JP2009046984A - マルチリンクエンジンのリンクジオメトリ - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストンが下死点付近にあるときのクランクジャーナルへの入力荷重を小さく抑制するマルチリンクエンジンのリンクジオメトリを提供する。
【解決手段】アッパリンク11と、ロアリンク12と、コントロールリンク13と、を有するマルチリンクエンジンのリンクジオメトリであって、ピストン32が下死点付近にあるときに、ロアリンク姿勢角θl、ロアリンク姿勢角α、の間に、cos(θl+α)<cos(θl+π)の関係が成立する、ことを特徴とする。
【選択図】図4

Description

この発明は、マルチリンクエンジンのリンクジオメトリに関する。
ピストンとクランクシャフトとを複数のリンク(アッパリンク及びロアリンク)で連結する機構(以下「マルチリンク機構」という)のエンジン(以下「マルチリンクエンジン」という)が開発されつつある。ところで直列4気筒のマルチリンクエンジンにおいて、#2気筒ピストン及び#3気筒ピストンが下死点付近にあるときの#3クランクジャーナルへの入力荷重が大きい、という課題が見いだされた。
本件発明者らは、この課題を解決すべく、鋭意研究を進めることで以下の知見を得た。すなわち、ピストンとクランクシャフトとをひとつのリンク(すなわちコンロッド)で連結するエンジン(これは通常のエンジンであるが、このようなエンジンをマルチリンクエンジンに対比して以下では「シングルリンクエンジン」と称する)では、クランクシャフトの回転に対するピストンストローク特性が一意的に決まってしまうが、マルチリンクエンジンでは、各リンクや各支点のアライメントを調整することで、このようなピストンストローク特性を調整変更可能である。
また本件発明者らの研究によれば、ピストンストロークに起因する悪影響(ピストンストロークに起因した振動による乗り心地悪化など)を改善するには、クランクシャフトの回転に対してピストンが単振動することが望ましい、ということが知見された。
そこで本件発明者らは、マルチリンクエンジンにおいては、上死点から下死点までのピストンストローク量が同一のシングルリンクエンジンに比べて、ピストンの往復運動が単振動運動に近い特性となるように、各リンクや各支点のアライメントを設定したのである。具体的には、シングルリンクエンジンのピストン−クランク機構に比べて、上死点前から上死点にかけては、ピストンを引き下げる方向にロアリンクがコントロールリンクの揺動によってクランクピン回りに揺動し、上死点から上死点後にかけては、ピストンを引き上げる方向にロアリンクがコントロールリンクの揺動によってクランクピン回りに揺動し、下死点前から下死点にかけては、ピストンを引き下げる方向にロアリンクがコントロールリンクの揺動によってクランクピン回りに揺動し、下死点から下死点後にかけては、ピストンを引き上げる方向にロアリンクがコントロールリンクの揺動によってクランクピン回りに揺動するように設定したのである。
そして単振動特性についてさらに説明すると、図8(A)に示されているように、上死点前後におけるピストンストローク特性と、下死点前後におけるピストンストローク特性と、がほぼ同じである。すなわち、上死点前後におけるピストンストローク特性を上下ひっくり返すと、下死点前後におけるピストンストローク特性にほぼ重なる。これに対して、シングルリンクエンジンでは、上死点前後におけるピストンストローク特性のほうが下死点前後におけるピストンストローク特性よりも鋭角になっている。
すなわち、ピストンストローク特性を見ると、上死点前後では、マルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも広がっている。また下死点前後では、マルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも狭まっている。
言い換えると、上死点から下死点までのピストンストローク量が同一のマルチリンクエンジンとシングルリンクエンジンとを比較すると、所定クランク角度変化に対するピストン移動量は、ピストンが上死点前後にあるときはマルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも小さい。またピストンが下死点前後にあるときはマルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも大きい。
これをピストンストローク速度で表現すると、ピストンが上死点前後にあるときはマルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも遅い。またピストンが下死点前後にあるときはマルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも速いのである。
