JP2017172766A - クランクシャフトのバランス調整方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】オフセットクランクのエンジンにおいてオーバーバランス率を50%にするためのクランクシャフトのバランス調整方法を提供する。【解決手段】オフセット量を「Q」とし、コネクティングロッドの長さを「L」とし、ダミーウェイト50の往復成分の重心位置G2とクランクジャーナルの中心軸G0とを通過する直線L1と、クランクピンの中心軸G1とクランクジャーナルの中心軸G0とを通過する直線L2とのなす角を「θ」としたとする。この場合、「tanθ=(Q/L)」を満たすとともに、ダミーウェイト50の往復成分の重心位置G2がクランクピンの中心軸G1よりもクランクシャフトの回転方向上流側に位置する態様でダミーウェイト50をクランクピンの各々に取り付け、この状態でクランクシャフトを回転させることで得た情報を基にカウンタウェイトを加工する。【選択図】図3

Description

本発明は、直列3気筒のエンジンに使用可能なクランクシャフトのバランス調整方法に関する。
直列3気筒のエンジンに使用されるクランクシャフトとして、図6及び図7に示すように、クランクジャーナル101を中心として周方向に3つのクランクピン102が120°間隔で配置されたものが知られている。このようなクランクシャフト100の軸方向中心には、2番気筒用のクランクピン102が位置している。そして、ピストン111の往復移動に基づいて図6及び図7に示す矢印方向にクランクシャフト100が回転する場合、クランクシャフト100の軸方向中心を中心とするピッチングモーメントがクランクシャフト100で発生する。
クランクシャフト100がエンジンに搭載された状態でクランクピン102に連結される質量体は、コネクティングロッド112、ピストンピン113及びピストン111からなる。そして、ピストン111の往復運動に応じてクランクシャフト100が回転しているとき、クランクシャフト100で1次の慣性偶力が発生することとなる。この場合、特許文献1に記載されるように、クランクシャフト100に設けられるカウンタウェイト120を調整してオーバーバランス率を50%とすることで、同クランクシャフト100にすりこぎ運動を行わせることができるようになる。このようなクランクシャフト100のすりこぎ運動は、同クランクシャフト100とは等速で逆回転するバランスシャフトで逆位相の慣性偶力を発生させることで打ち消すことができる。
ここで、直列3気筒のエンジンに使用可能なクランクシャフト100の製造過程では、例えば特許文献2に記載されるように、クランクシャフト100を回転させることで得た情報を基に、同クランクシャフト100のカウンタウェイト120にドリル加工などによって加工を施すバランス調整が行われる。そして、調整後のクランクシャフト100をエンジンに搭載することで、オーバーバランス率を50%とすることが可能となる。
なお、このようなバランス調整は、クランクピン102にダミーウェイトを取り付けた状態で行われる。このようなバランス調整用のダミーウェイトとしては、一般的に、クランクピン102に取り付けられた状態でクランクピン102の中心軸と重心位置が一致するウェイトが用いられる。
特開昭49−117806号公報 特開昭61−225631号公報
ところで、近年では、気筒の中心軸を、クランクジャーナル101の中心軸よりもクランクシャフト100の回転方向下流側にオフセットしたオフセットクランクのエンジンの開発が進められている。このようなオフセットクランクのエンジンに使用されるクランクシャフト100のバランス調整時に上記のダミーウェイトを用いた場合、以下に示すような課題が生じる。
すなわち、クランクピン102に連結される質量体を往復成分と回転成分とに区分けした場合、質量体の往復成分は、コネクティングロッド112のうちピストン111に近い側の部分、ピストン111、及び、ピストンピン113から構成されると見なすことができる。また、質量体の回転成分は、コネクティングロッド112のうちピストン111から遠い側の部分(すなわち、クランクピン102に近い側の部分)から構成されると見なすことができる。そして、図8に示すように、クランクジャーナル101の延伸方向とピストン111の往復移動する方向の双方と直交する方向を規定方向とする。この場合、下死点から上死点に向けてピストン111が移動しているとともに、規定方向でクランクジャーナル101の中心軸の位置とクランクピン102の中心軸の位置とが一致するとき、クランクジャーナル101の中心軸とクランクピン102の中心軸とを通過する直線と、クランクピン102の中心軸とピストンピン113の中心軸とを通過する直線とのなす角がオフセット位相αとなる。そして、オフセットクランクのエンジンでは、質量体の往復成分からクランクシャフト100が受ける荷重の変動周期は、オフセットクランクではないエンジンの場合よりもオフセット位相αだけ遅れることとなる。
