JP5471560B2 - 内燃機関の可変圧縮比装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の可変圧縮比装置に関し、特に、アクチュエータに作用する荷重や振動を低減するための技術に関する。
内燃機関の可変圧縮比装置として、複リンク式ピストン−クランク機構を利用して、ピストンのストローク特性、つまりピストン上死点位置や下死点位置を変化させることで、内燃機関の幾何学的な圧縮比・機械的な圧縮比(以下、単に「機関圧縮比」と呼ぶ)を変更可能なものを本出願人は以前に提案している。例えば特許文献1には、ピストンとクランクシャフトとをアッパリンクとロアリンクを介して連結し、ロアリンクの姿勢を制御することで、機関圧縮比を可変に制御している。具体的には、一端がロアリンクに連結され、他端がクランクシャフトと略平行に延びる制御軸の偏心軸部に連結された制御リンクを備え、駆動モータなどのアクチュエータにより制御軸の回転位置を変化させることにより、制御リンクを介してロアリンクの姿勢を制御している。
特開2006−226133号公報
このような複リンク式ピストン−クランク機構を利用した可変圧縮比装置においては、各気筒の燃焼圧や慣性力等が制御リンクを介して制御軸の回転軸から偏心した位置に作用するので、制御軸には非常に大きな負荷トルクが繰り返し作用するために、曲げ変形や捻れ変形を伴う比較的大きな振動を生じ、この制御軸に減速機や駆動モータ等のアクチュエータを直接的に接続した場合、アクチュエータに大きな負荷トルクや振動が入力するために、高い耐久性が求められ、アクチュエータの大型化・高出力化を避けることが難しい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、制御リンク側よりアクチュエータへ作用する負荷トルクや振動を低減することを主たる目的としている。すなわち、本発明に係る内燃機関の可変圧縮比装置は、ピストンのピストンピンとクランクシャフトのクランクピンとを機械的に連係する複数のリンクと、機関本体に回転可能に取り付けられた第1制御軸及び第2制御軸と、一端が上記複数のリンクの一つに回転可能に連結されるとともに、他端が第1制御軸に偏心して設けられた制御偏心軸部に回転可能に連結された制御リンクと、一端が第1制御軸に偏心して設けられた第1偏心軸部に回転可能に連結されるとともに、他端が第2制御軸に偏心して設けられた第2偏心軸部に回転可能に連結された連結リンクと、機関圧縮比を変更及び保持するアクチュエータと、を有する内燃機関の可変圧縮比装置において、上記アクチュエータが、上記第2制御軸側に接続され、この第2制御軸の回転位置を変更及び保持するものであり、かつ、上記第1制御軸の中心から第1偏心軸部の中心までの腕長さを、第2制御軸の中心から第2偏心軸部の中心までの腕長さよりも大きく設定したことを特徴としている。
このように制御リンクとアクチュエータとの間に少なくとも2本の第1,第2制御軸を介装することで、燃焼荷重や各運動部品の慣性力により制御リンク側より作用する負荷トルクを各々の制御軸で分担して受けることで、制御軸1本当りに作用するトルクが低減するので、制御リンク側より第1,第2制御軸や連結リンクを経由して最終的にアクチュエータ側に作用する最大荷重を低減することができる。また、多気筒内燃機関の場合、複数の気筒の制御リンクが接続する第1制御軸には、各気筒の燃焼荷重や慣性力が繰り返し作用するために振動を生じ易いものの、この第1制御軸ではなく、連結リンクを介して第1制御軸と連結された第2制御軸側にアクチュエータを接続することで、アクチュエータが第1制御軸の振動を直接受けることがない。従って、制御リンク側からアクチュエータへ作用する荷重や振動成分を大幅に低減し、アクチュエータの小型化や耐久性・信頼性の向上を図ることができる。
多気筒内燃機関では、第1制御軸に複数の気筒の制御リンクが連結することとなるため、この第1制御軸にアクチュエータを接続しようとした場合、そのスペースを確保することが難しく、例えば第1制御軸を延長してその前端や後端にアクチュエータを接続すると、その分、内燃機関の軸方向寸法が増加し、大型化や重量増加を招いてしまう。これに対し本発明では、第1制御軸に連結リンクを介して接続する第2制御軸にアクチュエータを接続する構成としているために、レイアウトの自由度が高く、機関搭載性が向上する。
更に本発明では、第1制御軸における腕長さを、第2制御軸における腕長さよりも大きく設定しており、つまり、第2制御軸の回転角度に対して第1制御軸の回転角度が小さくなるために、連結リンクにより第1制御軸と第2制御軸とを接続する連結機構が減速機構として機能し、制御リンクからアクチュエータ側へ作用する負荷トルクを更に低減することができ、かつ、アクチュエータの駆動トルクを減速つまり増幅して制御リンク側へ伝えることができるために、更なるアクチュエータの小型化・低出力化を図ることができる。
本発明によれば、制御リンクよりアクチュエータ側へ作用する負荷トルクや振動を低減し、アクチュエータの小型化・低出力化を図ることができる。
