JP7156115B2 - クランク軸の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、クランク軸の製造方法に関する。
例えば自動車に搭載されるレシプロエンジンは、燃料の燃焼によるピストンの往復運動を回転運動に変換するため、クランク軸を備える。クランク軸は、クランクジャーナルと、クランクピンと、クランクアームと、を有する。クランクジャーナルは、クランク軸の主軸部であり、軸心周りに回転する。クランクピンは、クランクジャーナルに対して偏心して配置され、コネクティングロッドを介してピストンに接続される。クランクアームは、クランクジャーナルとクランクピンとを連結する。
クランク軸は、例えば、型鍛造によって製造することができる。クランク軸を型鍛造によって製造する場合、まず、加熱されたビレットを予備成形して荒地を得る。次に、荒打ち及び仕上げ打ちを行って荒地から仕上げ鍛造品を成形し、この仕上げ鍛造品に対してバリ抜きを実施する。その後、バリなしの仕上げ鍛造品の必要箇所を圧下し、仕上げ鍛造品を最終製品の寸法及び形状に整形する。
クランク軸の製造プロセスに関して、従来、様々な提案がなされている。例えば、特許文献1は、仕上げ打ち工程においてクランクピンに孔部を形成する方法を提案する。特許文献1において、荒地(予備成形品)は、仕上げ打ちに用いられる金型のキャビティよりも小さくなるように成形される。そのため、仕上げ打ち工程において予備成形品が金型内に配置された時点では、予備成形品と金型との間にクリアランスが存在する。しかしながら、予備成形品のクランクピンにパンチが挿入されることにより、このクリアランスに材料が充填される。特許文献1によれば、パンチの挿入によってクランクピンに孔部が形成されるため、クランク軸の軽量化を図ることができる。また、金型の閉塞空間内に材料を充填させて鍛造を行うため、クランク軸の寸法精度を向上させることができる。
特許文献2は、クランクアームに設けられたカウンターウエイトを矯正する方法を提案する。特許文献2では、バリなしの仕上げ鍛造品に対し、ツイスト工程でひねりを加え、リストライク工程で曲がり矯正を施す。その後、クランクピンを挟んで隣り合うカウンターウエイトの間に中間治具を挿入し、これらのカウンターウエイトを両側から加圧治具で加圧拘束することにより、カウンターウエイトの形状を矯正する。
特許文献3は、クランク軸本体のクランクアームにカウンターウエイトを接合する方法を提案する。特許文献3では、クランク軸本体及びカウンターウエイトがそれぞれ冷間鍛造で成形される。カウンターウエイトは、クランクアームに対し、溶接及び塑性締結で接合される。特許文献3によれば、溶接による接合部が破壊された場合であっても、塑性締結による接合部によってカウンターウエイトがクランクアームから分離するのを防ぐことができる。
国際公開第2010/110133号 特開2006-247730号公報 特開2012-97888号公報
特許文献3では、カウンターウエイトがクランクアームと別個に成形される。これに対し、特許文献1及び2では、カウンターウエイトはクランクアームと一体として成形される。この場合、仕上げ打ち工程では、クランクアーム及びカウンターウエイトの縦軸を境に二分割する金型が用いられる。この金型から仕上げ鍛造品を取り出しやすくするため、カウンターウエイトの表面には抜け勾配が与えられる。
カウンターウエイトの表面に抜け勾配が与えられることにより、カウンターウエイトの厚みは幅方向の中央部で増加する。すなわち、型鍛造時の抜け勾配に起因してカウンターウエイトが増量する。カウンターウエイトの増量に伴い、クランク軸も増量する。クランク軸の増量は、レシプロエンジンが搭載される自動車の燃費向上及び軽量化の観点から好ましくない。このため、カウンターウエイトには軽量化が求められている。
カウンターウエイトは、クランク軸の回転バランスを保つ錘である。よって、カウンターウエイトには、軽量化と同時に、所望のモーメントを確保することも要求される。
本開示は、カウンターウエイトを軽量化しつつ、カウンターウエイトのモーメントを確保することができるクランク軸の製造方法を提供することを課題とする。
