JP6163427B2 - 粉末褐藻およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、粉末褐藻に関する。本発明は、また、粉末褐藻を用いた沈殿防止剤および前記沈殿防止剤を用いた沈殿粒子含有液および沈殿防止方法ならびに粉末褐藻を用いた食品改良剤(特に、小麦粉食品改良剤および食品の増粘ゲル化改良剤)および前記食品改良剤を用いた食品および食品の製造方法にも関する。
古くから食されてきた海藻類は、それ自体を調理したり加工したりして喫食するばかりではなく、海藻以外の食品に追加的に添加して利用されてきた。例えば、海藻を乾燥したり加工したりして粉末海藻とし、これを「ふりかけ」「味噌汁」「スープ」「調味料」「天ぷら」「ジュース」に入れたり「麺」「パン」「スナック菓子」に練りこんだりして喫食されることがしばしばある。この場合、粉末海藻は、それら食品に、海藻の好ましい風味や独特の色調を付与したり、あるいは、海藻に含まれる豊富なミネラル分、食物繊維および機能性成分(フコイダンなど)を追加したりするために使用されることが多い。
近年では、このような粉末海藻を増粘安定や食感改良の目的で海藻以外の食品に使用する技術が提案されている。例えば、「麺」の食感を改良したり(特許文献1および2)「春雨」のコシを改善したり(特許文献3)、「パン」の食感を改良したり(特許文献1および4)、「ドレッシング様食品」や「調味料」などに粘性を付与したり(特許文献5および6)、「ハンバーグ」、「みたらしだんご」、「ババロア」、「アイスクリーム」などの食感を改良したり(特許文献7)する技術が挙げられる。
また、海藻に含まれる豊富なミネラル分、食物繊維および機能性成分(フコイダンなど)を付与する目的で、海藻を海藻以外の食品や化粧品に使用する場合も、海藻の風味や色調までもが付与されることが好ましくない場合が多いといえる。そのため、海藻や海藻からの抽出物について、それらを別のものに使用するために、その臭いや色を少しでも低減しようとする技術が、食品用および化粧品用に関わらず提案されている。食品用では、例えば、フノリ原藻を水洗し、漂白、乾燥して得られたフノリ乾燥物を主体とした食品添加用フノリ(特許文献7)、藻類原料を特定の温度で一定時間加熱する加熱工程と、特定温度の冷水または温水でフコイダンを抽出する抽出工程とを有することを特徴とする、フコイダン抽出物の製造方法(特許文献8)などが挙げられる。化粧品用では、海藻抽出物を活性炭処理および陽イオン交換吸着処理することを特徴とする海藻抽出物の精製方法などが挙げられる(特許文献9)。
また、海藻自体を喫食することを目的としながらも、より食べやすく、より多くの人から好まれるよう海藻の臭いを低減しようとする技術が提案されている。例えば、わかめをアルカリ金属塩および酒粕と接触処理することにより海藻臭を減らした「わかめ粉末」(特許文献10)、海藻類を茶抽出物と接触させ、ついで海藻類と茶抽出物を分離して海藻を得る「海藻類の脱臭方法」(特許文献11)、食用海藻を10%〜54%の含水エタノールで洗浄して得られる「低塩・低臭のワカメ・コンブ・ヒジキ・アラメ・モズクなどの海藻」(特許文献12)などが挙げられる。
一方、様々な食品を少しでも「美味しく」、「安価に」または「簡便に利用できるよう」改良して消費者に提供するための様々な技術が提案され、実用化されているものも多数ある。そのような食品を改良する技術の中でも、比較的安価で簡単に利用でき、目的によって使い分けが簡単にできるものとして、食品添加物が幅広く利用されている。食品添加物を食品に応用することにより、食品を、より「美味しく」、「安く」は「簡便に利用できるよう」改良することは、消費者にとって大きなメリットとなり、そのような観点から、様々な食品添加物の食品への応用研究が行われている。
しかしながら、近年安全な食品への関心の高まりから、消費者によっては、食品添加物(天然物由来で使用実績があるという理由で認可されている添加物の「既存添加物」と、化学的合成品の添加物で認可されている「指定添加物」に2分できる)の使用およびそれを使用した食品を好ましく思わない場合がある。
例えば、小麦は、世界中で広く食されており、小麦から得られる小麦粉自体を直接料理の材料とするほか、パン類・麺類・菓子類・ミックス粉類・中華まん類等の小麦粉を使用または加工した食品(小麦粉食品)として消費されている。小麦粉食品は、いたるところで見かけることができ、その需要が大変大きいのは明らかである。現在小麦粉食品に食品添加物として利用されているものとしては、微結晶セルロース、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸エステル、カラギーナン、カードラン、グアーガム、キサンタンガム等が挙げられる。
また、別の例として、食品またはその一部を増粘ゲル化することで、食品の食感等を改良する試みが広く行われている。増粘ゲル化により改良され得る食品は様々であり、ゼリーやプリン等のゲル状食品のみならず、例えば、チーズ等の乳製品、ソーセージ等の畜肉製品等も、製造の過程でその一部を増粘ゲル化することで食感等が改良される食品として知られている。増粘ゲル化に寄与する食品添加物として利用されているものとしては、微結晶セルロース、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸エステル、カラギーナン、カードラン、グアーガム、キサンタンガム等が挙げられる。
そのような食品添加物を使用しない食品は、食品添加物の利点が活かされていない分、値段が高価、味・匂い・香り・見た目・色・食感が悪い、味・匂い・香り・見た目・色・食感等の経時変化が大きい、加工しにくい等という大きな問題を抱えている。従って、そのような食品添加物を使用しない食品は、食品として提供できる原材料の種類(例えば小麦粉食品であれば、小麦の品種等)、食品の種類、提供場所、提供時期、提供方法および製造方法等が大幅に限定されてしまうという問題も抱えているといえる。
このような問題を解決するため、「食品添加物」の代わりに、類似の効果がある「食品」を改良剤として食品に使用する技術が提案されている。その中でも「海藻」を使用して食品を改良しようとする試みとしては、例えば小麦粉食品について:フノリを水等でゾル化したり洗浄したりしたものを乾燥させこれを「パン」に入れて食感を改良する技術(特許文献1および4参照);フノリ原藻を水洗し、漂白、乾燥して得られたフノリ乾燥物をデキストリンと混合し、食パンに配合して、生地のキメ、甘みおよび日持ちをよくする技術(特許文献7参照);ならびにフノリを水等でゾル化して乾燥させたもの(特許文献1参照)、キリンサイをそのまま粉砕した粉末(特許文献13参照)、ワカメをそのまま粉砕した粉末およびペースト(特許文献14参照)、ワカメおよびカジメをそのまま粉砕した粉末(特許文献15参照)またはコンブをそのまま粉砕した粉末(特許文献16参照)を「麺」に入れて食感を改良する技術;等が提案されている。
また、「海藻」を使用して増粘ゲル化等により食品を改良しようとする試みとしては、例えば:海藻を微生物学的方法で分解して得られた、飲食品への利用が可能な、均一で、懸濁性/浮遊性に優れた「海藻分解物」(例えば、特許文献17〜18参照);オゴノリから熱水抽出して得られた多糖体を、ドレッシング類や乳製品等に添加し、食感を改良する技術(例えば、特許文献19参照);昆布に含まれるアルギン酸による食肉同士の結着効果および出汁による風味向上効果を得るために、昆布を水で戻した出汁を含むピックル液に、昆布を混入した端肉を漬け込む技術(例えば、特許文献20参照);乾燥状態の海藻を炭酸ナトリウムまたは消石灰処理後、超微粉砕機で粉砕し、ソーセージに添加してゲル強度や食感を向上させる技術(例えば、特許文献21参照);水で膨潤させた海藻類に縮合リン酸塩を添加し、撹拌して得られたペーストに、有機酸、カルシウム塩または乳成分を添加して食用ゲルを得る技術(例えば、特許文献22参照);海藻浸漬液を酵素処理後、カルシウムイオン溶液によってゲル状に凝固させる技術(例えば、特許文献23参照);寒天含有海藻の溶出成分とアルギン酸含有海藻の溶出成分からツバメの巣様の食品を作る技術(例えば、特許文献24参照)等が提案されている。
特開2009−225665号公報 特開2007−104959号公報 特開2008−271954号公報 特開2009−082034号公報 特開2001−352937号公報 特開2007−300816号公報 特開平08−000228号公報 特開2005−225924号公報 特開2005−145983号公報 特開2010−110263号公報 特開2005−287313号公報 特開平11−169137号公報 特開2010−178713号公報 特開2005−095078号公報 特開平06−284873号公報 特開2001−238623号公報 特開2008−154538号公報 特開2008−187948号公報 特開2002−212201号公報 特開2003−304835号公報 特開2007−268515号公報 特開平09−271331号公報 特開平10−004930号公報 特開平05−336932号公報
以上のとおり、海藻のミネラル、食物繊維および機能性成分を付与する目的、ならびに海藻自体を喫食することを目的として、様々な海藻処理物が製造されているが、幅広い様々な食品および化粧品等にも使用しやすいさらに新しい海藻処理物が求められていた。また、海藻による増粘や食感改良の目的で様々な海藻処理物が製造されているが、より効果の高い沈殿防止剤および食品改良剤が求められていた。
また、海藻の一成分ではなく、粉末海藻自体を、沈殿防止目的で用いようとすることは、これまで全く試みられていなかった。
以上のような背景のもと、本発明は、幅広く様々な食品および化粧品等に安全に使用することが可能な海藻由来の新規材料の提供を目的とする。本発明は、また、従来の食品添加物を代替することができ、高い効果を有する、新規な沈殿防止剤および食品改良剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、この課題を解決すべく鋭意研究した結果、褐藻を粉砕し、特定の溶液で洗浄後、脱水して乾燥することにより、海藻由来の新規食品材料として安全に利用可能な粉末褐藻が得られることを見出した。本発明者らは、さらに研究を重ねた結果、この粉末褐藻は、水溶性アルギン分に対する不溶性成分の含有量が低いという特徴を有し、未処理では沈殿する粒子を含有する対象溶液にこの粉末褐藻を添加すると、単に褐藻を乾燥粉末にして得られる粉末褐藻と比較して顕著な沈殿防止作用が得られることを見出し、しかも、対象溶液の粘度を大幅に高めずに、該沈殿防止作用が得られることを見出した。
さらに本発明者らは、この粉末褐藻を用いることにより、様々な食品の食感、テクスチャー、体積、嗜好性等を、従来用いられている食品添加物と比較してもより好ましく改良できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のものに関する。
[1]
水溶性アルギン分および不溶性成分を含み、
水溶性アルギン分:不溶性成分の重量比が1:0.05〜1:4である、粉末褐藻。
[2]
不溶性成分の含有量が5〜35重量%である、[1]に記載の粉末褐藻。
[3]
水溶性アルギン分の含有量が10〜70重量%である、[1]または[2]に記載の粉末褐藻。
[4]
水溶性アルギン分:不溶性成分の重量比が1:0.05〜1:1.5である、[1]〜[3]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[5]
色の明度を表すL値が45以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[6]
色の明度を表すL値が70以上である、[5]に記載の粉末褐藻。
[7]
色の明度を表すL値が72以上である、[5]に記載の粉末褐藻。
[8]
褐藻を粉砕、洗浄および乾燥して得られる、[1]〜[7]のいずれかに記載の粉末褐藻であって、
前記洗浄が、水、アルコール、脱色剤およびアルカリを含む洗浄溶液による洗浄である、粉末褐藻。
[9]
褐藻が、コンブ目レッソニア科またはコンブ目コンブ科に属する褐藻である、[8]に記載の粉末褐藻。
[10]
[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻を含む沈殿防止剤。
[11]
褐藻を粉砕、洗浄および乾燥して得られる粉末褐藻を含む沈殿防止剤であって、前記洗浄が、水、アルコール、脱色剤およびアルカリを含む洗浄溶液による洗浄である、沈殿防止剤。
[12]
[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻を0.01重量%〜5.0重量%含み、粘度が100mPa・s以下である、沈殿防止された沈殿粒子含有液。
[13]
タンパク質含有飲料である、[12]に記載の沈殿粒子含有液。
[14]
[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻を沈殿粒子含有液に添加する工程を含む沈殿防止方法。
[15]
[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻を含む食品改良剤。
[16]
小麦粉食品改良剤または食品の増粘ゲル化改良剤である、[15]に記載の食品改良剤。
[17]
[15]に記載の食品改良剤を配合した食品であって、前記粉末褐藻を0.01〜20.0重量%含む食品。
[18]
小麦粉食品、乳製品、畜肉製品またはゲル化食品である、[17]に記載の食品。
[19]
パン類、麺類、小麦菓子類、小麦ミックス粉類または中華まん類である、[17]に記載の食品。
[20]
アイスクリーム類、シャーベット類、チーズ類、ヨーグルト類、ソーセージ類、ハンバーグ類、ミートボール類、練り肉類、練り魚類、ゼリー類、プリン類またはデザート類である、[17]に記載の食品。
[21]
[15]に記載の食品改良剤を食品に配合する工程を含む、食品の製造方法。
本発明はまた、以下の粉末褐藻、沈殿防止剤および沈殿粒子含有液にも関する。
[22]
水溶性アルギン分:不溶性成分の重量比が1:0.05〜1:1.1である、[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[23]
不溶性成分の含有量が5〜30重量%である、[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[24]
不溶性成分の含有量が10〜30重量%である、[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[25]
水溶性アルギン分の含有量が30〜60重量%である、[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[26]
水溶性アルギン分の含有量が40〜60重量%である、[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[27]
色の明度を表すL値が75以上である、[5]に記載の粉末褐藻。
[28]
褐藻が、コンブ目コンブ科、コンブ目レッソニア科またはヒバマタ目ダービリア科に属する褐藻である、[1]〜[8]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[29]
褐藻が、コンブ目に属する褐藻である、[1]〜[8]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[30]
褐藻が、コンブ目コンブ科またはコンブ目レッソニア科に属する褐藻である、[1]〜[8]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[31]
タンパク質を含み、タンパク質の含有量が15重量%以下である、[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[32]
1重量%分散液の粘度が0.1〜100(mPa・s)である、[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[33]
メッシュサイズ0.05mm〜0.50mmの篩いを通過する平均粒子径を有する、[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[34]
メッシュサイズ0.10mm〜0.25mmの篩いを通過する平均粒子径を有する、[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[35]
メッシュサイズ0.10mm〜0.15mmの篩いを通過する平均粒子径を有する、[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[36]
海藻臭の低減された、[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻。
[37]
アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびn−プロパノールからなる群から選択される、[8]に記載の粉末褐藻。
[38]
脱色剤が、次亜塩素酸ナトリウムである、[8]に記載の粉末褐藻。