本発明の一実施例に係る複リンク式ピストン−クランク機構を利用した可変圧縮比装置の基本構成を簡略的に示す構成図。 連結リンクと第2制御軸との連結部分を一部破断して示す斜視図。 同じく連結リンクと第2制御軸との連結部分を一部破断して示す斜視図。 連結リンクと第2制御軸の作動を示す作動説明図。 同じく連結リンクと第2制御軸の作動を簡略的に示す作動説明図。 減速機の一例としての波動歯車減速機を示す断面図。 上記波動歯車減速機の波動発生器に作用するスラスト力の方向を示す作用説明図。 スプライン結合部を適用した波動歯車減速機の一実施例を示す断面図。 スプライン結合部から波動発生器に作用するスラスト力の方向を示す作用説明図。
以下本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る複リンク式の可変圧縮比装置の一例を模式的に示した概略構成図である。なお、図1においては、機関圧縮比を変更・保持するための後述する駆動モータ30や減速機32(図2参照)を図示省略している。また、複リンク式ピストン−クランク機構を利用した可変圧縮比装置の基本的な構成や機関圧縮比が変化するメカニズムや圧縮比制御方法等は、例えば上記の特開2006−226133号公報等により公知であるため、詳細な説明は省略する。
この可変圧縮比装置は、機関本体としてのシリンダブロックのシリンダ内を昇降するピストン1のピストンピン2に上端が回転可能に取り付けられたアッパリンク3と、クランクシャフト4のクランクピン4Aに回転可能に取り付けられたロアリンク5と、を有している。ロアリンク5には、アッパリンク3の下端がリンク連結ピン6を介して回転可能に連結されるとともに、制御リンク7の上端部が制御ピン8を介して回転可能に連結されている。
そして、後述するアクチュエータとしての駆動モータ30(図2参照)により連結機構10を介して制御リンク7の下端部の位置を変更することで、ロアリンク5の姿勢が変化し、機関圧縮比が連続的に変化する。この制御リンク7の下端部と駆動モータ30とを連結する連結機構10は、第1制御軸11及び第2制御軸12と、両者11,12を連結する連結リンク13と、により大略構成されている。
第1制御軸11は、クランクシャフト4と平行に機関内部を気筒列方向に延びており、シリンダブロックなどの機関本体側に回転可能に支持される第1ジャーナル部11Aと、各気筒の制御リンク7の下端部が回転可能に取り付けられる複数の制御偏心軸部11Dと、連結リンク13の一端が回転可能に取り付けられる第1偏心軸部11Bと、を有している。制御偏心軸部11Dは、制御アーム部11Eを介して第1ジャーナル部11Aに対して所定量偏心した位置に設けられ、同じく第1偏心軸部11Bは、第1アーム部11Cを介して第1ジャーナル部11Aに対して所定量偏心した位置に設けられている。
第2制御軸12は、機関本体側のハウジング14(図2等参照)に回転可能に支持される第2ジャーナル部12Aと、連結リンク13の他端が回転可能に取り付けられる第2偏心軸部12Bと、を有している。第2偏心軸部12Bは、第2アーム部12Cを介して第2ジャーナル部12Aに対して所定量偏心した位置に設けられている。この第2制御軸12に駆動モータ30が接続されており、駆動モータ30により第2制御軸12の回転位置を変更することによって、連結リンク13を介して第1制御軸11が回転し、制御リンク7の下端部の位置が移動して、ロアリンク5の姿勢が変化し、ピストンストローク特性の変化を伴って機関圧縮比が変化する。
このような複リンク式ピストン−クランク機構を利用した可変圧縮比装置によれば、機関運転状態に応じて機関圧縮比を適正化することで燃費や出力向上を図れることに加え、ピストンとクランクシャフトとを一本のリンクで連結した単リンク機構に比して、ピストンストローク特性そのものを例えば単振動に近い特性に適正化することができる。また、単リンク機構に比して、クランクスローに対するピストンストロークを長くとることができ、機関全高の短縮化や高圧縮比化を図ることができる。更に、アッパリンク3の傾きを適正化することで、ピストン1やシリンダに作用するスラスト荷重を低減・適正化し、ピストンやシリンダの軽量化を図ることができる。
また、図示の例では、制御リンク7をロアリンク5に連結しているために、制御リンク7に接続する連結機構10や駆動モータ30を、比較的スペースに余裕のあるクランクシャフト下方側に配置することができ、機関搭載性が良い。但し、制御リンク7をアッパリンク3に連結する構成とすることも可能である。また、アクチュエータとしては駆動モータ30に限らず、例えば油圧制御弁を用いた油圧式の駆動装置であっても良い。
次に、図2〜図5を参照して、連結機構10の連結リンク13と第2制御軸12との連結部分の構造について詳細に説明する。なお、図5は模式的に示した説明図であり、図2〜図4に対してハウジング14の形状等を簡略的に描いている。
図2を参照して、第2制御軸12を駆動及び保持するアクチュエータは、この実施例では制御部(図示省略)により駆動・制御される駆動モータ30であり、この駆動モータ30の入力軸と第2制御軸12との間に減速機32が介装されており、減速機32に第2制御軸12の一端が直結されている。第2制御軸12を回転可能に支持する機関本体としてのハウジング14は、減速機32のケーシングと一体的に形成されており、図4に示すように、駆動モータ30とともに同じく機関本体としてのオイルパン側壁15に機関外側より横付けに固定されている。このオイルパン側壁15には、連結リンク13が挿通するための適宜なスリット15Aが形成されている。