そしてピストンストローク加速度は、図8(B)のようになる。すなわちマルチリンクエンジンでは、シングルリンクエンジンに比べて、上死点前後ではピストン移動加速度が小さくなり、下死点前後ではピストン移動加速度が大きくなっており単振動に近い特性になっているのである。
またマルチリンクエンジンでは、シングルリンクエンジンに比べて構成部品点数が増加しており、慣性マスが増えている。
これらに起因して本件発明者らが開発しているマルチリンクエンジンでは、ピストンが下死点付近にあるときにクランクジャーナルへの入力荷重がシングルリンクエンジンに比べて大きいのである。
また図9に示すように、直列4気筒エンジンの#3クランクジャーナル33a−3は、#2気筒と#3気筒との間に存在する。
#2気筒ピストン及び#3気筒ピストンが上死点付近にあって上昇から下降に転じるときは、いずれか一方のピストンには必ず燃焼圧がかかっているので、#3クランクジャーナル33a−3は、そのピストンの下方向荷重と、他方のピストンの上方向荷重と、を受けることとなる。両荷重の向きが反対なので、両荷重同士の相殺がある。
しかしながら、#2気筒ピストン及び#3気筒ピストンが下死点付近にあって下降から上昇に転じるときは、#3クランクジャーナル33a−3は、#2気筒ピストンからの下方向荷重と、#3気筒ピストンからの下方向荷重と、の両方の下方向荷重を、受けることとなる。このため、#3クランクジャーナル33a−3への入力荷重が過大なのである。
また近時は、マルチリンク機構を利用してピストンストロークをロングストローク化することが研究されている。ロングストローク化するには、クランクピン33bからコントロールピン23までの距離L2に対するクランクピン33bからアッパピン22までの距離L4の値(すなわちL4/L2、なおこのL4/L2を以下では適宜「てこ比」と呼ぶ)を大きくする必要がある(特許文献1参照)。
特開2001−317383号公報
しかし、マルチリンク機構を利用して直列4気筒エンジンのピストンストロークをロングストローク化すると、#3クランクジャーナル33a−3への入力荷重がますます増大してしまう。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、ピストンが下死点付近にあるときのクランクジャーナルへの入力荷重を小さく抑制するマルチリンクエンジンのリンクジオメトリを提供することを目的とする。
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
本発明は、シリンダ内を往復動するピストン(32)にピストンピン(21)を介して連結されるアッパリンク(11)と、クランクシャフト(33)のクランクピン(33b)に回転自由に装着されるとともに、前記アッパリンク(11)にアッパピン(22)を介して連結されるロアリンク(12)と、前記ロアリンク(12)にコントロールピン(23)を介して連結され、揺動中心ピン(24)を中心として揺動するコントロールリンク(13)と、を有するマルチリンクエンジンのリンクジオメトリであって、ピストン(32)が下死点付近にあるときに次式(1)の関係が成立することを特徴とする。
Figure 2009046984
本発明によれば、荷重増加率がピストン下死点付近で小さくなり、クランクジャーナルへの入力荷重を小さく抑制できるのである。
以下では図面等を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
まず最初に図1を参照してマルチリンクエンジンについて説明する。
マルチリンクエンジン10は、ピストン32とクランクシャフト33とが2つのリンク(アッパリンク11、ロアリンク12)で連結される。またロアリンク12には、コントロールリンク13が連結される。
アッパリンク11は、上端をピストンピン21を介してピストン32に連結し、下端をアッパピン22を介してロアリンク12の一端に連結する。ピストン32は、燃焼圧力を受け、シリンダブロック31のシリンダ31a内を往復動する。
ロアリンク12は、一端をアッパピン22を介してアッパリンク11に連結し、他端をコントロールピン23を介してコントロールリンク13に連結する。また、ロアリンク12は、ほぼ中央の連結孔に、クランクシャフト33のクランクピン33bを挿入し、クランクピン33bを中心軸として回転する。ロアリンク12は左右の2部材に分割可能に構成される。クランクシャフト33は、複数のクランクジャーナル33aとクランクピン33bとを備える。クランクジャーナル33aは、シリンダブロック及びラダーフレームによって回転自在に支持される。クランクピン33bは、クランクジャーナル33aから所定量偏心しており、ここにロアリンク12が回転自在に連結する。
コントロールリンク13は、先端にコントロールピン23を挿入し、ロアリンク12に回動可能に連結する。またコントロールリンク13は、他端を揺動中心ピン24を介してシリンダブロック31に連結する。コントロールリンク13は、この揺動中心ピン24を中心として揺動する。そしてたとえば揺動中心ピン24を偏心軸にして揺動中心ピン24の偏心位置を移動すればコントロールリンク13の揺動中心が変更し、ピストン32の上死点位置が変更される。これによって圧縮比を機械的に調整することが可能である。
