JP2000301280A - 鍛造荒地及び一体形クランク軸の製造方法 - Google Patents

鍛造荒地及び一体形クランク軸の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】形状が非対称な上下金型による荒打ち鍛造を経
てクランク軸を製造する場合に、欠肉部や疵の発生が防
止できる鍛造荒地を提供する。 【解決手段】鍛造荒地における荒打ち後のクランクピン
に相当する部位のうち、荒打ち後のクランクジャーナル
相当部の中心軸Qに垂直な投影面上で、そのクランクピ
ン相当部の中心RnとQとの間の距離を半径としQを中心
とする円と、Qを含んで荒打ち圧下方向に垂直な面とが
形成する交点のうちRnとの距離が小さい方の点、Q、Rn
で形成される角度Tnの絶対値が15〜45゜を満たすn番
目のクランクピン相当部と長手方向に同じ位置にある部
位が、Qに垂直な断面で角度Tnが正の場合には 2〜0.6
×Tn゜、角度Tnが負の場合には 0.6×Tn〜−2゜傾いて
いる鍛造荒地。ここで、nは正の整数でその最大値は気
筒数、角度は、クランク軸のフロント側から見て左回り
の場合が正の値、右回りの場合が負の値とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鍛造荒地及び一体
形クランク軸の製造方法に関する。より詳しくは、形状
が非対称な上金型と下金型を用いた荒打ち鍛造で使用さ
れる鍛造荒地及びその鍛造荒地を荒打ちする工程を経る
一体形クランク軸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車などのクランク軸は、従来、鋳造
や鍛造によって製造されてきた。しかし、近年、エンジ
ンの軽量化や高出力化が進むにともない、クランク軸に
は高強度、高靱性が要求されるようになり、鍛造で製造
されるクランク軸の需要が高まっている。
【0003】鍛造で製造されるクランク軸は、機械構造
用炭素鋼や合金鋼の角ビレットや丸ビレットを素材とし
て、例えば、ロール成形、曲げ打ち(曲げ加工)、
荒打ち(型鍛造の第1工程)、仕上げ打ち(型鍛造
の第2工程)、バリ抜き(バリ取り)の各工程を経て
成形されてきた。
【0004】図1に例を示すように、クランク軸には大
きな体積を持つカウンターウェイトがクランク軸の回転
中心からそれた位置に、それも回転バランスをとるとい
う目的から、所定の方向に複数個設けられる。
【0005】上記のカウンターウェイトに肉(材料)を
効率よく充満させるためには、一般に、被鍛造材の体積
配分を行う必要がある。前記の「ロール成形」の工程
はクランク軸の長手方向(図1(a)のY−Y方向をい
い、以下、単に「長手方向」という)に体積配分を行う
工程で、この工程を経た後の被鍛造材の断面形状は一般
に矩形ないし円であり、その縦横比はほぼ1.0であ
る。
【0006】前記の「曲げ打ち」の工程はクランク軸
の幅方向(図1(a)のX−X方向をいう)に体積配分
を行う工程で、この工程を経た被鍛造材の断面の縦横
比、つまり、後述する図3の(a)−2に示す「高さ」
/「幅」は1.0を超えるものである。なお、この「縦
横比」は、例えば、鍛錬比を増加させるなどの目的のた
めに2.0程度の大きな値とすることもある。
【0007】更に、クランク軸のうち所謂「立体パーチ
品」の場合には、型鍛造に用いられる上下の金型の合わ
せ面(パーチ面)が同じ平面内にはなく、すべてのクラ
ンクピン中心が同一平面上にならぶような形状にはなっ