[39]
アルカリが、炭酸ナトリウムである、[8]に記載の粉末褐藻。
[40]
[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻からなる沈殿防止剤。
[41]
飲料、食品、化粧品または医薬品である、[12]に記載の沈殿粒子含有液。
[42]
タンパク質含有飲料、粉末配合茶飲料、野菜汁、果汁および食物繊維から選択される沈殿成分入り飲料、ゼリー入り飲料、ドレッシングまたはソースである、[13]に記載の沈殿粒子含有液。
本発明は、また、以下の小麦粉食品改良剤、小麦粉食品および小麦粉食品の製造方法にも関する。
[43]
[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻を含む、小麦粉食品改良剤。
[44]
[43]に記載の小麦粉食品改良剤を配合した小麦粉食品であって、前記粉末褐藻を粉体原料に対して0.01〜20.0重量%含む小麦粉食品。
[45]
[43]に記載の小麦粉食品改良剤を配合した小麦粉食品であって、前記粉末褐藻を小麦粉に対して0.01〜50.0重量%含む小麦粉食品。
[46]
[43]に記載の小麦粉食品改良剤を小麦粉に配合する工程を含む、小麦粉食品の製造方法であって、配合工程後、小麦粉食品改良剤を配合した小麦粉を加熱する工程をさらに含む方法。
本発明は、また、以下の、食品の増粘ゲル化改良剤、食品および食品の製造方法にも関する。
[47]
[1]〜[9]のいずれかに記載の粉末褐藻を含む、食品の増粘ゲル化改良剤。
[48]
増粘剤、ゲル化剤、安定剤、糊料、食感改良剤、物性改良剤、保形性改良剤、保水性改良剤、体積制御剤、乳化制御剤、離水防止剤、ホエイオフ防止剤等、耐熱剤、ヒートショック耐性付与剤、凝固剤、コーティング剤、軟化剤、分散剤、浸透剤、気泡量制御剤、剥離剤、離型剤、オーバーラン制御剤、弾力改良剤、歩留まり向上剤またはフィルム形成剤である、[47]に記載の食品の増粘ゲル化改良剤。
[49]
[47]に記載の食品の増粘ゲル化改良剤を配合した食品であって、前記粉末褐藻を食品原料中の水に対して0.01〜50.0重量%含む食品。
[50]
[17]に記載の食品であって、さらにカルシウムを含むゲル化食品。
[51]
[47]に記載の食品の増粘ゲル化改良剤を食品に配合する工程を含む、食品の製造方法であって、食品がゲル化食品であり、カルシウムを含む原料を食品に配合する工程をさらに含む方法。
本発明により、幅広く様々な食品および化粧品等に安全に使用することが可能な海藻由来の新規材料として、新規な粉末褐藻を提供することができる。また、本発明によれば、未処理では沈殿する粒子を含有する溶液を大幅に増粘することなく、優れた沈殿防止作用を発揮し、安全性も高い沈殿防止剤を提供することができるため、例えば、乳化された溶液および/または粉末を含有する溶液である、飲料、食品、化粧水、洗剤、医薬品等、様々な分野における製品の沈殿防止が可能である。
発明の実施の形態
以下において、本発明を詳細に説明する。以下の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本発明は、粉末褐藻ならびに該粉末褐藻を含む沈殿防止剤および食品改良剤に関する。
本発明の粉末褐藻は、褐藻由来の粉末であって、原料褐藻から特定の成分を抽出して得られる抽出物とは異なる。本発明の粉末褐藻は、褐藻に含まれる成分の大半を保持しているが、褐藻由来の一部の成分を含まないものであってもよく、褐藻由来の一部の成分が他の成分に変化したものであってもよい。例えば、後述の製造例1等の製法で得られる本発明の粉末褐藻は、洗浄工程において褐藻由来の一部の成分が失われ、褐藻由来の一部の成分が他の成分に変化しているものの、褐藻に含まれる成分の大半を保持している。
本発明の粉末褐藻の原料となる褐藻としては、例えば、シオミドロ目、イソガワラ目、ナガマツモ目、カヤモノリ目、ウイキョウモ目、ムチモ目、クロガシラ目、ウルシグサ目、ケウヤリ目、コンブ目、アミジグサ目、ヒバマタ目等の褐藻綱に属する褐藻が挙げられる。
入手容易性の観点から、また、本発明の粉末褐藻を沈殿防止剤または食品改良剤として用いる場合、それらの効果を十分に発揮するという観点から、上記のうち、好ましくは、ナガマツモ目(モヅク科、フトモヅク科等)、コンブ目またはヒバマタ目(ヒバマタ科、ヒジキ科、ホンダワラ科等)に属する褐藻を用いることができる。原料となる褐藻は、より好ましくは、コンブ目に属する褐藻(アナメ科、チガイソ科、アイヌワカメ科、ネコアシコンブ科、ツルモ科、スジメ科、ミスジコンブ科、カジメ科、アントクメ科、アラメ科、クロシオメ科、トロロコンブ科、コンブ科、ニセツルモ科、ワカメ科、レッソニア科等)またはヒバマタ目に属する褐藻(ヒバマタ科、ヒジキ科、ホンダワラ科、ダービリア科等)であり、さらに好ましくは、コンブ目コンブ科、コンブ目レッソニア科、コンブ目チガイソ科またはヒバマタ目ダービリア科に属する褐藻であり、さらにより好ましくはコンブ目コンブ科またはコンブ目レッソニア科に属する褐藻であり、特に好ましくは、コンブ目レッソニア科に属する褐藻である。例えば、原料となる褐藻として、レッソニア科に属するレッソニア・ニグレッセンス、コンブ科に属するマクロシスティス・ピリフェラまたはマコンブ、チガイソ科に属するワカメあるいはダービリア科に属するダービリア・アンタクティカを用いることができる。
本発明の粉末褐藻の平均粒子径は、特に限定されず、使用用途に応じ2mmのメッシュパス程度の顆粒であっても、0.02mmのメッシュパス以下であってもよいが、通過する篩いのメッシュサイズとして好ましくは0.05mm〜0.50mm、より好ましくは0.10mm〜0.25mm、例えば0.10mm〜0.15mmである。例えば、本発明の粉末褐藻を含む沈殿防止剤または食品改良剤を粉末形態で用いる場合、粒子径が小さくなるにつれ、沈殿防止剤または食品改良剤としての効果が高まる傾向があるが、粒子径が小さすぎると粒子同士が凝集して沈殿防止剤または食品改良剤としての効果が落ちる場合がある。なお、沈殿防止剤または食品改良剤を、水等の溶液に分散後に使用する場合、粉末褐藻の粒子径は、均一な分散液が得られる限り、特に限定されない。上記の所望の平均粒子径を有する粉末褐藻は、所望のメッシュサイズの篩いにかけることで得ることができる。
本発明の粉末褐藻は、原料褐藻中の特定の成分を抽出精製して得られる抽出物とは異なる組成を有する。また、単に褐藻を、そのまま、水等でペーストにした後、水等でゾル化した後、または洗浄して干した後、乾燥させて得られる褐藻粉末等とも異なる組成を有する。
一態様において、本発明の粉末褐藻は、下記にそれぞれ詳述する水溶性アルギン分および不溶性成分を、特定の重量比で含む。本発明の粉末褐藻における水溶性アルギン分:不溶性成分の重量比は、1:0.05〜1:4であり、本発明の粉末褐藻を沈殿防止剤または食品改良剤として用いる場合、それらの効果を十分に発揮するという観点から、好ましくは1:0.05〜1:1.5であり、より好ましくは1:0.05〜1:1.1であり、さらに好ましくは1:0.05〜1:0.75である。
一態様において、本発明の粉末褐藻の特徴的な組成は、原料として用いる褐藻の種類によっても異なるが、例えば、特に、粉末褐藻中の水溶性アルギン分を測定することで確認することができる。本明細書において、水溶性アルギン分とは、水溶性アルギン酸塩(ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)をナトリウム塩換算したものをいう。
本発明の粉末褐藻の水溶性アルギン分は、粉末褐藻を沈殿防止剤または食品改良剤として用いる場合、それらの効果を十分に発揮するという観点から、上述の水溶性アルギン分:不溶性成分の重量比を満たす範囲において、好ましくは10〜80重量%であり、より好ましくは10〜70重量%であり、さらに好ましくは30〜60重量%であり、特に好ましくは40〜60重量%である。水溶性アルギン分は、後述の実施例2に記載の手法を用いて測定することができる。
一態様において、本発明の粉末褐藻の特徴的な組成は、原料として用いる褐藻の種類によっても異なるが、例えば、特に、粉末褐藻中の不溶性成分を測定することで確認することができる。本明細書において、不溶性成分とは、粉末褐藻中に含まれる成分のうち、灰分、タンパク質、脂質、水分および水溶性アルギン分を除去した成分をいい、より詳細には、水溶性成分である水分、水溶性アルギン分、水溶性灰分および水溶性タンパク質ならびに水不溶性成分である水不溶性灰分、水不溶性タンパク質および脂質を除去した成分をいう。粉末褐藻中の不溶性成分の含有量は、後述の実施例2に記載の手法を用いて、粉末褐藻の重量から灰分、タンパク質、脂質、水分および水溶性アルギン分の含有量を差し引くことで算出することができる。一態様において、この不溶性成分の主成分は、不溶性食物繊維(特にセルロースおよびヘミセルロース)である。
本発明の粉末褐藻の不溶性成分は、粉末褐藻を沈殿防止剤または食品改良剤として用いる場合、それらの効果を十分に発揮するという観点から、上述の水溶性アルギン分:不溶性成分の重量比を満たす範囲において、好ましくは80重量%以下であり、より好ましくは5〜35重量%であり、さらに好ましくは5〜30重量%である。
一態様において、このような本発明の粉末褐藻の特徴的な組成は、原料として用いる褐藻の種類によっても異なるが、例えば、特に、粉末褐藻中のタンパク質の量を測定することで確認することができる。本発明の粉末褐藻中のタンパク質は、好ましくは15重量%以下であり、より好ましくは10.5重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは2重量%以下である。タンパク質は、後述の実施例2に記載の手法を用いて測定することができる。
一態様において、本発明の粉末褐藻の特徴的な組成は、分散液を作成後、カルシウムによるゲル化が起こるかを確認することでも判断することができる。カルシウムによるゲル化する代表的な成分はアルギン酸ナトリウムである。ゲル化の有無は、後述の実施例2に記載の手法を用いて測定することができる。このような特徴を有する本発明の粉末褐藻は、各種溶液のゲル化剤として用いることも可能である。
一態様において、本発明の粉末褐藻は、粉末褐藻または粉末褐藻を含む沈殿防止剤を他の飲食品、化粧品、日用品、医薬品等に添加した場合に各製品の色に影響を及ぼさないという点から、また、粉末褐藻を含む食品改良剤を配合した場合に食品の色に影響を及ぼさないという点から、海藻色が低減されていることが好ましい。海藻色の低減の程度は、粉末褐藻の粉体のL値を測定することにより判断することができる。
L値は色の明度を表し、0〜100の数値で表される。L値が100である場合最も明るい状態(完全な白色)を示し、L値が0である場合最も暗い状態(完全な黒色)を示す。
本発明の粉末褐藻の、粉末状態で測定した粉体についてのL値は、後述の実施例2に記載の手法で測定することができる。一態様において、本発明の粉末褐藻の粉体についてのL値は、好ましくは45以上であり、より好ましくは70以上であり、さらに好ましくは72以上であり、さらにより好ましくは75以上であり、特に好ましくは80以上である。
一態様において、本発明の粉末褐藻は、特に、1重量%分散液の粘度が好ましくは0.1〜1500(mPa・s)であり、より好ましくは1.0〜1000(mPa・s)であり、さらに好ましくは1.0〜100(mPa・s)である。1重量%分散液の粘度が高いほど、粉末褐藻を含む沈殿防止剤を使用した場合に沈殿防止効果を得やすい傾向があるが、粘度が高すぎると、沈殿防止剤を飲料等に使用した場合の食感に影響しやすくなる傾向がある。また、1重量%分散液の粘度が高いほど、粉末褐藻を含む食品改良剤を使用した場合に改良効果を得やすい傾向があるが、粘度が高すぎると、使用時のハンドリングが悪くなる傾向がある。粘度は、後述の実施例等に記載のとおり、液温20℃でBL型粘度計を用い、60rpmの回転数で測定することができる。
本発明の粉末褐藻は、粉末褐藻または粉末褐藻を含む沈殿防止剤を他の飲食品、化粧品、日用品、医薬品等に添加した場合に各製品の臭いに影響を及ぼさないという点から、また、粉末褐藻を含む食品改良剤を食品等に配合した場合に各製品の臭いに影響を及ぼさないという点から、海藻臭が十分に低減されていることが好ましい。海藻臭とは、磯臭さなどの海藻由来の独特な香りを指す。海藻臭が低減されているかは、例えば、未処理の褐藻および/または褐藻を単に乾燥粉砕して得られた粉末褐藻との比較により判断することができる。一態様において、本発明の粉末褐藻は、不快に感じる臭いの原因物質の1または複数の含有量が低いことが好ましい。
本発明の粉末褐藻は、原料となる褐藻を、粉砕、洗浄および乾燥して得ることができる。洗浄効率の観点から、褐藻は洗浄される前に粉砕されることが望ましい。
褐藻の粉砕において、作業効率の観点から、好ましくは、乾燥褐藻を粉砕することができる。その粉砕程度は特に限定されるものではないが、粉砕程度が低く褐藻の粒子が粗いと、褐藻が十分に攪拌されず、中まで洗浄されずに海藻臭および海藻色が強く残った粉末褐藻となってしまい、一方、粉砕程度が高く粒子が細かすぎると、今度は粒子同士が固着してしまう。このため、粉砕程度は、粉砕物が通過する篩いのメッシュサイズとして好ましくは0.01mm〜4mmであり、より好ましくは0.05mm〜0.45mmであるが、これに限定されるものではない。粉砕は、当業者に公知の手法、例えば、ハンマーミル等を用いた手法で行うことができる。
粉砕された褐藻は、次に洗浄される。本明細書において、洗浄とは、洗浄作用および/または脱色作用を含む。洗浄は、水、アルコールおよび脱色剤を含む洗浄溶液を用いて行うことができ、好ましくはさらにアルカリを含む洗浄溶液を用いて行うことができる。
洗浄に用いるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等の低級アルコールが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。安全性および入手容易性の観点から、好ましくはメタノールまたはエタノールを用いることができ、より好ましくは、エタノールを用いることができる。洗浄溶液中のアルコール含有量は、洗浄溶液の組成に応じて異なるが、所望の洗浄/脱色作用を発揮可能な量であれば特に限定されず、後述の実施例等の記載を参照して決定することができる。例えば、アルコールとしてエタノールを用いる場合、洗浄溶液全量に対して30v/v%以上、好ましくは35v/v%以上、例えば40〜55v/v%程度の量を用いることができる。
洗浄に用いる脱色剤としては、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系漂白剤、過炭酸ナトリウム、過酸化水素、オゾン等の酸素系漂白剤、二酸化チオ尿素、亜ジチオン酸ナトリウム等の還元系漂白剤が例示される。これらのうち、入手容易性および安全性等の観点から、特に次亜塩素酸ナトリウムまたは過酸化水素を用いることができ、より好ましくは、次亜塩素酸ナトリウムを用いることができる。脱色剤の使用量は、その種類や洗浄溶液の組成に応じて異なるが、所望の洗浄/脱色作用を発揮可能な量であれば特に限定されず、後述の実施例等の記載を参照して決定することができる。例えば、次亜塩素酸ナトリウムを用いる場合、後述の実施例1で使用する程度の量の洗浄溶液中の水量に対して、有効塩素濃度12%以上の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、好ましくは5mL〜700mL、より好ましくは200mL〜400mL用いることができる。脱色剤の使用量が少ない場合、粉末褐藻の海藻色が十分に低減されない。
洗浄に用いるアルカリとしては、有機のアルカリ金属塩および無機のアルカリ金属塩を用いることができ、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。好ましい例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられ、特に好ましくは、炭酸ナトリウムを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのアルカリは、結晶、水和物、無水物いずれの形態のものも使用することができる。アルカリの使用量は、その種類や洗浄溶液の組成に応じて異なるが、所望の洗浄/脱色作用を発揮可能な量であれば特に限定されず、後述の実施例等の記載を参照して決定することができる。例えば、炭酸ナトリウムを使用する場合、後述の実施例1で使用する程度の量の洗浄溶液中の水量に対して、好ましくは、1g〜50g、より好ましくは5g〜25g添加することができる。
上記の各成分を用いた洗浄は、水以外の各成分を個別に水に溶解し、順に洗浄溶液として用いることもできるし、水以外の各成分のうち2以上を組み合わせて水に溶解し、順に洗浄溶液として用いてもよい。洗浄は、目的とする洗浄/脱色の程度に応じて複数回行ってもよい。簡便には、水以外の各成分を全て水に溶解した溶液を洗浄溶液として用いることができる。
