JP6822573B2 - 鍛造クランク軸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間鍛造によりクランク軸を製造する方法に関する。
自動車、自動二輪車、農業機械または船舶等のレシプロエンジンには、ピストンの往復運動を回転運動に変換して動力を取り出すために、クランク軸が不可欠である。クランク軸は、型鍛造または鋳造によって製造できる。特に、高強度と高剛性がクランク軸に要求される場合、型鍛造によって製造されたクランク軸(以下、「鍛造クランク軸」ともいう)が多用される。
図1A〜図1Cは、一般的な鍛造クランク軸の形状例を示す模式図である。これらの図のうち、図1Aは全体図であり、図1Bは図1AのIB−IB断面図であり、図1Cはピン部の位相を示す図である。図1Bに示す例では、代表的に、一つのクランクアーム部A1と、そのクランクアーム部A1と一体のカウンターウエイト部W1と、そのクランクアーム部A1につながるピン部P1およびジャーナル部J1を示す。
図1A〜図1Cに示す鍛造クランク軸11は、3気筒エンジンに搭載される3気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸である。鍛造クランク軸11は、4つのジャーナル部J1〜J4と、3つのピン部P1〜P3と、フロント部Frと、フランジ部Flと、6枚のクランクアーム部(以下、「アーム部」ともいう)A1〜A6とを備える。アーム部A1〜A6は、ジャーナル部J1〜J4とピン部P1〜P3をそれぞれつなぐ。また、6枚のアーム部A1〜A6のうちの一部のアーム部は、カウンターウエイト部(以下、「ウエイト部」ともいう)W1〜W4を一体で備える。具体的には、第1アーム部A1、第2アーム部A2、第5アーム部A5および第6アーム部A6は、それぞれウエイト部W1、W2、W3およびW4を一体で備える。第3アーム部A3および第4アーム部A4は、ウエイト部を備えず、その形状は長円状となる。
鍛造クランク軸11の軸方向の前端にはフロント部Frが設けられ、後端にはフランジ部Flが設けられる。フロント部Frは、先頭の第1ジャーナル部J1につながり、フランジ部Flは、最後尾の第4ジャーナル部J4につながる。
以下では、ジャーナル部J1〜J4、ピン部P1〜P3、アーム部A1〜A6およびウエイト部W1〜W4のそれぞれを総称するとき、その符号は、ジャーナル部で「J」、ピン部で「P」、アーム部で「A」、ウエイト部で「W」とも記す。また、アーム部Aおよびそのアーム部Aと一体のウエイト部Wをまとめて「ウェブ」ともいう。
図1Cに示すように、3つのピン部P1〜P3は、ジャーナル部Jを中心として120°ずつ、ずれて配置される。つまり、第1、第2および第3ピン部P1、P2およびP3は、それぞれ第1位置L1、第2位置L2および第3位置L3に配置される。第1位置L1、第2位置L2および第3位置L3の互いの位相角は120°である。
図1Bに示すように、ウエイト部Wの幅Bwは、アーム部Aの幅Baより大きい。このため、ウエイト部Wは、アーム部A中心面(ピン部Pの中心軸とジャーナル部Jの中心軸とを含む面)から大きく張り出す。
このような形状の鍛造クランク軸を製造する際、一般に、出発素材としてビレットが用いられる。ビレットの長手方向に垂直な断面、すなわち横断面は、丸形または角形である。その横断面の面積は、ビレットの全長にわたって一定である。本明細書において、「横断面」は、ビレット若しくは後述する各荒地の長手方向、または鍛造クランク軸の軸方向に垂直な断面を意味する。「縦断面」は、その長手方向またはその軸方向に平行な断面を意味する。また、横断面の面積を単に「断面積」ともいう。鍛造クランク軸は、予備成形工程、型鍛造工程およびバリ抜き工程をその順に経ることによって製造される。また、必要に応じ、バリ抜き工程の後に整形工程を経る。通常、予備成形工程は、ロール成形工程と曲げ打ち工程を含む。型鍛造工程は、荒打ち工程と仕上げ打ち工程を含む。
図2A〜図2Fは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程を説明するための模式図である。これらの図のうち、図2Aはビレットを示す。図2Bはロール荒地を示す。図2Cは曲げ荒地を示す。図2Dは荒鍛造材を示す。図2Eは仕上げ鍛造材を示す。図2Fは鍛造クランク軸を示す。なお、図2A〜図2Fは、前記図1A〜図1Cに示す鍛造クランク軸11を製造する場合の一連の工程を示す。
図2A〜図2Fを参照し、鍛造クランク軸11の製造方法を説明する。先ず、図2Aに示すような所定の長さのビレット12を加熱炉によって加熱した後、予備成形工程でロール成形および曲げ打ちをその順に行う。ロール成形では、例えば孔型ロールを用いてビレット12を圧延して絞る。これにより、ビレット12の体積を軸方向に配分し、中間素材であるロール荒地13を得る(図2B参照)。次に、曲げ打ちでは、ロール荒地13を軸方向と垂直な方向から部分的にプレス圧下する。これにより、ロール荒地13の体積を配分し、更なる中間素材である曲げ荒地14を得る(図2C参照)。
続いて、荒打ち工程では、曲げ荒地14を上下に一対の金型を用いて鍛造することにより、荒鍛造材15を得る(図2D参照)。その荒鍛造材15には、鍛造クランク軸(最終製品)のおおよその形状が造形されている。さらに、仕上げ打ち工程では、荒鍛造材15を上下に一対の金型を用いて鍛造することにより、仕上げ鍛造材16を得る(図2E参照)。その仕上げ鍛造材16には、最終製品の鍛造クランク軸と合致する形状が造形されている。これら荒打ちおよび仕上げ打ちのとき、互いに対向する金型の型割面の間から余材が流出し、その余材がバリBとなる。このため、荒鍛造材15および仕上げ鍛造材16の周囲には、いずれも、バリBが大きく付いている。
バリ抜き工程では、例えば、バリ付きの仕上げ鍛造材16を一対の金型によって挟んで保持した状態で、刃物型によってバリBを打ち抜く。これにより、仕上げ鍛造材16からバリBが除去され、バリ無し鍛造材が得られる。そのバリ無し鍛造材は、図2Fに示す鍛造クランク軸11とほぼ同じ形状である。
整形工程では、バリ無し鍛造材の要所を上下から金型で僅かに圧下し、バリ無し鍛造材を最終製品の寸法形状に矯正する。ここで、バリ無し鍛造材の要所は、例えば、ジャーナル部J、ピン部P、フロント部Fr、フランジ部Flなどといった軸部、さらにはアーム部Aおよびウエイト部Wである。こうして、鍛造クランク軸11が製造される。なお、3気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸を製造する場合、ピン部の配置角度(120°の位相角)を調整するため、バリ抜き工程の後に、捩り工程が追加されることがある。
図2A〜図2Fに示す製造工程は、前記図1A〜図1Cに示す3気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸に限らず、3気筒−6枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸に適用できる。
予備成形工程の主目的は、ビレットの体積を配分することである。予備成形工程でビレットの体積を配分することにより、後工程の型鍛造工程でバリの形成を低減でき、材料歩留りを向上できる。ここで、材料歩留りとは、ビレットの体積に対する鍛造クランク軸(最終製品)の体積の割合(百分率)を意味する。
