JP6171548B2 - インクジェット記録装置、およびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録装置、およびインクジェット記録方法に関する。
従来、様々な記録媒体に対して記録(印刷)が可能な記録装置として、インクジェット記録装置が知られている。下記特許文献1には、この中でも、比較的大型の記録媒体を扱うラージフォーマットプリンター(LFP)が開示されている。この記録装置は、記録領域において記録媒体を支持するプラテンや、プラテン上に記録媒体を搬送し移動させる搬送装置、記録媒体上にインクを吐出するインクジェットヘッドなどを備え、記録媒体の搬送方向と交差する方向にインクジェットヘッドを走査しながらインク滴を吐出することで画像や文字などを形成する構成となっている。
通常、このようなインクジェット記録装置には、インクの良好な吐出状態に維持または回復させるメンテナンスユニットが設けられている。メンテナンスユニットには、例えば、インクジェットヘッドのノズル面をキャッピングするキャップ部材や、ノズル面をぬぐうワイピング部材などが備えられている。
キャップ部材により、インクジェット記録装置を使用しないとき(非稼動時)にノズル面を気密状態に覆うことで、ノズルに露出するインクやノズル周囲に付着したインクの蒸発を防ぎ、インクの増粘や固化を防止することができる。また、ワイピング部材によりノズル面に付着したインクをぬぐい去ることで、残ったインクの増粘や固化によるノズルの詰まりを防止することができる。
また、インクジェット記録装置が稼動状態であっても、記録の内容によって、使われないインクに対応するノズル(画像形成のためのインク吐出信号が印加されない非吐出ノズル)は、非吐出状態が続くことによってインクの増粘によるノズルの詰まりが発生しやすくなる。このようなノズルの回復のために、フラッシング(非記録吐出)が行われる。これは、記録媒体に対する(記録のための)吐出領域とは別の領域(インクジェットヘッドの走査範囲の外の領域)において間欠的、強制的に吐出を行わせることで、非吐出状態が続かないようにし、増粘したインクを排除するものである。
特開2010−173256号公報
しかしながら、より大型で、より高精細な記録ができるようにしたインクジェット記録装置では、上述したキャップ部材やワイピング部材などのメンテナンスユニットや、フラッシング吐出では、記録動作中に発生するインクの増粘や固化によるノズルの詰まりを防止しきれない場合があるという問題があった。
具体的に説明すると、近年のインクジェット記録においては、高精細な記録を行うため、吐出されるインク滴の量は数ピコリットルと極微量になり、インクを吐出するノズルの径は小さく、またインク滴の吐出に要するエネルギーも小さくなっている。ノズル径が小さく、吐出エネルギーも小さいため、インクジェットヘッドにおいてわずかにインクが増粘した場合であっても、インクを吐出することができず、ノズルで詰まりを起こす場合がある。特に、大判に対応するLFPなど、インクジェットヘッドが走査される長さ(走査距離や走査時間)が長くなるほど、上述したフラッシングまでの最短の時間(間隔)が大きくなるため、インクを吐出しない非吐出ノズルでのこの傾向(記録動作中にインクが増粘してしまう傾向)が顕著となる。その結果、記録動作中にノズルの詰まりが発生してしまうという問題があった。
上記課題の解決策として、ヘッドの圧電素子に印加する駆動電圧の電位差を極端に大きくすることで増粘インクを吐出する手法が挙げられるが、インクの液滴量の増大やインクミスト発生による記録品質悪化を引き起こしてしまうおそれがあった。
このように、従来の上述したメンテナンスユニット、フラッシング、印加駆動電圧による詰まりの防止方法では、より高精細でより大判の記録を行うインクジェット記録において、良好な記録ができなくなってしまうという問題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
[適用例1] 本適用例に係るインクジェット記録装置は、記録媒体にインク組成物を吐出することによって記録を行うインクジェット記録装置であって、前記インク組成物が収容され前記インク組成物に吐出圧力を加える圧力発生室と、前記インク組成物が吐出される吐出口と、前記圧力発生室と前記吐出口とを連通させる連通路とを有するインクジェットヘッドを備え、前記吐出口から吐出される前記インク組成物の吐出速度が5m/秒以上15m/秒以下であり、前記連通路の長さが、40μm以上600μm以下であり、前記インク組成物が、自己分散顔料と、ハンセン溶解度パラメーターの値が14(cal/cm31/2以上16(cal/cm31/2以下の有機溶剤と、を含んでいることを特徴とする。
インクジェットヘッドからインク組成物が吐出されない状態(非吐出時間)では、吐出口において、インク組成物は、大気中に露出するように滞留している。この状態で放置された場合には、有機溶剤が蒸発したり有機溶剤と顔料とが分離したりして、吐出口付近のインク組成物が増粘あるいは固化(顔料の凝集など)する。有機溶剤と顔料とが分離した場合に、比較的粒径の小さな顔料が鉛直方向の端部(つまりは、吐出口付近)に凝集してしまう傾向がある。インク組成物の増粘あるいは固化は、インク組成物の露出表面に近いほどその度合いが大きく進み、また、露出する面が広いほど増粘あるいは固化する量が多くなる。また、増粘が圧力発生室内まで進んだ場合、圧力発生室で発生させる圧力を著しく低下させるため、インク組成物の吐出に必要な圧力が得られなくなり、インク詰まりを引き起こす。一方、一旦インク組成物表面の増粘あるいは固化が進むと、その内部の増粘あるいは固化の速度が低下するという傾向もある。
本適用例によれば、インクジェット記録装置は、圧力発生室と吐出口とを連通させる連通路とを有している。従って、吐出口付近においてインク組成物が増粘あるいは固化が進行した場合であっても、連通路を介し離れて位置する圧力発生室までの増粘あるいは固化が抑制される。その結果、圧力発生室が発生する圧力に対して大きな影響を与えることが無くなる、あるいは軽減される。
また、本適用例によれば、吐出口から吐出されるインク組成物の吐出速度が5m/秒以上と比較的高速であるため、吐出口付近におけるインク組成物の増粘あるいは固化によるインク詰まりが抑制される。具体的には、吐出口付近から連通路のインク組成物の増粘あるいは固化がある程度進んでいた場合であっても、高速吐出させるために圧力発生室が発生する圧力が比較的大きいため、増粘あるいは固化したインク組成物が、吐出口から吐出されやすい。つまり、インク詰まりの状態から回復しやすい。また、インク組成物の吐出速度が15m/秒以下であるため、増粘あるいは固化したインク組成物が吐出口から吐出された後に、正常な粘度のインク組成物が吐出される場合においては、インク組成物による液滴が小さな液滴に粉砕されることなく、つまり例えば霧状に吐出されることなく、所望の状態で吐出させることができる。
また、本適用例によれば、インク組成物が、顔料とハンセン溶解度パラメーターの値(以下SP値)が14(cal/cm31/2以上16(cal/cm31/2以下の有機溶剤とを含んでいる。有機溶剤のSP値が14(cal/cm31/2以上16(cal/cm31/2以下であることにより、インク組成物に含有する顔料(例えば、カルボキシル基を表面に有する自己分散顔料など)の分離がより抑制され、分散状態がより良好に保たれる。その結果、吐出口付近における顔料の凝集による増粘や固化が抑制される。
また、本適用例のように、連通路の長さを40μm以上とすることにより、吐出口付近においてインク組成物が増粘あるいは固化した場合であっても、連通路を介し少なくとも40μm以上離れて位置する圧力発生室までの増粘あるいは固化が抑制される。
