JP6424948B2 - 鍛造クランク軸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間鍛造によりクランク軸を製造する方法に関する。
自動車、自動二輪車、農業機械または船舶等のレシプロエンジンにおいて、ピストンの往復運動を回転運動に変換して動力を取り出すために、クランク軸が不可欠である。クランク軸は、型鍛造または鋳造によって製造できる。特に、高強度と高剛性がクランク軸に要求される場合、型鍛造によって製造されたクランク軸(以下、「鍛造クランク軸」ともいう)が多用される。
図1Aおよび図1Bは、一般的な鍛造クランク軸の形状例を示す模式図である。そのうちの図1Aは全体図、図1BはIB−IB断面図である。図1Bでは、クランク軸の形状の理解を容易にするため、一つのクランクアーム部A7と、そのクランクアーム部A7と一体のカウンターウエイト部W7と、クランクアーム部A7と繋がるピン部P4およびジャーナル部J4と抽出して示す。
図1Aおよび図1Bに例示するクランク軸11は、4気筒エンジンに搭載され、4気筒−8枚カウンターウエイトのクランク軸である。そのクランク軸11は、5つのジャーナル部J1〜J5、4つのピン部P1〜P4、フロント部Fr、フランジ部Fl、および、8枚のクランクアーム部(以下、「アーム部」ともいう)A1〜A8から構成される。アーム部A1〜A8は、ジャーナル部J1〜J5とピン部P1〜P4をそれぞれつなぐ。また、8枚(全部)のアーム部A1〜A8は、カウンターウエイト部(以下、「ウエイト部」ともいう)W1〜W8を一体で有する。クランク軸11の軸方向の前端にはフロント部Frが設けられ、後端にはフランジ部Flが設けられる。フロント部Frは、先頭の第1ジャーナル部J1とつながり、フランジ部Flは、最後尾の第5ジャーナル部J5とつながる。
以下では、ジャーナル部J1〜J5、ピン部P1〜P4、アーム部A1〜A8およびウエイト部W1〜W8のそれぞれを総称するとき、その符号は、ジャーナル部で「J」、ピン部で「P」、アーム部で「A」、ウエイト部で「W」とも記す。また、アーム部Aおよびそのアーム部Aと一体のウエイト部Wをまとめて「ウェブ」ともいう。
ウエイト部Wの幅Bwは、図1Bに示すように、アーム部Aの幅Baより大きい。このため、ウエイト部Wは、アーム部中心面(ピン部Pの中心とジャーナル部Jの中心とを含む面)から大きく張り出している。
このような形状の鍛造クランク軸は、一般に、ビレットを原材料とする。そのビレットでは、ビレット長手方向に垂直な断面、すなわち横断面が丸形または角形であり、断面積が全長にわたって一定である。以下、ビレットや荒地の長手方向、クランク軸の軸方向に垂直な断面を「横断面」、平行な断面を「縦断面」という。また、横断面の断面積を単に「断面積」という。鍛造クランク軸の製造では、予備成形工程、型鍛造工程およびバリ抜き工程がその順に設けられる。また、必要に応じ、整形工程がバリ抜き工程の後に設けられる。通常、予備成形工程は、ロール成形と曲げ打ちの各工程を含み、型鍛造工程は、荒打ちと仕上げ打ちの各工程を含む。
図2A〜図2Fは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程を説明するための模式図である。そのうちの図2Aはビレット、図2Bはロール荒地、図2Cは曲げ荒地、図2Dは荒鍛造材、図2Eは仕上げ鍛造材、図2Fは鍛造クランク軸をそれぞれ示す。図2A〜図2Fは、前記図1Aおよび図1Bに示す形状のクランク軸の製造工程を示す。
図2A〜図2Fに示す製造方法では、以下のようにして鍛造クランク軸11が製造される。先ず、図2Aに示すような所定の長さのビレット12を加熱炉によって加熱した後、予備成形工程でロール成形および曲げ打ちをその順に行う。ロール成形では、例えば孔型ロールを用いてビレット12を圧延して絞る。これにより、ビレット12の体積を軸方向に配分し、中間素材であるロール荒地13を得る(図2B参照)。次に、曲げ打ちでは、ロール荒地13を軸方向と垂直な方向から部分的にプレス圧下する。これにより、ロール荒地13の体積を配分し、更なる中間素材である曲げ荒地14を得る(図2C参照)。
続いて、荒打ち工程では、曲げ荒地14を上下に一対の金型を用いて鍛造することにより、荒鍛造材15を得る(図2D参照)。その荒鍛造材15には、クランク軸(最終製品)のおおよその形状が造形される。さらに、仕上げ打ち工程では、荒鍛造材15を上下に一対の金型を用いて鍛造することにより、仕上げ鍛造材16を得る(図2E参照)。その仕上げ鍛造材16には、最終製品のクランク軸と合致する形状が造形される。これら荒打ちおよび仕上げ打ちのとき、互いに対向する金型の型割面の間から余材が流出することにより、バリBが形成される。このため、荒鍛造材15および仕上げ鍛造材16は、いずれも、周囲にバリBが大きく付いている。
バリ抜き工程では、例えば、バリ付きの仕上げ鍛造材16を一対の金型によって挟んで保持した状態で、刃物型によってバリBを打ち抜く。これにより、仕上げ鍛造材16からバリBが除去され、バリ無し鍛造材が得られる。そのバリ無し鍛造材は、図2Fに示す鍛造クランク軸11とほぼ同じ形状である。
整形工程では、バリ無し鍛造材の要所を上下から金型で僅かに圧下し、バリ無し鍛造材を最終製品の寸法形状に矯正する。ここで、バリ無し鍛造材の要所は、例えば、ジャーナル部J、ピン部P、フロント部Fr、フランジ部Flなどといった軸部、さらにはアーム部Aおよびウエイト部Wである。こうして、鍛造クランク軸11が製造される。
図2A〜図2Fに示す製造工程は、前記図1Aおよび図1Bに示す4気筒−8枚カウンターウエイトのクランク軸に限らず、様々なクランク軸に適用できる。例えば、4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸にも適用できる。
4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸の場合、8枚のアーム部A1〜A8のうち、一部のアーム部がウエイト部Wを一体で有する。例えば先頭の第1アーム部A1、最後尾の第8アーム部A8および中央の2枚のアーム部(第4アーム部A4、第5アーム部A5)がウエイト部Wを一体で有する。また、残りのアーム部、具体的には、第2、第3、第6および第7のアーム部(A2、A3、A6、A7)は、ウエイト部を有さず、その形状が小判状(長円状)となる。
その他に、3気筒エンジン、直列6気筒エンジン、V型6気筒エンジン、8気筒エンジン等に搭載されるクランク軸であっても、製造工程は同様である。なお、ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程の後に、捩り工程が追加される。
予備成形工程は、ビレットの体積を配分することを主な目的とするので、得られる荒地には、鍛造クランク軸の形状がほとんど造形されていない。このように予備成形工程でビレットの体積を配分することにより、後工程の型鍛造工程でバリの流出を低減でき、材料歩留りを向上できる。ここで、材料歩留りとは、鍛造クランク軸(最終製品)の体積がビレットの体積に占める割合(百分率)を意味する。
鍛造クランク軸の製造に関する技術は、例えば、特開2001−105087号公報(特許文献1)、特開平2−255240号公報(特許文献2)および特開平10−029032号公報(特許文献3)に開示される。特許文献1には、一対の上型と下型を用いる予備成形方法が記載されている。その予備成形方法では、上型と下型とで棒状の被加工物を圧下する際に、被加工物の一部を伸ばすとともに、一部に連続した他部を軸心に対してオフセットする。このような特許文献1に記載の予備成形方法では、延ばしと曲げを同時に実施できることから、設備投資を少なくできるとしている。
特許文献2では、予備成形において、従来の2パスのロール成形に代え、4パスの高速ロール設備が用いられる。特許文献2に提案される予備成形では、ロール荒地の断面積が、鍛造クランク軸(最終製品)のウエイト部、アーム部およびジャーナル部の断面積の分布に合わせて決められる。これにより、特許文献2では、材料歩留りを向上できるとしている。
特許文献3には、型鍛造において、型打ち方向(圧下方向)をウエイト部の張り出し方向に対して直角方向とすることが提案されている。これにより、型鍛造において、アーム部中心面から大きく張り出すウエイト部で、材料の充満性を向上できるとしている。この特許文献3に記載の方法では、上型と下型の型割面がウエイト部の張り出し形状の頂点に配置され、上型と下型の間に余材をバリとして流出させる。
特開2001−105087号公報 特開平2−255240号公報 特開平10−029032号公報 WO2014/038183号公報
鍛造クランク軸の製造では、前述の通り、バリの流出を低減して材料歩留りを向上させることが望まれる。前記特許文献1に記載の予備成形方法では、ビレットの体積の配分とオフセットをある程度行うことができる。
しかしながら、前記特許文献1に記載の予備成形方法では、ウエイト部を一体で有するアーム部となる部位における体積の配分について記載がない。より具体的には、ウエイト部を一体で有するアーム部となる部位において、ウエイト部とアーム部とで体積配分を行うことについて記載がない。このため、後工程の型鍛造工程において、アーム部中心面から大きく張り出すウエイト部で、材料の充満性が不十分となり、欠肉が生じ易い。ウエイト部の欠肉を防止するには、荒地で余剰の体積を増加させることとなるが、それに伴って材料歩留りが低下する。ここで、「ウエイト部を一体で有するアーム部となる部位」とは、そのアーム部が一体で有するウエイト部となる部位を含む。以下では、アーム部となる部位およびそのアーム部が一体で有するウエイト部となる部位を、まとめて「ウェブ相当部」ともいう。
前記特許文献2に記載の予備成形方法では、ロール成形であることから、ウェブ相当部について、ウエイト部とアーム部とで体積の配分を行えない。このため、後工程の型鍛造工程において、ウエイト部の材料の充満性が不十分となり、その結果、欠肉が生じ易い問題や材料歩留りが低下する問題が発生する。
前記特許文献3に記載の方法によれば、型鍛造におけるウエイト部の材料の充満性をある程度改善することができる。しかしながら、特許文献3に記載の方法では、バリが成形されるのに伴って材料歩留りが低下する。また、従来の鍛造クランク軸の製造における材料歩留りは、十分でない。このため、材料歩留りをさらに向上させることが望まれている。
