JP6168379B2 - クリーニングブレード、画像形成装置、及び、プロセスカートリッジ - Google Patents

クリーニングブレード、画像形成装置、及び、プロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、クリーニングブレード、画像形成装置、及び、プロセスカートリッジに関するものである。
従来、電子写真式の画像形成装置では、被清掃部材たる感光体などの像担持体について、転写紙や中間転写体へトナー像を転写した後の表面に付着した不必要な転写残トナーはクリーニング手段たるクリーニング装置によって除去している。
このクリーニング装置のクリーニング部材として、一般的に構成を簡単にでき、クリーニング性能も優れていることから、短冊形状のクリーニングブレードを用いたものがよく知られている。このクリーニングブレードは、ポリウレタンゴムなどの弾性体で構成されている。そして、クリーニングブレードの基端を支持部材で支持して先端稜線部を像担持体の周面に押し当て、像担持体上に残留するトナーをせき止めて掻き落とし除去する。
また、近年の高画質化の要求に応えるべく、重合法等により形成された小粒径で球形に近いトナー(以下、重合トナー)を用いた画像形成装置が知られている。この重合トナーは、従来の粉砕トナーに比べて転写効率が高いなどの特徴があり、上記要求に応えることが可能である。しかし、重合トナーは、クリーニングブレードを用いて像担持体表面から除去しようとしても十分に除去することが困難であり、クリーニング不良が発生してしまうという問題を有している。これは、小粒径で且つ球形度に優れた重合トナーが、ブレードと像担持体との間に形成される僅かな隙間をすり抜けるからである。
かかるすり抜けを抑えるには、像担持体とクリーニングブレードとの当接圧力を高めてクリーニング能力を高める必要がある。しかし、クリーニングブレードの当接圧を高めると、図8(a)に示すように、像担持体123とクリーニングブレード62との摩擦力が高まり、クリーニングブレード62が像担持体123の移動方向に引っ張られて、クリーニングブレード62の先端稜線部62cがめくれてしまう。このめくれたクリーニングブレード62が、そのめくれに抗して原形状態に復元する際に異音が発生することがある。さらに、クリーニングブレード62の先端稜線部62cがめくれた状態でクリーニングをし続けると、図8(b)に示すように、クリーニングブレード62のブレード先端面62aの先端稜線部62cから数[μm]離れた箇所に局所的な摩耗が生じてしまう。このような状態で、さらにクリーニングを続けると、この局所的な摩耗が大きくなり、最終的には、図8(c)に示すように、先端稜線部62cが欠落してしまう。先端稜線部62cが欠落してしまうと、トナーを正常にクリーニングできなくなり、クリーニング不良を生じてしまう。
特許文献1には、ポリウレタンエラストマーからなるクリーニングブレードの少なくとも先端稜線部に、鉛筆硬度B〜6Hの皮膜硬度を有する樹脂からなる表面層を設けたものが記載されている。ゴム部材よりも硬い鉛筆硬度B〜6Hの皮膜硬度を有する表面層を設けることで、クリーニングブレード当接部の摩擦係数を下げることができ、クリーニングブレードの耐摩耗性を高めることができる。また、像担持体とクリーニングブレードとの摩擦力を低減させることができ、クリーニングブレードの先端稜線部のめくれを良好に抑制することができる。さらに、鉛筆硬度B〜6Hの鉛筆硬度の表面層は、硬くて変形しにくいので、クリーニングブレードの先端稜線部のめくれをより一層抑制することができる。
また、特許文献2には、シリコーンを含有した紫外線硬化材料を弾性ブレードのゴム部材に含浸させて膨潤させた後、紫外線照射処理してこの紫外線硬化材料を硬化させたクリーニングブレードが記載されている。このクリーニングブレードでは、ゴム部材の表面に含浸させた紫外線硬化材料によって表面が覆われている。このように、弾性ブレードよりも高硬度の紫外線硬化材料で表面を覆うことでも、耐摩耗性を向上でき、クリーニングブレードの先端稜線部のめくれを抑制することができる。さらに、ゴム部材に紫外線硬化材料を含浸させて硬化させることで、経時使用において弾性ブレードの表面を覆う紫外線硬化材料の層が摩耗しても、ゴム部材の基材と紫外線硬化材料とが混在したゴム部材よりも硬度が高い含浸部分が像担持体と接触する。これにより、硬度の低いゴム部材のみの部分が像担持体の表面に直接接触することに起因してクリーニングブレードと像担持体表面との摩擦係数が大きくなって異常摩耗や異音が発生する、という不具合を経時で抑制することができる。
しかしながら、表面層や含浸部分を設けたクリーニングブレードでも、像担持体に形成される粉体量が非常に多い連続的なベタ画像形成時等のクリーニングに対して厳しい条件では、クリーニング不良を生じてしまうことがあった。これは、以下の理由によるものと考えられる。
すなわち、上記ゴム部材の先端面の長手方向にわたって表面層や含浸部分を設けているため、表面層や含浸部分の影響によりゴム部材の弾性が阻害されることがある。ゴム部材の弾性が阻害されると、像担持体が偏心していたり、像担持体表面に微小なうねりがあったりした場合、像担持体表面に当接するクリーニングブレードの長手方向で当接圧が変動し、クリーニングブレードの先端稜線部の像担持体表面への追随性が低下してしまう。連続的なベタ画像形成時など、クリーニングブレードによって、多くのトナーが堰き止められているとき、堰き止められているトナーによるクリーニングブレードへの押圧力が高くなる。そのため、クリーニングブレードの像担持体に対する当接圧が低い部分では、クリーニングブレードが当接する力よりも像担持体上のトナーによるクリーニングブレードへの押圧力が勝ると、その部分で当接状態が維持できなくなり、クリーニングブレードをトナーがすり抜けてしまう。その結果、像担持体に形成される粉体量が非常に多い連続的なベタ画像形成時等の厳しい条件では、クリーニング不良が生じてしまったと考えられる。
そして、特許文献1に記載の表面層のみを設ける構成で硬度が高い表面層の層厚が高いと、表面層の剛性によってゴム部材の弾性が阻害され、先端稜線部の像担持体表面への追随性が低下する。このため、表面層のみを設ける構成では、先端稜線部の像担持体表面への追随性を維持するために硬度が高い表面層の層厚を薄くする必要がある。表面層を薄くすると、経時使用において短時間で弾性ブレードの基材であるゴム部材が露出する程度に表面層が摩耗する。硬度の低いゴム部材が露出して像担持体の表面に直接接触すると、クリーニングブレードと像担持体表面との摩擦係数が大きくなり、異常摩耗や異音が発生する。
また、特許文献2に記載の紫外線硬化材料をゴム部材に含浸させ、紫外線照射処理をして含浸部分を形成する構成では、次のような課題がある。すなわち、先端稜線部の最表面の硬度が表面層をゴム部材の表面に設ける構成と同等となるように、含浸部分を形成しようとすると、ゴム部材の表面を覆うことが出来る程度に多量の紫外線硬化材料を含浸させる必要がある。このように多量の紫外線硬化材料を含浸させると、ゴム部材の内部に染み込んだ紫外線硬化材料の量も多くなる。多量の紫外線硬化材料が染み込んだゴム部材に紫外線を照射すると、含浸部分が過剰硬く且つ過剰に深く形成されて、ゴム部材の弾性が阻害されることにより、先端稜線部の像担持体表面への追随性が低下する。一方、先端稜線部の像担持体表面への追随性を維持するために、ゴム部材に対する紫外線硬化材料の含浸量を少なくすると、ゴム部材の表面を紫外線硬化材料で覆い切れなくなり、先端稜線部の最表面がゴム部材の基材と紫外線硬化樹脂とが混在した状態となり、表面層を設けるものに比べて使用開始当初の先端稜線部の最表面の硬度が低くなって、クリーニングブレードと像担持体との摩擦力が大きくなる。像担持体との摩擦力が大きくなると、クリーニングブレードの先端稜線部にめくれが生じ易くなる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、経時使用時の異常摩耗及び異音の発生を抑制しつつ、先端稜線部のめくれを抑制し、かつ、先端稜線部の被清掃部材に対する追随性を良好にでき当接圧を維持することが可能なクリーニングブレード、画像形成装置、及び、プロセスカートリッジを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、短冊形状の弾性ブレードで構成され、該弾性ブレードの先端稜線部を表面移動する被清掃部材の表面に当接して、該被清掃部材表面から粉体を除去するクリーニングブレードにおいて、上記弾性ブレードの上記先端稜線部を含む部分に含浸された紫外線硬化樹脂の紫外線硬化物を有し、且つ、該先端稜線部を含む該弾性ブレードの表面に該弾性ブレードよりも硬い表面層を設け、且つ、該表面層の膜厚が1[μm]以下であり、上記弾性ブレードとして、ウレタン基を含むゴムを用い、上記弾性ブレードに対する上記紫外線硬化樹脂の最大含浸深さが10[μm]以上、30[μm]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のクリーニングブレードにおいて、上記表面層として、上記弾性ブレードを紫外線硬化樹脂で被覆していることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のクリーニングブレードにおいて、上記表面層を形成する紫外線硬化樹脂の鉛筆硬度が7H〜9Hであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニングブレードにおいて、上記紫外線硬化樹脂が、官能基当量分子量350以下、官能基数3〜6のペンタエリスリトール・トリアクリレートを主要骨格とする材料であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニングブレードにおいて、上記紫外線硬化樹脂に、官能基当量分子量100〜1000、官能基数1乃至2のアクリレート材料を混合することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリーニングブレードにおいて、上記ウレタン基を含むゴムのJIS-A硬度が65〜77度であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、表面移動部材である像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置において、上記像担持体の表面に接触し、その表面上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング部材として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを用いることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、表面移動する潜像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、該潜像担持体を上記被清掃部材としてその表面に接触し、その表面上に付着した不要な付着物を除去するクリーニング部材を有するクリーニング手段と、該潜像担持体とを一体に支持したプロセスカートリッジにおいて、上記クリーニング部材として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを用いることを特徴とするものである。
本発明においては、先端稜線部を含む表面に弾性ブレードよりも硬い表面層を設けているため、先端稜線部を含む部分に含浸させる紫外線硬化樹脂の量を先端稜線部の最表面の硬度に関係無く調節することが出来る。これにより、含浸量を少なくすることが可能となり、含浸部分が過剰に硬く且つ過剰に深く形成されることに起因して先端稜線部の像担持体表面への追随性が低下することを抑制できる。また、表面層を薄くして、経時使用において短時間で弾性ブレードが被清掃部材に接触しても、弾性ブレードの基材と紫外線硬化樹脂とが混在した弾性ブレードよりも硬度が高い含浸部分が被清掃部材と接触するため、経時使用時の異常摩耗及び異音の発生を抑制することができる。これにより、表面層を薄くすることが可能となり、表面層を厚くすることに起因して、先端稜線部の像担持体表面への追随性が低下することを抑制できる。
表面層を設けることで先端稜線部のめくれを抑制でき、表面層を薄くしても経時使用時の異常摩耗及び異音の発生を抑制できるため、先端稜線部の被清掃部材表面への追随性を維持するために、硬度が高い表面層の層厚を薄くすることが可能となる。
本発明によれば、経時使用時の異常摩耗及び異音の発生を抑制しつつ、先端稜線部のめくれを抑制し、かつ、先端稜線部の被清掃部材に対する追随性を良好にでき当接圧を維持することが可能となるという優れた効果がある。
クリーニングブレードの拡大断面図、(a)は、クリーニングブレードが感光体表面に当接している状態の説明図、(b)は、クリーニングブレード62の先端稜線部62c近傍の拡大説明図 本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図。 本発明の実施形態に係るの作像ユニットの概略構成図。 (a)及び(b)は、トナーの円形度の測定方法を説明するための説明図。 本実施形態に係るクリーニングブレードの斜視図。 弾性ブレードの摩耗幅の測定箇所を示した模式図。 実施例と比較例とを比較する概念図。 (a)は、クリーニングブレード先端稜線部がめくれた状態を示す図、(b)は、クリーニングブレードの先端面の局所的な摩耗について説明する図、(c)は、クリーニングブレードの先端稜線部が欠落した状態を示す図。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタ500という)の一実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るプリンタ500の基本的な構成について説明する。
図2は、プリンタ500を示す概略構成図である。プリンタ500は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)用の四つの作像ユニット1Y,C,M,Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
四つの作像ユニット1の上方には、中間転写体としての中間転写ベルト14を備える転写ユニット60が配置されている。詳細は後述する各作像ユニット1Y,C,M,Kが備える感光体3Y,C,M,Kの表面上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト14の表面上に重ね合わせて転写される構成である。
また、四つの作像ユニット1の下方に光書込ユニット40が配設されている。潜像形成手段たる光書込ユニット40は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、各作像ユニット1Y,C,M,Kの感光体3Y,C,M,Kに照射する。これにより、感光体3Y,C,M,K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット40は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー41によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,C,M,Kに照射するものである。かかる構成のものに代えて、LDEアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
光書込ユニット40の下方には、第一給紙カセット151、第二給紙カセット152が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット内には、それぞれ、記録媒体である転写紙Pが複数枚重ねられた紙束の状態で収容されており、一番上の転写紙Pには、第一給紙ローラ151a、第二給紙ローラ152aがそれぞれ当接している。第一給紙ローラ151aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第一給紙カセット151内の一番上の転写紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路153に向けて排出される。また、第二給紙ローラ152aが図示しない駆動手段によって図2中反時計回りに回転駆動せしめられると、第二給紙カセット152内の一番上の転写紙Pが、給紙路153に向けて排出される。
給紙路153内には、複数の搬送ローラ対154が配設されている。給紙路153に送り込まれた転写紙Pは、これら搬送ローラ対154のローラ間に挟み込まれながら、給紙路153内を図2中下側から上側に向けて搬送される。
給紙路153の搬送方向下流側端部には、レジストローラ対55が配設されている。レジストローラ対55は、転写紙Pを搬送ローラ対154から送られてくる転写紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の二次転写ニップに向けて送り出す。
図3は、四つの作像ユニット1のうちの一つの概略構成を示す構成図である。
図3に示すように、作像ユニット1は、像担持体としてのドラム状の感光体3を備えている。感光体3はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
感光体3の周囲には、帯電ローラ4、現像装置5、一次転写ローラ7、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10及び不図示の除電ランプ等が配置されている。帯電ローラ4は、帯電手段としての帯電装置が備える帯電部材であり、現像装置5は、感光体3の表面上に形成された潜像をトナー像化する現像手段である。一次転写ローラ7は、感光体3の表面上のトナー像を中間転写ベルト14に転写する一次転写手段としての一次転写装置が備える一次転写部材である。クリーニング装置6は、トナー像を中間転写ベルト14に転写した後の感光体3上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段である。潤滑剤塗布装置10は、クリーニング装置6がクリーニングした後の感光体3の表面上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段である。不図示の除電ランプは、クリーニング後の感光体3の表面電位を除電する除電手段である。
帯電ローラ4は、感光体3に所定の距離を持って非接触で配置され、感光体3を所定の極性、所定の電位に帯電するものである。帯電ローラ4によって一様帯電された感光体3の表面は、潜像形成手段である光書込ユニット40から画像情報に基づいてレーザ光Lが照射され静電潜像が形成される。
