4はコントロールリンク、5はクランクシャフト、6は第1コントロールシャフト、7は第2コントロールシャフト、8は第1リンク、9は第2リンクである。なお、第1リンク8は、第1コントロールシャフト6の一部(一体)であって、第1コントロールシャフト6に対して相対回転するようなものではない。ワイヤーフレームで示した各図においては、見かけ上主軸6aを中心に回転するリンクのように見えるので、以下の説明では便宜上第1リンクと称する。具体的には、コントロールリンク4と第1コントロールシャフト6との連結点である偏心軸6bと主軸6aを結んだ線と、第2コントロールリンク9と第1コントロールシャフト6との連結点である連結ピン12と主軸6aを結んだ線と、で示されている。見かけ上リンクと称すものの、上述のように第1コントロールシャフト6そのものであって、必ずしもリンク状あるいはレバー状の部材である必要はなく、偏心軸6bや連結ピン12は、第1コントロールシャフト6の主軸6aから偏心して設けられた偏心ピンであって構わない。また、図1の本実施形態では、偏心軸6aと連結ピン12は主軸6aを間に挟んで一直線上に並んでいるが、このような配置に限定されるものでもない。
ピストン1は、図示しないシリンダブロックのシリンダ内に往復動可能に収められている。第1コントロールシャフト6及び第2コントロールシャフト7はクランクシャフト5と略平行に気筒列方向に延びている。ロアリンク3はクランクシャフト5のクランクピン5aに相対回転可能に連結されている。なお、クランクシャフト5は図中反時計回りに回転するものとする。
アッパーリンク2は、上端がピストンピン1aに、下端がロアリンク3に、それぞれピストンピン1a、連結ピン11を介して相対回転可能に連結されている。
コントロールリンク4は、上端がロアリンク3に連結ピン10を介して、下端が第1コントロールシャフト6に、それぞれ相対回転可能に連結されている。なお、コントロールリンク4は第1コントロールシャフト6の主軸6aから偏心した位置(偏心軸)6bに連結されている。
第2リンク9の一端は、第1リンク8(第1コントロールシャフト6の偏心部位)と相対回転可能に連結されている。第2リンク9の他端は、第2コントロールシャフト7の主軸7aから偏心した位置(偏心軸)7bに相対回転可能に連結されている。なお、主軸7aと偏心軸7bが一体となった第2コントロールシャフト7ではなく、主軸7aを含むシャフトと偏心軸7bを含むシャフトを設け、主軸7aと偏心軸7bを第3リンク13で連結するような構成にしてもよい。
本実施形態では、第2コントロールシャフト7を図示しないアクチュエータによって駆動する。これにより、第2リンク9と第1リンク8を介して連結されている第1コントロールシャフト6は主軸6aを中心として回転し、第1コントロールシャフト6にコントロールリンク4を介して連結されているロアリンク3は、クランクピン5aを軸として傾き、ロアリンク3にアッパーリンク2を介して連結されるピストン1の位置が変化する。
第1コントロールシャフト6が図中反時計回りに回転すると、ロアリンク3はクランクピン5aを軸として図中時計回りに回転し、これによりピストン1の上死点位置は下降し、ロアリンク3の図中時計回り方向の傾きが最大になったときに図1(b)に示すように最低圧縮比となる。一方、第1コントロールシャフト6が図中時計回りに回転すると、ロアリンク3は図中反時計回りに回転してピストン1の上死点位置は上昇し、ロアリンク3の図中反時計回り方向の傾きが最大になったときに図1(a)に示すように最高圧縮比となる。
次に、各リンクの寸法、配置等(以下、これらをまとめて「リンクのジオメトリ」という)について説明する。
(その1)
圧縮比を変更する際の、第1コントロールシャフト6の偏心軸6bの、主軸6a回りの回転角(以下、偏心軸6bの作動角という)をθ1、同じく第2コントロールシャフト7の偏心軸7bの作動角をθ2とする。そして、偏心軸6bの作動角θ1が偏心軸7bの作動角θ2よりも小さくなるように、偏心軸6b及び偏心軸7bの偏心量、第1リンク8及び第2リンク9の長さ、第1コントロールシャフト6及び第2コントロールシャフト7の配置等を設定する。
