JP2000094087A - クランク軸の製造技術 - Google Patents

クランク軸の製造技術

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JP2000094087A
JP2000094087A JP10261962A JP26196298A JP2000094087A JP 2000094087 A JP2000094087 A JP 2000094087A JP 10261962 A JP10261962 A JP 10261962A JP 26196298 A JP26196298 A JP 26196298A JP 2000094087 A JP2000094087 A JP 2000094087A
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pin
crankshaft
roughing
die
forging
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JP10261962A
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Inventor
Kenji Tamura
憲司 田村
Masahiro Ohashi
正浩 大橋
Tomihiko Fukuyasu
富彦 福安
Masaki Kobayashi
正貴 小林
Katsutoshi Ishii
勝利 石井
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピン表面の欠陥の発生を防止し、表面品質の
良好なクランク軸の製造が可能なクランク軸の製造方
法、クランク軸の荒打ち用金型および荒打ち用素材、な
らびにその技術を利用したクランク軸を提供する。 【解決手段】 (1) 荒打ち加工においては、ピン部のピ
ン側の外側にはバリを形成しない。(2) 荒打ち用金型の
クランク軸のピン部を成形するピン成形部は、ピン部の
ピン側の外側にバリを形成しないように、金型間の間隔
がピン外側に向かって開放した形状とする。(3) 荒打ち
用素材のピン相当部位を長手方向の中心軸に対しクラン
ク軸のピン側に偏心させる。(4) 荒打ち用素材のピン相
当部位の高さhと幅wの比(h/w)を1.3〜2.5
とする。(5) クランク軸は、偏析部を内包する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間鍛造によるク
ランク軸の製造技術に関し、特に、表面欠陥の防止が可
能なクランク軸の製造方法、荒打ち用金型および荒打ち
用素材と、その技術を利用したクランク軸に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車や船舶などに使用されるクランク
軸は、鋳造や鍛造によって製造されているが、エンジン
の軽量化や高出力化に伴い、高強度で高靭性のクランク
軸が要求され、鍛造品の需要が高まっている。クランク
軸鍛造品は、一般にその製造方法により、一体成形クラ
ンク軸鍛造品と一定区間毎に順次成形する逐次成形鍛造
品に分類される。
【0003】一体成形クランク軸鍛造品は、一体型で型
鍛造された比較的小型のクランク軸であり、一般構造用
炭素鋼の角ビレットまたは丸ビレットを素材として、例
えば、ロール成形、曲げ加工、荒打ち加工(型鍛造の第
1工程)、仕上げ打ち加工(型鍛造の第2工程)、バリ
抜き加工の各工程を順次経た後、機械加工をおこない製
造される。以下に、この製造工程の概要を説明する。な
お、以下、一体成形クランク軸鍛造品を単に「クランク
軸」という。
【0004】図1は、代表的なクランク軸の形状例を示
す模式図であり、符号1a〜1dはピン、2a〜2eは
ジャーナル、3a〜3hはカウンターウエイト、4はフ
ロント、5はフランジである。なお、クランク軸の中心
軸に対し、それぞれの位置で、ピンのある側をピン側、
その反対のカウンターウエイトのある側をカウンターウ
エイト側という。
【0005】図2は、クランク軸の製造工程を模式的に
示す概略図である。図2の のロール成形工程では、角
ビレットまたは丸ビレットを素材とし、レデュースロー
