JP2018044624A - クランクシャフトのバランス調整方法 - Google Patents

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隆 嶋田
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Abstract

【課題】車体に対して傾斜した状態でエンジンが設置されたときに、同エンジンを含むパワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向成分の変動幅が大きくなってしまうことを抑制できるクランクシャフトのバランス調整方法を提供する。【解決手段】バランス調整方法は、直列3気筒のエンジンに使用されるクランクシャフト20のバランス調整方法である。この方法では、カウンタウェイト231の重心の回転位相PGが、基準回転位相PGAから周方向Yにずれるとともに、ピストン往復方向と車両上下方向とのなす角である傾斜角が大きいほど、周方向Yにおけるカウンタウェイト231の重心の回転位相PGと基準回転位相PGAとのずれ量ΔACが大きくなるように、カウンタウェイト231を構成する。【選択図】図3

Description

本発明は、直列3気筒のエンジンに使用されるクランクシャフトのバランス調整方法に関する。
車両のパワープラントとして、直列3気筒のエンジンを含んだものが知られている。パワープラントとは、エンジン、トルクコンバータ、変速機及びトランスアクスルを含んだ動力発生装置のことである。直列3気筒のエンジンに使用されるクランクシャフトは3つのクランクピンを有しており、これら各クランクピンには、コネクティングロッド、ピストンピン及びピストンからなる質量体がそれぞれ連結されている。そして、クランクシャフトには、これら質量体の運動によって発生する力を相殺するためのカウンタウェイトが設けられている。
このようなクランクシャフトを回転させると、同クランクシャフトの回転や各質量体の運動によって同クランクシャフトで1次の慣性偶力が発生する。クランクシャフトで発生する1次の慣性偶力は、クランクシャフトのヨー方向成分と、クランクシャフトのピッチ方向成分との双方を含んでいることがある。クランクシャフトが車両幅方向に延伸するようにエンジンが設置されている場合、クランクシャフトのヨー方向は、クランクシャフトの延伸方向(車両幅方向)と直交する方向のうち、車両上下方向に延びる軸回りの方向のことである。また、クランクシャフトのピッチ方向とは、クランクシャフトの延伸方向(車両幅方向)と直交する方向のうち、車両前後方向に延びる軸回りの方向のことである。
パワープラントを構成するエンジンでは、クランクシャフトのクランクジャーナルを回転自在な状態で支持している。そのため、クランクシャフトで1次の慣性偶力が発生していると、当該慣性偶力がクランクジャーナルからパワープラントに入力される。このようにクランクシャフトで発生している慣性偶力をパワープラントの構成部品で受け止めているときに、パワープラントでは当該慣性偶力に対する反力が慣性偶力として発生することとなる。なお、このようにパワープラントで発生する慣性偶力は、クランクシャフトで発生する1次の慣性偶力と同様に、ヨー方向成分及びピッチ方向成分を含んでいることがある。そして、このようにパワープラントで慣性偶力が発生すると、同パワープラントがすりこぎ運動をするようになる。
特許文献1に記載のエンジンにあっては、クランクシャフトに設けられるカウンタウェイトを調整することで、オーバーバランス率が100%よりも小さく且つ50%よりも大きくなっている。この場合にクランクシャフトに発生する1次の慣性偶力はヨー方向成分とピッチ方向成分との双方を含んでいるが、ヨー方向成分のほうがピッチ方向成分よりも大きい。そのため、パワープラントで発生する慣性偶力でも、ヨー方向成分のほうがピッチ方向成分よりも大きくなる。その結果、パワープラントでは、図9に破線で示すように、同パワープラントで発生する慣性偶力の推移を示す軌跡100が楕円形状をなすようなするこぎ運動が行われる。
そして、特許文献1によれば、このようなパワープラントをマウントを介して車体に支持させることとなるが、このマウントによって、パワープラントで発生する慣性偶力のうちのヨー方向成分が減衰されるようになっている。そのため、ヨー方向成分に起因する振動が、車両の乗員に伝わりにくくなっている。なお、パワープラントに発生する慣性偶力のうちのピッチ方向成分は、マウントのバネ定数の制約や車体の振動感度などによってそれほど減衰されない。しかし、ピッチ方向成分はヨー方向成分よりも小さいため、ピッチ方向成分に起因する振動によって乗員が不快に感じることは少ない。
国際公開第2011/065426号公報