洗浄において、洗浄対象である粉砕された褐藻と洗浄溶液との重量比は、特に限定されないが、例えば、好ましくは粉砕された褐藻(g):洗浄溶液(mL)=1:5〜1:100、より好ましくは、1:20〜1:50である。洗浄は、粉砕された褐藻と洗浄溶液を混合し、好ましくは5分以上、洗浄効率の観点から、より好ましくは30分以上程度攪拌して行うことができる。攪拌は、簡便には室温下で行うことができるが、使用するアルコールの沸点以下までなら加熱してもよい。
上記の洗浄後、乾燥工程を経て粉末褐藻を得ることができる。乾燥は、上記洗浄の後、ろ過により溶液を除去して得られた残渣を乾燥させることにより行うことができる。濾過は、定法により、ろ布、ろ紙等を用いて行うことができる。乾燥は、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等、公知の手法を用いて行うことができる。簡便性の観点から、好ましくは加熱乾燥を用いることができる。加熱乾燥を行う場合の温度および時間は適宜設定することができるが、温度が高すぎると粉末褐藻の色が濃くなる場合があり、温度が低すぎると乾燥に長時間必要となるため、60℃〜90℃程度の温度で乾燥を行うことができる。乾燥時間は、特に制限されず、乾燥温度に応じて、30分〜6時間程度行うことができる。乾燥後、必要に応じて得られた乾燥物をさらに粉砕機で粉砕してもよい。
以上の方法で得られた粉末褐藻は、褐藻を単に乾燥後粉末化したものと比較して水溶性アルギン分が多く、不溶性アルギン分等の不溶性成分が少ないという特徴を有する。不溶性成分の内訳としては、不溶性アルギン分が少なく、不溶性食物繊維(セルロース、ヘミセルロース等)が多いという特徴も有する。また、褐藻中の特定の成分を抽出する工程を含まない方法により得られるため、特定の成分を抽出する工程を含む方法で得られたものと比較して、該特定の成分以外の成分、例えば、褐藻に含まれる食物繊維等の成分の含有量が多いという特徴を有する。褐藻の成分としては、アルギン酸、フコイダン、フコキサンチン、セルロース、ヘミセルロース、ラミナラン、ウロン酸、ポリウロン酸、硫酸多糖、タンパク質、脂質、無機質等が知られている。
一態様において、本発明の粉末褐藻は、沈殿粒子含有液に添加すると沈殿粒子の沈殿防止作用を発揮するため、沈殿防止剤として用いることができる。従って、本発明は、上記の粉末褐藻を含む沈殿防止剤を提供し、好ましくは、上記の粉末褐藻からなる沈殿防止剤を提供する。本発明は、また、上記の粉末褐藻を沈殿粒子含有液に添加する工程を含む、沈殿防止方法も提供する。
本明細書中において、沈殿防止剤による沈殿防止作用とは、沈殿防止剤を添加しない場合には、静置後、一定時間(例えば、製造直後〜6ヶ月)経過すると沈殿が発生する溶液(沈殿粒子含有液)に添加すると、沈殿発生を防止する作用を指す。沈殿発生の防止は、添加しない場合と比較して、沈殿の発生が起こらないこと、沈殿の発生が遅れることおよび沈殿の発生量が減少することのいずれをも含む。例えば、本発明の沈殿防止剤を沈殿粒子含有液に添加し、数日〜数週間、沈殿粒子含有液の種類によって、数週間〜数ヶ月程度静置後、目視で沈殿物発生を確認できないことが好ましい。一般に増粘剤と呼ばれるものは、液体を増粘させることによって沈殿物の発生を防止することができるが、粘度が高くなることにより、液体の感触(例えば、飲食品の場合、のどごしや食感、化粧品や医薬品の場合には、使用感等)が大幅に変化し得るという欠点がある。本発明の沈殿防止剤は、液体の粘度を大幅に高めることなく、沈殿物の発生を防止することができるため、使用前に沈殿粒子を分散させるために攪拌する必要がないという利点のみならず、粘度が低いため、容器の制約が少ない、スプレー等で塗布する際、広範囲に塗布可能である等の利点を有する。また、粘度が低いため、例えば食品であれば、のどごしや食感がよいという利点を有し、化粧品や医薬品であれば、使用感がさっぱりしているという利点を有する。
本発明の沈殿防止剤を添加する対象となる溶液は、沈殿粒子含有液である。沈殿粒子含有液とは、上述のとおり、静置後、一定時間(例えば、製造直後〜6ヶ月)経過すると、沈殿が発生する溶液を指す。本明細書中において、該沈殿となる粒子を沈殿粒子といい、沈殿粒子は、乳化球(液体)であっても、粉末(固体)であってもよい。例えば、液体および/または固体のタンパク質を含む沈殿粒子であってもよい。このような沈殿粒子含有液の例としては、例えば、各種乳化球、各種粒子、各種粉末またはこれらの2以上の組み合わせ含有する溶液が挙げられる。本発明の沈殿防止剤が部分的に水溶性であるという観点から、溶液は、水溶性基材をべースとするものが好ましい。
沈殿粒子含有液の具体例としては、各種乳化球、各種粒子および/または各種粉末を含有する飲料として:タンパク質含有飲料、具体的には、加工乳、普通乳、濃厚乳、低脂肪乳、脱脂乳、乳飲料(例えばコーヒー飲料、ミルクティー、ココア等)、発酵乳飲料、豆乳、豆乳飲料、クリーム、コーヒーホワイトナー、ヨーグルト、乳酸菌飲料、練乳;沈殿成分入り茶飲料;粉末配合茶飲料、具体的には各種粉末(茶粉末等)を配合した、各種茶等;野菜汁、果汁等、食物繊維等の沈殿成分入り飲料、具体的には、果実飲料、炭酸果実飲料、粉末清涼飲料、粉末即席飲料(粉末レモンティー、粉末しるこ等)、甘酒等;各種ゼリー入り飲料等が例示される。これらの飲料にさらに穀物粉(トウモロコシ粉、大麦粉、米粉、マメ粉、黄粉等)を添加したものも例示される。
食品・調味料としては、各種固形シーズニングを含むドレッシング、ソース等が例示され、具体的には、コンソメ、しょうゆ、各種ソース(ウスターソース、デミグラスソース、パスタソース、ホワイトソース、オイスターソース、トマトケチャップ、焼肉のタレ、鍋の素、丼の素等)、各種ドレッシング、マヨネーズタイプ調味料、各種ルー(カレールー等)、めんつゆ等が挙げられる。
化粧品としては、各種乳化球、各種粒子および/または各種粉末を含有する化粧水、乳液、クレンジング、シャンプー、コンディショナー、日焼け止め、洗口液、育毛剤等が例示される。日用品としては、各種乳化球、各種粒子および/または各種粉末を含有する洗剤、のり剤、消臭剤、漂白剤、柔軟剤、芳香剤、虫除け剤、釉薬溶液、水系塗料等が例示される。医薬品としては、各種乳化球、各種粒子または各種粉末を含有する内服液、塗布液等が例示される。
本発明の沈殿防止剤が、褐藻由来であり、飲食可能で安全性が高いという観点から、沈殿防止剤を添加する対象である沈殿粒子含有液は、飲料、食品、調味料、化粧品または医薬品が好ましい。また、本発明の沈殿防止剤が、従来公知の沈殿防止剤の代表例であるカラギーナンによって沈殿を防止しにくい溶液でも沈殿防止可能であるという観点から、乳タンパク質、大豆タンパク質、エンドウタンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、血漿タンパク質、椰子由来タンパク質等、各種タンパク質を含有するタンパク質含有飲料が好ましい。
沈殿粒子含有液中の沈殿粒子の含有割合は、特に限定されないが、例えば、全重量の0.01〜50.0重量%、好ましくは、0.1〜20.0重量%である。
沈殿粒子含有液に沈殿防止剤として添加する粉末褐藻の量は、沈殿防止する対象となる溶液の組成に応じて異なるが、好ましくは全重量の0.01〜20.0重量%であり、所望の沈殿防止作用を得るという観点および経済的観点から、より好ましくは、0.01〜5.0重量%であり、さらに好ましくは、0.1〜1.0重量%である。
本発明の沈殿防止剤により沈殿防止された沈殿粒子含有液の粘度は特に限定されないが、本発明の沈殿防止剤は、対象液の粘度を大幅に増粘させることなく沈殿防止作用を発揮することができるため、好ましくは0.1mPa・s〜200mPa・s、より好ましくは1mPa・s〜100mPa・sである。例えば、1mPa・s〜50mPa・s、1mPa・s〜30mPa・s等の低粘度であっても、本発明の沈殿防止剤は沈殿防止作用を発揮することができる。
上記の沈殿粒子含有液は、いずれも、従来公知の製造方法を用いて製造することができ、本発明の沈殿防止剤を添加することで沈殿粒子の沈殿を防止することができる。
本発明はまた、上記の粉末褐藻を含む食品改良剤にも関する。食品改良剤は、上記の粉末褐藻を含むものであれば特に限定されない。例えば、必要に応じて、食品への配合を容易にするよう、既知の分散助剤(糖類、澱粉類等)等を含んでもよい。また、本発明の食品改良剤は、その用途に応じて、例えば、多糖類、繊維質、大豆関連物質、澱粉、糖質、糖アルコール、甘味料、乳製品、タンパク質、油脂、酵素、ビタミン、乳化剤、食品素材、製造用剤、力価調整剤、pH調整剤、香辛料、酸化防止剤、強化剤、膨張剤、着香剤、着色剤、保存料、調味料等の、公知の食品用原料や添加物から選択される1以上の成分をさらに含有していてもよいし、これらの成分の1以上とともに用いてもよい。
一態様において、本発明の食品改良剤は、好ましくは、小麦粉食品改良剤または食品の増粘ゲル化改良剤である。本明細書において、「小麦粉食品改良剤」とは、後述の小麦粉食品を改良する作用(例えば、食感、テクスチャー・体積、嗜好性等を改良する作用)を有する改良剤をいう。
本明細書において、「増粘ゲル化改良剤」とは、主に増粘ゲル化作用(増粘作用、ゲル化作用またはそれら両方を伴う作用)を発揮することに起因して食品を改良する作用を有する改良剤をいう。そのような増粘ゲル化改良剤としては、増粘ゲル化ならびに増粘ゲル化作用に起因する、増粘、ゲル化、安定、糊料、食感改良、物性改良(保形性改良、保水性改良等)、体積制御、乳化制御、離水防止(ホエイオフ防止等)、耐熱(ヒートショック耐性付与等)、凝固、コーティング(食品冷凍時の品質維持等)、軟化、分散、浸透(色素浸透等)、気泡量制御、剥離、離型、オーバーラン制御、弾力改良、歩留まり向上、フィルム形成等のうち1以上の効果を付与することができる改良剤が挙げられる。よって、本明細書における「増粘ゲル化改良剤」には例えば、食品の増粘剤、ゲル化剤、安定剤、糊料、食感改良剤、物性改良剤(保形性改良剤、保水性改良剤等)、体積制御剤、乳化制御剤、離水防止剤(ホエイオフ防止剤等)、耐熱剤(ヒートショック耐性付与剤等)、凝固剤、コーティング剤、軟化剤、分散剤、浸透剤、気泡量制御剤、剥離剤、離型剤、オーバーラン制御剤、弾力改良剤、歩留まり向上剤、フィルム形成剤等が含まれる。
本発明の食品改良剤は、上記の粉末褐藻を含むため、粉末状の形態であることが好ましいが、これを2次的に加工して、ペースト状、固形状、液体状、顆粒状、カプセル状またはタブレット状にしても構わない。これらをそのまま食品に配合してもよいし、使用前に水等に溶解・分散させて用いてもよい。特に、本発明の食品改良剤を、食品の増粘ゲル化改良剤として用いる場合、増粘ゲル化による改良作用を十分に得るという観点から、好ましくは、本発明の食品改良剤は、食品の製造過程で水等に分散・溶解させて用いることができる。
本発明の食品改良剤の、食品への配合量は、所望の改良効果が得られる限り特に限定されず、配合する食品に応じて、同様の改良作用を有する食品添加物の添加量等を考慮して適宜決定することができる。一態様において、食品改良剤中の前記粉末褐藻が、粉体原料または食品原料全体に対して0.01重量%以上含まれていることが好ましく、0.01〜20.0重量%含まれていることがより好ましく、0.05〜10.0重量%含まれていることがさらに好ましい。なお、本明細書において、「粉体原料に対して」というときの「粉体原料」とは、製造しようとする食品の生地に用いる粉体原料(例えば、小麦粉、澱粉、米粉、大麦粉、そば粉、豆粉、加工澱粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、きな粉、道明寺粉、キビ粉、アワ粉、ヒエ粉等)の総量を指す。
一態様において、本発明の食品改良剤を小麦粉食品改良剤として用いる場合、小麦粉食品改良剤中の前記粉末褐藻が、小麦粉に対して0.01重量%以上含まれていることが好ましく、0.01〜50.0重量%含まれていることがより好ましく、0.01〜20.0重量%含まれていることがさらに好ましく、0.05〜10.0重量%含まれていることが特に好ましい。
一態様において、本発明の食品改良剤を食品の増粘ゲル化改良剤として用いる場合、増粘ゲル化改良剤中の前記粉末褐藻が、原料中の水(水以外の液体原料中の水も含む)に対して0.01重量%以上含まれていることが好ましく、0.01〜50.0重量%含まれていることがより好ましく、0.05〜20.0重量%含まれていることがさらに好ましく、0.1〜15.0重量%含まれていることが特に好ましい。
本発明の食品改良剤は、単独で食品に用いてもよいし、既知の食品改良剤と併用してもよい。既知の食品改良剤と併用する場合、適宜使用量を調整することができる。
特に、本発明の食品改良剤により、水等の液体を増粘・ゲル化・凝固させる場合(ゲル化剤として用いる場合)、好ましくはカルシウムと併用することで、容易に増粘・ゲル化・凝固させることができる。カルシウムとの併用は、カルシウムを含む原料を用いて行うことができる。そのような原料としては、カルシウムを含み食品への配合が可能な原料である限り特に限定されないが、食品用原料であることが好ましく、例えば、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、プロピオン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアロイル乳酸カルシウム、貝殻焼成カルシウム、卵殻焼成カルシウム、骨焼成カルシウム、うに殻焼成カルシウム、造礁サンゴ焼成カルシウム、乳清焼成カルシウム、貝殻未焼成カルシウム、サンゴ未焼成カルシウム、卵殻未焼成カルシウム、骨未焼成カルシウム、真珠層未焼成カルシウム、骨炭、生石灰を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルシウムを含む原料の使用量は、得ようとする食品の形態等により、適宜調整することができるが、カルシウム分換算で、食品全体の0.01〜50重量部が好ましく、0.1〜25重量部がより好ましく、0.5〜15重量部がさらに好ましい。本発明の食品改良剤を、微量のカルシウムと併用することで、非併用時と比較して高い増粘効果が得られ、より多量のカルシウムと併用することで、容易に高いゲル化・凝固効果を得ることができる。
本発明の食品改良剤と、カルシウムを含む原料とを併用する場合、所望の改良効果が得られる限りその使用方法は特に制限されないが、特に水等の液体をゲル化・凝固させる場合、均一なゲル化・凝固が進行するよう、本発明の食品改良剤の分散溶解液と、カルシウムを含む原料の分散溶解液とをそれぞれ用意し、非加熱または加熱下、両者を混合することが好ましい。均一なゲル化・凝固が進行するよう、混合は、攪拌下で行うことが好ましい。
上記の粉末褐藻を含む食品改良剤は、様々な食品に広く配合することができる。従って、本発明は、上記の本発明の食品改良剤を配合した食品も提供する。本発明の食品は、本発明の食品改良剤が配合されることにより、後述の実施例に示すとおり、食感、テクスチャー、体積、保形性、保水性、嗜好性等が改良されている。理論に束縛されるものではないが、このような改良は、本発明の食品改良剤により、配合する食品に応じて、増粘、ゲル化、安定、糊料、食感改良、物性改良(保形性改良、保水性改良等)、体積制御、乳化制御、離水防止(ホエイオフ防止等)、耐熱(ヒートショック耐性付与等)、凝固、コーティング、軟化、分散、浸透、気泡量制御、剥離、離型、オーバーラン制御、弾力改良、歩留まり向上、フィルム形成等のうち1以上の効果が付与されていることに起因すると考えられる。
例えば、理論に束縛されるものではないが、本発明の食品改良剤に含まれる本発明の粉末褐藻は、分散液の粘度が、食品に配合する際にハンドリングし易い粘度であり、例えば小麦粉食品に添加した場合には生地粘度や気泡性をコントロールすることができる。また、本発明の食品改良剤に含まれる粉末褐藻は、液体に配合後、加熱工程の有無に関わらず、液体を増粘ゲル化させることができ、そのような作用に伴い、食感、テクスチャー、体積、保形性、保水性、嗜好性等をコントロールすることができる。
また、上記の1以上の効果を食品に付与することができる本発明の食品改良剤を用いれば、食感等が改良されることで、食品を「美味しく」改良することができるのみならず、用いる原料の質が低い食品(例えば、小麦粉の質を下げた小麦粉食品等)の各種特性の改良が可能となるため、食品を「安価に」改良することもできる。さらに、食品の食感や物性を改良し、加工しやすいものにすることができるため、食品をより「簡便に利用できるよう」改良することもでき、産業的に有利である。
さらに、本発明の食品改良剤によれば、後述の実施例に記載のとおり、従来食品の改良に用いられている食品添加物と比較して遜色ない改良効果が得られるため、食品添加物を代替することができる。これにより、食品添加物を使用しないことにより生じる様々な問題(例えば、値段が高価、味・匂い・香り・見た目・色・食感が悪い、味・匂い・香り・見た目・色・食感の経時変化が大きい、加工しにくい等)を解消することができ、食品として提供できる原料(例えば、小麦粉食品であれば小麦粉の品種等)、食品の種類、提供場所、提供時期、提供方法および製造方法等に関する制限を解除または軽減することができる。