また、本適用例のように、連通路の長さを600μm以下とすることにより、必要以上にインクジェットヘッドを大型化することなく構成することができる。また、圧力発生室から吐出口までの距離が600μm以下であるため、上述した効果を得る中で、吐出抵抗や吐出タイムラグの増加などによる吐出効率の低下を抑えることができる。
また、例えば、インクジェットヘッドを、シリコン基板を積層して構成するような場合であっても、連通路を形成するための積層構造を40μm以上600μm以下のシリコン基板で形成することができるため、基板材料の形成や積層構造の形成などを、より簡便かつ容易に行うことができる。
以上のように、本適用例によると、圧力発生室内の増粘あるいは固化が抑制され、吐出口付近における顔料の凝集による増粘や固化が抑制され、また、吐出口付近から連通路のインク組成物の増粘あるいは固化がある程度進んでいた場合であっても、インク詰まりの状態から回復しやすいため、吐出口(ノズル)の詰まりを抑制することができる。その結果、例えば、インク組成物を吐出しない時間が比較的長いノズルを有するインクジェット記録装置(例えば、大判の記録を行うLFP)において、記録動作中にノズルの詰まりが発生してしまうことが抑制され、より良好な記録を行うことができる。
[適用例2] 上記適用例に係るインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドの単位長さあたりの吐出口解像度が200dpi以上であることを特徴とする。
本適用例によれば、記録ヘッドの単位長さあたりの吐出口解像度が200dpi以上である。ノズル詰まりが抑制された効果として、吐出するインク組成物の大きさ(インク滴)をより微量とすることができる。インク滴をより微量とし、記録ヘッドの単位長さあたりの吐出口解像度が200dpi以上とすることで、より高精細な記録を行うことができる。
[適用例3] 上記適用例に係るインクジェット記録装置において、前記顔料が、カルボキシル基を表面に有する自己分散顔料であることが好ましい。
本適用例のように、顔料としてカルボキシル基を表面に有する自己分散顔料を用いた場合、SP値が14(cal/cm31/2以上16(cal/cm31/2以下の有機溶剤に対してその分散がより良好に行われる。そのため、吐出口付近において、顔料が凝集し固化してしまうことが抑制される。その結果、記録動作中にノズルの詰まりが発生してしまうことが抑制され、より良好な記録を行うことができる。
[適用例4] 上記適用例に係るインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドを移動させる走査機構と、前記記録媒体を移動させる搬送機構と、を備え、前記走査機構は、前記インクジェットヘッドを走査するように移動させて前記インク組成物が吐出される記録吐出領域を形成し、また、前記インクジェットヘッドを前記記録吐出領域の外側の領域に移動させて前記インク組成物が吐出される非記録吐出領域を形成し、前記搬送機構は、前記記録媒体を前記記録吐出領域に搬送し、前記記録吐出領域の延在方向と交差する方向に前記記録媒体を移動させ、前記搬送機構による前記記録媒体の移動方向における記録画像の記録解像度が200dpi以上であることを特徴とする。
本適用例によれば、走査機構は、インクジェットヘッドを移動させて、インク組成物が吐出される記録吐出領域と、記録吐出領域の外側の領域に非記録吐出領域とを形成する。また、搬送機構は、記録媒体を記録吐出領域に搬送し、記録吐出領域の延在方向と交差する方向に記録媒体を移動させる。このような構成とすることにより、記録(記録吐出領域への記録吐出)のための走査と走査の合間に記録吐出領域の外側の領域に形成された非記録吐出領域においてフラッシングを行うことで、走査中に発生するノズルの詰まりを抑制することができる。
また、このような構成にすることで、上述した適用例の効果に加え、より大型で高精細のインクジェット記録装置を構成することができる。具体的には、記録動作中にノズルの詰まりが発生してしまうことが抑制された効果として、非記録吐出領域におけるフラッシングの間隔をより大きく取ることができるため、例えば、非記録吐出領域を記録吐出領域の両側に設けるなどした場合には、インクジェットヘッドが走査する長さを長くし、記録吐出領域を大きく取ることが可能となる。つまり、より大型のインクジェット記録装置を構成することができる。また、ノズル詰まりが抑制された効果として、吐出するインク組成物の大きさ(インク滴)をより微量とすることができる。インク滴をより微量とし、記録解像度を200dpi以上とすることで、より高精細な記録を行うことができる。
[適用例5] 上記適用例に係るインクジェット記録装置において、前記記録吐出領域の長さが60cm以上であることを特徴とする。
本適用例によれば、上述した適用例の効果に従い、記録吐出領域の長さを60cm以上とすることができ、その結果、より大型で高精細のインクジェット記録装置を構成することができる。
[適用例6] 上記適用例に係るインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドが、前記圧力発生室の容積を変動させる圧電素子を備え、前記圧電素子が駆動される駆動電位差が、10V以上30V以下であることが好ましい。
本適用例によれば、インクジェットヘッドは、圧力発生室の容積を変動させる圧電素子を備え、圧電素子は、10V以上30V以下の電位差で駆動される。
圧電素子が10V以上と比較的高電圧で駆動されるため、吐出口付近におけるインク組成物の増粘あるいは固化によるインク詰まりが抑制される。具体的には、吐出口付近から連通路のインク組成物の増粘あるいは固化が進んでいた場合であっても、比較的高電圧で駆動される圧電素子により、圧力発生室で発生する圧力が比較的大きくなるため、増粘あるいは固化したインク組成物が、吐出口から吐出されやすい。つまり、インク詰まりの状態から回復しやすい。また、圧電素子が30V以下の電位差で駆動されるため、圧力発生室で発生する圧力が必要以上に大きくならない。その結果、増粘あるいは固化したインク組成物が吐出口から吐出された後に、正常な粘度のインク組成物が吐出される場合においては、インク組成物による液滴が小さな液滴に粉砕されることなく、つまり例えば霧状(ミスト状)に吐出されることなく、所望の状態で吐出させることができる。
[適用例7] 上記適用例に係るインクジェット記録装置において、前記顔料が前記インク組成物に含有される量が2質量%以上8質量%以下であることが好ましい。
本適用例のように、顔料がインク組成物に含有される量を2質量%以上8質量%以下とすることで、非吐出時間におけるインク組成物の増粘や固化による吐出口(ノズル)の詰まりをより効果的に抑制することのできるインク組成物を得ることができる。
[適用例8] 上記適用例に係るインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドが、前記吐出口から前記非記録吐出領域に対して前記インク組成物の吐出が行われ、当該吐出口から再度前記非記録吐出領域に対して前記インク組成物の吐出が行われる時間間隔が1.5秒以上6.0秒以下であることを特徴とする。
本適用例によれば、上述した適用例の効果に従い、インク組成物の吐出が繰り返される時間間隔の最大値が1.5秒以上6.0秒以下の吐出口を有することが可能となるため、例えば、上述したフラッシングの間隔を最大6秒まで長くすることができる。つまり、例えば、画像形成のためのインク吐出信号が印加されない非吐出ノズルがあった場合においても、フラッシングの間隔が6秒となる範囲まで走査時間を長くすることができる。すなわち、走査の速度が同じ場合には、フラッシングの間隔が6秒となる範囲まで記録吐出領域の長さを長くすることができる。その結果、より大型で高精細のインクジェット記録装置を構成することができる。
