JP6965648B2 - 遠心振り子ダンパの設計方法 - Google Patents

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Description

本発明は、遠心振り子ダンパの設計方法に関する。
内燃機関(エンジン)を搭載した自動車は、エンジンの駆動による回転力をクランクシャフト、変速機のインプットシャフト、ドライブシャフト、或いはこれらに取り付けられている回転部品を介して車輪に伝達して、車体を動かす。エンジンが駆動されると、エンジンの気筒数に応じた回転変動がクランクシャフト等の回転体に伝播される。この回転変動は、乗り心地の低下や変速機音等の発生等を引き起こすことが知られている。そのため、回転体に設置することにより回転変動を吸収、又は減衰するダイナミックダンパが多数提案されている。その1つとして遠心振り子ダンパ(例えば、特許文献1,2参照)がある。
図12に示す特許文献1の遠心振り子ダンパ31は、内燃機関のクランクシャフト(図示略)に設置されたフライホイールの端部にロータ33が固定される。ロータ33には、円周方向に等配分された4個の振り子35が揺動可能に支持される。このロータ33は、振り子35の揺動運動(振り子運動)によって、エンジンの振動と回転非周期性とを減衰させる。
上記のような遠心振り子ダンパの性能を向上させる技術が特許文献2に開示されている。特許文献2によれば、振り子35の重心軌道曲率を変化させること、具体的には、振り子35の揺動中立位置からの移動量が大きくなるに従い、段階的に重心軌道曲率を小さくすることが記載されている。
図13に振り子35の揺動機構を模式的に示した。
ロータ33に形成された軌道溝37と、振り子35に形成された軌道溝39には、ピン41が挿入される。振り子35が周方向に移動すると、ピン41が軌道溝37と軌道溝39との間で転動することにより、振り子35が軌道溝37、39により設定される揺動軌道に沿って移動する。
振り子35の重心をGとすると、振り子35は、重心Gが図中TRで示す軌道上で往復移動する。この揺動軌道TRは、ロータ33の回転中心Oから距離Lだけ離れた揺動中心Oを中心とした揺動半径Rの軌道である。特許文献2の遠心振り子ダンパは、揺動軌道TRの中央位置から揺動端に向けて変位するにつれ、振り子35の揺動半径Rが段階的に変化するようになっている。
独国特許出願公開第102011079729号明細書 特許第3221866号公報
しかしながら、特許文献2には、振り子35の揺動半径Rを具体的にどの程度変化させるかについては、何も記載されていない。
一般的な遠心振り子ダンパの制振特性を図14、図15に示す。図14と図15は、横軸を振動次数、縦軸をトルクとして表したグラフであり、図15は図14における振動次数の範囲を一部拡大して示している。
これらのグラフは、角速度が任意に制御可能な駆動源により回転軸を駆動し、回転軸に生じる振動次数ごとのトルクをセンサにより取得した結果をプロットして、特性関数として得たものである。
振動次数を1から増加させると、遠心振り子ダンパが発生するトルクが上昇する。この場合、トルクのピークは、振動次数が2.05〜2.12付近にある。これ以降の振動次数でのトルクは、ピーク値から一旦減少して、ピーク前のトルクと同等となる特徴がある。
図14、図15に特性を示す遠心振り子ダンパは、4気筒エンジンの振動制振用として製作され、2次の振動次数の振動のみを緩和するように設計されている。この場合、振り子の励起振動次数は、振動を緩和したい特定振動次数(この場合は2次)から振動次数の高次側にずらしてある(2.05次)。励起振動次数が2次と2.05次とでは、2.05次の方が、トルク値が大きく制振効果が高いように思えるが、実際には、励起振動次数を2.05次にすると、図12に示す振り子35の振れが過剰となり、振り子35の揺動軌道の軌道端で、ピン41が軌道溝37,39の端部に突き当たってしまう。その場合、振り子35の挙動が著しく不安定となる。また、振り子の励起振動次数を2.05次から2.15次の間の範囲Wとした場合も同様に、振り子35の挙動は不安定となる。このようにトルク値が大きい振動次数の範囲Wでは、制振性能が低下すると共に、ロータ33や振り子35が損傷を受ける等の強度の問題や、突き当て時における衝突音の問題等が発生する。
