JP6169304B1 - 立体配線基板、立体配線基板の製造方法、立体配線基板用基材 - Google Patents

立体配線基板、立体配線基板の製造方法、立体配線基板用基材 Download PDF

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Abstract

ガラス転移温度以上の飽和域における貯蔵弾性率が2×107Pa以下である動的粘弾性特性を備え、且つ50%以上の破断伸びを備える立体的な樹脂フィルム(1)と、前記樹脂フィルムの表面上に形成され、所望のパターンを備える第1金属膜(5)と、前記第1金属膜上に形成された第2金属膜(21)と、を有し、前記樹脂フィルムは、前記第1金属膜の形成面に複数の凹凸を備え、前記第1金属膜は、金属を粒子状に堆積してなるポーラス状の構造となるように膜厚が調整されている立体配線基板。

Description

本発明は、立体的に成型された立体配線基板、当該立体配線基板の製造方法、及び当該立体配線基板に用いられる立体配線基板用基材に関する。
従来から知られている立体配線基板としては、三次元構造を備える構造体の表面上に電気回路を直接的かつ立体的に形成した部品であるMID(Molded Interconnect Device)基板がある。MID基板に関する技術としては、2ショット法、MIPTEC(Microscopic Integrated Processing Technology)、及びLDS(Laser Direct Structuring)等の工法が知られている。いずれの工法においても、モールド樹脂に対して三次元構造を形成した後に、その表面に対して配線回路を形成することになる。例えば、特許文献1には、MID基板及びその製造に関する技術が開示されている。
2ショット法においては、一次成型されたモールド樹脂上の配線形成をしない部分に対して、新たな樹脂による二次成型を行い、当該二次成型に係る樹脂をレジストとして触媒塗布及びめっきを行うことにより、モールド樹脂上に配線回路を形成する。しかしながら、2次成型された樹脂によって配線パターン形状を規制するため、2次成型のための金型加工精度の限界から、導体幅と導体間隙とを示すL/S(line width and spacing)の最小値が150/150μm程度となり、より微細な配線パターンの形成が困難であった。
MIPTECにおいては、成型されたモールド樹脂の表面全体にメタライジングを施し、レーザ光によって配線回路の外縁部分の金属(メタライジング層)を除去する。その後、配線回路となる領域に通電して電解めっきを行い、その後に成型体の全面にフラッシュエッチングを施して配線回路以外の金属を除去することにより、モールド樹脂上に配線回路を形成する。しかしながら、レーザ光の使用にあたっては、成型されたモールド樹脂の三次元形状に対応した特殊なレーザ照射装置が必要となり、レーザ加工の手間及び設備投資による製造コストの増加が問題となる。また、電解めっきによって配線回路に必要となる金属を堆積するため、配線回路となる領域のみに通電する必要があることから、当該配線回路となる領域が成型体の外周部と電気的に接続しているか、或いは給電線を介して外周部と電気的に接続されている必要がある。すなわち、当該配線回路となる領域を成型体の外周部から電気的に離間すること(すなわち、独立した配線パターンの形成)が困難となる問題や、回路として最終的に不要な給電線の形成及び除去に伴うコスト増加の問題が生じる。
LDSにおいては、触媒金属イオン粒子を含んだ特殊な樹脂材料を使用して1次成型を行い、配線回路となる領域にレーザ光を照射して当該触媒金属イオン粒子を活性化(金属化)露出させ、当該触媒金属の露出部分にめっき(原則的には無電解めっき)を行うことにより、モールド樹脂上に配線回路を形成する。しかしながら、成型されたモールド樹脂内の触媒金属イオン粒子を活性化(金属化)させる精度の問題から、L/Sの最小値が100/150μm程度となり、より微細な配線パターンの形成が困難であった。また、MIPTECと同様に特殊なレーザ照射装置が必要となり、レーザ加工の手間及び設備投資による製造コストの増加が問題となる。
そして、上記いずれの工法においても、三次元的な形状を備えるモールド樹脂に配線回路を形成するため、最終的に製造されるMID基板は基本的に片面基板となる。このため、両面基板と比較して配線回路の自由度が小さくなり、基板自体の小型化も困難になる問題が生じる。当該問題及び上述した問題を解決する方法として、ポリイミド等の熱可塑性樹脂に配線回路を形成した後に、加熱及び加圧によって樹脂に折り曲げ加工を施し、立体配線基板を製造する方法がある。例えば、特許文献2にはポリイミドフィルム上に熱圧着により金属箔を貼り付けた後に立体成型することが開示され、特許文献3にはポリサルホン樹脂上に導電性ペーストを塗布した後に立体成型することが開示されている。
また、折り曲げ加工を施す場合に、互いに全く異なる材質である熱可塑性樹脂と配線となる金属とが剥離する問題が生じている。このような問題を解決するために、スパッタリング、蒸着、その他の湿式めっき法を用いたり、分子接合技術を用いた特殊な工法を扱うことにより、熱可塑性樹脂と金属とを強固に密着させることも検討されている。
特開2012−94605号公報 特開平06−188537号公報 特開2000−174399号公報
しかしながら、加熱及び加圧により平面である熱可塑性樹脂を折り曲げ立体的に成型しようとすると、屈曲部を中心に伸びが生じる。この際、熱可塑性樹脂は破断伸びの大きなものが多く比較的自由に伸びるが、パターン形成した金属はある限界までは伸びるもののそれ以上伸びると幅の広いクラックが発生し破断する。例えば、特許文献2及び特許文献3のような方法により、配線回路となる金属を樹脂上に形成した後に立体成型をすると、立体配線基板の屈曲部分において配線回路が断線しやすくなり、信頼性の優れた立体配線基板を製造することが困難となる。特に、複雑な立体形状で伸びる量が多い立体基板を成型するような場合には、配線回路の破断による断線がより一層生じやすくなる。
また、熱可塑性樹脂と金属とを強固に密着させるために、スパッタリング、蒸着、その他の湿式めっき法を用いたり、分子接合技術を用いた特殊な工法を用いる場合には、熱可塑性樹脂の表面に対して、エッチングを施したり、コロナ処理、低圧UV照射、プラズマ処理等による表面状態の改質を行う必要がある。このような前処理は、所望の薬剤や装置が必要となり、立体配線基板自体のコスト増加につながる問題となっている。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、樹脂フィルムと配線回路の材料である金属との剥離の防止、配線回路の微細加工、及び配線回路の断線を防止して優れた信頼性を備えるとともに、低コストで製造することができる立体配線基板及びその製造方法、並びに立体配線基板及びこれに用いられる立体配線基板用基材を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の立体配線基板は、ガラス転移温度以上の飽和域における貯蔵弾性率が2×10Pa以下である動的粘弾性特性を備え、且つ50%以上の破断伸びを備える立体的な樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの表面上に形成され、所望のパターンを備える第1金属膜と、前記第1金属膜上に形成された第2金属膜と、を有し、前記樹脂フィルムは、前記第1金属膜の形成面に複数の凹凸を備え、前記第1金属膜は、金属を粒子状に堆積してなるポーラス状の構造となるように膜厚が調整されていることである。
