JP6168379B2 - クリーニングブレード、画像形成装置、及び、プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
このクリーニング装置のクリーニング部材として、一般的に構成を簡単にでき、クリーニング性能も優れていることから、短冊形状のクリーニングブレードを用いたものがよく知られている。このクリーニングブレードは、ポリウレタンゴムなどの弾性体で構成されている。そして、クリーニングブレードの基端を支持部材で支持して先端稜線部を像担持体の周面に押し当て、像担持体上に残留するトナーをせき止めて掻き落とし除去する。
すなわち、上記ゴム部材の先端面の長手方向にわたって表面層や含浸部分を設けているため、表面層や含浸部分の影響によりゴム部材の弾性が阻害されることがある。ゴム部材の弾性が阻害されると、像担持体が偏心していたり、像担持体表面に微小なうねりがあったりした場合、像担持体表面に当接するクリーニングブレードの長手方向で当接圧が変動し、クリーニングブレードの先端稜線部の像担持体表面への追随性が低下してしまう。連続的なベタ画像形成時など、クリーニングブレードによって、多くのトナーが堰き止められているとき、堰き止められているトナーによるクリーニングブレードへの押圧力が高くなる。そのため、クリーニングブレードの像担持体に対する当接圧が低い部分では、クリーニングブレードが当接する力よりも像担持体上のトナーによるクリーニングブレードへの押圧力が勝ると、その部分で当接状態が維持できなくなり、クリーニングブレードをトナーがすり抜けてしまう。その結果、像担持体に形成される粉体量が非常に多い連続的なベタ画像形成時等の厳しい条件では、クリーニング不良が生じてしまったと考えられる。
また、特許文献2に記載の紫外線硬化材料をゴム部材に含浸させ、紫外線照射処理をして含浸部分を形成する構成では、次のような課題がある。すなわち、先端稜線部の最表面の硬度が表面層をゴム部材の表面に設ける構成と同等となるように、含浸部分を形成しようとすると、ゴム部材の表面を覆うことが出来る程度に多量の紫外線硬化材料を含浸させる必要がある。このように多量の紫外線硬化材料を含浸させると、ゴム部材の内部に染み込んだ紫外線硬化材料の量も多くなる。多量の紫外線硬化材料が染み込んだゴム部材に紫外線を照射すると、含浸部分が過剰に硬く且つ過剰に深く形成されて、ゴム部材の弾性が阻害されることにより、先端稜線部の像担持体表面への追随性が低下する。一方、先端稜線部の像担持体表面への追随性を維持するために、ゴム部材に対する紫外線硬化材料の含浸量を少なくすると、ゴム部材の表面を紫外線硬化材料で覆い切れなくなり、先端稜線部の最表面がゴム部材の基材と紫外線硬化樹脂とが混在した状態となり、表面層を設けるものに比べて使用開始当初の先端稜線部の最表面の硬度が低くなって、クリーニングブレードと像担持体との摩擦力が大きくなる。像担持体との摩擦力が大きくなると、クリーニングブレードの先端稜線部にめくれが生じ易くなる。
また、請求項2の発明は、請求項1のクリーニングブレードにおいて、上記表面層として、上記弾性ブレードを紫外線硬化樹脂で被覆していることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のクリーニングブレードにおいて、上記表面層を形成する紫外線硬化樹脂の鉛筆硬度が7H〜9Hであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニングブレードにおいて、上記紫外線硬化樹脂が、官能基当量分子量350以下、官能基数3〜6のペンタエリスリトール・トリアクリレートを主要骨格とする材料であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニングブレードにおいて、上記紫外線硬化樹脂に、官能基当量分子量100〜1000、官能基数1乃至2のアクリレート材料を混合することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリーニングブレードにおいて、上記ウレタン基を含むゴムのJIS-A硬度が65〜77度であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、表面移動部材である像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置において、上記像担持体の表面に接触し、その表面上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング部材として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを用いることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、表面移動する潜像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、該潜像担持体を上記被清掃部材としてその表面に接触し、その表面上に付着した不要な付着物を除去するクリーニング部材を有するクリーニング手段と、該潜像担持体とを一体に支持したプロセスカートリッジにおいて、上記クリーニング部材として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを用いることを特徴とするものである。