ところで、近年では、図10に示すように、クランクシャフト50の中心軸を中心とする周方向Fで、気筒51内でのピストン52の往復運動する方向であるピストン往復方向B1が上記車両上下方向B2と一致しないように、エンジンが車体に対して傾斜した状態で設置されることがある。この場合、図9に実線で示すように、パワープラントで発生する慣性偶力の推移を示す楕円形状の軌跡100が、周方向Fにおけるピストン往復方向B1と車両上下方向B2とのずれ量に応じた分だけ回転した楕円形状の軌跡100Aに変換されてしまう。その結果、図9に示すように、パワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向成分の変動幅が、第1の変動幅ΔXp1から変動幅ΔXp2まで大きくなってしまう。そのため、ピッチ方向成分に起因する振動が大きくなり、車両の乗員が不快に感じやすくなってしまう。
本発明の目的は、車体に対して傾斜した状態でエンジンが設置されたときに、同エンジンを含むパワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向成分の変動幅が大きくなってしまうことを抑制できるクランクシャフトのバランス調整方法を提供することである。
上記課題を解決するためのクランクシャフトのバランス調整方法は、車両搭載時には、クランクシャフトの中心軸を中心とする周方向でピストンの往復運動する方向であるピストン往復方向が車両上下方向と相違するように、車体に対して傾斜した状態で設置される直列3気筒のエンジンに使用されるクランクシャフトのバランスを調整するための方法である。当該調整方法によってバランス調整されるクランクシャフトの3つのクランクピンには、コネクティングロッド及びピストンピンを介してピストンがそれぞれ連結されている。また、クランクシャフトは、コネクティングロッド、ピストンピン及びピストンからなる質量体の運動によって発生する力を相殺するカウンタウェイトを有しているとともに、オーバーバランス率が50%よりも高くなるように構成されている。
そして、上記周方向においてピストン往復方向が車両上下方向と一致するように、車体に対して傾斜しないでエンジンを設置した際に同エンジンを含むパワープラントで発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅が最小となるときのカウンタウェイトの重心の回転位相を、基準回転位相とする。また、クランクシャフトを使用するエンジンが、ピストン往復方向が車両上下方向に対して上記周方向における一方側にずれるように、車体に対して傾斜して設置されるとする。
この場合、上記バランス調整方法では、カウンタウェイトの重心の回転位相が、基準回転位相から上記周方向における他方側にずれるとともに、ピストン往復方向と車両上下方向とのなす角である傾斜角が大きいほど、上記周方向におけるカウンタウェイトの重心の回転位相と基準回転位相とのずれ量が大きくなるように、同カウンタウェイトをクランクシャフトに設けるようにしている。
カウンタウェイトの重心の回転位相を変えると、クランクシャフトで発生する1次の慣性偶力のうち、ピッチ方向の成分の変動周期の回転位相がずれるとともに、ヨー方向の成分の変動周期の回転位相がずれる。例えば、上記重心の回転位相を進角側に変えると、ピッチ方向の成分の変動周期の回転位相が進角側にずれ、ヨー方向の成分の変動周期の回転位相が進角側にずれる。反対に、上記重心の変動周期の回転位相を遅角側に変えると、ピッチ方向の成分の変動周期の回転位相が遅角側にずれ、ヨー方向の成分の変動周期の回転位相が遅角側にずれる。また、このようにクランクシャフトで発生する1次の慣性偶力のうち、ピッチ方向の成分の変動周期の回転位相及びヨー方向の成分の変動周期の回転位相がずれると、クランクシャフトを含むパワープラントで発生する慣性偶力のうち、ピッチ方向の成分の変動周期の回転位相及びヨー方向の成分の変動周期の回転位相がずれることとなる。
そこで、上記のバランス調整方法では、当該方法によって調整されたクランクシャフトを使用するエンジンが、上記ピストン往復方向が車両上下方向に対して上記周方向における一方側にずれるように、車体に対して傾斜して設置されるとした場合、上記重心の回転位相が上記基準回転位相から上記周方向における他方側にずれるようにしている。これにより、クランクシャフトで発生する1次の慣性偶力のうち、ピッチ方向の成分の変動周期及びヨー方向の成分の変動周期が変わるため、クランクシャフトで発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅を小さくすることが可能となる。そして、クランクシャフトで発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅を小さくすると、同クランクシャフトを含むパワープラントで発生する慣性偶力の推移を示す楕円形状の軌跡が、ピストン往復方向と車両上下方向とが上記周方向でずれていない場合の状態に近づくこととなる。すなわち、同パワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅が小さくなる。