上記した事情から、遠心振り子ダンパは、振動を緩和したい振動次数から敢えて励起振動次数をずらして設計し、利用するのが一般的であった。その場合、振動を緩和したい振動次数に関して、遠心振り子ダンパの制振能力を直接設定することは難しく、結果として、遠心振り子ダンパの制振能力を必要以上に抑制した状態に設計することになっていた。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、振動を緩和したい振動次数での制振能力を従来よりも高くしつつ、しかも適正な制振性能が安定して得られる遠心振り子ダンパの設計方法を提供することにある。
本発明は下記構成からなる。
ロータと、前記ロータの回転中心から半径方向に離間して、それぞれ周方向へ揺動可能に前記ロータに支持された振り子とを有する遠心振り子ダンパの設計方法であって、
前記振り子の励起振動次数を、前記振り子の振り角が特定範囲の領域では一定にし、前記特定範囲を超える領域では前記振り角に応じて変化させ、
前記励起振動次数を変化させる場合に、
前記振り子の振動次数に対する前記遠心振り子ダンパのトルク吸収量の変化を表す特性線をトルク吸収特性としたとき、
前記特性線の前記励起振動次数よりも前記振動次数の低次側における変化勾配を小さくし、前記特性線を前記振動次数の低次側へオフセットさせて、振動を軽減させる特定振動次数における前記トルク吸収量を増加させる遠心振り子ダンパの設計方法。
本発明に係る遠心振り子ダンパの設計方法によれば、振動を緩和したい振動次数での制振能力を従来よりも高くしつつ、しかも適正な制振性能が安定して得られようになる。
遠心振り子ダンパのロータと振り子との関係を模式的に示すモデル図である。 振り子の振り角と揺動半径との関係を模式的に示す説明図である。 振り角に対する振り子の揺動半径の比を示すグラフである。 振り子の振動次数に対するトルク吸収量の変化を表すトルク吸収特性を示すグラフである。 振り子の振動次数に対する振り角の変化特性を示すグラフである。 図4に示すR変更構造のトルク吸収特性の特性線を、振動次数の低次側へオフセットさせたL/R変更構造のトルク吸収特性、及び基準構造及びR変更構造のトルク吸収特性を示すグラフである。 図6に対応したL/R変更構造、基準構造、及びR変更構造の振動次数に対する振り角の変化特性を示すグラフである。 L/R変更構造における振り角に対する振り子の揺動半径の比を示すグラフである。 L/R変更構造を微調整したL/R変更(微調整)構造、及び基準構造のトルク吸収特性を表すグラフである。 図9に対応したL/R変更(微調整)構造、及び基準構造の振動次数に対する振り角の変化特性を示すグラフである。 (A)は振り子を揺動させる際に振り子を重心回りに自転させる場合を示す説明図、(B)は振り子を揺動させる際に振り子の姿勢を変化させない場合を示す説明図である。 従来の遠心振り子ダンパの構成図である。 従来の振り子の揺動機構を模式的に示す機構説明図である。 一般的な遠心振り子ダンパの制振特性を示す図であって、横軸を振動次数、縦軸をトルクとして表したグラフである。 図14における振動次数の範囲を一部拡大して示したグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
遠心振り子ダンパは、ロータと、ロータの回転中心から半径方向に離間して、それぞれ周方向へ揺動可能にロータに支持された振り子とを有する。遠心振り子ダンパの構成として、例えば、図12に示すようなロータ33と複数の振り子35とを備える構成が挙げられるが、本発明に適用可能な遠心振り子ダンパの構成は、これに限らない。また、振り子の数、形状、支持形態等も任意である。
<遠心振り子ダンパの構成>
図1は遠心振り子ダンパのロータと振り子との関係を模式的に示すモデル図である。
図示例の遠心振り子ダンパ10は、ロータの回転中心Oから半径方向に距離Lだけ離間して、振り子の揺動中心Oが位置する。振り子は、ロータに揺動可能に支持され、揺動中心Oから揺動半径Rの位置に振り子の重心Gが配置される。振り子は、ロータの回転に伴って、周方向に沿った振り角θで揺動(往復運動)する。
図2は振り子11の振り角θと揺動半径Rとの関係を模式的に示す説明図である。
本遠心振り子ダンパの設計方法においては、概略的には、振り子の揺動による振り角θが、図中にΔθで示す特定範囲の領域では、振り子の揺動半径Rを一定にしたり、揺動軌跡をエピサイクロイド曲線にしたり、サイクロイド曲線にして、振り子の励起振動次数を一定にする。また、振り子の振り角θが特定範囲Δθを超える領域では、振り角θに応じて振り子の揺動半径Rを変化させる等の手法により、励起振動次数を変更する(第1の手順)。図示例では、振り角θが特定範囲Δθを超える領域で、振り子の揺動半径Rを振り角θに応じて短くしている。
<遠心振り子ダンパの設計方法>
次に、遠心振り子ダンパの設計方法のより具体的な手順を、シミュレーション結果を用いて説明する。
図3は振り角θに対する振り子の揺動半径の比を示すグラフである。
振り子の揺動半径Rは、振り角θが特定範囲Δθ(一例として、−0.3rad≦θ≦0.3rad)の領域では、一定の励起振動次数となるような揺動半径Rに設定される。また、振り角θが特定範囲Δθを超える領域では、振り角θが0°の場合の揺動半径をR、揺動半径Rの揺動半径Rに対する比をR/Rとすると、比(R/R)が、振り角θが0°から離れるほど小さく設定される。つまり、揺動半径Rを、基準となる揺動半径Rよりも小さく設定する。
図4は振り子の振動次数に対するトルク吸収量の変化を表すトルク吸収特性を示すグラフであり、図5は振り子の振動次数に対する振り角θの変化特性を示すグラフである。
図4,図5には、振り子の励起振動次数が一定になるように設定した揺動半径Rの基準構造の遠心振り子ダンパによる特性と、上記した第1の手順により、揺動半径Rを振り角θに応じて変化させたR変更構造の遠心振り子ダンパによる特性とを、それぞれ解析的に求めたシミュレーション結果を示してある。
図4に示す基準構造のトルク吸収特性と、R変更構造のトルク吸収特性とを比較すると、振動次数が低い側から2.04付近までは、双方が共に略同じ特性となる。R変更構造のトルク吸収特性は、振動次数が2.04を超えると、基準構造のトルク吸収特性よりもなだらかな勾配でトルクが上昇する。つまり、R変更構造のトルク吸収特性は、励起振動次数よりも振動次数が低い側では、基準構造のトルク吸収特性よりもトルク吸収特性の変化勾配が小さい。また、図5に示す振り角の変化特性も同様に、振動次数が2.04のときに、振り角θが双方で共に0.3rad程度となる。振動次数が2.04を超えると、R変更構造の特性は、基準構造の特性よりも変化勾配が小さくなる。
図4に示すトルクの上昇は、振り子の揺動によって、振り子がロータに接触し、これ以上は振れなくなる最大振り角θまで続く。
このシミュレーション結果の場合、図5に示すように、振り子が最大振り角θに到達する振動次数は、基準構造では2.05であり、R変更構造では2.1である。図4に示すトルク吸収特性も振り角の変化特性と同様の特性となっている。
以上の第1の手順により、励起振動次数よりも振動次数の低次数側においては、R変更構造のトルク吸収特性の特性線が、基準構造のトルク吸収特性の特性線よりも変化勾配が小さくなるように変更される。
次に、第2の手順を説明する。
第1の手順では、トルク吸収特性の振動次数に対する変化勾配を小さくしたが、特に振動を緩和させたい特定振動次数(ここでは、4気筒エンジンの場合の振動次数2.0)においては、トルク吸収量は大きく増加することはない。そのため、遠心振り子ダンパの制振性能が特段に向上することもない。
次の第2の手順では、特定振動次数におけるトルク吸収量を増加させて、遠心振り子ダンパの制振性能を向上させる。
図6は図4に示すR変更構造のトルク吸収特性の特性線を、振動次数の低次側へオフセットさせたL/R変更構造のトルク吸収特性、及び基準構造及びR変更構造のトルク吸収特性を示すグラフである。図7は図6に対応したL/R変更構造、基準構造、及びR変更構造の振動次数に対する振り角の変化特性を示すグラフである。
ここで、遠心振り子ダンパ10においては、振り子の振り角θが大きくなって、ロータと振り子とが接触することは、前述したように諸問題を引き起こすため避けたい。そこで、ロータと振り子とが接触する最大振り角θとなる振動次数を、基準構造のトルク吸収特性での励起振動次数と一致させるように、R変更構造のトルク吸収特性の特性線を振動次数の低次側にオフセットさせる。