[適用例9] 上記適用例に係るインクジェット記録装置において、前記圧電素子が、前記インク組成物が吐出されない非吐出時間において、前記インク組成物が吐出されない程度の駆動電位差の電圧で駆動されることを特徴とする。
本適用例によれば、圧電素子が、インク組成物が吐出されない非吐出時間において、インク組成物が吐出されない程度の駆動電圧で振動する。その結果、非吐出時間において増粘あるいは固化したインク組成物が吐出口付近に付着することが防止できるので、上記適用例の効果と合わせ、さらにノズルの詰まりを抑制することができる。
[適用例10] 上記適用例に係るインクジェット記録装置において、前記有機溶剤が、ラクタムまたは多価アルコールであることが好ましい。
本適用例のように、有機溶剤が、ラクタムまたは多価アルコールであることで、非吐出時間におけるインク組成物の増粘や固化による吐出口(ノズル)の詰まりをより効果的に抑制することのできるインク組成物を得ることができる。
[適用例11] 本適用例に係るインクジェット記録方法は、上記適用例に係るインクジェット記録装置を用いて記録することを特徴とする。
本適用例によれば、上記適用例の効果が得られるインクジェット記録装置を用いて記録することにより、より大判で高精細のインクジェット記録を行うことができる。
(a),(b)実施形態1に係るインクジェット記録装置の外観を示す斜視図。 (a)実施形態1に係るインクジェット記録装置の内部機構を模式的に示す斜視図、(b)制御系の簡略的なブロック図。 (a),(b)インクジェットヘッドの部分平面図、および断面図。
以下に本発明を具体化した実施形態について、図面を参照して説明する。以下は、本発明の一実施形態であって、本発明を限定するものではない。なお、以下の各図においては、説明を分かりやすくするため、実際とは異なる尺度で記載している場合がある。
(実施形態1)
まず、実施形態1に係るインクジェット記録装置について説明する。
図1(a),(b)は、インクジェット記録装置の一実施形態に係るインクジェット記録装置100の外観を示す斜視図である。なお、このインクジェット記録装置100は、記録媒体として、例えばJIS規格のA1判といった大判の単票、同単票と同じ用紙幅を有するロール紙などにインク組成物(以下、単にインクとも言う)を吐出することより記録をする。記録媒体としては、紙の他に、樹脂フィルム等を用いることもできる。
1.インクジェット記録装置
1−1.筐体
図1(a)に示すように、インクジェット記録装置100は、互いに積層された上部筐体112および下部筐体114と、下部筐体114の下に吊り下げられた小型筐体116とを含む筐体110を有する。筐体110は、下方から脚部120により持ち上げられて支持される。これにより、筐体110の下方に、記録済みの記録媒体(記録用紙150)を排出するスペースが形成される。
また、上部筐体112には、このインクジェット記録装置100をスタンドアロンで操作する場合に使用する操作パネル130が設けられる。
下部筐体114には、インクを収容したインクカートリッジ240を装填するカートリッジホルダー140が設けられる。
このインクジェット記録装置100において、画像(文字などの情報を含む)が記録された記録用紙150は、上部筐体112および下部筐体114の間から前方(図1(a)において手前側)に送り出される。送り出された記録用紙150は、自重により下方に垂れ下がる。このため、上部筐体112および下部筐体114の間隙に備えられた吸引プラテン250の前端には、記録用紙150を円滑に案内する滑らかな案内面252が形成されている。
なお、ここでは、下部筐体114に対し上部筐体112が積層される方向を上方向、図1(a)において、記録用紙150が送り出される方向を前方向として説明している。
図1(b)は、インクジェット記録装置100を背面から見た様子を示す斜視図である。この図に示すように、インクジェット記録装置100の背面において、下部筐体114の後部には、水平に掛け渡されたスピンドル160と、スピンドル160を挿通されて水平に支持されたロール152とが装着される。ロール152は、長尺の記録用紙150を巻き重ねて形成される。図1(a)に示した記録用紙150は、ロール152から引き出されて、筐体110の内部を通過した後に前面に引き出された様子を示している。
1−2.内部機構
図2(a)は、インクジェット記録装置100の内部機構200を模式的に示す斜視図、図2(b)は、インクジェット記録装置100における制御系の簡略的なブロック図である。
内部機構200は、インクジェットヘッド230、インクジェットヘッド230を移動させる走査機構210、記録媒体を移動させる搬送機構211、およびこれらを制御する制御装置212などを備えている。
インクジェットヘッド230は、インクカートリッジ240(図1(a))から供給されるインクを吐出する多数のノズルを、記録媒体が載置される側(記録用紙150と対向する面)に備えている。インクジェットヘッド230からのインクの吐出は、制御装置212により制御される(図2(b)参照)。
インクジェットヘッド230の詳細については後述する。
走査機構210は、ガイドレール270、キャリッジ231、キャリッジモーター222などを含み構成されている。
ガイドレール270は、図2(a)に示すように、上部筐体112の内部に長手方向に水平に延在するように設けられている。
キャリッジ231は、インクジェットヘッド230を搭載し、ガイドレール270に支持されつつ、ガイドレール270に沿って、往復移動方向Mに、水平に往復移動(走査)するように配置されている。
ガイドレール270の後方には、一対のプーリー260に掛けわたされたタイミングベルト220が配置される。プーリー260の一方は、キャリッジモーター222により回転駆動される。プーリー260の間で、タイミングベルト220はガイドレール270に対して平行に走行する。タイミングベルト220の一部は、キャリッジ231に結合される。このような構造により、制御装置212がキャリッジモーター222に供給する駆動信号に応じてキャリッジ231を移動させることができる。
さらに、往復移動方向Mに対して平行にリニアスケール214が配される。リニアスケール214は、透明な本体と、往復移動方向Mに沿って一定の周期で形成された遮光帯とを有する。一方、キャリッジ231は、遮光帯を検出する検知部215(図2(b))を備える。検知部215の検知結果は制御装置212に出力される(図2(b))。これにより、キャリッジ231の移動量を正確に検知できる。
このように、走査機構210は、インクジェットヘッド230を走査するように精度良く移動させることで、記録媒体上にインクが吐出される記録対象の領域(記録吐出領域)を形成する。
記録吐出領域の長さは60cmであり、JIS規格のA1判までの記録に対応することができる。
なお、記録吐出領域の長さはこれに限定するものではなく、例えば、記録吐出領域の長さを110cmとした場合には、JIS規格のB0判までの記録に対応することができる。ただし、走査機構210によるインクジェットヘッド230の走査速度や、吐出されるインクの液滴の量、吐出速度などを、記録密度やノズルの詰まり発生の状況を踏まえ適宜設定することが好ましい。
搬送機構211は、搬送モーター(図示省略)、搬送駆動ローラー213、搬送従動ローラー(図示省略)、吸引プラテン250などを含み構成されている。
搬送駆動ローラー213および吸引プラテン250は、ガイドレール270の下方に、図示する記録用紙150の搬送方向Sに沿って、この順に配置されている。なお、搬送駆動ローラー213は、上部筐体112の内部に収容されている。これに対し、吸引プラテン250は、下部筐体114に収容されている。