また、予備成形によって得られる荒地は、後工程の型鍛造工程で鍛造クランク軸に成形される。精密な形状の鍛造クランク軸を得るため、予備成形工程では精密な形状の荒地を成形する必要がある。
鍛造クランク軸の製造に関する技術は、例えば、特開2001−105087号公報(特許文献1)、特開平2−255240号公報(特許文献2)、特開昭62−244545号公報(特許文献3)および特開昭59−45051号公報(特許文献4)に開示される。特許文献1は、一対からなる上型と下型を用いた予備成形方法を開示する。その予備成形方法では、上型と下型とで棒状の被加工物を圧下する際に、被加工物の一部を延ばすとともに、その一部に連続した部分を軸心に対してオフセットする。これにより、特許文献1では、延ばしと曲げを同時に実施できることから、設備投資を少なくできるとしている。
特許文献2の予備成形方法は、従来の2パスのロール成形に代え、4パスの高速ロール設備を用いる。その予備成形方法では、ロール荒地の断面積が、鍛造クランク軸(最終製品)のウエイト部、アーム部およびジャーナル部の断面積の分布に合わせて決められる。これにより、特許文献2では、材料歩留りを向上できるとしている。
特許文献3の予備成形方法は、転造により、ビレットの軸方向および径方向にビレットの一部の体積を配分する。体積配分されたビレットを型鍛造することによって、鍛造クランク軸が得られる。これにより、特許文献3では、材料歩留りを向上できるとしている。
特許文献4の製造方法では、一対からなる上型と下型とポンチとを用いた1回の型鍛造により、ビレットを鍛造クランク軸に成形する。型鍛造工程では、まず、ビレットのうちのジャーナル部となる領域およびピン部となる領域を別個に稼働するポンチによって圧下する。圧下によりビレットの体積が配分される。その後、上型および下型によって型鍛造が実施される。すなわち、1工程で、予備成形および型鍛造ができる。これにより、特許文献4では、複雑な形状の鍛造クランク軸を単一の設備で効率よく製造できるとしている。
特開2001−105087号公報 特開平2−255240号公報 特開昭62−244545号公報 特開昭59−45051号公報
鍛造クランク軸の製造では、前述の通り、バリの形成を低減して材料歩留りを向上させることが望まれる。また、予備成形工程において、精密な形状の荒地を成形することが望まれている。前記特許文献1に記載の予備成形方法では、ビレットの体積の配分と、ピン部となる部位(以下、「ピン相当部」ともいう)の偏心をある程度行うことができる。
しかしながら、ピン相当部の偏心および体積の配分は、不十分であり、後工程の型鍛造で、ピン部の造形に伴って大きくバリが形成される。さらに、前記特許文献1の予備成形方法では、ウェブとなる部位において、ウエイト部となる部位の体積と、ウエイト部を一体で備えるアーム部となる部位の体積と、の配分が検討されていない。そのため、後工程の型鍛造工程において、アーム部中心面から大きく張り出すウエイト部で、材料の充満性が不十分となり、欠肉が生じ易い。ウエイト部の欠肉を防止するには、簡便には、荒地で余剰の体積を増加させればよい。しかし、この場合、材料歩留りが低下する。以下では、ウエイト部となる部位を「ウエイト相当部」ともいう。ウエイト部を一体で備えるアーム部(ウエイト部を除く)となる部位を「アーム相当部」ともいう。ウエイト相当部とアーム相当部をまとめて「ウェブ相当部」ともいう。
前記特許文献2の予備成形方法は、ピン相当部を偏心させることができない。ロール成形によるからである。このため、後工程の型鍛造によってピン部を造形する際に大きくバリが形成される。また、前記特許文献2の予備成形方法では、ウェブ相当部でウエイト相当部とアーム相当部との体積配分を行えない。ロール成形によるからである。そのため、後工程の型鍛造工程において、ウエイト部の材料の充満性が不十分となる。その結果、欠肉が生じ易い。
前記特許文献3の予備成形方法では、転造を実施するための設備が必要となる。そのため、設備費用が高くなり、また、生産効率の向上も難しい。
前記特許文献4の製造方法では、単一の設備で予備成形および型鍛造を実施するため、ビレットを大きく変形させる予備成形を実施できない。そのため、特許文献4の製造方法では、材料歩留りを向上させることは難しい。
本発明の目的は、精密な形状の鍛造クランク軸の成形ができ、かつ、材料歩留りを向上できる鍛造クランク軸の製造方法を提供することにある。
本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、回転中心となる4つのジャーナル部と、ジャーナル部に対して偏心し、かつ、位相角が120°の第1位置、第2位置および第3位置にそれぞれ配置される3つのピン部と、ジャーナル部とピン部をつなぐ複数のクランクアーム部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法である。
本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、ビレットから初期荒地を得る第1予備成形工程と、初期荒地から最終荒地を得る第2予備成形工程と、少なくとも1回の型鍛造によって最終荒地を鍛造クランク軸の仕上げ寸法に成形する仕上げ鍛造工程と、を含む。
第1予備成形工程では、一対の第1金型を用い、ビレットのうちのピン部となる部位、およびジャーナル部となる部位を、ビレットの軸方向と垂直な方向から圧下することにより、各部位の断面積を減少させて複数の扁平部を形成しながら、扁平部のうちで第2位置に配置される第2ピン部となる部位を偏心させ、第2ピン部となる部位の偏心量を仕上げ寸法の偏心量と同じかまたはそれよりも小さくする。
第2予備成形工程では、一対の第2金型を用い、扁平部の幅方向を圧下方向にして複数のジャーナル部となる部位を圧下する工程と、第2金型による圧下を開始後、第3金型を用い、扁平部の幅方向を偏心方向にして第1位置に配置される第1ピン部となる部位および第3位置に配置される第3ピン部となる部位を互いに反対方向に偏心させ、第1および第3ピン部となる部位の偏心量を仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2と同じかまたはそれよりも小さくする工程とを含む。
最終荒地は、複数のクランクアーム部となる部位の厚みが、仕上げ寸法の厚みと同じである。
本発明の実施形態による鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形工程および第2予備成形工程により、軸方向の体積の配分が促進された最終荒地を得ることができる。また、最終荒地は、ジャーナル部となる部位の体積と、ピン部となる部位の体積と、アーム部となる部位の体積とが適切に配分される。仕上げ鍛造工程により、その最終荒地から鍛造クランク軸の形状を造形できる。これらより、材料歩留りを向上させることができる。また、本発明によれば、第1予備成形工程および第2予備成形工程により精密な形状の荒地を成形できる。そのため、精密な形状の鍛造クランク軸を製造できる。