第2制御軸12の第2アーム部12Cは、連結リンク13の端部を挟み込むフォーク状・扇状をなす一対の片部16が根本部18で接続された構造をなしており、これら一対の片部16と連結リンク13とを、第2偏心軸部12Bとしての連結ピンが挿通している。根本部18には、連結リンク13との干渉を回避するスリット19が一対の片部16間の空間に連なる形で形成されており、つまりスリット19により根本部18が半月状に切り欠かれた構造となっている。なお、根本部18との干渉を回避するように、連結リンク13側も略L字状に湾曲する適宜な形状に形成されている。このようにして、第2制御軸と第2偏心軸部とは連結リンクの端部を挟み込む一対の片部で接続され、一対の片部に挟まれた範囲において第2制御軸に連結リンクとの干渉を回避するスリットが形成されている。
図4に示すように、第2制御軸12は、その片部16の周方向の両側面がハウジング14の壁面により形成される高圧縮比側ストッパ20と低圧縮比側ストッパ21とに突き当たる範囲内で回転可能となっており、基本的には、低圧縮比方向Dlow(図の時計方向)へ回転すると機関圧縮比が低下し、第2制御軸12が高圧縮比方向Dhigh(図の反時計方向)へ回転すると機関圧縮比が上昇するようになっている。
より具体的には、図4(A)は、第2制御軸12が最も高圧縮比方向Dhigh(図の反時計回り方向)に回転して、その片部16の高圧縮比側の側面が高圧縮比側ストッパ20に突き当てられた状態を示し、このときに、最高圧縮比の設定状態となる。図4(C)は、第2制御軸12が最も低圧縮比方向Dlow(図の時計回り方向)に回転して、片部16の低圧縮比側の側面が低圧縮比側ストッパ21に突き当てられた状態を示している。なお、このときの圧縮比は最低圧縮比ではなく、後述する180度の臨界姿勢のときに最低圧縮比となる(図5参照)。図4(B)は、両者の中間の状態を示している。従って、この第2制御軸12の回転可能範囲は、図4(A)の片部16の一方の側面が高圧縮比側ストッパ20に突き当てられた状態から、図4(C)の片部16の他方の側面が低圧縮比側ストッパ21に突き当てられるまでの範囲であり、この回転可能範囲では、連結リンク13がハウジング14や第2制御軸12と干渉することのないように、連結リンク13,ハウジング14や第2制御軸12の形状などが設定されている。なお、実際に制御で使用する第2制御軸12の角度範囲は、制御中にストッパ20,21に衝突することのないように、上記の回転可能範囲よりも狭く設定されている。
このような本実施例の特徴的な構成及び作用効果について、図2〜図5を参照して説明する。
[1]アクチュエータとしての駆動モータ30が、第1,第2制御軸のうちで第2制御軸12に接続され、この第2制御軸12の回転位置を変更及び保持するように構成されている。従って、シリンダブロックのような機関本体に回転可能に取り付けられる第1制御軸11と第2制御軸12とで、燃焼荷重や各運動部品の慣性力を分担して受けることで、制御軸1本当りに作用するトルクが低減するので、制御リンク7側より第1制御軸11,連結リンク13及び第2制御軸12を経由して最終的に駆動モータ30側に作用する最大の負荷トルク(荷重)を低減することができる。
また、多気筒内燃機関の場合、複数の気筒の制御リンク7が接続する第1制御軸11には、各気筒の燃焼荷重や慣性力が繰り返し作用するために振動を生じ易いものの、本実施例では、この第1制御軸11ではなく、連結リンク13を介して第1制御軸11と連結された第2制御軸12側に駆動モータ30を接続することで、駆動源である駆動モータ30や減速機32が第1制御軸11の振動を直接受けることがない。従って、制御リンク7側から駆動モータ30へ作用する荷重や振動成分を大幅に低減し、駆動モータ30の小型化や耐久性・信頼性の向上を図ることができる。
更に、多気筒内燃機関で仮に第1制御軸の方にアクチュエータを直接接続しようとすると、この第1制御軸には各気筒の制御リンクが連結しているために、第1制御軸の周囲にアクチュエータを接続するスペースを確保することが難しい。このため、例えば第1制御軸を延長してその前端や後端にアクチュエータを接続すると、その分、内燃機関の軸方向寸法が増加し、大型化や重量増加を招いてしまう。これに対し本実施例では、第1制御軸11に連結リンク13を介して接続する第2制御軸12に駆動モータ30を接続する構成としているために、レイアウトの自由度が高く、駆動モータ30を第1制御軸11の軸方向から離れた部分に配置することも容易に可能となる。従って、本実施例のような直列多気筒内燃機関の場合には、駆動モータ30をオイルパン側壁15に機関外側より横付けし、連結リンク13を介して内燃機関の内部に位置する第1制御軸11と連結する構成とすることも容易に可能となり、機関搭載性に優れている。
