JP6689675B2 - 改良されたカルボキシメチル化澱粉及びその用途 - Google Patents

改良されたカルボキシメチル化澱粉及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、改良されたカルボキシメチル化澱粉及びその用途に関する。
カルボキシメチル化澱粉は、澱粉中の水酸基がカルボキシメチル基に置換された加工デンプンである。例えば水酸化ナトリウムでpH10程度に調整した澱粉スラリーにモノクロロ酢酸ナトリウムを添加して反応することで得られる。カルボキシメチル化澱粉は、粒の流動性が良いので医薬品の用途において直接打錠の崩壊剤として広く利用されており、食品や化粧品の用途においても増粘剤や乳化安定剤として利用されている。また、例えば特許文献1には、玄米粉砕物の結着剤としてカルボキシメチル化澱粉を用いる技術が開示されている。特許文献2には、ローヤルゼリー配合飲料にカルボキシメチル化澱粉を用いる技術が開示されている。特許文献3には、カルボキシメチル化澱粉とキトサンを蟻酸水溶液に溶解し混合した後、溶媒を除去することを特徴とするポリイオンコンプレックスゲルの製造方法が開示されている。
特開平10−248508号公報 特開2002−176936号公報 特開平1―156341号公報
従来、カルボキシメチル化澱粉は錠剤の崩壊剤や増粘剤として広く用いられているが、食品の食感改良剤としては殆ど利用されておらず、その性能の向上が期待されていた。
よって本発明の目的は、改良されたカルボキシメチル化澱粉、また、その改良されたカルボキシメチル化澱粉を利用した食品あるいは食感改良用組成物、更には、その改良されたカルボキシメチル化澱粉を利用して、食品の食感を改良する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、膨潤抑制処理を施したカルボキシメチル化澱粉は食品の食感改良効果に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の形態は、加熱膨潤度が、澱粉の由来が同じで且つカルボキシメチル化度が同じである、膨潤抑制されていないカルボキシメチル化澱粉の加熱膨潤度に対して、相対値にして0.7倍以下であるように膨潤抑制されていることを特徴とする膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を提供するものである。
本発明の第2の形態は、上記の第1の形態の膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を0.1〜10質量%含有する食品を提供するものである。この場合、例えば、ベーカリー食品、食品用ソース、食品用ペースト、冷菓から選ばれる食品であることが好ましい。
本発明の第3の形態は、上記の第1の形態の膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を、食品中に0.1〜10質量%含有せしめることを特徴とする食品の製造方法を提供するものである。この場合、例えば、ベーカリー食品、食品用ソース、食品用ペースト、冷菓から選ばれる食品の製造方法であることが好ましい。
本発明の第4の形態は、膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を含有することを特徴とする食品の食感改良用組成物を提供するものである。この場合、例えば、上記の第1の形態の膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を含有することが好ましい。
本発明の第5の形態は、膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を添加することを特徴とする食品の食感改良方法を提供するものである。この場合、例えば、上記の第1の形態の膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を添加することが好ましい。
本発明によれば、カルボキシメチル化澱粉に膨潤抑制処理を施すことで、食品の食感改良効果に優れた、改良されたカルボキシメチル化澱粉を提供することができる。この膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉は、食品の食感を改良するための素材として有用である。また、この膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を食品に含有せしめることで、本素材特有に食感が改良された食品を得ることができる。