また、上記目的を達成するため、本発明の立体配線基板の製造方法は、ガラス転移温度以上の飽和域における貯蔵弾性率が2×10Pa以下である動的粘弾性特性を備え、且つ50%以上の破断伸びを備える平坦な樹脂フィルムを準備する準備工程と、前記樹脂フィルムに加熱及び加圧を施し、前記樹脂フィルムの表面に複数の凹凸を形成する凹凸形成工程と、前記樹脂フィルムの表面上に第1金属膜を形成する第1金属膜形成工程と、フォトリソグラフィによって前記第1金属膜にパターニングを施し、所望のパターンを形成するパターン形成工程と、前記第1金属膜が形成された状態の前記樹脂フィルムに対して加熱及び加圧を施して立体成型する立体成型工程と、パターン形成された前記第1金属膜上に第2金属膜を形成する第2金属膜形成工程と、を有し、前記第1金属膜形成工程においては、金属を粒子状に堆積し且つ膜厚を調整することによって前記第1金属膜をポーラス状に形成することである。
更に、上記目的を達成するため、本発明の立体配線基板用基材は、ガラス転移温度以上の飽和域における貯蔵弾性率が2×10Pa以下である動的粘弾性特性を備え、且つ50%以上の破断伸びを備える立体的な樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの表面上に形成され、所望のパターンを備える第1金属膜と、を有し、前記樹脂フィルムは、前記第1金属膜の形成面に複数の凹凸を備え、前記第1金属膜は、金属を粒子状に堆積してなるポーラス状の構造となるように膜厚が調整されていることである。
本発明により、樹脂フィルムと配線回路の材料である金属との剥離の防止、配線回路の微細加工、及び配線回路の断線を防止して優れた信頼性を備えるとともに、低コストで製造することができる立体配線基板及びその製造方法、並びに立体配線基板及びこれに用いられる立体配線基板用基材を提供することができる。
本発明の実施例に係る立体配線基板の製造工程における断面図である。 本実施例に係る立体配線基板に使用される熱可塑性樹脂フィルム及び従来の熱可塑性樹脂フィルムの動的粘弾性特性の貯蔵弾性率の値の温度依存性を示すグラフである。 本発明の実施例に係る立体配線基板の製造工程における断面図である。 本発明の実施例に係る立体配線基板の製造工程における断面図である。 本発明の実施例に係る立体配線基板の製造工程における断面図である。 本発明の実施例に係る立体配線基板の製造工程における断面図である。 本発明の実施例に係る立体配線基板の製造工程における断面図である。 本発明の実施例に係る立体配線基板の製造工程における断面図である。 本発明の実施例に係る立体配線基板についての金属膜形成における概略図である。 本発明の実施例に係る立体配線基板についての金属膜形成における概略図である。 本発明の実施例に係る立体配線基板の製造工程における断面図である。 本発明の実施例に係る立体成型に係る製造工程を示す概略図である。 本発明の実施例に係る立体成型に係る製造工程を示す概略図である。 本発明の実施例に係る立体成型に係る製造工程を示す概略図である。 本発明の実施例に係る立体成型に係る製造工程を示す概略図である。 本発明の実施例に係る立体配線基板の製造工程における断面図である。 本発明の実施例に係る立体配線基板の製造工程における断面図である。 本発明の実施例に係る立体配線基板の斜視図である。 本発明の実施例に係る立体配線基板の使用例を示す概略図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施例の説明に用いる図面は、いずれも本発明による立体配線基板及びその構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、立体配線基板及びその構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、実施例で用いる様々な数値は、一例を示す場合もあり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
<実施例>
以下において、図1乃至図18を参照しつつ、本発明の実施例に係る立体配線基板の製造方法及び製造される立体配線基板について詳細に説明する。ここで、図1、図3乃至図8、図11、図16、及び図17は、立体配線基板の製造工程における断面図である。また、図2は、本実施例に係る立体配線基板に使用される熱可塑性樹脂フィルム及び従来の熱可塑性樹脂フィルムの動的粘弾性特性の貯蔵弾性率の値の温度依存性を示すグラフである。更に、図9及び図10は、本発明の実施例に係る立体配線基板についての金属膜形成における概略図である。そして、図12乃至図15は、本発明の実施例に係る立体成型に係る製造工程を示す概略図である。図18は、本発明の実施例に係る立体配線基板の斜視図である。
先ず、図1に示すように、約150μmの厚みを備える熱可塑性樹脂フィルム1を準備する(準備工程)。熱可塑性樹脂フィルム1としては、例えば、ポリイミド又はポリエチレンテレフタラート等の公知の樹脂フィルムを用いることができる。熱可塑性樹脂フィルム1の厚みには限定はなく、立体配線基板の用途及び要求される特性に応じて適宜変更することができる。例えば、立体配線基板を単体で使用する場合には、熱可塑性樹脂フィルム1の厚みを約100μm程度(75μm以上150μm以下)に調整してもよく、立体配線基板を他のモールド樹脂等の保持部材とともに使用する場合には、50μm以下に調整してもよい。
また、熱可塑性樹脂フィルム1は、ガラス転移温度以上の飽和域における貯蔵弾性率が2×10Pa以下である動的粘弾性特性を備えていることが重要となる。この理由は、熱可塑性樹脂フィルム1に対して、後述する凹凸形成を容易に行えるようにするためである。特に好ましくは、ガラス転移温度以上の飽和域における動的粘弾性特性の貯蔵弾性率が、1×10Pa以下である。ここで、ガラス転移温度以上の飽和域とは、ガラス転移点を挟んで大きく低下する貯蔵弾性率の低下が飽和し始め、貯蔵弾性率の低下の変化が少なくなる領域のことをいう。
更に、熱可塑性樹脂フィルム1は、ガラス転移温度以上の飽和域における貯蔵弾性率が
ガラス転移温度以下の安定域における貯蔵弾性率の1/100以下である動的粘弾性特性を備えていることが好ましい。ここで、ガラス転移温度以下の安定域とは、常温からガラス転移点温度の少し手前の温度までの比較的貯蔵弾性率の変化が少ない領域のこという。
例えば、図2に、本実施例に係る熱可塑性樹脂フィルム1(本材料)と、従来の熱可塑性樹脂フィルム(以下、従来材と称する)との動的粘弾性特性の貯蔵弾性率の温度依存性を示す。ここで、図2の横軸は温度(℃)であり、縦軸は貯蔵弾性率E´(Pa)である。また、安定域及び飽和域は、それぞれの材料によって温度範囲が異なっている。