表面層を設けることで先端稜線部のめくれを抑制でき、表面層を薄くしても経時使用時の異常摩耗及び異音の発生を抑制できるため、先端稜線部の被清掃部材表面への追随性を維持するために、硬度が高い表面層の層厚を薄くすることが可能となる。
図2は、プリンタ500を示す概略構成図である。プリンタ500は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)用の四つの作像ユニット1Y,C,M,Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
また、四つの作像ユニット1の下方に光書込ユニット40が配設されている。潜像形成手段たる光書込ユニット40は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、各作像ユニット1Y,C,M,Kの感光体3Y,C,M,Kに照射する。これにより、感光体3Y,C,M,K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット40は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー41によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,C,M,Kに照射するものである。かかる構成のものに代えて、LDEアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
図3に示すように、作像ユニット1は、像担持体としてのドラム状の感光体3を備えている。感光体3はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
感光体3の周囲には、帯電ローラ4、現像装置5、一次転写ローラ7、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10及び不図示の除電ランプ等が配置されている。帯電ローラ4は、帯電手段としての帯電装置が備える帯電部材であり、現像装置5は、感光体3の表面上に形成された潜像をトナー像化する現像手段である。一次転写ローラ7は、感光体3の表面上のトナー像を中間転写ベルト14に転写する一次転写手段としての一次転写装置が備える一次転写部材である。クリーニング装置6は、トナー像を中間転写ベルト14に転写した後の感光体3上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段である。潤滑剤塗布装置10は、クリーニング装置6がクリーニングした後の感光体3の表面上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段である。不図示の除電ランプは、クリーニング後の感光体3の表面電位を除電する除電手段である。
現像装置5は、現像剤担持体としての現像ローラ51を有している。この現像ローラ51には、図示しない電源から現像バイアスが印加されるようになっている。現像装置5のケーシング内には、ケーシング内に収容された現像剤を互いに逆方向に搬送しながら攪拌する供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53が設けられている。また、現像ローラ51に担持された現像剤を規制するためのドクタ54も設けられている。供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53の二本スクリュによって撹拌・搬送された現像剤中のトナーは、所定の極性に帯電される。そして、現像剤は、現像ローラ51の表面上に汲み上げられ、汲み上げられた現像剤は、ドクタ54により規制され、感光体3と対向する現像領域でトナーが感光体3上の潜像に付着する。
潤滑剤塗布装置10は、固形潤滑剤103や潤滑剤加圧スプリング103a等を備え、固形潤滑剤103を感光体3上に塗布する塗布ブラシとしてファーブラシ101を用いている。固形潤滑剤103は、ブラケット103bに保持され、潤滑剤加圧スプリング103aによりファーブラシ101側に加圧されている。そして、感光体3の回転方向に対して連れまわり方向に回転するファーブラシ101により固形潤滑剤103が削られて感光体3上に潤滑剤が塗布される。感光体への潤滑剤塗布により感光体3表面の摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持される。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザは照射エネルギーが高く、また600〜800[nm]の長波長光を有するため、良好に使用される。