搬送モーターによって回転駆動される搬送駆動ローラー213は、搬送従動ローラーにより記録用紙150を押し付けられつつ回転することにより、記録用紙150を後方のロール152から引き出して、前方の吸引プラテン250上に送り出す。
吸引プラテン250は、水平で平坦な表面を有し、搬送駆動ローラー213により送り込まれた記録用紙150を下方から支持する。吸引プラテン250は、吸引ファン等の減圧源に連通した多数の吸引孔を表面に有し、記録用紙150を吸着する。これにより、吸引プラテン250は、巻き癖のついた記録用紙150を、インクジェットヘッド230の下方で平坦に保持する。
またさらに、キャリッジ231の往復移動方向Mについて吸引プラテン250の外側(上述した記録吐出領域の外側)の非記録吐出領域には、メンテナンスユニットとして、フラッシング部290およびキャップ280が順次配置される。搬送機構211は、記録吐出領域を越えて、キャリッジ231(インクジェットヘッド230)をこの領域に移動させることができる。
制御装置212は、搬送機構211によってキャリッジ231(インクジェットヘッド230)をフラッシング部290に移動させ、所定のノズルからインクを吐出させフラッシングを行う。フラッシング部290は、このフラッシングが実行された場合に、吐出されたインクを吸収する。このようなフラッシングにより、増粘したインクをインクジェットヘッド230から除去することができる。
また、キャップ280は、インクジェット記録装置100が休止している期間に、インクジェットヘッド230の下面を気密に封止して、インクジェットヘッド230においてインクが増粘または固化することを防止する。
フラッシングにおいてインクを吐出させる所定のノズルとは、記録動作中であっても記録(画像や文字の形成)のためのインク吐出信号が所定の時間以上印加されない非吐出ノズルである。インク吐出信号が印加されない所定の時間とは、この時間内にインクの増粘や固化によってインク詰まりの発生が危惧されない最大時間であり、本実施形態では、最大6.0秒としている。
なお、フラッシングは、所定のノズルに限定せず、すべてのノズルに対して行っても良い。また、フラッシングは、インク詰まりを抑制するために強制的にインクを吐出させるものであるため、その吐出量(非記録吐出領域における吐出量)は記録のための吐出量より多いことが好ましい。ただし、すべてのノズルに対して一様に、また頻繁に行うことは、インクの消費を著しく早めることになるため、本実施形態のように所定のノズルに対してだけ、また、少なくとも1.5秒以上の間隔をおいて行うことが好ましい。
なお、図2(a)に示す例では、フラッシング部290がインクジェットヘッド230の走査領域(記録吐出領域)に対して一方の側にだけ設けられているが、これに限定するものではなく、走査領域の両外側に設けても良い。フラッシング部290を走査領域の両外側に設けることで、同じフラッシング間隔に対しては、走査領域の長さをより長くすることができる。
制御装置212は、駆動ICを備え、図2(b)に示されるように、搬送機構211を介して記録用紙150の搬送を制御する。また、制御装置212は、検知部215の検知結果に基づいてキャリッジモーター222の駆動を制御することにより、キャリッジ231の位置・速度等を制御し、また、記録用紙150に対する所定の位置における、インクジェットヘッド230によるインクの吐出を制御する。
2.インクジェットヘッド
図3(a)はインクジェットヘッド230の部分平面図、図3(b)は(a)のA−A断面図である。
インクジェットヘッド230は、圧電アクチュエーター201、流路形成基板10、連通路形成板99、ノズルプレート20、保護基板30などを有している。圧電アクチュエーター201は、圧電素子300、振動板53などから構成される。
2−1.流路形成基板
流路形成基板10は、インクが流通する流路を形成する。流路形成基板10は、面方位(110)のシリコン単結晶基板からなる。
流路形成基板10は、インクジェットヘッド230が組み立てられることによって、圧力発生室12、連通室13およびインク供給路14となる空間を備える。圧力発生室12、連通室13、インク供給路14となる空間は、例えば、流路形成基板10を公知のエッチング手段でエッチングして貫通させることにより得られる。
圧力発生室12は、図3(a)に示すように複数個配列している。圧力発生室12は直方体形状で示しているが、これに限定されず、例えば平行六面体や台形柱であってもよい。圧力発生室12は、圧電アクチュエーター201のたわみ変形によって、その容積が変化する。
インク供給路14の一方は、圧力発生室12と連通しており、インク供給路14の他方は、連通室13と連通している。1つの圧力発生室12には、1つのインク供給路14が対応している。連通室13は、圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して、圧力発生室12と連通している。すなわち、連通室13に流入したインクは、インク供給路14を経由して圧力発生室12に流入する。
2−2.連通路形成板
連通路形成板99は、その一方の面(上面)が圧力発生室12の底面を成すように、流路形成基板10の一方の面(下面)に接着剤や熱溶着フィルムなどによって固着されている。連通路形成板99は、圧力発生室12の底面から、ノズルプレート20に設けられているノズル21に貫通する連通孔98が形成されている。連通路形成板99には、最適例として、シリコン単結晶基板を用いているがこれに限定するものではなく、例えば、ガラスセラミックスやステンレス鋼などであっても良い。
2−3.ノズルプレート
ノズルプレート20は、連通路形成板99の他方の面(下面)に、接着剤や熱溶着フィルムなどによって固着されている。
ノズルプレート20には、ノズル21が穿設されている。ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板またはステンレス鋼などからなる。これらの中でも、ノズルをより高密度に設けることができるという点から、ノズルプレートがシリコン単結晶基板からなることが好ましい。
ノズル21は、連通孔98を介して圧力発生室12毎に連通して設けられている。ノズル21は、1インチ(本実施形態においてはキャリッジ231の走査方向に交差する方向である縦方向)あたり200個以上設けられている(つまり、縦のノズル解像度が、それぞれ、200dpi以上である)ことが好ましく、より好ましくは1インチあたり360個以上である。ノズル(吐出口)解像度(縦)が200dpi以上であることで、高画質の大判画像が得られる。一方、高密度化したインクジェット記録ヘッドの場合、吐出安定性の課題が生じやすいが、本発明を適用することによって吐出安定性を良好にすることができる。
ノズル21の形状としては、特に限定されないが、例えばインクの吐出方向に延びる柱体(例えば、円柱、円錐台、多角柱、楕円柱等)や、体積の異なる柱体を組み合わせた形状等が挙げられる。ノズル21のインク吐出方向の先端部、すなわちノズルプレートの開口部は、インクが吐出する吐出口22として形成される。吐出口22の形状は、例えば、円形、楕円形、多角形等のいずれでもよいが、インクの詰まり等を抑制する観点から、円形または楕円形であることが好ましい。
2−4.連通路
流路形成基板としての連通路形成板99および流路形成基板としてのノズルプレート20によって形成される圧力発生室12の底面から吐出口22までのインク流路は、連通路97として構成される。従って、連通路97の長さは、連通路97が連通路形成板99およびノズルプレート20の面に対して垂直(法線方向)に形成された場合、連通路形成板99の厚さとノズルプレート20の厚さの和で与えられる。なお、連通路97は、連通孔98とノズル21それぞれの内壁面が連続するように形成されていることが好ましい。