現像装置5は、現像剤担持体としての現像ローラ51を有している。この現像ローラ51には、図示しない電源から現像バイアスが印加されるようになっている。現像装置5のケーシング内には、ケーシング内に収容された現像剤を互いに逆方向に搬送しながら攪拌する供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53が設けられている。また、現像ローラ51に担持された現像剤を規制するためのドクタ54も設けられている。供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53の二本スクリュによって撹拌・搬送された現像剤中のトナーは、所定の極性に帯電される。そして、現像剤は、現像ローラ51の表面上に汲み上げられ、汲み上げられた現像剤は、ドクタ54により規制され、感光体3と対向する現像領域でトナーが感光体3上の潜像に付着する。
クリーニング装置6は、ファーブラシ101、クリーニングブレード62などを有している。クリーニングブレード62は、感光体3の表面移動方向に対してカウンタ方向で感光体3に当接している。なお、クリーニングブレード62の詳細については後述する。
潤滑剤塗布装置10は、固形潤滑剤103や潤滑剤加圧スプリング103a等を備え、固形潤滑剤103を感光体3上に塗布する塗布ブラシとしてファーブラシ101を用いている。固形潤滑剤103は、ブラケット103bに保持され、潤滑剤加圧スプリング103aによりファーブラシ101側に加圧されている。そして、感光体3の回転方向に対して連れまわり方向に回転するファーブラシ101により固形潤滑剤103が削られて感光体3上に潤滑剤が塗布される。感光体への潤滑剤塗布により感光体3表面の摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持される。
本実施形態の帯電装置は、帯電ローラ4を感光体3に近接させた非接触の近接配置方式であるが、帯電装置としては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)を始めとする公知の構成を用いることができる。これらの帯電方式のうち、特に接触帯電方式、あるいは非接触の近接配置方式がより望ましく、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能である等のメリットを有する。
光書込ユニット40のレーザ光Lの光源や除電ランプ等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザは照射エネルギーが高く、また600〜800[nm]の長波長光を有するため、良好に使用される。
転写手段たる転写ユニット60は、中間転写ベルト14の他、ベルトクリーニングユニット162、第一ブラケット63、第二ブラケット64などを備えている。また、四つの一次転写ローラ7Y,C,M,K、二次転写バックアップローラ66、駆動ローラ67、補助ローラ68、テンションローラ69なども備えている。中間転写ベルト14は、これら8つのローラ部材に張架されながら、駆動ローラ67の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。四つの一次転写ローラ7Y,C,M,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト14を感光体3Y,C,M,Kとの間に挟み込んでそれぞれ一次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト14の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト14は、その無端移動に伴ってY,C,M,K用の一次転写ニップを順次通過していく過程で、そのおもて面に感光体3Y,C,M,K上のY,C,M,Kトナー像が重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト14上に四色重ね合わせトナー像(以下、四色トナー像という)が形成される。
二次転写バックアップローラ66は、中間転写ベルト14のループ外側に配設された二次転写ローラ70との間に中間転写ベルト14を挟み込んで二次転写ニップを形成している。先に説明したレジストローラ対55は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを、中間転写ベルト14上の四色トナー像に同期させ得るタイミングで、二次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト14上の四色トナー像は、二次転写バイアスが印加される二次転写ローラ70と二次転写バックアップローラ66との間に形成される二次転写電界や、ニップ圧の影響により、二次転写ニップ内で転写紙Pに一括二次転写される。そして、転写紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト14には、転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニングユニット162によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット162は、ベルトクリーニングブレード162aを中間転写ベルト14のおもて面に当接させており、これによって中間転写ベルト14上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
転写ユニット60の第一ブラケット63は、図示しないソレノイドの駆動のオンオフに伴って、補助ローラ68の回転軸線を中心にして所定の回転角度で揺動するようになっている。プリンタ500は、モノクロ画像を形成する場合には、前述のソレノイドの駆動によって第一ブラケット63を図中反時計回りに少しだけ回転させる。この回転により、補助ローラ68の回転軸線を中心にしてY,C,M用の一次転写ローラ7Y,C,Mを図中反時計回りに転させることで、中間転写ベルト14をY,C,M用の感光体3Y,C,Mから離間させる。そして、四つの作像ユニット1Y,C,M,Kのうち、K用の作像ユニット1Kだけを駆動して、モノクロ画像を形成する。これにより、モノクロ画像形成時にY,C,M用の作像ユニット1を無駄に駆動させることによる作像ユニット1を構成する各部材の消耗を回避することができる。
二次転写ニップの図中上方には、定着ユニット80が配設されている。この定着ユニット80は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加圧加熱ローラ81と、定着ベルトユニット82とを備えている。定着ベルトユニット82は、定着部材たる定着ベルト84、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ83、テンションローラ85、駆動ローラ86、図示しない温度センサ等を有している。そして、無端状の定着ベルト84を加熱ローラ83、テンションローラ85及び駆動ローラ86によって張架しながら、図中反時計回り方向に無端移動せしめる。この無端移動の過程で、定着ベルト84は加熱ローラ83によって裏面側から加熱される。このようにして加熱される定着ベルト84の加熱ローラ83への掛け回し箇所には、図中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ81がおもて面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ81と定着ベルト84とが当接する定着ニップが形成されている。
定着ベルト84のループ外側には、図示しない温度センサが定着ベルト84のおもて面と所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト84の表面温度を検知する。この検知結果は、図示しない定着電源回路に送られる。定着電源回路は、温度センサによる検知結果に基づいて、加熱ローラ83に内包される発熱源や、加圧加熱ローラ81に内包される発熱源に対する電源の供給をオンオフ制御する。
上述した二次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト14から分離した後、定着ユニット80内に送られる。そして、定着ユニット80内の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト84によって加熱され、押圧されることによりフルカラートナー像が転写紙Pに定着される。
このようにして定着処理が施された転写紙Pは、排紙ローラ対87のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ500本体の筺体の上面には、スタック部88が形成されており、排紙ローラ対87によって機外に排出された転写紙Pは、このスタック部88に順次スタックされる。
転写ユニット60の上方には、Y,C,M,Kトナーを収容する四つのトナーカートリッジ100Y,C,M,Kが配設されている。トナーカートリッジ100Y,C,M,K内のY,C,M,Kトナーは、作像ユニット1Y,C,M,Kの現像装置5Y,C,M,Kに適宜供給される。これらトナーカートリッジ100Y,C,M,Kは、作像ユニット1Y,C,M,Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