本発明の目的は、荒地において、ウエイト部を一体で有するアーム部となる部位で、ウエイト部となる部位とアーム部となる部位に体積を配分することにより、材料歩留りを向上できる鍛造クランク軸の製造方法を提供することにある。
本発明の一実施形態による鍛造クランク軸の製造方法は、回転中心となるジャーナル部と、前記ジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐクランクアーム部と、前記クランクアーム部のうちの全部または一部が一体で有するカウンターウエイト部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法である。
当該鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形工程と、第2予備成形工程と、最終予備成形工程と、を含む。前記第1予備成形工程では、ビレットのうちの前記ピン部となる部位および前記ジャーナル部となる部位で断面積を減少させて扁平部を形成する。前記第2予備成形工程では、前記第1予備成形工程で得られた初期荒地を、前記扁平部の幅方向を圧下方向にして一対の第1金型で圧下することにより、前記カウンターウエイト部を一体で有するクランクアーム部となる部位および前記クランクアーム部が一体で有する前記カウンターウエイト部となる部位の厚さが仕上げ寸法よりも厚い中間荒地を得る。前記最終予備成形工程では、第2金型で、前記中間荒地のうちで前記カウンターウエイト部を一体で有するクランクアーム部となる部位および前記クランクアーム部が一体で有する前記カウンターウエイト部となる部位を前記中間荒地の軸方向から圧下するとともに、前記中間荒地を前記軸方向と垂直な方向から圧下することにより、前記中間荒地に前記鍛造クランク軸の形状を造形する。
前記一対の第1金型は、前記カウンターウエイト部を一体で有するクランクアーム部となる部位および前記クランクアーム部が一体で有する前記カウンターウエイト部となる部位と当接するウェブ加工部、前記ピン部となる部位と当接するピン加工部、並びに、前記ジャーナル部となる部位と当接するジャーナル加工部を有する。前記ウェブ加工部は、前記一対の第1金型のうちの一方が、前記クランクアーム部となる部位と当接するアーム加工部と、前記カウンターウエイト部となる部位と当接するウエイト加工部とを有する。前記アーム加工部およびウエイト加工部は、全体として凹状であり、かつ、前記凹状の底面側に前記アーム加工部が位置するとともに、前記凹状の開口側に前記ウエイト加工部が位置し、前記ウエイト加工部の開口幅は、前記凹状の底面から遠ざかるに従って広くなる。
前記第2予備成形工程では、前記ピン加工部および前記ジャーナル加工部で前記扁平部を圧下し、前記扁平部の圧下に伴い、前記カウンターウエイト部を一体で有する前記クランクアーム部となる部位および前記クランクアーム部が一体で有する前記カウンターウエイト部となる部位を前記凹状のウェブ加工部の底面側に押し込んで変形させる。
前記カウンターウエイト部を一体で有する前記クランクアーム部となる部位および前記クランクアーム部が一体で有する前記カウンターウエイト部となる部位を前記凹状のウェブ加工部の底面側に押し込んで変形させる際に、当該部位を前記凹状のウェブ加工部の開口側から圧下して体積を配分するのが好ましい。
前記鍛造クランク軸は、軸方向の前端にフロント部をさらに備えてもよい。この場合、前記第1予備成形工程では、さらに、前記ビレットのうちの前記フロント部となる部位で断面積を減少させて扁平部とするのが好ましい。また、前記一対の第1金型は、前記フロント部となる部位と当接するフロント加工部をさらに有し、前記第2予備成形工程では、前記フロント加工部で前記フロント部となる部位を圧下して延伸させるのが好ましい。
前記鍛造クランク軸は、軸方向の後端にフランジ部をさらに備えてもよい。この場合、前記一対の第1金型は、前記フランジ部となる部位と当接するフランジ加工部をさらに有し、前記第2予備成形工程では、前記扁平部の圧下に伴い、前記フランジ部となる部位の端面を前記フランジ加工部に当接させ、前記フランジ部となる部位の断面積を増加させるのが好ましい。
本発明の鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形工程および第2予備成形工程により、バリを形成することなく、軸方向の体積の配分が促進された中間荒地を得ることができる。また、中間荒地は、ウェブ相当部(アーム部となる部位およびそのアーム部が一体で有するウエイト部となる部位)において、ウエイト部となる部位とアーム部となる部位で体積が配分されている。このため、最終予備成形工程においても、バリをほとんど形成せずに、クランク軸の形状を造形できる。これらより、材料歩留りを向上させることができる。
図1Aは、一般的な鍛造クランク軸の全体形状の一例を示す模式図である。 図1Bは、図1AのIB−IB断面図である。 図2Aは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程におけるビレットを示す模式図である。 図2Bは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程におけるロール荒地を示す模式図である。 図2Cは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程における曲げ荒地を示す模式図である。 図2Dは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程における荒鍛造材を示す模式図である。 図2Eは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程における仕上げ鍛造材を示す模式図である。 図2Fは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程における鍛造クランク軸を示す模式図である。 図3Aは、本発明の鍛造クランク軸の製造工程例におけるビレットを示す模式図である。 図3Bは、本発明の鍛造クランク軸の製造工程例における初期荒地を示す模式図である。 図3Cは、本発明の鍛造クランク軸の製造工程例における中間荒地を示す模式図である。 図3Dは、本発明の鍛造クランク軸の製造工程例における最終荒地を示す模式図である。 図3Eは、本発明の鍛造クランク軸の製造工程例における仕上げ鍛造材を示す模式図である。 図3Fは、本発明の鍛造クランク軸の製造工程例における鍛造クランク軸を示す模式図である。 図4Aは、第1予備成形工程の加工フロー例における圧下前を模式的に示す縦断面図である。 図4Bは、第1予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時を模式的に示す縦断面図である。 図5Aは、第1予備成形工程の加工フロー例における圧下前のジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図5Bは、第1予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図6Aは、第1予備成形工程の加工フロー例における圧下前のピン部となる部位を示す横断面図である。 図6Bは、第1予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のピン部となる部位を示す横断面図である。 図7Aは、第1予備成形工程の加工フロー例における圧下前のウエイト部を一体で有するアーム部となる部位を示す横断面図である。 図7Bは、第1予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のウエイト部を一体で有するアーム部となる部位を示す横断面図である。 図8Aは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下開始時を模式的に示す縦断面図である。 図8Bは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時を模式的に示す縦断面図である。 図9Aは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下開始時のウエイト部を一体で有するアーム部となる部位を示す横断面図である。 図9Bは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のウエイト部を一体で有するアーム部となる部位を示す横断面図である。 図10Aは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下開始時のジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図10Bは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図11Aは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下開始時のピン部となる部位を示す横断面図である。 図11Bは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のピン部となる部位を示す横断面図である。 図12Aは、最終予備成形工程の加工フロー例の圧下前を模式的に示す縦断面図である。 図12Bは、最終予備成形工程の加工フロー例における上型の下死点到達時を模式的に示す縦断面図である。 図12Cは、最終予備成形工程の加工フロー例における軸方向の移動終了時を模式的に示す縦断面図である。 図13Aは、ウエイト部を一体で有するアーム部となる部位を凹状のウェブ加工部の開口側から圧下する場合の圧下前を示す横断面図である。 図13Bは、ウエイト部を一体で有するアーム部となる部位を凹状のウェブ加工部の開口側から圧下する場合の圧下終了時を示す横断面図である。 図14Aは、第2予備成形工程でジャーナル加工部によって部分圧下する加工フロー例における圧下開始時を示す横断面図である。 図14Bは、第2予備成形工程でジャーナル加工部によって部分圧下する加工フロー例における圧下終了時を示す横断面図である。 