なお、このように上記重心の回転位相を上記基準回転位相からずらすことにより、パワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動は小さくなるものの、上記重心の回転位相と上記基準回転位相とのずれ量を大きくしすぎると、上記重心の回転位相が上記基準回転位相と等しい場合よりも上記ピッチ方向の成分の変動幅が増大してしまうおそれがある。この点、上記構成では、上記重心の回転位相と上記基準回転位相とのずれ量を、上記傾斜角に応じた量とするようにしている。そのため、当該ずれ量が過剰に大きくなることを抑制できる。
したがって、上記のようにエンジンが車体に対して傾斜した状態で設置されたときに、クランクシャフトで発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分が大きくなってしまうことを抑制できるようになる。すなわち、パワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分が大きくなることを抑制できるようになる。
実施形態のクランクシャフトのバランス調整方法で調整されたクランクシャフトを備える直列3気筒のエンジンの模式図。 同エンジンのクランクシャフトを示すモデル図。 同クランクシャフトにおける、質量体と、カウンタウェイトの重心との位置関係を示すモデル図。 同クランクシャフトで発生する1次の慣性偶力のうちのヨー方向の成分の推移を示すグラフ。 同クランクシャフトで発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の推移を示すグラフ。 同エンジンを備えるパワープラントで発生する慣性偶力の推移を示す図。 車体に対してエンジンが傾斜して設置された場合において、パワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅と、カウンタウェイトの重心の回転位相と基準回転位相とのずれ量との関係を模式的に示すグラフ。 別の実施形態において、クランクオフセットのエンジンの模式図。 従来において、パワープラントで発生する慣性偶力の推移を示す図。 従来において、ピストン往復方向と車両上下方向とが相違するように車体に設置されたエンジンの模式図。
以下、クランクシャフトのバランス調整方法の一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1及び図2には、本実施形態のバランス調整方法によって調整されたクランクシャフト20を搭載する直列3気筒のエンジン10(以下、単に「エンジン」という。)が模式的に図示されている。当該エンジン10にあっては、オーバーバランス率が50%よりも大きく且つ100%よりも小さい値(例えば、75%)となっているとともに、クランクオフセットがなされていない。そして、このエンジン10は、例えば、クランクシャフト20の中心軸ZCが車両幅方向に延伸する態様(すなわち、横置き)で車体に設置される。
図1及び図2に示すように、エンジン10のクランクシャフト20には、クランクジャーナル21と、クランクジャーナル21を中心とする周方向Yに120°間隔で配置される3つのクランクピン22とが設けられている。クランクシャフト20は、クランクジャーナル21を介して支持されている。
クランクシャフト20の中心軸ZCの延伸方向を軸方向とした場合、クランクシャフト20の軸方向における中央には2番気筒用のクランクピン22が配置されている。また、クランクシャフト20において、2番気筒用のクランクピン22よりも軸方向一方側には1番気筒用のクランクピン22が配置され、2番気筒用のクランクピン22よりも軸方向他方側には3番気筒用のクランクピン22が配置されている。なお、クランクシャフト20の軸方向の中心から1番気筒用のクランクピン22までの距離H1は、クランクシャフト20の軸方向の中心から3番気筒用のクランクピン22までの距離H2と等しい。
そして、各クランクピン22には、コネクティングロッド31と、気筒11内で往復運動するピストン32と、コネクティングロッド31の先端にピストン32を連結するピストンピン33とからなる質量体30がそれぞれ連結されている。
また、クランクシャフト20には、各質量体30の運動によって発生する力(すなわち、各質量体30のうち、回転運動成分の回転運動によって発生する力と、往復運動成分の往復運動によって発生する力)を相殺するカウンタウェイト23が設けられている。本実施形態では、カウンタウェイト23は、気筒11毎にそれぞれ設けられている。そして、本明細書では、1番気筒用のカウンタウェイト23を「カウンタウェイト231」といい、2番気筒用のカウンタウェイト23を「カウンタウェイト232」といい、3番気筒用のカウンタウェイト23を「カウンタウェイト233」というものとする。
当該エンジン10が搭載される車両が位置する路面に対して直交する方向を車両上下方向X1とする。この場合、図1に示すように、本実施形態では、エンジン10は、中心軸ZCを中心とする周方向Yにおいて、ピストン32の往復運動する方向であるピストン往復方向X2が車両上下方向X1とずれるように、車体に対して傾斜して設置されている。具体的には、エンジン10は、クランクシャフト20の回転方向Y1の反対(図1では、反時計回り方向)にピストン往復方向X2が車両上下方向X1からずれるように、車体に対して傾斜して設置されている。なお、以降の記載にあっては、ピストン往復方向X2と車両上下方向X1とのなす角のことを「傾斜角θ」というものとする。