次に、プリンタ500における画像形成動作を説明する。
図示しない操作部などからプリント実行の信号を受信したら、帯電ローラ4及び現像ローラ51にそれぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。同様に、光書込ユニット40及び除電ランプなどの光源にもそれぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。また、これと同期して、駆動手段としての感光体駆動モータ(不図示)により感光体3が図中矢印方向に回転駆動される。
感光体3が図中矢印方向に回転すると、まず感光体3表面が、帯電ローラ4によって所定の電位に一様帯電される。そして、光書込ユニット40から画像情報に対応したレーザ光Lが感光体3上に照射され、感光体3表面上のレーザ光Lが照射された部分が除電され静電潜像が形成される。
静電潜像の形成された感光体3の表面は、現像装置5との対向部で現像ローラ51上に形成された現像剤の磁気ブラシによって摺擦される。このとき、現像ローラ51上の負帯電トナーは、現像ローラ51に印加された所定の現像バイアスによって、静電潜像側に移動し、トナー像化(現像)される。各作像ユニット1において、同様の作像プロセスが実行され、各作像ユニット1Y,C,M,Kの各感光体3Y,C,M,Kの表面上に各色のトナー像が形成される。
このように、プリンタ500では、感光体3上に形成された静電潜像は、現像装置5によって、負極性に帯電されたトナーにより反転現像される。本実施形態では、N/P(ネガポジ:電位が低い所にトナーが付着する)の非接触帯電ローラ方式を用いた例について説明したが、これに限るものではない。
各感光体3Y,C,M,Kの表面上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト14の表面上で重なるように、順次一次転写される。これにより、中間転写ベルト14上に四色トナー像が形成される。
中間転写ベルト14上に形成された四色トナー像は、第一給紙カセット151または第二給紙カセット152から給紙され、レジストローラ対55のローラ間を経て、二次転写ニップに給紙される転写紙Pに転写される。このとき、転写紙Pはレジストローラ対55に挟まれた状態で一旦停止し、中間転写ベルト14上の画像先端と同期を取って二次転写ニップに供給される。トナー像が転写された転写紙Pは中間転写ベルト14から分離され、定着ユニット80へ搬送される。そして、トナー像が転写された転写紙Pが定着ユニット80を通過することにより、熱と圧力の作用でトナー像が転写紙P上に定着されて、トナー像が定着された転写紙Pはプリンタ500装置外に排出され、スタック部88にスタックされる。
一方、二次転写ニップで転写紙Pにトナー像を転写した中間転写ベルト14の表面は、ベルトクリーニングユニット162によって表面上の転写残トナーが除去される。
また、一次転写ニップで中間転写ベルト14に各色のトナー像を転写した感光体3の表面は、クリーニング装置6によって転写後の残留トナーが除去され、潤滑剤塗布装置10によって潤滑剤が塗布された後、除電ランプで除電される。
プリンタ500の作像ユニット1は、図3に示すように感光体3と、プロセス手段として帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10などとが枠体2に収められている。そして、作像ユニット1は、プロセスカートリッジとしてプリンタ500本体から一体的に着脱可能となっている。プリンタ500では、作像ユニット1がプロセスカートリッジとしての感光体3とプロセス手段とを一体的に交換するようになっているが、感光体3、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10のような単位で新しいものと交換するような構成でもよい。
次に、本発明を適用したプリンタ500に好適なトナーについて説明する。
プリンタ500に用いるトナーとしては、画質向上のために、高円形化、小粒径化がし易い懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法により製造された重合トナーを用いるのが好ましい。特に、円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5[μm]以下の重合トナーを用いるのが好ましい。平均円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5[μm]のものを用いることにより、より高解像度の画像を形成することができる。
ここでいう「円形度」は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製、商品名)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜0.5[ml]加え、更に測定試料(トナー)を0.1〜0.5[g]程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度が3000〜1[万個/μl]となるようにしたものを上述の分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。そして、この測定結果に基づき、図4(a)に示す実際のトナー投影形状の外周長をC1、その投影面積をSとし、この投影面積Sと同じ図4(b)に示す真円の外周長をC2としたときのC2/C1を求め、その平均値を円形度とした。
体積平均粒径については、コールターカウンター法によって求めることが可能である。具体的には、コールターマルチサイザー2e型(コールター社製)によって測定したトナーの個数分布や体積分布のデータを、インターフェイス(日科機社製)を介してパーソナルコンピューターに送って解析するのである。より詳しくは、1級塩化ナトリウムを用いた1%NaCl水溶液を電解液として用意する。そして、この電解水溶液100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5[ml]加える。更に、これに被検試料としてのトナーを2〜20[mg]加え、超音波分散器で約1〜3[分間]分散処理する。そして、別のビーカーに電解水溶液100〜200[ml]を入れ、その中に分散処理後の溶液を所定濃度になるように加えて、上記コールターマルチサイザー2e型にかける。アパーチャーとしては、100[μm]のものを用い、50,000個のトナー粒子の粒径を測定する。チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上32.0[μm]以下のトナー粒子を対象とする。そして、「体積平均粒径=ΣXfV/ΣfV」という関係式に基づいて、体積平均粒径を算出する。但し、「X」は各チャンネルにおける代表径、「V」は各チャンネルの代表径における相当体積、「f」は各チャンネルにおける粒子個数である。
このような重合トナーにおいては、従来の粉砕トナーを感光体3表面から除去するときと同じようにしてクリーニングブレード62で除去しようとしても、その重合トナーを感光体3表面から十分に除去しきれず、クリーニング不良が発生する。そこで、クリーニングブレード62の感光体3への当接圧を高めて、クリーニング性をアップしようとすると、クリーニングブレード62が早期に摩耗してしまうという問題があった。また、クリーニングブレード62と感光体3との摩擦力が高まって、クリーニングブレード62の感光体3と当接している先端稜線部が感光体3の移動方向に引っ張られて、先端稜線部がめくれてしまう。クリーニングブレード62の先端稜線部がめくれると、異音や振動、先端稜線部の欠落などの様々な問題が生じてしまう。
図5は、クリーニングブレード62の斜視図であり、図1は、クリーニングブレード62の拡大断面図である。図1(a)は、クリーニングブレード62が感光体3の表面に当接している状態の説明図であり、図1(b)は、クリーニングブレード62の先端稜線部62c近傍の拡大説明図である。
クリーニングブレード62は、金属や硬質プラスチックなどの剛性材料からなる短冊形状のホルダー621と、短冊形状の弾性ブレード622とで構成されている。弾性ブレード622は先端稜線部62cに詳細は後述する含浸処理がなされている。また、ブレード先端面62aとブレード下面62bには、ブレード長手方向にわたって表面層623が形成されている。
弾性ブレード622は、ホルダー621の一端側に接着剤などにより固定されており、ホルダー621の他端側は、クリーニング装置6のケースに片持ち支持されている。
弾性ブレード622としては、感光体3の偏心や感光体3の表面の微小なうねりなどに追随できるように、高い反発弾性体率を有するものが好ましく、ウレタン基を含むゴムであるウレタンゴムなどが好適である。