本発明の食品改良剤により代替可能な食品添加物等としては、得ようとする作用を有する既知の食品添加物等が挙げられ、例えば、微結晶セルロース、粉末セルロース、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、アルギン酸エステル、カラギーナン、カードラン、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、寒天、ゼラチン等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
本発明の食品は、本発明の食品改良剤を用いて食感等が改良され得る食品であれば、その加工形態等は特に制限されない。また、本発明は、本発明の食品改良剤を使用して、増粘、ゲル化、安定、糊料、食感改良、物性改良(保形性改良、保水性改良等)、体積制御、乳化制御、離水防止(ホエイオフ防止等)、耐熱(ヒートショック耐性付与等)、凝固、コーティング、軟化、分散、浸透、気泡量制御、剥離、離型、オーバーラン制御、弾力改良、歩留まり向上、フィルム形成等のうち1以上の効果を付与されたそのような食品も提供する。
例えば、本発明の食品改良剤は、小麦粉食品に対する改良効果を有する小麦粉食品改良剤であることができ、本発明の食品は小麦粉食品であることができる。小麦粉食品は、小麦粉を使用して得られる食品である限り、その加工形態等は特に制限されない。また、本発明の食品改良剤は、小麦粉食品に対する改良効果を有することから、小麦粉の代わりに大麦粉を使用して得られる食品についても、同様に改良効果を有すると考えられる。小麦粉食品の好ましい例としては、以下に詳述するパン類、麺類、小麦菓子類、小麦ミックス粉類および中華まん類等が挙げられ、特に好ましい例としては、パン類、麺類および中華まん類が挙げられる。
なお、本明細書において、小麦粉とは、小麦(コムギ属植物)を挽いて作られた粉であれば特に限定されず、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉、浮き粉、全粒粉、セモリナ粉等を例示することができる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(1)パン類
本発明の食品改良剤は、後述の実施例11に示すとおり、パン類に使用すると、主にパンの体積が増加し食感が改良される。
例えば、理論に束縛されるものではないが、食パン等に使用すると、生地粘度や気泡性がコントロールされることによってパンの体積が増加し、テクスチャーが好ましく変化し、ふっくら感や口溶けやソフト感やサクサク感等の食感が改良され、嗜好性が向上する。
また、クラスト類やパイ類やパン粉類に使用すると、気泡性や生地粘度がコントロールされることによってサクサク感や口溶け等の食感が改良されるのと同時に、強度が付与されて具からの水分移行によるふやけが抑制される。
本発明の食品改良剤は、本発明の精神を逸脱しない限り、すべてのパン類に適用することができる。本明細書において、パン類とは、小麦粉に水を加え、所望により酵母、ベーキングパウダー、重曹等を添加し、必要に応じて発酵後、焼く、蒸す、揚げる等の加熱工程を経て得られる小麦粉加工品およびそれをさらに加工した食品を指す。パン類の例としては、食事パン(食パン・フランスパン・ロールパン・クロワッサン・イングリッシュマフィン・ベーグル等)・調理パン・菓子パン・デニッシュペストリー・ピザクラスト・ラスク・クルトン・蒸しパン・乾パン・パン粉等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(2)麺類
本発明の食品改良剤は、後述の実施例12および13に示すとおり、麺類に使用すると、主に麺類の破断強度(引っ張り応力)および変形率が高まり、食感が改良される。特に、麺の弾力、滑らかさ、歯ごたえといった食感が改良される。また、麺類がのびてしまうのを効果的に抑制することができ、嗜好性が改善される。
本発明の食品改良剤は、本発明の精神を逸脱しない限り、すべての麺類に適用することができ、特に小麦粉食品である麺類に適用することができる。本明細書において、小麦粉食品である麺類とは、一般的に小麦粉に水および塩等を加えた生地を、細長くまたは薄く成形した小麦粉加工品およびそれをさらに加工した食品を指す。麺類の例としては、小麦粉を原料として含む、中華麺、そば、うどん、そうめん、冷麦、きし麺、ビーフン、大麦麺、冷麺、パスタ、餃子の皮等が挙げられ、さらにそれらを生麺、茹で麺、蒸し麺、チルド麺、冷凍麺、乾麺、即席麺、ロングライフ麺としたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(3)小麦菓子類
本発明の食品改良剤は、後述の実施例11に示すとおり、パン類に対する優れた改良効果を示し、また、後述の実施例14に示すとおり、中華まんに対する優れた改良効果を示し、同様に小麦菓子類に使用すると、食感改良、離水防止、安定性向上等様々な改良効果を発揮する。
例えば、和菓子類では以下のような改良効果が得られる:
カステラ類や団子の皮類や今川焼き系の皮類やまんじゅう系の皮類に使用すると、理論に束縛されるものではないが、生地粘度や気泡性がコントロールされることによってふっくら感や口溶けやボディ感やソフト感等の食感が改良される;
かりんとう類、あられ類、豆菓子類等に使用すると、理論に束縛されるものではないが、気泡性がコントロールされてサックリ感やふっくら感や口溶け等の食感が改良され、嗜好性が向上する。
また、洋菓子類では、以下のような改良効果が得られる:
ケーキ類、ドーナツ類、パイ類、クレープ類、スナック類、クッキー類、クラッカー類、ホットケーキ類等の生地に使用すると、理論に束縛されるものではないが、生地粘度や気泡性がコントロールされることによってふっくら感や口溶けやソフト感やサクサク感等の食感が改良され、嗜好性が向上する。
また、中華菓子では、以下のような改良効果が得られる:
まんじゅう類の生地に使用すると、理論に束縛されるものではないが、生地粘度や気泡性がコントロールされることによって、ふっくら感や口溶けやボディ感やソフト感等の食感が改良され、嗜好性が向上する。
本発明の食品改良剤は、本発明の精神を逸脱しない限り、すべての小麦菓子類に適用することができる。本明細書において、小麦菓子類とは、小麦粉を主原料として用い、加熱工程を経て製造され、一般に菓子として喫食される和風・洋風・アジア風菓子類やそれらに類似した食品すべてを指す。小麦菓子の例としては、小麦粉を原料として含む、たい焼き・まんじゅう・月餅・カステラ・くず種もの・大福もち・もなか・せんべい・あられ・干菓子パイ・パウンドケーキ・ドーナツ・パンケーキ・スポンジケーキ・クレープ・ウエハース・クラッカー・サブレ・スナック菓子・シュー菓子・ビスケット・クッキー・乾パン・プリッツェル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(4)小麦ミックス粉類
本発明の食品改良剤は、後述の実施例11に示すとおり、パン類の製造工程で小麦粉に混ぜることで、得られるパン類に対する優れた改良効果を示し、同様に小麦ミックス粉類に使用すると、主に食感や安定性が改良される。理論に束縛されるものではないが、特に、生地のまとまりがよくなると同時にゲル強度がコントロールされることによって、食感が改良され、嗜好性が向上する。
例えば、天ぷら類、フライ類およびフリッター類等のバッター系ミックス粉の場合、理論に束縛されるものではないが、生地粘度や気泡性がコントロールされることによって、ふっくら感や口溶けやソフト感やサクサク感等の食感が改良されると同時に強度が付与されて具からの水分移行によるふやけが抑制され、嗜好性が向上する。
本発明の食品改良剤は、本発明の精神を逸脱しない限り、すべての小麦ミックス粉類に適用することができる。本明細書において、小麦ミックス粉類とは、一般的に小麦粉をベースとした粉体で加工・調理される粉およびその加工調理品ならびにそれらを使用した食品を指す。小麦ミックス粉類の例としては、小麦粉を原料として含む、大麦加工品・プレミックス(各種ケーキミックス・各種パンミックス・天ぷら粉・から揚げ粉・お好み焼きミックス等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(5)中華まん類
本発明の食品改良剤は、後述の実施例14に示すとおり、中華まん類に使用すると、主に中華まんの体積が増加し食感が改良され、嗜好性が向上する。
例えば、理論に束縛されるものではないが、生地粘度や気泡性がコントロールされることによって中華まんの体積が増加し、ふっくら感や口溶けやソフト感等の食感が改良され、嗜好性が向上する。
さらには、小籠包類に使用すると、弾力性が高まること等によって皮が安定化するのでスープの染み出し防止がなされ、食感も改良される。
本発明の食品改良剤は、本発明の精神を逸脱しない限り、すべての中華まん類に適用することができる。本明細書において、中華まん類とは、一般的に小麦粉をベースにした中華風のまんじゅう類およびそれをアレンジした小麦まんじゅう類を指す。中華まん類の例としては、肉まん・あんまん・叉焼包・包子・ニラ包等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに、本発明の食品改良剤は、特に増粘ゲル化等の作用により食品に対する改良効果を有する食品の増粘ゲル化改良剤であることができ、本発明の食品の好ましい例としては、一般にゲル化剤、増粘剤、安定剤、糊料等を配合して改良される食品が挙げられる。特に好ましい例としては、以下に詳述する乳製品、畜肉製品およびゲル化食品が挙げられる。
(6)乳製品
本発明の食品改良剤は、後述の実施例15および16に示すとおり、乳製品に配合すると、離水防止・ホエイオフ防止等の作用を発揮することにより、乳製品の保形率を高めることができ、安定性が高まる。
例えば、理論に束縛されるものではないが、アイスクリームのような冷菓類やクリーム類に配合した場合、オーバーランがコントロールされ、アイスクリーム中の氷結晶が細かくなる、クリーム中の気泡が細かくなる等によって、口溶けやボディ感、ソフト感などの食感が改良される。また、保形率も高まる。チーズ類に配合した場合、強度・弾力等が増し、食感が改良され、嗜好性も高まる。
本発明の食品改良剤は、本発明の精神を逸脱しない限り、全ての乳製品に適用することができる。
本明細書において、乳製品とは、一般的に乳として飲食されるもの、その加工品およびそれらを使用した食品全てである。なお、本発明の食品改良剤は、動物由来の乳の代わりに植物由来の乳を使用して得られる食品についても、同様に改良効果を有すると考えられるため、本明細書における乳製品には、動物由来の乳の代わりに植物由来の乳を使用して得られる食品も含まれる。例えば、本明細書における乳製品には、牛、羊、山羊等由来の乳や大豆等の豆類由来の豆乳を使用して得られる食品が含まれる。これらの乳は単独で用いても2種類以上を組み合わせてもよい。
乳製品の例としては、加工乳・普通乳・濃厚乳・低脂肪乳・脱脂乳・乳飲料・クリーム・コーヒーホワイトナー・ヨーグルト・カスタードクリーム・スフレ・アイスクリーム・アイスミルク・ラクトアイス・フローズンデザート・粉乳・練乳・チーズ・乳入りシャーベット・油脂入りシャーベットなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(7)畜肉製品
本発明の食品改良剤は、後述の実施例17に示すとおり、畜肉に配合すると、歩留まりが良くなり、水分含量も上がる。それにより、ジューシー感などの食感が改良され、嗜好性も高まる。
本発明の食品改良剤は、本発明の精神を逸脱しない限り、全ての畜肉製品に適用することができる。本発明の食品改良剤は、畜肉の代わりに魚肉を使用して得られる食品についても、同様に改良効果を有すると考えられるため、本明細書における畜肉製品には、魚肉を使用して得られる食品も含まれる。本明細書において、畜肉製品とは一般的に食される肉類(魚肉類を含む)、その加工品、およびそれらを使用した全ての食品である。例えば、本明細書における畜肉製品には、肉類として、牛肉・豚肉・鶏肉・鴨肉・羊肉・馬肉・鹿肉・魚肉等を使用して得られる食品が含まれる。これらの肉類は単独で用いても2種類以上を組み合わせてもよい。
畜肉製品の例としては、ハム・ベーコン・ソーセージ・サラミ・レバーペースト・各種肉入り惣菜(ローストビーフ・ハンバーグ・から揚げ・ナゲット・餃子・中華まん・メンチカツ・チャーシュー等)・各種肉入り缶詰(コンビーフ等)・各種魚肉食品(魚肉ソーセージ・さつまあげ・はんぺん・かまぼこ・すり身・つみれ等)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(8)ゲル化食品
本発明の食品改良剤は、水に添加すると、加熱工程を経ることなく増粘ゲル化するという特性を持つ(加熱工程を経ても増粘ゲル化する)。例えば、後述の実施例18に示すとおり、ゼリーに配合した場合、ゲル強度が高く、変形率は低いゼリーが得られ、好ましい硬さがあるにも関わらず噛み砕きやすいといった食感改善効果が得られる。
本発明の食品改良剤は、本発明の精神を逸脱しない限り、全てのゲル化食品に適用することができる。ゲル化食品に適用する際、好ましくは、ゲル化食品は、本発明の食品改良剤と、カルシウムとを含むことができる。カルシウムは上述のカルシウムを含む原料を用いて配合することができる。
本明細書において、ゲル化食品とは、一般的に液体をゲル状に固めて食される食品全てであり、各種ゼリー・ジャム・プリン・ババロア・ういろう・金つば・ようかん・くずきり・くず饅頭・ところてん・水饅頭・アップルパイ・ムース・フィリング・グミ・マシュマロ・人工いくら・ジュレ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明は、また、上記の食品改良剤を食品に配合する工程を含む、食品の製造方法も提供する。例えば、一態様において、本発明は、上記の食品改良剤を小麦粉に配合する工程を含む、小麦粉食品の製造方法も提供する。食品改良剤を食品に配合する方法は特に制限されない。例えば、食品の原料のうち:直接主原料に;主原料以外の原料(副原料、原料水、原料液等)に;いずれか2以上の原料を混合後に;あるいは主原料と、副原料、原料水もしくは原料液等とを混合後に;粉体等の形状の食品改良剤を配合してもよいし、水溶液状、分散液状またはペースト状としてから配合してもよい。配合の具体的手法も特に限定されず、混合したり、ふりかけたり、まぶしたり、摺込んだり、漬け込んだり、あるいは注入したりして配合することができる。
食品改良剤を配合する工程は、食品の製造中のいかなる段階に行ってもよく、加熱や冷却等の工程中に配合してもよい。例えば、食品が小麦粉食品である場合、一般に小麦粉食品は喫食前のいずれかの段階で加熱されるが、本発明の一態様において、喫食に先立って加熱する工程の前に、食品改良剤を小麦粉に配合することが所望の改良効果を得るために好ましいことがある。喫食に先立っての加熱は、各小麦粉食品について公知の温度で行うことができる。また、例えば本発明の食品改良剤が粉末の形態であり、食品原料として他の粉体原料が存在する場合、食品改良剤を他の粉体原料にまず配合することで、食品改良剤を容易に均一に分散することができるため、好ましい。
上記の配合工程以外の食品の製造方法は特に限定されず、各食品について公知の手法を用いて製造することができる。
さらに本発明は、上記の本発明の食品改良剤を食品に配合することを特徴とする、食品の改良方法、より詳細には、増粘方法、ゲル化方法、安定化方法、増粘安定化方法、粘度制御方法、食感改良方法、物性改良方法(保形性改良方法、保水性改良方法等)、体積制御方法、乳化制御方法、離水防止方法(ホエイオフ防止方法等)、耐熱化方法(ヒートショック耐性付与方法等)、凝固方法、コーティング方法、軟化方法、分散方法、浸透方法、気泡量制御方法、剥離方法、離型方法、オーバーラン制御方法、弾力改良方法、歩留まり向上方法およびフィルム形成方法等も提供する。これらの方法における、食品改良剤の食品への配合方法については、上述の記載を参照して容易に理解することができる。
以下に、実施例および製造例(以下、単に「実施例等」ともいう。)を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例等に示す原料、手順、使用量、割合、操作順序等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例等に制限されるものではない。
実施例1:粉末褐藻の製造
製造例1
[粉砕]乾燥褐藻(褐藻綱−コンブ目−レッソニア科−レッソニア属−レッソニア・ニグレッセンス(Lessonia nigrescens))をハンマーミル粉砕機で粉砕し、褐藻粉砕物を得た。
[洗浄]この褐藻粉砕物100gを容器に入れ、水1643mL、エタノール(100%)1352mL、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(商品名:ツルクロンN−40、鶴見曹達社製、有効塩素濃度12%以上)400mL、炭酸ナトリウム(商品名:ソーダ灰、セントラル硝子社製)10gを加えて、600rpmで30分間攪拌して洗浄した。
[脱水]これをろ布(通気性20cm/cm・秒)を用いて脱水した。
[乾燥]この脱水された洗浄褐藻を65℃〜85℃の乾燥機に入れ2時間乾燥し、ジュースミキサーで粉砕した後、粒径0.13mm程度の粉末褐藻(製造例1)を得た。
製造例2
製造例1の洗浄工程において、次亜塩素酸ナトリウム400mLのところを300mLにしたこと以外は製造例1と同様に処理し、粉末褐藻(製造例2)を得た。