加えて本実施例では、図5に示すように、第1制御軸11における第1ジャーナル部11Aの中心から第1偏心軸部11Bの中心までの第1アーム部11Cの腕長さL1を、第2制御軸12における第2ジャーナル部12Aの中心から第2偏心軸部12Bの中心までの第2アーム部12Cの腕長さL2よりも大きく設定している。これにより、第1制御軸11の回転可能範囲Δθ1が、第2制御軸12の回転可能範囲Δθ2よりも小さくなり、第2制御軸12の回転角度に対して第1制御軸11の回転確度が小さくなる。従って、連結リンク13により第1制御軸11と第2制御軸12とを接続する連結機構10が減速機構としても機能し、制御リンク7側から駆動モータ30に作用する負荷トルクを更に低減することができ、かつ、駆動モータ30から制御リンク7側へ駆動トルクを減速・増幅して伝えることができる。
[2]第1制御軸11が低圧縮比方向Dlowに過度に回転すると、ピストン1がクランクシャフト4等と干渉するおそれがあり、また、第1制御軸11が高圧縮比方向Dhighに過度に回転すると、ピストン2が吸気バルブや排気バルブと干渉するおそれがあるために、駆動モータ30の異常や故障による制御不良状態であっても、安全性・信頼性を考慮して、第1制御軸11の回転可能範囲Δθ1を機械的に制限する必要がある。
ここで本実施例では、図5に示すように、第1偏心軸部11Bの中心と第2偏心軸部12Bの中心とを結ぶ連結リンク13のリンク中心線と、第2制御軸12における第2ジャーナル部12Aの中心と第2偏心軸部12Bの中心とを結ぶ第2アーム部12Cのアーム中心線と、が同一線上となる臨界姿勢の一方を含むように、第2制御軸12の回転可能範囲Δθ2が設定されている。ここで、リンク中心線とアーム中心線とのなす角度が0度と180度のときに臨界姿勢となるが、このうち、リンク中心線とアーム中心線とのなす角度が180度となる臨界姿勢、つまり第1偏心軸部11Bの中心と第2偏心軸部12Bの中心とが最も遠くなる引張り側の臨界姿勢Rlowを含むように、第2制御軸12の回転可能範囲Δθ2が設定されている。
このような臨界姿勢においては、第1制御軸11が一方の低圧縮比方向Dlow(図の時計回り方向)へ最も回転した状態となる。すなわち、この臨界姿勢から第2制御軸12が高圧縮比方向Dhighと低圧縮比方向Dlowのいずれの方向へ回転したとしても、第1制御軸11は他方の高圧縮比方向Dhighへ回転することとなり、この第1制御軸11の低圧縮比方向Dlowへの回転可能な限界の角度位置が機械的に制限される。従って、仮に駆動モータ30側の異常や故障により制御不能状態となっても、第1制御軸11の低圧縮比方向Dlowへの回転位置を機械的に制限することができる。このため、この低圧縮比方向Dlowについては、ストッパに突き当てるなどにより第1制御軸11の回転位置を機械的に制限する必要がなく、構成が簡素化されるとともに、ストッパ衝突時に生じる振動や異音の発生を解消することができる。
なお、この実施例では2つの臨界姿勢のうち、リンク中心線とアーム中心線とのなす角度が180度となる臨界姿勢のみを含むように第2制御軸12の回転可能範囲Δθ2を設定しているが、0度となる臨界姿勢のみを含むように回転可能範囲Δθ2を設定してもよい。あるいは、両方の臨界姿勢を含むように回転可能範囲Δθ2を設定することも可能である。
[3]燃焼荷重による負荷トルクは圧縮比を下げる低圧縮比方向Dlowに作用することから、駆動モータ30の停止状態や制御不能状態では燃焼荷重により第1制御軸11は低圧縮比方向Dlowへ向かうこととなる。従って、図5に示すように最低圧縮比となる臨界姿勢Rlowを含むように第2制御軸12の回転可能範囲Δθ2を設定することで、駆動モータ30の停止状態や制御不能状態であっても、ストッパに突き当たることなく最低圧縮比の位置に機械的に規制することができ、信頼性に優れ、かつ、ストッパ衝突による振動や異音の発生を招くこともない。
また、低負荷側では熱効率向上による燃費向上のために圧縮比を高く、高負荷側ではノッキング回避等のために圧縮比を低くすることから、高負荷側で用いる最低圧縮比の設定状態のときに最大の燃焼荷重が作用し、従来では、最低圧縮比の設定状態に保持するために駆動モータ30に多くの消費エネルギーを必要とし、あるいはストッパに突き当てて最低圧縮比の状態に保持する構造の場合、ストッパ衝突による振動や騒音の発生を避けられなかった。これに対して本実施例では、最低圧縮比となる臨界姿勢Rlowを含むように第2制御軸12の回転可能範囲Δθ2を設定することで、構造上、第1制御軸11は最低圧縮比となる臨界姿勢Rlowを超えて低圧縮比側へ回転することはできない。従って、高負荷側で最大の燃焼荷重が作用するときには、この燃焼荷重により第1制御軸11に作用する低圧縮比側へのトルクを利用して、駆動モータ30の駆動力を敢えて用いることなく、速やかに臨界姿勢Rlowである最低圧縮比の設定状態へ移行し、かつ、この最低圧縮比の設定状態に安定的に保持することが可能となる。
[4]ここで、リンク中心線とアーム中心線とのなす角度が0度と180度となる臨界姿勢のうち、仮に0度となる臨界姿勢を含むように第2制御軸12の回転可能範囲を設定しようとすると、連結リンク13と第2アーム部12Cとが同一線上に折りたたまれる形となり、連結リンク13と第2アーム部12Cとの干渉を回避しつつ強度や耐久性を確保することが非常に難しい。