また、弾性ブレードと622の硬度としては、25[℃]における硬度が66〜77度(JIS A)のウレタンゴムが好ましい。ウレタンゴムの硬度が77度を超えると、柔軟性に乏しくなり、例えば、ホルダー621が微小に傾いて取り付けるなどしたときに、クリーニングブレード62の軸方向一端側と他端側とで当接圧が異なる所謂偏当りしやすくなり、軸方向で均一な当接圧が得にくくなる。その結果、クリーニング性が低下するおそれがある。一方、硬度が66度未満の場合は、重合トナーでもクリーニングできるよう当接圧を高く設定したときに、クリーニングブレード62が反ってしまって、クリーニングブレード62の先端稜線部62cが浮きあがって、クリーニングブレード62のブレード下面62bが感光体3と当接する所謂腹当たり現象が生じてしまう。腹当たり現象が生じると、クリーニングブレード62と感光体3表面との当接面積が急激に増大するため、クリーニングブレード62を大きな力で押しつけても逆に当接圧は小さくなり、クリーニング性が低下してしまう。
なお、弾性ブレード622の硬さは含浸処理によるウレタンゴムそのものの改質で変化し、さらに表面層623の形成によっても影響を受けるので、各々の効果を調整することが必要である。
弾性ブレード622の先端稜線部62cへの含浸処理は、ハケ塗り、スプレー塗工、ディップ塗工などによって、紫外線硬化樹脂を含浸させることで可能である。
これにより、当接する弾性ブレード622の先端稜線部62cが感光体3表面移動方向に変形するのを抑制することができる。さらに、経時表面層摩耗によって内部が露出したときも内部への含浸作用により、同様に変形を抑制することができる。
表面層623は、弾性ブレード622に紫外線硬化樹脂を含浸させて所定時間風乾させた後に、スプレー塗工、ディップ塗工、あるいはスクリーン印刷等によって、クリーニングブレード62の先端稜線部62cを被覆する。表面層623としては、鉛筆硬度7〜9Hの材料を被覆するのが好ましい。また、表面層623は、弾性ブレード622よりも硬度が高い部材とすることで、剛直なため、変形し難く、クリーニングブレード62の先端稜線部62cのめくれを抑制することができる。
ここでいう硬度は、例えばFischer社の微小硬度計HM−2000などを用いて測定するマルテンス硬度を用いることができる。本実施形態では、弾性ブレード622が1[N/mm]程度であるのに対し、表面層623に用いる鉛筆硬度7〜9Hの材料をガラス基板上で硬化して測定したところ、100〜300[N/mm]となり、100倍以上の硬さとなった。
紫外線硬化樹脂を含浸させた後、または、表面層623による被覆を行った後に、紫外線を照射することで、図1に示す含浸部分62dを形成し、先端稜線部62cの硬度上昇を図る改質効果を生じさせることができる。特許文献3に記載の弾性ブレードでは、イソシアネート化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物等の含浸をさせて改質を行っているが、本実施形態のように紫外線硬化樹脂を含浸させて紫外線を照射することで、さらに耐久性の向上を図ることができる。これは以下の理由によるものと考えられる。
まず考えられるのは、ゴム内部に紫外線硬化樹脂の網目鎖が形成されることで、ゴム自体の架橋密度が擬似的に増加し、耐摩耗性が向上している可能性である。この場合、紫外線硬化樹脂とウレタンゴムが化学的にほとんど結合しないであろう点がポイントである。一般的にウレタンゴムを含浸操作で強化しようとする場合、含浸材料としてイソシアネートを用いることが多いが、イソシアネートはウレタンゴムと化学的に反応するので、架橋密度が上がりすぎてしまい、ゴムというよりガラスに近い状態となるため、エッジの動きが抑制されすぎて逆に耐摩耗性を悪化させることが考えられる。
もう一つの可能性として、含浸した紫外線硬化樹脂が、表面に追加された紫外線硬化樹脂に対し、いわゆる「アンカー効果」を発揮して、樹脂膜とゴムの密着性を増大させていることが考えられる。これにより紫外線硬化樹脂自体の耐久性が底上げされていると考えることもできる。
本実施形態のクリーニングブレード62では、ウレタンゴムからなる弾性ブレード622の基材に対してディップ塗工により紫外線硬化樹脂を含浸させ、さらに表面層623を形成する紫外線硬化樹脂をスプレー塗工した後、紫外線照射により樹脂を硬化させている。
含浸させた紫外線硬化樹脂を硬化させるために外線を照射するタイミングとしては、弾性ブレード622に紫外線硬化樹脂を含浸させた後、表面層623を被覆する前に、紫外線を照射してもよい。弾性ブレード622の基材となるウレタンゴムに紫外線硬化樹脂を含浸させた後、一度、紫外線を照射して含浸させた紫外線硬化樹脂を硬化させた後に、表面層623を形成する樹脂で被覆する構成であれば、表面層623を形成する前にウレタンゴムに対して紫外線硬化樹脂の含浸状態を固定し、後から表面層623を形成する紫外線硬化樹脂を塗布しても、含浸状態が変化しないため、所望の含浸状態の弾性ブレード622を作成できる。
本実施形態のクリーニングブレード62は、図1(b)中の矢印で示すように、含浸部分62dにおける弾性ブレード622の内部ほどウレタンゴムに対して紫外線硬化樹脂の含有量が少なくなるような傾斜性が生じるように含浸させている。具体的には、短時間の含浸操作や含浸し難い条件で含浸操作を行うことで、含浸する紫外線硬化樹脂の量を少なくして、含浸させた部分の弾性ブレード622の外側は含浸量を多く、内側に向かうほど含浸量が少なくなるように含浸操作を行う。本実施形態では、含浸操作としては、ディッピング方式で行い、含浸時間を30[秒]とした。
含浸操作を長時間行うなど、基材(弾性ブレード622のウレタンゴム)の内部まで充分に含浸素材(紫外線硬化樹脂)が浸透する条件で実施すれば、一種の平衡状態となり、全体は均一組成となって傾斜性をもたない状態も作り出すことは可能である。しかし、本実施形態では、含浸操作で紫外線硬化樹脂の含浸する量を抑制することで、弾性ブレード622のウレタンゴムに対する紫外線硬化樹脂の含有量に傾斜性を持たせている。
本実施形態のクリーニングブレード62では、弾性ブレード622よりも硬い表面層623を設け、先端稜線部62cと感光体3表面との摩擦係数の低減を図っている。
ここで、弾性ブレード622の基材に紫外線硬化樹脂を含浸させず、この基材よりも硬度の硬い表面層623のみを備える構成について説明する。表面層623を設けて摩擦係数を低減させても、経時で表面層623は摩耗し減少する。このとき、長期使用に耐え得るように、表面層623を厚くすると、弾性ブレード622の先端稜線部62cにおける弾性変形を阻害して、クリーニング不良となるおそれがある。一方、弾性ブレード622の先端稜線部62cにおける弾性変形を阻害しないように、表面層623を薄くすると、短時間で基材が露出する程度に表面層623が摩耗する。硬度の低い基材が露出して感光体3の表面に直接接触すると、クリーニングブレード62と感光体3表面との摩擦係数が大きくなり、異常摩耗や異音が発生する。
本実施形態のクリーニングブレード62は、硬度の高い表面層623の内側の弾性ブレード622の基材に対して紫外線硬化樹脂が傾斜性を持つように存在する。これにより、基材となる弾性ゴム(ウレタンゴム)の機械強度や剛性が適度に強化され、感光体3表面との摺動においてブレード先端部の挙動を適度に抑えることで良好なクリーニングを行うことができ、異常摩耗や異音の発生を抑えることで、高い耐摩耗性を発揮させることが可能となる。
また、弾性ブレード622の基材に硬度の高い表面層623のみを設けると、高硬度層と基材層との境目で硬度が急激に変化して応力が集中し、弾性ブレード622が破損するおそれがある。これに対して、弾性ブレード622の基材に含有量に傾斜性を生じさせることで、高硬度層と基材層との境目で硬度が急激に変化することを抑制し、応力集中に起因して弾性ブレード622が破損することを防止できる。
上記特許文献1には、表面層のみを設ける構成、または、弾性ブレードの基材に樹脂材料を含浸させるのみの構成が記載されている。表面層のみを設ける構成であると、上述した不具合が生じる。また、樹脂材料を含浸させるのみの構成であると、使用開始当初のクリーニングブレードの感光体と当接する部分の硬度が表面層を設けるものほどの硬度を得ることが出来ず、耐磨耗性が不十分となる。また、使用する樹脂が鉛筆硬度B〜6Hのものであり、これを表面層として用いても鉛筆硬度が十分ではなく、耐久性に劣る。この耐久性を補うために、表面層を厚膜にすると、エッジ(先端稜線部)の姿勢制御が損なわれ、耐久性が低下する。
上記特許文献2には、弾性ブレードの基材にシリコーン含有紫外線硬化樹脂が傾斜性をもって含浸され、弾性ブレードの表面が同樹脂で覆われた構成が記載されている。特許文献2に記載のクリーニングブレードは、含浸させる紫外線硬化樹脂で弾性ブレードの表面を覆っているため、含浸させるものとは、別に、表面層を設ける本実施形態のクリーニングブレード62とは異なる。また、シリコーン含有紫外線硬化樹脂は、本実施形態の表面層に用いる樹脂に比べ、耐久性に劣る。さらに、特許文献2に記載の含浸操作のように、含浸を12時間も行うと、紫外線硬化樹脂の含浸量が過剰となり、基材ゴムが膨潤しすぎてゴムの網目構造が破壊され、機械強度が低下し、耐久性が低下する。
本実施形態のクリーニングブレード62は、表面を鉛筆硬度7H以上の紫外線硬化樹脂からなる表面層623で覆い、さらに、弾性ブレード622の基材のウレタンゴムの内部に紫外線硬化樹脂が傾斜性をもちつつ含浸している。弾性ブレード622に紫外線硬化樹脂を含有させて硬度上昇させているため、表面層623の厚みを薄くしても経時の耐久性を確保することができる。表面層623についての非常に薄い膜厚と、高い鉛筆硬度により、先端稜線部62cの姿勢制御と耐久性付与とを同時に発現することが可能と成る高耐久化を図ることができる。また、弾性ブレード622に含有させる紫外線硬化樹脂の含浸量を抑制することで、基材ゴムの膨潤によるゴム機械強度低下と、高硬度な樹脂材料の浸潤による網目構造強化との両立を図ることができる。