図1Aは、一般的な鍛造クランク軸の形状例を模式的に示す全体図である。 図1Bは、図1AのIB−IB断面図である。 図1Cは、図1Aの鍛造クランク軸についてピン部の位相を示す図である。 図2Aは、従来の製造工程におけるビレットを示す模式図である。 図2Bは、従来の製造工程におけるロール荒地を示す模式図である。 図2Cは、従来の製造工程における曲げ荒地を示す模式図である。 図2Dは、従来の製造工程における荒鍛造材を示す模式図である。 図2Eは、従来の製造工程における仕上げ鍛造材を示す模式図である。 図2Fは、従来の製造工程における鍛造クランク軸を示す模式図である。 図3Aは、本実施形態の製造工程例におけるビレットを示す模式図である。 図3Bは、本実施形態の製造工程例における初期荒地を示す模式図である。 図3Cは、本実施形態の製造工程例における最終荒地を示す模式図である。 図3Dは、本実施形態の製造工程例における仕上げ鍛造材を示す模式図である。 図3Eは、本実施形態の製造工程例における鍛造クランク軸を示す模式図である。 図4Aは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図4Bは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図5Aは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時における第2位置に配置されるピン部となる部位を示す横断面図である。 図5Bは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時における第2位置に配置されるピン部となる部位を示す横断面図である。 図6Aは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時におけるジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図6Bは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時におけるジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図7Aは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時におけるアーム相当部を示す横断面図である。 図7Bは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時におけるアーム相当部を示す横断面図である。 図8は、1つの金型で第2予備成形工程を実施する場合を示す縦断面図である。 図9は、本実施形態の第2金型および第3金型を示す縦断面図である。 図10は、図9とは異なる本実施形態の第2金型および第3金型を示す縦断面図である。 図11Aは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下工程開始時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図11Bは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下工程終了時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図11Cは、第2予備成形工程の加工フロー例の偏心工程終了時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図12Aは、第2予備成形工程の加工フロー例の偏心工程開始時における第3位置に配置されるピン部となる部位を示す横断面図である。 図12Bは、第2予備成形工程の加工フロー例の偏心工程終了時における第3位置に配置されるピン部となる部位を示す横断面図である。 図13Aは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下工程開始時における第2位置に配置されるピン部となる部位を示す横断面図である。 図13Bは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下工程終了時における第2位置に配置されるピン部となる部位を示す横断面図である。 図14Aは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下工程開始時におけるジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図14Bは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下工程終了時におけるジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図15Aは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下工程開始時におけるアーム部となる部位を示す横断面図である。 図15Bは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下工程終了時におけるアーム部となる部位を示す横断面図である。 図16は、第1ピン相当部および第3ピン相当部の偏心量を示す模式図である。
本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、回転中心となる4つのジャーナル部と、ジャーナル部に対して偏心し、かつ、位相角が120°の第1位置、第2位置および第3位置にそれぞれ配置される3つのピン部と、ジャーナル部とピン部をつなぐ複数のクランクアーム部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法である。
本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、ビレットから初期荒地を得る第1予備成形工程と、初期荒地から最終荒地を得る第2予備成形工程と、少なくとも1回の型鍛造によって最終荒地を鍛造クランク軸の仕上げ寸法に成形する仕上げ鍛造工程と、を含む。
第1予備成形工程では、一対の第1金型を用い、ビレットのうちのピン部となる部位、およびジャーナル部となる部位を、ビレットの軸方向と垂直な方向から圧下することにより、各部位の断面積を減少させて複数の扁平部を形成しながら、扁平部のうちで第2位置に配置される第2ピン部となる部位を偏心させ、第2ピン部となる部位の偏心量を仕上げ寸法の偏心量と同じかまたはそれよりも小さくする。
第2予備成形工程では、一対の第2金型を用い、扁平部の幅方向を圧下方向にして複数のジャーナル部となる部位を圧下する工程と、第2金型による圧下を開始後、第3金型を用い、扁平部の幅方向を偏心方向にして第1位置に配置される第1ピン部となる部位および第3位置に配置される第3ピン部となる部位を互いに反対方向に偏心させ、第1および第3ピン部となる部位の偏心量を仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2と同じかまたはそれよりも小さくする工程とを含む。
最終荒地は、複数のクランクアーム部となる部位の厚みが、仕上げ寸法の厚みと同じである。
本実施形態の製造方法によれば、第1予備成形工程および第2予備成形工程により、軸方向の体積の配分が促進された最終荒地を得ることができる。また、最終荒地は、ジャーナル部となる部位の体積と、ピン部となる部位の体積と、アーム部となる部位の体積とが適切に配分されるため、鍛造クランク軸の形状に近い形状である。そして、仕上げ鍛造工程により、その最終荒地から鍛造クランク軸の形状を造形できる。これらより、材料歩留りを向上させることができる。
