JP6478644B2 - カルボキシメチル化澱粉の製造方法、カルボキシメチル化澱粉及びその用途 - Google Patents

カルボキシメチル化澱粉の製造方法、カルボキシメチル化澱粉及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、カルボキシメチル化澱粉の製造方法、当該製造方法により得られるカルボキシメチル化澱粉及び当該カルボキシメチル化澱粉の用途に関する。
カルボキシメチル化澱粉は、澱粉中の水酸基がカルボキシメチル基に置換された加工デンプンである。例えば水酸化ナトリウムでpH10程度に調整した澱粉スラリーにモノクロロ酢酸ナトリウムを添加して反応することで得られる。カルボキシメチル化澱粉は、粒の流動性が良いので医薬品の用途において直接打錠の崩壊剤として広く利用されており、飲食品や化粧品の用途においても増粘剤や乳化安定剤として利用されている。また、例えば下記特許文献1には、玄米粉砕物の結着剤としてカルボキシメチル化澱粉を用いる技術が開示されている。
特開平10−248508号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、カルボキシメチル化澱粉は特有の異味・異臭を有しており、飲食品等に添加した際にその風味に悪影響を与えてしまうという問題があった。
よって本発明の目的は、特有の異味・異臭を低減したカルボキシメチル化澱粉を提供することにある。また、そのカルボキシメチル化澱粉を利用した飲食品、医薬品、化粧品、又は飼料を提供することにある。更には、そのカルボキシメチル化澱粉を利用して、飲食品のフレーバーリリース向上方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、澱粉に、次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸イオンを含有する次亜塩素酸水溶液による処理を行うことにより、その処理を経て得られるカルボキシメチル化澱粉の異味・異臭が低減することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1は、カルボキシメチル化澱粉の製造方法であって、澱粉に、前記澱粉の乾燥質量に対する有効塩素濃度が100ppm以上となるように次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸イオンを含有する次亜塩素酸水溶液による処理を行う工程を含むことを特徴とするカルボキシメチル化澱粉の製造方法を提供するものである。
本発明のカルボキシメチル化澱粉の製造方法においては、前記次亜塩素酸水溶液による処理の後に、該次亜塩素酸処理された澱粉に対してカルボキシメチル化を行うことが好ましい。
また、前記澱粉のカルボキシメチル化後に、該カルボキシメチル化された澱粉に対して前記次亜塩素酸水溶液による処理を行うことが好ましい。
また、前記澱粉の乾燥質量に対する有効塩素濃度が1,000〜13,000ppmとなるように前記次亜塩素酸水溶液による処理を行うことが好ましい。
また、前記次亜塩素酸水溶液による処理をpH5.0〜10.0に保持して行うことが好ましい。
また、前記澱粉のカルボキシメチル化を、該カルボキシメチル化された澱粉中のカルボキシメチル基含量が0.1〜10質量%となるように行うことが好ましい。
一方、本発明の第2は、上記の方法で製造され、pH4.0に調整した6質量%澱粉懸濁液のRVA分析におけるピーク粘度値に対する、pH9.0に調整した6質量%澱粉懸濁液のRVA分析におけるピーク粘度値の比が1.2以上であることを特徴とするカルボキシメチル化澱粉を提供するものである。
更に、本発明の第3は、上記の方法で製造したカルボキシメチル化澱粉又は上記のカルボキシメチル化澱粉を含有してなる飲食品、医薬品、化粧品、又は飼料を提供するものである。
更にまた、本発明の第4は、上記の方法で製造したカルボキシメチル化澱粉又は上記のカルボキシメチル化澱粉を飲食品に含有せしめることを特徴とする飲食品のフレーバーリリース向上方法を提供するものである。
本発明によれば、澱粉に、その澱粉に対する有効塩素濃度が特定範囲以上となるように次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸イオンを含有する次亜塩素酸水溶液による処理を行うので、その処理を経て得られるカルボキシメチル化澱粉の異味・異臭を低減させることができる。これにより、飲食品等に添加した際に風味に悪影響を及ぼし難いカルボキシメチル化澱粉を得ることができる。更には、驚くべきことに、そのカルボキシメチル化澱粉を飲食品に含有せしめることにより、飲食品のフレーバーリリースを向上させ、良好な風味を有した飲食品を得ることができる。
本明細書において、カルボキシメチル化澱粉は、澱粉中の水酸基がカルボキシメチル基に置換された加工デンプンを意味する。澱粉に配位している金属又は塩に特に制限は無くナトリウム、カルシウム、カリウム等が配位したものを用いることができるが、食品に好適に用いることができる点でナトリウムが配位したもの(デンプングリコール酸ナトリウム)を用いることが好ましい。
本発明のカルボキシメチル化澱粉の製造方法は、澱粉に、その澱粉の乾燥質量に対する有効塩素濃度が100ppm以上となるように次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸イオンを含有する次亜塩素酸水溶液による処理を行う工程を含むことを特徴としている。澱粉の乾燥質量に対する有効塩素濃度は、100ppm以上であればよいが、本発明の効果をより発揮させるためには、澱粉の乾燥質量に対する有効塩素濃度が1,000〜13,000ppmとなるようにすることが好ましく、1,500〜10,000ppmとなるようにすることがより好ましい。有効塩素濃度が100ppmを下回ると本発明の効果を十分に得ることができない。また、有効塩素濃度が13,000ppmを上回ると、次亜塩素酸の臭い(カルキ臭)が生じ風味に悪影響を及ぼす場合もある。なお、有効塩素濃度とは、一般に、次亜塩素酸水溶液に含まれる次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(ClO)、あるいはそれらから生成する塩素(Cl)、酸素(O)などの酸化力を塩素(Cl)濃度に換算した指標として知られ、例えばヨウ素滴定法などにより定量することができる。また、市販の試験紙などによっても比較的精度良く測定することができる。
次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸イオンを含有する次亜塩素酸水溶液(以下、単に「次亜塩素酸水溶液」ということがある。)としては、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、次亜塩素酸カリウム水溶液、次亜塩素酸カルシウム水溶液などが挙げられる。なかでも次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、野菜、果実などの消毒にも用いられており、本発明においても好適に用いられる。
本発明の製造方法において、次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸イオンを含有する次亜塩素酸水溶液による処理とは、具体的には次亜塩素酸水溶液中で澱粉を懸濁させる処理等である。より具体的には、例えば、塩酸等の酸剤、あるいは水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を加えpH5〜10程度に調整した澱粉懸濁液に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を澱粉の乾燥質量に対し有効塩素濃度が100ppm以上となるよう添加し、10〜60℃で10〜120分間保持攪拌することで処理できる。このとき、澱粉を次亜塩素酸ナトリウム水溶液に直接懸濁することで処理してもよく、澱粉を水等に懸濁して澱粉懸濁液を調製した後に次亜塩素酸ナトリウム塩または次亜塩素酸ナトリウム溶液を適当な有効塩素濃度となるよう混合して処理してもよい。処理時のpHも特に制限はないが、塩素ガス発生防止及び低粘度化防止の点からpH5〜10の範囲に保持して行うことが好ましく、pH6.0〜8.0の範囲に保持して行うことがより好ましい。
本発明の製造方法において、澱粉を次亜塩素酸水溶液で処理するタイミングに特に制限はなく、澱粉のカルボキシメチル化前であってもよくまたは澱粉のカルボキシメチル化後であってもよい。即ち、例えば既にカルボキシメチル化されたカルボキシメチル化澱粉を次亜塩素酸水溶液で処理することによっても本発明の効果を享受することができる。ただし、本発明の効果をより発揮させるためには、次亜塩素酸水溶液による処理は、澱粉のカルボキシメチル化前に行うことが好ましい。即ち、原資澱粉、より好ましくは未加工の原資澱粉を次亜塩素酸水溶液で処理する工程を経た後、カルボキシメチル化処理を行うことが好ましい。
澱粉のカルボキシメチル化処理は、アルカリ性条件下の澱粉懸濁液にモノクロロ酢酸ナトリウムを添加するなど、従来公知の方法で行えばよい。より具体的には、例えば、塩酸等の酸剤、あるいは水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を加えpH9〜13程度に調整した澱粉懸濁液に、澱粉の乾燥質量100質量部に対し0.1〜50質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加し、10〜60℃で1〜48時間保持攪拌することで処理できる。
本発明に使用することができる原資澱粉としては、産業的に利用可能な澱粉であれば特に制限はなく、例えば、コーンスターチ、タピオカ、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉、片栗澱粉、葛澱粉、蕨澱粉、サゴ澱粉、エンドウ豆澱粉、オオウバユリ澱粉等が挙げられる。このなかでも特にタピオカ、コーンスターチ、米澱粉、馬鈴薯澱粉が安価で大量に入手しやすいので好ましい。また、いずれの澱粉においても通常の澱粉に加え、ウルチ種、ワキシー種、ハイアミロース種のように、育種学的手法もしくは遺伝子工学的手法において改良されたものを用いてもよい。これらの澱粉は、市販のものを使用することができる。ワキシー種の澱粉は、増粘剤や乳化安定剤として効果が高いが、一方で異臭等が強いことから、本発明の効果をより発揮できる点でワキシー種を用いるのが好ましい。
本発明の製造方法で得られるカルボキシメチル化澱粉は、以下の方法で測定されるpH4.0およびpH9.0におけるRVAピーク粘度の比が1.2以上であることが好ましい。ピーク粘度とは、以下の方法の分析における最大粘度のことである。
[RVAピーク粘度比の測定]
即ち、pH調整試薬を添加してpHを4.0に調整した6質量%澱粉懸濁液30gを、パドルにて50rpmの回転数で撹拌しながら50℃から3分42秒で95℃に至る連続的な加温状態を与える条件で、ラピッド・ビスコ・アナライザー(例えばPerten Instruments社製)によるRVA分析を行う。また、pH調整試薬を添加してpHを9.0に調整した6質量%澱粉懸濁液についても、同様に、RVA分析を行う。pH4.0において得られたピーク粘度値(A)に対する、pH9.0において得られたピーク粘度値(B)の比、即ちピーク粘度値(B)/ピーク粘度値(A)を計算する。
澱粉にカルボキシメチル基が導入されると澱粉が電荷を帯びpH9.0におけるRVAピーク粘度が高くなる。一方で、次亜塩素酸水溶液による処理において、有効塩素濃度が高すぎる、処理時間が長すぎる、処理がアルカリ性条件下で行われる等の理由により次亜塩素酸水溶液による処理が過剰であると澱粉が低分子化してしまうため粘度が低くなりpH4.0およびpH9.0におけるRVAピークの粘度の差が小さくなる。よって、上記値は次亜塩素酸水溶液による処理およびカルボキシメチル化がバランスよく適切に行われたことの指標として用いることができる。そして、上記値を1.2以上とすることで本発明の効果をより発揮させることができ、また粘度が低くないので増粘剤や乳化安定剤として好適に用いることができる。
本発明の製造方法で得られるカルボキシメチル化澱粉は、そのカルボキシメチル基含量が0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましく、1〜2質量%であることが更により好ましい。上記範囲内とすることで乳化安定剤としての効果をより発揮することができる。また、上記範囲を超えると水中で著しく増粘するため、水系での反応が困難となり製造効率が低下する可能性がある。
カルボキシメチル化澱粉におけるカルボキシメチル基含量は、以下の方法で測定することができる。
[カルボキシメチル基含量の測定]
絶乾したカルボキシメチル化澱粉を吸湿しないように注意しながらすりつぶし、標準網ふるい850μmを通過させたものを2g正確に秤量する。これにエタノール12.5mL及び0.2N塩酸12.5mLを加え、時々かき混ぜながら30分間放置した後、吸引ろ過し、ビーカーの残留物を水でろ過器に洗い込む。ろ紙上の残留物を洗液が塩化物の反応を呈さなくなる(0.1N硝酸銀水溶液を洗液に数滴加えても白濁しない状態)まで水で洗浄し、洗浄後の残留物を採取する。これをビーカーに入れ、水300mLを加えて懸濁し、撹拌しながら水浴中で加熱して糊化させ、更に15分間加熱した。水浴から取り出し、熱いうちに0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し(指示薬:フェノールフタレイン)、その滴定量(mL)をSとする。別途、同量の未加工澱粉を正確に秤量し、ビーカーに入れ50%エタノール25mLを加えて30分間撹拌して懸濁する。その懸濁液を吸引ろ過し、ビーカーの残留物をろ過器に洗い込む。ろ紙上の残留物を水200mLで洗浄し、洗浄後の残留物を採取する。これをビーカーに入れ、水300mLを加えて懸濁し、以下上記と同様に操作し、0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液での滴定量(mL)をBとする。下記式(1)及び(2)によりカルボキシル基含量及びカルボキシメチル基含量を算出する。
カルボキシル基含量(%)={(S−B)×0.45}/澱粉試料乾燥物重量(g)…(1)
カルボキシメチル基含量(%)=カルボキシル基含量(%)×59/45…(2)
本発明の製造方法で得られるカルボキシメチル化澱粉は、これに、更に酸化処理、エステル化処理、エーテル化処理、架橋処理といった化学修飾処理や、α化処理、造粒処理、湿熱処理、油脂加工処理、ボールミル処理、微粉砕処理、加熱処理、温水処理、殺菌処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理といった加工処理、あるいはそれらの2種以上の処理を施してもよい。
本発明の製造方法で得られるカルボキシメチル化澱粉は、種々の用途に利用することができる。例えば、飲食品、医薬品、化粧品等が挙げられるが、これらに限らない。
飲食品としては、ソース類・タレ類・ドレッシング・マヨネーズ・ケチャップ・天つゆ・麺つゆ・カレールウ・シチューの素・スープの素・ダシの素・複合調味料などの各種調味料、せんべい・あられ・おこし・求肥・餅類・まんじゅう・ういろう・餡類・羊羹・水羊羹・錦玉・カステラなどの各種和菓子、ビスケット・クラッカー・クッキー・パイ・プリン・バタークリーム・カスタードクリーム・シュークリーム・ワッフル・スポンジケーキ・ドーナツ・チョコレート・チューインガム・キャラメル・ヌガー・キャンディー・ゼリーなどの各種洋菓子、パン・ベーグル・マフィンなどの各種パン類、中華麺・うどん・そば・パスタ・素麺・春雨・餃子の皮・春巻きの皮などの各種麺類、アイスクリーム・ジェラート・シャーベットなどの各種氷菓、果実のシロップ漬・氷蜜などの各種シロップ類、フラワーペースト・ピーナッツペースト・フルーツペーストなどの各種ペースト類、ジャム・マーマレード・ピュレ・漬け物などの各種果実や野菜の加工食品類、ハム・ベーコン・ソーセージ・ハンバーグ・ミートボール・トンカツ・唐揚げなどの各種畜肉製品類、魚肉ハム・魚肉ソーセージ・カマボコ・チクワ・薩摩揚げなどの各種魚肉製品類、バッター・打ち粉などの揚げ物用衣材、チーズ・ヨーグルトなどの各種乳製品、玉子豆腐・オムレツ・玉子焼きなどの各種卵加工品、ホットケーキミックス・お好み焼き粉ミックスなどの各種ミックス粉、即席飲料・即席汁粉・即席スープなどの各種即席食品、果実飲料・野菜飲料・茶飲料・ノンアルコールビールなどの各種ノンアルコール飲料、ビール系飲料・チューハイ・清酒・果実酒などの各種アルコール飲料、健康食品、サプリメントなどが挙げられる。また、通常の飲食品の形態に加え、離乳食、病人食、嚥下食、介護食等の形態としても利用することもできる。
飲食品における含有量は、その種類等に応じて適宜設定すればよく、特に制限は無ないが、典型的には、例えば固形物換算量として0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜2質量%などとすることができる。
また、医薬品においては、特に例えば、その崩壊剤や賦形剤、結合剤などとして利用することができる。その医薬品の形態に特に制限はなく、錠剤状、顆粒状、カプセル(軟カプセル、硬カプセル)状、粉末状、スティック状等が例示される。医薬品における含有量は、その種類等に応じて適宜設定すればよく、特に制限はないが、典型的には、例えば固形物換算量として0.5〜30質量%、好ましくは2〜20質量%などとすることができる。
また、化粧品においては、特に例えば、その結合剤、乳化安定剤、増粘剤などとして利用することができる。その化粧品の形態に特に制限はなく、クリーム、軟膏、ジェル、化粧液、泡状製剤、噴霧製剤、パック等が例示される。化粧品における含有量は、その種類等に応じて適宜設定すればよく、特に制限はないが、典型的には、例えば固形物換算量として0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%などとすることができる。
また、家畜、家禽、魚類やペット動物等の飼料(ペットフード)として利用することもできる。飼料における含有量は、その種類等に応じて適宜設定すればよく、特に制限はないが、典型的には、例えば固形物換算量として0.1〜70質量%、好ましくは0.5〜50質量%などとすることができる。
更に上記用途以外の工業用途等に用いてもよいことは勿論である。
本発明の製造方法で得られるカルボキシメチル化澱粉は、後述の実施例で示されるように、カルボキシメチル化澱粉特有の異味・異臭が低減され飲食品等の風味に悪影響を及ぼさないことに加え、フレーバーリリースを向上させる効果を有する。よって、種々の飲食品に含有せしめて、そのフレーバーリリースを向上さることができる。なお、フレーバーリリースとは飲食品を摂取する際に飲食品由来の好ましい香りが口腔内に放出されることを意味しており、フレーバーリリースが優れているほど飲食品の「おいしさ」を感じることができる。一般に、未加工澱粉、加工澱粉あるいはデキストリンなどの多糖類を飲食品に添加するとフレーバーリリースが阻害され、飲食品由来の好ましい香りがマスキングさてしまうが、本発明の製造方法で得られるカルボキシメチル化澱粉によれば、そのような弊害がなく、更には飲食品のフレーバーリリースを向上させることが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
[澱粉試料の調製]
・試料1
ワキシーコーンスターチを用いた。
・試料2
ワキシーコーンスターチに予め水を添加して30〜40質量%のスラリー状にした。40℃に加温した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して20質量部の硫酸ナトリウムを溶解し、pH6〜8に調整した。有効塩素濃度が澱粉の乾燥質量に対して200ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加し、30分間反応した。水酸化ナトリウム等からなるアルカリ剤を添加してpH12に調整した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して0.5質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加して20時間反応した。その後、水洗、脱水した後、乾燥させ、試料2のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
・試料3
試料2の調製において、澱粉の乾燥質量100質量部に対して0.5質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加する代わりに、2.5質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加した以外は、試料2と同様にして、試料3のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
・試料4
試料2の調製において、澱粉の乾燥質量100質量部に対して0.5質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加する代わりに、5.0質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加した以外は、試料2と同様にして、試料4のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
・試料5
ワキシーコーンスターチに予め水を添加して30〜40質量%のスラリー状にした。40℃に加温した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して20質量部の硫酸ナトリウムを溶解し、水酸化ナトリウム等からなるアルカリ剤を添加してpH12に調整した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して10質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加して20時間反応した。その後、水洗、脱水した後、乾燥させ、試料5のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
・試料6
ワキシーコーンスターチに予め水を添加して30〜40質量%のスラリー状にした。40℃に加温した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して20質量部の硫酸ナトリウムを溶解し、pH6〜8に調整した。有効塩素濃度が澱粉の乾燥質量に対して50ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加し、30分間反応した。水酸化ナトリウム等からなるアルカリ剤を添加してpH12に調整した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して10質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加して20時間反応した。その後、水洗、脱水した後、乾燥させ、試料6のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
・試料7
試料6の調製において、有効塩素濃度が澱粉の乾燥質量に対して50ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加する代わりに、200ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加した以外は、試料6と同様にして、試料7のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
・試料8
試料6の調製において、有効塩素濃度が澱粉の乾燥質量に対して50ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加する代わりに、2000ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加した以外は、試料6と同様にして、試料8のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
・試料9
試料6の調製において、有効塩素濃度が澱粉の乾燥質量に対して50ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加する代わりに、6000ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加した以外は、試料6と同様にして、試料9のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
・試料10
試料6の調製において、有効塩素濃度が澱粉の乾燥質量に対して50ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加する代わりに、12000ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加した以外は、試料6と同様にして、試料10のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
・試料11
試料6の調製において、有効塩素濃度が澱粉の乾燥質量に対して50ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加する代わりに、15000ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加した以外は、試料6と同様にして、試料11のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
・試料12
試料6の調製において、有効塩素濃度が澱粉の乾燥質量に対して50ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加する代わりに、6000ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加し、更に、澱粉の乾燥質量100質量部に対して10質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加する代わりに、20質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加した以外は、試料6と同様にして、試料12のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
・試料13
試料6の調製において、有効塩素濃度が澱粉の乾燥質量に対して50ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加する代わりに、6000ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加し、更に、澱粉の乾燥質量100質量部に対して10質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加する代わりに、40質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加した以外は、試料6と同様にして、試料13のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
・試料14
試料5の調製において、モノクロロ酢酸ナトリウム反応後に、塩酸等からなる酸を添加してpH6〜8に調整した後、有効塩素濃度が澱粉の乾燥質量に対して6000ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスラリーに添加し、30分間反応した。その他の操作は試料5と同様にして、試料14のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
[カルボキシメチル基含量の測定]
試料2〜14のカルボキシメチル化澱粉について、以下の方法でカルボキシメチル基含量を測定した。
絶乾したカルボキシメチル化澱粉を吸湿しないように注意しながらすりつぶし、標準網ふるい850μmを通過させたものを2g正確に秤量した。これにエタノール12.5mL及び0.2N塩酸12.5mLを加え、時々かき混ぜながら30分間放置した後、吸引ろ過し、ビーカーの残留物を水でろ過器に洗い込んだ。ろ紙上の残留物を洗液が塩化物の反応を呈さなくなる(0.1N硝酸銀水溶液を洗液に数滴加えても白濁しない状態)まで水で洗浄し、洗浄後の残留物を採取した。これをビーカーに入れ、水300mLを加えて懸濁し、撹拌しながら水浴中で加熱して糊化させ、更に15分間加熱した。水浴から取り出し、熱いうちに0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し(指示薬:フェノールフタレイン)、その滴定量(mL)をSとした。別途、同量の未加工澱粉を正確に秤量し、ビーカーに入れ50%エタノール25mLを加えて30分間撹拌して懸濁した。その懸濁液を吸引ろ過し、ビーカーの残留物をろ過器に洗い込んだ。ろ紙上の残留物を水200mLで洗浄し、洗浄後の残留物を採取した。これをビーカーに入れ、水300mLを加えて懸濁し、以下上記と同様に操作し、0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液での滴定量(mL)をBとした。下記式(1)及び(2)によりカルボキシル基含量及びカルボキシメチル基含量を算出した。
カルボキシル基含量(%)={(S−B)×0.45}/澱粉試料乾燥物重量(g)…(1)
カルボキシメチル基含量(%)=カルボキシル基含量(%)×59/45…(2)
[RVAピーク粘度比の測定]
試料1の原資澱粉及び試料2〜14のカルボキシメチル化澱粉について、以下の方法でpH4.0およびpH9.0におけるRVAピーク粘度(以下の方法の分析における最大粘度)の比を測定した。
pH調整試薬を添加してpHを4.0に調整した6質量%澱粉懸濁液30gを、パドルにて50rpmの回転数で撹拌しながら50℃から3分42秒で95℃に至る連続的な加温状態を与える条件で、ラピッド・ビスコ・アナライザー(Perten Instruments社製)によるRVA分析を行った。また、pH調整試薬を添加してpHを9.0に調整した6質量%澱粉懸濁液についても、同様に、RVA分析を行った。pH4.0において得られたピーク粘度値(A)に対する、pH9.0において得られたピーク粘度値(B)の比、即ちピーク粘度値(B)/ピーク粘度値(A)を計算した。
[試験例1](糊液及びオレンジ香料)
試料1〜14について、上記pH4.0におけるRVA分析の条件と同様に加温して、澱粉糊液を得た。澱粉糊液を室温で放冷した後、官能試験に供した。官能試験は5名で行い、原資澱粉(試料1)を対照区として糊液の風味を±3点で評価した。また、同様に調製した糊液にオレンジ香料5μLを添加し、よく混合した後に喫食による官能試験に供した。官能試験は5名で行い、原資澱粉(試料1)を対照区としてオレンジの良い香りのフレーバーリリースの観点から±3点で評価した。具体的には、対照区を0点として0.5点単位で−3点〜3点の範囲で評価した。(他の試験例についても同様に±3点で評価した。)その結果(評価平均点及びコメント)を表1に示す。
表1から明らかなように、有効塩素濃度100ppm以上となるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理して得られたカルボキシメチル化澱粉(試料2〜4および試料7〜14)は、いずれもカルボキシメチル化澱粉特有の異臭(CMS臭)が無く、さらに未加工の原資澱粉(試料1)に比べ、オレンジの良い香りのフレーバーリリースが向上していた。特に、有効塩素濃度1,000〜13,000ppmの範囲となるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理して得られた、澱粉中のカルボキシメチル基含量が1.0質量%以上のカルボキシメチル化澱粉(試料8〜10および試料12〜14)が、異臭の無さおよびフレーバーリリースの点で顕著に優れていた。一方で、次亜塩素酸ナトリウム処理を行っていないカルボキシメチル化澱粉(試料5)および有効塩素濃度100ppmを下回る条件で処理して得られたカルボキシメチル化澱粉(試料6)は、カルボキシメチル化澱粉特有の異臭(CMS臭)が強かった。
[試験例2](冷凍卵焼き)
表2に示した配合で冷凍卵焼きを調製した。
具体的には以下のようにして調製した。
砂糖、醤油、塩、澱粉、麺つゆ、攪拌した全卵及び水をボウル内でよく混合した。卓上ガスコンロで卵焼き用フライパンの鉄板温度が150℃になるまで加熱し、調製溶液の3分の1量を流し入れ、火が通ったら巻いた。この作業を3度繰り返した後、巻きす上に取り、形を整えて60分間室温で放冷した。その後、−30℃の急速凍結機で凍結し、真空包装器にて包装した。−30℃の冷凍庫にて1カ月間保存し、冷蔵解凍して官能試験に供した。官能試験は5名で行い、原資澱粉(試料1)を対照区として卵の良い香りのフレーバーリリースの観点から±3点で評価した。その結果(評価平均点及びコメント)を表3に示す。
表3から明らかなように、有効塩素濃度100ppm以上となるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理して得られたカルボキシメチル化澱粉(試料2、試料7および試料9)を用いた卵焼きは、未加工の原資澱粉(試料1)を用いた卵焼きに比べ、卵の良い香りのフレーバーリリースが向上していた。特に、有効塩素濃度1,000〜13,000ppmの範囲となるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理して得られた、澱粉中のカルボキシメチル基含量が1.0%以上のカルボキシメチル化澱粉(試料9)を用いた卵焼きが、卵の良い香りのフレーバーリリースの点で顕著に優れていた。一方で、次亜塩素酸ナトリウム処理を行っていないカルボキシメチル化澱粉(試料5)を用いた卵焼きは、卵の良い香りのフレーバーリリースが悪く、且つカルボキシメチル化澱粉特有の異臭(CMS臭)が強かった。
[試験例3](ホワイトソース)
表4に示した配合でホワイトソースを調製した。
具体的には以下のようにして調製した。
バターを鍋上でガスコンロ弱火にて加熱し、溶解したら予め計量した薄力粉を加えた。シリコンヘラを用いてよく攪拌しながらコンロの中火で緩やかに加熱することで、90%重量となるまで加熱攪拌した。バットに広げて−30℃の急速凍結機にて冷凍後、カットしたルーを冷凍保存した。次に、鍋に水及び牛乳を入れた後、予め計量してビニール袋で混合した粉末材料を添加してホイッパーで混合し、上記ルーを添加し、上記材料を加熱攪拌して品温が90℃に達した後、更に4分間加熱攪拌した。蒸発した水分量の水を加えて水分量を補正し、更に1分間加熱攪拌した。プラスチックカップに50gずつ分取し、カップにフィルムによるヒートシールを施し、−30℃の急速凍結機にて凍結した。−30℃にて7日間保管したサンプルを自然解凍し、官能試験に供した。官能試験は5名で行い、原資澱粉(試料1)を対照区として、好ましいバターの香りのフレーバーリリースの観点から±3点で評価した。その結果(評価平均点及びコメント)を表5に示す。
表5から明らかなように、有効塩素濃度100ppm以上となるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理して得られたカルボキシメチル化澱粉(試料2、試料7および試料9)を用いたホワイトソースは、未加工の原資澱粉(試料1)を用いたホワイトソースに比べ、好ましいバターの香りのフレーバーリリースが向上していた。特に、有効塩素濃度1,000〜13,000ppmの範囲となるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理して得られた、澱粉中のカルボキシメチル基含量が1.0%以上のカルボキシメチル化澱粉(試料9)を用いたホワイトソースが、好ましいバターの香りのフレーバーリリースの点で顕著に優れていた。一方で、次亜塩素酸ナトリウム処理を行っていないカルボキシメチル化澱粉(試料5)を用いたホワイトソースは、好ましいバターの香りのフレーバーリリースが悪く、且つカルボキシメチル化澱粉特有の異臭(CMS臭)が強かった。
[試験例4](アイスクリーム)
表6に示した配合でアイスクリームを調製した。
具体的には以下のようにして調製した。
ステンレスバケツに水を量り取り、あらかじめ計量しておいた澱粉以外の原料を懸濁した後、DCスターラーを用いて沸騰水中で加熱攪拌した。品温が80℃に達した後、蒸発した水分量の水を加えて水分量を補正した。ホモミキサーで5分間攪拌した後、茶漉しを利用して濾過しながらホモジナイザーに溶液を充填して150barで均質化した。得られた均質化溶液の重量を測定し、比率計算した重量の澱粉を計量して混合した後、沸騰水中でシリコンヘラを用いて加熱攪拌した。品温が80℃に達した後、更に10分間加熱して蒸発した水分量の水を加えて水分量を補正した。室温で粗熱を取った後、5℃の冷蔵庫で一晩冷却した。アイスクリーマーを用いて、調製した溶液を目的とするオーバーランの値が50となるまで冷却攪拌した。調製したアイスクリームはプラスチックカップに分取し、−30℃の急速凍結機で凍結した。−30℃で7日間保存後、官能試験に供した。官能試験は5名で行い、原資澱粉(試料1)を対照区として、好ましいミルクの香りのフレーバーリリースの観点から±3点で評価した。その結果(評価平均点及びコメント)を表7に示す。
表7から明らかなように、有効塩素濃度100ppm以上となるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理して得られたカルボキシメチル化澱粉(試料2、試料7および試料9)を用いたアイスクリームは、未加工の原資澱粉(試料1)を用いたアイスクリームに比べ、好ましいミルクの香りのフレーバーリリースが向上していた。特に、有効塩素濃度1,000〜13,000ppmの範囲となるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理して得られた、澱粉中のカルボキシメチル基含量が1.0%以上のカルボキシメチル化澱粉(試料9)を用いたアイスクリームが、好ましいミルクの香りのフレーバーリリースの点で顕著に優れていた。一方で、次亜塩素酸ナトリウム処理を行っていないカルボキシメチル化澱粉(試料5)を用いたアイスクリームは、好ましいミルクの香りのフレーバーリリースが悪く、且つカルボキシメチル化澱粉特有の異臭(CMS臭)が強かった。
[試験例5](冷凍プリン)
表8に示した配合で冷凍プリンを調製した。
具体的には以下のようにして調製した。
全脂粉乳を50℃の水に溶解し、ホモジナイズして一晩静置した。澱粉質量濃度が5.0%となるよう澱粉及び水をガラスビーカーに計り取り、沸騰水浴中で20分間加熱攪拌して澱粉糊を調製した。冷凍全卵を流水にて解凍した後、茶漉しを通過させた。全ての材料をステンレスバケツに入れ、シリコンヘラを用いて混合、溶解した。プラスチック製カップに50gずつ充填し、アルミホイルにて蓋をした。85℃設定の蒸し器で加熱し、品温が75℃に達した後、更に10分間加熱した。プラスチック製の蓋をした後、氷水にて冷却した。品温が室温以下になったことを確認した後、−30℃の急速凍結機にて凍結させた。−10℃にて4日間保存し、5℃で冷蔵解答し官能試験に供した。官能試験は5名で行い、原資澱粉(試料1)を対照区として、好ましいバニラの香りのフレーバーリリースの観点から±3点で評価した。その結果(評価平均点及びコメント)を表9に示す。
表9から明らかなように、有効塩素濃度100ppm以上となるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理して得られたカルボキシメチル化澱粉(試料2、試料7および試料9)を用いたプリンは、未加工の原資澱粉(試料1)を用いたプリンに比べ、好ましいバニラの香りのフレーバーリリースが向上していた。特に、有効塩素濃度1,000〜13,000ppmの範囲となるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液で処理して得られた、澱粉中のカルボキシメチル基含量が1.0%以上のカルボキシメチル化澱粉(試料9)を用いたプリンが、好ましいバニラの香りのフレーバーリリースの点で顕著に優れていた。一方で、次亜塩素酸ナトリウム処理を行っていないカルボキシメチル化澱粉(試料5)を用いたプリンは、好ましいバニラの香りのフレーバーリリースが悪く、且つカルボキシメチル化澱粉特有の異臭(CMS臭)が強かった。

Claims (9)

  1. 澱粉に、前記澱粉の乾燥質量に対する有効塩素濃度が100ppm以上となるように次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸イオンを含有する次亜塩素酸水溶液による処理を行う工程を含み、pH4.0に調整した6質量%澱粉懸濁液のRVA分析におけるピーク粘度値に対する、pH9.0に調整した6質量%澱粉懸濁液のRVA分析におけるピーク粘度値の比が1.2以上であるカルボキシメチル化澱粉を得ることを特徴とするカルボキシメチル化澱粉の製造方法。
  2. 前記次亜塩素酸水溶液による処理の後に、該次亜塩素酸処理された澱粉に対してカルボキシメチル化を行う請求項1記載のカルボキシメチル化澱粉の製造方法。
  3. 前記澱粉のカルボキシメチル化後に、該カルボキシメチル化された澱粉に対して前記次亜塩素酸水溶液による処理を行う請求項1記載のカルボキシメチル化澱粉の製造方法。
  4. 前記澱粉の乾燥質量に対する有効塩素濃度が1,000〜13,000ppmとなるように前記次亜塩素酸水溶液による処理を行う請求項1〜3のいずれか1つに記載のカルボキシメチル化澱粉の製造方法。
  5. 前記次亜塩素酸水溶液による処理をpH5.0〜10.0に保持して行う請求項1〜4のいずれか1つに記載のカルボキシメチル化澱粉の製造方法。
  6. 前記澱粉のカルボキシメチル化を、該カルボキシメチル化された澱粉中のカルボキシメチル基含量が0.1〜10質量%となるように行う請求項1〜5のいずれか1つに記載のカルボキシメチル化澱粉の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の製造方法で製造したカルボキシメチル化澱粉飲食品、医薬品、化粧品、又は飼料への添加素材としての使用
  8. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の製造方法で製造したカルボキシメチル化澱粉を飲食品に含有せしめることを特徴とする飲食品のフレーバーリリース向上方法。
  9. 次亜塩素酸及び/又は次亜塩素酸イオンを含有する次亜塩素酸水溶液で処理する工程を経たカルボキシメチル化澱粉を飲食品に含有せしめることを特徴とする飲食品のフレーバーリリース向上方法。


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