そのため、こうした荷重の変動周期の遅れが生じていないクランクシャフトのバランス調整を行うことを前提に設計されている上述した一般的なダミーウェイトを各クランクピン102に取り付けてオフセットクランクのエンジンに使用されるクランクシャフト100に対してバランス調整を行ったとしても、適切なバランス調整を行うことができない。その結果、クランクシャフト100に円滑なすりこぎ運動を行わせることができず、クランクシャフト100に残っている振動をバランスシャフトによって打ち消すことが困難となる。
本発明の目的は、オフセットクランクのエンジンにおいてオーバーバランス率を50%にするためのクランクシャフトのバランス調整方法を提供することにある。
上記課題を解決するためのクランクシャフトのバランス調整方法は、クランクジャーナルを中心として3つのクランクピンが周方向に120°間隔で配置されているクランクシャフトを有する直列3気筒のエンジンにおいてオーバーバランス率を50%とするための方法であって、エンジンにクランクシャフトが搭載された状態でクランクピンに連結される質量体は、気筒内で往復運動するピストン、及び、クランクピンに連結されるコネクティングロッド、及び、同ピストンと同コネクティングロッドとを繋ぐピストンピンからなり、クランクシャフトのバランス調整時に、質量体における往復成分の質量の50%と同質量体における回転成分の質量との和と等価の質量を有するダミーウェイトを、クランクピンの各々に取り付け、同ダミーウェイトを取り付けた状態で同クランクシャフトを回転させることで得た情報を基にカウンタウェイトを加工するバランス調整方法を前提としている。エンジンは、気筒の中心軸がクランクジャーナルの中心軸よりもクランクシャフトの回転方向下流側にオフセットしているオフセットクランクのエンジンである。そして、クランクジャーナルの延伸方向とピストンの往復移動する方向との双方に直交する方向でのクランクジャーナルの中心軸と気筒の中心軸とのずれ量であるオフセット量を「Q」とし、コネクティングロッドの長さを「L」とし、クランクジャーナルの中心軸と直交する平面においてダミーウェイトの往復成分の重心位置とクランクジャーナルの中心軸とを通過する直線と、上記平面においてクランクピンの中心軸とクランクジャーナルの中心軸とを通過する直線とのなす角を「θ」としたとする。この場合、このバランス調整方法において、「tanθ=(Q/L)」を満たすとともに、ダミーウェイトの往復成分の重心位置がクランクピンの中心軸よりもクランクシャフトの回転方向上流側に位置する態様でダミーウェイトをクランクピンの各々に取り付け、同ダミーウェイトを取り付けた状態で同クランクシャフトを回転させることで得た情報を基にカウンタウェイトを加工する。
オフセットクランクのエンジンで質量体の往復成分からクランクシャフトが受ける荷重の変動周期は、オフセットクランクではないエンジンで質量体の往復成分からクランクシャフトが受ける荷重の変動周期よりも「tan−1(Q/L)」(=上記のオフセット位相α)だけ遅い。これは、ピストンによるクランクシャフトの回転一次の加速度(すなわち、回転一次の慣性力)が最大となるときのクランクシャフトの位相が、オフセットクランクのエンジンとオフセットクランクではないエンジンとで「tan−1(Q/L)」だけずれているためである。
また、重心位置がクランクピンの中心軸と一致するダミーウェイトを比較例のダミーウェイトとしたとする。そして、本願発明者は、比較例のダミーウェイトをクランクピンの各々に取り付けた状態でクランクシャフトを回転させた場合、比較例のダミーウェイトの往復成分からクランクシャフトが受ける荷重の変動周期が、「tan−1(Q/L)」だけ、オフセットクランクのエンジンで質量体の往復成分からクランクシャフトが受ける荷重の変動周期よりも進んでいるという知見を得た。