また、第2予備成形工程では、ジャーナル部となる部位を圧下する第2金型とは別動の第3金型が第1ピン部となる部位および第3ピン部となる部位を偏心させる。第2金型が第3金型と一体であれば、第1ピン部となる部位および第3ピン部となる部位を偏心させる部分が、ジャーナル部となる部位を圧下する部分よりも突出する。そのため、第3金型と一体である第2金型に初期荒地を配置すれば、初期荒地が傾きやすい。しかし、第3金型が第2金型と別動であれば、第1ピン部となる部位および第3ピン部となる部位を偏心させる第3金型を、ジャーナル部となる部位を圧下する部分よりも突出させないことができる。そのため、第2金型に初期荒地を配置しても、初期荒地は傾きにくい。体積配分された初期荒地が、第2金型の所定の位置で圧下されるため、圧下後の最終荒地に欠肉等が生じにくい。なお、アーム部がウエイト部を「一体」で備えるとは、アーム部とウエイト部とが別部品ではなく、1つのビレットから両者が成形されていることを意味する。
好ましくは、第2予備成形工程では、一対の第2金型による圧下が完了した後、第3金型による第1ピン部となる部位および第3ピン部となる部位の偏心を開始する。
以下に、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
1.製造工程例
本実施形態の製造方法が対象とする鍛造クランク軸は、回転中心となる4つのジャーナル部Jと、ジャーナル部Jに対して偏心した3つのピン部Pと、ジャーナル部Jとピン部Pをつなぐ複数のアーム部Aと、を備える。3つのピン部P1、P2およびP3は、第1位置L1、第2位置L2および第3位置L3にそれぞれ配置される。以下では、第1位置L1に配置されるピン部を第1ピン部P1ともいう。第2位置L2に配置されるピン部を第2ピン部P2ともいう。第3位置L3に配置されるピン部を第3ピン部P3ともいう。第1位置L1、第2位置L2および第3位置L3の互いの位相角は120°である。例えば、前記図1A〜図1Cに示す3気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸が製造対象である。
本実施形態の製造方法は、第1予備成形工程と、第2予備成形工程と、仕上げ鍛造工程とを含む。仕上げ鍛造工程の後工程として、バリ抜き工程を追加してもよい。また、必要に応じて、バリ抜き工程の後に、整形工程を追加してもよい。ピン部の配置角度の調整は、仕上げ鍛造工程で行うことができる。あるいは、バリ抜き工程の後に捩り工程を追加し、この捩り工程でピン部の配置角度の調整を行ってもよい。これらの一連の工程は、熱間で実施される。
図3A〜図3Eは、本実施形態の鍛造クランク軸の製造工程例を説明するための模式図である。これらの図のうち、図3Aはビレットを示す。図3Bは初期荒地を示す。図3Cは最終荒地を示す。図3Dは仕上げ鍛造材を示す。図3Eは鍛造クランク軸を示す。なお、図3A〜図3Eは、前記図1A〜図1Cに示す形状の鍛造クランク軸11を製造する場合の一連の工程を示す。図3Bおよび図3Cの左側の図は、正面図である。図3Bおよび図3Cの右側の図は、ジャーナル部となる部位(以下、「ジャーナル相当部」ともいう)の中心に対する第1、第2および第3ピン部となる部位(以下、「第1ピン相当部」、「第2ピン相当部」および「第3ピン相当部」ともいう)PA1、PA2およびPA3の位置を示す。図3Dおよび図3Eの左側の図は、平面図である。図3Dおよび図3Eの右側の図は、ジャーナル部の中心に対する第1、第2および第3ピン部P1、P2およびP3の位置を示す。また、図3Bおよび図3Cの右側の図には、最終製品である鍛造クランク軸のピン部の第1位置L1〜第3位置L3を想像線で示す。
第1予備成形工程では、第1金型を用いてビレット22を圧下する。その際の圧下方向は、ビレット22の軸方向と垂直な方向である。これにより、ビレット22のうち、3つのピン相当部および4つのジャーナル相当部が押し潰され、それらの部位で断面積を減少させる。これに伴って、ビレット22に複数の扁平部23aが形成される。扁平部23aは、ピン相当部およびジャーナル相当部の位置に形成される。
また、第1予備成形工程では、扁平部23aのうち、第2ピン相当部PA2を圧下方向に沿って偏心させる。このようにしてピン相当部およびジャーナル相当部が絞られることにより、体積が配分された初期荒地23が得られる。ここで、初期荒地23の第2ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量と同じかそれよりも小さい。仕上げ寸法の偏心量とは、鍛造クランク軸のピン部の偏心量を意味する。第1予備成形工程は、例えば、後述の加工フロー例に従って実施することができる。
第2予備成形工程は、圧下工程と、偏心工程とを含む。
圧下工程では、一対の第2金型を用いて初期荒地23の複数のジャーナル部となる部位を圧下する。その際の圧下方向は、扁平部の幅方向である。すなわち、圧下方向は、第2ピン相当部PA2の偏心方向と垂直な方向である。より具体的には、第2予備成形工程では、第1予備成形工程で得られた初期荒地23を90°回転させた後、圧下する。
偏心工程では、第2金型による圧下を開始後、第3金型を用い、第1位置に配置される第1ピン部となる部位(第1ピン相当部)および第3位置に配置される第3ピン部となる部位(第3ピン相当部)を互いに反対方向に偏心させる。その際の偏心方向は、扁平部の幅方向である。第1および第3ピン部となる部位の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2と同じかまたはそれよりも小さくする。これにより、鍛造クランク軸のおおよその形状が造形された最終荒地24が得られる。
最終荒地24において、第1ピン相当部PA1の偏心方向と第3ピン相当部PA3の偏心方向は互いに反対方向である。つまり、最終荒地24において、第1ピン相当部PA1と第2ピン相当部PA2との位相角は90°である。第3ピン相当部PA3と第2ピン相当部PA2との位相角は90°である。また、第1ピン相当部PA1と第3ピン相当部PA3との位相角は180°である。また、最終荒地24において、アーム相当部の軸方向の厚さt1(図3C参照)は、仕上げ寸法の厚さt0(図3E参照)と同じである。仕上げ寸法の厚さt0とは、鍛造クランク軸(最終製品)のアーム部の軸方向の厚さを意味する。第2予備成形工程の詳細は、後述する。
仕上げ鍛造工程では、型鍛造によって最終荒地24を鍛造クランク軸の仕上げ寸法に成形する。具体的には、上下に一対の金型が用いられる。最終荒地24は、第1および第3ピン相当部PA1およびPA3が水平面内で並ぶような姿勢で、下型の上に配置される。そして、上型の下降により鍛造が実施される。つまり、鍛造の圧下方向は、第2ピン相当部PA2の偏心方向である。これにより、余材の流出に伴ってバリBが形成され、バリ付きの仕上げ鍛造材25が得られる(図3D参照)。仕上げ鍛造材25には、最終製品の鍛造クランク軸と合致する形状が造形されている。最終荒地24に鍛造クランク軸のおおよその形状が造形されているので、仕上げ鍛造工程において、バリBの形成を最小限に留めることができる。仕上げ鍛造工程は、1回でもよいし、複数回に分けてもよい。
バリ抜き工程では、例えば、バリ付きの仕上げ鍛造材25を一対の金型によって挟んで保持した状態で、刃物型によってバリBを打ち抜く。これにより、仕上げ鍛造材25からバリBが除去される。その結果、鍛造クランク軸11(最終製品)が得られる。
