JP3603660B2 - 鍛造荒地及び一体形クランク軸の製造方法 - Google Patents

鍛造荒地及び一体形クランク軸の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鍛造荒地及び一体形クランク軸の製造方法に関する。より詳しくは、形状が非対称な上金型と下金型を用いた荒打ち鍛造で使用される鍛造荒地及びその鍛造荒地を荒打ちする工程を経る一体形クランク軸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などのクランク軸は、従来、鋳造や鍛造によって製造されてきた。しかし、近年、エンジンの軽量化や高出力化が進むにともない、クランク軸には高強度、高靱性が要求されるようになり、鍛造で製造されるクランク軸の需要が高まっている。
【0003】
鍛造で製造されるクランク軸は、機械構造用炭素鋼や合金鋼の角ビレットや丸ビレットを素材として、例えば、▲1▼ロール成形、▲2▼曲げ打ち(曲げ加工)、▲3▼荒打ち(型鍛造の第1工程)、▲4▼仕上げ打ち(型鍛造の第2工程)、▲5▼バリ抜き(バリ取り)の各工程を経て成形されてきた。
【0004】
図1に例を示すように、クランク軸には大きな体積を持つカウンターウェイトがクランク軸の回転中心からそれた位置に、それも回転バランスをとるという目的から、所定の方向に複数個設けられる。
【0005】
上記のカウンターウェイトに肉(材料)を効率よく充満させるためには、一般に、被鍛造材の体積配分を行う必要がある。前記▲1▼の「ロール成形」の工程はクランク軸の長手方向(図1(a)のY−Y方向をいい、以下、単に「長手方向」という)に体積配分を行う工程で、この工程を経た後の被鍛造材の断面形状は一般に矩形ないし円であり、その縦横比はほぼ1.0である。
【0006】
前記▲2▼の「曲げ打ち」の工程はクランク軸の幅方向(図1(a)のX−X方向をいう)に体積配分を行う工程で、この工程を経た被鍛造材の断面の縦横比、つまり、後述する図3の(a)−2に示す「高さ」/「幅」は1.0を超えるものである。なお、この「縦横比」は、例えば、鍛錬比を増加させるなどの目的のために2.0程度の大きな値とすることもある。
【0007】
更に、クランク軸のうち所謂「立体パーチ品」の場合には、型鍛造に用いられる上下の金型の合わせ面(パーチ面)が同じ平面内にはなく、すべてのクランクピン中心が同一平面上にならぶような形状にはなっていない。このため、「立体パーチ品」の型鍛造に用いる金型の形状は上型と下型で非対称になっている部分があり、上下の金型形状が非対称な場合には、型鍛造時に被鍛造材の上下の部分で材料流動に差が生じてしまう。この材料流動の差は、特に、鍛造することによって被鍛造材の形状変化が大きくなる荒打ち時に生じやすいため、荒打ち後には、材料が型に充満していない部分、つまり欠肉部が生じやすい。すなわち、上下どちらか一方の側に偏って材料が移動してしまうために、他方の側の材料が不足して欠肉部が生じやすくなる。加えて、上下非対称な材料流動のために金型の各部位における材料の充満タイミングが異なるので、別々の部位から流動してきた材料がバリ部以外、つまり製品相当部で合流しやすくなり、その境界部が疵となって被鍛造材の製品相当部表面に残存することがある。この疵が生ずると、前記▲4▼の仕上げ打ちや▲5▼のバリ抜きの後にも消えずに残るので、疵の手入れに多くの工数が必要になったり不良品となる。
【0008】
被鍛造材の体積を大きくすることによって、上記した欠肉部や疵の発生を防ぐことができるが、歩留りの低下が避けられない。
【0009】