本開示に係るクランク軸の製造方法は、工程a)と、工程b)と、を備える。工程a)では、型鍛造で成形され、バリが除去された仕上げ鍛造品を準備する。仕上げ鍛造品は、クランクジャーナルと、クランクピンと、クランクアームと、カウンターウエイトと、を有する。クランクピンは、クランクジャーナルに対して偏心する。クランクアームは、クランクジャーナルとクランクピンとを連結する。カウンターウエイトは、クランクアームと一体に成形されている。工程b)では、平面視で剣状の突起部を表面に有する工具を、カウンターウエイトの長手方向に沿って仕上げ鍛造品に進入させながら、突起部を先端から順にカウンターウエイトに押し当てることにより、カウンターウエイトの幅方向で外側に向かってカウンターウエイトの材料を流動させる。
本開示に係るクランク軸の製造方法によれば、カウンターウエイトを軽量化しつつ、カウンターウエイトのモーメントを確保することができる。
図1は、実施形態に係るクランク軸の製造方法において工程a)で準備される仕上げ鍛造品の側面図である。 図2は、図1に示す仕上げ鍛造品に含まれるクランクウェブの正面図である。 図3は、図2に示すクランクウェブの底面図である。 図4は、実施形態に係るクランク軸の製造方法において工程b)で使用される加工装置の模式図である。 図5は、図4に示す加工装置に含まれる工具の上面図、側面図、及び背面図である。 図6Aは、工程b)における加工装置の動作を説明するための模式図である。 図6Bは、工程b)における加工装置の動作を説明するための別の模式図である。 図6Cは、工程b)における加工装置の動作を説明するための、さらに別の模式図である。 図7Aは、工程b)においてカウンターウエイトが加工される様子を説明するための模式図である。 図7Bは、工程b)においてカウンターウエイトが加工される様子を説明するための別の模式図である。 図7Cは、工程b)においてカウンターウエイトが加工される様子を説明するための、さらに別の模式図である。 図8は、工程b)の後のクランクウェブの正面図である。 図9は、図8に示すクランクウェブの背面図である。 図10は、図8及び図9に示すクランクウェブの底面図である。 図11は、工具のストロークとカウンターウエイトの重心の位置との関係を示すグラフである。
実施形態に係るクランク軸の製造方法は、工程a)と、工程b)と、を備える。工程a)では、型鍛造で成形され、バリが除去された仕上げ鍛造品を準備する。仕上げ鍛造品は、クランクジャーナルと、クランクピンと、クランクアームと、カウンターウエイトと、を有する。クランクピンは、クランクジャーナルに対して偏心する。クランクアームは、クランクジャーナルとクランクピンとを連結する。カウンターウエイトは、クランクアームと一体に成形されている。工程b)では、平面視で剣状の突起部を表面に有する工具を、カウンターウエイトの長手方向に沿って仕上げ鍛造品に進入させながら、突起部を先端から順にカウンターウエイトに押し当てることにより、カウンターウエイトの幅方向で外側に向かってカウンターウエイトの材料を流動させる(第1の構成)。
第1の構成によれば、バリを除去した後の仕上げ鍛造品に工具を進入させる。このとき、工具に設けられた平面視剣状の突起部が先端から順にカウンターウエイトに押し当てられるため、カウンターウエイトの材料が幅方向の外側に向かって流動する。よって、カウンターウエイトの重心が幅方向の中央部側から両端部側に移動してクランク軸の回転軸から遠ざかり、回転軸周りにおけるカウンターウエイトのモーメントが大きくなる。すなわち、第1の構成に係る製造方法で製造されたクランク軸では、一般的な型鍛造で製造されたクランク軸と比較して、モーメントが同程度であればカウンターウエイトの重量が小さい。したがって、第1の構成によれば、カウンターウエイトを軽量化しつつ、カウンターウエイトのモーメントを確保することができる。
突起部は、先端部と、本体部と、を有することができる。先端部の幅及び高さは、工具の進入方向で後方に向かって拡大する。本体部は、当該進入方向で先端部の後端に接続される。本体部は、一定の幅及び高さを有する(第2の構成)。
第2の構成によれば、仕上げ鍛造品に工具を進入させたとき、まず、突起部の先端部がカウンターウエイトに押し当てられる。先端部は、幅及び高さが後方に向かって漸次拡大するテーパ状をなす。この先端部により、カウンターウエイトの材料を幅方向の両外側に向かって円滑に案内することができる。
工程b)では、先端部をカウンターウエイトに押し当てた状態で工具を仕上げ鍛造品に進入させ、本体部がカウンターウエイトに押し当てられる前に工具を停止して仕上げ鍛造品の外まで後退させることができる(第3の構成)。