2.第1予備成形工程の加工フロー例
図4A〜図7Bは、第1予備成形工程の加工フロー例を示す模式図である。これらの図のうち、図4Aは圧下開始時の状況を示す縦断面図であり、図4Bは圧下終了時の状況を示す縦断面図である。
図5Aおよび図5Bは、第2位置に配置されるピン部となる部位(第2ピン相当部)を示す横断面図である。これらの図のうち、図5Aは圧下開始時の状況を示し、図5Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図5Aは、前記図4AのVA−VA断面図であり、図5Bは、前記図4BのVB−VB断面図である。
図6Aおよび図6Bは、ジャーナル相当部を示す横断面図である。これらの図のうち、図6Aは圧下開始時の状況を示し、図6Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図6Aは、前記図4AのVIA−VIA断面図であり、図6Bは、前記図4BのVIB−VIB断面図である。
図7Aおよび図7Bは、アーム相当部を示す横断面図である。これらの図のうち、図7Aは圧下開始時の状況を示し、図7Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図7Aは、前記図4AのVIIA−VIIA断面図であり、図7Bは、前記図4BのVIIB−VIIB断面図である。
図4A〜図7Bには、丸形の横断面を有するビレット22(または初期荒地23)と、上下で一対の第1金型30とを示す。第1金型30は、第1上型31と、第1下型32とを備える。状況の理解を容易にするため、図5A〜図7Bには、ジャーナル相当部の軸心位置Cを黒塗りの丸印で示す。図5B、図6Bおよび図7Bには、圧下開始時の第1上型31、第1下型32およびビレット22を二点鎖線で併記する。一対の第1金型30は、ピン相当部と当接するピン加工部、および、ジャーナル相当部と当接するジャーナル加工部を備える。
ピン加工部は、図5Aに太線で示すように、第1上型31に設けられる上型ピン加工部31b、および、第1下型32に設けられる下型ピン加工部32bからなる。上型ピン加工部31bは、凹状であり、ビレット22を収容可能である。下型ピン加工部32bは、凸部の先端面に設けられる。なお、上型ピン加工部31bおよび下型ピン加工部32bのいずれを凹状とするかは、特に制限はない。つまり、下型ピン加工部32bがビレットを収容可能な凹状であってもよい。
第1および第3ピン相当部と当接するピン加工部は、図5Aおよび図5Bに示すような第2ピン相当部と当接するピン加工部と同様である。ただし、圧下方向において、第1および第3ピン相当部と当接するピン加工部の位置は、第2ピン相当部と当接するピン加工部の位置と異なる(図4Aおよび図4B参照)。
ジャーナル加工部は、図6Aに太線で示すように、第1上型31に設けられる上型ジャーナル加工部31a、および、第1下型32に設けられる下型ジャーナル加工部32aからなる。上型ジャーナル加工部31aは、凹状であり、ビレット22を収容可能である。下型ジャーナル加工部32aは、凸部の先端面に設けられる。なお、上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aのいずれを凹状とするかは、特に制限はない。つまり、下型ジャーナル加工部32aがビレットを収容可能な凹状であってもよい。
第1予備成形工程では、第1上型31を上昇させて第1上型31と第1下型32を離間させた状態で、ビレット22を第1上型31と第1下型32の間に配置する。この状態から第1上型31を下降させると、図5Aに示すように、ビレット22のうちのピン相当部が凹状の上型ピン加工部31bに収容される。また、図6Aに示すように、ジャーナル相当部は、凹状の上型ジャーナル加工部31aに収容される。第1上型31をさらに下降させると、上型ピン加工部31bおよび下型ピン加工部32b、並びに上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aにより、ビレット22が圧下される。このため、ピン相当部およびジャーナル相当部の断面積が減少する。その結果、図5Bおよび図6Bに示すような扁平部23aが形成される。
また、ピン加工部およびジャーナル加工部のうちで第2ピン相当部と当接するピン加工部の位置は、図4Aに示すように、第1および第3ピン相当部と当接するピン加工部の位置と異なる。このため、第2ピン相当部は、変形しながら圧下方向に沿って偏心する。そして、第2ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量と同じかそれよりも小さい。第1金型30による圧下の終了後、第1上型31を上昇させ、加工済みのビレット22(初期荒地23)を取り出す。
このような加工フロー例を採用すれば、ピン相当部およびジャーナル相当部を圧下してピン相当部およびジャーナル相当部の断面積が減少するのに伴い、ピン相当部およびジャーナル相当部の材料が、ビレット22の軸方向に移動する。これにより、材料がピン相当部とジャーナル相当部との間のアーム相当部に流入する。その結果、体積が軸方向に配分された初期荒地23を得ることができる。
また、第1上型31を下降させる過程で、凹状の上型ピン加工部31bの開口が、下型ピン加工部32bで塞がれ、上型ピン加工部31bおよび下型ピン加工部32bによって閉断面が形成される(図5Aおよび図5B参照)。また、凹状の上型ジャーナル加工部31aの開口が、下型ジャーナル加工部32aで塞がれ、上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aによって閉断面が形成される(図6Aおよび図6B参照)。これにより、第1上型31と第1下型32の間にバリが形成されることがない。したがって、材料歩留りを向上できるとともに、体積の軸方向の配分を促進できる。
第1予備成形工程では、後述するように、ジャーナル加工部によってジャーナル相当部を部分圧下することにより、バリの形成を防止してもよい。また、ピン加工部によってピン相当部を部分圧下することにより、バリの形成を防止してもよい。
第1予備成形工程では、体積の軸方向の配分を促進する観点から、アーム相当部を第1金型によって圧下しなくてよい。
扁平部23aの横断面において、圧下方向と垂直な方向の幅Bfは圧下方向の厚さtaよりも大きければよい。例えば、扁平部23aの断面形状は楕円状または長円状である(図5Bおよび図6B参照)。扁平部23aの幅Bfおよび厚さtaの寸法は、ジャーナル相当部とピン相当部で異なってもよい。
3.第2予備成形工程で用いられる第2金型および第3金型
本実施形態の第2予備成形工程では、ジャーナル相当部の圧下と、第1および第3ピン相当部の偏心とを実施する。ジャーナル相当部の圧下と、第1および第3ピン相当部の偏心とは別個の金型によって実施される。
ジャーナル相当部の圧下と、第1および第3ピン相当部の偏心とを1つの金型で実施すると、以下に示す問題が生じる可能性がある。