これに対して本実施例では、リンク中心線とアーム中心線とのなす角度が180度となり、連結リンク13と第2アーム部12Cとが折り重なることなく一直線上に展開・伸張した臨界姿勢Rlowのみを含む形で、第2制御軸12の回転可能範囲Δθ2が180度以内に設定されている。このために、第2アーム部12Cの根本部18を比較的大きく残した形で第2アーム部12Cを形成することが可能で、強度や耐久性の確保が比較的容易なものとなる。このような構成を実現するために、本実施例では、連結リンク13の引張り方向に燃焼荷重が作用するようにリンクレイアウトを設定しており、これによって、リンク中心線とアーム中心線とのなす角度が180度となる伸張側の臨界姿勢Rlowのときに最低圧縮比となり、この180度の臨界姿勢Rlowを含むように第2制御軸12の回転可能範囲Δθ2を設定している。
[5]機関圧縮比は図示せぬ制御部により機関運転状態に応じて制御され、つまり第1制御軸11(あるいは第2制御軸12)の回転位置が目標の圧縮比に対応したものとなるように、駆動モータ30の駆動モータ30に駆動信号が出力されて、駆動モータ30の動作が制御される。このような圧縮比制御における制御軸角度の基準位置を検出するために、機関始動直後などの適宜なタイミングで、駆動モータ30と制御リンク7とを連結する連結機構10の一部をストッパに突き当てるなどして機械的に係止した状態で、制御軸角度位置を検出する基準位置の検出が行われる。
ここで、上記の連結機構10では、第1アーム部11Cの腕長さL1を第2アーム部12Cの腕長さL2よりも長く設定して、連結リンク13を介した連結機構10を減速機構として構成し、制御リンク7側から駆動モータ30側へ作用する負荷トルクを低減するとともに、駆動モータ30の駆動トルクを増幅して制御リンク7側へ伝える構造となっているために、仮に基準位置検出用のストッパを第1制御軸11や連結リンク13側に設けると、駆動モータ30側からの駆動力が増幅されてストッパに作用することとなり、ストッパの大型化を招いたり、高い耐久性が要求されることとなる。
そこで本実施例では、第2制御軸12の一部、具体的には第2アーム部12Cの片部16を基準位置検出用のストッパ、具体的には高圧縮比側ストッパ20又は低圧縮比側ストッパ21のいずれかに突き当てる構成としており、これによって、第1制御軸11や連結リンク13側にストッパを設ける場合に比して、ストッパに作用する荷重を大幅に軽減し、耐久性・信頼性の向上を図ることができる。
なお、この実施例では、高圧縮比側で高い精度が要求されることから、高圧縮比側ストッパ20を基準位置検出用ストッパとして用いているが、低圧縮比側ストッパ21を基準位置検出用ストッパとして用いるようにしても良い。
[6]図5を参照して、仮にアクチュエータの作動停止状態や制御不能状態となると、燃焼圧などにより第1制御軸11は低圧縮比方向Dlowへ回転して、最低圧縮比の臨界姿勢Rlowの状態となる。このように一旦臨界姿勢Rlowとなると、リンク中心線とアーム中心線とが同一線上に配置されるために、第1制御軸11側から連結リンク13を介して第2制御軸12へ作用する力の回転方向成分は実質的に0(ゼロ)となり、フリクション等を考慮すると、第1制御軸11からの負荷トルクで第2制御軸が回転することは、ほぼ無いと言える。つまり、アクチュエータの作動停止状態や制御不能状態であっても、第2制御軸12が臨界姿勢Rlowを超えて低圧縮比方向Dlowへ回転する可能性は、ほとんどない。
従って、本実施例のように、第2制御軸12の片部16が低圧縮比側のストッパ21に突き当てられる回転位置を、通常の制御で仕様する回転範囲から最低圧縮比となる臨界姿勢Rlowを超えて低圧縮比方向Dlowへ更に回転した位置に設定することにで、仮に駆動モータ30の作動停止状態や制御不能状態となっても、第2制御軸12がストッパに突き当てられることがなく、ストッパ衝突時の異音や振動の発生を回避又は抑制することができる。
[7]本実施例のように、第2アーム部12Cが連結リンク13を挟み込む二股形状をなし、一対の片部16を接続する根本部18に、連結リンク13との干渉を回避するための空間であるスリット19が形成された構造のものでは、このスリット19が形成された(肉を盗まれた)根本部18の剛性が低く応力集中を招き易い。
そこで、図3に示すように、一対の片部16A,16Bのうち、アクチュエータである駆動モータ30寄りの片部16Aの側面が優先的にストッパ20,21に突き当てられるように設定している。具体的には図3に示すように、根本部18を挟んで駆動モータ30から遠い側に位置する片部16Bの両側面に、駆動モータ30寄りの片部16Aよりも所定量(例えば、1mm程度)だけ周方向に窪んだ凹部17を形成して、駆動モータ30から遠い側の片部16Bの周方向幅を、駆動モータ30寄りの片部16Aの幅よりも短くしている。つまり、駆動モータ30寄りの片部16Aをストッパ側に僅かに張り出したものとしている。これによって、2つの片部16A,16Bのうち、駆動モータ30寄りの片部16Aが優先的にストッパ20,21に衝突するようになり、ストッパ衝突時に剛性の低い根本部18への応力集中を回避・緩和し、信頼性・耐久性を高めることができる。