連通路97の長さLは、40μm以上600μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以上500μm以下であり、さらに好ましくは200μm以上400μm以下である。このような連通路97を設けることによって、ヘッドの小型化を維持しつつ、ノズル付近のインクの目詰まりを抑えることが可能となる。
また、インクジェットヘッド230は図3(b)のように連通路97用の流路形成基板を有しているのが好ましい。これによって、連通路97の長さ、太さ等のコントロールが容易となり、製造の観点からも簡易で済む。
圧力発生室12に供給されたインクは、ノズル21(吐出口22)から吐出される。このとき、吐出されるインクの液滴の吐出速度は、5m/秒以上であることが好ましく、6m/秒以上であることがより好ましく、7m/秒以上であることが特に好ましい。なお、吐出されるインクの液滴の吐出速度は、15m/秒以下であることが好ましく、より好ましくは10m/秒未満である。このような液滴速度でインクを吐出することで、一定の空走時間があったとしても目詰まりを抑えつつ、吐出した際のミスト発生を防止できる。
液滴の吐出速度は、例えば、インクジェット液滴自動計測装置(商品名「JetMeasure」、株式会社マイクロジェット製)を用いて測定できる。なお、ノズルから1滴ずつ吐出させたはずの液滴が、ノズルから離れるときや飛翔中に、複数に分かれる場合がある。このような場合には、複数に分かれた液滴のうち、最も量の多い液滴を基準とする。また、液滴の飛翔とは、ノズルから吐出させた液滴が記録媒体に付着(接触)するまでの状態をいう。
2−5.圧電アクチュエーター
圧電アクチュエーター201は、流路形成基板10の他方の面(つまり、連通路形成板99が固着された面とは反対側の上面)に設けられている。圧電アクチュエーター201は、振動板53と駆動手段である圧電素子300とを備えている。
振動板53は、弾性膜50(例えば、厚み約1.0μmであり、窒化シリコン等からなる)と、弾性膜50上に形成された絶縁体膜55(例えば、厚み約0.35μmであり、酸化ジルコニウムからなる)と、を備えている。
圧電素子300は、振動板53を介して圧力発生室12と対向する領域に形成されている。具体的には、圧電体能動部(上電極80および下電極60への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分)が、圧力発生室12毎に設けられていればよい。
絶縁体膜55上には、下電極60(例えば、厚み約0.1〜0.2μm)と、圧電体層70(例えば、厚み約0.2〜5μm)と、上電極80(例えば、厚み約0.05μm)と、を有する圧電素子300が形成されている。
下電極60には、白金、イリジウム、およびこれらの合金等の材料を用いることができる。上電極80には、アルミニウム、金、ニッケル、白金、イリジウム等の金属およびこれらの合金や、導電性酸化物等の材料を用いることができる。圧電体層70には、特に限定されないが、例えば、ペロブスカイト型強誘電体を圧電材料として用いることができ、チタン酸ジルコン酸鉛PZTを代表とする鉛系の圧電材料や、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、ビスマスフェライト等の鉛フリー系の圧電材料が挙げられる。圧電体層70には、好適例として、チタン酸ジルコン酸鉛PZTを用いている。なお、圧電体層70はたわみモードの変形を用いてインク組成物を吐出させるものであると好ましい。
なお、一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極および圧電体層70を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。実施形態では、下電極60を圧電素子300の共通電極とし、上電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
また、圧電アクチュエーター201は、リード電極90を備えている。各圧電素子300の上電極80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
2−6.保護基板
保護基板30は、圧電素子300を保護するための圧電素子保持部31を有しており、圧電素子300に対向する領域に接着剤等により接合されている。
圧電素子保持部31は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保できればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
保護基板30には、連通室13に対向する領域にリザーバー部32が設けられており、このリザーバー部32は、流路形成基板10の連通室13と連通している。
保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバー部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に下電極60の一部およびリード電極90の先端部が露出され、これら下電極60およびリード電極90には、駆動IC(制御装置212)から延設される接続配線の一端が接続される(図示省略)。
保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料、シリコン単結晶基板等を用いるのが好ましい。
保護基板30上には、封止膜41および固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム(例えば、厚み6μm)からなり、この封止膜41によってリザーバー部32の一方面が封止されている。
また、固定板42は、金属等の硬質の材料、例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等で形成される。この固定板42のリザーバー部32に対向する領域は、厚さ方向に除去された開口部43となっているため、リザーバー部32の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
3.インクジェット記録装置の動作
上記のような構造を有するインクジェット記録装置100は、以下の通りの記録動作を基本動作として実行する。まず、走査機構210が吸引プラテン250上に記録用紙150を搬送して、吸引プラテン250は搬送された記録用紙150を平坦に保持する。
インクジェットヘッド230は、吸引プラテン250に保持された記録用紙150の上方でM方向に往復移動(走査駆動)しつつ、インクジェットヘッド230からインクを吐出して、記録用紙150に付着させる。
3−1.インクの吐出機構
インクジェットヘッド230では、インク供給手段からインクを取り込み、リザーバー部32からノズル21に至るまでをインクで満たした後、駆動ICからの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極60と上電極80との間に電圧が印加される。電圧の印加によって、弾性膜50および圧電体層70がたわみ変形(たわみ振動)し、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル21からインク滴が吐出する。このようにして、記録媒体上にインク滴が付着して、画像の記録された記録物が得られる。