図15Aは、第2予備成形工程でピン加工部によって部分圧下する加工フロー例における圧下開始時を示す横断面図である。 図15Bは、第2予備成形工程でピン加工部によって部分圧下する加工フロー例における圧下終了時を示す横断面図である。 図16Aは、第1予備成形工程でジャーナル加工部によって部分圧下する加工フロー例における圧下前を示す横断面図である。 図16Bは、第1予備成形工程でジャーナル加工部によって部分圧下する加工フロー例における圧下終了時を示す横断面図である。 図17Aは、第1予備成形工程におけるフロント部となる部位およびフランジ部となる部位の加工フロー例の圧下前を模式的に示す縦断面図である。 図17Bは、第1予備成形工程におけるフロント部となる部位およびフランジ部となる部位の加工フロー例の圧下終了時を模式的に示す縦断面図である。 図18Aは、第1予備成形工程の加工フロー例における圧下前のフロント部となる部位を示す横断面図である。 図18Bは、第1予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のフロント部となる部位を示す横断面図である。 図19Aは、第1予備成形工程の加工フロー例における圧下前のフランジ部となる部位を示す横断面図である。 図19Bは、第1予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のフランジ部となる部位を示す横断面図である。 図20Aは、第2予備成形工程におけるフロント部となる部位およびフランジ部となる部位の加工フロー例の圧下前を模式的に示す縦断面図である。 図20Bは、第2予備成形工程におけるフロント部となる部位およびフランジ部となる部位の加工フロー例の圧下終了時を模式的に示す縦断面図である。 図21Aは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下前のフロント部となる部位を示す横断面図である。 図21Bは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のフロント部となる部位を示す横断面図である。 図22Aは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下前のフランジ部となる部位を示す横断面図である。 図22Bは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のフランジ部となる部位を示す横断面図である。
以下に、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
1.製造工程例
本実施形態の製造方法が対象とする鍛造クランク軸は、回転中心となるジャーナル部Jと、そのジャーナル部Jに対して偏心したピン部Pと、ジャーナル部Jとピン部Pをつなぐアーム部Aと、アーム部Aのうちの全部または一部が一体で有するウエイト部Wと、を備える。本実施形態の製造方法は、例えば、前記図1Aおよび図1Bに示す4気筒−8枚カウンターウエイトのクランク軸を対象とすることができる。また、前述の4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸等を対象とすることもできる。
本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形工程と、第2予備成形工程と、最終予備成形工程とをその順で含む。最終予備成形工程の後工程として、仕上げ鍛造工程と、バリ抜き工程を追加してもよい。また、必要に応じて、バリ抜き工程の後に、整形工程を追加してもよい。ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程の後に、捩り工程を追加してもよい。これらの工程は、いずれも、熱間で一連に行われる。
図3A〜図3Fは、本発明の鍛造クランク軸の製造工程例を説明するための模式図である。そのうちの図3Aはビレット、図3Bは初期荒地、図3Cは中間荒地、図3Dは最終荒地、図3Eは仕上げ鍛造材、図3Fは鍛造クランク軸をそれぞれ示す。図3A〜図3Fは、前記図1に示す形状のクランク軸の製造工程例を示す。
第1予備成形工程では、被加工材であるビレット22のうちでピン部となる部位(以下、「ピン相当部」ともいう)およびジャーナル部となる部位(以下、「ジャーナル相当部」ともいう)で断面積を減少させる。これに伴って、ビレットに扁平部23aを形成し、その扁平部23aは、後述の図5Bおよび図6Bに示すように、圧下方向の厚さtaよりも圧下方向と垂直な方向の幅Baが大きい。このようにして体積が配分された初期荒地23を得る。このような第1予備成形工程には、例えば、レデュースロールやクロスロールを用いることができる。また、後述の第3金型を用いる加工フロー例に従って行うこともできる。
第2予備成形工程では、体積をさらに配分するため、初期荒地23を一対の第1金型で圧下する。その際の圧下方向は、扁平部23aの幅方向とする。これにより、バリ無しの中間荒地24を得る。その中間荒地24は、ウェブ相当部(アーム部となる部位およびそのアーム部が一体で有するウエイト部となる部位)の軸方向の厚さt1が仕上げ寸法t0よりも厚い。ここで、仕上げ寸法t0とは、鍛造クランク軸(最終製品)のアーム部およびウエイト部の軸方向の厚さを意味する。第2予備成形工程の詳細については、後述する。
最終予備成形工程では、第2金型により、中間荒地24のウェブ相当部を中間荒地24の軸方向に沿って圧下するとともに、中間荒地24を軸方向と垂直な方向に沿って圧下する。これにより、中間荒地24に鍛造クランク軸のおおよその形状を造形し、最終荒地25を得る。最終予備成形工程では、例えば、特許文献4に記載の成形装置を用いることができる。最終予備成形工程の加工フロー例については後述する。
仕上げ鍛造工程では、前述の従来の仕上げ打ち工程と同様に、型鍛造を行い、具体的には、最終荒地25を上下に一対の金型を用いて鍛造する。これにより、余材の流出に伴ってバリBを形成しながら、仕上げ鍛造材26を得る。その仕上げ鍛造材26には、最終製品のクランク軸と合致する形状が造形されている。中間素材の最終荒地25にクランク軸のおおよその形状が造形されているので、仕上げ鍛造工程で最終荒地25に鍛造を施す際に、バリBの流出を低減して最小限に留めることができる。
バリ抜き工程では、例えば、バリ付きの仕上げ鍛造材26を一対の金型によって挟んで保持した状態で、刃物型によってバリBを打ち抜き、仕上げ鍛造材26からバリBを除去する。これにより、鍛造クランク軸21(最終製品)が得られる。
なお、特許文献4には、クランク軸の粗形状が造形された粗素材から仕上打ち用素材を成形する成形装置が提案される。その粗素材は、丸ビレットに、絞り圧延および曲げ打ち等を繰り返して施すことによって得られる。また、後工程において、仕上げ打ち用素材に、仕上げ鍛造およびバリ抜きがその順に施される。
本実施形態は、上述の特許文献4の製造工程と比べ、ビレットから粗素材を得るための加工、より具体的には、ビレットに繰り返して施される絞り圧延および曲げ打ち等に代え、第1予備成形および第2予備成形を採用する。本実施形態の最終予備成形は、特許文献4の成形装置による加工に相当し、すなわち、粗素材から仕上打ち用素材を得る成形に相当する。また、本実施形態では、特許文献4と同様に、最終荒地(特許文献4の仕上げ打ち用素材)に仕上げ鍛造およびバリ抜きをその順に施す。
2.第1予備成形工程の加工フロー例
図4A〜図7Bは、第1予備成形工程の加工フロー例を示す模式図である。そのうちの図4Aは、圧下前を示す縦断面図であり、図4Bは圧下終了時を示す縦断面図である。
図5Aおよび図5Bは、ジャーナル部となる部位(ジャーナル相当部)を示す横断面図である。そのうちの図5Aは圧下前、図5Bは圧下終了時をそれぞれ示す。なお、図5Aは、前記図4AのVA−VA断面図であり、図5Bは、前記図4BのVB−VB断面図である。
図6Aおよび図6Bは、ピン部となる部位(ピン相当部)を示す横断面図である。そのうちの図6Aは圧下前、図6Bは圧下終了時をそれぞれ示す。なお、図6Aは、前記図4AのVIA−VIA断面図であり、図6Bは、前記図4BのVIB−VIB断面図である。
図7Aおよび図7Bは、ウエイト部を一体で有するアーム部となる部位(ウェブ相当部)を示す横断面図である。そのうちの図7Aは圧下前、図7Bは圧下終了時をそれぞれ示す。なお、図7Aは、前記図4AのVIIA−VIIA断面図であり、図7Bは、前記図4BのVIIB−VIIB断面図である。
図4A〜図7Bには、横断面が丸形であるビレット22と、上下で一対の第3金型30とを示す。第3金型30は、第3上型31と、第3下型32とからなる。図面の理解を容易にするため、図5B、図6Bおよび図7Bには、圧下前の第3上型31、第3下型32およびビレット22を二点鎖線で示すとともに、ジャーナル相当部の軸位置Cを黒塗りの丸印で示す。一対の第3金型30は、ピン相当部と当接するピン加工部、および、ジャーナル相当部と当接するジャーナル加工部を有する。
本加工フロー例のジャーナル加工部は、図5Aに太線で示すように、一対の第3金型のうちの一方に設けられる第1ジャーナル加工部31a、および、他方に設けられる第2ジャーナル加工部32aからなる。第1ジャーナル加工部31aは、凹状であり、ビレットを収容可能である。本加工フロー例では、上型31のジャーナル加工部が、ビレットを収容可能な凹状であり、第1ジャーナル加工部31aとなる。また、下型32のジャーナル加工部は、第2ジャーナル加工部32aとなり、凸部の先端面に設けられる。なお、上型および下型のいずれかをビレットを収容可能な凹状(第1ジャーナル加工部)とするかは、特に制限はない。すなわち、下型がビレットを収容可能な凹状(第1ジャーナル加工部)であってもよい。
本加工フロー例のピン加工部は、図6Aに太線で示すように、一対の第3金型のうちの一方に設けられる第1ピン加工部31b、および、他方に設けられる第2ピン加工部32bからなる。その第1ピン加工部31bは、凹状であり、ビレットを収容可能である。本加工フロー例では、上型31のピン加工部が、ビレットを収容可能な凹状であり、第1ピン加工部31bとなる。また、下型32のピン加工部は、第2ピン加工部32bとなり、凸部の先端面に設けられる。なお、上型および下型のいずれかをビレットを収容可能な凹状(第1ピン加工部)とするかは、特に制限はない。すなわち、下型がビレットを収容可能な凹状(第1ピン加工部)であってもよい。