仕上げ鍛造品に対する工具の進入に伴い、カウンターウエイトの材料が進入方向の前方に流動し、カウンターウエイトの重心が回転軸側に移動してしまう可能性がある。そこで、第3の構成では、突起部の本体部がカウンターウエイトに到達する前に工具を停止させ、突起部の先端部のみでカウンターウエイトを加工する。先端部は工具の進入方向で後方に向かって拡幅しているため、先端部でカウンターウエイトを加工している間、カウンターウエイトの材料は、主として幅方向に案内される。よって、より確実に、カウンターウエイトの重心を幅方向の両外側に向かって移動させることができる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
[クランク軸の製造方法]
本実施形態に係るクランク軸の製造方法は、典型的には、熱間鍛造によるクランク軸の製造方法である。本実施形態に係るクランク軸の製造方法は、クランク軸の仕上げ鍛造品を準備する工程a)と、当該仕上げ鍛造品を加工する工程b)と、を備える。以下、各工程について説明する。
工程a)
本実施形態に係るクランク軸の製造方法では、まず、工程a)において、クランク軸の仕上げ鍛造品を準備する。仕上げ鍛造品は、一般的な型鍛造によって成形される。すなわち、加熱されたビレットを予備成形して荒地を得た後、この荒地の荒打ち及び仕上げ打ちを行ってバリ付きの仕上げ鍛造品を得る。その後、仕上げ鍛造品のバリ抜きを実施し、バリなしの仕上げ鍛造品を得る。
図1は、バリ抜き後の仕上げ鍛造品10を模式的に示す側面図である。仕上げ鍛造品10は、最終製品であるクランク軸とほとんど同一の寸法及び形状を有する。仕上げ鍛造品10は、複数のクランクジャーナル11と、複数のクランクピン12と、複数のクランクアーム13と、複数のカウンターウエイト14と、を有する。図1では、4気筒エンジン用のクランク軸の仕上げ鍛造品10を例示する。ただし、本実施形態に係る製造方法で製造されるクランク軸は、4気筒エンジン用のクランク軸に限られない。
複数のクランクジャーナル11は、それぞれ、仕上げ鍛造品10の中心軸X1を軸心とする概略円柱状をなす。中心軸X1は、仕上げ鍛造品10から製造されるクランク軸の回転軸X1となる。クランクジャーナル11は、回転軸X1に沿って配列され、クランク軸の主軸部を構成する。
複数のクランクピン12は、それぞれ概略円柱状をなし、クランクジャーナル11に対して偏心する。すなわち、複数のクランクピン12は、回転軸X1の周りに所定の位相差で配置される。本実施形態において、回転軸方向で両端に位置するクランクピン12は、中央の2つのクランクピン12と180°の位相差を有する。
クランクアーム13の各々は、回転軸方向においてクランクジャーナル11とクランクピン12との間に配置される。クランクアーム13は、クランクジャーナル11とクランクピン12とを連結する。クランクアーム13は、回転軸方向と交差する表面131,132を有する。表面131,132のうち、一方の表面131にはクランクジャーナル11が接続され、他方の表面132にはクランクピン12が接続される。本実施形態では、必要に応じ、回転軸方向に並ぶ8枚のクランクアーム13を、フロント16側からフランジ17側に向かって順に、第1~第8クランクアーム13a~13hと称して区別する。
カウンターウエイト14の各々は、クランクアーム13と一体で成形される。必要な場合、第1~第8クランクアーム13a~13hの各カウンターウエイト14を第1~第8カウンターウエイト14a~14hと称して区別する。本実施形態では、全てのクランクアーム13がカウンターウエイト14を一体で有する。ただし、カウンターウエイト14は、一部のクランクアーム13にのみ設けられていてもよい。各カウンターウエイト14の形状は、他のカウンターウエイト14と同一であってもよいが、他のカウンターウエイト14と異なっていてもよい。
カウンターウエイト14は、回転軸方向と交差する表面141,142を有する。一方の表面141は、クランクアーム13のクランクジャーナル11側の表面131と連続する。他方の表面142は、クランクアーム13のクランクピン12側の表面132と連続する。
一体で成形されたクランクアーム13及びカウンターウエイト14は、一般に、クランクウェブ15と称される。図2は、クランクウェブ15をクランクジャーナル11側から見た図である。図3は、クランクウェブ15をカウンターウエイト14側から見た図である。