図2に示すように、常温から熱可塑性樹脂フィルム1のガラス転移温度(約258℃)よりも少し低い約240℃まで、熱可塑性樹脂フィルム1に係る動的粘弾性特性の貯蔵弾性率は、4×10Paでほぼ一定の値を維持している。すなわち、図2に示すように、熱可塑性樹脂フィルム1においては、常温から約240℃までが安定域となる。また、240℃以上になると貯蔵弾性率は急激に低下し、熱可塑性樹脂フィルム1のガラス転移温度において、約2×10Paである。更に、ガラス転移温度を超えた温度範囲においても貯蔵弾性率は急激に低下し、約255℃において約2×10Paよりも小さくなり、約270℃において約1×10Paである。そして、約270℃以上になると、貯蔵弾性率は約1×10Pa以下にまで減少する。特に、本実施例において、熱可塑性樹脂フィルム1の飽和域を約255℃以上の温度範囲としている。従って、本実施例に係る熱可塑性樹脂フィルム1は、飽和域における動的粘弾性特性の貯蔵弾性率の値が2×10Pa以下となる。また、図2から分かるように、本実施例に係る熱可塑性樹脂フィルム1は、ガラス転移温度以上(具体的には270℃以下)の飽和域における貯蔵弾性率が、ガラス転移温度以下(具体的には240℃以上)の安定域における貯蔵弾性率の約1/100以下となる特性を有している。
このような貯蔵弾性率は、熱可塑性樹脂フィルム1の原材料を所定のものに選択して、結晶構造を調整することによって実現できるものである。本実施例の場合においては、三井化学株式会社のAURUM(登録商標)を原材料として選択し、熱可塑性樹脂フィルム1の結晶構造がより多くのエーテル結合部分を有するようにすることで、上記特性を実現できている。
一方、図2に示すような従来品においては、常温から約260℃までの安定域において、貯蔵弾性率が3×10Paでほぼ一定の値を維持し、ガラス転移温度(270℃)において、貯蔵弾性率が約1.8×10Paであり、300℃を超えても、貯蔵弾性率が4×10Pa程度で安定することになる。図2から分かるように、従来品の飽和域は、約290℃以上の温度範囲となる。これらのことから、従来品は、今回使用した熱可塑性樹脂フィルム1に比べ貯蔵弾性率(粘度)の低下が小さい。
なお、準備する樹脂フィルムは熱可塑性タイプに限定されることなく、上記貯蔵弾性率及び比較的に大きな破断伸びを備える樹脂フィルムであれば、熱硬化性樹脂フィルム、或いは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を積層した(すなわち、熱可塑性樹脂フィルムと熱硬化性樹脂フィルムとを貼り合わせた)構造を備える複合樹脂フィルムを用いてもよい。ここで、比較的に大きな破断伸びとは、少なくとも50%以上の値であり、好ましくは150%以上である。破断伸びについては成型する立体形状により必要な特性が要求され、複雑で大きな段差形状を持つ場合には立体成型による材料が耐えられる様に、より大きな破断伸び強度を持つ樹脂フィルム材が必要となる。
次に、熱可塑性樹脂フィルム1の両面(第1の面1a及び第2の面1b)に加熱及び加圧を施し、熱可塑性樹脂フィルム1の両面に複数の凹凸(アンカー)を形成する(凹凸形成工程)。具体的には、図3に示すように、熱可塑性樹脂フィルム1の第1の面1a及び第2の面1bに、表面が粗面化された金属箔2、3を加熱しつつ押し当てる。より具体的には、熱可塑性樹脂フィルム1の第1の面1aに金属箔2の粗面化された粗化面2aを押し当て、熱可塑性樹脂フィルム1の第2の面1bに金属箔3の粗面化された粗化面3aを押し当て、熱可塑性樹脂フィルム1を金属箔2、3によって挟む。そして、熱可塑性樹脂フィルム1をガラス転移温度以上(例えば、約270℃以上)に加熱してから、所定の圧力により加圧する。本実施例においては、加熱温度が330℃、加圧が25Kg/cm、処理時間が20分の条件にてプレス処理を行った。また、本実施例における金属箔2、3の厚みは約12μmであり、粗化面2a、3aにおける十点平均粗さRzは5〜8μmであったが、最終的に製造される立体配線基板の用途及び要求される信頼性等に応じて、これらの数値は適宜変更することができる。なお、金属箔2、3の材料は、例えば銅であってもよく、或いはその他かの加工性が容易な金属材料を用いることができる。
上記金属箔2、3を用いた加圧及び加熱を施すことにより、熱可塑性樹脂フィルム1が軟化し、金属箔2の粗化面2aを形成する凹部に入り込むことになり、熱可塑性樹脂フィルム1と金属箔2とが貼り付けられる。同様に、軟化した熱可塑性樹脂フィルム1が金属箔3の粗化面3aを形成する凹部に入り込むことになり、熱可塑性樹脂フィルム1と金属箔3とが貼り付けられる。すなわち、図4に示すような、熱可塑性樹脂フィルム1に金属箔2、3を貼り付ける貼り付け工程が行われることになる。このような貼り付け工程により、熱可塑性樹脂フィルム1の両面に対して、金属箔2、3の粗化面2a、3aの表面形状が転写されることになり、熱可塑性樹脂フィルム1の両面に複数の凹凸が形成されることになる。すなわち、本実施例においては、金属箔2、3の材料を銅にすることで、両面に銅箔が貼り付けられたフレキシブル銅張積層板(FCCL:Flexible Cupper Clad Laminate)同等品が形成されることになる。
特に、本実施例においては、図2に示されるような動的粘弾性特性の貯蔵弾性率を備える熱可塑性樹脂フィルム1が使用されているため、金属箔2、3を加熱・加圧によって貼り付ける際に、熱可塑性樹脂フィルム1の粘度がより大きく低下して流動性が増し、粗化面2a、3aに熱可塑性樹脂フィルム1が流れ込みやすくなる。すなわち、凹凸形成工程を容易且つ確実に行うことができることなる。一方、従来品は、300℃を超えても流動性が低いことから、粗化面を備える金属箔を加熱・加圧によって貼り付けたとしても、当該粗化面に従来品が流れ込むことがなく、金属箔の粗化面を従来品の表面に高精度に転写することができないことになる。
ここで、熱可塑性樹脂フィルム1の表面に凹凸を形成する方法として、粗化された金属箔2、3の凹凸を高温プレスにより転写させる方法を選択したが、その他の方法、例えば機械的なバフ研磨やポリイミドフィルム成分の選択的な除去によって凹凸を形成する化学研磨等の方法を採用しても良い。しかしながら、プリント配線板に用いられる銅箔の凹凸形状は凸部の根元よりも凸部先端のほうが大きく引っかかりが出来る形状であるのに対し、機械研磨や化学研磨で直接熱可塑性樹脂フィルム1の表面に凹凸を付ける方法では、引っかかりのある形状に凹凸を形成するのは困難であり密着強度が低いことが多い。
続いて、図5に示すように、熱可塑性樹脂フィルム1の表裏面(第1の面1a、及び第2の面1b)における導通を確保するために、NC加工、レーザ加工、又はパンチング加工等の開口技術を用いて貫通孔4を形成する。本実施例においては、貫通孔4の開口径を0.3mmとした。なお、図5においては、1つの貫通孔4のみが示されているが、実際の立体配線基板においては複数の貫通孔4を有することになる。また、貫通孔4の数量は、立体配線基板の回路構成に応じて適宜変更することもできる。更に、後述する立体成型時の位置決めとして使用するための位置決め孔(例えば、開口径が3mm)を、熱可塑性樹脂フィルム1の外縁部分(すなわち、最終的に立体配線基板を構成することなく除去される部分)に複数形成する。
その後、熱可塑性樹脂フィルム1に金属箔2、3が貼り付けられた状態で(すなわち、フレキシブル銅張積層板に対して)、塩化第ニ銅等を用いたエッチング処理を施し、金属箔2、3を除去する(除去工程)。これにより、図6に示すように、金属箔2、3の粗化面2a、3aの表面形状が転写された熱可塑性樹脂フィルム1の両面が露出する。すなわち、凹凸状の形状を備える第1の面1a及び第2の面1bが露出することになる。上述した貼り付け工程及び除去工程を経ることにより凹凸形成工程が完了する。
次に、熱可塑性樹脂フィルム1の第1の面1a、第2の面1b、及び貫通孔によって露出した熱可塑性樹脂フィルム1の側面1cを被覆するように、熱可塑性樹脂フィルム1の表面上に第1金属膜5を形成する(第1金属膜形成工程)。本実施例においては、熱可塑性樹脂フィルム1の表面上に、一般的な無電解めっきによって金属をメタライジングする。
