JP6484955B2 - レシプロエンジンのクランク軸 - Google Patents
レシプロエンジンのクランク軸 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6484955B2 JP6484955B2 JP2014164472A JP2014164472A JP6484955B2 JP 6484955 B2 JP6484955 B2 JP 6484955B2 JP 2014164472 A JP2014164472 A JP 2014164472A JP 2014164472 A JP2014164472 A JP 2014164472A JP 6484955 B2 JP6484955 B2 JP 6484955B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- crankshaft
- weight
- journal
- mass
- center
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Description
回転中心軸となるジャーナル部と、このジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐクランクアーム部と、このクランクアーム部と一体に設けられた扇形状のカウンターウエイト部と、を備え、レシプロエンジンに搭載されるクランク軸であって、
前記カウンターウエイト部のジャーナル部側の表面のうちで外周縁の両端部それぞれに突起部が設けられ、これらの各突起部は、ジャーナルスラスト面の位置を超えて軸方向に突出する。
1−1.アーム部の曲げ剛性
図2は、アーム部の曲げ剛性の評価法を説明するための模式図である。同図に示すように、クランク軸の各スローについて、シリンダ内での点火・爆発による燃焼圧の荷重Fは、コンロッドを経由してピン部Pに負荷される。このとき、各スローは両端のジャーナル部Jが軸受けで支持されているので、荷重Fはピン部Pからアーム部Aを介してジャーナル軸受けに伝わる。これにより、アーム部Aは3点曲げの荷重負荷状態となり、アーム部Aに曲げモーメントMが作用する。これに伴って、アーム部Aには、板厚方向の外側(ジャーナル部J側)で圧縮応力が発生し、それとは反対の内側(ピン部P側)では引張応力が発生する。
u ∝ F/(曲げ剛性) …(1)
図3は、アーム部のねじり剛性の評価法を説明するための模式図であり、同図(a)は1スローの側面図を、同図(b)はその軸方向視での正面図をそれぞれ示す。クランク軸はジャーナル部Jを中心に回転運動をしているので、同図に示すように、ねじりトルクTが発生する。そこで、クランク軸のねじり振動に対し、共振を起こすことなくスムーズな回転を確保するために、アーム部Aのねじり剛性を高めることが必要である。
γ ∝ T/(ねじり剛性) …(2)
クランク軸は回転運動するが、回転体として静バランスと動バランスのそれぞれの釣り合いをとることが、スムーズな回転を実現する上で重要となる(後述する(3)式、(4)式参照)。そのためには、クランク回転軸(回転中心であるジャーナル部の軸心)を基本線とし、アーム部側の質量及びその重心位置と、ウエイト部側の質量及びその重心位置について、バランスが必要である。アーム部側については、上記1−1項及び1−2項で説明した剛性に対する要件と、更に軽量化の観点から形状が決まり、まずアーム部側の質量及びその重心位置が決定される。そして、次にウエイト部側でバランスがとれるように質量、その重心位置及び質量モーメントを調整する必要がある。
クランク軸は回転体であるので、以上に示した設計方法のほかに、基礎技術として、回転軸に対して、静バランスと動バランスをとり、更にバランス率を満足することが、回転運動を滑らかにするために必須の設計条件となる。これらの条件をウエイト部の重量配分で調整し満足することが、クランク軸を設計する上での前提条件である。
図4に示すように、直列4気筒エンジンに搭載される8枚カウンターウエイトのクランク軸を例に挙げ、クランク軸の静バランスを説明する。静バランスを検討するにあたり、各アーム部、各ウエイト部の質量と重心半径をそれぞれ次のとおりに定義する。
アーム部の質量:MAj、
アーム部の重心半径:aAj、
ウエイト部の質量:MWj、
ウエイト部の重心半径:aWj。
ここで、「j」は、クランク軸のフロント部側から順に付したアーム部、ウエイト部の番号であり、4気筒エンジン用クランク軸の場合、j=1、・・・、8である。
同様に図4に示すクランク軸を例に挙げ、クランク軸の動バランスを説明する。動バランスを検討するにあたり、更にクランク軸の回転軸のある1点を基点とし、各アーム部の重心までの軸方向の距離、各ウエイト部の重心までの軸方向の距離をそれぞれ次のとおりに定義する。
アーム部の重心までの距離:LAj、
ウエイト部の重心までの距離:LWj。
ここで、「j」は、上記(3)式と同様に、4気筒エンジン用クランク軸の場合、j=1、・・・、8である。
クランク軸のピン部を含む(厳密にはコンロッドの一部も含む)アーム部側の質量モーメントに対するウエイト部側の質量モーメントの割合をバランス率と呼ぶ。バランス率がある一定範囲内であることが、燃焼圧による荷重を受けるクランク軸のスムーズな回転に寄与するので、ウエイト部の質量は0(ゼロ)を含まないある範囲内で付加することが必要である。そのため、ウエイト部を小さくして軽量化するには限度がある。したがって、剛性確保のためにアーム部の質量の調整が必要である一方、静バランスと動バランスの確保のためにウエイト部の質量の調整が必要であるが、バランス率に下限があるため、クランク軸の軽量化に際しては、適切な質量が総合的に決定される。
2−1.概要
静バランス、動バランス、バランス率といった物理量を調整するに当たり、ウエイト部の質量MWjと重心半径aWjを乗じた質量モーメント「MWj×aWj」の大きさがそれらの物理量に効き、クランク軸の性能に影響を及ぼす。したがって、例えば質量モーメント「MWj×aWj」を一定としたとき、それらの物理量は一定になるが、ウエイト部の重心半径aWjを大きくとることができれば、ウエイト部の質量MWjを小さくできるので、クランク軸の質量を減少することができる。すなわち、静バランス、動バランス、バランス率を一定にした状態でクランク軸の軽量化を図るには、ウエイト部の重心半径aWjを大きくすればよいことになる。