クランク軸製造における歩留りを高める技術としては、例えば特開昭60−27440号公報に「クランクシャフトの鍛造方法および荒鍛造用金型」が開示されている。しかし、この公報で提案された方法は、単に、鍛造用金型に傾斜段差面を設けることによってバリの流出を規制して歩留りの向上を図るものであるため、特に、型鍛造に用いる上下の金型形状が非対称である場合に問題となる前記疵の発生を完全には防止できない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みなされたもので、その目的は、形状が非対称な上金型と下金型を用いた荒打ち鍛造を経て一体形クランク軸を製造する場合に、荒打ちでの欠肉部や疵の発生を防ぐことが可能で歩留りを高めることができる鍛造荒地を提供することである。本発明のもう1つの目的は、形状が非対称な上金型と下金型による荒打ち鍛造を経る場合にも、高い歩留りで一体形クランク軸を製造することができる方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記(1)に示す鍛造荒地及び(2)に示す一体形クランク軸の製造方法にある。
【0012】
(1)形状が非対称な上金型と下金型を用いた荒打ち鍛造に供される鍛造荒地における荒打ち後の半鍛造品のクランクピンに相当する部位のうち、荒打ち後の半鍛造品のクランクジャーナルに相当する部分の中心軸に垂直な投影面上で、そのクランクピンに相当する部分の中心とクランクジャーナルに相当する部分の中心軸との間の距離を半径としクランクジャーナルに相当する部分の中心軸を中心とする円と、クランクジャーナルに相当する部分の中心軸を含んで荒打ちの圧下方向に垂直な面とが形成する2つの交点のうち前記クランクピンに相当する部分の中心との距離が小さい方の点、クランクジャーナルに相当する部分の中心軸、及び、前記クランクピンに相当する部分の中心で形成される角度Tnの絶対値が15〜45゜を満たすn番目のクランクピン相当部と長手方向に同じ位置にある部位が、クランクジャーナルに相当する部分の中心軸に垂直な断面において、角度Tnが正の場合には2〜0.6×Tn゜、角度Tnが負の場合には0.6×Tn〜−2゜傾いている一体形クランク軸の鍛造荒地。
【0013】
なお、nは正の整数でその最大値は気筒数である。
【0014】
角度は、クランク軸のフロント側から見て左回りの場合が正の値、右回りの場合が負の値とする。
【0015】
(2)上記(1)に記載の鍛造荒地を荒打ちすることを特徴とする一体形クランク軸の製造方法。
【0016】
なお、「鍛造荒地」とは型鍛造の第1工程である荒打ちに供される被鍛造材を指す。又、「長手方向」とは図1(a)のY−Y方向、つまり、クランクジャーナル(相当部分)の中心軸に平行な方向をいう。
【0017】
本発明者らは、前記の課題を解決するために、「立体パーチ品」として図1に示す気筒数6でカウンターウェイト数が8のクランク軸を対象にした実験を行った。なお、図1の(a)はクランク軸を上方から見た図であり、2ピンと5ピンは下向きになっている。このクランク軸は、1ピン、3ピン、4ピン及び6ピンの各々の長手方向両側にはカウンターウェイトを有するが、2ピン及び5ピンの長手方向両側にはカウンターウェイトを有さないものである。各ピンは通常品と同様にアームによってジャーナルとつながれている。図1の(b)はクランク軸をそのフロント側から見た場合のクランクジャーナルと各クランクピンの位置関係及び前記各部位と荒打ちの圧下方向との関係を示す図である。
【0018】
図2は角度Tnの説明図である。前記のクランク軸の場合には、角度Tnは1ピンと6ピンの場合には−30゜、3ピンと4ピンの場合には30゜である。又、2ピンと5ピンの場合の角度Tnの絶対値は90゜である。
【0019】
先ず、JISのS45Cの直径205mmの丸ビレットを用いて、通常の方法で▲1▼ロール成形、▲2▼曲げ打ち、▲3▼荒打ち、▲4▼仕上げ打ち及び▲5▼バリ抜きを行った後、被鍛造材の欠肉部と疵の発生状況を調査した。この直径205mmという大きな丸ビレットを素材とした場合には被鍛造材に欠肉部や疵は認められなかった。
【0020】