そしてマルチリンクエンジン10においては、上死点から下死点までのピストンストローク量が同一のシングルリンクエンジンに比べて、ピストンの往復運動が単振動運動に近い特性となるように、各リンクや各支点のアライメントを設定した。具体的には、シングルリンクエンジンのピストン−クランク機構に比べて、上死点前から上死点にかけては、ピストン32を引き下げる方向にロアリンク12がコントロールリンク13の揺動によってクランクピン33bを中心に揺動し、上死点から上死点後にかけては、ピストン32を引き上げる方向にロアリンク12がコントロールリンク13の揺動によってクランクピン33bを中心に揺動し、下死点前から下死点にかけては、ピストン32を引き下げる方向にロアリンク12がコントロールリンク13の揺動によってクランクピン33bを中心に揺動し、下死点から下死点後にかけては、ピストン32を引き上げる方向にロアリンク12がコントロールリンク13の揺動によってクランクピン33bを中心に揺動するように設定したのである。
このようにすることで、上死点前後におけるピストンストローク特性と、下死点前後におけるピストンストローク特性と、がほぼ同じ単振動特性になっているのである。すなわち、特性図において上死点前後におけるピストンストローク特性を上下ひっくり返すと、下死点前後におけるピストンストローク特性にほぼ重なる。これに対して、シングルリンクエンジンでは、上死点前後におけるピストンストローク特性のほうが下死点前後におけるピストンストローク特性よりも鋭角になっている。これをピストンストローク特性で見ると、上死点前後では、マルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも広がっている。また下死点前後では、マルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも狭まっている。言い換えると、上死点から下死点までのピストンストローク量が同一のマルチリンクエンジンとシングルリンクエンジンとを比較すると、所定クランク角度変化に対するピストン移動量は、ピストン32が上死点前後にあるときはマルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも小さい。またピストン32が下死点前後にあるときはマルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも大きいのである。これをピストンストローク速度で表現すると、ピストン32が上死点前後にあるときはマルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも遅い。またピストン32が下死点前後にあるときはマルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも速いのである。
このように、マルチリンクエンジン10のピストン−クランク機構は、上死点から下死点までのピストンストローク量がピストン−クランク機構における上死点から下死点までのピストンストローク量と同一のシングルリンクエンジンのピストン−クランク機構に比べて、ピストンの往復運動が単振動運動に近い特性となるよう、上死点と下死点におけるピストンストローク特性が略対称で、シングルリンクエンジンのピストン−クランク機構に比べてピストン下死点前後のピストンストローク速度が大きく、かつピストン上死点前後のピストンストローク速度が小さくなるように、上死点前から上死点にかけて、及び下死点前から下死点にかけてはシングルリンクエンジンのピストン−クランク機構に比べてピストンを引き下げる方向にロアリンクがコントロールリンクの揺動によってクランクピン回りに揺動し、上死点から上死点後にかけて、及び下死点から下死点後にかけてはシングルリンクエンジンのピストン−クランク機構に比べてピストンを引き上げる方向にロアリンクがコントロールリンクの揺動によってクランクピン回りに揺動するように、各リンクや各支点のアライメントが設定されている。
ところでマルチリンクエンジンでは上述のように、下死点付近でのクランクジャーナルへの入力荷重が大きくなる。特にマルチリンク機構を利用してピストンストロークをロングストローク化した直列4気筒エンジンでは、下死点付近での#3クランクジャーナル33a−3への入力荷重が過大となる。
そこで本発明では、下死点付近でのクランクジャーナルへの入力荷重をできる限り低減するように、ジオメトリを設定した。
図2は、ロアリンクに作用する荷重を示した図である。
ピストン32からアッパピン22にかかる荷重がアッパピン荷重F6である。またクランクピン33bにかかるクランクピン荷重F0、コントロールピン23にかかるクランクピン荷重F3、とすると、次式(2)の関係がある。
Figure 2009046984