本加工フロー例の第1予備成形では、図4Aに示すように、上型31を上昇させて上型31と下型32を離間させた状態で、ビレット22を上型31と下型32の間に配置する。この状態で、上型31を下降させると、ビレット22のうちのピン相当部が凹状の第1ピン加工部31bに収容されるとともに、ジャーナル相当部が凹状の第1ジャーナル加工部31aに収容される。上型31をさらに下降させると、ピン加工部31bおよび32b並びにジャーナル加工部31aおよび32aでビレットが圧下されて当該部位の断面積が減少する。その結果、図5Bおよび図6Bに示すような扁平部が形成される。その扁平部では、幅Baが厚さtaより大きい(図5Bおよび図6B参照)。第3金型30による圧下の終了後、上型31を上昇させ、加工済みのビレット22(初期荒地23)を取り出す。
このような加工フロー例を採用すれば、ピン相当部およびジャーナル相当部を圧下するのに伴い、ビレットの軸方向に材料が移動し、その間のウェブ相当部に流入する。これにより、体積が軸方向に配分された初期荒地を得ることができる。
また、図4A〜図7Bに示す加工フロー例によれば、上型を下降させる過程で、凹状の第1ピン加工部31bの開口が、第2ピン加工部32bで塞がれ、第1および第2ピン加工部で閉断面が形成される。また、凹状の第1ジャーナル加工部31aの開口が、第2ジャーナル加工部32aで塞がれ、第1および第2ジャーナル加工部で閉断面が形成される。これにより、上型31と下型32の間にバリが流出することがないので、材料歩留りを向上できるとともに、体積の軸方向の配分を促進できる。
第1予備成形で一対の第3金型を用いる場合、体積の軸方向の配分を促進する観点から、ウェブ相当部を第3金型で圧下しなくてよい。また、ウェブ相当部の形状(寸法)を整えるため、ウェブ相当部を部分的に第3金型で圧下してもよい(図7Aおよび図7B参照)。例えば、ウェブ相当部の幅Bbを扁平部の幅Baと同じにするため、ウェブ相当部を部分的に第3金型で圧下してもよい。
3.第2予備成形工程の加工フロー例
図8A〜図11Bは、第2予備成形工程の加工フロー例を示す模式図である。そのうちの図8Aは、圧下開始時を示す縦断面図であり、図8Bは圧下終了時を示す縦断面図である。
図9Aおよび図9Bは、ウエイト部を一体で有するアーム部となる部位(ウェブ相当部)を示す横断面図である。そのうちの図9Aは圧下開始時、図9Bは圧下終了時をそれぞれ示す。なお、図9Aは、前記図8AのIXA−IXA断面図であり、図9Bは、前記図8BのIXB−IXB断面図である。
図10Aおよび図10Bは、ジャーナル部となる部位(ジャーナル相当部)を示す横断面図である。そのうちの図10Aは圧下開始時、図10Bは圧下終了時をそれぞれ示す。なお、図10Aは、前記図8AのXA−XA断面図であり、図10Bは、前記図8BのXB−XB断面図である。
図11Aおよび図11Bは、ピン部となる部位(ピン相当部)を示す横断面図である。そのうちの図11Aは圧下開始時、図11Bは圧下終了時をそれぞれ示す。なお、図11Aは、前記図8AのXIA−XIA断面図であり、図11Bは、前記図8BのXIB−XIB断面図である。
図8A〜図11Bには、前述の第1予備成形工程で得られる初期荒地23と、上下で一対の第1金型40とを示す。第1金型40は、第1上型41と、第1下型42とからなる。図面の理解を容易にするため、図9B、図10Bおよび図11Bには、圧下開始時の第1上型41、第1下型42および初期荒地23を二点鎖線で示すとともに、ジャーナル相当部の軸位置Cを黒塗りの丸印で示す。一対の第1金型40は、初期荒地23のウェブ相当部と当接するウェブ加工部41cおよび42c、ピン相当部と当接するピン加工部41bおよび42b、並びに、ジャーナル相当部と当接するジャーナル加工部41aおよび42aを有する。
ウェブ加工部の横断面形状は、図9Aに太線で示すように、上型41および下型42のうちの一方が全体として凹状である。本加工フロー例では、下型のウェブ加工部42cが全体として凹状であり、他方の上型のウェブ加工部41cは、平面状である。なお、上型および下型のいずれを凹状のウェブ加工部とするかは、鍛造クランク軸の形状に応じて適宜設定できる。
この凹状(図9Aでは下型)のウェブ加工部42cは、アーム部となる部位(以下、「アーム相当部」ともいう)と当接するアーム加工部42dと、ウエイト部となる部位(以下、「ウエイト相当部」ともいう)と当接するウエイト加工部42eを有する。アーム加工部42dは、凹状のウェブ加工部42cの底面側に位置し、ウエイト加工部42eは凹状のウェブ加工部42cの開口側に位置する。また、ウエイト加工部42eの開口幅Bwは、凹状のウェブ加工部の底面から遠ざかるに従って広くなる。本加工フロー例では、図9Aに示すように、ウエイト加工部42eは、両側面がいずれも傾斜面である。また、アーム加工部42dは、両側面が平行であり、開口幅Bwが一定である。
第2予備成形では、前述の通り、ウェブ相当部の厚さを仕上げ寸法よりも厚くする。このため、ウェブ加工部41cおよび42cの軸方向の長さは、ウェブ(アーム部およびそのアーム部が一体で有するウエイト部)の仕上げ寸法の厚さより大きく設定されている。
本加工フロー例のジャーナル加工部は、図10Aに太線で示すように、一対の第1金型41および42のうちの一方に設けられる第1ジャーナル加工部41a、および、他方に設けられる第2ジャーナル加工部42aからなる。第1ジャーナル加工部41aは、凹状であり、初期荒地23の扁平部の全体を収容可能である。より具体的には、上型41のジャーナル加工部が、初期荒地23の扁平部の全体を収容可能な凹状であり、第1ジャーナル加工部41aとなる。また、下型42のジャーナル加工部は、第2ジャーナル加工部42aとなり、凸部の先端面に設けられる。なお、上型および下型のいずれを初期荒地の扁平部の全体を収容可能な凹状(第1ジャーナル加工部)とするかについては、特に制限はない。すなわち、下型を初期荒地の扁平部の全体を収容可能な凹状(第1ジャーナル加工部)としてもよい。
本加工フロー例のピン加工部は、図11Aに太線で示すように、一対の第1金型41および42のうちの一方に設けられる第1ピン加工部41b、および、他方に設けられる第2ピン加工部42bからなる。第1ピン加工部41bは、凹状であり、初期荒地23の扁平部の全体を収容可能である。より具体的には、上型41のピン加工部が、初期荒地23の扁平部の全体を収容可能な凹状であり、第1ピン加工部41bとなる。また、下型42のピン加工部は、第2ピン加工部42bとなり、凸部の先端面に設けられる。なお、上型および下型のいずれを初期荒地の扁平部の全体を収容可能な凹状(第1ピン加工部)とするかについては、特に制限はない。すなわち、下型を初期荒地の扁平部の全体を収容可能な凹状(第1ピン加工部)としてもよい。
このような第1金型40を用いる第2予備成形の加工フロー例では、上型41を上昇させて上型41と下型42を離間させた状態で、初期荒地23を上型41と下型42の間に配置する。その初期荒地23は、扁平部の幅方向(楕円の場合は長径方向)を圧下方向にするため、第1予備成形の終了時における初期荒地23(ビレット)の状態から軸回りに90°回転して配置している。
この状態で、上型41を下降させ、図10Aおよび図11Aに示すように、初期荒地23の扁平部を凹状の第1ジャーナル加工部41aおよび凹状の第1ピン加工部41bに収容する。その際、図9Aに示すように、ウェブ相当部は、ウェブ加工部の底面と接触することなく、ウェブ相当部の大部分がウェブ加工部のうちのウエイト加工部42e内に配置される。
上型41をさらに下降させると、第1ピン加工部41bおよび第2ピン加工部42bによって閉断面が形成される。また、第1ジャーナル加工部41aおよび第2ジャーナル加工部42aによって閉断面が形成される。この状態で、上型41をさらに下降させて下死点に到達させると、第1ピン加工部41bおよび第2ピン加工部42bにより、その内部の扁平部全体が圧下される。また、第1ジャーナル加工部41aおよび第2ジャーナル加工部42aにより、その内部の扁平部全体が圧下される。このようにして初期荒地23の扁平部が第1金型によって圧下され、その結果、ジャーナル相当部およびピン相当部で断面積が減少する。これに伴い、余剰となった材料は、軸方向に流動してアーム相当部に流入し、体積の配分が進行する。また、ピン相当部の重心は、ピン部の偏心方向(図1Bのハッチングを施した矢印参照)に移動する。
ウェブ相当部には、他方(図9Aおよび図9Bでは上型)のウェブ加工部が押し当てられないが、第1金型40による圧下に伴い、ウェブ相当部は凹状のウェブ加工部42cの底面側に押し込まれる。この押し込みは、ウェブ相当部の前後に位置するジャーナル相当部およびピン相当部の圧下(変形)に伴って発生する。押し込みの際に、ウェブ相当部は、前述のアーム加工部およびウエイト加工部に沿って変形する。すなわち、ウェブ相当部の幅は、凹状の底面側(アーム相当部)で狭くなり、凹状の開口側(ウエイト相当部)で広くなる。また、ウェブ相当部の開口側の側面23bは、横断面形状が円弧状となる。
このようにウェブ相当部が変形する際、特にウエイト加工部でウエイト相当部を形成する際は、ウエイト相当部の軸方向の前後に、ピン加工部41bおよび42b並びにジャーナル加工部41aおよび42aが存在する。この場合、第1ピン加工部41bの上側の部位(図8Bの円D2で囲む部分)および第1ジャーナル加工部41aの上側の部位(図8Bの楕円D1で囲む部分)が材料の軸方向の流動を制限する仕切りとして作用する。このため、ウエイト相当部から材料が軸方向に流出することがない。また、前述の通り、他方(図9Aおよび図9Bでは上型)のウェブ加工部41cをウェブ相当部に押し当てないので、ピン相当部やジャーナル相当部からウエイト相当部に材料が流入するのを促進できる。加えて、余材をバリとして流出させることなく、ウエイト相当部とすることが可能である。
第1金型40による圧下の終了後、上型41を上昇させ、加工済みの初期荒地23(中間荒地24)を取り出す。このようにして得られる中間荒地において、ウェブ相当部の厚さは、仕上げ寸法よりも厚い。
