JP5417977B2 - マルチリンクエンジンの振動低減構造 - Google Patents

マルチリンクエンジンの振動低減構造 Download PDF

Info

Publication number
JP5417977B2
JP5417977B2 JP2009116454A JP2009116454A JP5417977B2 JP 5417977 B2 JP5417977 B2 JP 5417977B2 JP 2009116454 A JP2009116454 A JP 2009116454A JP 2009116454 A JP2009116454 A JP 2009116454A JP 5417977 B2 JP5417977 B2 JP 5417977B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
link
control
piston
pin
crankshaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009116454A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010265783A (ja
Inventor
裕介 佐藤
雅彦 金堂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2009116454A priority Critical patent/JP5417977B2/ja
Publication of JP2010265783A publication Critical patent/JP2010265783A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5417977B2 publication Critical patent/JP5417977B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)

Description

この発明は、クランクシャフトとピストンとを複数のリンクで連接するマルチリンクエンジンの振動低減構造に関する。
マルチリンクエンジンにバランサー装置を設けることで、振動を低減させる手法が、たとえば特許文献1で提案されている。
特開2006−207634号公報
例えば、単気筒、直列2気筒、直列3気筒の4サイクル式エンジンを考えた場合、上下方向(クランクシャフトの軸方向で見てシリンダ軸線の向き)及び左右方向(クランクシャフトの軸方向で見てシリンダ軸線と直交する向き)の一次振動が(マルチリンクエンジンに限らず単リンクエンジンでも)生じる。これに対してバランサー装置を設けては、エンジンが大形化してしまう。また重量も増加してしまう。さらにバランサーが回転するときのフリクションに起因して燃費も悪化してしまう。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、バランサー装置を追加することなく、エンジンの振動を低減することができる振動低減構造を提供することを目的とする。
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
本発明は、シリンダー内を往復動するピストン(32)にピストンピン(21)を介して連結されるアッパーリンク(11)と、クランクシャフト(33)のクランクピン(33b)に回転自由に装着されるとともに、前記アッパーリンク(11)にアッパーピン(22)を介して連結されるロアーリンク(12)と、前記ロアーリンク(12)にコントロールピン(23)を介して連結され、揺動中心シャフト(24)を中心として揺動するコントロールリンク(13)と、を有するマルチリンクエンジンであって、カウンターウェイトを含むクランクシャフト(33)の回転一次の慣性力と、ピストン(32)、アッパーリンク(11)、ロアーリンク(12)及びコントロールリンク(13)の回転一次慣性力の和と、が互いに打ち消し合うようにし、前記ロアーリンクは、コントロールピン挿入孔付近に形成されたバランスマスを含む、ことを特徴とする。