具体的な工程として、先ず、凹凸が形成された熱可塑性樹脂フィルム1をキャタリスト液(Sn−Pdコロイド水溶液)に含浸する。ここで、Sn−Pdコロイドは、熱可塑性樹脂フィルム1の表面に電気的に吸着される。その後、Sn−Pdコロイドが表面に担持した状態の熱可塑性樹脂フィルム1をアクセラレータ液に含浸すると、Pdの周囲を覆っていたSnが除去され、Pdイオンが金属Pdに変化する。すなわち、触媒処理を行って熱可塑性樹脂フィルム1に触媒(例えばPd)を担持させることになる(図7)。なお、アクセラレータ液としては、シュウ酸(0.1%程度)を含む硫酸(濃度が10%)を用いることができる。その後、触媒であるPdを担持した熱可塑性樹脂フィルム1を無電解めっき槽に5分間浸漬する。当該浸漬により、Pdを触媒として例えば銅が析出し、熱可塑性樹脂フィルム1の表面を覆うように、第1金属膜5の形成が完了する(図8)。
本実施例においては、第1金属膜5の金属として銅を用い、図8に示すように、無電解めっきは粒子状に生成され、銅の粒子5aによってポーラス状に第1金属膜5が形成される。ここで、ポーラス状とは、第1金属膜5が膜上に完全に形成される膜厚を備えることがないものの、粒子どうしが全部ではないものの少なくとも一部が接触することによって膜全体として導通している状態をいう(必ずしも電気的な導通が必要というわけではなく、立体成型で粒子間距離が離れても、後述する第2金属膜で導通されれば良い。)。また、本実施例においては、熱可塑性樹脂フィルム1の第1の面1a及び第2の面1bが凹凸状のアンカー面となっているため、各面の凹内にも銅粒子が堆積してポーラス状の被膜が形成されていることになる。これらのことを換言すると、本実施例においては、平板上に銅を0.05μm以上0.50μm以下堆積させた場合と同等量の銅を堆積した膜厚(光を透過することができる膜厚)を備える第1金属膜5を形成している。本実施例においては、平板上に銅を0.1μm堆積させた場合と同等量の銅を堆積した膜厚を有するように第1金属膜5を形成している。
このように第1金属膜5の状態(すなわち、膜厚)を調整する理由は、光を透過しない完全な膜状に第1金属膜5を形成してしまうと、後述する立体成型の際に第1金属膜5に亀裂が生じたとしても、後述する第2金属膜によっても当該亀裂の修復が困難になるからである。より具体的には、上記数値が0.05μmより小さいと、樹脂に形成された凹み部分に銅が析出しない部分が生じ、後述する第2金属膜の形成において凹部に第2金属膜が充填されず密着が大きく低下してしまう。また、伸ばされた後の粒子間距離がはなれすぎ後述する第2金属膜での導通修復が困難になる。また、光を透過する状態で伸ばされた場合、粒子間の距離が空くだけなので亀裂は小さいが、光が透過しない完全な膜状で伸ばされると限界をこえた金属膜(第1金属膜5)には亀裂が生じ幅の広いクラックとなる。
第1金属膜5がポーラス状に形成される工程を、以下においてより詳細に説明する。図9に示す銅が凹凸表面に析出を開始した状態から更に銅の析出を続けると、新たに析出する銅は、既に析出した銅と化学結合をする。この際、銅の自己触媒作用よりも触媒であるPdの方が活性度が高いため、銅の生成は凹凸に沿った面方向(すなわち、熱可塑性樹脂フィルム1の表面に広がる方向)に進むことになるものの、厚み方向(すなわち、第1金属膜5の膜厚方向)にも進み始めることになる。そして、銅の自己触媒作用が始まると、銅が順次析出して銅どうしの金属結合が進むことになり、銅の成長は厚み方向により進むことになり、膜厚が増加することになる。この状態においては、図10に示すように、銅の存在しない空隙部分が存在し、部分的には電気的導通が得られていない部分があるものの、形成された金属膜全体としては電気的な接続経路が存在するため電気的導通が得られている。上述したように、このような状態が、本実施例におけるポーラス状ということになる。そして、このようなポーラス状の第1金属膜5においては、銅の破断伸び率を超えても、大きなクラックが発生することなく、部分的に銅粒子どうしの距離が若干広がるに留まることになる。
また、本実施例においては、熱可塑性樹脂フィルム1の第1の面1a及び第2の面1bが凹凸状のアンカー面となっているため、熱可塑性樹脂フィルム1と第1金属膜5とをアンカー効果によって強固に接合することができる。本実施例では、熱可塑性樹脂フィルム1に第1金属膜5が形成された状態から、後述する第2金属膜の形成を更に施し、第2金属膜の厚みが10μmとした場合の密着について、約15N/cmという比較的高いピール強度を得るができている。一方、図2に示す従来品を使用する場合には、従来品への凹凸形成が容易に行うことができず、従来品と無電解メッキで形成される金属膜とを強固に密着させることができない。実験では、従来品と無電解メッキで形成される金属膜との密着について、2N/cm以下のピール強度しか得られず、従来品では金属膜が剥離することがわかった。
また、第1金属膜5の材料は、銅に限定されることなく、例えば、銀、金、又はニッケル等の様々な金属、或いはこれらの金属及び銅のいずれかを少なくとも含む合金や各金属を積層したものを用いてもよいが、比較的にやわらかく破断伸び強度の高い金属を用いることが好ましい。ここで、使用する金属に応じて、光を透過し且つ導通している状態を実現するための膜厚が異なるため、他の金属を用いる場合には、第1金属膜5がポーラス状に形成されることを実現できるように、膜厚を適宜調整することになる。
なお、本実施例においては、熱可塑性樹脂フィルム1の第1の面1a、第2の面1b、及び貫通孔によって露出した熱可塑性樹脂フィルム1の側面1cを被覆するように、第1金属膜5を形成していたが、要求される立体配線基板の構造及び特性に応じて、熱可塑性樹脂フィルム1の第1の面1a又は第2の面1bのいずれかのみに第1金属膜5を形成してもよい。すなわち、本発明の立体配線基板には、両面に配線パターンが形成されたもののみならず、片面のみに配線パターンが形成されているものが含まれることになる。
その後、熱可塑性樹脂フィルム1に対して、所定の加熱処理(例えば、150℃、15分)を施し、第1金属膜5の結晶構造を安定化させる。
次に、図11に示すように、フォトリソグラフィによって第1金属膜5にパターニング処理を施し、所望の配線パターンを形成する(パターン形成工程)。具体的には、第1金属膜5が形成された状態の熱可塑性樹脂フィルム1の表面に感光性のレジストフィルムを熱圧着し、所定のパターンが印刷されたマスクフィルムを用いて露光及び現像を行う。続いて、現像されたレジストフィルムをエッチングマスクとして第1金属膜5にエッチングを施して所望の配線パターンを形成する。その後に、当該レジストフィルムを剥離除去する。ここで、後述する立体成型による第1金属膜5の伸び及び変形を考慮して、配線パターンの形状(配線幅、配線長、配線間隔等)を補正しておくことが好ましい。
このように、フォトリソグラフィによって第1金属膜5にパターニングを施すため、インクジェット印刷技術又はグラビアオフセット印刷技術等を用いたパターニング形成よりも高精細なパターンを実現することができる。すなわち、第1金属膜5は、インクジェット印刷技術又はグラビアオフセット印刷技術等を用いてパターンニングされた配線パターンよりも、解像度が高く(すなわち、直線性が優れ高精細な配線形成が実現される。)なる。