上述の第2予備成形によれば、ピン相当部およびジャーナル相当部からウェブ相当部に材料を流動させることにより、軸方向に体積を配分できる。加えて、アーム加工部およびウエイト加工部により、ウェブ相当部は、内部で材料が流動し、凹状の底面側で狭くなり、凹状の開口側で広くなる。このため、ウェブ相当部内で体積を配分でき、その結果、後工程の最終予備成形工程や仕上げ鍛造工程において、ウエイト部で欠肉が生じるのを抑制できる。また、ウエイト相当部に設ける余剰の材料を低減でき、材料歩留りを向上できる。
本加工フロー例では、扁平部を凹状の第1ピン加工部41bおよび凹状の第1ジャーナル加工部41aに収容する。その後、第1ピン加工部41bおよび第2ピン加工部42bで閉断面を形成するとともに第1ジャーナル加工部41aおよび第2ジャーナル加工部42aで閉断面を形成した状態とする。その状態で扁平部を圧下するので、上型41と下型42の間にバリが流出することがない。これにより、材料歩留りを向上できるとともに、ピン相当部およびジャーナル相当部からウェブ相当部への材料の流動がより促進される。
なお、後述するが、第2予備成形では、第1ピン加工部41bおよび第2ピン加工部42bで部分圧下することにより、バリの流出を防止してもよい。また、第1ジャーナル加工部41aおよび第2ジャーナル加工部42aで部分圧下することにより、バリの流出を防止してもよい。
4.最終予備成形工程の加工フロー例
図12A〜図12Cは、最終予備成形工程の加工フロー例を示す模式的に示す縦断面図である。そのうちの図12Aは圧下前、図12Bは上型の下死点到達時、図12Cは軸方向の移動終了時をそれぞれ示す。図12A〜図12Cには、前述の第2予備成形工程で得られる中間荒地24と、上下で一対の第2金型51と、上側プレート52と、下側プレート53とを示す。第2金型51は、第2上型60と、第2下型70とからなる。第2上型60は、上側プレート52に保持され、その上側プレート52はプレス機(図示なし)の作動に伴って上下動する。第2下型70は、下側プレート53に保持され、その下側プレート53はプレス機(図示なし)に固定される。
ウェブ相当部(アーム部となる部位およびそのアーム部が一体で有するウエイト部となる部位)を中間荒地24の軸方向から圧下するため、第2上型60および第2下型70は、いずれも、複数の部材に分割される。第2上型60および第2下型70を構成する部材は中間荒地24の軸方向に沿って並べて配置される。このような第2上型60および第2下型70は、それぞれ、固定ジャーナル型部材61および71、可動ジャーナル型部材62および72並びにピン型部材63および73からなる。
固定ジャーナル型部材61および71は、中間荒地24のうちで中央のジャーナル相当部およびそのジャーナル相当部につながるウェブ相当部を圧下し、軸方向に移動不能である。可動ジャーナル型部材62および72は、複数配置され、中央以外のジャーナル相当部を圧下する。また、可動ジャーナル型部材62および72は、そのジャーナル相当部とつながるウェブ相当部、フロントとなる部位およびフランジとなる部位を併せて圧下する。可動ジャーナル型部材62および72は、軸方向に移動可能である。
ピン型部材63および73は、中間荒地24のピン相当部を圧下し、軸方向に移動可能である。加えて、上型60のピン型部材63および下型70のピン型部材73のうちでいずれか一方は、保持されるプレート52および53に対して相対移動可能である。この相対移動の方向は、ピン部の偏心方向に沿う方向となる。これにより、中間荒地24のピン相当部を偏心させることができる。相対移動は、例えば油圧シリンダ54によって実現できる。また、上型60のピン型部材63および下型70のピン型部材73のいずれを相対移動可能とするかは、鍛造クランク軸の形状に応じて適宜設定できる。
このような部材からなる第2上型60および第2下型70には、それぞれ型彫刻部(図12Aの符号61a、62a、63a、71a、72aおよび73a参照)が彫り込まれている。その型彫刻部には、クランク軸(最終製品)のおおよその形状が反映されている。
最終予備成形では、上型60を上昇させた状態で、上型60と下型70の間に、圧下方向がピン部の偏心方向となるように中間荒地24を配置する。続いて、上型60を下降させ、上型60および下型70で中間荒地24を圧下する。その際、中間荒地24のジャーナル相当部が圧下され、おおよその形状が造形される。
中間荒地24のジャーナル相当部が圧下によって保持された状態で、可動ジャーナル型部材62および72並びにピン型部材63および73を、中央の固定ジャーナル型部材61および71に向けて軸方向に沿って移動させる。この移動は、例えば、くさび機構や油圧シリンダによって実現できる。
可動ジャーナル型部材62および72並びにピン型部材63および73の軸方向の移動に伴い、ウェブ相当部が中間荒地24の軸方向に圧下される。これにより、ウェブ相当部に、アーム部およびウエイト部のおおよその形状が造形される。また、ウェブ相当部の厚さは、仕上げ寸法となる。
可動ジャーナル型部材62および72並びにピン型部材63および73の軸方向の移動に応じ、上型60のピン型部材63および下型70のピン型部材73の一方をピン部の偏心方向に沿って移動させる。これにより、ピン相当部を偏心させる。また、ピン型部材63および73によってピン相当部が圧下され、ピン相当部におおよその形状が造形される。
第2金型51による圧下の終了後、上型60を上昇させ、加工済みの中間荒地24(最終荒地)を取り出す。
このような最終予備成形によれば、ウェブ相当部を軸方向に圧下することから、ウエイト部で、材料の充満性を向上でき、欠肉が生じるのを抑制できる。また、ウエイト部の材料の充満性に優れることから、バリを形成することなく、または、バリをほとんど形成せずに、最終荒地を得ることもできる。
本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、前述の第1予備成形工程および第2予備成形工程により、バリを形成することなく、中間荒地を得ることができる。このため、材料歩留りを向上できる。
加えて、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形工程および第2予備成形工程により、軸方向の体積の配分を促進できる。すなわち、ピン相当部およびジャーナル相当部の断面積を減少できるとともに、ウェブ相当部の断面積を増加できる。また、第2予備成形工程では、ウェブ相当部の幅を、アーム相当部で狭く、ウエイト相当部で広くでき、すなわち、ウェブ相当部内で体積を配分できる。このため、後工程の最終予備成形工程で、バリの形成を抑制して、クランク軸のおおよその形状を造形できる。このクランク軸のおおよその形状が造形された最終荒地を用いるので、仕上げ鍛造工程でも、バリの流出を最小限に留めることができる。これらによっても、材料歩留りを向上できる。
5.ウェブ相当部内の体積配分
第2予備成形でのウェブ相当部内の体積配分は、鍛造クランク軸(最終製品)の形状に応じてアーム加工部の形状を適宜変更することにより、調整することができる。例えば、アーム加工部の開口幅の変更やアーム加工部を傾斜面とすることにより、アーム相当部の体積を変更し、ウェブ相当部内の体積配分を調整すればよい。
鍛造クランク軸(最終製品)のウエイト部は、種々の形状があり、例えば、幅方向に大きく張り出すとともに、ピン部の偏心方向の長さが短い場合もある。このような場合に対応するため、第2予備成形において、ウエイト加工部の形状を適宜変更することにより、ウエイト相当部内で幅方向およびピン部の偏心方向に体積を配分してもよい。ウエイト加工部の形状変更として、例えば、傾斜面の角度調整やウエイト加工部を曲面とすることを採用できる。また、ウェブ相当部を凹状のウェブ加工部の開口側から圧下することにより、ウエイト相当部内で体積を配分してもよい。
図13Aおよび図13Bは、ウエイト部を一体で有するアーム部となる部位(ウェブ相当部)を凹状のウェブ加工部の開口側から圧下する場合を示す横断面図である。そのうちの図13Aは圧下前、図13Bは圧下終了時をそれぞれ示す。図13Aおよび図13Bは、前記図9Aおよび図9Bにおいて、凹状のウェブ加工部の深さを浅く変更したものである。
図13Aおよび図13Bに示す加工フロー例では、前記図9Aおよび図9Bに示す加工フロー例と同様に、ウェブ相当部が凹状のウェブ加工部42cの底面側に押し込まれ、凹状のウェブ加工部42cに沿って変形する。加えて、凹状のウェブ加工部42cの深さが浅いので、第1金型による圧下の終盤に、平面状のウェブ加工部41cがウェブ相当部の開口側の側面に押し当てられる。これにより、ウェブ相当部は、凹状のウェブ加工部42cの開口側から圧下され、幅が広くなるとともに偏心方向の長さが短くなる。その結果、ウエイト相当部内で体積が配分される。
このようにウェブ相当部の開口側の側面を圧下する場合、ウェブ相当部への材料流入が阻害されるのを防止する観点から、軽圧下とするのが好ましい。この軽圧下は、例えば、ウェブ相当部の開口側の側面23b(図9B参照)の一部を圧下することによって実現できる。この場合、金型と接触しない部位に材料が逃げることによって軽圧下となる。
6.好ましい態様等
後工程でウエイト部の材料の充満性を向上させる観点から、第2予備成形において、中間荒地のウェブ相当部(アーム部となる部位およびそのアーム部が一体で有するウエイト部となる部位)の厚みt1(mm)は、仕上げ寸法t0(mm)に対する比(t1/t0)で、1.1以上とするのが好ましく、1.5以上とするのがより好ましい。一方、比(t1/t0)が3.5を超えると、材料表面のバルジ変形領域が大きくなることから、アーム部外周で形状精度が低下するおそれがある。このため、比(t1/t0)を3.5以下とするのが好ましい。
後工程でウエイト部の材料の充満性を確保しつつウエイト部の欠肉を防止する観点から、中間荒地のウェブ相当部の断面積Sw2(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)のウェブの断面積Sw0(mm)に対する比(Sw2/Sw0)で、0.3〜0.9とするのが好ましい。同様の観点から、初期荒地のウェブ相当部の断面積Sw1(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)の断面積Sw0(mm)に対する比(Sw1/Sw0)で、0.2〜0.8とするのが好ましい。ここで、ウェブ相当部の断面積は、アーム部となる部位の断面積と、そのアーム部が一体で有するウエイト部となる部位の断面積との合計である。また、ウェブの断面積は、アーム部の断面積と、そのアーム部が一体で有するウエイト部の断面積との合計である。