製造例3
製造例1の洗浄工程において、次亜塩素酸ナトリウム400mLのところを200mLにしたこと以外は製造例1と同様に処理し、粉末褐藻(製造例3)を得た。
製造例4
製造例1の洗浄工程において、水1643mLのところを900mLにし、エタノール1352mLのところを900mLにし、次亜塩素酸ナトリウム400mLのところを200mLにしたこと以外は製造例1と同様に処理し、粉末褐藻(製造例4)を得た。
製造例5
製造例1の洗浄工程において、水1643mLのところを900mLにし、エタノール1352mLのところを900mLにし、次亜塩素酸ナトリウム400mLのところを5mLにしたこと以外は製造例1と同様に処理し、粉末褐藻(製造例5)を得た。
製造例6
製造例1の粉砕工程で得た褐藻粉砕物を粉末褐藻(製造例6)とした。
実施例2:粉末褐藻の評価
(1)海藻臭の低減評価
実施例1で得られた粉末褐藻(製造例1〜6)について、それぞれ3gを297mLの水に分散溶解し、1重量%分散液を得た。この溶液の匂いをかぎ、海藻臭が低減されず強く残っている方を1、海藻臭が低減され臭いが弱くなっている方を5として、1〜5で評価した。製造例1の臭いを評価5、製造例6の臭いを評価1の基準とした。
(2)海藻色の低減評価
上記(1)で得られた1重量%分散液について、透明ビーカー中の色を目視し、海藻色が低減されず色が強い方を1、海藻色が低減され色が弱くなっている方を5として、1〜5で評価した。製造例1の海藻色を評価5、製造例6の海藻色を評価1の基準とした。
(3)1%粘度
上記(1)で得られた1重量%分散液について、液温20℃においてBL型粘度計を用い、回転数60rpmにて粘度を求めた。
(4)カルシウムによるゲル化
上記(1)で得られた1重量%分散液について、その5mLをビーカーに取り、1mLの7.5%塩化カルシウム溶液を加え、ゲルを形成するか観察した。
(5)粉末褐藻の粉体のL値
実施例1で得られた粉末褐藻(製造例1〜6)について、色彩色差計CR−300(ミノルタ製)を用い粉体のL値を測定した。
下記(6)〜(13)について、特筆しない限り、「%」とは「重量%」を指すものとする。
(6)水溶性アルギン分(%)
公知のアニオン性多糖類の定量法であるコロイド滴定法により、粉末褐藻中に含まれる水溶性アルギン分(%)を測定した。コロイド滴定法は、例えば特開平11−042470に記載の方法を応用することができる。すなわち、上記(1)で得られた1重量%分散液について、その0.5mLをビーカーに取り、10mLの水とN/200メチルグリコールキトサン溶液5mLを加える。次にトルイジンブルー指示薬を数滴加え、N/400ポリビニル硫酸カリウム規定液(以下PVSKと称す)で滴定し、青から赤紫色に変色し10秒間以上保持する点を終点とする。試料を加えない場合をブランクとする。褐藻中に含まれる、水溶性のウロン酸を含むアニオン性多糖類は主にアルギン酸塩であることから、この時、N/400PVSK標準液の滴定量1mLは、アルギン酸ナトリウムの分子1つの分子量=198であるので、198×1/400=0.495mgのアルギン酸ナトリウムに相当する。従って、次式により粉末褐藻に含まれる水溶性アルギン分(水溶性アルギン酸塩をナトリウム塩換算したもの)(%)を求めることができる。

水溶性アルギン分(%)=(ブランク滴定量(mL)−試料の滴定量(mL))÷試料の量(mL)×0.495(mg)÷1000(mg)÷0.01(%液)×100(%)
(7)タンパク質(ケルダール法)
タンパク質は食品衛生検査指針−理化学編(1991年6月25日発行、発行所 社団法人 日本食品衛生協会、以下同様)23ページに記載の方法に準じて分析した。
試料0.5gをケルダール分解フラスコに採取し、分解促進剤として硫酸カリウム5gを加え、次いで濃硫酸15mLを加え、穏やかに振り混ぜたのち、弱火で加熱した。分解が始まると液は黒化し泡立つ。黒色粘調液になったら加熱を強める。反応が進むと亜硫酸ガスと炭酸ガスを発生しながら、液は徐々に黒褐色から褐色になり、最後に青色ないし青緑色澄明な液になる。さらに1〜2時間強熱を続けて分解を完了させた。分解液に冷却後脱イオン水約120mLを加え、沸騰石数個または粒状亜鉛を少量加えてから、静かに30%水酸化ナトリウム液70mLを加えて、蒸留装置(B−324:ビュッヒ製、シバタ化学)に連結させた。その後、自動滴定装置(719:メトローム・シバタ株式会社製)で滴定を行い、得られた窒素量(%)の値から次式を用いてタンパク質量を算出した。式中、「窒素−タンパク換算係数」として、粉末褐藻の場合、6.25を用いた。

タンパク質(%)=窒素量(%)×(窒素−タンパク質換算係数)
(8)不溶性成分
粉末褐藻中の不溶性成分の含有量は、次式を用いて算出した。

不溶性成分(%)
=100−水分(%)−タンパク質(%)−脂質(%)−灰分(%)−水溶性アルギン分(%)

式中、水溶性アルギン分、タンパク質および灰分の含有量は、上記(6)、(7)および下記(9)に記載の手法を用いて測定した。水分および脂質の含有量は、以下に記載の手法を用いて測定した。
水分は、食品衛生検査指針−理化学編18ページに記載の方法に準じて常圧加熱乾燥法により測定した。
所定の温度(100〜135℃)に調節した定温乾燥機に秤量皿を入れ、1〜2時間加熱後デシケーターに移した。放冷して室温に達したら直ちに秤量し、恒量値(Wg)を求めた。
試料はおおよそ1gになるよう採取し平らに広げ、ふたをし正確に秤量した(Wg)。定温乾燥器(DX400:ヤマト社製)の中にふたをずらして入れた。4時間乾燥後、乾燥器中ですばやく容器にふたをし、デシケーターに移し放冷した。室温に達したら直ちに秤量した(Wg)。秤量後、次式によって試料中の水分を算出した。

水分(%)=(W−W)/(W−W)×100
脂質は、食品衛生検査指針−理化学編25ページに記載の溶媒抽出法を応用し、溶媒としてジクロロメタンを用いて測定した。
試料5g(Sg)を円筒ろ紙にいれた。その上に脱脂綿を軽く詰め、抽出管に入れた。受器のフラスコは前もって100〜105℃の定温乾燥器(DX400:ヤマト社製)で1〜2時間乾燥させ、デシケーターに移し、放冷した後に恒量値(Wg)を求めた。
これにジクロロメタンを約2/3容入れ、冷却管を連結して湯煎し8時間抽出を行った。抽出終了後、手早く抽出管から取り外して円筒ろ紙をピンセットで抜き出し、再び冷却管を連結して湯煎でジクロロメタンを完全に蒸発させた。
フラスコの外側をガーゼで拭き、100〜105℃の定温乾燥器に入れ、1時間乾燥させ、デシケーターに移して放冷後秤量し、恒量値(Wg)を求めた。脂質量は、次式を用いて算出した。

脂質(%)=(W−W)/S×100
(9)灰分
灰分は、食品衛生検査指針−理化学編37ページに記載の方法に準じて測定した。
予め恒量にした灰化容器(Wg)に試料約2g(Wg)をはかり採り、550〜660℃の電気炉(KL−280:ADVANTEC製)に入れ、白色またはこれに近い色になるまで灰化させた。灰化後、灰化容器を取り出し、アルミトレイなどの上で温度が200℃近くになるまで放冷してデシケーターに移し、室温に戻った後秤量して恒量値(Wg)を求めた。
灰分は次式を用いて算出した。

灰分(%)=(W−W)/(W−W)×100
(10)〜(13)各種ミネラル
ナトリウム、カリウムおよびマグネシウム
ナトリウム、カリウムおよびマグネシウムは、食品衛生検査指針−理化学編64ページに記載の方法を用いて測定した。
均一にした試料約2gを石英るつぼに正確にはかり採り、電熱器上で予備灰化したのち、500〜550℃の電気炉(KL−600:ヤマト社製)中で灰化させた。放冷後、灰に20%塩酸5mLを加え、水浴上で蒸発乾固させた。さらに1%塩酸10mLを加え、加温しながらろ紙を用いて100mL容のメスフラスコ中にろ過した。1%塩酸を加えて、加温しながら洗い込む操作を繰り返し、ろ紙および灰化容器を十分に洗浄した後、1%塩酸で定量とし、直ちにポリエチレン製容器に移し、測定用試験溶液を得た。
偏光ゼーマン原子吸光光度計(Z−6100形:日立社製)を用いて、試験溶液の吸光度を測定し、予め測定した検量線から試験溶液中の濃度を求めた。この時、濃度の高い試料溶液については1%塩酸を用いて適当な濃度に希釈した後に測定した。
試料中のナトリウム、カリウムまたはマグネシウム含量は次式を用いて算出した。

ナトリウム、カリウムまたはマグネシウム(mg%)
=A×P×(100/W)×(100/1000)

A:検量線から求めた試験溶液中のナトリウム、カリウムまたはマグネシウム濃度(ppm)
P:希釈率
W:試料の採取量(g)

鉄は、食品衛生検査指針−理化学編68ページに記載の方法を用いて測定した。測定用試験溶液は、ナトリウムおよびカリウム測定時と同様の方法を用いて調製した。
試験溶液から鉄として0.05〜1mgを含む一定量を50mL容のメスフラスコに分取し、1%塩酸で50mLに定容して偏光ゼーマン原子吸光光度計(Z−6100形:日立社製)により、吸光度を測定した。別に鉄標準溶液0〜1.0mLを採り、同様に操作して作成した検量線から鉄濃度を求めた。
試料中の鉄濃度は次式を用いて算出した。

鉄(mg/100g)=C×(100/V)×(100/W)×(100/1000)

C:検量線から求めた試験溶液中のカルシウム濃度(ppm)
V:試料溶液からの分取量
W:試料の採取量(g)
(14)不溶性成分/水溶性アルギン分(重量)
上記(6)および(8)において得られた値から計算した。
以下の表1に、粉末褐藻の評価結果を示す。なお、原料とした褐藻には不溶性成分として不溶性アルギン酸塩が含まれることが知られているが、製造例1〜5のようにアルカリ(炭酸ナトリウム)を含む洗浄液で洗浄することで、この不溶性アルギン酸塩が水溶性アルギン酸塩に変化し、不溶性成分の量が減少し、水溶性アルギン分の量が増加すると考えられた。
Figure 0006163427
Figure 0006163427
実施例3:粉末褐藻の製造2
製造例7〜10
製造例1において、乾燥褐藻として:褐藻綱−コンブ目−コンブ科−マクロシスティス属−マクロシスティス・ピリフェラ(Macrocystis pyrifera);褐藻綱−コンブ目−コンブ科−コンブ属−マコンブ(Laminaria japonica);褐藻綱−コンブ目−チガイソ科−ワカメ属−ワカメ(Undaria pinnatifida);または褐藻綱−ヒバマタ目−ダービリア科−ダービリア属−ダービリア・アンタクティカ(Durvillaea antarctica)を用いたこと以外は製造例1と同様に処理し、粉末褐藻(製造例7〜10)を得た。
製造例11〜14
製造例6において、乾燥褐藻として:褐藻綱−コンブ目−コンブ科−マクロシスティス属−マクロシスティス・ピリフェラ(Macrocystis pyrifera);褐藻綱−コンブ目−コンブ科−コンブ属−マコンブ(Laminaria japonica);褐藻綱−コンブ目−チガイソ科−ワカメ属−ワカメ(Undaria pinnatifida);または褐藻綱−ヒバマタ目−ダービリア科−ダービリア属−ダービリア・アンタクティカ(Durvillaea antarctica)を用いたこと以外は製造例1と同様に処理し、粉末褐藻(製造例11〜14)を得た。
実施例4:粉末褐藻の評価2
実施例3で得られた粉末褐藻(製造例7〜14)について、実施例2と同様の手法を用いて評価した。以下の表2に、評価結果を示す。
Figure 0006163427
Figure 0006163427
実施例5:ココア豆乳飲料の製造
ココア豆乳飲料1〜8
上記実施例1または3の粉末褐藻(製造例1〜7または11)をそれぞれ0.3重量部用い、砂糖5重量部、食塩0.05重量部、ココア粉末1重量部、グリセリン脂肪酸エステル(エキセル、花王社製)0.1重量部およびショ糖脂肪酸エステル(DKエステル、第一工業製薬社製)0.03重量部と共に混合し、これを無調整豆乳23重量部に常温で分散した後、全部で100重量部になるよう残部の水を加えた。これを75℃になるまで攪拌しながら加熱溶解し、次いで高圧乳化機(APV−100、APVシステムズ社)により15MPaで均質化した後、沸騰水中で10分間殺菌してココア豆乳飲料を製造した。出来上がったココア豆乳飲料をそれぞれココア豆乳飲料1〜8とした。
ココア豆乳飲料9〜10
上記のココア豆乳飲料1〜7の製造方法のうち、粉末褐藻の代わりに:豆乳飲料の沈殿防止にしばしば使用されるカラギーナン(ゲニュラクタ タイプK−100−J、三晶社製)0.2重量部;またはアイスクリームミックスの沈殿防止にしばしば使用され、昆布中の主要な多糖類であるアルギン酸ナトリウム(ダックアルギン、キッコーマンバイオケミファ社製)0.2重量部を使用し、それ以外は同様に製造し、豆乳飲料9〜10を得た。
ココア豆乳飲料11
上記ココア豆乳飲料1〜8の製造方法のうち、粉末褐藻を使用せず、それ以外は同様に製造し、豆乳飲料11を得た。
実施例6:ココア豆乳飲料の評価
(1)大豆タンパク質およびココア粉末の沈殿防止
実施例5で得られたココア豆乳飲料1〜11について、ガラス製のサンプルビンに入れ、冷蔵庫に5〜6日間静置し、大豆タンパク質とココア粉末の沈殿があるかどうか目視で確認し、沈殿防止効果を評価した。結果を表3に示した。
(2)風味
実施例5で得られたココア豆乳飲料1〜11について、それぞれ試飲して風味を確認した。結果を表3に示した。
(3)ココア豆乳飲料の粘度
実施例5で得られたココア豆乳飲料1〜11について、液温20℃においてBL型粘度計を用い、回転数60rpmにて粘度を求めた。
Figure 0006163427
製造例1〜5および7の粉末褐藻を添加したココア豆乳飲料1〜5および7は、大豆タンパク質およびココア粉末の沈殿が防止され、風味も良い飲料であった。また、粉末褐藻の添加による着色の問題も生じなかった。なお、ココア豆乳飲料1〜5および7は、いずれも1〜40mPa・s程度の低い粘度を有しており、表3に示された沈殿防止効果は、増粘作用によるものではないと考えられた。
実施例7:ココア乳飲料の製造
ココア乳飲料1〜5
上記実施例1の粉末褐藻(製造例1〜3、5または6)をそれぞれ0.3重量部用い、砂糖5重量部、食塩0.05重量部、ココア粉末1重量部、グリセリン脂肪酸エステル(エキセル、花王社製)0.1重量部、ショ糖脂肪酸エステル(DKエステル、第一工業製薬社製)0.03重量部と共に混合し、これを牛乳23重量部に常温で分散した後、全部で100重量部になるよう残部の水を加えた。これを75℃になるまで攪拌しながら加熱溶解し、次いで高圧乳化機(APV−100、APVシステムズ社)により15MPaで均質化した後、沸騰水中で10分間殺菌してココア乳飲料を製造した。出来上がったココア乳飲料をそれぞれココア乳飲料1〜5とした。
ココア乳飲料6〜8
上記のココア乳飲料1〜5の製造方法のうち、粉末褐藻の代わりに:乳飲料の沈殿防止にしばしば使用されるカラギーナン(ゲニュラクタ タイプK−100−J、三晶社製)0.2重量部;アイスクリームミックスの沈殿防止にしばしば使用され、昆布中の主要な多糖類であるアルギン酸ナトリウム(ダックアルギン、キッコーマンバイオケミファ社製)0.2重量部;または乳飲料の沈殿防止にしばしば使用される微結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラスFD−101)0.2重量部を使用し、それ以外は同様に製造し、乳飲料6〜8を得た。
ココア乳飲料9
上記ココア乳飲料1〜5の製造方法のうち、粉末褐藻を使用せず、それ以外は同様に製造し、乳飲料9を得た。
実施例8:ココア乳飲料の評価
(1)乳タンパク質およびココア粉末の沈殿防止
実施例7で得られた乳飲料1〜9について、ガラス製のサンプルビンに入れ、冷蔵庫に5〜6日間静置し、大豆タンパク質とココア粉末の沈殿があるかどうか目視で確認し、沈殿防止効果を評価した。結果を表4に示した。
(2)風味
実施例7で得られた乳飲料1〜9について、それぞれ試飲して風味を確認した。結果を表4に示した。
(3)ココア乳飲料の粘度
実施例7で得られたココア乳飲料1〜9について、液温20℃においてBL型粘度計を用い、回転数60rpmにて粘度を求めた。
Figure 0006163427
製造例1〜3または5の粉末褐藻を添加した乳飲料1〜4は、乳タンパク質およびココア粉末の沈殿が防止され、風味も良い飲料であった。また、粉末褐藻の添加による着色の問題も生じなかった。なお、乳飲料1〜4は、いずれも1〜60mPa・s程度の低い粘度を有しており、表4に示された沈殿防止効果は、増粘作用によるものではないと考えられた。
実施例9:抹茶乳飲料の製造
抹茶乳飲料1〜5
上記実施例1の粉末褐藻(製造例1〜3、5または6)をそれぞれ0.3重量部用い、砂糖7重量部、食塩0.04重量部、抹茶粉末1重量部と共に混合し、これを牛乳30重量部に常温で分散した後、全部で100重量部になるよう残部の水を加えた。これを75℃になるまで攪拌しながら加熱溶解し、次いで高圧乳化機(APV−100、APVシステムズ社)により20MPaで均質化した後、沸騰水中で10分間殺菌して乳飲料を製造した。出来上がった抹茶乳飲料をそれぞれ抹茶乳飲料1〜5とした。
抹茶乳飲料6〜8
上記の抹茶乳飲料1〜5の製造方法のうち、粉末褐藻の代わりに:乳飲料の沈殿防止にしばしば使用されるカラギーナン(ゲニュラクタ タイプK−100−J、三晶社製)0.2重量部;アイスクリームミックスの沈殿防止にしばしば使用され、昆布中の主要な多糖類であるアルギン酸ナトリウム(ダックアルギン、キッコーマンバイオケミファ社製)0.2重量部;または乳飲料の沈殿防止にしばしば使用される微結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラスFD−101)0.2重量部を使用し、それ以外は同様に製造し、抹茶乳飲料6〜8を得た。
抹茶乳飲料9
上記抹茶乳飲料1〜5の製造方法のうち、粉末褐藻を使用せず、それ以外は同様に製造し、抹茶乳飲料9を得た。
実施例10:抹茶乳飲料の評価
(1)乳タンパク質および抹茶粉末の沈殿防止
実施例9で得られた抹茶乳飲料1〜9について、ガラス製のサンプルビンに入れ、冷蔵庫に5〜6日間静置し、乳タンパク質と抹茶粉末の沈殿があるかどうか目視で確認し、沈殿防止効果を評価した。結果を表5に示した。
(2)風味
実施例9で得られた抹茶乳飲料1〜9について、それぞれ試飲して風味を確認した。結果を表5に示した。
(3)抹茶乳飲料の粘度
実施例9で得られた抹茶乳飲料1〜9について、液温20℃においてBL型粘度計を用い、回転数60rpmにて粘度を求めた。
Figure 0006163427
製造例1〜3または5の粉末褐藻を添加した抹茶乳飲料1〜4は、乳タンパク質および抹茶粉末の沈殿が防止され、風味も良い飲料であった。また、粉末褐藻の添加による着色の問題も生じなかった。なお、抹茶乳飲料1〜4は、いずれも1〜60mPa・s程度の低い粘度を有しており、表5に示された沈殿防止効果は、増粘作用によるものではないと考えられた。
上記実施例6に示すように、本発明による粉末褐藻は、飲料、特に乳飲料の沈殿防止によく使用されるカラギーナンでもなし得なかった、ココア豆乳飲料に対して優れた沈殿防止作用を有した。また、上記実施例7に示すように、豆乳の代わりに牛乳を用いた飲料においても沈殿防止作用を有した。さらに上記実施例10に示すように、抹茶粉末を使用した飲料においてもココア粉末を使用した場合と同様に沈殿防止作用を有した。従って、従来カラギーナンを使用して沈殿防止を行っていた飲料のみならず、今まで沈殿や分離のために商品化できていなかった液体商品に添加することで新たな液体商品を生み出せる可能性があり、非常に商品価値の高いものと考えられる。
実施例11:食パン
11−1 食パンの製造
強力粉90重量部にタピオカ澱粉10重量部を入れて粉体混合し、100重量部とした。
これに上白糖5重量部、食塩2重量部、脱脂粉乳2重量部、イーストフード0.1重量部を粉体混合した。
さらに、従来一般にパンの改良剤として用いられている食品添加物である、微結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラスFD−101)、ペクチン(ハーキュリーズ社製、ゲニュペクチンFreeze−J)、アルギン酸ナトリウム(キッコーマンバイオケミファ社製、ダックアルギン)、アルギン酸カルシウム(FMCバイオポリマー社製、TXF 200)またはアルギン酸エステル(キッコーマンバイオケミファ社製、ダックロイド)あるいは製造例1または6の粉末褐藻のうちいずれか一種0.5重量部を改良剤として加えてよく混合した。
この粉体を、それぞれ、ミキサー(エスケーミキサー社製、エスケー10)に投入し、ドライイースト1.5重量部を水65重量部の一部に分散させたものを添加した後、さらに残りの水を加えて低速3分間、中速6分間ミキシングした。
さらに、ショートニング5重量部を添加して、低速3分間、中速6分間、高速2分間ミキシングして生地玉を得た。
生地の捏ねあがり温度は約28℃になるよう、粉温、水温、室温を適宜調節した。得られた生地玉を容器に入れ、濡れタオルで覆ってから恒温機に入れて、30℃で70分間、発酵させた。生地のガス抜きをした後、280gに分割した。
ベンチタイムを25分間とった後、成形して型に入れてからホイロに入れ、38℃、湿度85%の条件で60分間、最終発酵させた。
これをオーブンに入れ、210℃で20分間焼成し、食パンを得た。
得られた食パンを室温まで冷却した。一方、上記の食パン製造において、改良剤を加えないものを同様に製造し、対照とした。
11−2 相対体積
上記11−1で製造したそれぞれのパンについて、製造翌日に高さを測定し、型の縦長および横長を乗じてパンの体積を算出し、以下の計算式により、パンの相対体積(部)を算出した。
Figure 0006163427
相対体積とは、各試験区の体積を対照区の体積で除した後、部表示したものである。パンの体積は、大きいほうが見た目がふっくらとするし、組織の比重すなわち1cmあたりの重量が軽くなってソフトな食感に影響を及ぼすと思われ、好ましい場合も多いが、体積が大きすぎると組織がスカスカになって巣立ち現象が起きたり、噛み切れにくい現象につながることもあり、注意が必要である。
結果を下記表6に示す。添加する改良剤の違いにより、相対体積の異なるパンが得られた。製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来、用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても遜色ないか、より好ましい相対体積を有するパンが得られた。
11−3 相対歩留まり
上記11−1におけるそれぞれのパンの製造時の焼成前の生地玉の重量および出来上がったパンの製造翌日の重量を測定し、以下の計算式により、パン重量の生地重量に対する割合を示す重量歩留まり(部)から、相対歩留まり(部)を算出した。
相対歩留まりとは、試験区の焼成前後の重量歩留まりを対照区の重量歩留まりで除した後、部表示したものである。100を超えて数値が大きいと歩留まりを向上させる効果があるといえるが、数値が高すぎる場合、生焼けの可能性も出てくるので注意が必要である。
Figure 0006163427
結果を下記表6に示す。添加する改良剤の違いにより、相対歩留まりの異なるパンが得られた。製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来、用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても遜色ないか、より好ましい相対歩留まりを有するパンが得られた。
11−4 相対比容積
上記11−1で製造したそれぞれのパンについて、上記11−2および11−3に記載の手法で製造翌日のパンの体積と重量を測定した。以下の計算式により、パンの1cmあたりの重量に対する割合を示す比容積から、相対比容積(部)を算出した。
相対比容積とは、試験区の比容積を対照区の比容積で除した後、部表示したものである。100を超えて数値が大きいと1cmあたりの重量が軽くなってソフトな食感に影響を及ぼすと思われ、好ましい場合も多いが、値が高すぎると組織がスカスカになって巣立ち現象が起きたり、噛み切れにくい現象につながることもあり、注意が必要である。
Figure 0006163427
結果を下記表6に示す。添加する改良剤の違いにより、相対比容積の異なるパンが得られた。製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来、用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても遜色ないか、より好ましい相対比容積を有するパンが得られた。
Figure 0006163427
11−5 テクスチャー解析
上記11−1で製造したそれぞれのパンについて、製造翌日に、出来上がったパンを3cm厚に切り、レオメーター(サン科学社製、レオメーターCR−500DX)を用いて、以下の11−5−1〜11−5−6に記載のテクスチャー解析を行った。
分析条件は、プランジャー速度300mm/分、クリアランス10mm、繰り返し2回とした。
上記11−1で得られたそれぞれのパンについて、製造翌日の室温放置したものと、それを業務用電子レンジ(三洋電機産業社製、業務用レンジEM−1503T)にて1,500W、15秒間電子レンジ加熱処理したものについてテクスチャー解析を行った。
なお、相対弾力性、相対凝集性、相対ガム性および相対咀嚼性は、電子レンジ加熱処理したものでは分析が困難だったため、製造翌日の室温放置したパンについてのみテクスチャー解析を行った。
11−5−1 相対最大荷重
プランジャーを試料に押し込んで切断されるのに要する最大荷重(重量)を測定し、次いで、相対最大荷重(部)を算出した。
相対最大荷重とは、試験区の最大荷重を対照区の最大荷重で除した後、部表示したものである。この値が大きいと切断するのに大きな力を要するので、歯で噛んだり舌で押し潰したり手でちぎったりするのに力を要する硬いパンであり、値が小さいと歯で噛みやすく、舌で押し潰しやすく、手でちぎりやすい、すなわち「ソフト」なパンであることを示す。
11−5−2 相対変形率
プランジャーを試料に押し込んで切断されるまでに、試料が切れずに窪んで変形する元の厚さに対する比率である変形率(部)を測定し、次いで相対変形率を算出した。
相対変形率とは、試験区の変形率を対照区の変形率で除した後、部表示したものである。この値が大きいと切断されるまでに試料が窪んで変形する長さが長く、なかなか切れないパンであり、値が小さいと変形する長さが短く、切りやすく「サクッとソフト」あるいは「サックリソフト」な食感をもつパンであることを示す。
11−5−3 相対弾力性
テクスチャー解析において、プランジャーが試料に押し込まれることによる試料の変形が、力を取り去った時に戻る割合を測定し、その比率を弾力性として表した。試験区の弾力性を対照区の弾力性で除した後、部表示して相対弾力性を算出した。
この値が大きいと押した時の戻りが強く弾力があることを意味し、値が小さいと戻りが悪くへこんだままになって弾力が弱いことを意味する。すなわち、値が大きいと「コシ」のある食感を持つパンであることを示す。
11−5−4 相対凝集性
テクスチャー解析において、プランジャーを試料に押し込んで負荷をかけることを2回繰り返し、1回目と2回目の負荷エネルギーの比率を測定し、これを凝集性として表した。
試験区の凝集性を対照区の凝集性で除した後、部表示して相対凝集性を算出した。この値が大きいと変形しにくく崩れにくい、すなわち、食べにくいパンであり、値が小さいと「崩れやすく」、「食べやすい」、「口溶けが良い」食感をもつパンであることを示す。
11−5−5 相対ガム性
上記11−5−4で測定した凝集性に、上記11−5−1で測定した最大荷重を乗じた値を、ガム性として表した。
試験区のガム性を対照区のガム性で除した後、部表示して相対ガム性を算出した。この値が大きいとゴム状感・ガム状感・糊感が強く、すなわち飲み込みにくいパンであり、値が小さいとゴム状感が少なくて「崩れやすく」、「飲み込みやすい」食感を持つパンであることを示す。
11−5−6 相対咀嚼
上記11−5−3で測定した弾力性に、上記11−5−5で測定したガム性を乗じた値を、咀嚼性として表した。
試験区の咀嚼性を対照区の咀嚼性で除した後、部表示して相対咀嚼性を算出した。この値が大きいと咀嚼するのに要する力が大きく、すなわち、飲み込める状態にまで砕くのに要する力が大きくて咀嚼しにくいパンであり、値が小さいと咀嚼に要する力が少なく、「咀嚼しやすい」、「口溶けが良い」食感を持つパンであることを示す。
上記のテクスチャー解析について、室温放置したパンの結果を表7に、パンを業務用電子レンジで加熱処理した直後の結果を表8に示す。
Figure 0006163427
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、テクスチャー解析のいずれの項目においても好ましい値を有し、従来、用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても遜色ないか、より好ましいテクスチャーのパンが得られた。
11−6 官能検査
上記11−1で製造したそれぞれのパンについて、製造翌日に、官能検査を行った。具体的には、ソフトな食感であるか、心地良い弾力感であるか、口溶けが良いかについて、対照区を0とし、良い方を+として−3から+3の7段階で評価し、平均点で示した。
官能検査は、訓練された延べ15人のパネルによって行った。また、最も自分が好きな食感のパン1つを選ばせ、嗜好性として人数で表した。
一方、出来上がったパンの見た目について、包丁で切断した面を評価した。結果を表9に示す。
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、官能検査のいずれの項目においてもバランス良く高い評価を有し、従来、用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても合計点および嗜好性が最も高いパンが得られた。また製造例6の粉末褐藻を配合した場合、官能検査のいずれの項目においても評価が低く、合計点および嗜好性も低く、さらに黒点を有し、見た目にも好ましいとはいえないパンが得られた。
実施例12:中華麺
12−1 中華麺の製造
95.0重量部の準強力粉に5.0重量部のタピオカ澱粉を加えてよく混合し、100.0重量部の粉体とした。
この100.0重量部に対し、さらに、従来一般に麺類の改良剤として用いられている食品添加物である、微結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラスFD−101)、κ−カラギーナン(三晶社、ゲニュラクタ タイプK−100−J)、カードラン(武田薬品工業社製、カードラン)、グアーガム(三栄薬品貿易社製、グアコールU−40)、キサンタンガム(丸善薬品産業社製、キサンタンFNCS)、アルギン酸ナトリウム(キッコーマンバイオケミファ社製、ダックアルギン)またはアルギン酸カルシウム(FMCバイオポリマー社製、TXF 200)、あるいは製造例1または6の粉末褐藻のうちいずれか一種0.5重量部を改良剤として加えてよく混合した。
一方、1.0重量部の食塩をよく混ぜ、これを34.0重量部の水に溶かし懸濁させ練り水とした。
これを上記の準強力粉、タピオカ澱粉および改良剤の混合粉体のそれぞれに加えて10分間混合し、10分の熟成時間を取った後、常法により生地を圧延ロールに通して粗麺帯を作り(3.0mm)、これを2枚重ねにしてロールに通す作業を2回繰り返した。
これを同じロールで2.0mm→1.5mm→1.0mmまで順次圧延したあと、角20番の切刃を装着した切り出し機に通して、麺線状に切り出して生麺を得た。
この生中華麺を、生のままポリ袋に入れて冷蔵庫で一晩保管した。
一方、上記の中華麺の製造において、改良剤を加えないものを同様に製造し、対照とした。
12−2 麺線引っ張り試験
上記12−1で製造したそれぞれの中華麺について、製造翌日に生中華麺の麺線を8cmに切り、沸騰水で3分30秒間茹でた後、レオメーター(サン科学社製、レオメーターCR−500DX)を用いて以下の12−2−1および12−2−2の引っ張り試験を行った。
分析条件は、引張り速度150mm/分とし、麺線が引っ張られて切れるまでとした。
12−2−1 相対引っ張り応力
麺線を反対方向に引っ張り、切断されるのに要する引っ張り応力(重量)を測定し、次いで、相対引っ張り応力(部)を算出した。
相対引っ張り応力とは、試験区の引っ張り応力を対照区の引っ張り応力で除した後、部表示したものである。この値が小さいと、少ない力で麺線が切断されるので、歯で噛みやすく舌で押し潰しやすいが、麺がのびてしまった時もこの値が下がり、柔らかくソフトな麺であることを示す。この値が大きいと歯で噛んだり舌で押し潰したり手でちぎったりするのに力を要し、麺のコシにも関与すると言われ、「硬く」「歯応えがある」麺であることを示す。結果を表10に示す。
12−2−2 相対変形率
麺線を反対方向に引っ張り、切断されるまでに、試料が切れずに伸びて変形する元の長さに対する比率である変形率(部)を測定し、次いで相対変形率を算出した。
相対変形率とは、試験区の変形率を対照区の変形率で除した後、部表示したものである。この値が小さいと変形する長さが短く、切れやすいので、麺としては「ブツっと切れやすい」ことを意味する。この値が大きいと切断されるまでに試料が変形する長さが長く、麺のコシにも関与すると言われ、ゴムのようになかなか切れずに伸びて、「伸びのある」麺であることを示す。結果を表10に示す。
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来の食品添加物を添加した場合と比較しても遜色のない、歯ごたえがよく、しかも伸びのある中華麺が得られた。
12−3 官能検査
上記12−1で製造したそれぞれの中華麺について、製造翌日に、官能検査を行った。
官能検査は、それぞれの生中華麺を沸騰したお湯の中で3分30秒間茹でて調理し、スープの入った器に入れたものについて、調理直後とスープに10分間保持した後に実施した。具体的には、調理直後の麺について、なめらかな食感であるか、硬さは十分か、心地良い弾力があるか、そして、スープに10分間保持後の麺について、茹で延び具合を、対照区を0とし、良い方を+として−3から+3の7段階で評価し、平均点で示した。
官能検査は、訓練された延べ20人のパネルによって行った。また、最も自分が好きな食感の麺1つを選ばせ、嗜好性として人数で表した。一方、ゆでた中華麺の見た目について、目視で色を評価した。結果を表11に示す。
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、官能検査のいずれの項目においてもバランス良く高い評価を有し、従来、用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても合計点および嗜好性が最も高い中華麺が得られた。また製造例6の粉末褐藻を配合した場合、嗜好性が低く、見た目も茶色く好ましいとはいえない中華麺が得られた。
実施例13:うどん
13−1 うどんの製造
100.0重量部の中力粉に、実施例12で用いた改良剤(従来一般に麺類の改良剤として用いられている食品添加物である、微結晶セルロース、κ−カラギーナン、カードラン、グアーガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カルシウムあるいは製造例1または6の粉末褐藻のうちいずれか一種)0.5重量部を加えてよく混合した。
一方、2.0重量部の食塩を34.0重量部の水に溶かし懸濁させ練り水とした。
これを上記の中力粉と改良剤の混合物のそれぞれに加えて10分間混合し、10分の熟成時間を取った後、常法により生地を圧延ロールに通して粗麺帯を作り(3.0mm)、これを2枚重ねにしてロールに通す作業を2回繰り返した。
これを同じロールで2.3mm→2.0mm→1.7mmまで順次圧延したあと、角10番の切刃を装着した切り出し機に通して、麺線状に切り出して生麺を得た。
この生うどんを、生のままポリ袋に入れて冷蔵庫で一晩保管した。
一方、上記のうどんの製造において、改良剤を加えないものを同様に製造し、対照とした。
13−2 麺線引っ張り試験
上記13−1で製造したそれぞれのうどんについて、製造翌日に生うどんの麺線を8cmに切り、沸騰水で15分間茹でた後、上記12−2と同様の手法を用いて引っ張り試験を行った。結果を表12に示す。
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来の食品添加物を添加した場合と比較してもより好ましい、歯ごたえがよく、しかも伸びのあるうどんが得られた。
13−3 官能検査
上記13−1で製造したそれぞれのうどんについて、製造翌日に、官能検査を行った。
官能検査は、それぞれの生うどんを沸騰したお湯の中で15分間茹でて調理し、スープの入った器に入れたものについて、調理直後とスープに10分間保持した後に実施した。具体的には、調理直後の麺について、なめらかな食感であるか、硬さは十分か、および心地良いモチモチ感の粘弾性があるかを、そして、スープに10分間保持後の麺について、茹で延び具合を、対照区を0とし、良い方を+として−3から+3の7段階で評価し、平均点で示した。
官能検査は訓練された延べ20人のパネルによって行った。また、最も自分が好きな食感の麺1つを選ばせ、嗜好性として人数で表した。一方、ゆでたうどんの見た目について、目視で色を評価した。結果を表13に示す。
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、官能検査のいずれの項目においてもバランス良く高い評価を有し、従来、用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても合計点および嗜好性が最も高いうどんが得られた。また製造例6の粉末褐藻を配合した場合、嗜好性が低く、見た目も薄褐色で好ましいとはいえないうどんが得られた。
実施例14:中華まん
14−1 中華まんの製造
準強力粉50.0重量部と薄力粉50.0重量部をよく混合し、これに対して砂糖15重量部、食塩0.5重量部、ベーキングパウダー1.0重量部を加えた。
さらに、従来一般に中華まんの改良剤として用いられている食品添加物であるアルギン酸ナトリウム(キッコーマンバイオケミファ社製、ダックアルギン)または微結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラス FD−101)あるいは製造例1または6の粉末褐藻のいずれか一種0.5重量部を改良剤として添加し、よく混合した。
この粉体を、ミキサー(エスケーミキサー社製、エスケー10)に投入し、ショートニングと、ドライイースト2.0重量部を水54重量部に分散させたものを添加した後、低速で3分、高速で3分ミキシングした。
ミキシング終了後、生地を濡れタオルで覆い、室温で20分間発酵させた。発酵後、生地を50gずつに分け、クッキングペーパーを引いた鉄板の上に丸めて並べた。20分のベンチタイム後、めん棒で生地を平らに伸ばして餡を包むような形状に成形した。これを40℃、湿度50%の条件に設定したホイロに30分間入れて二次発酵させた。
発酵後、蒸し器で15分蒸し上げ、20分間室温で放冷した。
その後、5℃の冷蔵庫に一晩保存した。
一方、上記の中華まんの製造において、改良剤を加えていないものを同様に製造し、対照とした。
14−2 相対体積
上記14−1で製造したそれぞれの中華まんについて、製造翌日に高さおよび底面の円の直径を測定し、また、直径から半径を計算した。それぞれの中華まんの体積は以下の計算式により算出した。
Figure 0006163427
また、得られた体積から相対体積を算出した。相対体積とは、各試験区の体積を対照区の体積で除した後、部表示したものである。中華まんの体積は、大きいほうが見た目がふっくらとし、組織の比重すなわち1cmあたりの重量が軽くなってソフトな食感に影響を及ぼすと思われ、好ましい場合も多いが、体積が大きすぎると組織がスカスカになって巣立ち現象が起きたり、噛み切れにくい現象につながることもあり、注意が必要である。結果を表14に示す。
Figure 0006163427
添加する改良剤の違いにより、相対体積の異なる中華まんが得られた。製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来、用いられている食品添加物を添加した場合と比較して、より好ましい相対体積を有する中華まんが得られた。
14−3 テクスチャー解析
上記14−1で製造し、冷蔵保存したそれぞれの中華まんを、製造翌日に3cmの厚さになるように上部を切り落とし、ラップをして電子レンジで1500W、15秒間加熱した後、レオメーター((株)サン科学、レオメーターCR−500DX)を用いて、以下の14−3−1〜14−3−5に記載のテクスチャー解析を行った。測定条件は、プランジャー速度120mm/分、クリアランス20mm、繰り返し2回とした。結果を表15に示す。
14−3−1 相対最大荷重
プランジャーを試料に押し込んで切断されるのに要する最大荷重(重量)を測定し、次いで相対最大荷重(部)を算出した。
相対最大荷重とは、試験区の最大荷重を対照区の最大荷重で除した後、部表示したものである。この値が大きいと切断するのに大きな力を要するので、歯で噛んだり舌で押し潰したり手でちぎったりするのに力を要する硬い中華まんであり、値が小さいと歯で噛みやすく、舌で押し潰しやすく、手でちぎりやすい、すなわち「ソフト」な中華まんであることを示す。
14−3−2 相対弾力性
テクスチャー解析において、プランジャーが試料に押し込まれることによる試料の変形が、力を取り去った時に戻る割合を測定し、その比率を弾力性として表した。試験区の弾力性を対照区の弾力性で除した後、部表示して相対弾力性を算出した。
この値が大きいと押した時の戻りが強く弾力があることを意味し、値が小さいと戻りが悪くへこんだままになって弾力が弱いことを意味する。すなわち、値が大きいと「コシ」のある食感を持つ中華まんであることを示す。
14−3−3 相対凝集性
テクスチャー解析において、プランジャーを試料に押し込んで負荷をかけることを2回繰り返し、1回目と2回目の負荷エネルギーの比率を測定し、これを凝集性として表した。
試験区の凝集性を対照区の凝集性で除した後、部表示して相対凝集性を算出した。この値が大きいと変形しにくく崩れにくい、すなわち食べにくい中華まんであり、値が小さいと「崩れやすく」「食べやすい」、「口溶けが良い」食感をもつ中華まんであることを示す。
14−3−4 相対ガム性
上記14−3−3で測定した凝集性に、上記14−3−1で測定した最大荷重を乗じた値を、ガム性として表した。
試験区のガム性を対照区のガム性で除した後、部表示して相対ガム性を算出した。この値が大きいとゴム状感・ガム状感・糊感が強く、すなわち飲み込みにくい中華まんであり、値が小さいとゴム状感が少なく「崩れやすく」「飲み込みやすい」食感を持つ中華まんであることを示す。
14−3−5 相対咀嚼
上記14−3−2で測定した弾力性に、上記14−3−4で測定したガム性を乗じた値を、咀嚼性として表した。
試験区の咀嚼性を対照区の咀嚼性で除した後、部表示して相対咀嚼性を算出した。この値が大きいと咀嚼するのに要する力が大きく、すなわち飲み込める状態にまで砕くのに要する力が大きくて咀嚼しにくい中華まんであり、値が小さいと咀嚼に要する力が少なく、「咀嚼しやすい」「口溶けが良い」食感を持つ中華まんであることを示す。
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、テクスチャー解析のいずれの項目においても、従来、用いられている食品添加物を添加した場合と比較して遜色ないか、好ましい値を有する中華まんが得られた。
14−4 官能検査
上記14−1で製造し、冷蔵保存したそれぞれの中華まんについてラップをして電子レンジで1500W、30秒間加熱した後、官能検査に供した。官能試験では、ソフトな食感であるか、心地良い弾力感であるか、口溶けが良いかについて、対照区を0とし、良い方を+として−3から+3の7段階で評価し、平均点で示した。
官能検査は、訓練された延べ4人のパネルによって行った。また、最も自分が好きな食感のパン1つを選ばせ、嗜好性として人数で表した。
一方、出来上がった中華まんの見た目について、目視で評価した。結果を表16に示す。
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、官能検査のいずれの項目においてもバランス良く高い評価を有し、合計点および嗜好性についても、従来中華まんに使用されている食品添加物を添加した場合と比較しても遜色ないか、より好ましい評価の中華まんが得られた。また製造例6の粉末褐藻を配合した場合、官能検査のいずれの項目も評価は低くはなかったが、ひどい海藻臭がして嗜好性が低く、さらに黒点も有し、見た目にも好ましいとはいえない中華まんが得られた。
実施例15:乳製品1
15−1 アイスクリームの製造
水48.2重量部、加糖練乳14.0重量部、生クリーム(乳脂肪分45%)10.0重量部、水飴7.0重量部を液体混合した。脱脂粉乳12.0重量部、上白糖4.0重量部、グリセリン脂肪酸エステル0.3重量部を粉体で混合したものに、従来一般にアイスクリームの改良剤として用いられている食品添加物である、ローカストビーンガム(MRCポリサッカライド社製、ソアローカストA−120H)、グアーガム(三栄薬品貿易社製、グアーコールU40)、タマリンドガム(大日本住友製薬社製、グリロイド2A)、アルギン酸ナトリウム(キッコーマンバイオケミファ社製、ダックアルギン)、微結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラスFD101)、κ-カラギーナン(三晶社製、GENU LACTA TYPE K−100−J)またはアルギン酸エステル(キッコーマンバイオケミファ社製、ダックロイド)、あるいは製造例1または6の粉末褐藻のいずれか1種0.3重量部を改良剤として混合した。
この混合粉体を先ほどの混合液体に加え、加熱沸騰中で加温し、分散・溶解させた。65℃に達したら、溶かした無塩バター4.0重量部を加えて1,200回転で1分間ホモジナイズした。ホモジナイズ後、再び沸騰水で85℃になるまで加温し、その後冷蔵庫で冷却した。冷却後に蒸発した水分量を補正し、これにバニラオイル0.1重量、バニラエッセンス0.1重量部を加えてよく攪拌してアイスクリームミックスを得た。
得られたアイスクリームミックスをフリーザーに投入し、−8℃で約28分間攪拌してアイスクリームを得た。得られたアイスクリームは、容器に入れ、−18℃で保存した。一方で、前述のアイスクリームに改良剤を加えないものを製造し、対照区として試験に供した。
15−2 オーバーランの測定
上記15−1で製造したそれぞれのアイスクリームについて、凍結前のアイスクリームミックスの重量(g)と同容量の冷凍後のアイスクリームの重量(g)をそれぞれ測定し、以下の計算式により各アイスクリームのオーバーランを算出した(数5)。
オーバーランは、アイスクリームへの空気の混合割合を表す数値であり、オーバーランの値が高いとさっぱりとした軽い口当たりに、オーバーランの値が低いとねっとりとした重い口当たりのものになるため、得たいアイスクリームの口当たりによって調製する必要がある。
Figure 0006163427
結果を下記表17に示す。
添加する改良剤の違いにより、オーバーランの異なるアイスクリームが得られた。製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来、改良剤として用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても遜色ないか、より好ましい相対体積を有するアイスクリームが得られた。
15−3 ヒートショック耐性試験(保形率)
冷凍保存したアイスクリームをアイスディッシャーを用いて小型カップに入れ、カップにフィルムの蓋をして5℃で1時間放置した後、−18℃で1時間放置した。これを5回繰り返し、最後に室温で30分放置した。冷凍時(室温に放置する前)の重量と室温に放置して30分後の溶けていないアイスクリーム部分の重量を測定し、以下に示す計算式により保形率を求めた(数6)。
アイスクリームは、流通過程において常に冷凍状態であることが望ましいが、実際には常温でしばらく放置されて、再び冷凍されることがある。これをヒートショックと呼ぶ。ヒートショック耐性が弱いと、溶けやすく、アイスクリーム中の氷結晶のキメが粗くなり、口当たりが悪くなる。現在のアイスクリームの流通状況から、ヒートショック耐性に優れたものが求められる。
Figure 0006163427
結果を下記表17に示す。
添加する改良剤の違いにより、保形率の異なるアイスクリームが得られた。製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来、用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても遜色ないか、より好ましい保形率のアイスクリームが得られた。保形率の改善したアイスクリームでは、目視でも離水防止が確認され、ホエイオフ防止・離水防止作用により、保形率が改善したと考えられた。
Figure 0006163427
15−4 官能検査
上記15−1で製造したそれぞれのアイスクリームおよび上記15−3でヒートショックを与えたそれぞれのアイスクリームについて、官能検査を行った。具体的には、サジ通りが良いか、氷結晶のキメは細かいか、口溶けは良いかおよびボディ感は高いかについて、対照区を0とし、良いほうを+として−3から+3の7段階で評価し、平均点で示した。
通常のアイスクリームの官能検査は、延べ13人のパネル、ヒートショック後のアイスクリームの官能検査は延べ10人のパネルで行った。また、自分が最も好きな食感のアイスクリームを1つ選ばせ、嗜好性として人数で表した。
15−1で製造したアイスクリームについての結果を表18に、15−3でヒートショックを与えたアイスクリームについての結果を表19に、それぞれ示す。
Figure 0006163427
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、官能検査のいずれの項目においてもバランス良く高い評価を有し、従来、改良剤として用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても合計点および嗜好性が最も高いアイスクリームが得られた。ヒートショック後のアイスクリームの官能検査でも、従来、改良剤として用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても遜色なく、嗜好性が最も高いアイスクリームが得られた。また、製造例6の粉末褐藻を配合した場合、官能検査のいずれの項目においても評価が低く、合計点および嗜好性も低く、さらに黒点を有し、見た目にも好ましいとはいえないアイスクリームが得られた。
実施例16:乳製品2
16−1 プロセスチーズの製造
ナチュラルチーズ85重量部、水12.75重量部、ポリリン酸ナトリウム1.7重量部、重曹0.38重量部、グリセリン脂肪酸エステル0.17重量部を容器に量り取り、これに、従来一般にプロセスチーズの改良剤として用いられている食品添加物である、ローカストビーンガム(MRCポリサッカライド社製、ソアローカストA−120H)、キサンタンガム(丸善薬品産業社製、キサンタンCNJS)またはアルギン酸ナトリウム(キッコーマンバイオケミファ社製、ダックアルギン)、あるいは製造例1または6の粉末褐藻のいずれか1種類0.3重量部を改良剤として添加して、容器ごと加熱沸騰水浴に入れてよく攪拌し、分散・溶解させた。
分散・溶解後、蒸発した水分量を補正し、小型カップに50gずつ分注した。室温にてしばらく放冷した後、カップにフィルムの蓋をして5℃の冷蔵庫で保存した。一方で、前述のプロセスチーズに改良剤を加えないものを製造し、対照区として試験に供した。
16−2 テクスチャー解析
上記16−1で製造し、冷蔵保存したそれぞれのプロセスチーズについて、製造後数日以内にレオメーター(サン科学社製、レオメーターCR−500DX)を用いて、以下の3−2−1〜3−2−4に記載のテクスチャー解析を行った。測定条件は、プランジャー速度60mm/分、クリアランス15mm、繰り返し2回とした。
結果を表20に示す。
16−2−1 相対最大荷重
プランジャーを試料に押し込んで切断されるのに要する最大荷重(重量)を測定し、次いで、相対最大荷重(部)を算出した。
相対最大荷重とは、試験区の最大荷重を対照区の最大荷重で除した後、部表示したものである。この値が大きいと切断するのに大きな力を要するので、歯で噛んだり舌で押し潰したり手でちぎったりするのに力を要する硬いプロセスチーズであり、値が小さいと歯で噛みやすく、舌で押し潰しやすく、手でちぎりやすい、すなわち「ソフト」なプロセスチーズであることを示す。
16−2−2 相対変形率
プロセスチーズを圧縮し、チーズが割けるまで負荷をかけ、試料が割けずに圧縮して変形する厚さのもとの厚さに対する比率である変形率(部)を測定し、次いで、相対変形率を算出した。相対変形率とは、試験区の変形率を対照区の変形率で除した後、部表示したものである。この値が小さいと割きやすく歯切れの良いプロセスチーズであることを意味する。
16−2−3 相対弾力性
テクスチャー解析において、プランジャーが試料に押し込まれることによる試料の変形が、力を取り去った時に戻る割合を測定し、その比率を弾力性として表した。試験区の弾力性を対照区の弾力性で除した後、部表示して相対弾力性を算出した。
この値が大きいと押した時の戻りが強く弾力があることを意味し、値が小さいと戻りが悪くへこんだままになって弾力が弱いことを意味する。すなわち、値が大きいと噛みごたえのあるプロセスチーズであることを示す。
16−2−4 相対凝集性
テクスチャー解析において、プランジャーを試料に押し込んで負荷をかけることを2回繰り返し、1回目と2回目の負荷エネルギーの比率を測定し、これを凝集性として表した。
試験区の凝集性を対照区の凝集性で除した後、部表示して相対凝集性を算出した。この値が大きいと変形しにくく崩れにくい、すなわち、保形性の良いプロセスチーズであることを示す。
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来、改良剤として用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても遜色のない、程良い硬さ、弾力のある割きやすく保形性のよいプロセスチーズを得ることができた。
16−3 官能検査
上記16−1で製造したそれぞれのプロセスチーズについて、官能検査を行った。
官能検査は、それぞれのプロセスチーズについて、具体的には、硬さがあるか、弾力があるか、口溶けは良いかおよび歯切れは良いかを、対照区を0とし、良い方を+として−3から+3の7段階で評価し、平均点で示した。
官能検査は、訓練された延べ4人のパネルによって行った。また、最も自分が好きな食感のプロセスチーズ1つを選ばせ、嗜好性として人数で表した。一方、プロセスチーズの見た目について、目視で色を評価した。
見た目についての結果を表20に、その他の官能検査の結果を表21に、それぞれ示す。
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、官能検査のいずれの項目においてもバランス良く高い評価を有し、従来、改良剤として用いられている食品添加物を添加した場合と比較しても合計点および嗜好性が最も高いプロセスチーズが得られた。また、製造例6の粉末褐藻を配合した場合、嗜好性が低く、見た目も茶色く黒点があり、好ましいとはいえないプロセスチーズが得られた。
実施例17:畜肉製品
17−1 ソーセージの製造
豚挽肉66.99重量部、氷水26.8重量部および豚脂(純製ラード)2.68重量部に対して、従来一般にソーセージの改良剤として用いられている食品添加物である、微結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、セオラスFD−101)、κ−カラギーナン(三晶社製、KC−200S)またはアルギン酸ナトリウム(キッコーマンバイオケミファ社製、ダックアルギン)、あるいは製造例1または6の粉末褐藻のいずれか1種を0.3重量部(改良剤として)、食塩1.68重量部、上白糖1重量部、リン酸塩製剤0.2重量部、うま味調味料0.2重量部、白胡椒0.14重量部、顆粒鶏がらスープ0.14重量部、ナツメッグ0.07重量部、アスコルビン酸ナトリウム0.03重量部、セージ0.03重量部、コリアンダー0.03重量部および亜硝酸ナトリウム0.01重量部の混合物を添加し、よく混ぜ合わせた。
この肉を、ソーセージフィラーを用いて天然羊腸に詰めた。適当な長さまで肉が詰まったら、タコ糸で縛り、切り取った後、75℃の湯浴中で40分間ボイルして茹でソーセージを得た。この茹でソーセージを一晩、冷蔵保存(5℃)し、翌日、試験に供した。一方、上記のソーセージ製造法のうち改良剤を加えなかったものを対照として、同様に製造した。
17−2 茹で歩留まり
上記17−1で製造したそれぞれのソーセージについて、75℃、40分間のボイル工程の前後の重量を測定して、茹で歩留まりを算出し、次いで、対照区の茹で歩留まりを100として相対茹で歩留まり(部)を以下の式により算出した(数7)。
Figure 0006163427
相対茹で歩留まりは、ボイル工程後に肉汁をいかに貯めこんでいるか、よりジューシーな食味となっているかを表す指標の1つであり、値が高ければそれだけ肉汁を貯めこんでいるといえる。
結果を表22に表す。
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来、改良剤として用いられている食品添加物を添加した場合よりさらに茹で歩留まりが高くなり、より多くの肉汁を貯めこめることができる質の高いソーセージを得られた。
17−3 水分値
上記17−1で製造したそれぞれのソーセージについて、製造翌日に、フードプロセッサーを用い皮ごとミンチにし、その10gを用いて乾燥減量法(105℃、4時間)にて水分値を測定し、次いで、対照区の水分値を100として相対水分値(部)を以下の式により算出した。
Figure 0006163427
相対水分値は、出来上がったソーセージにどれだけ肉汁が残っているか、よりジューシーな食味が残っているかを表す指標の1つであり、値が高ければそれだけ肉汁が残っているといえる。
結果を表23に表す。
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来、改良剤として用いられている食品添加物を添加した場合よりさらに水分値が高くなり、より多くの肉汁が残っている質の高いソーセージを得られた。
17−4 官能検査
上記17−1で製造したそれぞれのソーセージについて、製造翌日に、官能検査を行った。官能検査は、ソーセージを食べる直前に沸騰水中で3分間ボイルして調理し、官能検査に供した。
これらについて、ジューシー感、弾力、おいしさについて、対照区を0とし、良い方を+として−3から+3の7段階で評価し、平均点で示した。官能検査は、訓練された4人のパネルにより行った。結果を表24に示す。
Figure 0006163427
製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来の食品添加物を添加した場合と比較しても遜色のない、ジューシーで歯ごたえがよく、しかも、おいしいソーセージが得られた。製造例1の粉末褐藻は、カラギーナン等、ソーセージの食感改良剤として使用されている食品添加物を代替し得ると考えられた。
実施例18:ゲル化食品
18−1 ぶどうゼリーの製造
30.0重量部の上白糖に1.2重量部のクエン酸3ナトリウムおよび0.01重量部のヘキサメタリン酸ナトリウムを加えよく混合した。
さらに、従来、一般にゲル化食品のゲル化剤として用いられている食品添加物であるι−カラギーナン(マリンサイエンス社製、TS−150)またはペクチン(三晶社製、ゲニュペクチン121−J)あるいは製造例1または6の粉末褐藻のうちいずれか一種の4重量部または6重量部をゲル化剤として加えてよく混合した。
この粉体を20重量部の水に入れてよく攪拌して分散させ、さらに、20重量部の市販ぶどうジュース(100%ぶどう果汁飲料)、0.2重量部のぶどう香料および0.1重量部のクチナシ色素を加えてよく攪拌し混合した。
一方、0.2重量部の第2リン酸カルシウムおよび10重量部のグルコノデルタラクトンを全ての残量重量部の水に加え、よく混合した。
これを上記の粉体、水、ジュース、香料および色素を混合したものに加え、すばやく攪拌混合し、カップに充填した。これを冷蔵庫に入れ、一晩放置してゲル化させ、試験に供した。
18−2 ゲル破断強度試験
上記18−1で製造したそれぞれのぶどうゼリーについて、製造翌日にレオメーター(サン科学社製、レオメーターCR−500DX)を用いて以下の18−2−1および18−2−2のゲル破断強度試験を行った。
分析条件は、直径12.5mmのスタンプを用い、圧縮速度50mm/分にて行った。
18−2−1 ゲル強度
ゼリーをスタンプで圧縮し、ゼリーを破断するのに要する応力(重量)を測定してゲル強度を得た。ゲル強度は、ゼリーがきちんとゲル化している場合に得られる応力であり、ゼリーがゲル化しているか、ゼリーがしっかりしているか等のゼリーの硬さを表す指標である。
結果を表25に表す。
18−2−2 変形率
ゼリーをスタンプで圧縮し、ゼリーが歪んで行って破断されるまでの距離を測定し、それをゼリーの高さで割った値の部表示を変形率として得た。
変形率は、ゼリーの食感を表す指標の1つであり、値が低ければ、切れやすい、切れのある、口の中で崩れやすい、崩しやすい、シャープな食感等を有するゼリーであるといえる。値が高ければ、切れにくく、弾力のある、ぷるんとした、口の中で崩れにくい、切れにくい食感等を有するゼリーであるなどといえる。どちらの食感が良いかは、飲食者の好みにより異なる。
結果を表25に表す。
Figure 0006163427
従来、ゲル化剤として用いられている食品添加物のうち、ι−カラギーナンは、加熱しないとゲル化しないようであり、ゲル化したゼリーが得られなかった。製造例6の粉末褐藻を添加してもゲル化は起きなかった。
一方、製造例1の粉末褐藻を添加した場合、従来、ゲル化剤として用いられている食品添加物のペクチンを添加した場合と比較して、使用濃度4.0重量部では2倍以上のゲル強度を得られ、使用濃度6.0重量部においてもペクチンより高いゲル強度が得られ、製造例1の粉末褐藻は、加熱なしに高いゲル強度の得られる有用なゲル化剤であることが示された。
また、変形率については、製造例1の粉末褐藻を添加した場合、ペクチンを添加した場合と比較して変形率の低いゼリーとなり、従来とは異なる、切れやすい、切れのある、口の中で崩れやすい、崩しやすい、シャープな食感のゼリーを得ることができた。
本出願は、2011年10月11日に出願された日本国特許出願第2011−224237号、2012年2月8日に出願された日本国特許出願第2012−25592号および2012年4月23日に出願された日本国特許出願第2012−98018号に基づく優先権を主張するものであり、これらの内容はここに参照として組み込まれる。
本発明は、幅広く様々な食品および化粧品等に安全に使用することが可能な海藻由来の新規材料として、新規な粉末褐藻を提供することができるという産業上の利用可能性を有する。
さらに、本発明は、海藻色が低減され、色の問題なく使用できる粉末褐藻および海藻臭が低減され、臭いの問題なく使用できる粉末褐藻も提供することができるという産業上の利用可能性を有する。このような粉末褐藻は、例えば、飲食品の分野で用いる場合、配合しようとする食品が本来有する風味や色調を損ねることがなく、幅広く様々な食品に使用することが可能である。
また、本発明によれば、未処理では沈殿する粒子を含有する溶液を大幅に増粘することなく、優れた沈殿防止作用を発揮し、安全性も高い沈殿防止剤を提供することができ、例えば、乳化された溶液および/または粉末を含有する溶液である、飲料、食品、化粧水、洗剤、医薬品等、様々な分野における製品の沈殿防止が可能であるという産業上の利用可能性も有する。
また、本発明によれば、様々な分野における製品の本来の香りや色調を阻害することがない沈殿防止剤も提供することができ、該沈殿防止剤を用いて、本来の香りや色調に影響なく沈殿防止された製品および沈殿防止方法も提供することができるという産業上の利用可能性も有する。
さらに、本発明は、従来の食品添加物を代替することができ、同食品の食感、テクスチャー、体積、嗜好性等を十分に改良することができる、食品改良剤(特に、小麦粉食品改良剤および食品の増粘ゲル化改良剤)を提供することができるという産業上の利用可能性を有する。また、該食品改良剤を用いて、食品の食感、テクスチャー・体積、嗜好性等が十分に改善された食品および「美味しく」、「安価に」または「簡便に利用できるよう」改良された食品ならびにそれらの製造方法を提供することができるという産業上の利用可能性を有する。
また、本発明によれば、食品の本来の香りや色調を阻害することがない食品改良剤も提供することができ、該食品改良剤を用いて、本来の香りや色調に影響なく改良された食品ならびにその製造方法も提供することができるという産業上の利用可能性も有する。
このような本発明の食品改良剤は、食品分野、特にパン類、麺類、小麦菓子類、小麦ミックス粉類または中華まん類等の小麦粉食品の分野および増粘ゲル化による改良が行われている食品(乳製品、畜肉製品およびゲル化食品等)の分野において、産業上の利用可能性を有する。

Claims (18)

  1. 水溶性アルギン分および不溶性成分を含み、
    不溶性成分の含有量が5〜30重量%であり、
    水溶性アルギン分の含有量が30〜60重量%であり、
    水溶性アルギン分:不溶性成分の重量比が1:0.05〜1:1.1であり、
    色の明度を表すL値が45以上である、粉末褐藻。
  2. 色の明度を表すL値が70以上である、請求項に記載の粉末褐藻。
  3. 色の明度を表すL値が72以上である、請求項に記載の粉末褐藻。
  4. 褐藻を粉砕、洗浄および乾燥して得られる、請求項1〜のいずれか1項に記載の粉末褐藻であって、
    前記洗浄が、水、アルコール、脱色剤およびアルカリを含む洗浄溶液による洗浄である、粉末褐藻。
  5. 褐藻を粉砕、洗浄および乾燥する工程を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の粉末褐藻の製造方法であって、
    前記洗浄が、水、アルコール、脱色剤およびアルカリを含む洗浄溶液による洗浄である、方法。
  6. 褐藻を粉砕、洗浄および乾燥する工程を含む方法で得られる粉末褐藻を含む沈殿防止剤の製造方法であって、
    前記洗浄が、水、アルコール、脱色剤およびアルカリを含む洗浄溶液による洗浄であり、
    前記アルコールがメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびn−プロパノールからなる群から選択され、
    前記脱色剤が、次亜塩素酸ナトリウムであり、
    前記アルカリが、炭酸ナトリウムである、方法。
  7. 褐藻が、コンブ目レッソニア科またはコンブ目コンブ科に属する褐藻である、請求項又はに記載の方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の粉末褐藻を含む沈殿防止剤。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の粉末褐藻を0.01重量%〜5.0重量%含み、粘度が100mPa・s以下である、沈殿防止された沈殿粒子含有液。
  10. タンパク質含有飲料である、請求項に記載の沈殿粒子含有液。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載の粉末褐藻を沈殿粒子含有液に添加する工程を含む、沈殿粒子の沈殿防止方法。
  12. 請求項1〜のいずれか1項に記載の粉末褐藻を含む食品改良剤。
  13. 小麦粉食品改良剤または食品の増粘ゲル化改良剤である、請求項12に記載の食品改良剤。
  14. 請求項12に記載の食品改良剤を配合した食品であって、前記粉末褐藻を0.01〜20.0重量%含む食品。
  15. 小麦粉食品、乳製品、畜肉製品またはゲル化食品である、請求項14に記載の食品。
  16. パン類、麺類、小麦菓子類、小麦ミックス粉類または中華まん類である、請求項14に記載の食品。
  17. アイスクリーム類、シャーベット類、チーズ類、ヨーグルト類、ソーセージ類、ハンバーグ類、ミートボール類、練り肉類、練り魚類、ゼリー類、プリン類またはデザート類である、請求項14に記載の食品。
  18. 請求項12に記載の食品改良剤を食品に配合する工程を含む、食品の製造方法。
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