[8]駆動モータ30と第2制御軸12との間に介装される減速機32が、駆動モータ30から第2制御軸12へトルクが伝達する減速時のフリクション(摩擦力)が、第2制御軸12から駆動モータ30へトルクが伝達する増速時のフリクションよりも小さくなるように構成されている。つまり、駆動モータ30の作動時・圧縮比制御時には駆動モータ30の非作動時・非圧縮比制御時に比して、減速機32におけるフリクションが減少するように構成されている。言い換えると、減速時の減速効率が増速時の増速効率よりも高くなるように構成されている。ここで、「効率」とは、入力されたトルクによるエネルギー対して出力されるトルクによるエネルギーの割合・比率に相当する。
低圧縮比から高圧縮比方向へ移行する高圧縮比化では、制御リンク側から作用する低圧縮比方向Dlowへの負荷トルクに抗して駆動モータ30により第2制御軸12を高圧縮比方向へ駆動する「減速状態」となり、高い駆動トルクが必要とされる。また、例えば急加速時に高圧縮比の設定状態から低圧縮比方向へ変更する低圧縮比化では、特に圧縮比が高い低圧縮比化の初期段階で、圧縮比の低下よりも先に機関負荷が増加するとノッキングを生じるおそれがあるために、高い応答性が要求される。このため、低圧縮比化の初期段階では、低圧縮比方向Dlowへの負荷トルクを上回る駆動トルクで第2制御軸12を低圧縮比方向Dlowへ駆動することが望ましく、この場合にも、低圧縮比方向の駆動トルクが同じく低圧縮比方向の負荷トルクを上回る「減速状態」となる。このような減速機32の「減速状態」すなわち減速時には、上述したように減速機32による摩擦フリクションを低減して、減速効率を高めるようにすることで、高圧縮比化における駆動モータの駆動トルクを軽減するとともに、低圧縮比化の初期段階(駆動モータの低圧縮比方向の駆動トルクが、低圧縮比方向の負荷トルクを上回る段階)における応答性を向上することができる。
一方、機関圧縮比を所定の機関圧縮比(例えば最低圧縮比)の設定状態に保持する状況では、第2制御軸12側から駆動モータ30側へ作用する低圧縮比方向Dlowの負荷トルクによって、基本的には第2制御軸12側から駆動モータ30へ負荷トルクが伝達する「増速状態」となり、このような増速時にはフリクションが増大して増速効率が低くなり、負荷トルクの一部がフリクションにより吸収・相殺される形となって、その分、アクチュエータとしての駆動モータ30の保持トルクを軽減し、消費エネルギーを抑制することができる。このため、減速機やアクチュエータの小型化・簡素化・省エネルギー化を図ることが可能となる。
図6は、このような減速機32の一例としての波動歯車減速機を示している。この波動歯車減速機32は、駆動モータ30の入力軸30Aに固定され、この入力軸30Aと一体的に回転する波動発生器33と、この波動発生器33の外周側に同心状に配置された可撓性を有するボールベアリング34と、このボールベアリング34の外周側に同心状に配置された可撓性を有する可撓性外歯車35と、この可撓性外歯車35の外周側に同心状に配置された第1内歯車36及び第2内歯車37と、により大略構成されている。なお、図7〜図9では、明りょう化のためにボールベアリング34を省略して描いている。
波動発生器33は、入力軸30Aに固定される軸部38と、この軸部38よりも大径な有底円筒状をなす楕円部39と、を有し、この楕円部39が直径方向2箇所でボールベアリング34を外側へ押圧するように楕円形状を呈している。ボールベアリング34と可撓性外歯車35とは、波動発生器33の楕円部39の外郭形状に応じて径方向に撓み変形可能な可撓性を有する金属材料により形成されており、可撓性外歯車35の外周には、所定数の外歯(スプライン)が形成されている。
第1内歯車36は、ボルト40やフランジ部材41を介して駆動モータ30とともにハウジング14に固定されており、上記の可撓性外歯車35の外歯にかみ合う内歯(スプライン)が内周に形成され、この内歯は外歯よりも2枚だけ歯数が多い。一方、第2内歯車37は、ボルト42を介して第2制御軸12の一端のフランジ部43に固定され、この第2制御軸12と一体的に回転するもので、第1内歯車36と同様、内周側に可撓性外歯車35の外歯とかみ合う内歯(スプライン)が形成されているが、その歯数は外歯と同じ数となっている。従って、第2内歯車37は可撓性外歯車35と相対回転を生じることはなく、可撓性外歯車35と同じ速度で回転する。これらの第1,第2内歯車36,37は、軸方向に隣接して配置され、可撓性外歯車35のように撓み変形することのないように剛性の高い金属材料により形成されている。
波動発生器33の楕円部39により可撓性外歯車35が直径方向2箇所で第1,第2内歯車36,37側へ局所的に押し付けられて、可撓性外歯車35の外歯と第1,第2内歯車36,37の内歯とが直径方向二箇所でかみ合う。第1内歯車36の内歯の歯数は可撓性外歯車35の外歯の歯数よりも2枚多いため、波動発生器33の回転に伴って内歯と外歯とのかみ合い位置が円周方向に移動し、波動発生器33が1回転すると、可撓性外歯車35が歯数差2枚分だけ回転方向に移動する。これによって、駆動モータ30の入力軸30Aから第2制御軸12へ大きな減速比で動力が伝達される。