後工程で形成されるバリを低減する観点から、中間荒地のジャーナル相当部の断面積Sj2(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)のジャーナル部の断面積Sj0(mm)に対する比(Sj2/Sj0)で、1.0〜1.9とするのが好ましい。同様の観点から、初期荒地のジャーナル相当部の断面積Sj1(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)の断面積Sj0(mm)に対する比(Sj1/Sj0)で、1.2〜1.9とするのが好ましい。
後工程で形成されるバリを低減する観点から、中間荒地のピン相当部の断面積Sp2(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)のピン部の断面積Sp0(mm)に対する比(Sp2/Sp0)で、0.7〜1.9とするのが好ましい。同様の観点から、初期荒地のピン相当部の断面積Sp1(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)のピン部の断面積Sp0(mm)に対する比(Sp1/Sp0)で、0.9〜1.9とするのが好ましい。
前述の通り、第2予備成形では、ウエイト加工部でウエイト相当部を形成する際に、第1ピン加工部41bの上側の部位および第1ジャーナル加工部41aの上側の部位が材料の軸方向の流動を制限する仕切りとして作用する。この作用を増大させるには、凹状の第1ピン加工部41bおよび凹状の第1ジャーナル加工部41aで、開口幅(Bp:図11A参照、Bj:図10A参照)を狭くすることが重要となる。一方で、凹状の第1ピン加工部の開口幅Bpおよび凹状の第1ジャーナル加工部の開口幅Bjが狭すぎると、後工程で負荷が大きくなる。
これらから、図8A〜図11Bに示すような加工フロー例を採用する場合、凹状の第1ピン加工部の開口幅Bp(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)のピン部の直径Dp(mm)に対する比で、0.5〜1.5とするのが好ましい。また、凹状の第1ジャーナル加工部の開口幅Bj(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)のジャーナル部の直径Dj(mm)に対する比で、0.5〜1.5とするのが好ましい。
前述の第2予備成形工程の加工フロー例では、初期荒地23(扁平部)を圧下する。その圧下の際に、第1ジャーナル加工部41aおよび第2ジャーナル加工部42aで閉断面を形成するとともに、第1ピン加工部41bおよび第2ピン加工部42bで閉断面を形成した状態とする。これにより、バリの流出を防止できる。本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、第1ジャーナル加工部41aおよび第2ジャーナル加工部42aで部分圧下することにより、バリの流出を防止してもよい。また、第1ピン加工部41bおよび第2ピン加工部42bで部分圧下することにより、バリの流出を防止してもよい。
図14Aおよび図14Bは、第2予備成形工程でジャーナル加工部によって部分圧下する加工フロー例を示す横断面図である。そのうちの図14Aは圧下開始時、図14Bは圧下終了時をそれぞれ示す。図14Aおよび図14Bは、前記図10Aおよび図10Bで、ジャーナル加工部41aおよび42aの形状を変更したものである。図14Aに太線で示すジャーナル加工部41aおよび42aでは、上型41のジャーナル加工部が、初期荒地23の扁平部の全体を収容可能な凹状であり、第1ジャーナル加工部41aとなる。また、下型42の円弧状のジャーナル加工部は、第2ジャーナル加工部42aとなり、凸部の先端面に設けられる。ジャーナル加工部41aおよび42aは、幅方向の両端に逃げ部41fおよび42fをそれぞれ有し、その逃げ部41fおよび42fは、幅方向に突き出る。
このようなジャーナル加工部41aおよび42aによれば、上型41の下降に伴い、凹状の第1ジャーナル加工部41aに初期荒地23の扁平部の全体が収容される。その状態で、上型41をさらに下降させると、第1ジャーナル加工部41aが扁平部と当接し、続いて第2ジャーナル加工部42aが扁平部と当接する。この当接に伴って扁平部が圧下されて断面積が減少し、材料が軸方向に流動して体積が配分される。その際、一部の材料は、逃げ部41fおよび42fに流入するが、逃げ部41fおよび42fの一部は扁平部と当接しない。このため、扁平部は部分的に圧下され、バリが流出しない。
なお、後述の図15に示す構成をジャーナル加工部に適用し、ジャーナル相当部を部分圧下することにより、バリの流出を防止してもよい。体積の配分を促進する観点では、第1ジャーナル加工部41aおよび第2ジャーナル加工部42aで閉断面を形成した状態で、扁平部の全体を圧下するのが好ましい。また、上型と下型の隙間に材料が噛み出すのを防止する観点では、第1ジャーナル加工部41aおよび第2ジャーナル加工部42aで部分圧下するのが好ましい。
図15Aおよび図15Bは、第2予備成形工程でピン加工部によって部分圧下する加工フロー例を示す横断面図である。そのうちの図15Aは圧下開始時、図15Bは圧下終了時をそれぞれ示す。図15Aおよび図15Bは、前記図11Aおよび図11Bで、ピン加工部41bおよび42bの形状を変更したものである。図15Aに太線で示すピン加工部41bおよび42bでは、上型41のピン加工部が、初期荒地23の扁平部の大半を収容可能な凹状であり、第1ピン加工部41bとなる。また、下型42の円弧状のピン加工部は、第2ピン加工部42bとなり、凹状である。第1ピン加工部41bの深さは、第2ピン加工部42bよりも深い。
このようなピン加工部41bおよび42bによれば、上型41の下降に伴い、凹状の第1ピン加工部41bに初期荒地23の扁平部の大半が収容される。その状態で、上型41をさらに下降させると、第1ピン加工部41bが扁平部と当接し、続いて第2ピン加工部42b部が扁平部と当接する。その際、第1ピン加工部41bおよび第2ピン加工部42bは、いずれも、部分的に扁平部と当接する。換言すると、型割り面の周辺で扁平部がピン相当部と当接しない。このため、バリを形成することなく、ピン相当部からウェブ相当部に材料を流動させることができる。また、ピン相当部を偏心させることもできる。
なお、前述の図14Aおよび図14Bに示す構成をピン加工部に適用し、ピン相当部を部分圧下することにより、バリの流出を防止してもよい。体積の配分を促進する観点では、第1ピン加工部41bおよび第2ピン加工部42bで閉断面を形成した状態で、扁平部の全体を圧下するのが好ましい。噛み出しを防止する観点では、第1ピン加工部41bおよび第2ピン加工部42bで部分圧下するのが好ましい。
前述の第1予備成形工程の加工フロー例では、第3金型30を用い、ビレットの全周を圧下する。その圧下の際に、第1ジャーナル加工部31aおよび第2ジャーナル加工部32aで閉断面を形成するとともに、第1ピン加工部31bおよび第2ピン加工部32bで閉断面を形成した状態とする。これにより、バリの流出を防止できる。本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、ジャーナル加工部でジャーナル相当部を部分圧下することにより、バリの流出を防止してもよい。また、ピン加工部でピン相当部を部分圧下することにより、バリの流出を防止してもよい。
図16Aおよび図16Bは、第1予備成形工程でジャーナル加工部によって部分圧下する加工フロー例を示す横断面図である。そのうちの図16Aは圧下前、図16Bは圧下終了時をそれぞれ示す。図16Aおよび16Bは、前記図5Aおよび図5Bで、ジャーナル加工部31aおよび32aの形状を変更したものである。図16Aに太線で示すように、上型31および下型32のいずれのジャーナル加工部も、凹状であり、深さが同じである。
このようなジャーナル加工部によれば、上型31の下降に伴い、上型31のジャーナル加工部31aおよび下型32のジャーナル加工部32aの最深部がビレット22に当接する。その状態で、上型31をさらに下降させると、上型31のジャーナル加工部31aおよび下型32のジャーナル加工部32aが、いずれも、部分的にビレットと当接する。換言すると、ジャーナル加工部31aおよび32aが型割り面の周辺でビレット22と当接しない。このため、バリを形成することなく、断面積を減少させて扁平部を形成できる。体積の配分を促進する観点では、前記図5Aおよび図5Bに示すように、ジャーナル加工部で閉断面を形成した状態で、ビレットの全体を圧下するのが好ましい。
第3金型のピン加工部は、図示を省略するが、前記図16Aおよび図16Bに示すジャーナル加工部と同様の構成を採用し、ビレットを部分圧下してもよい。体積の配分を促進する観点では、前記図6Aおよび図6Bに示すように、ピン加工部で閉断面を形成した状態で、ビレットの全体を圧下するのが好ましい。
前記図12Aおよび図12Bに示す最終予備成形の加工フロー例では、ピン型部材63および73の一方が、保持されるプレート52および53に対して偏心方向に相対移動可能である。この場合、上型60および下型70で中間荒地24を圧下する。その後、可動ジャーナル型部材62および72並びにピン型部材63および73の軸方向の移動に応じ、上型60のピン型部材63および下型70のピン型部材73の一方を偏心方向に相対移動させる。これにより、ピン相当部を偏心させる。この構成に本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は限定されない。
すなわち、ピン型部材63および73の両方を、保持されるプレート52および53に対して偏心方向に相対移動不能にしてもよい。この場合、上型60および下型70で中間荒地24を圧下する際に、上型のピン型部材63と下型のピン型部材73とで、ピン相当部も圧下する。これに伴い、ピン相当部を偏心させるとともに、ピン相当部におおよその形状を造形する。ピン部の加工精度を向上させる観点から、前記図12Aおよび図12Bに示す最終予備成形の加工フロー例のように、軸方向の圧下に応じてピン型部材63および73の一方を偏心方向に移動させてピン相当部を圧下し、偏心させるとともにおおよその形状を造形するのが好ましい。