図8は、1つの金型で第2予備成形工程を実施する場合を示す縦断面図である。図8を参照して、第2上型41と第2下型42を離間させた状態で、初期荒地23は第2下型42上に配置される。上述したように、第2予備成形工程では、第1ピン相当部および第3ピン相当部を偏心させる。初期荒地23の第1ピン相当部を加工する第2下型42のピン加工部42hは、下型ジャーナル加工部42aよりも突出している。したがって、第2下型42に初期荒地23を配置すると、初期荒地23は傾きやすい。この状態で、第2金型40が初期荒地23を圧下すると、初期荒地23が傾いているため、初期荒地23が軸方向に移動しやすい。圧下中に初期荒地23が移動すると、第2金型40が圧下する初期荒地23の位置が、予定の位置からずれる。すなわち、第2金型40のピン加工部が初期荒地23のアーム相当部を圧下する等の事態が生じ得る。そのため、圧下後の最終荒地に、欠肉等が生じることがある。これを防止するため、本実施形態の第2予備成形工程では、2つの金型を用いる。
図9は、本実施形態の第2金型および第3金型を示す縦断面図である。図9を参照して、本実施形態の製造装置は、第2金型40と第3金型50とを含む。第3金型50は、第3上型51と、第3下型52とを含む。第3上型51は、第3ピン相当部を偏心させる。第3下型52は、第1ピン相当部を偏心させる。第3上型51および第3下型52は、第2金型40とは独立して昇降できる。初期荒地23の圧下前では、第3下型52は下型ジャーナル加工部42aと同じ高さもしくは下方に配置されている。また、第3上型51は上型ジャーナル加工部41aと同じ高さもしくは上方に配置されている。すなわち、第3上型51および第3下型52は上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aよりも突出していない。したがって、圧下開始前に、第2下型42に初期荒地23を配置しても、初期荒地23はほぼ水平に保たれる。
また、第2金型40のジャーナル加工部41a、42aによる初期荒地23の圧下開始後に、第3金型50による初期荒地23の偏心が開始される。したがって、第3および第1ピン相当部の偏心中に、ジャーナル加工部41a、42aによって初期荒地23のジャーナル相当部が圧下されている。すなわち、初期荒地23のジャーナル相当部がジャーナル加工部41a、42aによって拘束されている。したがって、ピン相当部の偏心中に初期荒地23が傾きにくく、所定の位置で圧下される。
要するに、第3上型51および第3下型52が独立して昇降することおよび初期荒地23のジャーナル相当部が第3および第1ピン相当部に先行して圧下されることにより、第3および第1ピン相当部の偏心中に初期荒地23が軸方向に移動しにくい。体積配分された初期荒地23が、第2金型40の所定の位置で圧下されるため、圧下後の最終荒地に欠肉等が生じにくい。
第2金型40および第3金型50の構成について説明する。第3金型50は、第3上型51および第3下型52を独立して昇降させるために、制御機構を備える。制御機構は、例えばダイクッション、油圧シリンダである。
図9を参照して、制御機構がダイクッション81である場合について説明する。第2下型42はダイクッション81を介してボルスタベース82に支持される。ダイクッション81は緩衝機能を有する。第3上型51および第3下型52はピンベース83を介してボルスタベース82に支持される。第2金型40が初期荒地23を圧下し始めると、ダイクッション81の緩衝機能により、第3下型52が第2下型42から突出し始め、第3上型51が第2上型41から突出し始める。ジャーナル加工部41a、42aが初期荒地23のジャーナル相当部に当接した後に、第3下型52および第3上型51が初期荒地23の第1ピン相当部および第3ピン相当部と当接するようにダイクッション81は設定される。これにより、初期荒地23の第1ピン相当部および第3ピン相当部が、ジャーナル相当部の圧下開始後に偏心される。
図10は、図9とは異なる本実施形態の第2金型および第3金型を示す縦断面図である。図10を参照して、制御機構が油圧シリンダ84である場合について説明する。油圧シリンダ84は、第3上型51および第3下型52を昇降させることができる。第3上型51および第3下型52は油圧シリンダ84を介してボルスタベース82に支持される。第2金型40が初期荒地23を圧下し始めると、油圧シリンダ84が作動し、第3下型52が第2下型42から突出し始め、第3上型51が第2上型41から突出し始める。ジャーナル加工部41a、42aが初期荒地23のジャーナル相当部に当接した後に、第3下型52および第3上型51が初期荒地23の第1および第3ピン相当部と当接するように油圧シリンダ84は設定される。これにより、初期荒地23の第1ピン相当部および第3ピン相当部が、ジャーナル相当部の圧下開始後に偏心される。
制御機構がダイクッションまたは油圧シリンダのいずれの場合であっても、第3下型52が第2下型42から突出するタイミング、および第3上型51が第2上型41から突出するタイミングは適宜設定される。すなわち、初期荒地23の第1および第3ピン相当部は、ジャーナル相当部の圧下開始後から圧下完了までの間に偏心されてもよい。第1および第3ピン相当部は、ジャーナル相当部の圧下完了後に偏心されてもよい。
第1および第3ピン相当部の偏心を、第1予備成形工程ではなく第2予備成形工程で実施することで、次のような利点がある。第1予備成形工程でビレットの第1および第3ピン相当部の断面積は減少する。すなわち、初期荒地23の第1および第3ピン相当部の断面積は、ビレットの第1および第3ピン相当部の断面積よりも小さい。そのため、初期荒地23の第1および第3ピン相当部を偏心させた方が、ビレットの第1および第3ピン相当部を偏心させるよりも、偏心後の第1及び第3ピン相当部の断面積が小さく、余材料が少ない。余材料が少なければ、後工程の仕上げ鍛造工程後のバリの量も少なくて済み、歩留りが良い。したがって、本実施形態の製造方法では、歩留り向上のため、第1および第3ピン相当部の偏心は、第2予備成形工程で実施する。
4.第2予備成形工程の加工フロー例
図11A〜図15Bは、第2予備成形工程の加工フロー例を示す模式図である。これらの図のうち、図11Aは圧下工程開始時の状況を示す縦断面図であり、図11Bは圧下工程終了時の状況を示す縦断面図であり、図11Cは偏心工程終了時の状況を示す縦断面図である。
図12Aおよび図12Bは、第3ピン相当部を示す横断面図である。これらの図のうち、図12Aは偏心工程開始時の状況を示し、図12Bは偏心工程終了時の状況を示す。なお、図12Aは、前記図11AのXIIA−XIIA断面図であり、図12Bは、前記図11CのXIIB−XIIB断面図である。
図13Aおよび図13Bは、第2ピン相当部を示す横断面図である。これらの図のうち、図13Aは圧下工程開始時の状況を示し、図13Bは圧下工程終了時の状況を示す。なお、図13Aは、前記図11AのXIIIA−XIIIA断面図であり、図13Bは、前記図11CのXIIIB−XIIIB断面図である。
図14Aおよび図14Bは、ジャーナル相当部を示す横断面図である。これらの図のうち、図14Aは圧下工程開始時の状況を示し、図14Bは圧下工程終了時の状況を示す。なお、図14Aは、前記図11AのXIVA−XIVA断面図であり、図14Bは、前記図11CのXIVB−XIVB断面図である。
図15Aおよび図15Bは、アーム相当部を示す横断面図である。これらの図のうち、図15Aは圧下工程開始時の状況を示し、図15Bは圧下工程終了時の状況を示す。なお、図15Aは、前記図11AのXVA−XVA断面図であり、図15Bは、前記図11CのXVB−XVB断面図である。