ここで、波動発生器33は、第2制御軸12やハウジング14に対して相対回転するとともに、後述するようにスラスト方向の力を受けるために、波動発生器33の軸方向両側には、相対回転を許容しつつ軸方向のスラスト荷重を受ける駆動モータ側(図6の右側)の第1摺動部材45と、第2制御軸12側の第2摺動部材46と、が設けられている。第1摺動部材45は、駆動モータ30のフランジ部及びフランジ部材41の端面と、波動発生器33の軸部38の駆動モータ側の端面と、の間に介装され、第2摺動部材46は、波動発生器33の第2制御軸側の端面をなす楕円部39の内側の底面と、第2制御軸12のフランジ部43の段差面と、の間に介装される。これらの摺動部材45,46は、例えば含油材料を一体としたプレート状の銅合金ブッシュにより構成され、あるいはボールを用いたスラストベアリング等である。
このような波動歯車減速機32は、その構造上、駆動モータ(入力軸)30側から第2制御軸(出力軸)12側へ駆動トルクが伝達する減速時と、第2制御軸(出力軸)12側から駆動モータ(入力軸)30側へ負荷トルクが伝達する増速時と、で、波動発生器33に作用する軸方向のスラスト力が反転する、という特有の特性がある。具体的には、減速時には図7(A)に示すように第2制御軸(出力軸)側へスラスト力が発生し、増速時には図7(C)に示すように駆動モータ(入力軸)側へスラスト力が発生する。
このような波動歯車減速機32に特有の特性に着目し、減速効率が増速効率よりも高くなるように、減速時にスラスト力を受ける第2摺動部材46の摩擦トルク(フリクション)を、増速時にスラスト力を受ける第1摺動部材45の摩擦トルク(フリクション)よりも小さくなるように構成している。具体的には、摩擦係数の小さい材質を用いる、あるいは摩擦の小さいボールベアリングを用いるなどによって、第2摺動部材46を第1摺動部材45よりも摩擦係数が低くなるように構成している。
図7を参照して、「ε」は圧縮比を意味している。制御リンク側から作用する負荷トルクは、交番荷重である慣性力によって周期的に変動するものの、基本的には燃焼荷重により低圧縮比方向に作用する。図7(A)は、低圧縮比の設定状態から高圧縮比の設定状態へ移行する機関減速時などの、高圧縮比方向へモータトルクを作用させる高圧縮比化の例を示しており、この場合、低圧縮比方向に作用する負荷トルクに対し、高圧縮比方向の駆動モータ30の駆動トルクすなわちモータトルクが上回る減速状態となる。従って、摩擦係数の小さい第2摺動部材46でスラスト力を受けることになり、摩擦フリクションが抑制されるため、駆動モータによる消費電力が抑制されるとともに、応答性も向上する。
図7(B)は、高圧縮比の設定状態から低圧縮比の設定状態へ移行する急加速時などの、低圧縮比方向へモータトルクを作用させる例を示している。モータの特性として、モータ回転速度が低くなるほどモータトルクは高くなることから、モータ回転速度の低い低圧縮比化の初期段階では、低圧縮比方向へのモータトルクが大きく、低圧縮比方向の負荷トルクを上回る形となるために、駆動モータ30から第2制御軸12側へ低圧縮比方向に駆動トルクが作用することとなり、低圧縮比方向への「減速状態」となる。一方、モータ回転速度が高くなってくる低圧縮比化の後半では、低圧縮比方向の負荷トルクがモータトルクを上回り、第2制御軸12から駆動モータ30側へ低圧縮比方向に負荷トルクが作用する「増速状態」となる。
このように、高圧縮比の設定状態から低圧縮比の設定状態へ移行する急加速時などでは、トルクの増加に対して圧縮比の低下が遅れると、過渡的にノッキングを生じるなどの不具合を招くおそれがあるものの、本実施例では、低圧縮比化の初期段階には摩擦係数の小さい第2摺動部材46でスラスト力を受けることになり、摩擦フリクションが抑制されるため、その応答性を効果的に高めることができる。
図7(C)は、例えば中・高負荷域での緩加速時など、主に負荷トルクによって低圧縮比化する場合の例を示し、この場合、低圧縮比方向の負荷トルクがモータトルクを大きく上回る形となるために、常に「増速状態」となり、摩擦係数の大きい第1摺動部材45でスラスト力を受けることなり、フリクションが増大する。しかしながら、このような負荷トルクによる低圧縮比化では元々低圧縮比方向への駆動モータの駆動トルクは極めて小さいか0(ゼロ)であるために、その消費エネルギーが増大することはない。
更に、図8に示すように、駆動モータ30の入力軸30Aと波動発生器33の軸部38との結合部を、互いにかみ合う内歯と外歯とからなるスプライン結合部47とすることで、第1,第2摺動部材46を利用した更なる応答性の向上や消費エネルギーの低減化を図ることも可能である。
図9を参照して、実線の矢印は駆動力・トルクが伝達している駆動状態を示しており、破線の矢印は駆動力・トルクが伝達していない(打ち消されている)非駆動状態を示している。図9(A)に示すように、低圧縮比化の初期段階のように、スプライン結合部47に対して駆動モータ30から負荷トルクを上回る低圧縮比方向の駆動トルクT1が作用するときには、波動発生器33に対し、摩擦係数の小さい第2摺動部材46の方向にスラスト力F1が作用するために、その応答性が阻害されることはない。