図示しない操作部などからプリント実行の信号を受信したら、帯電ローラ4及び現像ローラ51にそれぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。同様に、光書込ユニット40及び除電ランプなどの光源にもそれぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。また、これと同期して、駆動手段としての感光体駆動モータ(不図示)により感光体3が図中矢印方向に回転駆動される。
静電潜像の形成された感光体3の表面は、現像装置5との対向部で現像ローラ51上に形成された現像剤の磁気ブラシによって摺擦される。このとき、現像ローラ51上の負帯電トナーは、現像ローラ51に印加された所定の現像バイアスによって、静電潜像側に移動し、トナー像化(現像)される。各作像ユニット1において、同様の作像プロセスが実行され、各作像ユニット1Y,C,M,Kの各感光体3Y,C,M,Kの表面上に各色のトナー像が形成される。
このように、プリンタ500では、感光体3上に形成された静電潜像は、現像装置5によって、負極性に帯電されたトナーにより反転現像される。本実施形態では、N/P(ネガポジ:電位が低い所にトナーが付着する)の非接触帯電ローラ方式を用いた例について説明したが、これに限るものではない。
中間転写ベルト14上に形成された四色トナー像は、第一給紙カセット151または第二給紙カセット152から給紙され、レジストローラ対55のローラ間を経て、二次転写ニップに給紙される転写紙Pに転写される。このとき、転写紙Pはレジストローラ対55に挟まれた状態で一旦停止し、中間転写ベルト14上の画像先端と同期を取って二次転写ニップに供給される。トナー像が転写された転写紙Pは中間転写ベルト14から分離され、定着ユニット80へ搬送される。そして、トナー像が転写された転写紙Pが定着ユニット80を通過することにより、熱と圧力の作用でトナー像が転写紙P上に定着されて、トナー像が定着された転写紙Pはプリンタ500装置外に排出され、スタック部88にスタックされる。
また、一次転写ニップで中間転写ベルト14に各色のトナー像を転写した感光体3の表面は、クリーニング装置6によって転写後の残留トナーが除去され、潤滑剤塗布装置10によって潤滑剤が塗布された後、除電ランプで除電される。
プリンタ500に用いるトナーとしては、画質向上のために、高円形化、小粒径化がし易い懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法により製造された重合トナーを用いるのが好ましい。特に、円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5[μm]以下の重合トナーを用いるのが好ましい。平均円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5[μm]のものを用いることにより、より高解像度の画像を形成することができる。
クリーニングブレード62は、金属や硬質プラスチックなどの剛性材料からなる短冊形状のホルダー621と、短冊形状の弾性ブレード622とで構成されている。弾性ブレード622は先端稜線部62cに詳細は後述する含浸処理がなされている。また、ブレード先端面62aとブレード下面62bには、ブレード長手方向にわたって表面層623が形成されている。
弾性ブレード622は、ホルダー621の一端側に接着剤などにより固定されており、ホルダー621の他端側は、クリーニング装置6のケースに片持ち支持されている。
また、弾性ブレードと622の硬度としては、25[℃]における硬度が66〜77度(JIS A)のウレタンゴムが好ましい。ウレタンゴムの硬度が77度を超えると、柔軟性に乏しくなり、例えば、ホルダー621が微小に傾いて取り付けるなどしたときに、クリーニングブレード62の軸方向一端側と他端側とで当接圧が異なる所謂偏当りしやすくなり、軸方向で均一な当接圧が得にくくなる。その結果、クリーニング性が低下するおそれがある。一方、硬度が66度未満の場合は、重合トナーでもクリーニングできるよう当接圧を高く設定したときに、クリーニングブレード62が反ってしまって、クリーニングブレード62の先端稜線部62cが浮きあがって、クリーニングブレード62のブレード下面62bが感光体3と当接する所謂腹当たり現象が生じてしまう。腹当たり現象が生じると、クリーニングブレード62と感光体3表面との当接面積が急激に増大するため、クリーニングブレード62を大きな力で押しつけても逆に当接圧は小さくなり、クリーニング性が低下してしまう。
なお、弾性ブレード622の硬さは含浸処理によるウレタンゴムそのものの改質で変化し、さらに表面層623の形成によっても影響を受けるので、各々の効果を調整することが必要である。