本明細書において、カルボキシメチル化澱粉は、澱粉中の水酸基がカルボキシメチル基に置換された加工デンプンを意味する。澱粉に配位している金属又は塩に特に制限は無くナトリウム、カルシウム、カリウム等が配位したものを用いることができるが、食品に好適に用いることができる点でナトリウムが配位したもの(デンプングリコール酸ナトリウム)を用いることが好ましい。
本発明は、カルボキシメチル化澱粉に膨潤抑制が施されてなる膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を提供するものである。具体的には、加熱膨潤度が、澱粉の由来が同じで且つカルボキシメチル化度が同じである、膨潤抑制されていないカルボキシメチル化澱粉の加熱膨潤度に対して、相対値にして0.7倍以下であるように膨潤抑制されている膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を提供するものである。加熱膨潤度は、その効果の点から、澱粉の由来が同じで且つカルボキシメチル化度が同じである、膨潤抑制されていないカルボキシメチル化澱粉の加熱膨潤度に対して、相対値にして0.2以上0.7倍以下であるように膨潤抑制されていることが好ましく、相対値にして0.2以上0.5倍以下であるように膨潤抑制されていることがより好ましい。
加熱膨潤度は、例えば以下の方法で測定することができる。
15mL容の樹脂製チューブにpH8に調整した澱粉試料0.1g(固形分換算)を量り取り、2%(w/w)硫酸アンモニウム水溶液を総量10gまで添加する。沸騰水浴中にて5分間加熱し、流水中にて5分間冷却する。冷却後、遠心機により2,060×gで15分間遠心分離し、沈降した澱粉糊層の容積(沈降積、mL)を加熱膨潤度とする。
なお、膨潤抑制されていないカルボキシメチル化澱粉の加熱膨潤度は、原資澱粉の由来やカルボキシメチル基の導入度合い(置換度)により変化するものであるが、本発明により提供される膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉においては、上記相対値として、その膨潤抑制の度合いが客観的に規定される。また、一般にカルボキシメチル化澱粉は、加熱膨潤しやすく、純水中では加熱膨潤度が測定不可能であるが、上記測定条件は澱粉が膨潤し難い条件であり、当該条件で加熱膨潤度を測定することで、加熱膨潤しやすいカルボキシメチル化澱粉においてもその膨潤抑制度合いを適切に測定することができる。本発明により提供される膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉は、上記測定条件で測定される加熱膨潤度の絶対値(沈降積、mL)としては、典型的には、0.1以上4.5以下であることが好ましく、0.2以上4.0以下であることがより好ましく、0.3以上3.5以下であることが更により好ましい。
膨潤抑制されるカルボキシメチル化澱粉は、市販のものを用いてもよいが、従来公知の方法で原資澱粉をカルボキシメチル化することなどにより得ることができる。例えば、アルカリ性条件下の澱粉懸濁液にモノクロロ酢酸ナトリウムを添加するなどが挙げられる。より具体的には、例えば、塩酸等の酸剤、あるいは水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を加えpH9〜13程度に調整した澱粉懸濁液に、澱粉の乾燥質量100質量部に対し0.1〜50質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加し、10〜60℃で1〜48時間保持攪拌することでカルボキシメチル化することができる。その原資となる澱粉の由来としては、特に制限はなく、食品に一般的に用いられる澱粉であればよい。例えば、コーンスターチ、タピオカ、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉、片栗澱粉、葛澱粉、蕨澱粉、サゴ澱粉、エンドウ豆澱粉、オオウバユリ澱粉等が挙げられる。このなかでも特にタピオカ、コーンスターチ、米澱粉、馬鈴薯澱粉が安価で大量に入手しやすいので好ましい。また、いずれの澱粉においても通常の澱粉に加え、ウルチ種、ワキシー種、ハイアミロース種のように、育種学的手法もしくは遺伝子工学的手法において改良されたものを用いてもよい。