このような設定によれば、アクチュエータの駆動で生じる第2コントロールシャフト7の角度変化は、第1コントロールシャフト6で減少する(減速する)。従って、コントロールリンク4を伝わる荷重(燃焼荷重や慣性力)は第2コントロールリンクに減少して伝わるので、第2コントロールシャフト7の圧縮比を駆動あるいは保持するトルクが相対的に小さくて済む。そして同時に、作動角θ2を作動角θ1よりも大きくしたことで、最高圧縮比および最低圧縮比のときに第2コントロールシャフト7によるセルフロックの効果を得ることもできる。
ここで、コントロールリンク4の軸線(クランク軸方向で見たときの連結ピン10と偏心軸6bを結んだ線)と偏心軸6bの偏心方向(偏心軸6bと軸心6aを結んだ線の向き)がほぼ直角になっているのが望ましい。すなわち、コントロールリンク4から第1コントロールシャフト6の偏心軸6bに単位荷重が作用したときの、主軸6a回りのトルク(コントロールシャフトトルク)がより大きくなるようなジオメトリが望ましい。これは、以下の理由による。
第1コントロールシャフト6の作動角θ1は、第2コントロールシャフト7の作動角θ2に対して小さいため、コントロールリンク4の移動量が減少する。コントロールリンク4の軸線と偏心軸6bの偏心方向がほぼ直角になっていれば、作動角θ1が小さくても圧縮比を変化させるに十分なほどコントロールリンク4を移動させることができる。
また、主軸6a回りのトルクが大きくなると、図2に示すように、コントロールリンク4から第1コントロールシャフト6の偏心軸6bに荷重F1が作用したときの、第2リンク9から第1リンク8に作用する荷重F2も、より大きくなる。その結果、第1コントロールシャフト6の主軸6aに作用する荷重F3もより大きくなり、主軸6aの軸受け部でのフリクションが増大する。これにより、主軸6aは回転しにくくなるので、所望の圧縮比を保持するためのアクチュエータの負荷を低減すること、またはアクチュエータを廃止することができる。
さらに、偏心軸6bの作動角θ1はより小さい方が望ましい。すなわち、圧縮比を変化させたときの、偏心軸6bの変化量は小さい方が望ましい。作動角θ1を小さくすると、圧縮比によらず、前述した荷重F2をより大きくすることができ、結果として荷重F3を大きくしてアクチュエータの負荷を低減すること、またはアクチュエータを廃止ができるからである。
また、偏心軸7bの作動角θ2がより180°に近く、かつ最高圧縮比状態及び最低圧縮比状態のときに、主軸7a及び偏心軸7bが第2リンク9の長手方向軸上に近づくようなジオメトリが望ましい。
このようなジオメトリにすることで、最高圧縮比及び最低圧縮比のときに、第2リンク9から第2コントロールシャフト7の偏心軸7bに荷重が作用しても、当該荷重による第2コントロールシャフト7の主軸回りの回転モーメントは小さくなる。つまり、第2コントロールシャフト7はより一層回転し難くなって、セルフロック状態がより強まる。このため、所望の圧縮比を保持するためのアクチュエータの負荷を低減することができる。
ところで、作動角θ1と作動角θ2を、例えばθ2/θ1=180°/90°のように設定すると、第1コントロールシャフト6と第2コントロールシャフト7の間の減速比が2になる。このため、第2コントロールシャフト7を回転させるアクチュエータ、例えばモータ、と第2コントロールシャフト7の間の減速機の減速比を、第1コントロールシャフト6と第2コントロールシャフト7の間の減速比が1の場合に比べて半減させることが可能となり、減速機を小型化することができる。
なお、第1コントロールシャフト6は、主軸6a部分と偏心軸6b部分が一体に形成されたものでもよいが、丸棒と偏心スリーブを組み合わせる構成、つまり、丸棒のコントロールリンク4との連結部に偏心スリーブを配置することで、偏心軸6bを作る構成、であってもよい。作動角θ1を小さくしつつ、圧縮比の可変幅(偏心軸6bの移動量)を確保するためには、偏心量を増大させる必要があるので、偏心スリーブを用いる構成の方が望ましい。偏心量を増大させたときの強度の確保、第1コントロールシャフト6の製造容易化によるコスト低減、剛性確保による圧縮比変動の抑制等の面で、偏心スリーブを用いる構成の方が優れるからである。