これにより、当接する弾性ブレード622の先端稜線部62cが感光体3表面移動方向に変形するのを抑制することができる。さらに、経時表面層摩耗によって内部が露出したときも内部への含浸作用により、同様に変形を抑制することができる。
ここでいう硬度は、例えばFischer社の微小硬度計HM−2000などを用いて測定するマルテンス硬度を用いることができる。本実施形態では、弾性ブレード622が1[N/mm2]程度であるのに対し、表面層623に用いる鉛筆硬度7〜9Hの材料をガラス基板上で硬化して測定したところ、100〜300[N/mm2]となり、100倍以上の硬さとなった。
紫外線硬化樹脂を含浸させた後、または、表面層623による被覆を行った後に、紫外線を照射することで、図1に示す含浸部分62dを形成し、先端稜線部62cの硬度上昇を図る改質効果を生じさせることができる。特許文献3に記載の弾性ブレードでは、イソシアネート化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物等の含浸をさせて改質を行っているが、本実施形態のように紫外線硬化樹脂を含浸させて紫外線を照射することで、さらに耐久性の向上を図ることができる。これは以下の理由によるものと考えられる。
もう一つの可能性として、含浸した紫外線硬化樹脂が、表面に追加された紫外線硬化樹脂に対し、いわゆる「アンカー効果」を発揮して、樹脂膜とゴムの密着性を増大させていることが考えられる。これにより紫外線硬化樹脂自体の耐久性が底上げされていると考えることもできる。
含浸させた紫外線硬化樹脂を硬化させるために紫外線を照射するタイミングとしては、弾性ブレード622に紫外線硬化樹脂を含浸させた後、表面層623を被覆する前に、紫外線を照射してもよい。弾性ブレード622の基材となるウレタンゴムに紫外線硬化樹脂を含浸させた後、一度、紫外線を照射して含浸させた紫外線硬化樹脂を硬化させた後に、表面層623を形成する樹脂で被覆する構成であれば、表面層623を形成する前にウレタンゴムに対して紫外線硬化樹脂の含浸状態を固定し、後から表面層623を形成する紫外線硬化樹脂を塗布しても、含浸状態が変化しないため、所望の含浸状態の弾性ブレード622を作成できる。
含浸操作を長時間行うなど、基材(弾性ブレード622のウレタンゴム)の内部まで充分に含浸素材(紫外線硬化樹脂)が浸透する条件で実施すれば、一種の平衡状態となり、全体は均一組成となって傾斜性をもたない状態も作り出すことは可能である。しかし、本実施形態では、含浸操作で紫外線硬化樹脂の含浸する量を抑制することで、弾性ブレード622のウレタンゴムに対する紫外線硬化樹脂の含有量に傾斜性を持たせている。
ここで、弾性ブレード622の基材に紫外線硬化樹脂を含浸させず、この基材よりも硬度の硬い表面層623のみを備える構成について説明する。表面層623を設けて摩擦係数を低減させても、経時で表面層623は摩耗し減少する。このとき、長期使用に耐え得るように、表面層623を厚くすると、弾性ブレード622の先端稜線部62cにおける弾性変形を阻害して、クリーニング不良となるおそれがある。一方、弾性ブレード622の先端稜線部62cにおける弾性変形を阻害しないように、表面層623を薄くすると、短時間で基材が露出する程度に表面層623が摩耗する。硬度の低い基材が露出して感光体3の表面に直接接触すると、クリーニングブレード62と感光体3表面との摩擦係数が大きくなり、異常摩耗や異音が発生する。
また、弾性ブレード622の基材に硬度の高い表面層623のみを設けると、高硬度層と基材層との境目で硬度が急激に変化して応力が集中し、弾性ブレード622が破損するおそれがある。これに対して、弾性ブレード622の基材に含有量に傾斜性を生じさせることで、高硬度層と基材層との境目で硬度が急激に変化することを抑制し、応力集中に起因して弾性ブレード622が破損することを防止できる。
このため、弾性ブレード622のブレード下面62bの全面に弾性ブレード622よりも硬度が高い表面層623を形成すると、ブレード下面62bに形成した表面層623が、弾性ブレード622の先端稜線部62cの感光体表面への弾性変形を阻害してしまい、先端稜線部62cにおいて感光体3表面への当接圧を高める向きに働く弾性変形に対する復元力がほとんど得られなくなってしまう。その結果、先端稜線部62cが感光体3の偏心や微小なうねりに対して追随できなくなってしまう。従って、感光体3に対する当接圧が変動してしまい、連続的なベタ画像形成時等、先端稜線部62cに堰きとめたトナーから大きな押圧力を受けるなどの厳しい条件において、当接圧が低下したときに、トナーがクリーニングブレード62からすり抜けてクリーニング不良を生じるおそれがある。
このような問題に対して、弾性ブレード622のブレード下面62bに表面層623を形成しないことも考えられる。しかし、ブレード下面62bに表面層623を形成しなかった場合は、弾性ブレード622の先端稜線部62cが感光体3の表面移動方向へ大きく弾性変形して、先端稜線部62cがめくれてしまい、めくれ摩耗が生じるおそれがある。