なお、圧電素子300を駆動する駆動電位差は、好ましくは、10V以上40V以下であり、さらに好ましくは、15V以上30V以下である。
また、圧電素子300には、インクが吐出されない非吐出時間において、インクが吐出されない程度の駆動電位差の電圧が印加される。具体的には、非吐出時間において、ノズル表面(吐出口22)近傍までインクのメニスカスを移動させた状態で、圧電素子300にインクが吐出されない程度の駆動電圧を印加することで、インクに微振動を与える。ノズル表面付近のインクは、微振動することによりインクが攪拌され、その表面においても流動性が与えられ、目詰まりを防止できる。
4.インク組成物
次に、インク組成物、およびインク組成物に含まれるか、または含まれ得る添加剤(成分)について説明する。インク組成物は、自己分散顔料、溶媒(水、有機溶剤など)、必要に応じて界面活性剤などから構成される。
4−1.顔料
インク組成物は、色材として顔料(無機顔料/有機顔料)を含む。顔料は、より好ましくは無機顔料である。本実施形態における顔料は、分散を良好とするために官能基を付与する表面処理を行った自己分散顔料である。官能基としては特に限定されないが、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基が挙げられる。官能基として、カルボキシル基、リン酸基を表面に有している。表面に付与された官能基の静電反発力により、分散がより良好な状態となる。
顔料の含有量は、2質量%以上8質量%以下であることが好ましい。
無機顔料としては、単体金属(例えば、カーボンブラック、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛等)、酸化物(例えば、酸化セリウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン等)、硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム等)、珪酸塩(例えば、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム等)、チッ化物(例えば、チッ化ホウ素、チッ化チタン等)、炭化物(例えば、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム等)、ホウ化物(例えば、ホウ化ジルコニウム、ホウ化チタン等)などが挙げられる。なかでもカーボンブラックが最も好ましい。
有機顔料としては、特に限定されないが、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、およびアゾ系顔料等が挙げられる。
また、顔料の平均粒子径は、ノズルにおける詰まりを抑制することができ、かつ、吐出安定性が一層良好となるため、250nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下である。なお、平均粒子径は、体積基準のものである。測定方法としては、例えば、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、日機装社(Nikkiso Co. Ltd.)製のマイクロトラックUPA)が挙げられる。
4−2.溶媒
インク組成物を構成する溶媒は、水、有機溶剤などを含む。
水の含有率は、特に限定されないが、10質量%以上80質量%以下であるのが好ましく、25質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。
有機溶剤としては、ハンセン法に基づくSP値が14(cal/cm31/2以上16(cal/cm31/2以下の有機溶剤であれば特に限定されないが、多価アルコールまたはラクタムであると好ましい。
多価アルコールとしては、SP値が14(cal/cm31/2以上16(cal/cm31/2以下のラクタムまたはアルキルジオールが含まれる。具体的には、好適例として、ラクタム構造を有する2−ピロリジノンを含有する。なお、これに限定するものではなく、例えば、アルキルジオールとしてのプロピレングリコールや、メタノール、1,3−ブタンジオールなど、あるいは、2−ピロリジノンを含み、これらの混合物であっても良い。これらの中でもプロピレングリコールと2−ピロジノンが好ましく、最も好ましくは2−ピロリジノンである。
SP値が14(cal/cm31/2以上16(cal/cm31/2以下のラクタムまたはアルキルジオールの含有率は、1質量%以上30質量%以下、より好ましくは、2質量%以上20質量%以下である。SP値が14(cal/cm31/2以上16(cal/cm31/2以下の範囲の場合、親水性の官能基を有する自己分散顔料との相溶性が良く、顔料の分散を良好にさせることができる。特に、カルボキシル基、リン酸基が付与された自己分散顔料との相性が良い。
ここで、溶解度パラメーター(SP値)について説明する。本発明におけるSP値とは、ハンセン(Hansen)法に基づくSP値である。ハンセン法はSP値δを3つの項に分類し、δ2=δd 2+δp 2+δh 2と表して算出したものである。δd、δp、δhはそれぞれ分散力項、双極子間力項、水素結合力項に相当する溶解度パラメーターである。本発明に関連する有機溶剤と比較例に相当する有機溶剤とのδ、δd、δp、δhを以下の表1に示す。
Figure 0006171548
4−3.界面活性剤
インク組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤の種類としては、特に限定されないが、アセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤であることが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤は、記録媒体などの被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。
4−4.その他の成分
インク組成物は、上記以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、pH調整剤、浸透剤、有機バインダー、尿素系化合物、糖類、乾燥抑制剤、樹脂分散剤、樹脂エマルジョン、ワックス等が挙げられる。
5.実施例および比較例
以下、実施例および比較例によって本発明に係るインクジェット記録装置、およびインクジェット記録方法を具体的に説明する。ただし、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
<インクジェット記録装置>
実施例、比較例では、インクジェット記録装置100として、インクジェットプリンターPX−H6000(セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製)を用いた。
<インク組成物>
実施例および比較例で使用したインク組成物の成分を表1に示す。なお、顔料、有機溶剤(多価アルコール)の種類や含有量により、表2,表3に示すように実施例1〜20、および比較例1〜9の複数の水準を準備した。
主な材料は、以下の通りである。
・自己分散顔料:官能基としてカルボキシル基により表面処理を実施した。
・樹脂分散顔料:スチレン−アクリル樹脂Aを用いた。
(重量平均分子量78000、樹脂酸価100)
・有機溶剤:SP値が14〜16(cal/cm31/2の有機溶剤として、
2−ピロリジノンあるいはプロピレングリコールを用いた。
これらを用いない比較例では、トリエチレングリコールを用いた。
Figure 0006171548
Figure 0006171548
Figure 0006171548
<評価1:実施例1〜18、比較例1〜7>