またアッパピン荷重F6に対するクランクピン荷重F0の比率F0/F6を荷重増加率と定義する。クランクピン荷重F3の方向とアッパピン荷重F6の方向とは、ほぼ同じであるので、ベクトルF3の大きさとベクトルF6の大きさとの和を、ベクトルF3とベクトルF6との和と考えてよい。したがって次式(3)の関係が成立する。
Figure 2009046984
上式から明らかなように、クランクピン33bにかかるクランクピン荷重F0を小さくするにはコントロールピン荷重F3、アッパピン荷重F6を小さくすればよい。ところがアッパピン荷重F6は燃焼圧などによって決まるので、調整することはできない。そこで本発明では、ピストン下死点におけるコントロールピン荷重F3が小さくなるようにジオメトリを設定したのである。
具体的には以下のようにした。コントロールピン荷重F3は以下の式(5)のように表される。
初めに、コントロールピン荷重F3及びアッパピン荷重F6のクランクピン回りのモーメントの釣り合いにより次式(4)が成立する。
Figure 2009046984
これを変形して次式(5)が得られるのである。
Figure 2009046984
L4/L2は、上述のてこ比であり、このてこ比L4/L2が大きいほどクランクシャフト半径に対するピストンストローク量が大きくなる。すなわちロングストローク化できるのである。逆に言えばピストンストロークをロングストローク化するには、てこ比L4/L2を大きくする必要がある。しかし、てこ比L4/L2が大きくなると式(5)に示されているようにコントロールピン荷重F3が大きくなって、クランクピン荷重F0が大きくなってしまい、ひいてはクランクジャーナルへの荷重が大きくなってしまう。
そこで本発明では、ピストン下死点付近においてcos(θl+α)をできる限り小さくすることでコントロールピン荷重F3を小さくし、クランクピン荷重F0を小さくするジオメトリを提案する。
本件発明者らによって、クランク角と荷重増加率との間には、図3に示す特性があることが見いだされた。ここで点線は、ロアリンク開き角α=π(rad)のときである。ロアリンク開き角α=π(rad)のときは、クランク角にかかわらず荷重増加率は一定である。これに対して、クランクピン33bからアッパリンク11までの距離が、このときの距離L4×cos(θl+π)よりも離れるようにロアリンク開き角αを設定すると(このときロアリンク12のジオメトリは図4の一点鎖線のようになる)、クランク角と荷重増加率とは図3に一点鎖線で示した特性になり、荷重増加率は、ピストン上死点付近では小さくなるもののピストン下死点付近では大きくなる。
逆にクランクピン33bからアッパリンク11までの距離が、距離L4×cos(θl+π)よりも近づくようにロアリンク開き角αを設定すると(このときロアリンク12のジオメトリは図4の実線のようになる)、クランク角と荷重増加率とは図3に実線で示した特性になり、荷重増加率は、ピストン上死点付近では大きくなるもののピストン下死点付近では小さくなる。
#2気筒ピストン及び#3気筒ピストンが下死点付近にあるときの#3クランクジャーナルへの入力荷重が大きい、という課題を解決するには、上死点付近よりも下死点付近におけるクランクピン荷重F0を小さくすることを優先したい。そこで本発明では、cos(θl+α)<cos(θl+π)が成立するようにロアリンク姿勢角θl及びロアリンク開き角αを設定するようにしたのである。このように本実施形態によれば、cos(θl+α)<cos(θl+π)が成立するようにロアリンク姿勢角θl及びロアリンク開き角αを設定することで、クランクピン荷重F0を小さくすることができ、ピストン下死点におけるクランクジャーナルへの荷重を低減できるのである。
なおクランクピン荷重F0が極大となるのはピストン加速度が最大となるタイミングである。そこでピストン下死点付近であって特にピストン加速度が最大となるタイミングでcos(θl+α)<cos(θl+π)が成立するようにロアリンク姿勢角θl及びロアリンク開き角αを設定することがさらに望ましい。
またcos(θl+α)<cos(θl+π)は、α<πのときのみならず、α>πでも成立しうる(図5の一点鎖線)。このようにすれば、ロアリンク12を小形化できる。ただし図5に実線で示したα<πの形状のほうがピストンピン21の位置が下方に存在する。したがってエンジンの全高は低くできる。両者の特性を考慮して適宜設計すればよい。
またα<πの形状のとき、アッパピンの移動軌跡は図6のようになる。このように楕円軌跡上の任意の2点を結んだ線分が最長となる方向が、ピストンストローク方向と略一致するときは、ピストンストロークがロングストローク化されており、本発明を適用するのに好適である。
さらに、図6(A)に示すように、クランクジャーナル33aを原点とし、ピストンストローク方向に平行かつエンジン上部方向を正とする軸をY軸、クランク回転方向でY軸に対して−90°回転した軸をX軸とした場合に、揺動中心ピン24を第3象限(X<0かつY<0)の領域に配置するとよい。このようにすることで、ピストン加速度のストローク方向2次振動成分が減少し、ピストンストロークのロングストローク化にともなうエンジン2次振動が低減されるからである。