また表面層623の材料として、上記ペンタエリスリトール・トリアクリレート骨格材料の他、官能基当量分子量100〜1000、官能基数1乃至2のアクリレート材料を適宜混合することが好ましい。これにより表面層623に可撓性を付与することが可能であり、クリーニングブレード62を搭載するマシンの特性に合わせて表面層623の性質をカスタマイズすることが可能となる。よって、特定環境での異音が発生した時などにブレード挙動を微調整するなど、環境特性等を向上させることも可能となる。
弾性ブレード622の材質、表面層623の材質、含浸処理方法、ブレード下面62bにおける表面層623の形成をそれぞれ変化させて、耐久試験を行った。
[弾性ブレード]
弾性ブレード622としては、25[℃]における物性が以下の物性となっている5つのウレタンゴムを用意した。
ウレタンゴム1:硬度66度、反発弾性率46[%](バンドー化学製)
ウレタンゴム2:硬度70度、反発弾性率50[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴム3:硬度72度、反発弾性率31[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴム4:硬度75度、反発弾性率21[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴム5:硬度77度、反発弾性率19[%](シンジーテック製)
ウレタンゴムの硬度は、島津製作所製デュロメーターを用い、JIS K6253に準じて測定した。試料は厚さ12[mm]以上となるように約2[mm]のシートを重ね合わせたものとした。
ウレタンゴムの反発弾性は、東洋精機製作所製No.221レジリエンステスタを用い、JIS K6255に準じて測定した。試料は厚さ4[mm]以上となるように約2[mm]のシートを重ね合わせたものとした。
含浸処理や表面層623の形成処理に用いる硬化材料としては、以下の硬化材料1〜7のものを用いた。
<硬化材料1>
紫外線硬化樹脂 :ダイセル・サイテック社 PETIA 10部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :2−ブタノン 89部
<硬化材料2>
紫外線硬化樹脂1:ダイセル・サイテック社 PETIA 9部
紫外線硬化樹脂2:ダイセル・サイテック社 HDDA 1部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :2−ブタノン 89部
<硬化材料3>
紫外線硬化樹脂1:ダイセル・サイテック社 PETIA 7部
紫外線硬化樹脂2:ダイセル・サイテック社 ODA-N 3部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :2−ブタノン 89部
<硬化材料4>
紫外線硬化樹脂1:ダイセル・サイテック社 PETIA 2部
紫外線硬化樹脂2:根上工業 UN−2700 8部
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒 :2−ブタノン 89部
<硬化材料5>
紫外線硬化樹脂:ダイセル・サイテック社 DPHA 10部
重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒:2−ブタノン 89部
<硬化材料6>
紫外線硬化樹脂:日本化薬 DPCA−120 10部
重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒:2−ブタノン 89部
<硬化材料7>
紫外線硬化樹脂1:根上工業 UN−904 3部
紫外線硬化樹脂2:根上工業 UN−2700 7部
重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒:2−ブタノン 89部
上記ウレタンゴム1〜3のいずれかを用いて厚さ1.8[mm]の短冊形状の弾性ブレードを作成し、この弾性ブレードを含浸材料として上記硬化材料1〜7のいずれかに所定時間(30[秒])浸漬したのち、3分間風乾する。さらにスプレー塗工法により上記硬化材料1〜7のいずれかからなる表面層623を形成した。具体的には、適宜含浸処理を行った各々のウレタンゴムからなる弾性ブレードに対し、まずスプレー塗工によりブレード先端面から10[mm/s]のスプレーガン移動速度にて所定の層厚になるように先端面全面に重ね塗りを行った。3分間指触乾燥後、ブレード下面にスプレー塗工により塗工した。その後さらに3分間指触乾燥を行い、紫外線露光(140[W/cm]×5[m/min]×5パス)を行った。
トナー母体:円形度0.98、平均粒径4.9[μm]
外添剤 :小粒径シリカ1.5部(クラリアント製H2000)
小粒径酸化チタン0.5部(テイカ製MT−150AI)
大粒径シリカ1.0部(電気化学工業製UFP−30H)
検証実験は、実験室環境:21[℃]・65[%RH]、通紙条件:画像面積率5%チャートを3プリント/ジョブで、50,000枚(A4横)で行った。そして、以下の項目を評価した。