ていない。このため、「立体パーチ品」の型鍛造に用い
る金型の形状は上型と下型で非対称になっている部分が
あり、上下の金型形状が非対称な場合には、型鍛造時に
被鍛造材の上下の部分で材料流動に差が生じてしまう。
この材料流動の差は、特に、鍛造することによって被鍛
造材の形状変化が大きくなる荒打ち時に生じやすいた
め、荒打ち後には、材料が型に充満していない部分、つ
まり欠肉部が生じやすい。すなわち、上下どちらか一方
の側に偏って材料が移動してしまうために、他方の側の
材料が不足して欠肉部が生じやすくなる。加えて、上下
非対称な材料流動のために金型の各部位における材料の
充満タイミングが異なるので、別々の部位から流動して
きた材料がバリ部以外、つまり製品相当部で合流しやす
くなり、その境界部が疵となって被鍛造材の製品相当部
表面に残存することがある。この疵が生ずると、前記
の仕上げ打ちやのバリ抜きの後にも消えずに残るの
で、疵の手入れに多くの工数が必要になったり不良品と
なる。
【0008】被鍛造材の体積を大きくすることによっ
て、上記した欠肉部や疵の発生を防ぐことができるが、
歩留りの低下が避けられない。
【0009】クランク軸製造における歩留りを高める技
術としては、例えば特開昭60−27440号公報に
「クランクシャフトの鍛造方法および荒鍛造用金型」が
開示されている。しかし、この公報で提案された方法
は、単に、鍛造用金型に傾斜段差面を設けることによっ
てバリの流出を規制して歩留りの向上を図るものである
ため、特に、型鍛造に用いる上下の金型形状が非対称で
ある場合に問題となる前記疵の発生を完全には防止でき
ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みなされたもので、その目的は、形状が非対称な上金
型と下金型を用いた荒打ち鍛造を経て一体形クランク軸
を製造する場合に、荒打ちでの欠肉部や疵の発生を防ぐ
ことが可能で歩留りを高めることができる鍛造荒地を提
供することである。本発明のもう1つの目的は、形状が
非対称な上金型と下金型による荒打ち鍛造を経る場合に
も、高い歩留りで一体形クランク軸を製造することがで
きる方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)に示す鍛造荒地及び(2)に示す一体形クランク
軸の製造方法にある。
【0012】(1)形状が非対称な上金型と下金型を用
いた荒打ち鍛造に供される鍛造荒地における荒打ち後の
半鍛造品のクランクピンに相当する部位のうち、荒打ち
後の半鍛造品のクランクジャーナルに相当する部分の中
心軸に垂直な投影面上で、そのクランクピンに相当する
部分の中心とクランクジャーナルに相当する部分の中心
軸との間の距離を半径としクランクジャーナルに相当す
る部分の中心軸を中心とする円と、クランクジャーナル
に相当する部分の中心軸を含んで荒打ちの圧下方向に垂
直な面とが形成する2つの交点のうち前記クランクピン
に相当する部分の中心との距離が小さい方の点、クラン
クジャーナルに相当する部分の中心軸、及び、前記クラ
ンクピンに相当する部分の中心で形成される角度Tnの
絶対値が15〜45゜を満たすn番目のクランクピン相
当部と長手方向に同じ位置にある部位が、クランクジャ
ーナルに相当する部分の中心軸に垂直な断面において、
角度Tnが正の場合には2〜0.6×Tn゜、角度Tn
が負の場合には0.6×Tn〜−2゜傾いている一体形
クランク軸の鍛造荒地。
【0013】なお、nは正の整数でその最大値は気筒数