クランク軸では、ピン部の先端の位置は種々の要因によって変化する。ここで、ピン部の先端PTは、図1Bに示すように、ピン部P4のうちでジャーナル部J4の中心から最も遠い部位である。具体的には、ピン部の先端がアーム部の先端と同じ位置である場合と、ピン部の先端がアーム部の先端より偏心方向の内側に位置する場合とがある。いずれの場合にも、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法を適用できる。ここで、アーム部の先端ATは、図1Bに示すように、アーム部A7(ウエイト部W7を除く)のうちでジャーナル部J4の中心から最も遠い部位である。
7.フロント部およびフランジ部
続いて、第1予備成形で第3金型を用いる場合のフロント部となる部位(以下、「フロント相当部」ともいう)およびフランジ部となる部位(以下、「フランジ相当部」ともいう)の加工フロー例について説明する。
図17A〜図19Bは、第1予備成形工程におけるフロント相当部およびフランジ相当部の加工フロー例を示す模式図である。そのうちの図17Aは圧下前の縦断面図であり、図17Bは圧下終了時の縦断面図である。
図18Aおよび図18Bは、フロント相当部を示す横断面図である。そのうちの図18Aは圧下前、図18Bは圧下終了時をそれぞれ示す。なお、図18Aは、前記図17AのXVIIIA−XVIIIA断面図であり、図18Bは、前記図17BのXVIIIB−XVIIIB断面図である。
図19Aおよび図19Bは、フランジ相当部を示す横断面図である。そのうちの図19Aは圧下前、図19Bは圧下終了時をそれぞれ示す。なお、図19Aは、前記図17AのXIXA−XIXA断面図であり、図19Bは、前記図17BのXIXB−XIXB断面図である。
図17A〜図19Bには、横断面が丸形であるビレット22と、上下で一対の第3金型30とを示す。図面の理解を容易にするため、図18Bおよび図19Bでは、圧下前の第3上型31および第3下型32を二点鎖線で示すとともに、ジャーナル相当部の軸位置Cを黒塗りの丸印で示す。図19Bでは、さらに、ビレット22を二点鎖線で示す。図17A〜図19Bに示す一対の第3金型30は、前記図4A〜図7Bに示す一対の第3金型30と同様に、ピン加工部、および、ジャーナル加工部を有する。また、第3金型30は、フロント相当部と当接するフロント加工部をさらに有する。
本加工フロー例のフロント加工部は、図17Aおよび図18Aに太線で示すような内面31cおよび32cと、図17Aに示すような端面32dとを有する。フロント加工部の内面31cおよび32cは、フロント相当部の外周と相対する。また、フロント加工部の端面32dは、フロント相当部の端面と相対する。フロント加工部の横断面形状は、図18Aに太線で示すように、上型31および下型32のいずれも、凹状であり、深さが同じである。
このようなフロント加工部によれば、上型31の下降に伴い、上型31および下型32のフロント加工部(本加工フロー例ではフロント加工部の内面31cおよび32c)の最深部がビレット22のフロント相当部の外周と当接する。その状態で、上型31をさらに下降させると、上型31および下型32のフロント加工部(内面31cおよび32c)が、いずれも、部分的にビレット22の外周と当接する。換言すると、フロント加工部(内面31cおよび32c)が型割り面の周辺でビレット22の外周と当接しない。このため、バリを形成することなく、断面積を減少させて扁平部を形成できる。また、扁平部の形成に伴い、フロント相当部を軸方向に延伸させれば、体積を軸方向に配分できる。これらより、材料歩留りをさらに向上できる。
第3金型30のフロント加工部は、図18Aおよび図18Bに示すようなビレットの外周を部分圧下する構成に限定されることなく、前記図5Aおよび図5Bに示すようなジャーナル加工部と同様の構成を採用してもよい。すなわち、フロント加工部は、一対の第3金型のうちの一方に設けられる第1フロント加工部、および、他方に設けられる第2フロント加工部からなり、その第1フロント加工部が、凹状であり、ビレットのフロント相当部を収容可能であればよい。この場合、フロント加工部で閉断面を形成した状態で、ビレットのフロント相当部の全体(全周)を圧下する。このため、バリを形成することなく、断面積を減少させて扁平部を形成できる。また、扁平部の形成に伴い、フロント相当部を軸方向に延伸させれば、体積を軸方向に配分できる。これらより、材料歩留りをさらに向上できる。
第1予備成形の圧下過程で、フロント相当部の端面の全部がフロント加工部と当接すると、フロント相当部の延伸が止まり、材料の一部が隙間に噛み出すおそれがある。これを防止するため、第1予備成形の圧下過程では、フロント相当部の端面をフロント加工部(本加工フロー例ではフロント加工部の端面32d)と当接させないのが好ましい。すなわち、フロント相当部の端面とフロント加工部(端面32d)の間に隙間を設けるのが好ましい。あるいは、フロント相当部の端面がフロント加工部(端面32d)と部分的に当接するのが好ましい。
第1予備成形でフロント相当部の断面積の減少率を大きく設定すると、端部でフィッシュテールが発生し、後工程で疵を発生させるおそれがある。ここで、フィッシュテールとは、フロント相当部の端面に窪みが形成されることにより、フロント相当部の端部が尾ひれ形状となることを意味する。このフィッシュテールの発生を防止するため、第1予備成形では、得られる初期荒地23において、フロント相当部の端面に近づくのに従い、フロント相当部の圧下方向の厚さtaが薄くなるように圧下するのが好ましい。フロント相当部の厚さtaは、例えば、線形状や曲線状、階段状に薄くすることができる。図17Bに示すフロント相当部では、ジャーナル部側(端面と反対側)で厚さtaが線形状に薄くなり、端面側で厚さtaが一定である。フロント相当部の厚さtaは、第3金型30のフロント加工部(本加工フロー例ではフロント加工部の内面31cおよび32c)の形状を適宜設定することによって調整できる。
初期荒地23のフロント相当部の厚さtaをフロント相当部の端面に近づくのに従って薄くすると、ジャーナル部側のフロント相当部の断面積は、端面側のフロント相当部と比べ、若干広くなる。後述の第2予備成形で圧下することにより、バリを形成することなく、端面側のフロント相当部およびジャーナル部側のフロント相当部で、断面積を同程度とすることが可能となる。このため、初期荒地23において、フロント相当部の厚さtaをフロント相当部の端面に近づくのに従って薄くしても、材料歩留りを維持できる。
本加工フロー例のフランジ加工部は、図17Aおよび図19Aに太線で示すような内面31eおよび32eと、図17Aに示すような端面32fとを有する。フランジ加工部の内面31eおよび32eは、フランジ相当部の外周と相対する。また、フランジ加工部の端面32fは、フランジ相当部の端面と相対する。
材料歩留りをさらに向上させる観点から、第1予備成形でフランジ相当部の断面積を増加させることが望まれる。このため、第3金型での圧下に伴い、フランジ相当部の端面をフランジ加工部(本加工フロー例ではフランジ加工部の端面32f)に当接させるのが好ましい。この場合、フランジ相当部とつながるジャーナル相当部で断面積を減少させて扁平部を形成するのに伴い、フランジ相当部に材料が流入する。その際、フランジ相当部の端面がフランジ加工部(端面32f)で拘束されていることから、フランジ相当部の断面積が増加する。このため、体積が軸方向に配分され、材料歩留りをさらに向上できる。
フランジ相当部の断面積の増加を促進するため、第1予備成形では、フランジ相当部の外周が第3金型(本加工フロー例ではフランジ加工部の内面31eおよび32e)と当接しないのが好ましい。あるいは、フランジ相当部の形状(寸法)を整えるため、フランジ相当部の外周の一部が第3金型(フランジ加工部の内面31eおよび32e)と当接するのが好ましい(図19Aおよび図19B参照)。
第1予備成形の圧下開始時に、フランジ相当部の端面をフランジ加工部(本加工フロー例ではフランジ加工部の端面32f)に当接させてもよい。また、圧下開始時には、フランジ相当部の端面とフランジ加工部(端面32f)に隙間を設け、圧下過程でフランジ相当部の端面をフランジ加工部(端面32f)に当接させてもよい。クランク軸のフランジ部の外径(断面積)に応じて前者および後者のいずれかを適宜選択すればよい。
続いて、第2予備成形でのフロント相当部およびフランジ相当部の加工フロー例について説明する。
図20A〜図22Bは、第2予備成形工程におけるフロント相当部およびフランジ相当部の加工フロー例を示す模式図である。そのうちの図20Aは、圧下前の縦断面図であり、図20Bは圧下終了時の縦断面図である。
図21Aおよび図21Bは、第2予備成形工程のフロント相当部を示す横断面図である。そのうちの図21Aは圧下前、図21Bは圧下終了時をそれぞれ示す。なお、図21Aは、前記図20AのXXIA−XXIA断面図であり、図21Bは、前記図20BのXXIB−XXIB断面図である。
図22Aおよび図22Bは、第2予備成形工程のフランジ相当部を示す横断面図である。そのうちの図22Aは圧下前、図22Bは圧下終了時をそれぞれ示す。なお、図22Aは、前記図20AのXXIIA−XXIIA断面図であり、図22Bは、前記図20BのXXIIB−XXIIB断面図である。
図20A〜図22Bには、初期荒地23と、上下で一対の第1金型40とを示す。図面の理解を容易にするため、図21Bおよび図22Bでは、圧下前の第1上型41、第1下型42および初期荒地23を二点鎖線で示すとともに、ジャーナル相当部の軸位置Cを黒塗りの丸印で示す。図20A〜図22Bに示す一対の第1金型40は、前記図8A〜図11Bに示す第1金型40と同様に、ウェブ加工部、ピン加工部、および、ジャーナル加工部を有する。また、第1金型40は、フロント相当部と当接するフロント加工部をさらに有する。
本加工フロー例のフロント加工部は、図20Aおよび図21Aに太線で示すような内面41gおよび42gと、図20Aに示すような端面42hとを有する。フロント加工部の内面41gおよび42gは、フロント相当部の外周と相対する。また、フロント加工部の端面42hは、フロント相当部の端面と相対する。フロント加工部の横断面形状は、図21Aに太線で示すように、上型41および下型42のいずれも、凹状であり、深さが同じである。