クリーニング不良発生:有無(目視観察)
評価時画像:縦帯パターン(紙進行方向に対して)43[mm]幅、3本チャート
出力20枚(A4横)
ブレードエッジ摩耗幅:図6に示すようにブレード先端面側からみた摩耗幅
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム1
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料1
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム2
含浸材料 :硬化材料2
表面層材料:硬化材料2
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料3
表面層材料:硬化材料3
表面層鉛筆硬度:8H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料4
表面層材料:硬化材料4
表面層鉛筆硬度:7H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム4
含浸材料 :硬化材料5
表面層材料:硬化材料5
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム5
含浸材料 :硬化材料6
表面層材料:硬化材料6
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム2
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料2
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム2
含浸材料 :硬化材料2
表面層材料:硬化材料3
表面層鉛筆硬度:8H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料1
表面層材料:硬化材料5
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料2
表面層材料:硬化材料1
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:5[μm]
クリーニング不良発生:なし
異音発生:なし
<比較例1>
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :なし
表面層材料:なし
ブレードエッジ摩耗幅:40[μm]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が3箇所
異音発生:なし
先端面エグレ摩耗発生
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :なし
表面層材料:硬化材料1
表面層鉛筆硬度:9H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:20[μm]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が2箇所
異音発生:なし
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料7
表面層材料:硬化材料7
表面層鉛筆硬度:6H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:1[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:200[μm]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が15箇所
異音発生:ビビリ音
ベースウレタンゴム:ウレタンゴム3
含浸材料 :硬化材料7
表面層材料:硬化材料7
表面層鉛筆硬度:6H
エッジ部より50[μm]での表面層厚:5[μm]
ブレードエッジ摩耗幅:200[μm]
クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良が7箇所
異音発生:ビビリ音
実施例1〜実施例6においては、含浸処理による硬度上昇を図り、先端稜線部62cの改質処理がなされている。さらに、潤滑剤塗布装置10による潤滑剤塗布により感光体3表面の摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持されている。このため、ブレード先端面62aに表面層623を設けた構成において、経時的な異音発生を回避することができたと考えられる。さらに、感光体3と先端稜線部62cとの間で生じる摩擦力を低減することができ、先端稜線部62cのめくれを抑制することができるとともに、弾性ブレード622の摩耗も抑制することができたと考えられる。表面層623は感光体3との接触部近傍の弾性体部分を補強する効果を有しており、それにより先端稜線部62cの運動を適度に制御することができ、異音発生を生じることなく、めくれを抑制できたと考えられる。