図2を参照して、本実施形態では、説明の便宜上、クランクウェブ15において、クランクジャーナル11側の面を正面、クランクピン12側の面を背面と称する。クランクウェブ15において、クランクピン12の中心軸X2及び回転軸X1に直交する軸を縦軸Zと定義する。縦軸Zが延びる方向が長手方向であり、縦軸Z及び回転軸X1に垂直な方向が幅方向である。長手方向に関してクランクアーム13側を上、カウンターウエイト14側を下といい、幅方向の両側を左右という場合がある。
図2に示すカウンターウエイト14は、クランクアーム13から下方に向かって拡幅する。カウンターウエイト14は、例えば、正面視で概略扇状をなす。図3を参照して、カウンターウエイト14の表面141,142には、抜け勾配が与えられている。すなわち、カウンターウエイト14の表面141,142は、それぞれ、幅方向の中央から左右に向かって下降傾斜している。このため、カウンターウエイト14の厚み(回転軸方向の寸法)は、幅方向の中央部側で大きく、幅方向の両端部側で小さい。
工程b)
工程b)では、バリなしの仕上げ鍛造品10を加工する。より詳細には、表面141,142に抜け勾配が存在するカウンターウエイト14を加工する。
まず、カウンターウエイト14を加工するための装置について、図4を参照しつつ説明する。図4は、工程b)で使用される加工装置20の模式図である。
図4では、加工装置20が加工する仕上げ鍛造品10を二点鎖線で示す。図4において、仕上げ鍛造品10は、第3~第6カウンターウエイト14c~14fが上側、残りのカウンターウエイト14a,14b,14g,14hが下側に位置するように、加工装置20内に配置されている。すなわち、仕上げ鍛造品10が加工装置20内に配置された状態で、カウンターウエイト14の長手方向は上下方向と一致する。
加工装置20は、例えば、ダイクッションを有するプレス機械である。加工装置20は、スライド21aと、ボルスタ21bと、ダイクッションプレート22a,22bと、弾性部材23a,23bと、治具24a,24bと、工具ユニット25a,25bと、を有する。
スライド21aは、図示しないガイドに沿って昇降可能に構成されている。スライド21aは、例えば、機械式機構によって駆動されてもよいし、油圧や液圧等を駆動源としてもよい。ボルスタ21bは、スライド21aの下方に配置されている。
スライド21aとボルスタ21bとの間には、ダイクッションプレート22a,22bが配置される。ダイクッションプレート22aは、複数の弾性部材23aを介してスライド21aに接続されている。ダイクッションプレート22bは、複数の弾性部材23bを介してボルスタ21bに接続されている。
弾性部材23a,23bは、上下方向に伸縮する部材である。弾性部材23a,23bは、例えば、コイルばねや空気ばね、油圧シリンダ等である。
スライド21a、ボルスタ21b、ダイクッションプレート22a,22b、及び弾性部材23a,23bは、公知のプレス機械及びダイクッションにおけるスライド、ボルスタ、ダイクッションプレート、及び弾性部材と同様である。そのため、本実施形態ではこれらに関する詳細な説明を省略する。
治具24a,24bは、カウンターウエイト14の加工に際し、クランクピン12を拘束する部材である。ダイクッションプレート22aの下面には、2つの治具24aが取り付けられている。一方の治具24aは、第1クランクアーム13aと第2クランクアーム13bとの間のクランクピン12に対応して配置される。他方の治具24aは、第7クランクアーム13gと第8クランクアーム13hとの間のクランクピン12に対応して配置される。各治具24aの下面は、クランクピン12の形状に対応する形状を有する。例えば、各治具24aの下面は、クランクピン12を上側から把持するため、概略半円状の横断面を有する凹面となっている。
治具24bは、ダイクッションプレート22bの上面に取り付けられている。治具24bは、第3クランクアーム13cと第4クランクアーム13dとの間のクランクピン12、及び第5クランクアーム13eと第6クランクアーム13fとの間のクランクピン12に対応して配置される。治具24bの上面は、治具24aの下面と同様、クランクピン12の形状に対応する形状を有する。例えば、治具24bの上面は、2つのクランクピン12を下側から把持するため、概略半円状の横断面を有する凹面となっている。
工具ユニット25aは、スライド21aの下面に取り付けられる。ボルスタ21bの上面には、2つの工具ユニット25bが取り付けられている。工具ユニット25a,25bは、それぞれ、複数の工具30を含む。工具30は、仕上げ鍛造品10に対して外周側から進入し、カウンターウエイト14を加工する部材である。各工具30は、概ね板状をなす。各工具30が仕上げ鍛造品10に進入したとき、各工具30の両表面のうち少なくとも一方の表面31は、カウンターウエイト14に対向する。