次に、上記ビレットよりも体積の小さい直径200mmのJISのS45Cの丸ビレットを用いて、前記と全く同じ方法で、▲1▼ロール成形及び▲2▼曲げ打ちを行い通常の鍛造荒地を作製した。この鍛造荒地の形状を図3の(a)に示す。なお、図3の(a)−1は鍛造荒地を荒打ちの際の上方から見た図であり、同図(a)−2は鍛造荒地をフロント相当部側から見た図である。前記のクランク軸は、1ピン、3ピン、4ピン及び6ピンの両側にカウンターウェイトを有するものであるため、その鍛造荒地はカウンターウェイトを有して大きな体積を必要とする1ピン、3ピン、4ピン及び6ピン近傍部が太くなっている。
【0021】
この鍛造荒地を用いて、先ず通常の方法で、つまり、前記直径205mmの丸ビレットから作製した鍛造荒地を用いた場合と全く同じ方法で、▲3▼荒打ち、▲4▼仕上げ打ち及び▲5▼バリ抜きを行った。この後、被鍛造材の欠肉部と疵の発生状況を調査したところ、被鍛造材の約4割のものに欠肉部や疵が生じていた。
【0022】
一方、図3(a)に形状を示した上記通常の鍛造荒地を捩り加工してから、▲3▼荒打ち、▲4▼仕上げ打ち及び▲5▼バリ抜きを施す実験も行った。すなわち、荒打ちを行う際に上下の金型間に鍛造荒地を配置したときの、鍛造金型(荒型)の1ピン相当部と長手方向に同じ位置にある鍛造荒地の部位(以下、「部位A」という)及び荒型の6ピン相当部と長手方向に同じ位置にある鍛造荒地の部位(以下、「部位D」という)、並びに、荒型の3ピン相当部と長手方向に同じ位置にある鍛造荒地の部位(以下、「部位B」という)及び荒型の4ピン相当部と長手方向に同じ位置にある鍛造荒地の部位(以下、「部位C」という)が、Q(クランクジャーナルに相当する部分の中心軸)に垂直な断面上で、直径200mmの丸ビレットから作製した図3(a)に示す通常の鍛造荒地同等部位に対して、各ピン部における角度Tnの0.2倍(1ピンと6ピンの場合には−6゜、3ピンと4ピンの場合には6゜)傾くように捩り加工によって成形し、図3(b)に示す鍛造荒地を作製した。上記の捩り加工は、鍛造荒地の捩りを加える各部位をそれぞれ別個の上下型で挟み込んで保持した状態で、各部位を型ごと回転させる機構を有する装置を用いて行った。なお、図3の(b)−1は鍛造荒地を荒打ちの際の上方から見た図であり、同図(b)−2は鍛造荒地をフロント相当部側から見た図である。この鍛造荒地を用いて、▲3▼荒打ち、▲4▼仕上げ打ち及び▲5▼バリ抜きを行い、この後、被鍛造材の欠肉部と疵の発生状況を調査した。この結果、被鍛造材に欠肉部や疵は全く認められなかった。
【0023】
図1に示すクランク軸について、前記の捩る角度を種々変えて同様の実験を行うとともに、他の種類のクランク軸についても同様の実験を行った。
【0024】
その結果、前記した角度Tnの絶対値が15〜45゜を満たすクランクピン相当部と長手方向に同じ位置にある部位が、Q(クランクジャーナルに相当する部分の中心軸)に垂直な断面上で、角度Tnが正の場合には2〜0.6×Tn゜、角度Tnが負の場合には0.6×Tn〜−2゜傾いている鍛造荒地を用いれば、通常の方法で製作された鍛造荒地を用いた場合よりバリ抜き後の被鍛造材に欠肉部や疵が生じにくいことが判明した。
【0025】
本発明は上記の知見に基づいて完成されたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の詳細を説明する。
【0027】
先ず、通常の方法で溶製した鋼塊から通常の方法で鋼片を製造し、これを通常の方法でロール成形した後で通常の方法で曲げ加工を行い、前記角度Tnの絶対値が15〜45゜を満たすクランクピン相当部と長手方向に同じ位置にある部位を、Q(クランクジャーナルに相当する部分の中心軸)に垂直な断面において、前記曲げ加工したままの通常の鍛造荒地の同等部分に対して、角度Tnが正の場合には2〜0.6×Tn゜、角度Tnが負の場合には0.6×Tn〜−2゜傾くように捩り加工する。
【0028】