基準構造のトルク吸収特性では、振り子の過剰な振れを避けるため、特に振動を緩和させたい特定振動次数(2.0次)から励起振動次数を高次側にずらして設計されている。この設計によれば、振り子の揺動によって、振り子がロータに接触する位置に到達しにくくなる。そのため、R変更構造のトルク吸収特性を、基準構造の励起振動次数のずらしに準じて、特性線を振動次数の低次側にオフセットすることで、振り子の過剰の振れを回避できる。
上記した特性線を振動次数の低次側へオフセットする方法に関しては、一般的な遠心振り子の設計方法に基づいて行える。即ち、図1に示す距離Lと揺動半径Rとの比率を、下記(1)式を用いて調整することで、励起振動次数nを変更できる。
=(L/R) ・・・(1)
図4に示す基本構造のトルク吸収特性は、励起振動次数を2.05として求めた結果である。図6、図7によれば、オフセットさせたい振動次数が0.05(2.1から2.05にオフセット)であるので、励起振動次数を2(2.05−0.05=2)として設計する。
これにより、距離Lと揺動半径Rが決定される。なお、距離Lと揺動半径Rとの合計長さは、遠心振り子ダンパを搭載するスペース等の制約により、設計初期で決まっている。基準構造の励起振動次数nが2.05のとき、(1)式の(L/R)項の値は4.2025である。これに対し、オフセットさせた(L/Rを変更した)L/R変更構造のトルク吸収特性では、励起振動次数が2であるので、(L/R)項の値は4となる。このようにして、遠心振り子ダンパの距離Lと揺動半径Rを設定することで、図1に示す遠心振り子ダンパの幾何学構造が決まる。
図8はL/R変更構造における振り角θに対する振り子の揺動半径の比を示すグラフである。ここで、縦軸は図6、図7に示すL/R変更構造の揺動半径Rの比(R/R)である。
L/R変更構造においては、前述した振り角θの特定範囲Δθの領域、即ち、−0.3rad≦θ≦0.3radの領域では、揺動半径の比(R/R)が1を超えた一定値に設定される。揺動半径の比(R/R)が1を超えるということは、揺動半径Rが、基準構造の揺動半径Rよりも大きくなることを意味する。
図9はL/R変更構造を微調整したL/R変更(微調整)構造、及び基準構造のトルク吸収特性を表すグラフ、図10は図9に対応したL/R変更(微調整)構造、及び基準構造の振動次数に対する振り角の変化特性を示すグラフである。
図9、図10に示すL/R変更(微調整)構造は、図7、図8に示すL/R変更構造に対し、更に図4と図5に示す概念を再度施して微調整した結果である。具体的には、図7、図8で得られた構造に対し、特定範囲Δθの外側の領域の比R/Rの最適化を更に施す。これにより、オフセットに起因するトルク吸収特性の変化が生じても、この最適化によって更に最適なトルク吸収特性の変化勾配が得られる。なお、この微調整を複数回実施することで、より良いトルク吸収特性が得られることもある。
図9に示すL/R変更(微調整)構造のトルク吸収特性は、図6に示す変化勾配が小さくされたR変更構造のトルク吸収特性を、互いの励起振動次数が一致するように特性線をオフセットしたものである。そのため、振動次数の低次側ではオフセット前よりもトルク吸収量が増加する。
基準構造のトルク吸収特性は、励起振動次数の近傍で急峻なカーブで立ち上がる特性線であり、このトルク吸収特性の特性線を振動次数の低次側にオフセットしても、トルク吸収量が増加するのは励起振動次数に近い領域だけとなる。そこで、L/R変更構造、L/R変更(微調整)構造のように、トルク吸収特性の変化勾配を小さくすることにより、トルク吸収特性の特性線をオフセットした際、振動次数の低次側における広い範囲で、振動トルク吸収量を大きく増加させることができる。つまり、図9に示すように、L/R変更(微調整)構造によれば、特に振動を緩和したい振動次数(2.0)の制振能力をΔTで示す分、高めることができる。
また、図10のA部に示すように、最大振り角θの位置についても同様であって、L/R変更(微調整)構造は、基準構造と比較してトルク吸収特性の変化勾配が小さいため、励起振動次数が高次側にずれている。これにより、振り子は、ロータと接触するまでの余裕を持てることになる。