上述したように、本実施形態においては、弾性ブレード622の先端稜線部62cを含浸処理により硬度上昇させているため、弾性ブレード622の先端稜線部62cが変形し難くなっている。
このため、弾性ブレード622のブレード下面62bの全面に弾性ブレード622よりも硬度が高い表面層623を形成すると、ブレード下面62bに形成した表面層623が、弾性ブレード622の先端稜線部62cの感光体表面への弾性変形を阻害してしまい、先端稜線部62cにおいて感光体3表面への当接圧を高める向きに働く弾性変形に対する復元力がほとんど得られなくなってしまう。その結果、先端稜線部62cが感光体3の偏心や微小なうねりに対して追随できなくなってしまう。従って、感光体3に対する当接圧が変動してしまい、連続的なベタ画像形成時等、先端稜線部62cに堰きとめたトナーから大きな押圧力を受けるなどの厳しい条件において、当接圧が低下したときに、トナーがクリーニングブレード62からすり抜けてクリーニング不良を生じるおそれがある。
このような問題に対して、弾性ブレード622のブレード下面62bに表面層623を形成しないことも考えられる。しかし、ブレード下面62bに表面層623を形成しなかった場合は、弾性ブレード622の先端稜線部62cが感光体3の表面移動方向へ大きく弾性変形して、先端稜線部62cがめくれてしまい、めくれ摩耗が生じるおそれがある。
そこで、本実施形態においては、ブレード先端面62aおよびブレード下面62bの両方に、先端稜線部62cから50[μm]の位置において膜厚が1[μm]以下となるように表面層623を形成した。これにより、ブレード先端面62aにのみ表面層623を形成したものに比べて、弾性ブレード622の先端稜線部62cにおける弾性変形を阻害するのを抑制し、先端稜線部62cがめくれない程度に、弾性ブレード622の先端稜線部62cを感光体3表面移動方向へ弾性変形させることができる。これにより、感光体3に偏心などがあった場合でも、弾性ブレード622の先端稜線部62cの弾性変形に対する復元力により、先端稜線部62cを感光体3の表面に対して追随させることができ、良好なクリーニング性を維持することができる。
また、表面層623の材質としては、樹脂が好ましく、紫外線硬化樹脂がより好ましい。紫外線硬化樹脂を用いることで、クリーニングブレード62の先端稜線部62cに付着した樹脂に紫外線を照射させるだけで、所望の硬度を有する表面層623を得ることができ、クリーニングブレード62を安価に製造することができる。
紫外線硬化樹脂としては、官能基当量分子量350以下、官能基数3〜6のペンタエリスリトール・トリアクリレートを主要骨格とするモノマーを用いることが好ましい。官能基当量分子量が350を越えるか、またはペンタエリスリトール・トリアクリレート骨格以外の材料を用いると、表面層623は脆弱になり過ぎるおそれがある。表面層623が脆弱になると、クリーニングブレード62の先端稜線部62cがめくれて図8(b)のような先端面摩耗を生じてしまい、長期に渡るクリーニング性を保持できなくなる。
また表面層623の材料として、上記ペンタエリスリトール・トリアクリレート骨格材料の他、官能基当量分子量100〜1000、官能基数1乃至2のアクリレート材料を適宜混合することが好ましい。これにより表面層623に可撓性を付与することが可能であり、クリーニングブレード62を搭載するマシンの特性に合わせて表面層623の性質をカスタマイズすることが可能となる。よって、特定環境での異音が発生した時などにブレード挙動を微調整するなど、環境特性等を向上させることも可能となる。
また、表面層623の層厚は、先端稜線部62cから50[μm]の距離において測定した際、1[μm]以下であることが好ましい。層厚が、1[μm]より大きいと、表面層623の剛性が強くなりすぎ、クリーニングブレード62の先端稜線部62cの感光体3表面との摺動における挙動が小さくなりすぎるおそれがある。その結果、先端稜線部62cに振動エネルギーが集中することにより、不快な異音が発生しやすくなる他、摩耗速度も大きくなってしまい、早期に使用不可能となるおそれがある。
次に、本出願人らが行った検証実験について説明する。
弾性ブレード622の材質、表面層623の材質、含浸処理方法、ブレード下面62bにおける表面層623の形成をそれぞれ変化させて、耐久試験を行った。
[弾性ブレード]
弾性ブレード622としては、25[℃]における物性が以下の物性となっている5つのウレタンゴムを用意した。
ウレタンゴム1:硬度66度、反発弾性率46[%](バンドー化学製)
ウレタンゴム2:硬度70度、反発弾性率50[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴム3:硬度72度、反発弾性率31[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴム4:硬度75度、反発弾性率21[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴム5:硬度77度、反発弾性率19[%](シンジーテック製)
ウレタンゴムの硬度は、島津製作所製デュロメーターを用い、JIS K6253に準じて測定した。試料は厚さ12[mm]以上となるように約2[mm]のシートを重ね合わせたものとした。
ウレタンゴムの反発弾性は、東洋精機製作所製No.221レジリエンステスタを用い、JIS K6255に準じて測定した。試料は厚さ4[mm]以上となるように約2[mm]のシートを重ね合わせたものとした。
[硬化材料]
含浸処理や表面層623の形成処理に用いる硬化材料としては、以下の硬化材料1〜7のものを用いた。
<硬化材料1>
紫外線硬化樹脂 :ダイセル・サイテック社 PETIA 10部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :2−ブタノン 89部
<硬化材料2>
紫外線硬化樹脂1:ダイセル・サイテック社 PETIA 9部
紫外線硬化樹脂2:ダイセル・サイテック社 HDDA 1部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :2−ブタノン 89部
<硬化材料3>
紫外線硬化樹脂1:ダイセル・サイテック社 PETIA 7部
紫外線硬化樹脂2:ダイセル・サイテック社 ODA-N 3部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :2−ブタノン 89部
<硬化材料4>
紫外線硬化樹脂1:ダイセル・サイテック社 PETIA 2部
紫外線硬化樹脂2:根上工業 UN−2700 8部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :2−ブタノン 89部
<硬化材料5>
紫外線硬化樹脂:ダイセル・サイテック社 DPHA 10部
重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒:2−ブタノン 89部
<硬化材料6>
紫外線硬化樹脂:日本化薬 DPCA−120 10部
重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒:2−ブタノン 89部
<硬化材料7>
紫外線硬化樹脂1:根上工業 UN−904 3部
紫外線硬化樹脂2:根上工業 UN−2700 7部
重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒:2−ブタノン 89部
上記硬化材料に用いる紫外線硬化樹脂のアクリル材料、主要骨格、官能基数及び官能基当量を表1に示す。
Figure 0006168379
PETIAの構造式を化1に示す。
Figure 0006168379
化1に示すように、PETIAは、官能基(CHCHOO基)の数が3である。
また、DPHAの構造式を化2に示す。
Figure 0006168379
化2に示すように、DPHAは、官能基(CHCHOO基)の数が6であり、基本骨格が、ペンタエリスリトール・トリアクリレートの二量体(脱水縮合)となっている。
次に、検証実験を行った画像形成装置の構成について説明する。
上記ウレタンゴム1〜3のいずれかを用いて厚さ1.8[mm]の短冊形状の弾性ブレードを作成し、この弾性ブレードを含浸材料として上記硬化材料1〜7のいずれかに所定時間(30[秒])浸漬したのち、3分間風乾する。さらにスプレー塗工法により上記硬化材料1〜7のいずれかからなる表面層623を形成した。具体的には、適宜含浸処理を行った各々のウレタンゴムからなる弾性ブレードに対し、まずスプレー塗工によりブレード先端面から10[mm/s]のスプレーガン移動速度にて所定の層厚になるように先端面全面に重ね塗りを行った。3分間指触乾燥後、ブレード下面にスプレー塗工により塗工した。その後さらに3分間指触乾燥を行い、紫外線露光(140[W/cm]×5[m/min]×5パス)を行った。