そこで、上記構成では、「tanθ=(Q/L)」を満たすとともに、ダミーウェイトの往復成分の重心位置がクランクピンの中心軸よりもクランクシャフトの回転方向上流側に位置する態様でダミーウェイトを各クランクピンにそれぞれ取り付けるようにしている。このダミーウェイトを上記のように取り付ければ、ダミーウェイトの往復成分からクランクシャフトが受ける荷重の変動周期が、比較例のダミーウェイトを取り付けた場合に比べて「tan−1(Q/L)」だけ遅くなる。したがって、本ダミーウェイトの往復成分からクランクシャフトが受ける荷重の変動周期が、オフセットクランクのエンジンで質量体の往復成分からクランクシャフトが受ける荷重の変動周期とほぼ一致するようになる。そのため、本ダミーウェイトを取り付けてクランクシャフトを回転させることで、オフセットクランクのエンジンでクランクシャフトを回転させることで得られる情報とほぼ同じ情報を得ることができる。そして、本ダミーウェイトを取り付けてクランクシャフトを回転させることで得た情報を基に、オーバーバランス率が50%となるように、すなわち円滑なすりこぎ運動をクランクシャフトが行うようにカウンタシャフトが加工される。その後、このようにバランス調整を行ったクランクシャフトをオフセットクランクのエンジンに搭載することで、オーバーバランス率を50%とすることが可能となる。
実施形態のクランクシャフトのバランス調整方法で調整されたクランクシャフトを備えるエンジンの模式図。 同エンジンにおいて、クランクシャフトとその周辺に配置される部材とを示すモデル図。 実施形態のクランクシャフトのバランス調整方法でクランクシャフトのバランス調整を行う際に、クランクピンに取り付けられるダミーウェイトを模式的に示す平面図。 クランクジャーナルの中心軸と、クランクピンの中心軸と、ダミーウェイトの往復成分の重心位置との位置関係を示す模式図。 ダミーウェイトの変形例を示す平面図。 従来において、エンジンに搭載されたクランクシャフトを模式的に示す斜視図。 クランクシャフトを軸方向から見た場合のクランクピンの位置関係を示す模式図。 オフセット位相を説明するための模式図。
以下、直列3気筒のエンジンに使用可能なクランクシャフトのバランス調整方法を具体化した一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1及び図2には、本実施形態のバランス調整方法で調整されたクランクシャフト20を搭載する直列3気筒のエンジン(以下、単に「エンジン10」という。)が模式的に図示されている。図1及び図2に示すように、当該エンジン10のクランクシャフト20には、クランクジャーナル21と、クランクジャーナル21を中心とする周方向に120°間隔で配置される3つのクランクピン22とが設けられており、クランクシャフト20の軸方向中心には2番気筒用のクランクピン22が配置されている。そして、各クランクピン22には、コネクティングロッド31と、気筒11内で往復移動するピストン32と、コネクティングロッド31の先端にピストン32を連結するピストンピン33とからなる質量体30がそれぞれ連結されている。
また、エンジン10には、クランクシャフト20と平行に配置されているバランスシャフト12が設けられている。このバランスシャフト12は、2つの歯車13,14を介してクランクシャフト20と駆動連結されている。そして、バランスシャフト12は、クランクシャフト20とは等速で逆回転するようになっている。
また、図1に示すように、本エンジン10は、クランクジャーナル21の中心軸よりもクランクシャフト20の回転方向下流側(図中右側)に気筒11の中心軸11aがずれているオフセットクランクのエンジンである。なお、本明細書では、クランクジャーナル21の延伸方向とピストン32の往復移動する方向との双方に直交する方向(図1では左右方向)を「規定方向X」といい、規定方向Xでのクランクジャーナル21の中心軸と気筒11の中心軸11aとのずれ量のことを「オフセット量Q」というものとする。
また、クランクシャフト20は、エンジン10でオーバーバランス率が50%となるように、すなわちクランクシャフト20に円滑なすりこぎ運動を行わせることができるようにバランス調整が行われたものである。すなわち、クランクピン22に連結される質量体30を往復成分と回転成分とに区分けした場合、質量体30の往復成分は、コネクティングロッド31のうちピストン32に近い側の部位、ピストン32、及び、ピストンピン33から構成されると見なすことができる。一方、質量体30の回転成分は、コネクティングロッド31のうち上記往復成分に含まれない部位(すなわち、クランクピン22に近い部位)で構成されると見なすことができる。そして、図2に示すように、クランクシャフト20には、1番気筒用のクランクピン22に連結される質量体30に対応するカウンタウェイト40と、3番気筒用のクランクピン22に連結される質量体30に対応するカウンタウェイト40とが設けられている。なお、カウンタウェイト40の質量は、図2に符号「41」、「42」を付して示すように区分けすることができる。すなわち、質量体30の往復成分の質量の50%と等価の質量(41)と、質量体30の回転成分の質量と等価の質量(42)とに区分けすることができる。