図12A〜図15Bには、前述の第1予備成形工程で得られた初期荒地23を示す。また、図12Aおよび図12Bには第3金型50を示し、図13A〜図15Bには上下で一対の第2金型40を示す。第2金型40は、第2上型41と、第2下型42とを備える。状況の理解を容易にするため、図12A〜図15Bには、ジャーナル相当部の軸心位置Cを黒塗りの丸印で示す。また、図12Bには圧下工程開始時の第2下型42および第3金型50を二点鎖線で併記し、図13B、図14Bおよび図15Bには第2上型41および第2下型42を二点鎖線で併記する。一対の第2金型40は、初期荒地23の第2ピン相当部と当接するピン加工部41fおよび42f、ジャーナル相当部と当接するジャーナル加工部41aおよび42a、並びに、アーム相当部と当接するアーム加工部41cおよび42cを備える。
第2金型40の第2ピン相当部と当接するピン加工部は、第2ピン相当部に対応する位置に設けられる。第2ピン相当部と当接する第2金型40のピン加工部は、図13Aに太線で示すように、第2上型41に設けられる上型ピン加工部41f、および、第2下型42に設けられる下型ピン加工部42fからなる。第2下型42の下型ピン加工部42fは、凹状であり、初期荒地23を収容可能である。第2上型41の上型ピン加工部41fは、凸部の先端面に設けられる。なお、第2金型40の上型ピン加工部41fおよび下型ピン加工部42fのいずれを凹状とするかは、特に制限はない。つまり、第2上型41の上型ピン加工部41fが初期荒地を収容可能な凹状であってもよい。
第3金型50の第3上型51は、図12Aに太線で示すように、凹状であり、初期荒地23の扁平部23aを収容可能である。第3下型52(図9参照)では、第3上型51の上下が反転した構成となる。
ジャーナル加工部は、図14Aに太線に示すように、第2上型41に設けられる上型ジャーナル加工部41a、および、第2下型42に設けられる下型ジャーナル加工部42aからなる。上型ジャーナル加工部41aは、凹状であり、初期荒地23の扁平部23aを収容可能である。下型ジャーナル加工部42aは、凸部の先端面に設けられる。なお、上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aのいずれを凹状とするかは、特に制限はない。つまり、下型ジャーナル加工部42aが初期荒地の扁平部を収容可能な凹状であってもよい。
アーム加工部は、図15Aに太線で示すように、第2上型41に設けられる上型アーム加工部41c、および、第2下型42に設けられる下型アーム加工部42cからなる。アーム加工部の横断面形状は、図15Aに太線で示すように、上型アーム加工部41cおよび下型アーム加工部42cのうちの一方が全体として凹状である。例えば図15Aに示すように、下型アーム加工部42cが全体として凹状であり、他方の上型アーム加工部41cは、平面状である。なお、上型アーム加工部41cおよび下型アーム加工部42cのいずれを凹状とするかは、鍛造クランク軸の形状に応じて適宜設定できる。
鍛造クランク軸のアーム部がウエイト部を含む場合、下型アーム加工部42cは、ウエイト部となる部位(ウエイト相当部)と当接するウエイト加工部42eを有する。ウエイト加工部42eは凹状の下型アーム加工部42cの開口側に位置する。ウエイト加工部42eの開口幅Bpは、凹状の下型アーム加工部42cの底面から遠ざかるに従って広くなる。例えば図15Aに示すように、ウエイト加工部42eは、両側面がいずれも傾斜面である。
第2予備成形工程では、アーム相当部の軸方向の厚さt1を仕上げ寸法の厚さt0と同じにする(図3Cおよび図3E参照)。このため、上型アーム加工部41cおよび下型アーム加工部42cの軸方向の長さは、アーム部の仕上げ寸法の厚さと同じである。
第2予備成形工程では、第2上型41を上昇させて第2上型41と第2下型42を離間させた状態で、初期荒地23を第2上型41と第2下型42の間に配置する。その際、扁平部の幅方向(楕円の場合は長径方向)が圧下方向となるように、初期荒地23は、第1予備成形工程の終了時における状態から軸回りに90°回転した姿勢で配置される。このため、第2金型40による圧下方向は、第2ピン相当部の偏心方向と垂直な方向となる。
この状態から第2上型41を下降させる。すると、図13Aおよび図14Aに示すように、初期荒地23の扁平部が第2下型42のピン加工部42f、第2上型41の上型ジャーナル加工部41aに収容される。アーム部がウエイト部を含む場合、図15Aに示すように、アーム相当部は、下型アーム加工部42cの底面と接触することなく、アーム相当部の大部分が下型アーム加工部42cのうちのウエイト加工部42e内に配置される。
第2上型41をさらに下降させると、上型ジャーナル加工部41aと下型ジャーナル加工部42aとによって閉断面が形成される。この状態で、第2上型41をさらに下降させて下死点に到達させると、図14Bに示すように、上型ジャーナル加工部41aと下型ジャーナル加工部42aとの内部の扁平部23aが圧下される。また、図13Bに示すように第2上型41の上型ピン加工部41fと第2下型42の下型ピン加工部42fとの内部の扁平部23aが圧下される。このようにして初期荒地23の扁平部23aが第2金型によって圧下され、その結果、ジャーナル相当部および第2ピン相当部で断面積が減少する。これに伴い、余剰となった材料が軸方向に流動してアーム相当部に流入し、体積の配分が進行する。
第2金型40による圧下開始後、第3金型50の第3下型52および第3上型51が、第1ピン相当部および第3ピン相当部を偏心させる。第1ピン相当部および第3ピン相当部はともに、第2金型40の圧下方向に沿って偏心する。しかし、第1ピン相当部の偏心方向は第3ピン相当部の偏心方向と反対である。そして、第1ピン相当部および第3ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2と同じかまたはそれよりも小さくなる。一方、第2ピン相当部は第2金型40の圧下方向と垂直な方向に位置しており、偏心しない。そのため、第2ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量と同じのままかそれよりも小さい。
図16は、第1ピン相当部および第3ピン相当部の偏心量を示す模式図である。図16は、鍛造クランク軸の軸方向から見た図である。図16を参照して、3気筒エンジンの鍛造クランク軸の第1ピン部が配置される第1位置L1と第2ピン部が配置される第2位置L2との位相差は120°である。しかしながら、第2予備成形工程で得られた最終荒地の第1ピン相当部の位置PA1と第2ピン相当部の位置PA2との位相差は90°である。そのため、第2予備成形工程後に第1ピン相当部を、ジャーナル相当部の軸心位置Cに対してさらに偏心させる。これにより、最終製品である鍛造クランク軸では、第1位置L1と第2位置L2との位相差が120°とされる。