以上の通り、本実施形態の遠心振り子ダンパの設計方法によれば、振り子の励起振動次数を、振り子の振り角が特定範囲では一定にし、特定範囲を超える領域では、上記した第1の手順と第2の手順により変更する。
即ち、第1の手順では、振り子の揺動半径を振り角に応じて変化させ、これにより、振動次数に対するトルク吸収量の変化を表すトルク吸収特性の、特に励起振動次数よりも振動次数の低次側における変化勾配を小さくする。第2の手順では、変化勾配が小さくなったトルク吸収特性の特性線を、振動次数の低次側にシフトして、振動を緩和させたい振動次数におけるトルク吸収量を増加させる。
これら手順の実施により、遠心振り子ダンパの特定振動次数での制振能力が、従来の設計方法によるトルク吸収特性よりも高められる。しかも、振り子の振り角は、ロータに接触する最大振り角までの余裕が得られ、揺動によって振り子がロータに突き当たりにくくなる。つまり、従来では、振り子の揺動動作の等時性を向上させて制振性能を高めようとする設計思想であったが、本設計方法では、等時性を逆に狂わせることで制振性能を高めている。この設計方法によれば、遠心振り子ダンパの使用時における性能が従来以上に高められる。また、振り子の揺動動作が不安定になりにくく、常に所望の制振性能が安定して得られる。
更に、本設計方法により設計された遠心振り子ダンパによれば、エンジン気筒数に応じた回転変動を吸収して、無用な振動を効率よく減衰させることができる。
<他の設計方法>
上記した遠心振り子ダンパの設計方法は、適宜な変更が可能である。
上記の設計方法においては、振り角θが特定範囲Δθを超える領域の励起振動次数は、振り子の揺動半径R、ロータの回転中心から揺動中心までの距離Lを調整することで変化させたが、励起振動次数の変更方法はこれに限らない。
図11(A)は振り子11を揺動させる際に振り子11を重心G回りに自転させる場合を示す説明図、図11(B)は振り子11を揺動させる際に振り子11の姿勢を変化させない場合を示す説明図である。
図11(A)に示すように、振り子11を揺動させる際に、揺動中心Oから延びる腕部13の先端が振り子11に回転不能に接続されると、振り子11は、腕部13と一体となって揺動する。この場合、振り子11は、揺動に伴って振り子11が重心Gを中心に矢印P方向に自転するため、振り子11は回転エネルギを消費する。
一方、図11(B)に示すように、腕部13の先端部が振り子11に回転自在に接続することで、振り子11を、振り角θによらず常に一定の姿勢にできる。この場合、振り子11は揺動に伴う自転が生じないため、振り子11は回転エネルギを消費しない。
そのため、図11(A)に示すように、振り子11の重心G回りの回転を揺動動作に加えると、振り子11の励起振動次数は変化する。そこで、振り子11の励起振動次数を、振り子の揺動半径R、ロータの回転中心から揺動中心までの距離L、振り子の重心G回りの自転動作と、を組み合わせて変更して、緩和したい振動次数の制振能力の向上を達成することもできる。
更には、振り子の励起振動次数を、振り子11の重心G回りの自転動作のみを調整ことで変化させることでもよい。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) ロータと、前記ロータの回転中心から半径方向に離間して、それぞれ周方向へ揺動可能に前記ロータに支持された振り子とを有する遠心振り子ダンパの設計方法であって、
前記振り子の励起振動次数を、前記振り子の振り角が特定範囲の領域では一定にし、前記特定範囲を超える領域では前記振り角に応じて変化させ、
前記励起振動次数を変化させる場合に、
前記振り子の振動次数に対する前記遠心振り子ダンパのトルク吸収量の変化を表す特性線をトルク吸収特性としたとき、
前記特性線の前記励起振動次数よりも前記振動次数の低次側における変化勾配を小さくし、前記特性線を前記振動次数の低次側へオフセットさせて、振動を軽減させる特定振動次数における前記トルク吸収量を増加させる遠心振り子ダンパの設計方法。
この遠心振り子ダンパの設計方法によれば、振動を緩和させたい特定振動次数におけるトルク吸収量を、トルク吸収特性の変化勾配を小さくし、特性線を振動次数の低次側へオフセットすることで、効率よく増加させることができる。