図5は、工具30の上面図(平面図)、側面図、及び背面図である。図5では、説明の便宜上、表面31を工具30の上面とし、進入方向で表面31の前後に配置される面をそれぞれ工具30の前面32及び後面33、進入方向で表面31の左右に配置される面を側面34と呼ぶ。表面31、前面32、後面33、及び両側面34は、概ね平坦な面である。表面31は、円弧面35を介して前面32に接続されている。以下、工具30の進入方向における前後左右を単に前後左右と表現する場合がある。
図5に示すように、工具30は、突起部36を有する。突起部36は、カウンターウエイト14(図4)に対向する表面31上に設けられる。図5の例では、工具30の上面のみに突起部36が設けられている。ただし、工具30の上面及び底面の双方に突起部36が設けられていてもよい。例えば、工具30が隣り合うカウンターウエイト14の間に位置し、工具30の上面及び底面がいずれもカウンターウエイト14に対向する表面31である場合、上面及び底面の各々に突起部36を設けることができる。
突起部36は、表面31からカウンターウエイト14(図4)側に突出する。突起部36は、表面31上において、カウンターウエイト14の幅方向の中央部に対応する位置に配置されている。突起部36は、平面視で概ね剣状をなす。突起部36は、先端部361と、本体部362と、を含む。
先端部361は、表面31の前端部に形成されている。先端部361は、円弧面35と表面31との境界から後方に向かって延びる。先端部361の幅及び高さは、後方に向かって漸次拡大する。先端部361の幅とは、工具30の平面視で、進入方向と垂直な方向における先端部361の寸法をいう。先端部361の高さは、工具30の側面視で進入方向と垂直な方向における先端部361の寸法である。先端部361は、進入方向において長さLを有する。長さLは、適宜決定することができるが、例えば、20mm~40mm程度である。
先端部361は、工具30の平面視で概略三角形状をなす。すなわち、先端部361の各側縁3611は、工具30の進入方向に対して傾斜する。各側縁3611が進入方向となす角度θは、30°~45°に設定されることが好ましい。
先端部361は、全体にわたり、概略三角形状の横断面を有する。ここでいう横断面は、表面31に垂直な平面で切断したときの断面である。先端部361の横断面が概略三角形状であるため、先端部361には、三角形の頂点部分に相当する稜線3612が形成される。稜線3612は、工具30の進入方向に沿い、本体部362に向かって上昇する。
本体部362は、先端部361の後端に接続される。本体部362は、先端部361から後方に向かって延びている。本体部362は、全体にわたり、一定の幅W及び高さHを有する。幅Wは、工具30の平面視で、進入方向と垂直な方向における本体部362の寸法である。幅Wは、実質的に、先端部361の長さL及び角度θによって定まる。高さHは、工具30の側面視で進入方向と垂直な方向における本体部362の寸法である。高さHは、例えば、3mm~6mmとすることができる。
本体部362は、全体にわたり、概略三角形状の横断面を有する。よって、本体部362には、稜線3622が形成される。稜線3622は、先端部361の稜線3612に連続し、工具30の進入方向に延びている。本体部362の各側縁3621は、先端部361の側縁3611に連続し、工具30の進入方向に延びている。
突起部36は、稜線3612,3622を含み表面31に垂直な平面に対し、実質的に対称な形状をなす。稜線3612,3622には、R面取り加工が施されていてもよい。
次に、図6A~図6Cを参照して、加工装置20を用いてカウンターウエイト14を加工する方法について説明する。図6A~図6Cは、工程b)でカウンターウエイト14を加工する際の加工装置20の動作を説明するための模式図である。
図6Aに示すように、初期状態の加工装置20では、各弾性部材23aが伸張し、仕上げ鍛造品10に対して治具24aよりも工具ユニット25aが後退している。また、各弾性部材23bが伸張し、仕上げ鍛造品10に対して治具24bよりも各工具ユニット25bが後退している。この加工装置20内に、バリなしの仕上げ鍛造品10を配置する。このとき、回転軸方向で中央に位置する2つのクランクピン12が下側の治具24b上に載置され、治具24bによって把持される。これにより、第3~第6カウンターウエイト14c~14fは上向きに位置付けられ、残りのカウンターウエイト14a,14b,14g,14hは下向きに位置付けられる。