(その2)
偏心軸6bの作動角度域を、コントロールリンク4から第1コントロールシャフト6の偏心軸6bに単位荷重が作用したときの第1コントロールシャフトトルクが、低圧縮比時よりも高圧縮比時の方が大きくなるように設定する。そして、第2コントロールシャフト7の作動角度域を、第2リンク9に単位荷重が作用したときの第2コントロールシャフトトルクが、低圧縮比時よりも高圧縮比時の方が大きくなるように設定する。
上記のような設定にすることで、低圧縮比時よりも高圧縮比時の方が、燃焼荷重が作用したときに第1、第2コントロールシャフト6、7を低圧縮比化方向に回転させるトルクが大きくなる。
このため、アクチュエータによる第2コントロールシャフト7の駆動に加えて、燃焼荷重による回転トルクが作用することにより、高圧縮比からの低圧縮比化応答速度が高まるので、高圧縮比低負荷状態から急加速する際のノッキングを回避することが可能となる。
また、上述したように荷重F1が大きいときは第1コントロールシャフト6の主軸6aのフリクションが増大するので、アクチュエータまたは保持機構に作用する荷重が低減する。このため、高圧縮比を維持する場合のアクチュエータ等の圧力保持のための負荷を軽減することができる。また、荷重F1が小さいときは、主軸6aのフリクショントルクも小さくなるので、アクチュエータの応答性を阻害することはない。
一方、最大燃焼荷重が作用する低圧縮比時には、第1、第2コントロールシャフト6、7ともコントロールシャフトトルクが小さくなる角度となるため、アクチュエータ等の圧力保持のための負荷が軽減する。
(その3)
第2コントロールシャフト7は、最大燃焼荷重が作用したときに、第2リンク9に引っ張り荷重が作用するような位置に配置する。
これにより、最大燃焼荷重が作用したときの第2リンク9の座屈を回避できるので、第2リンク9の小型・軽量化を図ることができる。なお、ピストン上死点近傍では、ピストンやリンクの慣性力が第2リンク9を圧縮する方向に作用するが、このときの荷重は、最大燃焼荷重作用時に比べれば十分に小さい。
また、荷重F1が作用した時の荷重F3が効果的に増大するようになっているので、小型・軽量化により第2リンク9の断面係数が小さくなると、燃焼荷重が作用したときの第2リンク9の弾性変形量、つまり圧縮比が低下する方向の変形量は増大する。しかし、この変形はアクチュエータの低圧縮比化応答性を補助する方向の変形であり、ノッキング回避に役立つ。
(その4)
コントロールリンク4から第1コントロールシャフト6の偏心軸6bに単位荷重が作用したときの、主軸6aに作用する荷重F3が、高圧縮比時よりも低圧縮比時の方が大きくなるようなジオメトリを設定する。
低圧縮比時、つまり燃焼荷重が大きくなる高負荷時に、荷重F3が相対的に増大するようなジオメトリにすることで、圧縮比の保持性を向上させることができる。また、ノッキング回避のために高い低圧縮比化応答性が要求される高圧縮比時には、荷重F3は相対的に小さくなるので、主軸6aのフリクション抵抗が低減し、低圧縮比化応答性が向上する。
(その5)
低圧縮比時及び高圧縮比時のいずれの場合でも、図3に示すコントロールリンク4の偏心軸6bを軸とした揺動範囲内で、機関運転中のいずれかの時期にコントロールリンク4と第2リンク9が平行になるようなジオメトリを設定する。
コントロールリンク4と第2リンク9が平行ということは、荷重F1と荷重F2の作用する方向が平行ということである。このため、荷重F1と荷重F2の大きさがそれぞれ一定の場合には、コントロールリンク4と第2リンク9が平行のときに、荷重F3が最も大きくなる。すなわち、荷重F3をより効果的に増大させて、アクチュエータ等による圧縮比の保持性能の向上を図ることができる。したがって、最大燃焼荷重が作用するタイミングとコントロールリンク4と第2リンク9が平行になるタイミングが一致することが望ましい。