また、バランスシャフト12には、1番気筒用のクランクピン22に連結される質量体30の往復成分の質量の50%と等価の質量を有するカウンタウェイト43と、3番気筒用のクランクピン22に連結される質量体30の往復成分の質量の50%と等価の質量を有するカウンタウェイト43とが設けられている。これにより、バランスシャフト12では、クランクシャフト20のすりこぎ運動とは逆位相の慣性偶力が発生するようになる。その結果、当該バランスシャフト12によって、クランクシャフト20の振動(すなわち、すりこぎ運動)を打ち消すことが可能となる。
次に、図3を参照し、クランクシャフト20のバランス調整時にクランクピン22に取り付けられるダミーウェイト50について説明する。なお、図3における矢印方向は、クランクシャフト20をエンジン10に搭載したときにおけるクランクシャフト20の回転方向である。
図3に示すように、ダミーウェイト50は筒状をなしている。このダミーウェイト50の質量は、質量体30における往復成分の質量の50%と、質量体30における回転成分の質量との和と等価である。
図3では、ダミーウェイト50のうち、径方向内側に位置する内側領域50Aには複数の斜線のハッチングが施されており、径方向外側の位置する外側領域50Bには多数のドットが施されている。そして、ダミーウェイト50の内側領域50Aは、質量体30における回転成分の質量と等価の質量を有しており、外側領域50Bは、質量体30における往復成分の50%の質量と等価の質量を有している。
そして、コネクティングロッド31の長さを「L」とし、クランクジャーナル21の中心軸G0と直交する平面においてダミーウェイト50の往復成分の重心位置G2とクランクジャーナル21の中心軸G0とを通過する直線L1と、同平面においてクランクピン22の中心軸G1とクランクジャーナル21の中心軸G0とを通過する直線L2とのなす角を「θ」としたとする。この場合、ダミーウェイト50は、ダミーウェイト50の往復成分の重心位置G2がクランクピン22の中心軸G1よりもクランクシャフト20の回転方向上流側に位置すること、及び、以下に示す関係式(式1)を満たすことの双方が成立するように、クランクピン22に取り付けられる。
Figure 2017172766
図3に示すように、本ダミーウェイト50は、2つのダミーウェイト分割体51,52と、これら各ダミーウェイト分割体51,52を締結する複数のボルトとからなっている。なお、上述したダミーウェイト50の質量には、当該ボルトの質量も含まれている。そして、ダミーウェイト分割体51,52のうち、クランクシャフト20の回転方向上流側(図3では左側)に配置される第1のダミーウェイト分割体51の質量は、回転方向下流側(図3では右側)に配置される第2のダミーウェイト分割体52の質量よりも大きい。より具体的には、第1のダミーウェイト分割体51の回転成分の質量は、第2のダミーウェイト分割体52の回転成分の質量と等価であるものの、第1のダミーウェイト分割体51の往復成分の質量は、第2のダミーウェイト分割体52の往復成分の質量よりも大きい。
次に、オーバーバランス率を50%とするためのクランクシャフト20のバランス調整方法について説明する。
上記関係式(式1)を満たすとともに、ダミーウェイト50の往復成分の重心位置G2がクランクピン22の中心軸G1よりもクランクシャフト20の回転方向上流側に位置するように、クランクシャフト20の各クランクピン22にダミーウェイト50がそれぞれ取り付けられる。より具体的には、図3に示すように、クランクピン22の中心軸G1とクランクジャーナル21の中心軸G0とを通過する直線L2と、クランクピン22の中心軸G1とダミーウェイト50の往復成分の重心位置G2とを通過する直線L3とのなす角が直角となるように、ダミーウェイト50がクランクピン22に取り付けられる。なお、ダミーウェイト50は、クランクピン22に対して上記のようにボルトで締結されている。そのため、ダミーウェイト50は、クランクピン22に対して回動不能になっている。そして、この状態でクランクシャフト20を回転させる。
オフセット量が「Q」となるオフセットクランクのエンジン10と、オフセット量が「0」、すなわちオフセットクランクではないエンジンとでは、ピストン32によるクランクシャフト20の回転一次の加速度(すなわち、回転一次の慣性力)が最大となるときのクランクシャフト20の位相が、「tan−1(Q/L)」(=オフセット位相α)だけずれている。