ル圧延(孔型ロール圧延)により素材の長手方向(クラ
ンク軸の軸方向)に体積の配分がおこなわれる。図1に
示すように、クランク軸は、大きな断面積のカウンター
ウエイト3a〜3hと小さな断面積のジャーナル2a〜
2eを有し、軸方向に断面積の変化が大きい。したがっ
て、ロール成形による素材の軸絞り加工で、軸方向にお
ける断面積の変化に応じた体積配分がおこなわれる。な
お、通常、ロール成形後の素材断面は、ほぼ正方形、も
しくは円形である。
【0006】図2の の曲げ加工工程は、上記ロール成
形をされた素材で、製品のピンとそれに隣接するカウン
ターウエイトに対応するピンおよびカウンターウエイト
の両相当部位15を該素材の長手方向の中心軸に対し、
製品のカウンターウエイト側に偏心させる工程であり、
通常は、金型を用いて、鍛造加工にて実施される。図1
に示すように、複数のカウンターウェイト3a〜3hは
クランク軸の中心軸から離れた位置に、しかも、回転バ
ランスを確保する観点から中心軸の周方向にそれぞれ所
定の角度で設けられており、型鍛造時のカウンターウェ
イトの充満性を確保するために上記曲げ加工がおこなわ
れる。
【0007】図2の荒打ち加工では、型鍛造の第1工程
として、曲げ加工で成形された素材(荒打ち用素材)を
被加工材として製品の概略形状に鍛造加工される。その
際、製品の充満性を確保するために、全周にわたってバ
リ6を形成して成形がおこなわれる。
【0008】図3は、図1のA−A断面に対応する荒打
ち用金型の断面を示す模式図であり、符号11は上金
型、12は下金型、13はピン成形部、14は中心軸、
16は、製品のピンに対応する荒打ち用素材のピン相当
部位である。
【0009】図3に示すように、ピン相当部位16は、
図2の曲げ加工によって中心軸14に対してカウンター
ウエイト側に偏心している。通常、荒打ち用の金型は、
ピン成形部13が最終製品のピンの概略形状とその周囲
のバリを押さえ込む形状を有しており、したがって、荒
打ち加工の際は、ピン成形部13によりピン相当部位1
6が押さえ込まれ、その外周部にバリが形成されるとと
もに、ピン成形に必要な体積を残しながら、軸方向の体
積流動が生じる。
【0010】図2の仕上打ち加工では、型鍛造の第2工
程(最終工程)として、仕上げ用金型を用い上記荒打ち
用素材を被加工材として、全周にバリ6が形成された製
品形状に鍛造加工される。
【0011】次いで、バリ抜き刃物を搭載したバリ抜き
装置で、上記仕上げ加工で鍛造成形されたバリの切断除
去がおこなわれ、その後機械加工を経てクランク軸が製
造される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】クランク軸は、通常、
上述したような方法で製造されるが、鍛造成形された製
品のピン表面に成分偏析の表面欠陥が発生することがあ
る。これは、素材となるビレットの中心部に存在する成
分偏析部が上記の製造工程を経てバリに押し出されバリ
切断後の表面に露出したものと考えられる。上記表面欠
陥は、製品不良となるばかりでなく、マグナ検査で疵と
の判別が困難な疑似模様となり、製品検査のミスや検査
能率が低下するなどの問題となる。また、中心偏析の少
ない健全な内質の素材が要求されるため、素材コストが
上昇するといった問題がある。
【0013】本発明の課題は、上記従来の問題を踏ま
え、特に、ピン表面の欠陥の発生を防止し、表面品質の
良好なクランク軸の製造が可能なクランク軸の製造方
法、クランク軸の荒打ち用金型と荒打ち用素材、ならび
にその技術を利用したクランク軸を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ビレット
の中心偏析部が鍛造時のメタル流動によりピン表面に露
出して表面欠陥を生じさせるとの観点に立ち、上述した
従来の製造方法を詳細に検討し、そのメタル流動を生じ
させる要因を分析した。以下にその要因を示す。
【0015】(a) 図3に示すように、荒打ち用素材にお
いて製品のピンに対応するピン相当部位16が中心軸1
4に対してカウンターウェイト側(図面の右側)へ偏心
している。
【0016】(b) 荒打ち加工においては、ほぼ最終製品
に近い形状の素材を仕上げ打ち加工に供給するとの工程
思想に基づき、荒打ち用金型は、図3に示すように、ピ