ところで、オーバーバランス率が上記のように設定されている場合、回転するクランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力は、クランクシャフト20のヨー方向の成分と、クランクシャフト20のピッチ方向の成分との双方を含んでいる。なお、クランクシャフト20のヨー方向は、クランクシャフト20の延伸方向である車両幅方向と直交する方向のうち、車両上下方向X1に延びる軸回りの方向のことである。また、クランクシャフト20のピッチ方向とは、クランクシャフト20の延伸方向である車両幅方向と直交する方向のうち、車両前後方向に延びる軸回りの方向のことである。しかも、この場合の1次の慣性偶力では、ヨー方向の成分のほうがピッチ方向の成分よりも大きい。
このようなクランクシャフト20を有するエンジン10はパワープラントを構成しており、クランクシャフト20で1次の慣性偶力が発生すると、パワープラントでは、クランクシャフト20で発生している1次の慣性偶力に起因する慣性偶力が発生することとなる。すなわち、クランクシャフト20で1次の慣性偶力が発生していると、クランクジャーナル21から当該慣性偶力がパワープラントの軸受部に入力される。このようにクランクシャフト20で発生している慣性偶力を軸受部で受け止めているときに、パワープラントでは当該慣性偶力に対する反力が慣性偶力として発生する。このようにパワープラントで慣性偶力が発生すると、同パワープラントがすりこぎ運動をすることとなる。なお、車両のパワープラントとは、エンジン10、トルクコンバータ、変速機及びトランスアクスルを含んだ動力発生装置のことである。
パワープラントで発生する慣性偶力は、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力と同様に、ヨー方向の成分とピッチ方向の成分とを含んでいる。また、このようにオーバーバランス率が50%よりも大きく且つ100%よりも小さい場合、パワープラントで発生する慣性偶力では、ヨー方向の成分のほうがピッチ方向の成分よりも大きい。そのため、慣性偶力の推移を示す軌跡が楕円形状をなすようにパワープラントがするこぎ運動することとなる。
上述したように、クランクシャフト20は、車体に対して傾斜した状態で設置されるエンジン10で使用される。そのため、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅が大きくなりやすい。すなわち、パワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅も大きくなりやすい。
そこで次に、図3〜図7を参照し、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分が大きくなるのを抑制し、パワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分が大きくなるのを抑制するためのバランス調整方法について説明する。
図3には、1番気筒用の質量体30の回転位相と、1番気筒用のカウンタウェイト231の重心の回転位相PGとの位置関係が模式的に図示されている。図3では、時計回り方向がクランクシャフト20の回転方向Y1である。なお、3番気筒用の質量体30の回転位相と、3番気筒用のカウンタウェイト233の重心の回転位相PGとの位置関係は、1番気筒用と同じである。
周方向Yでピストン往復方向X2が車両上下方向X1と一致するように、車体に対して傾斜しない状態でエンジン10が設置されることを、「エンジン10が直立状態で車体に設置される」というものとする。図3において破線で表されるカウンタウェイト231の重心の回転位相は、このようにエンジン10が直立状態で車体に設置された際にクランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅が最小となるときの回転位相を表している。本明細書では、このような重心の回転位相を「基準回転位相PGA」というものとする。
そして、本実施形態では、各カウンタウェイト231〜233のうち、1番気筒用のカウンタウェイト231の重心の回転位相PGと、3番気筒用のカウンタウェイト233の重心の回転位相PGとの双方を、図3に白抜きの矢印で示すように、基準回転位相PGAから回転方向Y1側(すなわち、進角側)にずらしている。このように回転位相PGを基準回転位相PGAからずらすことにより、本件発明者は、以下に述べる効果があるという知見を得た。なお、以降の説明においては、回転位相PGを基準回転位相PGAと等しくした場合を比較例というものとする。
・図4に示すように、比較例の場合と比較し、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのヨー方向の成分の変動周期が進角側にずれる。