次に、第1金属膜5が形成された状態の熱可塑性樹脂フィルム1に対して、加熱処理及び加圧処理を施して立体成型を行う(立体成型工程)。具体的な立体成型工程としては、先ず、前述した複数の位置決め孔を用いて、成型用の金型11に対して熱可塑性樹脂フィルム1の位置決めを行う。これは、成型位置と配線パターン位置を合わせるためのものであり、具体的には複数の位置決め穴に対応した位置に、これと嵌合するような径を持つ複数のピンを金型に設けておき、このピンに熱可塑性樹脂フィルム1の位置決め穴をはめて位置を合わせる。すなわち、図12に示すように、金型11の上部金型12と下部金型13との間に熱可塑性樹脂フィルム1を配置することになる。続いて、図13に示すように、上部金型12を上部加熱装置14で加熱するとともに、下部金型13を下部加熱装置15によって加熱を行う。ここで、本実施例においては、熱可塑性樹脂フィルム1にポリイミドフィルムを用いているため、加熱温度は材料のガラス転移点温度と同等近辺かそれより高い240℃〜350℃の範囲内(例えば、280℃)で調整することができるが、熱可塑性樹脂フィルム1の材料に応じて当該加熱温度は適宜調整されることになる。ここで、加熱温度は、当該ガラス転移温度以上であって、熱可塑性樹脂フィルム1の耐熱温度以下であることが必要となるが、当該範囲内において、できる限り低い温度に設定することが好ましい。これは、熱可塑性樹脂フィルム1上に形成される第1金属膜5と熱可塑性樹脂フィルム1の加熱による密着低下を低減するためである。
当該加熱処理を行いつつ、上部金型12及び下部金型13を近づけ、熱可塑性樹脂フィルム1に対して、上下から所望の圧力(例えば、10MPa)によってプレス処理を行う(図14)。なお、所望の圧力とは、熱可塑性樹脂フィルム1の材料、圧力が弱すぎると所望の立体成型が困難になる点を考慮して適宜調整することになる。そして、プレス処理の完了後に冷却を行いその後、熱可塑性樹脂フィルム1を金型11から取り出し(図15)、熱可塑性樹脂フィルム1の立体成型が完了する。換言すると、立体配線基板用基材16の形成が完了する。なお、図12乃至図15において、第1金属膜5の図示は省略している。また、要求される立体形状にもよるが、実際の立体配線基板の形状は複数の段差(凹凸)が形成されることになるため、金型11も複数の段差(凹凸)を有しており、上部金型12と下部金型13との複数の段差(凹凸)が互いに嵌合するような構造が採用されてもよい。
図16に示されているように、立体成型が完了した熱可塑性樹脂フィルム1(すなわち、立体配線基板用基材16)には、立体成型によって屈曲した屈曲部1dに亀裂17が生じやすくなっている。ここで、図16に示すように、亀裂17とは、第1金属膜5を構成する銅の粒子5aの粒子間距離の拡大によって生じる隙間のことであり、光が透過しない完全な金属膜状において当該金属膜が伸ばされることによって生じる亀裂と比較して、その構造が異なっている。なお、第1金属膜5の成膜状態、及び立体成型による三次元形状によっては、亀裂が発生しない場合もある。また、図16に示すように、亀裂17は、熱可塑性樹脂フィルム1が伸ばされたのに従い、第1金属膜5はそれに従って粒子間距離が広がることになるが、第1金属膜5がポーラス状に形成されているため、亀裂17自体の幅は粒子5aの寸法と同等であって非常に小さくなり、更には第1金属膜5が完全な膜状にて形成される場合と比較して亀裂17の幅は小さくなる。すなわち、本実施例に係る立体配線基板用基材16は、第1金属膜5が完全な膜状にて形成される場合と比較して、亀裂17の修復をより容易に可能とする状態になっている。換言すれば、光を透過する状態で伸ばされた場合、粒子間の距離が空くだけなので亀裂17(粒子間の隙間)は小さいが、光が透過しない完全な膜状で伸ばされると限界をこえた金属膜には亀裂が生じ幅の広いクラックが生じることになる。
また、本実施例においては、熱可塑性樹脂フィルム1の粗化面に第1金属膜5が形成されているため、屈曲部1dに亀裂17は当該粗化面の形状に応じた幅の狭い直線状および非直線状の形状を有することになる。当該直線状および非直線状の亀裂17は、後述する第2金属膜の形成により、金属が埋め込まれやすくなり、第1金属膜5における導通回復がより容易になされることになる。
更に、屈曲部1dにおける亀裂17の発生を減少させる方法として、熱可塑性樹脂フィルム1を2枚の保護フィルムによって挟んだ状態において、上述した立体成型を行ってもよい。これにより、屈曲部1dにおける角部1eの形状を若干滑らかにすることができ、亀裂17の発生を抑制することができる。ここで、当該保護フィルムは、熱可塑性樹脂フィルム1と同一の材料で形成することが好ましい。更に、屈曲部1dにおける亀裂17の発生を減少させる方法として、屈曲部1dにおける角部1eの形状を湾曲させる、或いはその角度を90度よりも小さく(例えば、75度〜85度)となるように、金型11を設計してもよい。
なお、本実施例においては、熱可塑性樹脂フィルム1を上部金型12及び下部金型13を用いて上下からプレス処理を施しているが、ヒートプレス後における熱可塑性樹脂フィルム1の厚みの均一性を確保することができ、且つ所定の立体形状が形成出来れば、真空プレス、又は圧空プレス等の他のプレス加工方法を用いてもよい。
次に、立体配線基板用基材16の第1金属膜5の表面を被覆するように、第2金属膜21を形成する(第2金属膜形成工程:図17)。本実施例においては、一般的な無電解めっきによって第1金属膜5の表面上に金属を追加的に堆積する。
具体的な第2金属膜形成工程としては、先ず、成型工程の加熱によって立体配線基板用基材16の表面上に形成された酸化層を除去するために、立体配線基板用基材16を所望の洗浄液(例えば、酸脱脂液、5%硫酸液)に浸す。続いて、触媒処理を行って立体配線基板用基材16の第1金属膜5に、第1金属膜5と置換するタイプの触媒(例えばイオン性Pd触媒)を反応させ、その後に立体配線基板用基材16を無電解めっき液に浸す。そして、表面に触媒が存在する第1金属膜5の周囲に対してのみ選択的に金属が堆積することになり、配線回路とならない領域(すなわち、熱可塑性樹脂フィルム1の露出領域)には金属が堆積されず、第2金属膜21の追加のパターン形成処理が不要となる。
本実施例においては、第2金属膜21の金属として銅を用い、複数の銅の粒子(図17においては、粒子として図示せずに、被膜として記載している)が第1金属膜5の粒子5a上に堆積することになる。ここで、第2金属膜21をポーラス状に形成することなく、完全な膜状に形成する。特に、本実施例においては、2時間の浸漬により、10μm以上の膜厚を備える第2金属膜21を形成することができた。また、本実施例においては、第2金属膜21を構成する粒子21aが、第1金属膜5を構成する粒子5aの周囲に成長することになり、第2金属膜21の厚み方向及び当該厚み方向に直交する方向(第2金属膜21の平面方向)に対して同程度に成長することになる。これにより、立体成型によって生じた第1金属膜5の直線状および非直線状の亀裂17を修復するように、第2金属膜21を形成することができる。すなわち、第2金属膜21の形成により、亀裂17による非導通を回復させ、確実な導通を実現することができる配線回路(第1金属膜5及び第2金属膜21からなる導体層)を形成することができる。ここで、第2金属膜21による亀裂17の修復は、第2金属膜21の膜厚に対して2倍以内の亀裂17の幅を修復できるため、第2金属膜21の膜厚を想定される亀裂17の最大幅の1/2倍以上に調整してもよく、より好ましくは亀裂17の幅と同程度の膜厚に調整してもよい。また、この第2金属膜21は貫通孔4の側面1cにも表層と同様に生成され、貫通孔4による表裏の導通不良が仮にあった場合でも導通を修復することが可能である。