第1ピン部の偏心量(仕上げ寸法)は、第1位置L1の中心とジャーナル部の軸心Cとの距離E0である。したがって、ジャーナル部の軸心位置C、第1ピン相当部PA1の位置の中心、および第1位置L1の中心からなる直角三角形を仮想すると、偏心工程での第1ピン相当部PA1の偏心量Ebは、第1ピン部の偏心量E0の(√3)/2と同じかまたはそれよりも小さい。第1ピン相当部の偏心量Ebが第1ピン部の偏心量E0の(√3)/2よりも大きければ、後の仕上げ鍛造工程で第1ピン相当部を第1位置L1まで偏心させることは困難である。なぜなら、圧下方向(図16の左右方向)と平行ではない方向に沿って第1ピン相当部を第1位置L1まで偏心させなければならないからである。なお、第1ピン相当部の偏心量Ebが第1ピン部の偏心量E0の(√3)/2よりも小さい場合、後の仕上げ鍛造工程を複数回実施する。たとえば、1回目の仕上げ鍛造工程で第1ピン相当部の偏心量Ebを第1ピン部の偏心量E0の(√3)/2まで偏心させる。2回目の仕上げ鍛造工程で第1ピン相当部PA1の位置を第1位置L1まで偏心させる。第3ピン相当部も同様である。
第2金型40による圧下および第3金型50による偏心の終了後、第2上型41および第3上型51を上昇させ、加工済みの初期荒地23(最終荒地24)を取り出す。このようにして得られる最終荒地24において、アーム相当部の厚さは、仕上げ寸法の厚さと同じである。
第2予備成形工程によれば、第1ピン相当部および第3ピン相当部をそれぞれ偏心させることができる。また、第2ピン相当部およびジャーナル相当部からアーム相当部に材料を流動させることにより、体積を軸方向に配分できる。その結果、材料歩留りを向上できる。また、アーム部がウエイト部を含む場合、ウエイト部で欠肉が生じるのを抑制できる。さらに、第3金型50の第3上型51および第3下型52が独立して昇降すること、および初期荒地23のジャーナル相当部がピン相当部に先行して圧下されることにより、ピン相当部の偏心中に初期荒地が傾きにくい。これにより、体積配分された初期荒地が、第2金型の所定の位置で圧下されるため、圧下後の最終荒地に欠肉等が生じにくい。
5.好ましい態様等
第1予備成形工程によって第2ピン相当部を偏心させる量(mm)、すなわち初期荒地23(最終荒地24)の第2ピン相当部の偏心量Ea(mm)は、仕上げ寸法の偏心量(鍛造クランク軸のピン相当部の偏心量)E0(mm)の20%以上とするのが好ましい。より好ましくは仕上げ寸法の偏心量E0の50%以上であり、最も好ましくは仕上げ寸法の偏心量E0の100%である。第2ピン相当部の偏心量Eaが仕上げ寸法の偏心量E0よりも小さいと、仕上げ鍛造によって第2ピン相当部をさらに偏心させる必要がある。そのため、疵が発生するかもしれない。上記の実施形態では、第2ピン相当部の偏心量Eaが仕上げ寸法の偏心量E0と同じ(100%)である場合を示す。
第2予備成形工程によって第1および第3ピン相当部を偏心させる量、すなわち、最終荒地24の第1および第3ピン相当部の偏心量Eb(mm)は、仕上げ寸法の偏心量E0(mm)の(√3)/2と同じかまたはそれよりも小さくすることが好ましい。上記の実施形態では、第1および第3ピン相当部の偏心量Ebが仕上げ寸法の偏心量E0の(√3)/2と同じである場合を示す。ただし、ピン部用彫刻部への材料の充満性を確保する観点から、最終荒地24の第1および第3ピン相当部の偏心量Ebは、仕上げ寸法の偏心量E0に対する比(Eb/((√3)/2×E0))で、(1.0−Dp/2/((√3)/2×E0))以上とするのが好ましい。ここでDpは、仕上げ寸法のピン部の直径(鍛造クランク軸のピン部の直径)を意味する。同様の観点から、最終荒地24の第1および第3ピン相当部の断面積Spb(mm)は、鍛造クランク軸のピン部の断面積Sp0(mm)に対する比((Spb)/Sp0)で、0.7以上1.5以下とするのが好ましく、より好ましくは0.75以上1.1以下とするのが好ましい。
その他、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
本発明は、3気筒のレシプロエンジンに搭載される鍛造クランク軸の製造に有効に利用できる。
11 鍛造クランク軸
22 ビレット
23 初期荒地
23a 扁平部
24 最終荒地
25 仕上げ鍛造材
30 第1金型
31 第1上型
31a 第1金型の上型ジャーナル加工部
31b 第1金型の上型ピン加工部
32 第1下型
32a 第1金型の下型ジャーナル加工部
32b 第1金型の下型ピン加工部
40 第2金型
41 第2上型
41a 第2金型の上型ジャーナル加工部
41c 第2金型の上型アーム加工部
41f 第2金型の上型ピン加工部
42 第2下型
42a 第2金型の下型ジャーナル加工部
42c 第2金型の下型アーム加工部
42e ウエイト加工部
42f 第2金型の下型ピン加工部
42h 第2下型のピン加工部
50 第3金型
51 第3上型
52 第3下型
A、A1〜A6 クランクアーム部
J、J1〜J4 ジャーナル部
P、P1〜P3 ピン部
W、W1〜W4 カウンターウエイト部
PA、PA1〜PA3 ピン相当部
B バリ

Claims (2)

  1. 回転中心となる4つのジャーナル部と、前記ジャーナル部に対して偏心し、かつ、位相角が120°の第1位置、第2位置および第3位置にそれぞれ配置される3つのピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐ複数のクランクアーム部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法であって、
    当該製造方法は、
    ビレットから初期荒地を得る第1予備成形工程と、
    前記初期荒地から最終荒地を得る第2予備成形工程と、
    少なくとも1回の型鍛造によって前記最終荒地を前記鍛造クランク軸の仕上げ寸法に成形する仕上げ鍛造工程と、を含み、
    前記第1予備成形工程では、一対の第1金型を用い、前記ビレットのうちの前記ピン部となる部位、および前記ジャーナル部となる部位を、前記ビレットの軸方向と垂直な方向から圧下することにより、前記各部位の断面積を減少させて複数の扁平部を形成しながら、前記扁平部のうちで前記第2位置に配置される第2ピン部となる部位を偏心させ、前記第2ピン部となる部位の偏心量を仕上げ寸法の偏心量と同じかまたはそれよりも小さくし、
    前記第2予備成形工程では、一対の第2金型を用い、前記扁平部の幅方向を圧下方向にして前記複数のジャーナル部となる部位を圧下する工程と、前記第2金型による圧下を開始後、前記第2金型によって前記複数のジャーナル部となる部位を拘束した状態で、第3金型を用い、前記扁平部の幅方向を偏心方向にして前記第1位置に配置される第1ピン部となる部位および前記第3位置に配置される第3ピン部となる部位を互いに反対方向に偏心させ、前記第1および第3ピン部となる部位の偏心量を仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2と同じかまたはそれよりも小さくする工程とを含み、
    前記最終荒地は、前記複数のクランクアーム部となる部位の厚みが、仕上げ寸法の厚みと同じであり、
    前記第2金型は、前記複数のジャーナル部となる部位と当接するジャーナル加工部を備え、前記第3金型は、前記第2金型による圧下の前に、前記ジャーナル加工部よりも突出していない、鍛造クランク軸の製造方法。
  2. 請求項1に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
    前記第2予備成形工程では、前記一対の第2金型による圧下が完了した後、前記第3金型による前記第1ピン部となる部位および前記第3ピン部となる部位の偏心を開始する、鍛造クランク軸の製造方法。
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