本発明によれば、カウンターウェイトを含むクランクシャフトの回転一次の慣性力と、ピストン、アッパーリンク、ロアーリンク及びコントロールリンクの回転一次慣性力の和と、が互いに打ち消し合って、トータルのエンジン加振力がほとんどなくなり、エンジンの振動を低減できる。
マルチリンクエンジンをクランクシャフトの軸方向から見た図である。 ロアーリンク及びコントロールリンクの重心の位置を説明する図である。 マルチリンクエンジンが運転したときの各リンクの姿勢を示した図である。 マルチリンクエンジンが運転したときのロアーリンク及びコントロールリンクの重心の移動軌跡を示した図である。 マルチリンクエンジンが運転したときのロアーリンク及びコントロールリンクの重心とクランク角度との関係を示した図である。 本発明によるマルチリンクエンジンの第1実施形態の部品を示す図である。 図6に示したロアーリンク及びコントロールリンクの重心の移動軌跡を示した図である。 図6に示したロアーリンク及びコントロールリンクを使用するマルチリンクエンジンによる作用効果を説明する図である。 本発明によるマルチリンクエンジンの第2実施形態の部品を示す図である。 図9に示したロアーリンク及びコントロールリンクを使用するマルチリンクエンジンによる作用効果を説明する図である。
以下では図面等を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(第1実施形態)
まず最初にマルチリンクエンジンの基本構造について説明する。
図1はマルチリンクエンジンをクランクシャフトの軸方向から見た図である。図1はマルチリンクエンジンのピストン32が上死点にあるときの状態を示している。エンジンの当業者においては重力方向とは別に上死点/下死点という表現が慣用されている。水平対向エンジン等においては、必ずしも上死点が重力方向の上/下死点が重力方向の下になるとは限らないし、また仮にエンジンを倒立した場合には、上死点が重力方向の下/下死点が重力方向の上になるが、本明細書においては、慣習にしたがい、上死点側を上、下死点側を下、とした。
マルチリンクエンジン10は、ピストン32とクランクシャフト33とが2つのリンク(アッパーリンク11、ロアーリンク12)で連結される。またロアーリンク12には、コントロールリンク13が連結される。
アッパーリンク11は、上端をピストンピン21を介してピストン32に連結し、下端をアッパーピン22を介してロアーリンク12の一端に連結する。ピストン32は、燃焼圧力を受け、シリンダーブロック41に設けられたシリンダーライナ41aの内部を上下動する。
ロアーリンク12は、一端をアッパーピン22を介してアッパーリンク11に連結し、他端をコントロールピン23を介してコントロールリンク13に連結する。また、ロアーリンク12は、ほぼ中央の連結孔に、クランクシャフト33のクランクピン33bを挿入し、クランクピン33bを中心軸として回転する。ロアーリンク12は上下の2部材に分割可能に構成され、ほぼ中央のクランクピン挿入孔を中心にして、アッパーピン22とコントロールピン23を結ぶ向きと、その垂直な向きとに、それぞれ概ね対称な形状になっている。クランクシャフト33は、複数のクランクジャーナル33aとクランクピン33bとを備える。クランクジャーナル33aは、シリンダーブロック41及びラダーフレーム42によって回転自在に支持される。クランクピン33bは、クランクジャーナル33aから所定量偏心しており、ここにロアーリンク12が回転自在に連結する。
コントロールリンク13は、先端にコントロールピン23を挿入し、ロアーリンク12に回動可能に連結する。またコントロールリンク13の他端は、揺動中心シャフト24を中心に揺動可能である。揺動中心シャフト24は、不図示の揺動中心シャフト支持キャップによって回転自在に支持される。そしてたとえば揺動中心シャフト24を偏心軸にして(コントロールリンク13の他端を偏心部分に連結し)揺動中心シャフト24の偏心位置を移動すればコントロールリンク13の揺動中心が変更し、ピストン32の上死点位置が変更される。