インクの吐出速度、および圧電素子に印加する駆動電圧の電位差を表2に示す複数の水準で行い、評価した。
各実施例および比較例のインク組成物を、インクジェットプリンターPX−H6000のヘッド内に充填した。充填後、ノズルチェックパターンを印刷して充填不良・ノズル詰まりのないことを確認してから、罫線を記録した。その後、表2に記載の非吐出時間の間、吐出動作を止め、再度罫線の記録を行った。
非吐出時間の前後でのインクの着弾位置を比較して記録品質の評価を行い、表2の結果が得られた。なお、評価基準を以下とした。
A:インク着弾位置ズレが10μm以内
B:インク着弾位置ズレが10μm超過、40μm以下
C:インク着弾位置ズレが40μm超過、150μm以下
D:インク着弾位置ズレが150μm超過
表2に示す評価結果から明らかなように、有機溶剤として2−ピロリジノンあるいはプロピレングリコールを用いた効果や、インクの吐出速度、および圧電素子に印加する駆動電圧の電位差の効果が認められる。
なお、表2の評価結果の中でA*としている水準は、上記の評価基準とは別に、ミスト発生が多い傾向が確認された。
<評価2:実施例19,20、比較例8,9>
表3に示すように、400μmの連通路97を備えたインクジェットヘッド230(ヘッド1)を用いた実施例19,20、および連通路97を備えない従来のインクジェットヘッド(ヘッド2)を用いた比較例8,9の水準について評価した。なお、いずれのインクジェットヘッドも、縦のノズル解像度が、それぞれ、300dpiのものを用いている。
各実施例および比較例のインク組成物を、それぞれのヘッド内に充填した後、ノズルチェックパターンを印刷して充填不良・ノズル詰まりのないことを確認してから、罫線を記録した。その後、表3に記載の非吐出時間の間、吐出動作を止め、再度罫線の記録を行った。非吐出時間の前後でのインクの着弾位置を比較して記録品質の評価を行い、表3の結果が得られた。なお、評価基準は上記と同様である。
表3に示す評価結果から明らかなように、有機溶剤として2−ピロリジノンあるいはプロピレングリコールを用いた効果や、連通路97を備える効果が認められる。一方、上記数値範囲外である、トリエチレングリコールやグリセリンのみしか含んでいない場合は、良好な効果が発揮されなかった。
以上述べたように、本実施形態によるインクジェット記録装置によれば、以下の効果を得ることができる。
インクジェット記録装置100は、圧力発生室12と吐出口22とを連通させる連通路97とを有している。従って、吐出口22付近においてインク組成物が増粘あるいは固化が進行した場合であっても、連通路97を介し離れて位置する圧力発生室12までの増粘あるいは固化が抑制される。その結果、圧力発生室12が発生する圧力に対して大きな影響を与えることが無くなる、あるいは軽減される。
また、吐出口22から吐出されるインク組成物の吐出速度が5m/秒以上と比較的高速であるため、吐出口22付近におけるインク組成物の増粘あるいは固化によるインク詰まりが抑制される。具体的には、吐出口22付近から連通路97のインク組成物の増粘あるいは固化がある程度進んでいた場合であっても、高速吐出させるために圧力発生室12が発生する圧力が比較的大きいため、増粘あるいは固化したインク組成物が、吐出口22から吐出されやすい。つまり、インク詰まりの状態から回復しやすい。また、インク組成物の吐出速度が15m/秒以下であるため、増粘あるいは固化したインク組成物が吐出口22から吐出された後に、正常な粘度のインク組成物が吐出される場合においては、インク組成物による液滴が小さな液滴に粉砕されることなく、つまり例えば霧状に吐出されることなく、所望の状態で吐出させることができる。
また、インク組成物が、顔料とSP値が14(cal/cm31/2以上16(cal/cm31/2以下の有機溶剤とを含んでいる。顔料としてカルボキシル基を表面に有する自己分散顔料を用いており、有機溶剤のSP値が14(cal/cm31/2以上16(cal/cm31/2以下であることにより、自己分散顔料の分離がより抑制され、分散状態がより良好に保たれる。そのため、吐出口22付近において、顔料が有機溶剤との間で分離し凝集することで固化することが抑制される。その結果、記録動作中にノズル21の詰まりが発生してしまうことが抑制され、より良好な記録を行うことができる。
以上のように、本実施形態によると、圧力発生室12内の増粘あるいは固化が抑制され、吐出口22付近における顔料の凝集による増粘や固化が抑制され、また、吐出口22付近から連通路97のインク組成物の増粘あるいは固化がある程度進んでいた場合であっても、インク詰まりの状態から回復しやすいため、吐出口22(ノズル21)の詰まりを抑制することができる。その結果、例えば、インクを吐出しない時間が比較的長いノズル21を有するインクジェット記録装置(例えば、大判の記録を行うLFPなど間欠吐出が多いプリンター)において、記録動作中にノズル21の詰まりが発生してしまうことが抑制され、より良好な記録を行うことができる。
また、連通路97の長さを40μm以上とすることにより、吐出口22付近においてインク組成物が増粘あるいは固化した場合であっても、連通路97を介し少なくとも40μm以上離れて位置する圧力発生室12までの増粘あるいは固化が抑制される。
また、連通路97の長さを600μm以下とすることにより、必要以上にインクジェットヘッド230を大型化することなく構成することができる。また、圧力発生室12から吐出口22までの距離が600μm以下であるため、上述した効果を得る中で、吐出抵抗や吐出タイムラグの増加などによる吐出効率の低下を抑えることができる。
また、例えば、インクジェットヘッド230を、シリコン基板を積層して構成するような場合であっても、連通路97を形成するための積層構造を40μm以上600μm以下のシリコン基板で形成することができるため、基板材料の形成や積層構造の形成などを、より簡便、容易に行うことができる。
また、走査機構210は、インクジェットヘッド230を移動させて、インク組成物が吐出される記録吐出領域と、記録吐出領域の外側の領域に非記録吐出領域とを形成する。また、搬送機構211は、記録媒体(記録用紙150)を記録吐出領域に搬送し、記録吐出領域の延在方向と交差する方向に記録媒体を移動させる。このような構成とすることにより、記録(記録吐出領域への記録吐出)のための1走査と1走査の合間に記録吐出領域の外側の領域に形成された非記録吐出領域においてフラッシングを行うことで、走査中に発生するノズルの詰まりを抑制することができる。
また、このような構成にすることで、上述した効果に加え、より大型で高精細のインクジェット記録装置を構成することができる。具体的には、記録動作中にノズル21の詰まりが発生してしまうことが抑制された効果として、非記録吐出領域におけるフラッシングの間隔をより大きく取ることができるため、例えば、非記録吐出領域を記録吐出領域の両側に設けるなどした場合には、インクジェットヘッド230が走査する長さを長くし、記録吐出領域を大きく取ることが可能となる。つまり、より大型のインクジェット記録装置を構成することができる。また、ノズル21の詰まりが抑制された効果として、吐出するインク組成物の大きさ(インク滴)をより微量とすることができる。インク滴をより微量とし、記録解像度を200dpi以上とすることで、より高精細な記録を行うことができる。
また、評価結果からも分かるように、有機溶剤がインク組成物に含有される量を1質量%以上20質量%以下とすることで、非吐出時間におけるインクの増粘や固化による吐出口22(ノズル21)の詰まりをより効果的に抑制することのできるインク組成物を得ることができる。