またクランクピンの回転半径をR0,アッパリンク幅の半分の値をD4とした場合に、ロアリンク開き角αを次式(6)を満足する範囲にすればよい。
Figure 2009046984
このようにすれば、ピストン下死点において、クランクピン33bとアッパリンク11との干渉を避けるためにボア中心線に対するアッパリンク倒れ角度を大きくせずに構成することが可能となり、下死点付近でのピストンサイドスラストを低減できるからである。
またピストンスカートの一部がシリンダボアより下側に露出するエンジンに適用すれば、ボア下端からピストンが露出しているタイミングにおいて、ブロックへの入力が低減されるので、ブロック・クランク系の変形を抑制できる。したがって、このような変形によるピストンスカートとボア下端と接触荷重を低減でき、ピストンの耐久性が高まる。
さらにピストン上死点付近にあるときに、図7に示すように、クランクピン33bとコントロールピン23とを結んだ線分と、コントロールリンク13と、のなす角をθ2、クランクピン33bとアッパピン22とを結んだ線分と、アッパリンク11と、のなす角をθ4、とすると、R3,R6は、次式(7-1)(7-2)で表される。
Figure 2009046984
したがって次式(8)のようにすることでR6をできる限り小さめにすることが望ましい。
Figure 2009046984
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれることが明白である。
マルチリンクエンジンの構造を示す図である。 ロアリンクに作用する荷重を示す図である。 クランク角と荷重増加率との関係を示す図である。 ロアリンクのジオメトリを示す図である。 ロアリンクのジオメトリを示す図である。 アッパピンの移動軌跡を示す図である。 ピストンが上死点付近にあるときのリンクジオメトリを示す図である。 クランク角に対するピストン変位及びピストン加速度を示す図である。 クランクシャフトを説明する図である。
符号の説明
10 マルチリンクエンジン
11 アッパリンク
12 ロアリンク
13 コントロールリンク
21 ピストンピン
22 アッパピン
23 コントロールピン
24 揺動中心ピン
32 ピストン
33 クランクシャフト
33a クランクジャーナル
33b クランクピン

Claims (8)

  1. シリンダ内を往復動するピストンにピストンピンを介して連結されるアッパリンクと、
    クランクシャフトのクランクピンに回転自由に装着されるとともに、前記アッパリンクにアッパピンを介して連結されるロアリンクと、
    前記ロアリンクにコントロールピンを介して連結され、揺動中心ピンを中心として揺動するコントロールリンクと、
    を有するマルチリンクエンジンのリンクジオメトリであって、
    前記ピストンが下死点付近にあるときに次式(1)の関係が成立する、
    Figure 2009046984
    ことを特徴とするマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。
  2. 前記ピストンが下死点付近にあってピストン加速度が最大となるタイミングで前記式(1)の関係が成立する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。
  3. 前記ロアリンク開き角αがπよりも小さい、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。
  4. 前記アッパピンの移動軌跡上の任意の2点を結んだ線分が最長となる方向が、ピストンストローク方向と略一致する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。
  5. 前記クランクシャフトのクランクジャーナルを原点とし、ピストンストローク方向に平行かつエンジン上部方向を正とする軸をY軸、クランク回転方向でY軸に対して−90°回転した軸をX軸とした場合に、前記揺動中心ピンが第3象限(X<0かつY<0)の領域に配置される、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。
  6. 次式(2)の関係がさらに成立する、
    Figure 2009046984
    ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。
  7. 前記ピストンのスカートの一部がシリンダボアより下側に露出する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。
  8. 前記ピストンが上死点付近にあるときに次式(3)の関係がさらに成立する、
    Figure 2009046984
    ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。
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