図5は、ウエイト部の基本的な形状を模式的に示す図であり、同図(a)は軸方向視での正面図を、同図(b)は側面図をそれぞれ示す。ウエイト部Wは扇形状であり、その中心角、質量、外周半径及び重心半径をそれぞれ以下のとおりに定義する。
中心角:θ、質量:M、外周半径:R、重心半径:a。
atc=(M×a+m×am)/(M+m) …(5)
ah > am …(6)
ath=(M×a+m×ah)/(M+m) …(7)
ath > atc …(8)
2−3−1.カウンターウエイト部の重量を50%増加する場合
ウエイト部を単純な扇形と見なすと、ウエイト部Wの質量M、重心半径a、質量モーメントMaの間には、下記の(9)〜(11)式に示す関係がある(非特許文献1参照)。
M=1/2×b×ρ×θ×R2 …(9)
a=2/3×{sin(θ/2)/(θ/2)}×R …(10)
Ma=M×a …(11)
同式中、b:ウエイト部の厚さ(板厚)、ρ:密度である。
M=1/2×b×ρ×θ×Rx 2 …(12)
Rx=1/√2×R …(13)
ここでは、2M=1/2×b×ρ×θ×R2
ax=1/√2×a …(14)
2×M×a=M×az+M×ax …(15)
az=2×a−ax=(2−1/√2)×a …(16)
M/2=1/2×b×ρ×(θ/2)×Rx 2 …(17)
Rx=1/√2×R …(18)
ここでは、M=1/2×b×ρ×(θ/2)×R2
axs=1/√2×as …(20)
M×as=M/2×azs+M/2×axs …(21)
azs=2×as−axs=(2−1/√2)×as …(22)
M×az=M/2×ay+M/2×azs …(23)
ay=2×az−azs …(24)
(M+M/2)×at=M×a+M/2×ay …(25)
at=1/3×(2×a+ay) …(26)
クランク軸は、ピン部にコンロッドの大端部が取り付けられ、ジャーナル部がエンジンブロックのジャーナル軸受けによって支持される。コンロッド大端部及びジャーナル軸受けはいずれも半割りである。
J、J1〜J5:ジャーナル部、 Jc:ジャーナル部の軸心、
Jt:ジャーナルスラスト面、
P、P1〜P4:ピン部、 Pt:ピンスラスト面、
Fr:フロント部、 Fl:フランジ部、
A、A1〜A8:クランクアーム部、
W、W1〜W8:カウンターウエイト部、
Oj、Op:カウンターウエイト部の突起部、
2:ダンパプーリ、 3:フライホイール、
4:コネクティングロッド、 4a:ロッド本体、 4b:大端部、
5a:ジャーナル軸受け、 5b:支持ブロック、 5c:凹部
Claims (3)
- 回転中心軸となるジャーナル部と、このジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐクランクアーム部と、このクランクアーム部と一体に設けられた扇形状のカウンターウエイト部と、を備え、レシプロエンジンに搭載されるクランク軸であって、
前記カウンターウエイト部のジャーナル部側の表面のうちで、前記回転中心軸方向視で、外周縁を含む両端部それぞれに前記カウンターウエイト部と一体成形された突起部が設けられ、これらの各突起部は、ジャーナルスラスト面の位置を超えて軸方向に突出する、レシプロエンジンのクランク軸。 - 請求項1に記載のレシプロエンジンのクランク軸であって、
更に、前記カウンターウエイト部の前記ピン部側の表面のうちで、前記回転中心軸方向視で、外周縁を含む両端部それぞれに前記カウンターウエイト部と一体成形された突起部が設けられ、これらの各突起部は、ピンスラスト面の位置を超えて軸方向に突出する、レシプロエンジンのクランク軸。 - 回転中心軸となるジャーナル部と、このジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐクランクアーム部と、このクランクアーム部と一体に設けられた扇形状のカウンターウエイト部と、を備え、レシプロエンジンに搭載されるクランク軸であって、
前記カウンターウエイト部の前記ピン部側の表面のうちで、前記回転中心軸方向視で、外周縁を含む両端部それぞれに前記カウンターウエイト部と一体成形された突起部が設けられ、これらの各突起部は、ピンスラスト面の位置を超えて軸方向に突出する、レシプロエンジンのクランク軸。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014164472A JP6484955B2 (ja) | 2014-08-12 | 2014-08-12 | レシプロエンジンのクランク軸 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014164472A JP6484955B2 (ja) | 2014-08-12 | 2014-08-12 | レシプロエンジンのクランク軸 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016040483A JP2016040483A (ja) | 2016-03-24 |
JP6484955B2 true JP6484955B2 (ja) | 2019-03-20 |
Family
ID=55540857
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014164472A Active JP6484955B2 (ja) | 2014-08-12 | 2014-08-12 | レシプロエンジンのクランク軸 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6484955B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7156115B2 (ja) * | 2019-03-19 | 2022-10-19 | 日本製鉄株式会社 | クランク軸の製造方法 |
JP7156114B2 (ja) * | 2019-03-19 | 2022-10-19 | 日本製鉄株式会社 | クランク軸の製造方法 |