・比較例の場合と比較し、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動周期が進角側にずれる。
すなわち、図5において、実線L1は、クランクシャフトの回転及び各質量体30の運動によって、カウンタウェイトを備えていないクランクシャフトで生じる1次の慣性偶力のピッチ方向の成分の推移を表している。また、破線L2Aは、回転位相PGが基準回転位相PGAと等しいときのカウンタウェイト231,233の運動によってクランクシャフト20で生じる1次の慣性偶力のピッチ方向の成分の推移を表している。また、一点鎖線L2は、回転位相PGが基準回転位相PGAから進角側にずれているときのカウンタウェイト231,233の運動によってクランクシャフト20で生じる1次の慣性偶力のピッチ方向の成分の推移を表している。また、実線L3Aは、実線L1で表されるピッチ方向の成分と、破線L2Aで表されるピッチ方向の成分とを合成した結果であり、比較例のクランクシャフトで発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の推移を表している。また、実線L3は、実線L1で表されるピッチ方向の成分と、一点鎖線L2で表されるピッチ方向の成分とを合成した結果であり、本実施形態のバランス調整方法によって調整されたクランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の推移を表している。そして、図5において、実線L3と実線L3Aとを比較した場合、本実施形態のバランス調整方法によって調整されたクランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動周期は、比較例の場合のピッチ方向の成分の変動周期よりも進角側にずれている。また、本実施形態のバランス調整方法によって調整されたクランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅が、比較例の場合のピッチ方向の成分の変動幅とは異なっている。
図6には、本実施形態のバランス調整方法によって調整されたクランクシャフト20を含むパワープラントで発生する慣性偶力の推移と、比較例のクランクシャフトを含むパワープラントで発生する慣性偶力の推移とが図示されている。すりこぎ運動をするパワープラントで発生する慣性偶力の推移を示す軌跡Tは、楕円形状をなすようになっている。そして、図6に示すように、本実施形態のバランス調整方法によって調整されたクランクシャフト20を含むパワープラントで発生する慣性偶力の推移を示す楕円状の軌跡Tは、その中心を基準とし、比較例のクランクシャフトを含むパワープラントで発生する慣性偶力の推移を示す楕円状の軌跡TAから回転する。すなわち、上記回転位相PGを基準回転位相PGAからずらすことで、パワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅ΔPHを変化させることができる。
図7には、カウンタウェイト231,233の重心の回転位相PGの基準回転位相PGAからの進角側へのずれ量ΔACと、パワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅ΔPHとの関係が図示されている。図7に示すように、上記ずれ量ΔACが大きくなるにつれて、ピッチ方向の成分の変動幅ΔPHが徐々に小さくなる。そして、エンジン10におけるピストン往復方向X2と車両上下方向X1とのなす角である傾斜角θに上記ずれ量ΔACが達すると、それ以降では、ずれ量ΔACが大きくなるにつれてピッチ方向の成分の変動幅ΔPHが徐々に大きくなる。すなわち、ずれ量ΔACが傾斜角θと等しいときに、ピッチ方向の成分の変動幅ΔPHが最小となる。ここではパワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分について述べているが、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅についても、ずれ量ΔACが傾斜角θと等しいときに最小となる。
そこで、本実施形態のバランス調整方法では、ずれ量ΔACが傾斜角θと等しくなるように、クランクシャフト20に対してカウンタウェイト231,233が設けられる。なお、2番気筒用のカウンタウェイト232は、回転位相PGが基準回転位相PGAと等しくなるようにクランクシャフト20に設けられる。すなわち、2番気筒用のカウンタウェイト232は、クランクシャフト20の軸方向における中心付近に配置されているため、その回転位相PGを変えてもクランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅はほとんど変わらない。すなわち、パワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅ΔPHはほとんど変わらない。
次に、本実施形態のバランス調整方法によって調整されたクランクシャフト20を使用するエンジン10を含むパワープラントの作用について効果とともに説明する。
当該エンジン10は、クランクシャフト20の回転方向Y1の反対側にピストン往復方向X2が車両上下方向X1からずれるように、車体に対して傾斜して設置されている。クランクシャフト20は、本実施形態のバランス調整方法によってカウンタウェイト231,233の重心の回転位相PGの基準回転位相PGAからの進角側へのずれ量ΔACが上記傾斜角θと等しくなるように構成されている。そのため、図5に示すように、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅ΔPHが大きくなることが抑制される。
したがって、本実施形態のバランス調整方法によって調整されたクランクシャフト20を、車体に対して傾斜して設置されるエンジン10で使用することにより、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅が大きくなってしまうことを抑制できる。その結果、図6に示すように、当該エンジン10を含むパワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅ΔPHが大きくなってしまうことを抑制できる。そのため、当該パワープラントを搭載する車両では、上記ピッチ方向の成分に起因する振動が大きくなることが抑制されるため、当該振動によって車両の乗員が不快に感じにくい。
ここで、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅を小さくする方法としては、オーバーバランス率をより大きくする方法も考えられるが、この方法を実現するためにはカウンタウェイト23の重量を大きくする必要があり、エンジン10全体として重量が増大してしまう。これに対し、本実施形態では、カウンタウェイト231,233の重心の回転位相PGを変えることで、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅を小さくしている。すなわち、エンジン10全体として重量の増大を抑制しつつ、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅を小さくし、ひいてはパワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅ΔPHを小さくすることができる。
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態では、上記回転位相PGの進角側への基準回転位相PGAからのずれ量ΔACが上記傾斜角θと等しくなるようにクランクシャフト20のバランスを調整するようにしている。しかし、上記回転位相PGが基準回転位相PGAと等しいときよりもパワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅ΔPHを小さくすることができるのであれば、ずれ量ΔACは、上記傾斜角θと相違していてもよい。上記ずれ量ΔACを上記傾斜角θよりも大きくすると、上記ピッチ方向の成分の変動幅ΔPHが徐々に大きくなり、当該変動幅ΔPHが、上記回転位相PGが基準回転位相PGAと等しいときの変動幅よりも大きくなる。そして、上記回転位相PGが基準回転位相PGAと等しいときの変動幅と当該変動幅ΔPHが等しくなるときの上記ずれ量ΔACをずれ量最大値とする。この場合、ずれ量ΔACが上記傾斜角θとは異なる値であっても、ずれ量ΔACをずれ量最大値よりも小さい値とすることで、上記回転位相PGが基準回転位相PGAと等しいときよりも上記ピッチ方向の成分の変動幅を小さくすることができる。
・エンジン10が、クランクシャフト20の回転方向Y1側にピストン往復方向X2が車両上下方向X1からずれるように、車体に対して傾斜して設置されることもあり得る。この場合、1番気筒用のカウンタウェイト231の重心の回転位相PGと、3番気筒用のカウンタウェイト233の重心の回転位相PGとの双方を、基準回転位相PGAから回転方向Y1の反対側(すなわち、遅角側)にずらすことが好ましい。これによって、このようにエンジン10が車体に対して傾斜している場合であっても、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうち、ピッチ方向の成分の変動周期が遅角側にずれ、且つヨー方向の成分の変動周期が遅角側にずれる。その結果、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分が大きくなることを抑制し、ひいてはパワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅ΔPHを小さくすることができる。
・上記のようなバランス調整方法によって調整されたクランクシャフト20をクランクオフセットのエンジンに使用してもよい。