表面層が形成された弾性ブレードをリコー製カラー複合機 imagio MP C4500に搭載できる板金ホルダーに接着剤により固定し、試作のクリーニングブレード62とした。これを同じくリコー製カラー複合機 imagio MP C4500(プリンタ部は図2に示すプリンタ500と同様の構成)に取り付け、実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例4の画像形成装置を作製した。なお、クリーニングブレード62は、線圧:20[g/cm]、クリーニング角:79[°]となるように取り付けた。また、本実験で用いる装置は感光体3表面への潤滑剤塗布装置10を備えており、潤滑剤塗布により感光体3表面の静止摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持される。なお、感光体3表面の静止摩擦係数の測定方法については、オイラーベルトの方法で、例えば、特開平9−166919号公報の段落番号0046に記載されている。
検証実験には、重合法により作製したトナーを用いた。なお、トナーの物性は、以下のとおりである。
トナー母体:円形度0.98、平均粒径4.9[μm]
外添剤 :小粒径シリカ1.5部(クラリアント製H2000)
小粒径酸化チタン0.5部(テイカ製MT−150AI)
大粒径シリカ1.0部(電気化学工業製UFP−30H)
検証実験は、実験室環境:21[℃]・65[%RH]、通紙条件:画像面積率5%チャートを3プリント/ジョブで、50,000枚(A4横)で行った。そして、以下の項目を評価した。
〔評価項目〕
クリーニング不良発生:有無(目視観察)
評価時画像:縦帯パターン(紙進行方向に対して)43[mm]幅、3本チャート
出力20枚(A4横)
ブレードエッジ摩耗幅:図6に示すようにブレード先端面側からみた摩耗幅
以下に実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例4のクリーニングブレード62の構成及び検証実験の結果を示す。なお、表面層の層厚は、キーエンス製マイクロスコープVHX−100を用い、別途同様に塗工した弾性ブレードの断面により測定した。試料は日進EM製SEM試料作製用トリミングカミソリを用い断面を切断したものとした。
<実施例1>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料1
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
<実施例2>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム2
含浸材料 :硬化材料2
表面層材料:硬化材料2
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
<実施例3>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料3
表面層材料:硬化材料3
表面層鉛筆硬度:8H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
<実施例4>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料4
表面層材料:硬化材料4
表面層鉛筆硬度:7H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
<実施例5>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム4
含浸材料 :硬化材料5
表面層材料:硬化材料5
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
<実施例6>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム5
含浸材料 :硬化材料6
表面層材料:硬化材料6
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
<実施例7>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム2
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料2
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
<実施例8>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム2
含浸材料 :硬化材料2
表面層材料:硬化材料3
表面層鉛筆硬度:8H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
<実施例9>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料5
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
<実施例10>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料2
表面層材料:硬化材料1
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
<比較例1>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :なし
表面層材料:なし
ブレードエッジ摩耗幅:40[μm]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が3箇所
異音発生:なし
先端面エグレ摩耗発生
<比較例2>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :なし
表面層材料:硬化材料1
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:20[μm]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が2箇所
異音発生:なし
<比較例3>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料7
表面層材料:硬化材料7
表面層鉛筆硬度:6H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:200[μm]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が15箇所
異音発生:ビビリ音
<比較例4>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料7
表面層材料:硬化材料7
表面層鉛筆硬度:6H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:5[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:200[μm]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が7箇所
異音発生:ビビリ音
実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例4の検証実験の結果をまとめたものを表2に示す。
Figure 0006168379
また、実施例と比較例とを比較する概念図を図7に示す。
実施例1〜実施例6においては、いずれも、経時にわたり良好なクリーニング性を維持することができ、異音の発生も抑えることができた。
実施例1〜実施例6においては、含浸処理による硬度上昇を図り、先端稜線部62cの改質処理がなされている。さらに、潤滑剤塗布装置10による潤滑剤塗布により感光体3表面の摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持されている。このため、ブレード先端面62aに表面層623を設けた構成において、経時的な異音発生を回避することができたと考えられる。さらに、感光体3と先端稜線部62cとの間で生じる摩擦力を低減することができ、先端稜線部62cのめくれを抑制することができるとともに、弾性ブレード622の摩耗も抑制することができたと考えられる。表面層623は感光体3との接触部近傍の弾性体部分を補強する効果を有しており、それにより先端稜線部62cの運動を適度に制御することができ、異音発生を生じることなく、めくれを抑制できたと考えられる。
一方、比較例1においては、クリーニング評価において、帯状クリーニング不良が発生した。これは、含浸処理および表面層を設けていないことから、先端摩擦係数が高く、先端稜線部62cの運動性を適度に制御できていないため、先端面えぐれ摩耗が発生し、局所的なトナーすり抜けによりクリーニング不良が発生したと考えられる。
また、比較例2においては、含浸改質処理を行なっていないため、局所的な応力集中による表面層の部分的な破壊が起き、トナーすり抜けによるクリーニング不良が発生したと考えられる。
比較例3においては、表面層の鉛筆硬度が低いため、感光体との摺動においてブレードの挙動が大きくなることから、不快なビビリ音が発生すると共に、めくれの発生が抑えられず摩耗が大きくなったと考えられる。
比較例4においては、表面層の膜厚が5[μm]と厚く、感光体の摺動においてブレードの挙動が抑えられすぎたため、局所的な応力集中により振動エネルギーが発散されず、不快なビビリ音が発生し、かつ摩耗速度が大きくなったと考えられる。