また、圧電素子300が15V以上と比較的高電圧で駆動されるため、吐出口22付近におけるインク組成物の増粘あるいは固化によるインク詰まりが抑制される。具体的には、吐出口22付近から連通路97のインク組成物の増粘あるいは固化が進んでいた場合であっても、比較的高電圧で駆動される圧電素子300により、圧力発生室12で発生する圧力が比較的大きくなるため、増粘あるいは固化したインク組成物が、吐出口22から吐出されやすい。つまり、インク詰まりの状態から回復しやすい。また、圧電素子300が60v以下の電位差で駆動されるため、圧力発生室12で発生する圧力が必要以上に大きくならない。その結果、増粘あるいは固化したインク組成物が吐出口22から吐出された後に、正常な粘度のインク組成物が吐出される場合においては、インク組成物による液滴が小さな液滴に粉砕されることなく、つまり例えば霧状(ミスト状)に吐出されることなく、所望の状態で吐出させることができる。
また、評価結果からも分かるように、顔料がインク組成物に含有される量を2質量%以上8質量%以下とすることで、非吐出時間におけるインクの増粘や固化による吐出口22(ノズル21)の詰まりをより効果的に抑制することのできるインク組成物を得ることができる。
また、上述した効果に従い、ある吐出口から非記録吐出領域に対するインク組成物の吐出が行われ、次にその吐出口から非記録吐出領域に対するインク組成物の吐出が行われるまでの時間間隔が1.5秒以上6.0秒以下の吐出口22を有することが可能となるため、例えば、上述したフラッシングの間隔を最大6秒まで長くすることができる。つまり、例えば、画像形成のためのインク吐出信号が印加されない非吐出ノズルがあった場合においても、フラッシングの間隔が6秒となる範囲まで走査時間を長くすることができる。すなわち、走査の速度が同じ場合には、フラッシングの間隔が6秒となる範囲まで記録吐出領域の長さを長くすることができる。その結果、より大型で高精細のインクジェット記録装置を構成することができる。
また、圧電素子300が、インク組成物が吐出されない非吐出時間において、インク組成物が吐出されない程度の駆動電圧で振動する。その結果、ノズル21表面付近のインクは、微振動することによりその表面においても流動性が与えられ、非吐出時間において増粘あるいは固化したインクが吐出口22付近に付着することが防止できるので、上記の効果と合わせ、さらにノズル21の詰まりを抑制することができる。
(実施形態2)
実施形態2に係るインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置100を用いて記録することを特徴とする。
本実施形態によるインクジェット記録方法によれば、上記実施形態の効果が得られるインクジェット記録装置100を用いて記録することにより、より大判で高精細のインクジェット記録を行うことができる。
12…圧力発生室、13…連通室、14…インク供給路、21…ノズル、22…吐出口、30…保護基板、31…圧電素子保持部、32…リザーバー部、33…貫通孔、40…コンプライアンス基板、41…封止膜、42…固定板、43…開口部、50…弾性膜、53…振動板、55…絶縁体膜、60…下電極、70…圧電体層、80…上電極、90…リード電極、97…連通路、98…連通孔、99…連通路形成板、110…筐体、112…上部筐体、114…下部筐体、116…小型筐体、120…脚部、130…操作パネル、140…カートリッジホルダー、150…記録用紙、152…ロール、160…スピンドル、200…内部機構、201…圧電アクチュエーター、210…走査機構、211…搬送機構、212…制御装置、213…搬送駆動ローラー、214…リニアスケール、215…検知部、220…タイミングベルト、222…キャリッジモーター、230…インクジェットヘッド、231…キャリッジ、240…インクカートリッジ、250…吸引プラテン、252…案内面、260…プーリー、270…ガイドレール、280…キャップ、290…フラッシング部、300…圧電素子。

Claims (11)

  1. 記録媒体にインク組成物を吐出することによって記録を行うインクジェット記録装置であって、
    前記インク組成物が収容され前記インク組成物に吐出圧力を加える圧力発生室と、前記インク組成物が吐出される吐出口と、前記圧力発生室と前記吐出口とを連通させる連通路とを有するインクジェットヘッドを備え、
    前記吐出口から吐出される前記インク組成物の吐出速度がm/秒以上15m/秒以下であり、
    前記連通路の長さが、40μm以上600μm以下であり、
    前記インク組成物が、自己分散顔料と、2−ピロリジノンおよびプロピレングリコールから選択される1種以上の有機溶剤と、を含み、
    前記有機溶剤の含有量が、インク全体に対して3質量%以上10質量%以下である、インクジェット記録装置。
  2. 前記記録ヘッドの単位長さあたりの吐出口解像度が200dpi以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記顔料が、カルボキシル基を表面に有する自己分散顔料であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記連通路の長さが、400μm以上600μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記インクジェットヘッドを移動させる走査機構と、
    前記記録媒体を移動させる搬送機構と、を備え、
    前記走査機構は、前記インクジェットヘッドを走査するように移動させて前記インク組成物が吐出される記録吐出領域を形成し、また、前記インクジェットヘッドを前記記録吐出領域の外側の領域に移動させて前記インク組成物が吐出される非記録吐出領域を形成し、
    前記搬送機構は、前記記録媒体を前記記録吐出領域に搬送し、前記記録吐出領域の延在方向と交差する方向に前記記録媒体を移動させ、
    前記搬送機構による前記記録媒体の移動方向における記録画像の記録解像度が200dpi以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記記録吐出領域の長さが60cm以上であることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記インクジェットヘッドが、前記圧力発生室の容積を変動させる圧電素子を備え、
    前記圧電素子が駆動される駆動電位差が、10V以上30V以下であることを特徴とする請求項または請求項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記顔料が前記インク組成物に含有される量が2質量%以上8質量%以下であることを特徴とする請求項ないし請求項のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記インクジェットヘッドが、前記吐出口から前記非記録吐出領域に対して前記インク組成物の吐出が行われ、当該吐出口から再度前記非記録吐出領域に対して前記インク組成物の吐出が行われる時間間隔が1.5秒以上6.0秒以下であることを特徴とする請求項ないし請求項のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記圧電素子が、前記インク組成物が吐出されない非吐出時間において、前記インク組成物が吐出されない程度の駆動電位差の電圧で駆動されることを特徴とする請求項ないし請求項のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置を用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
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