次に、スライド21aを下降させる。これにより、図6Bに示すように、ダイクッションプレート22a及び治具24aが下降し、回転軸方向で両端に位置する各クランクピン12が対応する治具24aによって把持される。
各治具24aがクランクピン12を把持した後、スライド21aをさらに下降させ、伸張状態にあった弾性部材23aを圧縮する。これにより、図6Cに示すように、上側の工具ユニット25aがダイクッションプレート22aに対して相対的に下降する。これと同時に、伸張状態にあった弾性部材23bも圧縮され、下側の工具ユニット25bがダイクッションプレート22bに対して相対的に上昇する。これにより、工具ユニット25a,25bの各工具30がカウンターウエイト14の長手方向に沿って仕上げ鍛造品10に外周側から進入し、各工具30によって各カウンターウエイト14が加工される。
図7A~図7Cは、工具30によるカウンターウエイト14の加工の様子を説明するための模式図である。図7Aを参照して、工具30が仕上げ鍛造品10に進入するに伴い、工具30の突起部36が先端から順にカウンターウエイト14に押し当てられる。工具30が仕上げ鍛造品10に進入すると、まず、突起部36の先端部361がカウンターウエイト14の表面に押し当てられる。カウンターウエイト14の材料は、先端部361によって押し分けられ、幅方向の中央部から両端部に向かって順次流動する。これにより、カウンターウエイト14の幅方向の中央部が薄肉化される。
図7B及び図7Cを参照して、工具30がさらに前進すると、突起部36の本体部362がカウンターウエイト14に到達し、本体部362がカウンターウエイト14の表面に押し当てられる。
図6Cに戻り、仕上げ鍛造品10に対し、工具ユニット25a,25bの各工具30が所定の位置まで進入したら、スライド21aを停止させる。これにより、仕上げ鍛造品10に対する工具30の進入が停止する。その後、スライド21aを上昇させて弾性部材23aを伸張させ、工具ユニット25aを上昇させる。これに伴い、工具ユニット25aの各工具30が仕上げ鍛造品10から後退する。
スライド21aをさらに上昇させると、ダイクッションプレート22a及び治具24aが上昇し、クランクピン12が治具24aから解放される。工具ユニット25a及び治具24aの上昇に伴って下側の弾性部材23bが伸張するため、工具ユニット25bの各工具30も仕上げ鍛造品10から後退する。これにより、加工装置20が図6Aに示す初期状態に戻り、工程b)におけるカウンターウエイト14の加工が完了する。
図8~図10は、それぞれ、工程b)の後のクランクウェブ15の正面図、背面図、及び底面図である。図8及び図10を参照して、カウンターウエイト14のクランクジャーナル11側の表面141のうち、幅方向の中央部には、凹部143が形成されている。凹部143は、工具30の突起部36(図5)の形状に対応した形状を有する。図9及び図10を参照して、カウンターウエイト14のクランクピン12側の表面142にも、同様の凹部143が形成されている。すなわち、工程b)の後のカウンターウエイト14では、表面141,142から抜け勾配がなくなり、幅方向の中央部が薄肉化されている。
[実施形態の効果]
本実施形態に係るクランク軸の製造方法では、バリを除去した後の仕上げ鍛造品10に工具30を進入させながら、工具30の突起部36を先端から順にカウンターウエイト14に押し当てる。これにより、カウンターウエイト14の材料が幅方向の両外側に流動し、カウンターウエイト14の幅方向の中央部が薄肉化される。よって、カウンターウエイト14の重心が回転軸X1から遠ざかり、回転軸X1周りにおけるカウンターウエイト14のモーメントが大きくなる。このため、カウンターウエイト14を増量せずに所望のモーメントを確保することが可能となり、カウンターウエイト14の軽量化及びモーメント確保の双方を実現することができる。
本実施形態では、仕上げ鍛造品10に工具30を進入させたとき、まず、突起部36の先端部361がカウンターウエイト14に押し付けられる。先端部361は、工具30の進入方向の後方に向かって徐々に拡大する幅及び高さを有するため、カウンターウエイト14の材料を幅方向の中央部側から両端部側に向かって円滑に案内することができる。