ン成形部13が最終製品のピンの概略形状とその周囲の
バリを押さえ込む形状を有し、さらに、ピン成形部に隣
接してピンエッジ(図示無し)と呼ぶ突起部を備える。
これは、その突起部で荒打ち用素材のメタルを押さえ込
むことにより隣接するカウンターウエイトに向かう軸方
向のメタル流動を生じさせる機能を果たしており、この
メタル流動によりピン側に向かうメタル流動が抑制され
る。
【0017】(c) したがって、表面欠陥の発生原因は、
荒打ち加工でピン側に向かうメタル流動が抑制されるた
めであり、更に曲げ加工をおこなう場合には荒打ち用素
材において製品のピンに対応するピン相当部位が中心軸
に対しカウンターウエイト側に偏心しているためである
ことが判った。
【0018】そこで、本発明者らは、荒打ち用素材なら
びに荒打ち用金型の形状に注視した種々の試験研究を行
い、以下の知見を得た。
【0019】(A) 荒打ち用金型のピン成形部は、荒打ち
加工時にピン部のピン側の外周にバリを形成しないよう
にピン側の外側に向かって開放した形状とすることによ
り、ピン側へのメタル流動が促進され、表面欠陥の発生
が抑制される。
【0020】(B) 荒打ち用素材のピン相当部位を中心軸
に対しピン側へ偏心させることにより、表面欠陥の発生
が抑制される。
【0021】(C) 荒打ち用素材において、ピン相当部位
の断面形状を適正化することにより、荒打ち加工の際の
ピン側へのメタル流動が促進し、表面欠陥の発生が抑制
される。
【0022】本発明は、上記知見に基づき、その要旨は
以下の通りである。(1) 荒打ち加工と仕上げ打ち加工に
よる型鍛造でクランク軸を製造する際の荒打ち加工にお
いて、ピン部のピン側の外周にはバリを形成しないこと
を特徴とするクランク軸の製造方法。
【0023】(2) 荒打ち加工と仕上げ打ち加工による型
鍛造でクランク軸を製造する際に用いる1対の荒打ち用
金型であって、クランク軸のピンを成形する該金型のピ
ン成形部は、ピン部のピン側の外周にバリを形成しない
ように、その金型間の間隔がピン側の外側に向かって開
放した形状であることを特徴とするクランク軸の荒打ち
用金型。
【0024】(3) 荒打ち加工と仕上げ打ち加工による型
鍛造でクランク軸を製造する際の荒打ち用素材であっ
て、該素材を長手方向にピン相当部位とその他の部位と
に分けたときのピン相当部位が前記素材の長手方向の中
心軸に対しピン側に偏心していることを特徴とするクラ
ンク軸の荒打ち用素材。
【0025】(4) 荒打ち加工と仕上げ打ち加工による型
鍛造でクランク軸を製造する際の荒打ち用素材であっ
て、該素材を長手方向にピンおよびカウンターウエイト
の両相当部位とその他の部位とに分けたときの該両相当
部位の高さhと幅wの比(h/w)が1.3〜2.5で
あることを特徴とするクランク軸の荒打ち用素材。
【0026】(5) 型鍛造により製造されたクランク軸で
あって、該クランク軸のピン部は成分偏析部を内包した
ことを特徴とするクランク軸。
【0027】なお、上記(5) 項において、「成分偏析
部」とは、S(硫黄)の偏析率(製品フランジ部のバリ
線方向に直角方向の表面層のS含有量(S0)を基準と
し、それに対する各部位のS含有量(S)の比S/S
0)が1.15以上の部位を指す。また、「内包」と
は、表面から3mm以上の深さの内部に存在させること
を指す。
【0028】
【発明の実施の形態】図4は、本発明の方法を実施する
荒打ち用金型の一例で、図1のA−A断面に対応する部
分の模式図であり、図3と同じ要素は同一の符号で示
す。なお、符号17は荒打ち加工後のピン部である。
【0029】本発明の方法は、例えば図4に示した荒打
ち用金型を使用し、荒打ち加工の際には、ピン部17の
ピン側の外周17−1にはバリを形成しないことを特徴
とする。図3と比較すれば明らかのように、ピン先端部
17−2は、金型の拘束が少ない。したがって、荒打ち
加工の際、金型表面においてピン側(図面の左側)に向
かうメタル流動の抑制が少なく、素材中心部がピン側に
押し出されるメタル流動が促進される。その結果、次い
でおこなわれる仕上げ打ち加工およびバリ抜きにおい
て、素材中心部が最終製品の表面に露出することが抑制
され、表面欠陥の発生が防止できる。
【0030】図4に示すように、本発明の金型は、クラ