なお、比較例3と比較例4とではブレード挙動の種類が異なり、比較例3のビビリ音は低音領域であり、比較例4のビビリ音は高音領域であった。
以上、本実施形態によれば、クリーニングブレード62は、短冊形状の弾性ブレード622で構成され、弾性ブレード622の先端稜線部62cを表面移動する被清掃部材である感光体3の表面に当接して、感光体3の表面から粉体を除去するクリーニング部材である。このようなクリーニングブレード62において、弾性ブレード622の先端稜線部62cを含む部分に紫外線硬化樹脂が含浸された含浸部分62dを形成し、且つ、先端稜線部62cを1辺に有し感光体3の表面と対向するブレード下面62bと、先端稜線部62cを1辺に有しブレードの厚み方向に平行な面であるブレード先端面62aとに、弾性ブレード622よりも硬い表面層623を設けている。これにより、良好なクリーニング性を維持することができ、かつ、先端稜線部がめくれるのを、抑制することができる。
また、クリーニングブレード62では、表面層623として、弾性ブレード622を紫外線硬化樹脂で被覆しており、この表面層623は、各面(62a及び62b)側における層厚が1[μm]以下であることであることが好ましい。すなわち、層厚がその範囲内に無い場合、先端稜線部の運動性を適度に維持することができず、異音(ビビリ)の発生を生じたり、めくれを生じたりする。また、層厚が1[μm]を超えると、先端稜線部62cの運動抑制効果が強すぎ均一な当接状態が得られずトナーのすり抜けが増大してクリーニング不良が発生し易くなったり、異音の発生を生じ易くなったりするためである。また、表面層623が紫外線硬化樹脂からなることで、クリーニングブレード62の先端稜線部62cに付着させた樹脂に紫外線を照射させるだけで、所望の硬度を有する表面層623を得ることができ、クリーニングブレード62を安価に製造することができる。
また、クリーニングブレード62の表面層623を形成する紫外線硬化樹脂の鉛筆硬度が7H〜9Hであることにより、高い耐久性を得ることができる。
また、クリーニングブレード62の弾性ブレード622に含浸される紫外線硬化樹脂や表面層623を形成する紫外線硬化樹脂として、官能基当量分子量350以下、官能基数3〜6のペンタエリスリトール・トリアクリレートを主要骨格とする材料であることにより、紫外線硬化樹脂を含む層が脆弱になり過ぎることを防止できる。
また、クリーニングブレード62の弾性ブレード622に含浸される紫外線硬化樹脂や表面層623を形成する紫外線硬化樹脂として、官能基当量分子量100〜1000、官能基数1乃至2のアクリレート材料を混合する構成としても、紫外線硬化樹脂を含む層が脆弱になり過ぎることを防止できる。
また、クリーニングブレード62は、弾性ブレード622として、JIS-A硬度65〜77度のウレタン基を含むゴムを用いている。弾性ブレード622として、ウレタン基を含むゴムを用いたことで、感光体3に偏心などあっても、柔軟に弾性ブレード622が変形して、所定の当接圧を維持することができ、良好なクリーニング性を維持することができる。
また、プリンタ500は、像担持体である感光体3と、感光体3の表面を帯電する帯電手段である帯電ローラ4と、帯電した感光体3表面に静電潜像を形成する潜像形成手段である光書込ユニット40と、感光体3表面に形成された静電潜像を現像してトナー像化する現像手段である現像装置5と、感光体3表面のトナー像を転写体である転写紙Pに転写する転写手段である転写ユニット60と、感光体3表面に当接して感光体3表面に付着した残トナーを除去するクリーニング部材を有するクリーニング手段であるクリーニング装置6と、感光体3表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段である潤滑剤塗布装置10とを備えた画像形成装置である。このようなプリンタ500において、クリーニング部材として本実施形態のクリーニングブレード62を用いる。さらに、潤滑剤塗布装置10によって潤滑剤を塗布することにより非画像形成時に感光体3表面の摩擦係数を0.2以下とする。感光体3表面に潤滑剤を塗布することにより非画像形成時に感光体3表面の摩擦係数を0.2以下とすることによって、経時的な異音発生を回避することができ、先端稜線部62cのめくれを抑制することができるとともに、弾性ブレード622の摩耗も抑制することができたと考えられる。
また、本実施形態では、本発明の特徴部を有するクリーニングブレード62を被清掃部材が感光体3であるクリーニング装置6に適用した構成について説明したが、被清掃部材としては感光体3に限るものではない。例えば、被清掃部材が中間転写ベルト14であるベルトクリーニングユニット162のベルトクリーニングブレード162aとしても本発明のクリーニングブレードを適用可能である。
また、作像ユニット1は、像担持体である感光体3と、少なくとも感光体3の表面に付着した残トナーを除去するクリーニング部材を有するクリーニング装置6と、感光体3表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段である潤滑剤塗布装置10とを一体に支持し、プリンタ500本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジである。このような作像ユニット1のクリーニング部材として、本実施形態のクリーニングブレード62を用いる。さらに、潤滑剤塗布装置10により非画像形成時に感光体3表面の摩擦係数を0.2以下とする。作像ユニット1として上述のクリーニングブレード62を一体に構成することで、クリーニング性が良好なプロセスカートリッジを提供することができる。
1 作像ユニット
3 感光体
6 クリーニング装置
10 潤滑剤塗布装置
14 中間転写ベルト
60 転写ユニット
62 クリーニングブレード
62a ブレード先端面
62b ブレード下面
62c 先端稜線部
62d 含浸部分
80 定着ユニット
101 ファーブラシ
103 固形潤滑剤
162 ベルトクリーニングユニット
162a ベルトクリーニングブレード
500 プリンタ
621 ホルダー
622 弾性ブレード
623 表面層
特許第3602898号公報 特開2004−233818号公報 特開2010−152295号公報

Claims (8)

  1. 短冊形状の弾性ブレードで構成され、該弾性ブレードの先端稜線部を表面移動する被清掃部材の表面に当接して、該被清掃部材表面から粉体を除去するクリーニングブレードにおいて、
    上記弾性ブレードの上記先端稜線部を含む部分に含浸された紫外線硬化樹脂の紫外線硬化物を有し、且つ、該先端稜線部を含む該弾性ブレードの表面に該弾性ブレードよりも硬い表面層を設け、且つ、該表面層の膜厚が1[μm]以下であり、
    上記弾性ブレードとして、ウレタン基を含むゴムを用い
    上記弾性ブレードに対する上記紫外線硬化樹脂の最大含浸深さが10[μm]以上、30[μm]以下であることを特徴とするクリーニングブレード。
  2. 請求項1のクリーニングブレードにおいて、
    上記表面層として、上記弾性ブレードを紫外線硬化樹脂で被覆していることを特徴とするクリーニングブレード。
  3. 請求項2のクリーニングブレードにおいて、
    上記表面層を形成する紫外線硬化樹脂の鉛筆硬度が7H〜9Hであることを特徴とするクリーニングブレード。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニングブレードにおいて、
    上記紫外線硬化樹脂が、官能基当量分子量350以下、官能基数3〜6のペンタエリスリトール・トリアクリレートを主要骨格とする材料であることを特徴とするクリーニングブレード。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニングブレードにおいて、
    上記紫外線硬化樹脂に、官能基当量分子量100〜1000、官能基数1乃至2のアクリレート材料を混合することを特徴とするクリーニングブレード。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリーニングブレードにおいて、
    上記ウレタン基を含むゴムのJIS-A硬度が65〜77度であることを特徴とするクリーニングブレード。
  7. 表面移動部材である像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置において、
    上記像担持体の表面に接触し、その表面上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング部材として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを用いることを特徴とする画像形成装置。
  8. 表面移動する潜像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、
    該潜像担持体を上記被清掃部材としてその表面に接触し、その表面上に付着した不要な付着物を除去するクリーニング部材を有するクリーニング手段と、該潜像担持体とを一体に支持したプロセスカートリッジにおいて、
    上記クリーニング部材として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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