このようなフロント加工部によれば、上型41の下降に伴い、上型41および下型42のフロント加工部(本加工フロー例ではフロント加工部の内面41gおよび42g)の最深部が初期荒地23の扁平部(フロント相当部)と当接する。その状態で、上型41をさらに下降させると、上型41および下型42のフロント加工部(内面41gおよび42g)が、いずれも、部分的にフロント相当部の外周と当接する。換言すると、フロント加工部(内面41gおよび42g)が型割り面の周辺でフロント相当部の外周と当接しない。このため、バリを形成することなく、圧下によってフロント相当部の断面積を減少できる。また、フロント相当部の断面積の減少に伴い、フロント相当部を軸方向に延伸させれば、体積を軸方向に配分できる。これらより、材料歩留りをさらに向上できる。
第1金型40のフロント加工部は、図21Aおよび図21Bに示すようなフロント相当部の外周を部分圧下する構成に限定されることなく、前記図10Aおよび図10Bに示すようなジャーナル加工部と同様の構成を採用してもよい。すなわち、フロント加工部は、一対の第1金型のうちの一方に設けられる第1フロント加工部、および、他方に設けられる第2フロント加工部からなり、その第1フロント加工部が、凹状であり、フロント相当部を収容可能であればよい。この場合、フロント加工部で閉断面を形成した状態で、フロント相当部の全体(全周)を圧下する。これによっても、バリを形成することなく、フロント相当部の断面積を減少できる。また、フロント相当部の断面積の減少に伴い、フロント相当部を軸方向に延伸させれば、体積を軸方向に配分できる。これらより、材料歩留りをさらに向上できる。
第2予備成形の圧下過程で、フロント相当部の端面の全部がフロント加工部と当接すると、フロント相当部の延伸が止まり、材料の一部が噛み出すおそれがある。これを防止するため、第2予備成形の圧下過程では、フロント相当部の端面をフロント加工部(本加工フロー例ではフロント加工部の端面42h)と当接させないのが好ましい。すなわち、フロント相当部の端面とフロント加工部(端面42h)の間に隙間を設けるのが好ましい。あるいは、フロント相当部の端面がフロント加工部(端面42h)と部分的に当接するのが好ましい。
本加工フロー例のフランジ加工部は、図20Aおよび図22Aに太線で示すような内面41iおよび42iと、図20Aに示すような端面42jとを有する。フランジ加工部の内面41iおよび42iは、フランジ相当部の外周と相対する。また、フランジ加工部の端面42jは、フランジ相当部の端面と相対する。
材料歩留りをさらに向上させる観点から、第2予備成形でフランジ相当部の断面積を増加させることが望まれる。このため、第2予備成形工程では、扁平部の圧下に伴い、フランジ相当部の端面をフランジ加工部(本加工フロー例ではフランジ加工部の端面42j)に当接させるのが好ましい。この場合、フランジ相当部とつながるジャーナル相当部(扁平部)を圧下して断面積を減少させるのに伴い、フランジ相当部に材料が流入する。その際、フランジ相当部の端面がフランジ加工部(端面42j)で拘束されていることから、フランジ相当部の断面積が増加する。このため、体積が軸方向に配分され、材料歩留りをさらに向上できる。
フランジ相当部の断面積の増加を促進するため、第2予備成形では、フランジ相当部の外周がフランジ加工部(本加工フロー例ではフランジ加工部の内面41iおよび42i)と当接しないのが好ましい。あるいは、フランジ相当部の形状(寸法)を整えるため、フランジ相当部の外周の一部がフランジ加工部(内面41iおよび42i)と当接するのが好ましい(図22Aおよび図22B参照)。
第2予備成形の圧下開始時に、フランジ相当部の端面をフランジ加工部(本加工フロー例ではフランジ加工部の端面42j)に当接させてもよい。また、圧下開始時には、フランジ相当部の端面とフランジ加工部(端面42j)に隙間を設け、圧下過程でフランジ相当部の端面をフランジ加工部(端面42j)に当接させてもよい。クランク軸のフランジ部の外径(断面積)に応じて前者および後者のいずれかを適宜選択すればよい。
本発明は、レシプロエンジンに搭載される鍛造クランク軸の製造に有効に利用できる。
11、21:鍛造クランク軸、 12、22:ビレット、
13:ロール荒地、 14:曲げ荒地、 15:荒鍛造材、
16、26:仕上げ鍛造材、 23:初期荒地、 23a:扁平部、
23b:ウェブ相当部の開口側の側面、 24:中間荒地、
25:最終荒地、 30:第3金型、 31:第3上型、
31a:第1ジャーナル加工部、 31b:第1ピン加工部、
31c:フロント加工部の内面、 31e:フランジ加工部の内面、
32:第3下型、 32a:第2ジャーナル加工部、
32b:第2ピン加工部、 32c:フロント加工部の内面、
32d:フロント加工部の端面、 32e:フランジ加工部の内面、
32f:フランジ加工部の端面、 40:第1金型、 41:第1上型、
41a:第1ジャーナル加工部、 41b:第1ピン加工部、
41c:平面状のウェブ加工部、 41f:逃げ部、
41g:フロント加工部の内面、 41i:フランジ加工部の内面、
42:第1下型、 42a:第2ジャーナル加工部、
42b:第2ピン加工部、 42c:凹状のウェブ加工部、
42d:アーム加工部、 42e:ウエイト加工部、 42f:逃げ部、
42g:フロント加工部の内面、 42h:フロント加工部の端面、
42i:フランジ加工部の内面、 42j:フランジ加工部の端面、
51:第2金型、 52:上側プレート、 53:下側プレート、
54:油圧シリンダ、 60:第2上型、
61:固定ジャーナル型部材、 62:可動ジャーナル型部材、
63:ピン型部材、 70:第2下型、 71:固定ジャーナル型部材、
72:可動ジャーナル型部材、 73:ピン型部材、
A、A1〜A8:クランクアーム部、 B:バリ、
J、J1〜J5:ジャーナル部、 P、P1〜P4:ピン部、
Fr:フロント部、 Fl:フランジ部、
W、W1〜W8:カウンターウエイト部

Claims (4)

  1. 回転中心となるジャーナル部と、前記ジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐクランクアーム部と、前記クランクアーム部のうちの全部または一部が一体で有するカウンターウエイト部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法であって、
    当該製造方法は、
    ビレットのうちの前記ピン部となる部位および前記ジャーナル部となる部位で断面積を減少させて扁平部を形成する第1予備成形工程と、
    前記第1予備成形工程で得られた初期荒地を、前記扁平部の幅方向を圧下方向にして一対の第1金型で圧下することにより、前記カウンターウエイト部を一体で有するクランクアーム部となる部位および前記クランクアーム部が一体で有する前記カウンターウエイト部となる部位の厚さが仕上げ寸法よりも厚い中間荒地を得る第2予備成形工程と、
    第2金型で、前記中間荒地のうちで前記カウンターウエイト部を一体で有するクランクアーム部となる部位および前記クランクアーム部が一体で有する前記カウンターウエイト部となる部位を前記中間荒地の軸方向から圧下するとともに、前記中間荒地を前記軸方向と垂直な方向から圧下することにより、前記中間荒地に前記鍛造クランク軸の形状を造形する最終予備成形工程と、を含み、
    前記一対の第1金型は、前記カウンターウエイト部を一体で有するクランクアーム部となる部位および前記クランクアーム部が一体で有する前記カウンターウエイト部となる部位と当接するウェブ加工部、前記ピン部となる部位と当接するピン加工部、並びに、前記ジャーナル部となる部位と当接するジャーナル加工部を有し、
    前記ウェブ加工部は、前記一対の第1金型のうちの一方が、前記クランクアーム部となる部位と当接するアーム加工部と、前記カウンターウエイト部となる部位と当接するウエイト加工部とを有し、
    前記アーム加工部およびウエイト加工部は、全体として凹状であり、かつ、前記凹状の底面側に前記アーム加工部が位置するとともに、前記凹状の開口側に前記ウエイト加工部が位置し、
    前記ウエイト加工部の開口幅は、前記凹状の底面から遠ざかるに従って広くなり、
    前記第2予備成形工程では、前記ピン加工部および前記ジャーナル加工部で前記扁平部を圧下し、
    前記扁平部の圧下に伴い、前記カウンターウエイト部を一体で有する前記クランクアーム部となる部位および前記クランクアーム部が一体で有する前記カウンターウエイト部となる部位を前記凹状のウェブ加工部の底面側に押し込んで変形させる、鍛造クランク軸の製造方法。
  2. 請求項1に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
    前記カウンターウエイト部を一体で有する前記クランクアーム部となる部位および前記クランクアーム部が一体で有する前記カウンターウエイト部となる部位を前記凹状のウェブ加工部の底面側に押し込んで変形させる際に、当該部位を前記凹状のウェブ加工部の開口側から圧下して体積を配分する、鍛造クランク軸の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
    前記鍛造クランク軸は、軸方向の前端にフロント部をさらに備え、
    前記第1予備成形工程では、さらに、前記ビレットのうちの前記フロント部となる部位で断面積を減少させて扁平部とし、
    前記一対の第1金型は、前記フロント部となる部位と当接するフロント加工部をさらに有し、
    前記第2予備成形工程では、前記フロント加工部で前記フロント部となる部位を圧下して延伸させる、鍛造クランク軸の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
    前記鍛造クランク軸は、軸方向の後端にフランジ部をさらに備え、
    前記一対の第1金型は、前記フランジ部となる部位と当接するフランジ加工部をさらに有し、
    前記第2予備成形工程では、前記扁平部の圧下に伴い、前記フランジ部となる部位の端面を前記フランジ加工部に当接させ、前記フランジ部となる部位の断面積を増加させる、鍛造クランク軸の製造方法。
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