図11を参照し、カウンターウエイト14の重心の移動についてより詳細に説明する。図11は、工具30のストロークとカウンターウエイト14の重心の位置との関係を示すグラフである。ここでは、突起部36の先端がカウンターウエイト14の表面への接触を開始する位置を原点とし、突起部36の先端が原点から回転軸X1側に進んだ距離[mm]を工具30のストロークStと定義する。
図11に示すように、ストロークStが大きくなるにつれて、カウンターウエイト14の重心は幅方向の外側に移動する。しかしながら、ストロークStがある大きさに達した後、カウンターウエイト14の重心は幅方向の中央側に移動し始める。これは、カウンターウエイト14の材料が工具30に引きずられ、工具30の進入方向の前方にも流動してしまうことが原因であると考えられる。ストロークStがさらに大きくなると、カウンターウエイト14の重心は、ストロークStがゼロであったときの重心よりも幅方向の中央側に移動する。
カウンターウエイト14の重心が幅方向の外側に確実に移動し続けるのは、カウンターウエイト14が突起部36の先端部361によって加工されている間である。したがって、工具30のストロークStは、先端部361の長さL以下であることが好ましい(St≦L)。すなわち、工程b)では、工具30のストロークStが先端部361の長さLを超え、本体部362がカウンターウエイト14に押し当てられる前に、工具30を停止して仕上げ鍛造品10の外まで後退させることが好ましい。
カウンターウエイト14の重心の位置がSt=0のときの重心の位置と同じになるのは、工具30のストロークStが先端部361の長さLの2倍を超えたあたりである。よって、ストロークStは、先端部361の長さLの2倍以下である必要がある(St≦2×L)。
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、工程b)においてカウンターウエイト14の両表面141,142が加工される。しかしながら、設計要件等に応じ、カウンターウエイト14の両表面141,142のいずれか一方のみを加工してもよい。
本実施形態では、工程b)で使用される加工装置20において、複数の工具30が工具ユニット25a又は25bとして一体化されている。しかしながら、各工具30を別体とすることもできる。
工程b)は、一般的な鍛造クランク軸の製造プロセスにおける整形工程と別工程であってもよいが、整形工程と同時に実施される工程であってもよい。工程b)を整形工程と同時に実施する場合、工具30によるカウンターウエイト14の加工が終了した後、通常の整形工程と同様、加工装置20に備えられた金型で仕上げ鍛造品10の必要箇所を圧下し、仕上げ鍛造品10を最終製品の寸法及び形状に整えればよい。
10:仕上げ鍛造品
11:クランクジャーナル
12:クランクピン
13:クランクアーム
30:工具
31:表面
36:突起部
361:先端部
362:本体部

Claims (3)

  1. クランク軸の製造方法であって、
    a)型鍛造で成形され、バリが除去され、クランクジャーナルと、前記クランクジャーナルに対して偏心するクランクピンと、前記クランクジャーナルと前記クランクピンとを連結するクランクアームと、前記クランクアームと一体に成形されたカウンターウエイトと、を有する仕上げ鍛造品を準備する工程と、
    b)平面視で剣状の突起部を表面に有する工具を、前記カウンターウエイトの長手方向に沿って前記仕上げ鍛造品に進入させながら、前記突起部を先端から順に前記カウンターウエイトに押し当てることにより、前記カウンターウエイトの幅方向で外側に向かって前記カウンターウエイトの材料を流動させる工程と、
    を備える、製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法であって、
    前記突起部は、
    前記工具の進入方向で後方に向かって幅及び高さが拡大する先端部と、
    前記進入方向で前記先端部の後端に接続され、一定の幅及び高さを有する本体部と、
    を有する、製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法であって、
    前記工程b)では、前記先端部を前記カウンターウエイトに押し当てた状態で前記工具を前記仕上げ鍛造品に進入させ、前記本体部が前記カウンターウエイトに押し当てられる前に前記工具を停止して前記仕上げ鍛造品の外まで後退させる、製造方法。
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