ンク軸のピンを成形するピン成形部13が、ピン部17
のピン側の外周17−1にバリを出さないように、その
金型間の間隔がピン側の外側に向かって開放した形状で
あることを特徴とする。図示例は、ピン成形部13にお
ける金型の間隔DHが、ピン側の外側に向かってステッ
プ状に拡大する金型であるが、本発明の金型はこれに限
定するものでなく、ピン部のピン側の外周にバリを出さ
なければ、他の形状であっても良い。なお、本発明の金
型を使用する場合は、荒打ち用素材の形状は、従来のま
までよく、したがって、ロール成形と曲げ成形は、従来
と同様にしておこなうことができる。また、仕上げ打ち
加工も、従来と同様でよい。
【0031】次に、本発明の荒打ち用素材の形状を図を
用いて説明する。
【0032】図5は、本発明の荒打ち用素材の形状を製
品形状と対比して模式的に示す平面図で、同図(a)は
荒打ち用素材形状、同図(b)は製品形状である。
【0033】図5(a)において、本発明の荒打ち用素
材は、その素材を軸方向に製品のピン部に対応するピン
相当部位16の区間Aとその他の部位18の区間Bとに
分けたとき区間Aのピン相当部位16を中心軸に対して
製品のピン側に偏心させたことを特徴とし、ピン側に偏
心させることによって、荒打ち加工の際、素材中心部が
表面側に押し出されるメタル流動が減少し、上述したと
同様に表面欠陥の発生が抑制される。ここで、図5
(a)に示すように、中心軸とピン相当部位の幅方向
(上記中心軸と直角方向)中心との水平距離を偏心量d
とし、ピン相当部位の素材幅wとすると、好ましくは、
dとwの比(d/w)は0.1以上0.5以下である。
なお、上記荒打ち用素材の形状は、レデュースロール圧
延後の曲げ加工で形成できる。また、本発明の荒打ち用
素材を用いる場合には、荒打ち用金型の形状は、従来と
同様でよく、仕上げ打ち加工も従来と同様にしておこな
うことができる。
【0034】次に、本発明の別の荒打ち用素材の形状を
図を用いて説明する。図6は、本発明の別の荒打ち用素
材の形状を模式的に示す概略図で、同図(a)は平面
図、同図(b)は同図(a)のI−I断面図である。
【0035】同図において、本発明の別の荒打ち用素材
は、その素材を軸方向に製品のピンとそれに隣接するカ
ウンターウエイトに対応するピンおよびカウンターウエ
イトの両相当部位15の区間Aとその他の部位18の区
間Bとに分けたときの該両相当部位15における高さh
と幅wの比(h/w)が1.3〜2.5であることを特
徴とする。従来はh/wがほば1.0であり、上記比を
増大することにより、荒打ち加工の際、素材中心部がピ
ン側に移動するメタル流動が促進される。ただし、上記
比が過小だと素材中心部が表面に露出し、過大だと新た
に別の鍛造疵が発生する。よって、比(h/w)を1.
3以上2.5以下とした。好ましくは、比(h/w)は
1.5以上2.5以下である。なお、上記荒打ち用素材
の形状は、レデュースロール圧延後の曲げ加工で形成で
きる。また、本発明の荒打ち用素材を用いる場合には、
荒打ち用金型の形状は、従来と同様でよく、仕上げ打ち
加工も従来と同様にしておこなうことができる。
【0036】次に、本発明のクランク軸について説明す
る。本発明のクランク軸は、型鍛造により製造されたク
ランク軸であって、クランク軸のピン部は成分偏析部を
内包したことを特徴とする。クランク軸の特にピン部は
型鍛造に際して、素材中心部、つまり成分偏析部が表面
に押し出されてくることがあるため、本発明ではそれを
内部に押し込めるのである。成分偏析部とは、S(硫
黄)の偏析率(製品フランジ部のバリ線方向に直角方向
の表面層のS含有量(S0)を基準とし、それに対する
各部位のS含有量(S)の比S/S0)が1.15以上
の部位を指す。「内包」とは、表面から3mm以上の深
さの内部に存在させることを指す。その製造方法は、特
に限定しないが、例えば、請求項1〜4に記載のいずれ
かの手段を用いることができる。従来は、素材の中心部
に存在する成分偏析部が製品表面に露出するのを避ける
ため、中心偏析の少ない内質の健全な素材が要求され、
製鋼の処理コストの増加を招いていたが、本発明のクラ
ンク軸は成分偏析部を内包するため、偏析率の高い安価
な素材の使用が可能となる。具体的には、素材中心部の