(2) 前記トルク吸収特性の変化勾配を、前記振り子の揺動半径を短くすることにより小さくする(1)に記載の遠心振り子ダンパの設計方法。
この遠心振り子ダンパの設計方法によれば、振り子の振り角の増加に伴って振り子の揺動半径を短く設定することで、振り子の励起振動次数が高められる。これにより、トルク吸収特性の変化勾配を揺動半径が一定の場合と比較して小さくできる。
(3) 前記オフセットは、前記ロータの回転中心から前記振り子の揺動中心までの距離と、前記振り子の揺動半径との調整により実施する(1)又は(2)に記載の遠心振り子ダンパの設計方法。
この遠心振り子ダンパの設計方法によれば、揺動中心までの距離と揺動半径とを調整することにより、トルク吸収特性の特性線をオフセットできる。
(4) 前記オフセットは、前記ロータの回転中心から前記振り子の揺動中心までの距離をL、前記振り子の揺動半径をR、前記振り子の前記励起振動次数をnとしたときに、
=(L/R)
を満たすように前記距離Lと前記揺動半径Rを決定することにより実施する(3)に記載の遠心振り子ダンパの設計方法。
この遠心振り子ダンパの設計方法によれば、距離Lと揺動半径Rによって、所望の励起振動次数を得ることができ、遠心振り子ダンパの幾何学的構造を決定できる。
(5) 前記振り子を該振り子の重心回りに回転させる前記振り子の自転動作を更に含めて前記励起振動次数を変化させる(3)に記載の遠心振り子ダンパの設計方法。
この遠心振り子ダンパの設計方法によれば、振り子の自転動作も含めて励起振動次数を変化させるため、励起振動次数の変更代が広がり、設計自由度が向上する。
(6) 前記励起振動次数は、前記振り子を該振り子の重心回りに回転させる前記振り子の自転動作の調整のみで変化させる(1)に記載の遠心振り子ダンパの設計方法。
この遠心振り子ダンパの設計方法によれば、振り子の重心回りの回転だけを変化させるので、ロータの回転中心から振り子の揺動中心までの距離と、振り子の揺動半径の設計自由度を高めることができる。
10 遠心振り子ダンパ
G 重心
L ロータ中心から揺動中心までの距離
振り子の揺動中心
ロータの回転中心
R 揺動半径
θ 振り角

Claims (6)

  1. ロータと、前記ロータの回転中心から半径方向に離間して、それぞれ周方向へ揺動可能に前記ロータに支持された振り子とを有する遠心振り子ダンパの設計方法であって、
    前記振り子の励起振動次数を、前記振り子の振り角が特定範囲の領域では一定にし、前記特定範囲を超える領域では前記振り角に応じて変化させ、
    前記励起振動次数を変化させる場合に、
    前記振り子の振動次数に対する前記遠心振り子ダンパのトルク吸収量の変化を表す特性線をトルク吸収特性としたとき、
    前記特性線の前記励起振動次数よりも前記振動次数の低次側における変化勾配を小さくし、前記特性線を前記振動次数の低次側へオフセットさせて、振動を軽減させる特定振動次数における前記トルク吸収量を増加させる遠心振り子ダンパの設計方法。
  2. 前記トルク吸収特性の変化勾配を、前記振り子の揺動半径を短くすることにより小さくする請求項1に記載の遠心振り子ダンパの設計方法。
  3. 前記オフセットは、前記ロータの回転中心から前記振り子の揺動中心までの距離と、前記振り子の揺動半径との調整により実施する請求項1又は請求項2に記載の遠心振り子ダンパの設計方法。
  4. 前記オフセットは、前記ロータの回転中心から前記振り子の揺動中心までの距離をL、前記振り子の揺動半径をR、前記振り子の前記励起振動次数をnとしたときに、
    =(L/R)
    を満たすように前記距離Lと前記揺動半径Rを決定することにより実施する請求項3に記載の遠心振り子ダンパの設計方法。
  5. 前記振り子を該振り子の重心回りに回転させる前記振り子の自転動作を更に含めて前記励起振動次数を変化させる請求項3に記載の遠心振り子ダンパの設計方法。
  6. 記振り子を該振り子の重心回りに回転させる前記振り子の自転動作を、回転自在又は回転不能のいずれかにして、前記励起振動次数を変化させる請求項1に記載の遠心振り子ダンパの設計方法。
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