しかし、最大燃焼荷重が作用するタイミングは運転条件によって異なるので、最大燃焼荷重が作用するタイミングとコントロールリンク4と第2リンク9が平行になるタイミングを常に一致させることは困難である。そこで、許容幅を設けて、コントロールリンク4の偏心軸6bを軸とした揺動範囲内で、いずれかのタイミングで平行になればよいものとする。
そして、高圧縮比時の最大燃焼荷重作用時よりも、低圧縮比時の最大燃焼荷重作用時の方が、コントロールリンク4と第2リンク9が平行に近づくように設定する。これによって、より大きな燃焼荷重が作用する低圧縮比時に、荷重F3を大きくすることで主軸6aのフリクションを増大させて、アクチュエータ等の保持性の向上を図ることができる。低負荷時に高圧縮比に保持する場合は、低圧縮比時に比べてアクチュエータ等に要求される保持力も小さいため、主軸6aのフリクションによる圧縮比保持の補助が小さくても、アクチュエータ等により十分保持可能である。
以上により本実施形態では、次のような効果が得られる。
(1)第1コントロールシャフト偏心軸6bの主軸6a回りの作動角度域が、コントロールリンク4から第1コントロールシャフト偏心軸6bに単位荷重が作用したときの第1コントロールシャフトトルクを最大にする角度を含み、第1コントロールシャフト偏心軸6bの作動角θ1が、第2コントロールシャフト偏心軸7bの作動角θ2よりも十分小さくなるように、各リンク等のジオメトリを設定するので、圧縮比によらず第1コントロールシャフト主軸6aの軸受け部でのフリクションを大きくできる。その結果、圧縮比を保持するのに要する負荷を低減できる。
(2)第1コントロールシャフト偏心軸6bの作動角度域は、コントロールリンク4から第1コントロールシャフト偏心軸6bに単位荷重が作用したときの第1コントロールシャフトトルクが、低圧縮比時よりも高圧縮比時の方が大きくなるように設定され、かつ、第2コントロールシャフト偏心軸7bの作動角度域は、第2リンク9から第2コントロールシャフト偏心軸7bに単位荷重が作用したときの第2コントロールシャフトトルクが、低圧縮比時よりも高圧縮比時の方が大きくなるように設定されるので、高圧縮比からの低圧縮比化応答速度を高めることができる。このため、例えば高圧縮比低負荷状態からの急加速時に、ノッキングを回避することができる。
(3)第2コントロールシャフト7は、ピストン1に燃焼荷重が作用したときに第2リンク9に引張り方向荷重が作用する位置に配置されるので、第2リンクの小型・軽量化を図ることができる。
(4)第1コントロールシャフト主軸6aに作用する荷重が、高圧縮比時よりも低圧縮比時の方が大きくなるように、第1コントロールシャフト偏心軸6bの主軸6a回りの作動角度域及び第2コントロールシャフト偏心軸7bの主軸7a回りの作動角度域が設定されるので、低圧縮比時の圧縮比保持性能を確保しつつ、ノッキング回避のための低圧縮比化応答性を高めることができる。
(5)コントロールリンク4の揺動範囲は、機関運転中のいずれかの時期にコントロールリンク4と第2リンク9が平行になるように設定されるので、第1コントロールシャフト主軸6aに作用する荷重F3を効果的に増大させることができ、圧縮比保持性能を向上させることができる。
(6)高圧縮比時に最大燃焼荷重が作用する時よりも、低圧縮比時に最大燃焼荷重が作用する時の方が、コントロールリンク4と第2リンク9が平行に近づくように設定されるので、より大きな燃焼荷重が作用する低圧縮比時に第1コントロールシャフト主軸6aにおけるフリクションを増大させて、圧縮比保持性能を向上させることができる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
1 ピストン
2 アッパーリンク
3 ロアリンク
4 コントロールリンク
5 クランクシャフト
6 第1コントロールシャフト
7 第2コントロールシャフト
8 第1リンク
9 第2リンク

Claims (8)

  1. 一端がピストンとピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、
    前記アッパーリンクの他端とアッパピンを介して連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに連結されるロアリンクと、