S偏析率(素材ビレット表面のS含有量(B0)を基準
とし、それに対する素材中心部のS含有量(B)の比B
/B0)が1.15程度以上の素材を使用することがで
きる。
【0037】本発明に係るクランク軸の品種は、特に限
定しないが、下記のaからcの品種が好適である。 a.4気筒用8枚カウンターウエイトクランク軸、 b.直列6気筒用クランク軸、 c.V型8気筒用クランク軸(捩り加工実施)。
【0038】なお、上記で捩り加工とは、バリ抜き加工
後にクランク軸の区間毎にジャーナル軸を回転中心軸と
して所定の角度だけ回転させる加工である。
【0039】
【実施例】(本発明例1)化学組成が重量%で、C:
0.48%、Mn:1.25%、S:0.03%を含有
するMn鋼を用いてφ100mmの丸ビレットを製造し
た。なお、ビレット中心部のS偏析率(B/B0)は、
1.30であった。
【0040】この丸ビレットを用い、通常の方法でロー
ル成形および曲げ加工をおこない、図2の に示す基本
形状の荒打ち用素材を製造した。ここで、荒打ち用素材
のピンおよびカウンターウエイトの両相当部位の幅は8
2mm、該両相当部位のカウンターウエイト側への偏心
量は10mmであった。次に、図4に示す基本形状の平
行部とピン側に向かって拡大する傾斜部を有する本発明
の金型を用いて、前記荒打ち用素材の荒打ち加工をおこ
なった。次いで、通常の方法で仕上げ打ち加工およびバ
リ抜きを実施し、その後機械加工をおこない、図1に示
す4気筒8枚カウンターウェイトのクランク軸を製造し
た。
【0041】(本発明例2)本発明例1と同様の丸ビレ
ットを用い、通常の方法でロール成形をおこない、次い
で、曲げ加工をおこない、図5に示す基本形状、すなわ
ち、ピン相当部位のピン側への偏心量dが10mmで、
ピン相当部位の幅が82mmである荒打ち用素材を得
た。なお、ピンに隣接するカウンターウェイト相当部位
のカウンターウェイト側への偏心量は10mmであっ
た。次いで、通常の方法で荒打ち加工、仕上げ打ち加
工、バリ抜き、および機械加工をおこない、上記と同様
にクランク軸を製造した。
【0042】(本発明例3)本発明例1と同様の丸ビレ
ットを用い、通常の方法でロール成形をおこない、次い
で、曲げ加工をおこない、図6に示す基本形状、すなわ
ち、ピンおよびカウンターウエイトの両相当部位におけ
る高さ(h)が122mm、幅(w)が61mmとなる
荒打ち用素材を得た。次いで、通常の方法で荒打ち加
工、仕上げ打ち加工、バリ抜き、および機械加工をおこ
ない、上記と同様にクランク軸を製造した。
【0043】(従来例)本発明例1と同様の丸ビレット
を用い、通常の方法でロール成形からバリ抜きまでの成
形をおこない、その後機械加工をおこない、上記と同様
にクランク軸を製造した。
【0044】本発明例1〜3と従来例で得られたクラン
ク軸におけるピン表面および内部のS偏析率を調査し
た。
【0045】図7は、測定サンプルの採取位置を示す概
要図であり、クランク軸をフロントから2番目のピン部
断面にて切断し、ピン(直径60mm)のバリ線部位2
ヶ所(、)と、それに直角方向の2ヶ所(、
)、ならびにピン内部2ヶ所(、)につき、JI
S G0321規格に従って直径8mmのドリルにてサ
ンプル1g(ドリル穴深さ2.6mm)を採取し、成分
分析(S)をおこなった。なお、サンプルの中心位置
は、サンプル〜が表面から1.3mmの深さ、サン
プルがピン中心から20mmの位置、サンプルがピ
ン中心とした。表1にピン部各サンプルのS偏析率(S
/S0)を示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1に示すように、従来例では、部位で
S偏析率(S/S0)が1.31と高く不良であった。
【0048】なお、従来例と同様の方法で製造したクラ
ンク軸は、高周波焼き入れ・研磨後のマグナ検査で疵と
判定される疑似模様が部位 で発生した。
【0049】本発明例1〜3のS偏析率(S/S0)
は、いずれもピン表面の部位〜では1.09以下と
良好であり、高周波焼き入れ・研磨後のマグナ検査で疵
と判定される疑似模様は認められなかった。なお、ピン
内部の部位、のS偏析率(S/S0)は1.18〜
1.40であった。
【0050】また、本発明例1〜3ならびに従来例は、