また、比較例2においては、含浸改質処理を行なっていないため、局所的な応力集中による表面層の部分的な破壊が起き、トナーすり抜けによるクリーニング不良が発生したと考えられる。
比較例3においては、表面層の鉛筆硬度が低いため、感光体との摺動においてブレードの挙動が大きくなることから、不快なビビリ音が発生すると共に、めくれの発生が抑えられず摩耗が大きくなったと考えられる。
比較例4においては、表面層の膜厚が5[μm]と厚く、感光体の摺動においてブレードの挙動が抑えられすぎたため、局所的な応力集中により振動エネルギーが発散されず、不快なビビリ音が発生し、かつ摩耗速度が大きくなったと考えられる。
なお、比較例3と比較例4とではブレード挙動の種類が異なり、比較例3のビビリ音は低音領域であり、比較例4のビビリ音は高音領域であった。
また、本実施形態では、本発明の特徴部を有するクリーニングブレード62を被清掃部材が感光体3であるクリーニング装置6に適用した構成について説明したが、被清掃部材としては感光体3に限るものではない。例えば、被清掃部材が中間転写ベルト14であるベルトクリーニングユニット162のベルトクリーニングブレード162aとしても本発明のクリーニングブレードを適用可能である。
3 感光体
6 クリーニング装置
10 潤滑剤塗布装置
14 中間転写ベルト
60 転写ユニット
62 クリーニングブレード
62a ブレード先端面
62b ブレード下面
62c 先端稜線部
62d 含浸部分
80 定着ユニット
101 ファーブラシ
103 固形潤滑剤
162 ベルトクリーニングユニット
162a ベルトクリーニングブレード
500 プリンタ
621 ホルダー
622 弾性ブレード
623 表面層
Claims (8)
- 短冊形状の弾性ブレードで構成され、該弾性ブレードの先端稜線部を表面移動する被清掃部材の表面に当接して、該被清掃部材表面から粉体を除去するクリーニングブレードにおいて、
上記弾性ブレードの上記先端稜線部を含む部分に含浸された紫外線硬化樹脂の紫外線硬化物を有し、且つ、該先端稜線部を含む該弾性ブレードの表面に該弾性ブレードよりも硬い表面層を設け、且つ、該表面層の膜厚が1[μm]以下であり、
上記弾性ブレードとして、ウレタン基を含むゴムを用い、
上記弾性ブレードに対する上記紫外線硬化樹脂の最大含浸深さが10[μm]以上、30[μm]以下であることを特徴とするクリーニングブレード。 - 請求項1のクリーニングブレードにおいて、
上記表面層として、上記弾性ブレードを紫外線硬化樹脂で被覆していることを特徴とするクリーニングブレード。 - 請求項2のクリーニングブレードにおいて、
上記表面層を形成する紫外線硬化樹脂の鉛筆硬度が7H〜9Hであることを特徴とするクリーニングブレード。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニングブレードにおいて、
上記紫外線硬化樹脂が、官能基当量分子量350以下、官能基数3〜6のペンタエリスリトール・トリアクリレートを主要骨格とする材料であることを特徴とするクリーニングブレード。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニングブレードにおいて、
上記紫外線硬化樹脂に、官能基当量分子量100〜1000、官能基数1乃至2のアクリレート材料を混合することを特徴とするクリーニングブレード。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリーニングブレードにおいて、
上記ウレタン基を含むゴムのJIS-A硬度が65〜77度であることを特徴とするクリーニングブレード。 - 表面移動部材である像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置において、
上記像担持体の表面に接触し、その表面上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング部材として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを用いることを特徴とする画像形成装置。 - 表面移動する潜像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、
該潜像担持体を上記被清掃部材としてその表面に接触し、その表面上に付着した不要な付着物を除去するクリーニング部材を有するクリーニング手段と、該潜像担持体とを一体に支持したプロセスカートリッジにおいて、
上記クリーニング部材として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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