図9(B)に示すように、所定圧縮比に保持する保持時や低圧縮比化の後期のように、第2制御軸12側から低圧縮比方向の負荷トルクT2が作用するときには、スプライン結合部47から波動発生器33に対し、摩擦係数の大きい第1摺動部材45の方向にスラスト力F2が作用するために、保持時にあっては、負荷トルクT2の一部を摩擦フリクションにより相殺・吸収することで、駆動モータ30による保持トルクを軽減し、省エネルギー化を図ることができる。低圧縮比化の後期の場合には応答性は低下するものの、低圧縮比化の初期に比してノッキングを生じる可能性は低いために、実用上問題はない。
図9(C)に示すよに、高圧縮比化の場合、駆動モータ30からの高圧縮比方向の駆動トルクT3によって、波動発生器33には摩擦係数の大きい第1摺動部材45の方向にスラスト力F3が作用し、摩擦抵抗が増加するものの、このような高圧縮比の設定を用いる低負荷域では負荷トルクそのものが小さいため、摩擦抵抗の増加の影響は小さい。また、摩擦の増加により応答性は低下するものの、高圧縮比方向への移行は低圧縮比方向への移行のようにノッキングを生じるなどの問題がないので、実用上問題はない。
このようにして、スプライン結合部47と、摩擦係数の異なる第1摺動部材45および第2摺動部材46とを備えた減速機構(連結機構10)は、低圧縮比化する際にアクチュエータ(駆動モータ30)から第2制御軸12へ駆動トルクが伝達する減速時のフリクションが、燃焼荷重により低圧縮比化する側へと第2制御軸12からアクチュエータ(駆動モータ30)へ負荷トルクが伝達する増速時のフリクションよりも小さくなるように構成されている。
1…ピストン
3…アッパリンク
4…クランクシャフト
5…ロアリンク
7…制御リンク
10…連結機構
11…第1制御軸
11B…第1偏心軸部
11C…第1アーム部
12…第2制御軸
12B…第2偏心軸部
12C…第2アーム部
13…連結リンク
14…ハウジング
16…片部
20,21…ストッパ
30…駆動モータ(アクチュエータ)
32…波動歯車減速機(減速機)

Claims (7)

  1. ピストンのピストンピンとクランクシャフトのクランクピンとを機械的に連係する複数のリンクと、
    機関本体に回転可能に取り付けられた第1制御軸及び第2制御軸と、
    一端が上記複数のリンクの一つに回転可能に連結されるとともに、他端が第1制御軸に偏心して設けられた制御偏心軸部に回転可能に連結された制御リンクと、
    一端が第1制御軸に偏心して設けられた第1偏心軸部に回転可能に連結されるとともに、他端が第2制御軸に偏心して設けられた第2偏心軸部に回転可能に連結された連結リンクと、
    機関圧縮比を変更及び保持するアクチュエータと、
    を有する内燃機関の可変圧縮比装置において、
    上記アクチュエータが、上記第2制御軸側に接続され、この第2制御軸の回転位置を変更及び保持するものであり、
    かつ、上記第1制御軸の中心から第1偏心軸部の中心までの腕長さを、第2制御軸の中心から第2偏心軸部の中心までの腕長さよりも大きく設定したことを特徴とする内燃機関の可変圧縮比装置。
  2. 上記第1偏心軸部の中心と第2偏心軸部の中心とを結ぶリンク中心線と、上記第2制御軸の中心と第2偏心軸部の中心とを結ぶアーム中心線と、が同一線上となる臨界姿勢の少なくとも一方を含むように、上記第2制御軸の回転可能範囲が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変圧縮比装置。
  3. 最低圧縮比となる臨界姿勢を含むように、上記第2制御軸の回転可能範囲が設定されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の可変圧縮比装置。
  4. 上記リンク中心線とアーム中心線とのなす角度が180度となる臨界姿勢を含むように、上記第2制御軸の回転可能範囲が設定されていることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の可変圧縮比装置。
  5. 圧縮比制御の基準位置検出時に、上記第2制御軸の一部がストッパに突き当てられる回転位置が、上記第2制御軸が制御で使用する回転範囲から臨界姿勢を超えて回転した位置に設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の可変圧縮比装置。
  6. 上記第2制御軸と第2偏心軸部とは連結リンクの端部を挟み込む一対の片部で接続され、一対の片部に挟まれた範囲において第2制御軸に連結リンクとの干渉を回避するスリットが形成された構造のものにおいて、
    上記一対の片部のうち、アクチュエータ寄りの片部の側面が、アクチュエータから遠い側の片部の側面よりも先にストッパに突き当てられるように設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の可変圧縮比装置。
  7. 上記アクチュエータと上記第2制御軸との間に減速機を介装し、
    この減速機は、上記アクチュエータから第2制御軸へ駆動トルクが伝達する減速時のフリクションが、第2制御軸からアクチュエータへ負荷トルクが伝達する増速時のフリクションよりも小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の可変圧縮比装置。
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