また、上述したように、熱可塑性樹脂フィルム1と、第1金属膜5に第2金属膜21を10μmめっきしたものとの密着について、約15N/cmという比較的高いピール強度を得るができているため、第2金属膜21の形成時における残留応力に起因する微小ふくれ及び金属膜の剥離が防止されることになり、立体配線基板としての信頼性を向上させることができる。
更に、本実施例においては、配線回路として必要となる導体層の層厚(配線パターン厚み)が第1金属膜5の膜厚では不足しているものの、第2金属膜21を形成することによって当該導体層の必要な膜厚を確保し、配線抵抗値を低下させることができる。
なお、本実施例においては、無電解めっきによって第2金属膜21を形成したが、最終的に第1金属膜5の表面上のみ第2金属膜21を形成することができれば、他の成膜技術(例えば、電解めっき等)を用いてもよい。但し、本実施例の様に無電解めっきにより第2金属膜21を形成する場合は、独立した配線すなわち当該配線回路が成型体の外周部から電気的に離間していても形成が可能であるが、電解めっきによって第2金属膜21を形成する場合は、全ての配線が成型体の外周部と電気的に導通していることが必要であり、給電線の設置を含めて設計時に考慮することが必要となる。また、この場合、立体成型による非導通部分が発生していた場合、非導通部分から先は電気が流れないため第2金属膜21が形成出来なくなる。
なお、第2金属膜21の材料は、銅に限定されることなく、ニッケル若しくはニッケルクロム、ニッケル銅、金、又は銀等の他の金属またはこれらを含む合金を用いてよく、立体配線基板に要求される特性及び信頼性に応じてその材料を適宜調整することができる。
上述した製造工程を経てた後に、第2金属膜21の表面に防錆剤処理を施して、熱可塑性樹脂フィルム1、第1金属膜5、及び第2金属膜21から構成される立体配線基板30の製造が完了する。なお、立体配線基板30の表面の必要な部分に、ソルダーレジストからなる保護膜を更に形成してもよい。当該保護膜の形成については、開口部を設けたカバーレイを立体物に形成する方法、感光性レジストインクを塗布しフォトリソグラフにより開口部を立体物上に形成する方法を採用してもよい。
図17及び図18からわかるように、本実施例に係る立体配線基板30においては、熱可塑性樹脂フィルム1の表面においてポーラス状に形成された第1金属膜5に生じる直線状および非直線状の亀裂が、第1金属膜5よりも厚い膜厚で形成された第2金属膜21によって確実に修復されており、配線回路の断線が防止された優れた信頼性が備えられている。また、上述した製造方法より、MID基板と比較して、より容易に微細な配線パターン(例えば、L/S=30/30μm)を実現することができ、小型化及び低コスト化も実現されている。
また、本実施例に係る立体配線基板30は、熱可塑性樹脂フィルム1に対して、第1金属膜5及びその上に10μmの第2金属膜21を形成した場合の密着について、約15N/cmという比較的高いピール強度を得るができ、第2金属膜21の形成時における残留応力に起因する微小ふくれ及び金属膜の剥離が防止されているため、上記製造工程後の各種工程(ソルダーレジスト形成、外形加工、部品実装時のリフロー等)で加わる応力による配線パターン(第1金属膜5及び第2金属膜21)における亀裂や断線の発生が抑制されている。
そして、最終的に形成される立体配線基板30は、図18に示すように、X方向及びY方向のそれぞれの位置において、Z方向の寸法(すなわち、高さ)が異なっており、XY平面において凹凸が形成されている。なお、図18は、立体配線基板30の3次元形状を説明するための模式的な図面であり、配線パターン及び貫通孔は省略している。
更に、本実施例に係る立体配線基板30は、熱可塑性樹脂フィルム1の表面(第1の面1a及び第2の面1b)に第1金属膜5及び第2金属膜21からなる導体層を有するとともに、立体的な形状を有しているため、様々の用途に適用することができる。例えば、熱可塑性樹脂フィルム1を比較的に厚く(例えば、100μm)すると、図19に示すように、他の実装基板40上に実装された電子部品41に対して、電磁遮蔽を図りつつ、他の電子部品42をその表面に搭載することが可能である。この場合には、電子部品41側(すなわち内側)に位置する導体層(第1金属膜5及び第2金属膜21)によって電磁遮蔽を図るため、内側に位置する導体層に対してパターニングを施さない(すなわち、ベタパターンを形成する)ことになる。また、立体配線基板30は、実装基板40に対して半田又は導電性接着剤等の接合部材を用いて固着されることになる。なお、パターニングする導体層とパターニングしない導体層とを入れ替えることにより、立体配線基板30と実装基板40とによって遮蔽された空間内に電子部品42を配置し、且つ電子部品41及び電子部品42に対して電磁遮蔽を図るようにしてもよい。
更に、パターニングを施さない導体層を接地してGND層として機能させ、当該パターニングされない導体層とは反対側に位置する導体層に単独の特性インピーダンス制御パターン又は差動インピーダンス制御パターンを形成してもよい。このような構造により、立体配線基板30においてはインピーダンス制御を図ることができる。
そして、熱可塑性樹脂フィルム1を比較的に薄く(例えば、50μm以下)する場合には、三次元形状を備える他のモールド樹脂に立体配線基板30を接着し、従来のMID基板の代替となる複合体として使用することができる。これは、熱可塑性樹脂フィルム1が薄いため、他のモールド樹脂に立体配線基板30を接着しても、立体配線基板30及び他のモールド樹脂からなる複合体の厚みが大きくならず、且つ当該複合体としての強度を確保することができるからである。また、当該複合体は、従来から存在するMID基板と比較して、熱可塑性樹脂フィルム1の両面に導体層が形成されていることから、設計の自由度、外形サイズの狭小化を容易に図ることができる。
また、立体成型された2つの部分を平坦な熱可塑性樹脂フィルムが結んだ構造にして2つの部分を結ぶ配線を施せば、いわゆるフレックスリジッド基板の様な構造、使用方法が得られる。
<本発明の実施態様>
本発明の第1実施態様に係る立体配線基板は、ガラス転移温度以上の飽和域における貯蔵弾性率が2×10Pa以下である動的粘弾性特性を備え、且つ50%以上の破断伸びを備える立体的な樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの表面上に形成され、所望のパターンを備える第1金属膜と、前記第1金属膜上に形成された第2金属膜と、を有し、前記樹脂フィルムは、前記第1金属膜の形成面に複数の凹凸を備え、前記第1金属膜は、金属を粒子状に堆積してなるポーラス状の構造となるように膜厚が調整されている。