である。
【0014】角度は、クランク軸のフロント側から見て
左回りの場合が正の値、右回りの場合が負の値とする。
【0015】(2)上記(1)に記載の鍛造荒地を荒打
ちすることを特徴とする一体形クランク軸の製造方法。
【0016】なお、「鍛造荒地」とは型鍛造の第1工程
である荒打ちに供される被鍛造材を指す。又、「長手方
向」とは図1(a)のY−Y方向、つまり、クランクジ
ャーナル(相当部分)の中心軸に平行な方向をいう。
【0017】本発明者らは、前記の課題を解決するため
に、「立体パーチ品」として図1に示す気筒数6でカウ
ンターウェイト数が8のクランク軸を対象にした実験を
行った。なお、図1の(a)はクランク軸を上方から見
た図であり、2ピンと5ピンは下向きになっている。こ
のクランク軸は、1ピン、3ピン、4ピン及び6ピンの
各々の長手方向両側にはカウンターウェイトを有する
が、2ピン及び5ピンの長手方向両側にはカウンターウ
ェイトを有さないものである。各ピンは通常品と同様に
アームによってジャーナルとつながれている。図1の
(b)はクランク軸をそのフロント側から見た場合のク
ランクジャーナルと各クランクピンの位置関係及び前記
各部位と荒打ちの圧下方向との関係を示す図である。
【0018】図2は角度Tnの説明図である。前記のク
ランク軸の場合には、角度Tnは1ピンと6ピンの場合
には−30゜、3ピンと4ピンの場合には30゜であ
る。又、2ピンと5ピンの場合の角度Tnの絶対値は9
0゜である。
【0019】先ず、JISのS45Cの直径205mm
の丸ビレットを用いて、通常の方法でロール成形、
曲げ打ち、荒打ち、仕上げ打ち及びバリ抜きを行
った後、被鍛造材の欠肉部と疵の発生状況を調査した。
この直径205mmという大きな丸ビレットを素材とし
た場合には被鍛造材に欠肉部や疵は認められなかった。
【0020】次に、上記ビレットよりも体積の小さい直
径200mmのJISのS45Cの丸ビレットを用い
て、前記と全く同じ方法で、ロール成形及び曲げ打
ちを行い通常の鍛造荒地を作製した。この鍛造荒地の形
状を図3の(a)に示す。なお、図3の(a)−1は鍛
造荒地を荒打ちの際の上方から見た図であり、同図
(a)−2は鍛造荒地をフロント相当部側から見た図で
ある。前記のクランク軸は、1ピン、3ピン、4ピン及
び6ピンの両側にカウンターウェイトを有するものであ
るため、その鍛造荒地はカウンターウェイトを有して大
きな体積を必要とする1ピン、3ピン、4ピン及び6ピ
ン近傍部が太くなっている。
【0021】この鍛造荒地を用いて、先ず通常の方法
で、つまり、前記直径205mmの丸ビレットから作製
した鍛造荒地を用いた場合と全く同じ方法で、荒打
ち、仕上げ打ち及びバリ抜きを行った。この後、被
鍛造材の欠肉部と疵の発生状況を調査したところ、被鍛
造材の約4割のものに欠肉部や疵が生じていた。
【0022】一方、図3(a)に形状を示した上記通常
の鍛造荒地を捩り加工してから、荒打ち、仕上げ打
ち及びバリ抜きを施す実験も行った。すなわち、荒打
ちを行う際に上下の金型間に鍛造荒地を配置したとき
の、鍛造金型(荒型)の1ピン相当部と長手方向に同じ
位置にある鍛造荒地の部位(以下、「部位A」という)
及び荒型の6ピン相当部と長手方向に同じ位置にある鍛
造荒地の部位(以下、「部位D」という)、並びに、荒
型の3ピン相当部と長手方向に同じ位置にある鍛造荒地
の部位(以下、「部位B」という)及び荒型の4ピン相
当部と長手方向に同じ位置にある鍛造荒地の部位(以
下、「部位C」という)が、Q(クランクジャーナルに
相当する部分の中心軸)に垂直な断面上で、直径200
mmの丸ビレットから作製した図3(a)に示す通常の
鍛造荒地同等部位に対して、各ピン部における角度Tn
の0.2倍(1ピンと6ピンの場合には−6゜、3ピン
と4ピンの場合には6゜)傾くように捩り加工によって
成形し、図3(b)に示す鍛造荒地を作製した。上記の
捩り加工は、鍛造荒地の捩りを加える各部位をそれぞれ
別個の上下型で挟み込んで保持した状態で、各部位を型
ごと回転させる機構を有する装置を用いて行った。な
お、図3の(b)−1は鍛造荒地を荒打ちの際の上方か
ら見た図であり、同図(b)−2は鍛造荒地をフロント
相当部側から見た図である。この鍛造荒地を用いて、
荒打ち、仕上げ打ち及びバリ抜きを行い、この後、
被鍛造材の欠肉部と疵の発生状況を調査した。この結
果、被鍛造材に欠肉部や疵は全く認められなかった。
【0023】図1に示すクランク軸について、前記の捩
る角度を種々変えて同様の実験を行うとともに、他の種
類のクランク軸についても同様の実験を行った。
【0024】その結果、前記した角度Tnの絶対値が1
5〜45゜を満たすクランクピン相当部と長手方向に同
じ位置にある部位が、Q(クランクジャーナルに相当す
る部分の中心軸)に垂直な断面上で、角度Tnが正の場
合には2〜0.6×Tn゜、角度Tnが負の場合には
0.6×Tn〜−2゜傾いている鍛造荒地を用いれば、
通常の方法で製作された鍛造荒地を用いた場合よりバリ
抜き後の被鍛造材に欠肉部や疵が生じにくいことが判明
した。
【0025】本発明は上記の知見に基づいて完成された
ものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の詳細を説明す
る。
【0027】先ず、通常の方法で溶製した鋼塊から通常
の方法で鋼片を製造し、これを通常の方法でロール成形
した後で通常の方法で曲げ加工を行い、前記角度Tnの
絶対値が15〜45゜を満たすクランクピン相当部と長
手方向に同じ位置にある部位を、Q(クランクジャーナ
ルに相当する部分の中心軸)に垂直な断面において、前
記曲げ加工したままの通常の鍛造荒地の同等部分に対し
て、角度Tnが正の場合には2〜0.6×Tn゜、角度
Tnが負の場合には0.6×Tn〜−2゜傾くように捩
り加工する。
【0028】角度Tnが正の場合に前記傾き(捩る角
度)が2゜未満であれば、又、角度Tnが負の場合に前
記傾きが−2゜を超えれば、バリ抜き後の被鍛造材には
欠肉部や疵が生じやすくなる。一方、角度Tnが正の場
合に前記傾きが0.6×Tn゜を超えれば、又、角度T
nが負の場合に前記傾きが0.6×Tn゜未満であれ
ば、荒打ちの際に鍛造荒地の姿勢が安定しないため、バ
リ抜き後の被鍛造材には欠肉部や疵が生じやすくなる。
このため、前記傾き(捩る角度)は角度Tnが正の場合
には2〜0.6×Tn゜、角度Tnが負の場合には0.
6×Tn〜−2゜とする必要がある。この傾き(捩る角
度)は、上記の範囲でありさえすれば、既に述べた角度
Tnの絶対値が15〜45゜を満たすクランクピン相当
部と長手方向に同じ位置にある部位毎に異なる値であっ
てもよい。なお、前記傾き(捩る角度)は、荒打ち用の
上下金型間に鍛造荒地を置く際の姿勢の操業上のばらつ
きも考慮すると、角度Tnが正の場合には3〜0.55
×Tn゜、角度Tnが負の場合には0.55×Tn〜−
3゜とすることが好ましく、更に、角度Tnが正の場合
には5〜0.5×Tn゜、角度Tnが負の場合には0.
5×Tn〜−5゜とすることが一層好ましい。
【0029】次いで、上記のように捩り加工して得られ
たものを鍛造荒地として、通常の方法で荒打ち、仕上げ
打ち及びバリ抜きを行えば、前記曲げ加工したのみの通
常の鍛造荒地を用いた場合より欠肉部や疵の少ない所望
のクランク軸が得られる。
【0030】なお、上記の場合には、曲げ加工を行った
後に対象部位を捩り加工することとしたが、曲げ加工用
の型の形状を前記捩り加工後の形状が得られるようなも
のとして、この型を用いた曲げ加工を施すだけで、前記
の捩り加工後の鍛造荒地と同じ形状の鍛造荒地を作製し
てもよい。すなわち、前記の捩り加工と通常の方法によ
る曲げ加工との2つの工程を、形状を適正化した型を用
いた曲げ加工で同時に行うことで、鍛造荒地を作製して
もよい。
【0031】又、捩り加工は対象部位のすべてに施すの
がよいが、製品形状によっては欠肉や疵が発生しにくい
部位がある場合もあるので、一部の対象部位には捩り加
工を施さず、それ以外の対象部位だけに捩り加工を施し
てもよい。
【0032】以下、本発明を実施例を用いて更に詳しく
説明する。
【0033】
【実施例】図1に示す気筒数6、カウンターウェイト数
8のクランク軸を下記の製造法1〜4の各種方法によっ
て10本ずつ製造した。製造法1は体積が大きなビレッ
トを通常の工程で製造した従来例、製造法2は本発明
例、製造法3及び製造法4は本発明の規定条件から外れ
た比較例である。なお、製造法4では、製造法2及び製
造法3の場合と同じ体積が小さなビレットを用いて、製
造法1と同様に通常の工程で加工した。
【0034】図1のクランク軸における角度Tnは1ピ
ンと6ピンの場合には−30゜、3ピンと4ピンの場合
には30゜である。又、2ピンと5ピンの場合の角度T
nの絶対値は90゜である。
【0035】製造法1:JISのS45Cの直径205
mmの丸ビレットを1200℃に加熱した後、通常の方
法でロール成形し、更に、これを通常の方法によって曲
げ打ちして、鍛造荒地を作製した。この後、上記の鍛造
荒地を、形状が上下非対称な上金型と下金型を用いて、
通常の方法による1100℃での荒打ちを行い、続いて
仕上げ打ちとバリ抜きを施して、所定形状のクランク軸
を作製した。
【0036】製造法2:JISのS45Cの直径200
mmの丸ビレットを1200℃に加熱した後、通常の方
法でロール成形し、更に、これを通常の方法によって曲
げ打ちした。この後、部位A及び部位D、並びに、部位
B及び部位Cが、Q(クランクジャーナルに相当する部
分の中心軸)に垂直な断面上で、前記製造法1に記載し
た鍛造荒地の同等部分に対して、各ピン部における角度
Tnの0.3倍(部位Aと部位Dの場合には−9゜、部
位Bと部位Cの場合には9゜)傾くように通常の方法で
捩り加工して鍛造荒地を作製した。この後、上記の鍛造
荒地を、製造法1に記載した通常の方法による荒打ち、
仕上げ打ちとバリ抜きを施して、所定形状のクランク軸
を作製した。
【0037】製造法3:JISのS45Cの直径200
mmの丸ビレットを1200℃に加熱した後、通常の方
法でロール成形し、更に、これを通常の方法によって曲
げ打ちした。この後、部位A及び部位D、並びに、部位
B及び部位Cが、Q(クランクジャーナルに相当する部
分の中心軸)に垂直な断面上で、前記製造法1に記載し
た鍛造荒地の同等部分に対して、各ピン部における角度
Tnの0.7倍(部位Aと部位Dの場合には−21゜、
部位Bと部位Cの場合には21゜)傾くように通常の方
法で捩り加工して鍛造荒地を作製した。この後、上記の
鍛造荒地を、製造法1に記載した通常の方法による荒打
ち、仕上げ打ちとバリ抜きを施して、所定形状のクラン
ク軸を作製した。
【0038】製造法4:JISのS45Cの直径200
mmの丸ビレットを1200℃に加熱した後、通常の方
法でロール成形し、更に、これを通常の方法によって曲
げ打ちして、鍛造荒地を作製した。この後、上記の鍛造
荒地を、製造法1に記載した通常の方法による荒打ち、
仕上げ打ちとバリ抜きを施して、所定形状のクランク軸
を作製した。
【0039】前記の各方法で製造した各10本ずつのク
ランク軸の外観を目視検査して欠肉部と疵の発生状況を
調査した結果、製造法1の従来例及び製造法2の本発明
例の場合には10本のクランク軸のどれにも欠肉部と疵
は生じていなかった。これに対して、製造法3の比較例
の場合、10本のクランク軸のうち6本に欠肉部と疵が
生じていた。又、製造法4の比較例の場合、10本のク
ランク軸のうち4本に欠肉部と疵が生じていた。
【0040】上記の結果から、本発明によれば形状が非
対称な上金型と下金型を用いた荒打ち鍛造を経て一体形
クランク軸を製造する場合に、欠肉部や疵の発生を抑制
できるので歩留りを高くできることが明らかである。
【0041】
【発明の効果】本発明の鍛造荒地は形状が上下非対称な
上金型と下金型を用いた荒打ち鍛造を経て製造する一体
形クランク軸に欠肉部や疵を生じにくいので、クランク
軸製造の歩留りが高くなる。本発明の一体形クランク軸
の製造方法は、本発明の鍛造荒地を用いることによって
容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】気筒数6でカウンターウェイト数が8の一体形
クランク軸のモデル形状を示す図である。(a)はクラ
ンク軸を上方から見た図で、(b)はクランク軸をその
フロント側から見た場合のクランクジャーナルと各クラ
ンクピンの位置関係及び前記各部位と荒打ちの圧下方向
との関係を示す図である。
【図2】角度Tnを説明する図である。
【図3】図1の気筒数6でカウンターウェイト数が8の
一体形クランク軸の鍛造荒地を示す図で、(a)が通常
の鍛造荒地の場合で、(a)−1は鍛造荒地を荒打ちの
際の上方から見た図であり、(a)−2は鍛造荒地をフ
ロント相当部側から見た図である。(b)は本発明に係
る鍛造荒地で、(b)−1は鍛造荒地を荒打ちの際の上
方から見た図であり、(b)−2は鍛造荒地をフロント
相当部側から見た図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荻田 武司 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 (72)発明者 福留 祐樹 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4E087 AA04 AA05 AA10 BA14 BA17 CA11 CA15 CA33 CB01 CB04 DA04 DA05 DB02 DB07 DB15 DB16 DB23 DB24 EC01 EC12 EC22 EC37 EC46 EC54 HA32

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】形状が非対称な上金型と下金型を用いた荒
    打ち鍛造に供される鍛造荒地における荒打ち後の半鍛造
    品のクランクピンに相当する部位のうち、荒打ち後の半
    鍛造品のクランクジャーナルに相当する部分の中心軸に
    垂直な投影面上で、そのクランクピンに相当する部分の
    中心とクランクジャーナルに相当する部分の中心軸との
    間の距離を半径としクランクジャーナルに相当する部分
    の中心軸を中心とする円と、クランクジャーナルに相当
    する部分の中心軸を含んで荒打ちの圧下方向に垂直な面
    とが形成する2つの交点のうち前記クランクピンに相当
    する部分の中心との距離が小さい方の点、クランクジャ
    ーナルに相当する部分の中心軸、及び、前記クランクピ
    ンに相当する部分の中心で形成される角度Tnの絶対値
    が15〜45゜を満たすn番目のクランクピン相当部と
    長手方向に同じ位置にある部位が、クランクジャーナル
    に相当する部分の中心軸に垂直な断面において、角度T
    nが正の場合には2〜0.6×Tn゜、角度Tnが負の
    場合には0.6×Tn〜−2゜傾いている一体形クラン
    ク軸の鍛造荒地。なお、nは正の整数でその最大値は気
    筒数である。角度は、クランク軸のフロント側から見て
    左回りの場合が正の値、右回りの場合が負の値とする。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の鍛造荒地を荒打ちするこ
    とを特徴とする一体形クランク軸の製造方法。
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