Family Cites Families (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US1349893A (en) * | 1920-03-24 | 1920-08-17 | Fred S Lee | Crank-shaft for internal-combustion engines |
US1749807A (en) * | 1926-04-22 | 1930-03-11 | Ford Motor Co | Crank shaft |
GB290591A (en) * | 1927-05-16 | 1929-04-16 | Wyman Gordon Co | Improvements in balanced crankshafts |
US2426874A (en) * | 1944-09-01 | 1947-09-02 | United Aircraft Corp | Radial aircraft engine |
DE1270893B (de) * | 1961-04-28 | 1968-06-20 | Sueddeutsche Praecisions G M B | Verpressungsverbindung an Kurbelwellen zwischen Kurbelwangen einerseits und Kurbel- bzw. Hauptlagerzapfen andererseits |
US3147638A (en) * | 1961-05-01 | 1964-09-08 | Ohlsson & Rice Inc | Crankshaft apparatus |
JPS5571820U (ja) * | 1978-11-10 | 1980-05-17 | ||
JPS59183556U (ja) * | 1983-05-26 | 1984-12-06 | トヨタ自動車株式会社 | エンジンクランクシヤフト構造 |
DE3441235A1 (de) * | 1984-11-10 | 1986-05-22 | Etablissement Supervis, Vaduz | Kurbelwelle, insbesondere fuer kleinbenzinmotoren |
JPH03249446A (ja) * | 1990-02-28 | 1991-11-07 | Nissan Motor Co Ltd | クランクシャフト |
US6026776A (en) * | 1997-06-26 | 2000-02-22 | Winberg; Randy S. | Internal crankshaft vibration damper |
JP2011143428A (ja) * | 2010-01-13 | 2011-07-28 | Toyota Motor Corp | クランクシャフトの製造方法 |
JP5624929B2 (ja) * | 2011-03-31 | 2014-11-12 | 本田技研工業株式会社 | エンジン |
-
2014
- 2014-08-12 JP JP2014164472A patent/JP6484955B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016040483A (ja) | 2016-03-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2015010642A (ja) | レシプロエンジンのクランク軸 | |
US10385911B2 (en) | Crankshaft for reciprocating engine, and design method thereof | |
JP6233518B2 (ja) | レシプロエンジンのクランク軸 | |
JP6323462B2 (ja) | レシプロエンジンのクランク軸 | |
JP6484955B2 (ja) | レシプロエンジンのクランク軸 | |
JP2014040856A (ja) | 多気筒エンジンのクランク軸、およびそのクランク軸の設計方法 | |
JP6795018B2 (ja) | レシプロエンジンのクランク軸 | |
EP3309417B1 (en) | Crankshaft for reciprocating engine | |
JP6398453B2 (ja) | レシプロエンジンのクランク軸 | |
JP6244690B2 (ja) | レシプロエンジンのクランク軸 | |
JP6160302B2 (ja) | レシプロエンジンのクランク軸、およびそのクランク軸の設計方法 | |
JP2019148282A (ja) | V型6気筒エンジンのクランクシャフト |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170405 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20171219 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20171221 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180214 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180710 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180831 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190122 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190204 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6484955 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |