JP5152079B2 - 型鍛造クランク軸、その製造方法、およびその製造に用いられる型鍛造用金型 - Google Patents

型鍛造クランク軸、その製造方法、およびその製造に用いられる型鍛造用金型 Download PDF

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Description

本発明は、熱間鍛造によって製造される型鍛造クランク軸に関し、特に、型鍛造クランク軸が外周加工、穴あけ加工および高周波焼入れが施される軸部を有する場合、穴あけ加工によって形成される加工穴において高周波焼入れに起因する割れの発生を防止できる型鍛造クランク軸、その製造方法、およびその製造に用いられる型鍛造用金型に関する。
クランク軸は、ピストンの往復運動を回転運動に変換して動力を得るエンジンの主要部品であり、型鍛造によって製造されるものと、鋳造によって製造されるものとに大別される。自動車や船舶や建設機械などのエンジンにおいては、多くの場合、クランク軸に高い強度と剛性が要求されることから、型鍛造によって製造される型鍛造クランク軸が広く用いられている。
通常、型鍛造クランク軸は、角鋼片または丸鋼片を素材とし、予備成形工程、型鍛造工程、バリ抜き工程および整形工程を順に経て製造される。予備成形工程には、ロール成形工程と曲げ打ち工程が含まれ、型鍛造工程には、荒打ち工程と仕上打ち工程が含まれる。
ロール成形工程では、加熱した鋼片を孔型ロールで圧延してその体積を長手方向に分配する。曲げ打ち工程では、ロール成形で得られた中間素材を長手方向と直角な方向にプレスしてその体積を分配する。
荒打ち工程では、最終鍛造製品の寸法形状と概ね一致した彫刻部を有する上下に一対の金型を用い、予備成形で得られた中間素材をプレス鍛造する。仕上打ち工程では、最終鍛造製品の寸法形状と一致した彫刻部を有する上下に一対の金型を用い、荒打ちで得られた中間素材をプレス鍛造する。これら荒打ちおよび仕上打ちのとき、互いに対向する金型の型割面の間から、余材がバリとして流出する。
バリ抜き工程では、仕上打ちで得られたバリ付きの中間鍛造製品を上下から金型で保持しつつ、刃物型によってバリを打ち抜き除去する。整形工程では、バリを除去した中間鍛造製品を上下から金型でプレスし、最終鍛造製品の寸法形状に矯正する。こうして、型鍛造クランク軸が製造される。
図1は、従来の型鍛造クランク軸の一例を模式的に示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は側面図、同図(c)は軸部を代表するフランジ部の径方向断面図、同図(d)はフランジ部の外側端面図である。同図では、直列4気筒エンジン用の型鍛造クランク軸101を例示している。
図1に示す型鍛造クランク軸101は、フロント部2、5つのジャーナル部3、4つのピン部4、フランジ部5、および各ジャーナル部3と各ピン部4の間に配置される8つのカウンターウエイト6から構成される。これらのうちで、フロント部2、ジャーナル部3およびフランジ部5は、クランク軸の回転中心と同軸上に配置され、ピン部4は、クランク軸の回転中心からピストンストロークの半分の距離を隔てて配置される。これらのフロント部2、ジャーナル部3、ピン部4およびフランジ部5は、いずれも円柱状の軸部である。
型鍛造クランク軸101は、上述した型鍛造工程でバリが発生し、そのバリをバリ抜き工程で除去されることから、その痕跡として、全周にわたりバリ線7が現れる。通常、軸部(フロント部2、ジャーナル部3、ピン部4およびフランジ部5)は、図1(c)、(d)に示すように、径方向断面の形状がバリ線7を挟んで型鍛造用金型の上型側と下型側とで対称の半円状とされる。
このような型鍛造クランク軸101は、エンジンに搭載するクランク軸として機能させるため、種々の加工や熱処理が施される(例えば、特許文献1、2参照)。
図2は、型鍛造クランク軸を加工した後の一例を模式的に示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)はフランジ部の外側端面図である。同図に例示する型鍛造クランク軸101は前記図1に示すものに対応し、図2(a)では、一部を断面図で表している。
図2に示すように、フロント部2、ジャーナル部3、ピン部4およびフランジ部5は、いずれも外周を機械加工され、所定の外径に仕上げられる。ジャーナル部3は、すべり軸受ブッシュを介してエンジンブロックに支持される。ピン部4は、ピストンが連結されたコンロッドの端部に、すべり軸受ブッシュを介して連結される。
ジャーナル部3およびピン部4には、穴あけ加工により、径方向に貫通する油穴8a、8bがそれぞれ設けられ、さらにピン部4の油穴8bとジャーナル部3の油穴8aを連通する油穴8cが設けられる。クランク軸がエンジン内で回転する際、ジャーナル部3には、これを支持するエンジンブロックから潤滑油が供給され、ピン部4には、その潤滑剤が油穴8a、8c、8bを通じて供給される。
フランジ部5の外側端面には、穴あけ加工により、同一円周上で等間隔に複数のボルト穴9が設けられる。フランジ部5の外側端面には、フライホイールが取り付けられ、このフライホイールはボルト穴9と螺合するボルトによって強固に固定される。
ジャーナル部3およびピン部4は、すべり軸受ブッシュと摺動することから、耐摩耗性が要求される。このため、ジャーナル部3およびピン部4は、外周に高周波焼入れが施されることが多い。また、フランジ部5の外周にも高周波焼入れが施されることがある。
特開2000−145890号公報 特開平5−340418号公報
このように外周加工、穴あけ加工および高周波焼入れが施された軸部は、穴あけ加工によって形成された加工穴(ジャーナル部の油穴や、ピン部の油穴や、フランジ部のボルト穴など)に、高周波焼入れに起因して割れ(以下、「穴割れ」ともいう)が発生することがある。すなわち、軸部の外周には高周波焼入れにより焼入れ硬化層が形成され、この焼入れ硬化層およびその焼境層には著しい引張応力が作用するため、その焼入れ硬化層または焼境層に加工穴が重なる場合、引張応力の作用により、焼割れや置き割れといった穴割れが発生し易い。
図3は、加工後の型鍛造クランク軸において、高周波焼入れに起因する穴割れの発生状況の一例を示すフランジ部の外側端面図である。同図に示すように、フランジ部5の外周に高周波焼入れが施され、焼入れ硬化層10または焼境層にボルト穴9が重なる場合、ボルト穴9からフランジ部5の外周にわたって穴割れ14が発生する。
従来、穴割れが発生した場合、高周波焼入れの条件を調整して対処している。しかし、高周波焼入れ条件の調整は、極めて煩雑な作業であり、焼入れ硬化層の特性を変動させるおそれもあることから、限界がある。このため、高周波焼入れ条件の調整では穴割れの発生を十分に抑制することができず、新たな対応策が強く望まれている。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、型鍛造クランク軸が外周加工、穴あけ加工および高周波焼入れが施される軸部を有する場合、バリ線の位置を規定することにより、加工穴で高周波焼入れに起因する割れの発生を防止できる型鍛造クランク軸、その製造方法、およびその製造に用いられる型鍛造用金型を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、型鍛造クランク軸に外周加工、穴あけ加工および高周波焼入れを施し、フランジ部において穴割れが発生したものを詳細に調査した。その結果、穴割れは、バリ線上に中心が重なる特定のボルト穴のみに発生していることが分かった。
図4は、加工後の型鍛造クランク軸において、穴割れの発生位置を説明するフランジ部の外側端面図である。同図では、加工前のフランジ部の外周およびバリ線7も合わせて示している。同図に示すように、バリ線7上に中心が重なるボルト穴9には穴割れ14が発生し、その他のボルト穴9には穴割れが発生しない。
このような穴割れの発生状況は以下の理由から説明することができる。型鍛造クランク軸の素材である鋼片には各種の介在物が存在する。この介在物は、型鍛造クランク軸を製造する際の型鍛造工程において、金型の型割面の間から流出するバリにも含まれる。このとき、型鍛造用金型の型割面の近傍では鋼が著しく圧下され、鋼の流動も著しいことから、介在物のうちのマンガン硫化物(以下、「MnS」という)がバリ中で伸長し、細長い線状になる。
このため、型鍛造クランク軸のバリ線上には、多くのMnSが細長い線状で存在し、このMnSにより割れ感受性が高まる。このことから、バリ線上に中心が重なるように加工穴が設けられた場合、細長い線状のMnSを起点にして加工穴に割れが発生し易い。
一方、バリ線から外れた位置では、型鍛造工程でMnSが細長い線状になることは少なく、割れ感受性が低い。このため、バリ線から外れた位置に中心が重なるように加工穴が設けられた場合は、加工穴に割れが発生し難い。
本発明は、以上の知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)の型鍛造クランク軸、下記(2)の型鍛造クランク軸の製造方法、および下記(3)の型鍛造クランク軸の型鍛造用金型を要旨としている。
(1)外周加工、穴あけ加工および高周波焼入れが施される軸部を有する型鍛造クランク軸であって、前記軸部として、当該型鍛造クランク軸の後端部を構成し、外側端面に前記穴あけ加工によってボルト穴が穿設されるフランジ部を有し、前記フランジ部のバリ線が前記ボルト穴の中心から外れた位置に設けられ、且つ前記フランジ部の径方向断面の形状が前記バリ線を挟んで非対称であることを特徴とする型鍛造クランク軸である。
(2)外周加工、穴あけ加工および高周波焼入れが施される軸部を有する型鍛造クランク軸の製造方法であって、前記型鍛造クランク軸は、前記軸部として、当該型鍛造クランク軸の後端部を構成し、外側端面に前記穴あけ加工によってボルト穴が穿設されるフランジ部を有するものであり、当該製造方法は、前記ボルト穴の中心から外れた位置に型割面配置され、且つ前記フランジ部の径方向断面の形状が前記型割面を挟んで非対称である金型を用いて、鍛造を行う型鍛造工程と、前記型割面の間から流出したバリを除去するバリ抜き工程と、を含むことを特徴とする型鍛造クランク軸の製造方法である。
(3)外周加工、穴あけ加工および高周波焼入れが施される軸部を有する型鍛造クランク軸の型鍛造用金型であって、前記型鍛造クランク軸は、前記軸部として、当該型鍛造クランク軸の後端部を構成し、外側端面に前記穴あけ加工によってボルト穴が穿設されるフランジ部を有するものであり、当該型鍛造用金型は、前記ボルト穴の中心から外れた位置に型割面配置され、且つ前記フランジ部の径方向断面の形状が前記型割面を挟んで非対称であることを特徴とする型鍛造クランク軸の型鍛造用金型である。
本発明の型鍛造クランク軸によれば、軸部に形成される加工穴の中心が、細長い線状のMnSが多く存在するバリ線上に重ならないため、加工穴での割れ感受性が低減し、軸部の外周に高周波焼入れが施される場合であっても、加工穴で高周波焼入れに起因する穴割れの発生を防止することができる。
また、本発明の型鍛造クランク軸の製造方法によれば、加工穴の中心から外れた位置に型割面を配置した本発明の型鍛造用金型を用いることにより、加工穴で高周波焼入れに起因する穴割れの発生を防止できる型鍛造クランク軸を製造することが可能になる。
従来の型鍛造クランク軸の一例を模式的に示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は側面図、同図(c)は軸部を代表するフランジ部の径方向断面図、同図(d)はフランジ部の外側端面図である。 型鍛造クランク軸を加工した後の一例を模式的に示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)はフランジ部の外側端面図である。 加工後の型鍛造クランク軸において、高周波焼入れに起因する穴割れの発生状況の一例を示すフランジ部の外側端面図である。 加工後の型鍛造クランク軸において、穴割れの発生位置を説明するフランジ部の外側端面図である。 本発明の型鍛造クランク軸の一例を模式的に示す図であり、同図(a)は側面図、同図(b)はフランジ部の外側端面図、同図(c)はフランジ部の内側端面図である。 本発明の型鍛造クランク軸におけるバリ線形状の変形例を示すフランジ部の外側端面図である。 前記図5に示す本発明の型鍛造クランク軸の製造工程を説明する図である。 実施例の試験における介在物形態の調査結果を示す図であり、同図(a)は本発明例の結果を示し、同図(b)は比較例の調査結果を示している。
以下に、本発明の型鍛造クランク軸、その製造方法、およびその製造に用いられる型鍛造用金型の実施形態について詳述する。
図5は、本発明の型鍛造クランク軸の一例を模式的に示す図であり、同図(a)は側面図、同図(b)はフランジ部の外側端面図、同図(c)はフランジ部の内側端面図である。同図に例示する型鍛造クランク軸1は前記図1および図2に示すものに対応し、図5(b)では、加工後のフランジ部の外周およびボルト穴9も合わせて示している。
同図に示すように、本実施形態の型鍛造クランク軸1においては、フランジ部5のバリ線7が、フランジ部5の中心から型鍛造用金型の上型側にシフトされて、ボルト穴9の中心から外れた位置に設けられている。すなわち、図5(b)に示すように、フランジ部5は、径方向断面の形状がバリ線7を挟んで上型側と下型側とで非対称とされる。この場合、ボルト穴9からフランジ部5表面までの引張応力が高くなる最短距離上にバリ線7が存在しない。
一方、フランジ部5以外の他の軸部(フロント部2、ジャーナル部3およびピン部4)は、図1に示す従来の型鍛造クランク軸101と同様に、径方向断面の形状がバリ線7を挟んで上型側と下型側とで対称の半円状とされる。
このような構成の型鍛造クランク軸1によれば、フランジ部5に形成されるボルト穴9の中心が、細長い線状のMnSが多く存在するバリ線7上に重ならないため、ボルト穴9での割れ感受性が低減する。その結果、フランジ部5の外周に高周波焼入れが施される場合であっても、ボルト穴9で高周波焼入れに起因する穴割れの発生を防止することができる。
図6は、本発明の型鍛造クランク軸におけるバリ線形状の変形例を示すフランジ部の外側端面図である。図6(a)に示すように、フランジ部5のバリ線7を、フランジ部5の中心から下型側にシフトして、ボルト穴9の中心から外れた位置に設けても構わない。また、図6(b)、(c)に示すように、フランジ部5のバリ線7を、ボルト穴9の中心から外れるように斜めに設けても構わない。
図7は、前記図5に示す本発明の型鍛造クランク軸の製造工程を説明する図である。同図では、製造工程のうちの型鍛造工程とバリ抜き工程を示し、フランジ部に設けるボルト穴9も合わせて示している。
型鍛造工程では、図7(a)、(b)に示すように、フランジ部5を形成する彫刻部の形状が上型11と下型12とで異なる金型を用いる。具体的には、上型11と下型12それぞれのフランジ部5での型割面11a、12aが、フランジ部5の中心からいずれも同じ上型側方向にシフトされ、ボルト穴9の中心から外れた位置に配置されている。すなわち、フランジ部5に対応する彫刻部は、径方向断面の形状が上型11と下型12とで非対称とされる。
このような金型を用いて型鍛造を行うと、図7(b)に示すように、互いに対向する上型11と下型12の型割面11a、12aの間からバリ13が流出する。これにより、バリ13がボルト穴9の中心から外れた位置に設けられた状態になる。
そして、図7(c)、(d)に示すように、バリ抜き工程でバリ13を打ち抜いて除去する。これにより、バリ線7がボルト穴9の中心から外れた位置に設けられ、フランジ部5のボルト穴9で穴割れの発生を防止できる型鍛造クランク軸を得ることが可能になる。
本発明の型鍛造クランク軸の効果を確認するため、以下に示す試験を実施して、その結果を評価した。試験では、下記表1に代表組成を示す硫黄快削鋼の鋼片を用いて熱間鍛造を行い、フランジ部のバリ線がボルト穴の中心から外れた前記図5に示す型鍛造クランク軸(本発明例)を20本製造した。また、比較のため、同鋼種の鋼片を用いて、フランジ部のバリ線がボルト穴の中心上にある前記図1に示す型鍛造クランク軸(比較例)を20本製造した。これらの供試クランク軸におけるフランジ部の外径はφ90mmとした。
Figure 0005152079
各供試クランク軸のフランジ部について、外径をφ85mmに加工するとともに、比較例の供試クランク軸のバリ線上に相当する位置に、フランジ部の外周と3mmの隙間を設けて、内径がφ12mmで深さが13mmの穴を加工した後、高周波焼入れを施してフランジ部の外周に厚さが1.5mmの焼入れ硬化層を形成した。そして、2時間放置した後、加工穴とフランジ部の外周にわたる領域を目視観察して、穴割れの発生状況を調査した。さらに、同領域からサンプルを採取し、研磨を行った後、顕微鏡を用いて撮影したサンプル表面の画像を画像解析し、検出した介在物の形態を調査した。
本発明例の供試クランク軸では、穴割れは1本も発生しなかった。一方、比較例の供試クランク軸では、20本中3本に穴割れが発生した。
図8は、実施例の試験における介在物形態の調査結果を示す図であり、同図(a)は本発明例の結果を示し、同図(b)は比較例の調査結果を示している。同図では、画像解析で検出した各介在物の幅Wに対する長さLの比率(L/W)を縦軸とし、各介在物の等面積円相当径を横軸として、介在物の形態をまとめた。尚、調査は、バリ線がボルト穴の中心から外れた本発明例においては、バリ線に最も近いボルト穴からフランジ部表面までの最短距離上を含む領域、バリ線がボルト穴の中心上にある比較例では当該ボルト穴からフランジ部表面までの最短距離上を含む領域にて、それぞれ行った。
本発明例の供試クランク軸では、図8(a)に示すように、介在物(MnS含む)は、全てL/Wが4以下であり、円相当径も小さいことから、短いことが分かる。このため、本発明例の場合、割れ感受性が低く、穴割れが発生し難いことが明らかになった。
一方、比較例の供試クランク軸では、図8(b)に示すように、同領域に存在する介在物(MnS含む)は、その多くでL/Wが4を超え、円相当径も大きいことから、細長い線状であることが分かる。このため、比較例の場合、割れ感受性が高く、穴割れが発生し易いことが明らかになった。
その他本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、高周波焼入れが施されるジャーナル部やピン部について、油穴がバリ線上に開口するように設計されている場合、そのバリ線を油穴の中心から外れる位置に変更することができる。
本発明の型鍛造クランク軸によれば、軸部に形成される加工穴の中心がバリ線上に重ならないため、加工穴での割れ感受性が低減し、軸部の外周に高周波焼入れが施される場合であっても、加工穴で高周波焼入れに起因する穴割れの発生を防止することができる。
また、本発明の型鍛造クランク軸の製造方法によれば、加工穴の中心から外れた位置に型割面を配置した本発明の型鍛造用金型を用いることにより、加工穴で高周波焼入れに起因する穴割れの発生を防止できる型鍛造クランク軸を製造することが可能になる。
1:型鍛造クランク軸、 2:フロント部、 3:ジャーナル部、
4:ピン部、 5:フランジ部、 6:カウンターウエイト、
7:バリ線、 8a、8b、8c:油穴、 9:ボルト穴、
10:焼入れ硬化層、 11:上型、 12:下型、
11a:上型の型割面、 12a:下型の型割面、 13:バリ、
14:穴割れ

Claims (3)

  1. 外周加工、穴あけ加工および高周波焼入れが施される軸部を有する型鍛造クランク軸であって、
    前記軸部として、当該型鍛造クランク軸の後端部を構成し、外側端面に前記穴あけ加工によってボルト穴が穿設されるフランジ部を有し、
    前記フランジ部のバリ線が前記ボルト穴の中心から外れた位置に設けられ、且つ前記フランジ部の径方向断面の形状が前記バリ線を挟んで非対称であることを特徴とする型鍛造クランク軸。
  2. 外周加工、穴あけ加工および高周波焼入れが施される軸部を有する型鍛造クランク軸の製造方法であって、
    前記型鍛造クランク軸は、前記軸部として、当該型鍛造クランク軸の後端部を構成し、外側端面に前記穴あけ加工によってボルト穴が穿設されるフランジ部を有するものであり、
    当該製造方法は、前記ボルト穴の中心から外れた位置に型割面配置され、且つ前記フランジ部の径方向断面の形状が前記型割面を挟んで非対称である金型を用いて、鍛造を行う型鍛造工程と、
    前記型割面の間から流出したバリを除去するバリ抜き工程と、を含むことを特徴とする型鍛造クランク軸の製造方法。
  3. 外周加工、穴あけ加工および高周波焼入れが施される軸部を有する型鍛造クランク軸の型鍛造用金型であって、
    前記型鍛造クランク軸は、前記軸部として、当該型鍛造クランク軸の後端部を構成し、外側端面に前記穴あけ加工によってボルト穴が穿設されるフランジ部を有するものであり、
    当該型鍛造用金型は、前記ボルト穴の中心から外れた位置に型割面配置され、且つ前記フランジ部の径方向断面の形状が前記型割面を挟んで非対称であることを特徴とする型鍛造クランク軸の型鍛造用金型。
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