ここで、上記回転一次の加速度が最大となるときのクランクシャフト20の位相がオフセット位相αだけ遅れる理由について説明する。ピストン32の加速度であるピストン加速度VPは、以下に示す関係式(式2)で表すことができる。関係式(式2)において、「R」はクランクジャーナル21の中心軸とクランクピン22の中心軸との間の距離、すなわちクランク半径である。また、「C1」は「1」であり、「D1」は「Q/L」である。
Figure 2017172766
上記関係式(式2)において、クランクシャフト20の回転一次の加速度は、「ω・R・(C1・cosβ+D1・sinβ)」である。そして、この回転一次の加速度は、以下に示す関係式(式3)〜(式7)のように変換することができる。
Figure 2017172766
この場合、「tanα=Q/L」であるため、上記関係式(式7)を以下のように変換することができる。
Figure 2017172766
上記関係式(式11)からも明らかなように、クランクシャフト20の回転位相βがオフセット位相αと等しいときに、上記回転一次の加速度が最大となる。したがって、オフセット量が「Q」のエンジンにおいては、質量体30の往復成分からクランクシャフト20が受ける荷重の変動周期が、オフセットクランクではないエンジンにおける上記変動周期と比較して「tan−1(Q/L)」だけ遅れる。
これに対し、本ダミーウェイト50の往復成分の重心位置G2は、上記関係式(式1)を満たした状態でクランクピン22の中心軸G1よりも回転方向上流側に位置している。そのため、ダミーウェイト50の往復成分からクランクシャフト20が受ける荷重の変動周期(以下、「調整時変動周期」ともいう。)を、オフセットクランクのエンジン10で質量体30の往復成分からクランクシャフト20が受ける荷重の変動周期(以下、「搭載時変動周期」ともいう。)にほぼ一致させることができる。
ここで、図4には、クランクピン22の中心軸G1と、本ダミーウェイト50の往復成分の重心位置G2との位置関係が図示されている。この図4では、上記調整時変動周期を上記搭載時変動周期に完全一致させるための上記重心位置G2の理想的な位置である「理想重心位置G2A」が図示されている。この理想重心位置G2Aはクランクピン22の移動軌跡上(図4では実線で示す円上)に位置している。そして、調整時変動周期を搭載時変動周期に完全一致させるためには、以下に示す関係式(式12)を満たすように、ダミーウェイト50をクランクピン22に取り付ける必要がある。関係式(式12)において、「Xb」は理想重心位置G2Aとクランクピン22の中心軸G1との間の直線距離であり、「R」はクランクジャーナル21の中心軸G0とクランクピン22の中心軸G1との間の距離、すなわちクランク半径である。
Figure 2017172766
これに対し、本実施形態では、ダミーウェイト50は、以下に示す関係式(式13)を満たすようにクランクピン22に取り付けられている。関係式(式12)において、「Xa」はダミーウェイト50の往復成分の重心位置G2とクランクピン22の中心軸G1との間の直線距離であり、「R」はクランク半径である。
Figure 2017172766
すなわち、図4に示すように、本実施形態では、ダミーウェイト50の往復成分の重心位置G2は、上記理想重心位置G2Aとずれている。しかし、オフセット量Qは、コネクティングロッド31の長さLやクランク半径Rと比較してかなり小さい。そのため、上記関係式(式13)を用いて算出した直線距離Xaと、上記関係式(式12)を用いて算出した直線距離Xbとの差は非常に小さく、重心位置G2と理想重心位置G2Aとのずれは誤差範囲であると見なすことができる。
したがって、本実施形態では、関係式(式13)を満たす態様でダミーウェイト50をクランクピン22に取り付け、この状態でクランクシャフト20を回転させる。このときに得た情報は、オフセットクランクのエンジン10でクランクシャフト20を回転させることで得ることのできる情報とほぼ一致することとなる。そのため、当該情報を基に、オーバーバランス率が50%となるようにカウンタウェイト40にドリル加工が施される。そして、バランス調整後のクランクシャフト20がオフセットクランクのエンジンに搭載される。これにより、オーバーバランス率を50%とすることが可能となる。