第1実施態様においては、パターン形成された第1金属膜を用いて第2金属膜を形成するため、第1金属膜及び第2金属膜をパターニングするための特殊な装置や工程等が不要となり、より低コスト且つ微細な配線パターンが実現されている。また、樹脂フィルムの凹凸形成面に第1金属膜をポーラス状に形成するため、第1金属膜に幅の狭い直線状および非直線状の亀裂が生じても第2金属膜によって容易且つ確実に修復されており、導通不良がなく且つ優れた信頼性を備える配線回路(第1金属膜及び第2金属膜)が実現されている。更に、樹脂フィルムの表面に凹凸(アンカー面)が形成されているため、樹脂フィルムと第1金属膜・第2金属膜とをアンカー効果によって強固に接合することができ、両部材の密着について比較的高いピール強度を得ることができる。そして、このようなピール強度を得ることにより、第2金属膜の形成時における残留応力に起因する微小ふくれ及び金属膜の剥離が防止されることになり、立体配線基板としての信頼性を向上させることができ、更には立体配線基板完成後の各種工程(ソルダーレジスト形成、外形加工、部品実装時のリフロー等)で加わる応力によって配線回路に亀裂や断線が発生することも抑制されている。以上から、本発明の立体配線基板は、樹脂フィルムと配線回路の材料である金属との剥離の防止、配線回路の微細加工、及び配線回路の断線を防止して優れた信頼性を備えるとともに、低コストで製造することができる。
本発明の第2実施態様に係る立体配線基板は、上述した第1実施態様において、前記第2金属膜は、前記樹脂フィルムの屈曲部において前記第1金属膜に生じる直線状および非直線状の亀裂を修復することである。これにより、配線回路に導通不良が生じることがなくなり、優れた信頼性を実現することができる。
本発明の第3実施態様に係る立体配線基板は、上述した第2実施態様において、前記第2金属膜の厚みは前記亀裂の幅の1/2倍以上であることである。これにより、第1金属膜に生じる亀裂を第2金属膜によって確実に修復することができる。
本発明の第4実施態様に係る立体配線基板は、上述した第1乃至第3実施態様のいずれかにおいて、前記第1金属膜は平面板上に銅を0.05μm以上0.50μm以下堆積させた場合と同等量の銅を粒子状に堆積した膜厚を備えることである。これにより、第1金属膜に生じる亀裂を小さくすることができ、第2金属膜によって確実に修復することができる。
本発明の第5実施態様に係る立体配線基板は、上述した第4実施態様において、前記第1金属膜は、前記樹脂フィルムの凹内に銅粒子が納置された構造を備えることである。これにより、樹脂フィルムと第1金属膜とをアンカー効果によって強固に接合することができ、両部材の密着についてより高いピール強度を得ることができる。
本発明の第6実施態様に係る立体配線基板は、上述した第1乃至第5実施態様のいずれかにおいて、前記第1金属膜は、前記樹脂フィルムの両面上に形成されていることである。これにより、片面基板と比較して、配線回路の自由度が高く、且つ小型化も容易に実現することが可能になり、立体配線基板の高密度化を図ることができる。
本発明の第7実施態様に係る立体配線基板の製造方法は、ガラス転移温度以上の飽和域における貯蔵弾性率が2×10Pa以下である動的粘弾性特性を備え、且つ50%以上の破断伸びを備える平坦な樹脂フィルムを準備する準備工程と、前記樹脂フィルムに加熱及び加圧を施し、前記樹脂フィルムの表面に複数の凹凸を形成する凹凸形成工程と、前記樹脂フィルムの表面上に第1金属膜を形成する第1金属膜形成工程と、フォトリソグラフィによって前記第1金属膜にパターニングを施し、所望のパターンを形成するパターン形成工程と、前記第1金属膜が形成された状態の前記樹脂フィルムに対して加熱及び加圧を施して立体成型する立体成型工程と、パターン形成された前記第1金属膜上に第2金属膜を形成する第2金属膜形成工程と、を有し、前記第1金属膜形成工程においては、金属を粒子状に堆積し且つ膜厚を調整することによって前記第1金属膜をポーラス状に形成することである。
第7実施態様においては、パターン形成された第1金属膜を用いて第2金属膜を形成するため、第1金属膜及び第2金属膜をパターニングするための特殊な装置や工程等が不要であり、既存の配線基板製造装置が使用でき、より微細な配線パターンをより低コストで実現することができる。また、樹脂フィルムの凹凸形成面に第1金属膜をポーラス状に形成するため、その後の立体形成工程においても、修復が不可能な亀裂を第1金属膜に発生することを防止することができる。更に、樹脂フィルムの表面に凹凸(アンカー面)が形成するため、樹脂フィルムと第1金属膜・第2金属膜とをアンカー効果によって強固に接合することができ、両部材の密着について比較的高いピール強度を得ることができる。そして、このようなピール強度を得ることにより、第2金属膜の形成時における残留応力に起因する微小ふくれ及び金属膜の剥離が防止されることになり、立体配線基板としての信頼性を向上させることができ、更には立体配線基板完成後の各種工程(ソルダーレジスト形成、外形加工、部品実装時のリフロー等)で加わる応力によって配線回路に亀裂や断線が発生することも抑制されている。以上から、本発明の立体配線基板の製造方法は、樹脂フィルムと配線回路の材料である金属との剥離の防止、配線回路の微細加工、及び配線回路の断線の防止を容易に図ることができ、更には低コストで立体配線基板を製造することができる。
本発明の第8実施態様に係る立体配線基板の製造方法は、上述した第7実施態様において、前記第2金属膜形成工程で前記立体成型工程における立体成型によって屈曲した前記樹脂フィルムの屈曲部上に位置する前記第1金属膜に直線状および非直線状の亀裂が生じた場合に、前記第2金属膜によって前記亀裂を修復することである。これにより、配線回路に導通不良が生じることなく、信頼性の高い立体配線基板を製造することができる。
本発明の第9実施態様に係る立体配線基板の製造方法は、上述した第8実施態様において、前記第2金属膜形成工程で前記第2金属膜の厚みを前記亀裂の幅の1/2倍以上にすることである。これにより、第1金属膜に生じる亀裂を第2金属膜によって確実に修復することができる。
本発明の第10実施態様に係る立体配線基板の製造方法は、上述した第7乃至第9実施態様のいずれかにおいて、凹凸形成工程は、粗面化された金属箔の粗化面を前記樹脂フィルムに押し当てつつ加熱し、前記樹脂フィルムに前記金属箔を貼り付ける貼り付け工程、及び前記金属箔を除去する除去工程を備えることである。これにより、樹脂フィルムと第1金属膜とをアンカー効果によって強固に接合することができ、両部材の密着についてより高いピール強度を得ることができる。
本発明の第11実施態様に係る立体配線基板の製造方法は、上述した第7乃至10実施態様のいずれかにおいて、前記第1金属膜形成工程で平面板上に銅、銀、ニッケル、若しくは金、又はこれらのいずれかを少なくとも含む合金を0.05μm以上0.50μm以下堆積させた場合と同等量の銅、銀、ニッケル、若しくは金、又はこれらのいずれかを少なくとも含む合金を粒子状に堆積することである。これにより、樹脂と金属の密着を損なわずに第1金属膜に生じる亀裂を小さくすることができ、第2金属膜によって確実に修復することができる。
本発明の第12実施態様に係る立体配線基板の製造方法は、上述した第7乃至11実施態様のいずれかにおいて、前記第1金属膜形成工程で触媒処理及び無電解めっきにより前記第1金属膜を形成することである。これにより、コストのかかる前処理やそのための製造装置不要となり、立体配線基板自体のコスト低減をより一層図ることができる。
本発明の第13実施態様に係る立体配線基板の製造方法は、上述した第7乃至12実施態様のいずれかにおいて、前記第1金属膜形成工程で前記樹脂フィルムの両面上に前記第1金属膜を形成し、前記パターン形成工程で前記前記樹脂フィルムの両面上に形成された前記第1金属膜のいずれに対してもパターニングを施し、前記第2金属膜形成工程でパターニングされた前記第1金属膜のいずれに対しても前記第2金属膜を形成することである。これにより、立体配線基板の両面に配線パターンを形成することができ、立体配線基板の高密度化を図ることができる。