図8には、クランクオフセットのエンジン10Aの一例が図示されている。上記軸線方向とピストン往復方向X2との双方と直交する方向を規定方向Zとした場合、当該エンジン10Aでは、クランクシャフト20のクランクジャーナル21と気筒11の中心軸11aとの規定方向Zでのずれ量のことを「オフセット量Q」というものとする。図8に示すエンジン10Aでは、気筒11の中心軸11aがクランクジャーナル21よりも、クランクシャフト20の回転方向Y1側にずれている。
このようなオフセットクランクのエンジン10Aにあっては、オフセットクランクではないエンジン10よりも、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力の変動周期がオフセット位相β分だけ遅れる。なお、オフセット位相βは「tan−1(Q/L)」のことであり、「L」はコネクティングロッド31の長さのことである。
このようなオフセットクランクのエンジン10Aが直立状態で車体に設置された際にクランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅が最小となるときの回転位相を「基準回転位相PGA1」というものとする。この場合の基準回転位相PGA1は、上記実施形態で説明した場合のようにオフセットクランクではないエンジン10における基準回転位相PGAよりもオフセット位相βだけ大きい。
そして、このようなオフセットクランクのエンジン10Aでも、上記回転位相PGの進角側への基準回転位相PGA1からのずれ量ΔACが上記ずれ量最大値未満の値となるように、クランクシャフト20を構成することで、クランクシャフト20で発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅が大きくなることを抑制することができる。その結果、オフセットクランクのエンジン10Aを含むパワープラントで発生する慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅ΔPHが大きくなることを抑制することができる。
なお、上記ピッチ方向の成分の変動幅を最も小さくするためには、上記回転位相PGの進角側への基準回転位相PGA1からのずれ量ΔACが傾斜角θと等しくなるように、クランクシャフト20を構成することである。
・バランス調整方法によって調整されるクランクシャフトは、1番気筒用のカウンタウェイト231と3番気筒用のカウンタウェイト233とを備えているのであれば、2番気筒用のカウンタウェイト232を備えない構成であってもよい。この場合、1番気筒用のカウンタウェイト231と3番気筒用のカウンタウェイト233との双方の重量は、2番気筒用のカウンタウェイト231を備えるクランクシャフト20のカウンタウェイト231,233の重量よりも大きくなる。
・1番気筒用のカウンタウェイトは、1番気筒用のクランクピン22よりも軸方向外側に配置されるアンバランスマスを備えた構成であってもよい。同様に、3番気筒用のカウンタウェイトは、3番気筒用のクランクピン22よりも軸方向外側に配置されるアンバランスマスを備えた構成であってもよい。
10,10A…エンジン、20…クランクシャフト、21…クランクジャーナル、22…クランクピン、23,231〜233…カウンタウェイト、30…質量体、31…コネクティングロッド、32…ピストン、33…ピストンピン、ZC…中心軸。

Claims (1)

  1. 車両搭載時には、クランクシャフトの中心軸を中心とする周方向でピストンの往復運動する方向であるピストン往復方向が車両上下方向と相違するように、車体に対して傾斜した状態で設置される直列3気筒のエンジンに使用されるクランクシャフトのバランス調整方法であって、
    前記クランクシャフトの3つのクランクピンには、コネクティングロッド及びピストンピンを介して前記ピストンがそれぞれ連結されており、
    前記クランクシャフトは、前記コネクティングロッド、前記ピストンピン及び前記ピストンからなる質量体の運動によって発生する力を相殺するカウンタウェイトを有しているとともに、オーバーバランス率が50%よりも高くなるように構成されており、
    前記周方向において前記ピストン往復方向が前記車両上下方向と一致するように、前記車体に対して傾斜しないで前記エンジンを設置した際に同エンジンを含むパワープラントで発生する1次の慣性偶力のうちのピッチ方向の成分の変動幅が最小となるときの前記カウンタウェイトの重心の回転位相を、基準回転位相とし、
    前記クランクシャフトを使用する前記エンジンが、前記ピストン往復方向が前記車両上下方向に対して前記周方向における一方側にずれるように、前記車体に対して傾斜して設置されるとした場合、
    前記カウンタウェイトの重心の回転位相が、前記基準回転位相から前記周方向における他方側にずれるとともに、前記ピストン往復方向と前記車両上下方向とのなす角である傾斜角が大きいほど、前記周方向における前記カウンタウェイトの重心の回転位相と前記基準回転位相とのずれ量が大きくなるように、同カウンタウェイトを前記クランクシャフトに設ける
    クランクシャフトのバランス調整方法。
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