揺動中心シャフト24は、クランクジャーナル33aの中心よりも下方に位置する。また揺動中心シャフト24は、クランクジャーナル33aを中心としてシリンダー中心軸の反対側に位置する。
クランクシャフトの軸方向から見た図1において、仮にシリンダ軸方向(ピストン32の上下動の向き)を直立方向としたときに、クランクシャフトが一回転する間、アッパーリンク11(ピストンピン21とアッパーピン22を結んだ直線)およびコントロールリンク13(コントロールピン23と揺動中心シャフト24を結んだ直線)は、概ね直立した姿勢を保ちながら運動を行なう。従って、コンロトールリンク13の一端にあるコントロールピン23の高さ(シリンダ軸方向の位置)は、ほぼ一定に保たれる。そして、ロアーリンク12は、クランクピンが円運動をする中、コントロールリンク13で規制されたコントロールピン23側部分の高さ(シリンダ軸方向の位置)が概ね一定に保たれていることから、他端部であるアッパーピン22側部分を、コントロールピン23の高さ位置を挟んで概ね上下対称に振るようにして、全体が揺動する。
図2はロアーリンク及びコントロールリンクの重心の位置を説明する図であり、図2(A)は本実施形態におけるロアーリンクの重心を示し、図2(B)は同じく本実施形態におけるコントロールリンクの重心を示した。
図2(A)に示すように、ロアーリンク12の重心GLは、コントロールピン挿入孔12aの中心と、クランクピン挿入孔12bの中心と、を結んだ線L12の上にある。そしてロアーリンク12の重心GLは、クランクピン挿入孔12bの中心近くに存在する。ロアーリンク12は前述の通り、ほぼ中央のクランクピン挿入孔12bを挟んで、一端をアッパーピン22を介してアッパーリンク11に連結し、他端をコントロールピン23を介してコントロールリンク13に連結する構成になっているから、クランクピン33bのセンターを中心にして概ね対称な形状になっているためである。
また図2(B)に示すように、コントロールリンク13の重心Gcは、コントロールピン挿入孔13aの中心と、揺動中心シャフト挿入孔13bの中心と、を結んだ線L13の上にある。そしてコントロールリンク13の重心Gcは、揺動中心シャフト挿入孔13bの中心よりもコントロールピン挿入孔13aの中心に近づいている。
図3はマルチリンクエンジンが運転したときの各リンクの姿勢を示した図であり、図3(A)はピストンが上死点にある状態を示し、図3(B)はピストンが下死点にある状態を示す。
ピストン21が上下動すると、アッパーピン22は、一点破線で示した縦長楕円状の経路に沿って移動する。またクランクピン33bは、破線で示した円状の経路に沿って移動する。
図4は、マルチリンクエンジンが運転したときのロアーリンク及びコントロールリンクの重心の移動軌跡を示した図である。
図4に示すようにロアーリンクの重心の移動軌跡は、横長の楕円になる。またコントロールリンクの重心の移動軌跡は、左右に振れる円弧状になる。
図5は、マルチリンクエンジンが運転したときのロアーリンク及びコントロールリンクの重心の位置(変位)とクランク角度との関係を示した図である。
図5(A)に示すようにロアーリンクの重心が移動するときに生じる回転一次の慣性力の上下成分及び左右成分は、360度周期で変動する。
回転一次の慣性力を上下成分と左右成分とで比較すると、上下成分は左右成分に比べて相対的にかなり大きなものとなる。回転一次の上下慣性力は、ピストン、アッパリンク、ロアーリンク、リンク連結部の各ピン、そしてクランクシャフトのクランクピンやクランクウェブ等が運動(これらの質量が移動)することで生じ、特にピストンの慣性力が支配的である。ここで、クランクシャフトの軸方向で見たときに、コントロールピンに対してクランクピンと反対側に位置するロアーリンク部分(コントロールピン付近のロアーリンク外周部分)は、ピストンの上下方向の動きに対して概ね逆の動き(逆位相の上下動)をしている、ということに本件発明者は着目した。すなわち、ロアーリンクの重心が移動するときに生じる回転一次の慣性力の上下成分の変動周期の位相は、ピストンの重心が上下するときに生じる回転一次の慣性力の周期の位相とほぼ一致しており、このことからコントロールピン付近のロアーリンク外周部分に積極的に質量を付与することで、ロアーリンクの重心が移動するときに生じる回転一次慣性力の上下成分を減少させることで、ピストンの慣性力の影響を低減できる、ということを見出した。