いずれもカウンターウェイト部の欠肉の発生はなく良好
であった。
【0051】
【発明の効果】型鍛造により製造されるクランク軸のピ
ン表面に発生する欠陥を防止できる。これにより、製品
不良やマグナ検査で疵との判別が困難な疑似模様が解消
し、製品検査の精度・能率が向上する。また、中心偏析
率の高い素材の使用が可能となり、素材コストが低減す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】代表的なクランク軸の形状例を示す模式図であ
る。
【図2】クランク軸の製造工程を模式的に示す概略図で
ある。
【図3】図1のA−A断面に対応する荒打ち用金型の断
面を示す模式図である。
【図4】図1のA−A断面に対応する本発明の荒打ち用
金型の断面を示す模式図である。
【図5】本発明の荒打ち用素材の形状を製品形状と対比
して模式的に示す平面図で、同図(a)は荒打ち用素材
形状、同図(b)は製品形状である。
【図6】本発明の別の荒打ち用素材の形状を模式的に示
す概略図で、同図(a)は平面図、同図(b)は同図
(a)のI−I断面図である。
【図7】測定サンプルの採取位置を示す概要図である。
【符号の説明】
1a〜1d:ピン 2a〜2e:ジャーナル 3a〜3h:カウンターウエイト 4:フロント 5:フランジ 6:バリ 11:上金型 12:下金型 13:ピン成形部 14:中心軸 15:ピンおよびカウンターウエイトの両相当部位 16:ピン相当部位 17:荒打ち加工後のピン部 17−1:外周 17−2:ピン先端部 18:その他の部位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福安 富彦 大阪市此花区島屋5丁目1番109号 住友 金属工業株式会社関西製造所製鋼品事業所 内 (72)発明者 小林 正貴 大阪市此花区島屋5丁目1番109号 住友 金属工業株式会社関西製造所製鋼品事業所 内 (72)発明者 石井 勝利 大阪市此花区島屋5丁目1番109号 住友 金属工業株式会社関西製造所製鋼品事業所 内 Fターム(参考) 4E087 AA05 AA06 AA08 AA10 BA11 BA20 BA21 CA13 CA15 DA04 DB05 EC04 EC11 EC12 HA32

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荒打ち加工と仕上げ打ち加工による型鍛
    造でクランク軸を製造する際の荒打ち加工において、ピ
    ン部のピン側の外周にはバリを形成しないことを特徴と
    するクランク軸の製造方法。
  2. 【請求項2】 荒打ち加工と仕上げ打ち加工による型鍛
    造でクランク軸を製造する際に用いる1対の荒打ち用金
    型であって、クランク軸のピンを成形する該金型のピン
    成形部は、ピン部のピン側の外周にバリを形成しないよ
    うに、その金型間の間隔がピン側の外側に向かって開放
    した形状であることを特徴とするクランク軸の荒打ち用
    金型。
  3. 【請求項3】 荒打ち加工と仕上げ打ち加工による型鍛
    造でクランク軸を製造する際の荒打ち用素材であって、
    該素材を長手方向にピン相当部位とその他の部位とに分
    けたときのピン相当部位が前記素材の長手方向の中心軸
    に対しピン側に偏心していることを特徴とするクランク
    軸の荒打ち用素材。
  4. 【請求項4】 荒打ち加工と仕上げ打ち加工による型鍛
    造でクランク軸を製造する際の荒打ち用素材であって、
    該素材を長手方向にピンおよびカウンターウエイトの両
    相当部位とその他の部位とに分けたときの該両相当部位
    の高さhと幅wの比(h/w)が1.3〜2.5である
    ことを特徴とするクランク軸の荒打ち用素材。
  5. 【請求項5】 型鍛造により製造されたクランク軸であ
    って、該クランク軸のピン部は成分偏析部を内包したこ
    とを特徴とするクランク軸。
JP10261962A 1998-09-16 1998-09-16 クランク軸の製造技術 Pending JP2000094087A (ja)

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