    一端がコントロールピンを介して前記ロアリンクに連結されるコントロールリンクと、
    前記コントロールリンクの他端が揺動可能に連結される偏心軸を有し前記クランクシャフトと平行に配置される第1コントロールシャフトと、
    一端が前記第1コントロールシャフトの偏心部位と回転可能に連結されたリンクと、
    前記リンクの他端が回転可能に連結される偏心軸を有し前記クランクシャフトと平行に配置される第2コントロールシャフトと、
    第2コントロールシャフトを回転させるアクチュエータと、
    を備え、
    低負荷時には高圧縮比、高負荷時には低圧縮比となるように前記ピストンの上死点位置を変化させる可変圧縮比機構であって、
    前記第1コントロールシャフトを回転させたときの前記第1コントロールシャフト偏心軸の作動角θ1が、前記第2コントロールシャフトを回転させたときの前記第2コントロールシャフト偏心軸の作動角θ2よりも小さいことを特徴とする可変圧縮比機構。
  2. 第1コントロールシャフト偏心軸の主軸周りの作動角度域が、コントロールリンクの軸線とコントロールリンクの他端が揺動可能に連結される偏心軸の偏心方向がほぼ直角になる角度を含むことを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比機構。
  3. 第1コントロールシャフト偏心軸の主軸回りの作動角度域が、前記コントロールリンクから前記第1コントロールシャフト偏心軸に単位荷重が作用したときの前記第1コントロールシャフト主軸回りのトルクである第1コントロールシャフトトルクを最大にする角度を含むことを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比機構。
  4. 前記第1コントロールシャフト偏心軸の作動角度域は、前記コントロールリンクから前記第1コントロールシャフト偏心軸に単位荷重が作用したときの前記第1コントロールシャフトトルクが、低圧縮比時よりも高圧縮比時の方が大きくなるように設定され、
    かつ、第2コントロールシャフト偏心軸の作動角度域は、前記リンクから前記第2コントロールシャフト偏心軸に単位荷重が作用したときの前記第2コントロールシャフト偏心軸回りのトルクである第2コントロールシャフトトルクが、低圧縮比時よりも高圧縮比時の方が大きくなるように設定されることを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比機構。
  5. 前記第2コントロールシャフトは、前記ピストンに燃焼荷重が作用したときに前記リンクに引張り方向荷重が作用する位置に配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の可変圧縮比機構。
  6. 前記コントロールリンクから前記第1コントロールシャフト偏心軸に単位荷重が作用したときに前記第1コントロールシャフト主軸に作用する荷重が、高圧縮比時よりも低圧縮比時の方が大きくなるように、前記第1コントロールシャフト偏心軸の主軸回りの作動角度域及び前記第2コントロールシャフト偏心軸の主軸回りの作動角度域が設定されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の可変圧縮比機構。
  7. 前記コントロールリンクの前記第1コントロールシャフト偏心軸を軸とする揺動範囲は、機関運転中のいずれかの時期に前記コントロールリンクと前記リンクが平行になるように設定されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の可変圧縮比機構。
  8. 高圧縮比時に前記ピストンに最大燃焼荷重が作用する時よりも、低圧縮比時に前記ピストンに最大燃焼荷重が作用する時の方が、前記コントロールリンクと前記リンクが平行に近づくことを特徴とする請求項7に記載の可変圧縮比機構。
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