リンク機構全体としての上下方向一次の慣性力を低減することができれば、あとは少ない質量のバランスウエイト(クランクシャフトに設けられるカウンタウェイト)によって、回転一次の慣性力の上下成分を相殺できるようになる。このことは、上下成分の慣性力と左右成分の慣性力とが互いに近づくことをも意味しているため、上下・左右の回転一次の慣性力をバランスウェイトによって同時に打ち消すことができるようになる、ということを示している。
一方、左右方向一次の慣性力は、アッパリンク、ロアーリンク、リンク連結部の各ピン、クランクシャフトのクランクピンやクランクウェブ、さらには、コントロールリンク等が運動(これらの質量が移動)することによって生じる。前述した通り、回転一次の慣性力の上下成分は、左右成分に比べて相対的にかなり大きなものなので、上記のロアーリンクの調整(コントロールピン付近のロアーリンク外周部分への質量の付与)では回転一次の慣性力の上下成分を十分に低減することができない場合もあり得る。これについては、コントロールリンクの重心が左右移動する点に着目した。すなわちコントロールリンクの重心の移動軌跡は、図4に示したように左右に延びる円弧状になる。コントロールリンクの重心は、左右へは移動するが、上下へはほとんど移動しない。そのためコントロールリンクの重心の移動変位とクランク角度との関係を示すと図5(B)のようになり、コントロールリンクの重心が移動するときの上下成分は、360度周期で変動するが、移動量はほとんどない。一方コントロールリンクの重心が移動するときの左右成分は、360度周期で変動するので、この大きさを適正に調整する(例えばコントロールリンクの質量を増大させる)ことで、ロアーリンクの調整で低減しきれなかった上下成分と揃うように、左右成分だけを増加させることができれば、回転一次の慣性力の上下方向と左右方向を等しくすることができる。そして、上下方向と左右方向の慣性力が等しくなれば、クランクシャフトのバランスウエイトで、両方向を相殺することができる。
本件発明者らは、このような技術思想に基づいて、発明を完成した。以下では具体的な構造について説明する。
図6は、本発明によるマルチリンクエンジンの第1実施形態の部品を示す図である。
上記技術思想を実現するために、本実施形態では、ロアーリンク12にバランスマス12mを追加した。またコントロールリンク13にバランスマス13mを追加した。
バランスマス12mは、コントロールピン挿入孔12aの中心と、クランクピン挿入孔12bの中心と、を結んだ線L12の上であって、コントロールピン挿入孔12aの近傍であってコントロールピン挿入孔12aの外側、すなわち、コントロールピンに対してクランクピンと反対側に位置するロアーリンク部分(コントロールピン付近のロアーリンク外周部分)に形成した。このように形成することで、ロアーリンク12の重心GLは、コントロールピン挿入孔12aの中心と、クランクピン挿入孔12bの中心と、を結んだ線L12付近で、図2(A)に示した基本構造よりもさらにコントロールピン挿入孔12aの中心に近づくようになる。
バランスマス13mは、コントロールピン挿入孔13aの中心と、揺動中心シャフト挿入孔13bの中心と、を結んだ線L13の上であって、コントロールピン挿入孔13aの近傍であってコントロールピン挿入孔13a周りのコントロールリンク外周に、揺動中心シャフト側の外周を含めてほぼ全周に渡り形成した。このように形成することで、コントロールリンク13の重心Gcは、コントロールピン挿入孔13aの中心と、揺動中心シャフト挿入孔13bの中心と、を結んだ線L13の上にあり、図2(B)に示した基本構造よりもさらにコントロールピン挿入孔13aの中心に近づくようになる。
またロアーリンク12の重心GLよりもコントロールリンク13の重心Gcがコントロールピンに近くなるように、バランスマス12m及びバランスマス13mの重量を設定してある。
図7は、図6に示したロアーリンク及びコントロールリンクの重心の移動軌跡を示した図である。