本発明の第14実施態様に係る立体配線基板用基材は、ガラス転移温度以上の飽和域における貯蔵弾性率が2×10Pa以下である動的粘弾性特性を備え、且つ50%以上の破断伸びを備える立体的な樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの表面上に形成され、所望のパターンを備える第1金属膜と、を有し、前記樹脂フィルムは、前記第1金属膜の形成面に複数の凹凸を備え、前記第1金属膜は、金属を粒子状に堆積してなるポーラス状の構造となるように膜厚が調整されていることである。
第14実施態様においては、樹脂フィルムの凹凸形成面に第1金属膜をポーラス状に形成するため、第1金属膜に幅の狭い直線状および非直線状の亀裂が生じても、追加の成膜によって容易且つ確実に当該亀裂が修復され、最終的な導通不良の防止が図られている。また、樹脂フィルムの表面に凹凸(アンカー面)が形成されているため、樹脂フィルムと第1金属膜・第2金属膜とをアンカー効果によって強固に接合することができ、両部材の密着について比較的高いピール強度を得ることができる。そして、このようなピール強度を得ることにより、追加の成膜時における残留応力に起因する微小ふくれ及び金属膜の剥離が防止されることになり、最終的な基板としての信頼性を向上させることができ、更には基板完成後の各種工程(ソルダーレジスト形成、外形加工、部品実装時のリフロー等)で加わる応力によって配線回路に亀裂や断線が発生することも抑制されている。以上から、本発明の立体配線基板用基材は、樹脂フィルムと配線回路の材料である金属との剥離の防止、配線回路の微細加工、及び配線回路の断線を防止して優れた信頼性を備えるとともに、低コストで製造することができる。
本発明の第15実施態様に係る立体配線基板用基材は、上述した第14実施態様において、前記第1金属膜は、平面板上に銅を0.05μm以上0.50μm以下堆積させた場合と同等量の銅を粒子状に堆積した膜厚を備えることである。これにより、最終的に製造される立体配線基板としての高密度化を図ることができる。
1 熱可塑性樹脂フィルム
1a 第1の面
1b 第2の面
2、3 金属箔
2a、3a 粗化面
4 貫通孔
5 第1金属膜
5a 粒子
11 金型
12 上部金型
13 下部金型
14 上部加熱装置
15 下部加熱装置
16 立体配線基板用基材
17 亀裂
21 第2金属膜
21a 粒子
30 立体配線基板
40 実装基板
41 電子部品
42 電子部品

Claims (15)

  1. ガラス転移温度以上の飽和域における貯蔵弾性率が2×10Pa以下である動的粘弾性特性を備え、且つ50%以上の破断伸びを備える立体的な樹脂フィルムと、
    前記樹脂フィルムの表面上に形成され、所望のパターンを備える第1金属膜と、
    前記第1金属膜上に形成された第2金属膜と、を有し、
    前記樹脂フィルムは、前記第1金属膜の形成面に複数の凹凸を備え、
    前記第1金属膜は、金属を粒子状に堆積してなるポーラス状の構造となるように膜厚が調整されている立体配線基板。
  2. 前記第2金属膜は、前記樹脂フィルムの屈曲部において前記第1金属膜に生じる直線状および非直線状の亀裂を修復する請求項1に記載の立体配線基板。
  3. 前記第2金属膜の厚みは、前記亀裂の幅の1/2倍以上である請求項2に記載の立体配線基板。
  4. 前記第1金属膜は、平面板上に銅を0.05μm以上0.50μm以下堆積させた場合と同等量の銅を粒子状に堆積した膜厚を備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の立体配線基板。
  5. 前記第1金属膜は、前記樹脂フィルムの凹内に銅粒子が納置された構造を備える請求項4に記載の立体配線基板。
  6. 前記第1金属膜は、前記樹脂フィルムの両面上に形成されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の立体配線基板。
  7. ガラス転移温度以上の飽和域における貯蔵弾性率が2×10Pa以下である動的粘弾性特性を備え、且つ50%以上の破断伸びを備える平坦な樹脂フィルムを準備する準備工程と、
    前記樹脂フィルムに加熱及び加圧を施し、前記樹脂フィルムの表面に複数の凹凸を形成する凹凸形成工程と、
    前記樹脂フィルムの表面上に第1金属膜を形成する第1金属膜形成工程と、
    フォトリソグラフィによって前記第1金属膜にパターニングを施し、所望のパターンを形成するパターン形成工程と、
    前記第1金属膜が形成された状態の前記樹脂フィルムに対して加熱及び加圧を施して立体成型する立体成型工程と、
    パターン形成された前記第1金属膜上に第2金属膜を形成する第2金属膜形成工程と、を有し、
    前記第1金属膜形成工程においては、金属を粒子状に堆積し且つ膜厚を調整することによって前記第1金属膜をポーラス状に形成する立体配線基板の製造方法。
  8. 前記第2金属膜形成工程は、前記立体成型工程における立体成型によって屈曲した前記樹脂フィルムの屈曲部上に位置する前記第1金属膜に直線状および非直線状の亀裂が生じた場合に、前記第2金属膜によって前記亀裂を修復する請求項7に記載の立体配線基板の製造方法。
  9. 前記第2金属膜形成工程においては、前記第2金属膜の厚みを前記亀裂の幅の1/2倍以上にする請求項8に記載の立体配線基板の製造方法。
  10. 凹凸形成工程は、粗面化された金属箔の粗化面を前記樹脂フィルムに押し当てつつ加熱し、前記樹脂フィルムに前記金属箔を貼り付ける貼り付け工程、及び前記金属箔を除去する除去工程を備える請求項7乃至9のいずれか1項に記載の立体配線基板の製造方法。
  11. 前記第1金属膜形成工程においては、平面板上に銅、銀、ニッケル、若しくは金、又はこれらのいずれかを少なくとも含む合金を0.05μm以上0.50μm以下堆積させた場合と同等量の銅、銀、ニッケル、若しくは金、又はこれらのいずれかを少なくとも含む合金を粒子状に堆積する請求項7乃至10のいずれか1項に記載の立体配線基板の製造方法。
  12. 前記第1金属膜形成工程においては、触媒処理及び無電解めっきにより前記第1金属膜を形成する請求項7乃至11のいずれか1項に記載の立体配線基板の製造方法。
  13. 前記第1金属膜形成工程においては、前記樹脂フィルムの両面上に前記第1金属膜を形成し、
    前記パターン形成工程においては、前記前記樹脂フィルムの両面上に形成された前記第1金属膜のいずれに対してもパターニングを施し、
    前記第2金属膜形成工程においては、パターニングされた前記第1金属膜のいずれに対しても前記第2金属膜を形成する請求項7乃至12のいずれか1項に記載の立体配線基板の製造方法。
  14. ガラス転移温度以上の飽和域における貯蔵弾性率が2×10Pa以下である動的粘弾性特性を備え、且つ50%以上の破断伸びを備える立体的な樹脂フィルムと、
    前記樹脂フィルムの表面上に形成され、所望のパターンを備える第1金属膜と、を有し、
    前記樹脂フィルムは、前記第1金属膜の形成面に複数の凹凸を備え、
    前記第1金属膜は、金属を粒子状に堆積してなるポーラス状の構造となるように膜厚が調整されている立体配線基板用基材。
  15. 前記第1金属膜は、平面板上に銅を0.05μm以上0.50μm以下堆積させた場合と同等量の銅を粒子状に堆積した膜厚を備える請求項14に記載の立体配線基板用基材。
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