また、上述したようなバランス調整を行ったクランクシャフト20を基準シャフトとし、ダミーウェイト50を取り外した状態で基準シャフトを回転させることで得た情報を基準情報として保存する。そして、バランス調整前のクランクシャフト20を、ダミーウェイト50を取り付けない状態で回転させることで得られる情報が上記基準情報と一致するように、当該クランクシャフト20のカウンタウェイト40を加工するようにしてもよい。そして、このクランクシャフト20をオフセットクランクのエンジン10に搭載しても、オーバーバランス率を50%とすることが可能となる。
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記関係式(式1)を満たしているのであれば、ダミーウェイト50を構成する複数のダミーウェイト分割体は任意の形状であってもよい。例えば、ダミーウェイト50は、図5に示すように、クランクジャーナル21を中心とする径方向において内側に位置する第1のダミーウェイト分割体51Aと、第1のダミーウェイト分割体51Aよりも外側に位置する第2のダミーウェイト分割体52Aとを備える構成であってもよい。
また、ダミーウェイト50は、3つ以上の任意数のダミーウェイト分割体を備える構成であってもよい。
・クランクピン22にダミーウェイト50を取り付けた状態で、上記関係式(式1)を満たすとともに、重心位置G2がクランクシャフト20の回転方向上流側に位置するのであれば、同ダミーウェイト50は、上記実施形態で説明した形状以外の他の形状であってもよい。例えば、ダミーウェイト50では、第1のダミーウェイト分割体51の軸方向長さが第2のダミーウェイト分割体52の軸方向長さよりも長くてもよい。また、第2のダミーウェイト分割体52を構成する材料よりも比重の大きい材料で第1のダミーウェイト分割体51を構成するようにしてもよい。
10…エンジン、11…気筒、11a…気筒の中心軸、20…クランクシャフト、21…クランクジャーナル、22…クランクピン、30…質量体、31…コネクティングロッド、32…ピストン、33…ピストンピン、40…カウンタウェイト、50…ダミーウェイト、G0…クランクジャーナルの中心軸、G1…クランクピンの中心軸、G2…ダミーウェイトの往復成分の重心位置。

Claims (1)

  1. クランクジャーナルを中心として3つのクランクピンが周方向に120°間隔で配置されているクランクシャフトを有する直列3気筒のエンジンにおいてオーバーバランス率を50%とするためのクランクシャフトのバランス調整方法であって、
    前記エンジンに前記クランクシャフトが搭載された状態で前記クランクピンに連結される質量体は、気筒内で往復運動するピストン、及び、前記クランクピンに連結されるコネクティングロッド、及び、同ピストンと同コネクティングロッドとを繋ぐピストンピンからなり、
    前記クランクシャフトのバランス調整時に、前記質量体における往復成分の質量の50%と同質量体における回転成分の質量との和と等価の質量を有するダミーウェイトを、前記クランクピンの各々に取り付け、同ダミーウェイトを取り付けた状態で同クランクシャフトを回転させることで得た情報を基にカウンタウェイトを加工するクランクシャフトのバランス調整方法において、
    前記エンジンは、前記気筒の中心軸が前記クランクジャーナルの中心軸よりも前記クランクシャフトの回転方向下流側にオフセットしているオフセットクランクのエンジンであり、
    前記クランクジャーナルの延伸方向と前記ピストンの往復移動する方向との双方に直交する方向での前記クランクジャーナルの中心軸と前記気筒の中心軸とのずれ量であるオフセット量を「Q」とし、前記コネクティングロッドの長さを「L」とし、前記クランクジャーナルの中心軸と直交する平面において前記ダミーウェイトの往復成分の重心位置と前記クランクジャーナルの中心軸とを通過する直線と、前記平面において前記クランクピンの中心軸と前記クランクジャーナルの中心軸とを通過する直線とのなす角を「θ」とした場合、
    「tanθ=(Q/L)」を満たすとともに、前記ダミーウェイトの往復成分の重心位置が前記クランクピンの中心軸よりも前記クランクシャフトの回転方向上流側に位置する態様で前記ダミーウェイトを前記クランクピンの各々に取り付け、同ダミーウェイトを取り付けた状態で同クランクシャフトを回転させることで得た情報を基に前記カウンタウェイトを加工する
    ことを特徴とするクランクシャフトのバランス調整方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116878873A (zh) * 2023-09-08 2023-10-13 江苏宏宝锻造股份有限公司 基于振动信号的发动机连杆故障检测方法和系统

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