図7に示すように、バランスマスが無い状態のロアーリンクの重心の移動軌跡は、横長の楕円になる(図4と同じ)。そしてバランスマスだけの重心の移動軌跡は図7に示したようになる。この2つを合成したものがバランスマスを含むロアーリンクの重心の移動軌跡になる。
またコントロールリンクの重心の移動軌跡は、図4に示した基本構成の場合と比較して、コントロールピン挿入孔13aの中心に近づいており、また移動量が大きくなっている。
このように、ピストン上下死点を結ぶピストン往復軸線方向のコントロールピン位置を、クランクシャフト中心付近の高さに設定し、クランクシャフトが回転する間、コントロールリンクが概ね直立した姿勢を保つようなジオメトリに設定することで、コントロールピン位置の高さ変化を抑制する。その結果、揺動するロアリンクをコントロールピン中心から見たときに、ピストン往復軸線と垂直な直線に対するロアリンクの最大揺動角度は概ね上下対称となる。このとき、コントロールピンに対してクランクピンと逆側の部位は、ピストンとほぼ逆位相で上下動することになるので、ここに質量を付与してやればピストンの回転一次の慣性力を低減することができるようになるから、ピストンとほぼ逆位相で上下動する部位のロアリンクに質量を付与することで、ピストンの上下方向慣性力を低減する。そして、上下方向と左右方向の回転一次の慣性力にバランスするようにクランクシャフトのカウンタウェイトを設ける。もし、ロアリンクへの質量付与による上下方向の慣性力低減に限界がある場合、コントロールリンクに質量を付与することで左右方向の慣性力を増加させ、クランクシャフトのカウンタウェイトを、上下方向と左右方向の回転一次の慣性力にバランスするように設けられるようにする。上記の通り、ロアリンクの最大揺動角度は概ね上下対称の設定にすれば、等速円運動するクランクピンとロアリンクを介して連係するコントロールピンの左右方向の動きは、左右方向の回転一次の慣性力を生じる他の部位(例えばクランクピン)の左右方向の動きを良く近似することになる。
これらによって、エンジン運転中に、カウンターウェイトを含むクランクシャフトの回転一次の慣性力と、クランクシャフト以外の運動物の回転一次慣性力の和と、が互いに打ち消し合うこととすることができるようになる。
図8は図6に示したロアーリンク及びコントロールリンクを使用するマルチリンクエンジンによる作用効果を説明する図であり、図8(A)はクランクシャフトが回転するときに生じる回転一次の慣性力によるエンジン加振力変動を示し、図8(B)は図6に示したロアーリンク及びコントロールリンクを使用するとともにピストンは含むがクランクシャフトは含まない状態のリンク類が動くときに生じる回転一次の慣性力によるエンジン加振力変動を示し、図8(C)は図8(A)及び図8(B)を合成したトータルのエンジン加振力変動を示す。
クランクシャフトにはカウンターウェイトが形成されているので、図8(A)に示すように、クランクシャフトが回転するときに生じる回転一次の慣性力によって360度周期のエンジンを加振する力が発生する。そして左右成分と上下成分との位相差が90度である。
これに対して、図6に示したロアーリンク及びコントロールリンクを使用すれば、ピストンは含むがクランクシャフトは含まない状態のリンク類が動くときに生じる回転一次の慣性力によるエンジン加振力変動は図8(B)のように、図8(A)と逆位相になる。
そのため、両者の加振力を合成すれば相殺されて、図8(C)に示すようにトータルのエンジン加振力がほとんどなくなる。
本実施形態によれば、ロアーリンク及びコントロールリンクにバランスマスを付加し、リンク類の加振力とクランクシャフトの加振力とを相殺させるようにした。このためトータルのエンジン加振力がほとんどなくなり、マルチリンクエンジンの振動を低減できるようになったのである。
またロアーリンクのバランスマス及びコントロールリンクのバランスマスのどちらもコントロールピン挿入孔付近に形成している。この場所は、ロアリンクがピストンと逆に動くので、効率よく効果を得ることができる。
特にコントロールリンクのコントロールピン挿入孔付近にバランスマスを設けた。コントロールピン挿入孔付近は、揺動量の大きい箇所であり、高効率に左右方向の慣性力の和をコントロールできるのである。