角度Tnが正の場合に前記傾き(捩る角度)が2゜未満であれば、又、角度Tnが負の場合に前記傾きが−2゜を超えれば、バリ抜き後の被鍛造材には欠肉部や疵が生じやすくなる。一方、角度Tnが正の場合に前記傾きが0.6×Tn゜を超えれば、又、角度Tnが負の場合に前記傾きが0.6×Tn゜未満であれば、荒打ちの際に鍛造荒地の姿勢が安定しないため、バリ抜き後の被鍛造材には欠肉部や疵が生じやすくなる。このため、前記傾き(捩る角度)は角度Tnが正の場合には2〜0.6×Tn゜、角度Tnが負の場合には0.6×Tn〜−2゜とする必要がある。この傾き(捩る角度)は、上記の範囲でありさえすれば、既に述べた角度Tnの絶対値が15〜45゜を満たすクランクピン相当部と長手方向に同じ位置にある部位毎に異なる値であってもよい。なお、前記傾き(捩る角度)は、荒打ち用の上下金型間に鍛造荒地を置く際の姿勢の操業上のばらつきも考慮すると、角度Tnが正の場合には3〜0.55×Tn゜、角度Tnが負の場合には0.55×Tn〜−3゜とすることが好ましく、更に、角度Tnが正の場合には5〜0.5×Tn゜、角度Tnが負の場合には0.5×Tn〜−5゜とすることが一層好ましい。
【0029】
次いで、上記のように捩り加工して得られたものを鍛造荒地として、通常の方法で荒打ち、仕上げ打ち及びバリ抜きを行えば、前記曲げ加工したのみの通常の鍛造荒地を用いた場合より欠肉部や疵の少ない所望のクランク軸が得られる。
【0030】
なお、上記の場合には、曲げ加工を行った後に対象部位を捩り加工することとしたが、曲げ加工用の型の形状を前記捩り加工後の形状が得られるようなものとして、この型を用いた曲げ加工を施すだけで、前記の捩り加工後の鍛造荒地と同じ形状の鍛造荒地を作製してもよい。すなわち、前記の捩り加工と通常の方法による曲げ加工との2つの工程を、形状を適正化した型を用いた曲げ加工で同時に行うことで、鍛造荒地を作製してもよい。
【0031】
又、捩り加工は対象部位のすべてに施すのがよいが、製品形状によっては欠肉や疵が発生しにくい部位がある場合もあるので、一部の対象部位には捩り加工を施さず、それ以外の対象部位だけに捩り加工を施してもよい。
【0032】
以下、本発明を実施例を用いて更に詳しく説明する。
【0033】
【実施例】
図1に示す気筒数6、カウンターウェイト数8のクランク軸を下記の製造法1〜4の各種方法によって10本ずつ製造した。製造法1は体積が大きなビレットを通常の工程で製造した従来例、製造法2は本発明例、製造法3及び製造法4は本発明の規定条件から外れた比較例である。なお、製造法4では、製造法2及び製造法3の場合と同じ体積が小さなビレットを用いて、製造法1と同様に通常の工程で加工した。
【0034】
図1のクランク軸における角度Tnは1ピンと6ピンの場合には−30゜、3ピンと4ピンの場合には30゜である。又、2ピンと5ピンの場合の角度Tnの絶対値は90゜である。
【0035】
製造法1:JISのS45Cの直径205mmの丸ビレットを1200℃に加熱した後、通常の方法でロール成形し、更に、これを通常の方法によって曲げ打ちして、鍛造荒地を作製した。この後、上記の鍛造荒地を、形状が上下非対称な上金型と下金型を用いて、通常の方法による1100℃での荒打ちを行い、続いて仕上げ打ちとバリ抜きを施して、所定形状のクランク軸を作製した。
【0036】
製造法2:JISのS45Cの直径200mmの丸ビレットを1200℃に加熱した後、通常の方法でロール成形し、更に、これを通常の方法によって曲げ打ちした。この後、部位A及び部位D、並びに、部位B及び部位Cが、Q(クランクジャーナルに相当する部分の中心軸)に垂直な断面上で、前記製造法1に記載した鍛造荒地の同等部分に対して、各ピン部における角度Tnの0.3倍(部位Aと部位Dの場合には−9゜、部位Bと部位Cの場合には9゜)傾くように通常の方法で捩り加工して鍛造荒地を作製した。この後、上記の鍛造荒地を、製造法1に記載した通常の方法による荒打ち、仕上げ打ちとバリ抜きを施して、所定形状のクランク軸を作製した。
【0037】
製造法3:JISのS45Cの直径200mmの丸ビレットを1200℃に加熱した後、通常の方法でロール成形し、更に、これを通常の方法によって曲げ打ちした。この後、部位A及び部位D、並びに、部位B及び部位Cが、Q(クランクジャーナルに相当する部分の中心軸)に垂直な断面上で、前記製造法1に記載した鍛造荒地の同等部分に対して、各ピン部における角度Tnの0.7倍(部位Aと部位Dの場合には−21゜、部位Bと部位Cの場合には21゜)傾くように通常の方法で捩り加工して鍛造荒地を作製した。この後、上記の鍛造荒地を、製造法1に記載した通常の方法による荒打ち、仕上げ打ちとバリ抜きを施して、所定形状のクランク軸を作製した。