またロアーリンクの重心GLよりもコントロールリンクの重心Gcがコントロールピンに近くなるように、ロアーリンク及びコントロールリンクのバランスマスの重量を設定したので、一般的に車載時の特に一次振動が問題となるエンジンに適応しているため、一次振動問題を解決でき快適な車内空間を提供できる。
(第2実施形態)
図9は、本発明によるマルチリンクエンジンの第2実施形態の部品を示す図である。
本実施形態のコントロールリンク13は、第1実施形態のコントロールリンクよりも長尺タイプである。マルチリンクエンジンの仕様によっては、このようなコントロールリンクを採用することがある。そしてこのコントロールリンク13にバランスマス13mを追加した。バランスマス13mは、コントロールピン挿入孔13aの中心と、揺動中心シャフト挿入孔13bの中心と、を結んだ線L13の上であって、コントロールピン挿入孔13aの近傍であってコントロールピン挿入孔13aの外側に形成した。このように形成することで、コントロールリンク13の重心Gcは、コントロールピン挿入孔13aの中心と、揺動中心シャフト挿入孔13bの中心と、を結んだ線L13の上にあり、コントロールピン挿入孔13aの中心に近づくようになる。
そしてロアーリンク12に追加するバランスマス12mは、コントロールピン挿入孔12aの中心と、クランクピン挿入孔12bの中心と、を結んだ線L12の上であって、コントロールピン挿入孔12aの近傍であってコントロールピン挿入孔12aの外側に扁平して形成した。
図10は図9に示したロアーリンク及びコントロールリンクを使用するマルチリンクエンジンによる作用効果を説明する図であり、図10(A)はクランクシャフトによるエンジン加振力変動を示し、図10(B)は図9に示したロアーリンク及びコントロールリンクを使用するとともにピストンは含むがクランクシャフトは含まない状態のリンク類によるエンジン加振力変動を示し、図10(C)は図10(A)及び図10(B)を合成したトータルのエンジン加振力変動を示す。
クランクシャフトにはカウンターウェイトが形成されているので、図8(A)に示すように、360度周期のエンジンを加振する力が発生する。そして左右成分と上下成分との位相差が90度である。
これに対して、図9に示したロアーリンク及びコントロールリンクを使用すれば、ピストンは含むがクランクシャフトは含まない状態のリンク類によるエンジン加振力変動は図10(B)のように、図10(A)と逆位相になる。なおエンジン加振力の上下方向の大きさ(図10(B)の実線)は、クランクシャフトによる加振力(図10(A)の実線)よりも大きく、左右方向の大きさ(図10(B)の破線)は、クランクシャフトによる加振力(図10(A)の破線)と一致する。
そのため、両者の加振力を合成すれば、図10(C)に示すようにトータルのエンジン加振力が小さくなる。ロアーリンクの質量付加とクランクシャフトのカウンタウェイトの調整で、上下成分をできるだけ低減させた上で、コントロールリンクの質量付加により左右成分をほぼ相殺する。このようにすれば、エンジン全体の重量増加やレイアウト上の制限で、必ずしも上下・左右方向の振動を同時に相殺できない場合であっても、エンジン全体としてトータルで見れば、回転一次の振動をより低減することができるようになる。
尚、合成した加振力の上下成分と左右成分の最大振幅がほぼ等しくなるように、各リンクの質量付加あるいはクランクシャフトのカウンタウェイトを調整することもできる。この場合には、上下・左右両者の振動が残るものの加振力の最大値を小さくすることができる。
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれることが明白である。
たとえば、上記実施形態では、ロアーリンク及びコントロールリンクにバランスマスを追加したが、たとえばロアーリンクにのみバランスマス12mを追加してもよい。
10 マルチリンクエンジン
11 アッパーリンク
12 ロアーリンク
12m バランスマス
13 コントロールリンク
13m バランスマス
32 ピストン
33 クランクシャフト

Claims (6)

  1. シリンダー内を往復動するピストンにピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、
    クランクシャフトのクランクピンに回転自由に装着されるとともに、前記アッパーリンクにアッパーピンを介して連結されるロアーリンクと、
    前記ロアーリンクにコントロールピンを介して連結され、揺動中心シャフトを中心として揺動するコントロールリンクと、
    を有するマルチリンクエンジンであって、
    カウンターウェイトを含むクランクシャフトの回転一次の慣性力と、ピストン、アッパーリンク、ロアーリンク及びコントロールリンクの回転一次慣性力の和と、が互いに打ち消し合うようにし、
    前記ロアーリンクは、コントロールピン挿入孔付近に形成されたバランスマスを含む、
    ことを特徴とするマルチリンクエンジンの振動低減構造。
  2. シリンダー内を往復動するピストンにピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、
    クランクシャフトのクランクピンに回転自由に装着されるとともに、前記アッパーリンクにアッパーピンを介して連結されるロアーリンクと、
    前記ロアーリンクにコントロールピンを介して連結され、揺動中心シャフトを中心として揺動するコントロールリンクと、
    を有するマルチリンクエンジンであって、
    カウンターウェイトを含むクランクシャフトの回転一次の慣性力と、ピストン、アッパーリンク、ロアーリンク及びコントロールリンクの回転一次慣性力の和と、が互いに打ち消し合うようにし、
    前記コントロールリンクは、コントロールピン挿入孔付近に形成されたバランスマスを含む、
    ことを特徴とするマルチリンクエンジンの振動低減構造。
  3. シリンダー内を往復動するピストンにピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、
    クランクシャフトのクランクピンに回転自由に装着されるとともに、前記アッパーリンクにアッパーピンを介して連結されるロアーリンクと、
    前記ロアーリンクにコントロールピンを介して連結され、揺動中心シャフトを中心として揺動するコントロールリンクと、
    を有するマルチリンクエンジンであって、
    カウンターウェイトを含むクランクシャフトの回転一次の慣性力と、ピストン、アッパーリンク、ロアーリンク及びコントロールリンクの回転一次慣性力の和と、が互いに打ち消し合うようにし、
    前記ロアーリンクの重心よりも前記コントロールリンクの重心が前記コントロールピンに近い、
    ことを特徴とするマルチリンクエンジンの振動低減構造。
  4. シリンダー内を往復動するピストンにピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、
    クランクシャフトのクランクピンに回転自由に装着されるとともに、前記アッパーリンクにアッパーピンを介して連結されるロアーリンクと、
    前記ロアーリンクにコントロールピンを介して連結され、揺動中心シャフトを中心として揺動するコントロールリンクと、
    を有するマルチリンクエンジンであって、
    カウンターウェイトを含むクランクシャフトの回転一次の慣性力と、ピストン、アッパーリンク、ロアーリンク及びコントロールリンクの回転一次慣性力の和と、が互いに打ち消し合うようにし、
    ピストン上下死点を結ぶピストン往復軸線方向のコントロールピン位置を、クランクシャフト中心付近の高さに設定し、クランクシャフトが回転する間、コントロールリンクが概ね直立した姿勢を保つようなジオメトリに設定することで、コントロールピン位置の高さ変化を抑制し、
    揺動するロアリンクをコントロールピン中心から見たときに、ピストン往復軸線と垂直な直線に対するロアリンクの最大揺動角度を概ね上下対称となるようなジオメトリに設定し、ピストンとほぼ逆位相で上下動する部位のロアリンクに質量を付与することで、ピストンの上下方向慣性力を低減している、
    ことを特徴とするマルチリンクエンジンの振動低減構造。
  5. コントロールリンクに質量を付与することで左右方向の慣性力を増加させている、
    ことを特徴とする請求項に記載のマルチリンクエンジンの振動低減構造。
  6. シリンダー内を往復動するピストンにピストンピンを介して連結されるアッパーリンクと、
    クランクシャフトのクランクピンに回転自由に装着されるとともに、前記アッパーリンクにアッパーピンを介して連結されるロアーリンクと、
    前記ロアーリンクにコントロールピンを介して連結され、揺動中心シャフトを中心として揺動するコントロールリンクと、
    を有するマルチリンクエンジンであって、
    カウンターウェイトを含むクランクシャフトの回転一次の慣性力と、ピストン、アッパーリンク、ロアーリンク及びコントロールリンクの回転一次慣性力の和と、が互いに打ち消し合うようにし、
    シリンダ軸方向を直立方向としたときに、クランクシャフトが一回転する間、アッパーリンクおよびコントロールリンクは、直立に近い姿勢を保ち、
    ロアーリンクは、クランクシャフトが一回転してクランクピンが円運動をするときに、コンロトールリンクとの連結部のシリンダ軸方向の位置をほぼ一定に保ちながら、アッパーリンクとの連結部を、コントロールピンのシリンダ軸方向位置を挟んで概ね上下対称に振るようにして、全体が揺動し、
    コントロールピンに対して、クランクピンと反対側に位置するロアーリンク部分にバランスマスを設けた、
    ことを特徴とするマルチリンクエンジンの振動低減構造。
JP2009116454A 2009-05-13 2009-05-13 マルチリンクエンジンの振動低減構造 Active JP5417977B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009116454A JP5417977B2 (ja) 2009-05-13 2009-05-13 マルチリンクエンジンの振動低減構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009116454A JP5417977B2 (ja) 2009-05-13 2009-05-13 マルチリンクエンジンの振動低減構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010265783A JP2010265783A (ja) 2010-11-25
JP5417977B2 true JP5417977B2 (ja) 2014-02-19

Family

ID=43362967

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009116454A Active JP5417977B2 (ja) 2009-05-13 2009-05-13 マルチリンクエンジンの振動低減構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5417977B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2023067837A (ja) * 2021-10-29 2023-05-16 株式会社アルテミス レシプロエンジン

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7112905B2 (ja) * 2017-11-28 2022-08-04 日産自動車株式会社 複リンク式ピストンクランク機構
JP7112906B2 (ja) * 2017-11-28 2022-08-04 日産自動車株式会社 複リンク式ピストンクランク機構
CN112460215B (zh) * 2020-11-24 2022-12-30 中国科学院光电技术研究所 一种偏心轴系支反力对消装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4587371B2 (ja) * 2004-10-27 2010-11-24 ヤマハ発動機株式会社 並列多気筒4サイクルエンジン及び鞍乗型車両
JP4271152B2 (ja) * 2005-01-26 2009-06-03 本田技研工業株式会社 エンジンの振動除去装置
JP4430519B2 (ja) * 2004-11-18 2010-03-10 本田技研工業株式会社 ストローク特性可変エンジン
JP2007064013A (ja) * 2005-08-29 2007-03-15 Honda Motor Co Ltd ストローク可変エンジン

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2023067837A (ja) * 2021-10-29 2023-05-16 株式会社アルテミス レシプロエンジン

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010265783A (ja) 2010-11-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102187073B (zh) 多连杆式发动机
JP5984921B2 (ja) エンジン
JP5417977B2 (ja) マルチリンクエンジンの振動低減構造
JP5696741B2 (ja) エンジン
JP2009257315A (ja) 内燃機関
JP4882913B2 (ja) マルチリンクエンジンのリンクジオメトリ
JP4992602B2 (ja) 複リンク型ピストンクランク機構
JP5126100B2 (ja) 複リンク機構
JP4534759B2 (ja) 内燃機関
JP4822183B2 (ja) ストローク特性可変エンジン
JP5293856B2 (ja) 複リンク式エンジンの振動低減構造
JP5327361B2 (ja) 複リンク式エンジンの振動低減構造
JP5790158B2 (ja) 内燃機関のクランクシャフトのバランスウエイト配置構造
JP4888518B2 (ja) レシプロ式内燃機関
JP5077189B2 (ja) 複リンク式エンジンの振動低減構造
JP4581675B2 (ja) 内燃機関
JP2005105819A (ja) スコッチヨーク式エンジン
JP2006002613A (ja) V型2気筒エンジンのバランサ構造
JP6329472B2 (ja) 車両用駆動装置
JP2005061301A (ja) スコッチヨーク式エンジン
JP2016070289A (ja) 車両用駆動装置
JP2010121555A (ja) 複リンク式エンジンのトルク変動低減構造
JP2018044624A (ja) クランクシャフトのバランス調整方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120328

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130416

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131022

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131104

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5417977

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150