【0038】
製造法4:JISのS45Cの直径200mmの丸ビレットを1200℃に加熱した後、通常の方法でロール成形し、更に、これを通常の方法によって曲げ打ちして、鍛造荒地を作製した。この後、上記の鍛造荒地を、製造法1に記載した通常の方法による荒打ち、仕上げ打ちとバリ抜きを施して、所定形状のクランク軸を作製した。
【0039】
前記の各方法で製造した各10本ずつのクランク軸の外観を目視検査して欠肉部と疵の発生状況を調査した結果、製造法1の従来例及び製造法2の本発明例の場合には10本のクランク軸のどれにも欠肉部と疵は生じていなかった。これに対して、製造法3の比較例の場合、10本のクランク軸のうち6本に欠肉部と疵が生じていた。又、製造法4の比較例の場合、10本のクランク軸のうち4本に欠肉部と疵が生じていた。
【0040】
上記の結果から、本発明によれば形状が非対称な上金型と下金型を用いた荒打ち鍛造を経て一体形クランク軸を製造する場合に、欠肉部や疵の発生を抑制できるので歩留りを高くできることが明らかである。
【0041】
【発明の効果】
本発明の鍛造荒地は形状が上下非対称な上金型と下金型を用いた荒打ち鍛造を経て製造する一体形クランク軸に欠肉部や疵を生じにくいので、クランク軸製造の歩留りが高くなる。本発明の一体形クランク軸の製造方法は、本発明の鍛造荒地を用いることによって容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】気筒数6でカウンターウェイト数が8の一体形クランク軸のモデル形状を示す図である。(a)はクランク軸を上方から見た図で、(b)はクランク軸をそのフロント側から見た場合のクランクジャーナルと各クランクピンの位置関係及び前記各部位と荒打ちの圧下方向との関係を示す図である。
【図2】角度Tnを説明する図である。
【図3】図1の気筒数6でカウンターウェイト数が8の一体形クランク軸の鍛造荒地を示す図で、(a)が通常の鍛造荒地の場合で、(a)−1は鍛造荒地を荒打ちの際の上方から見た図であり、(a)−2は鍛造荒地をフロント相当部側から見た図である。(b)は本発明に係る鍛造荒地で、(b)−1は鍛造荒地を荒打ちの際の上方から見た図であり、(b)−2は鍛造荒地をフロント相当部側から見た図である。

Claims (2)

  1. 形状が非対称な上金型と下金型を用いた荒打ち鍛造に供される鍛造荒地における荒打ち後の半鍛造品のクランクピンに相当する部位のうち、荒打ち後の半鍛造品のクランクジャーナルに相当する部分の中心軸に垂直な投影面上で、そのクランクピンに相当する部分の中心とクランクジャーナルに相当する部分の中心軸との間の距離を半径としクランクジャーナルに相当する部分の中心軸を中心とする円と、クランクジャーナルに相当する部分の中心軸を含んで荒打ちの圧下方向に垂直な面とが形成する2つの交点のうち前記クランクピンに相当する部分の中心との距離が小さい方の点、クランクジャーナルに相当する部分の中心軸、及び、前記クランクピンに相当する部分の中心で形成される角度Tnの絶対値が15〜45゜を満たすn番目のクランクピン相当部と長手方向に同じ位置にある部位が、クランクジャーナルに相当する部分の中心軸に垂直な断面において、角度Tnが正の場合には2〜0.6×Tn゜、角度Tnが負の場合には0.6×Tn〜−2゜傾いている一体形クランク軸の鍛造荒地。
    なお、nは正の整数でその最大値は気筒数である。
    角度は、クランク軸のフロント側から見て左回りの場合が正の値、右回りの場合が負の値とする。
  2. 請求項1に記載の鍛造荒地を荒打ちすることを特徴とする一体形クランク軸の製造方法。
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