膨潤抑制の方法に特に制限はなく、澱粉の膨潤抑制処理として知られている種々の方法を採用し得る。例えば、架橋処理等の化学的処理や湿熱処理等の物理的処理が挙げられる。また、後述の実施例のように、カルボキシメチル化澱粉の懸濁液に酸を加えてpHを一定以下に調整した後、25〜65℃で0.5〜24時間保持攪拌することなどにより、膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を得ることができる。また、カルボキシメチル化澱粉に酸を加えてpHを一定以下に調整した後、乾燥状態で、30〜200℃で10分〜12時間保持攪拌することなどによっても、膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を得ることができる。
本発明により提供される膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉は、食品の食感改良効果に優れている。具体的には、例えば、ベーカリー食品において、しっとり感と口どけを両立しソフトで弾力のある食感とすることができ、食品用ソースにおいて、口当たりの良い食感とすることができ、食品用ペーストにおいて、口どけの良い食感とすることができ、冷菓において、滑らかでかつ口どけの良い食感とすることができる、などである。加えて、食品のフレーバーリリース(香りの立ち)を向上させ風味を高めることもできる。
一方、本発明の他の観点からは、上記に説明した膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を含有せしめた食品を提供することができる。食品としては、例えば、ベーカリー食品類、ソース類、ペースト類、冷菓類、洋菓子類、和菓子類、麺類、揚げ物用衣類、調味料類、卵加工食品類、スープ類、水畜産練製品類、ジャム類などが挙げられる。より詳細には、その食感改良効果をより有効に発揮できることから、食パン・ロールパン・ブリオッシュ・蒸しパン・ナン・デニッシュ・パイ・タルト・パンケーキ・シフォンケーキ・ホットケーキ・スポンジケーキ・カステラ・ビスケット・クッキー・ペイストリーなどのベーカリー食品、パスタソース・ミートソース・トマトソース・ホワイトソース・デミグラスソース・カレーソース・ハヤシソース・グレービーソース・ハンバーグソース・サルサソース・ステーキソースなどの食品用ソース、フラワーペースト・ピーナッツペースト・フルーツペースト・チョコペースト・バタークリーム・カスタードクリームなどの食品用ペースト、アイスクリーム・アイスキャンディー・シャーベット・かき氷・フラッペ・フローズンヨーグルト・ゼリー ・プリン・ババロア・水羊羹などの冷菓、などが挙げられる。
上記に説明した膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉の食品における含有量に特に制限はないが、典型的には、例えば、0.1〜10質量%とするのが好ましく、0.1〜2質量%とするのがより好ましい。
他方、本発明の更に別の観点からは、膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を含有する食品の食感改良用組成物、あるいは膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を添加する食品の食感改良方法を提供することができる。すなわち、上記に説明した膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を食品の食感改良に用いるための組成物や方法を提供するものである。当該食感改良用組成物においては、その効果を損なわない範囲で、膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉以外の成分を含有していてもよい。また、当該食感改良方法においては、その効果を損なわない範囲で、膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉以外の成分を併用してもよい。その他成分としては、穀粉・澱粉類、増粘多糖類、無機塩類、油脂類、糖類、乳化剤、酵素類等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下、単に%と記載した場合は、質量%を意味する。
[試料の調製]
<試料1>
ワキシーコーンスターチに予め水を添加して30〜40質量%のスラリー状にした。45℃に加温した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して20質量部の硫酸ナトリウムを溶解した。水酸化ナトリウムからなるアルカリ剤を添加してpH11〜12に調整した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して10質量部のモノクロロ酢酸ナトリウムを添加して20時間反応した。反応終了後、塩酸からなる酸を添加してpH8に調整し、水洗、脱水した後、乾燥させ、試料1のカルボキシメチル化澱粉を得た。
<試料2>
試料1にて調製したカルボキシメチル化澱粉に予め水を添加して30〜40質量%のスラリー状にした。35℃に加温した後、塩酸からなる酸を添加してpH2に調整して3時間反応した。反応終了後、水酸化ナトリウムを添加してpH8に調整し、水洗、脱水した後、乾燥させ、試料2のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
<試料3>
試料1にて調製したカルボキシメチル化澱粉に予め水を添加して30〜40質量%のスラリー状にした。45℃に加温した後、塩酸からなる酸を添加してpH0.7に調整して1時間反応した。反応終了後、水酸化ナトリウムを添加してpH8に調整し、水洗、脱水した後、乾燥させ、試料3のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
<試料4>
試料1にて調製したカルボキシメチル化澱粉に予め水を添加して30〜40質量%のスラリー状にした。45℃に加温した後、塩酸からなる酸を添加してpH0.7に調整して3時間反応した。反応終了後、水酸化ナトリウムを添加してpH8に調整し、水洗、脱水した後、乾燥させ、試料4のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
<試料5>
試料1にて調製したカルボキシメチル化澱粉をアルミバットに分散させ、130℃の送風乾燥機にて5時間加熱することで試料5のカルボキシメチル化澱粉を調製した。
<試料6>
「NEWGELIN XGT」(キサンタンガムの商品名、三菱化学フーズ社製)を試料6とした。
<試料7>
「マプス#306」(アセチル化アジピン酸架橋澱粉の商品名、日本食品化工社製)を試料7とした。
<試料8>
「サンベストNN−153」(グァーガム、カラギーナンからなる安定剤の商品名、三栄源エフ・エフ・アイ社製)を試料8とした。
[加熱膨潤度の測定]
各澱粉試料の加熱膨潤度は、次の手順で測定した。
15mL容の樹脂製チューブにpH8に調整した試料1〜5の各澱粉試料0.1g(固形分換算)を量り取り、2%(w/w)硫酸アンモニウム水溶液を総量10gまで添加した。沸騰水浴中にて5分間加熱し、流水中にて5分間冷却した。冷却後、遠心機により2,060×gで15分間遠心分離し、沈降した澱粉糊層の容積(沈降積、mL)を加熱膨潤度とした。
その結果を、表1に示す。
表1から明らかなように、通常の膨潤抑制されていないカルボキシメチル化澱粉(試料1)を湿式でpHを一定以下に調整した後に加熱処理した試料2〜4、あるいは乾式でpHを一定以下に調整した後に加熱処理した試料5は、いずれも澱粉の膨潤が抑制されており、その加熱膨潤度は原料である試料1の加熱膨潤度に対して、相対値にして0.7倍以下であった。
[試験1:スポンジケーキ]
表2に示す配合で、次のようにしてスポンジケーキを調製した。すなわち、ミキサーボウルに全卵、上白糖、食塩を入れて撹拌し、さらに乳化油脂、サラダ油、水道水を加え、2分30秒間撹拌した。次に薄力粉、試料1〜7のいずれかの試料、ベーキングパウダーを加え、2分30秒以上撹拌し、生地比重0.45となるまで撹拌した。18cm径丸ケーキ型に生地350gを分注した後、上部170℃、下部180℃に設定したオーブンにて30分間焼成した。オーブンから、ばんじゅう上の網にスポンジケーキを取り出して30分間放冷後、蓋をして冷蔵保存した。
得られたスポンジケーキについて、冷蔵保存4日後に8名のパネラーによる官能評価を実施した。官能評価では、無添加区(試料を薄力粉で代替した試験区)を基準(0点)として口どけ(口どけが良いほど高評価)、しっとり感(しっとり感が強いほど高評価)、柔らかさ(柔らかいほど高評価)及び弾力(弾力が強いほど高評価)を±3点で評価し、その平均点を算出した。その結果を表3に示す。
その結果、表3に示されるように、試料2(膨潤抑制処理を施したカルボキシメチル化澱粉)の添加区で、しっとり感、柔らかさが向上した。試料3〜5(膨潤抑制処理を施したカルボキシメチル化澱粉)の添加区で、口どけ、しっとり感、柔らかさ及び弾力が向上した。これに対し、試料6(キサンタンガム)あるいは試料7(アセチル化アジピン酸架橋澱粉)の添加区においては、顕著な食感の改善効果は認められなかった。試料6の添加区においては、生地がつぶれる好ましくない食感であった。一方、試料1(通常の膨潤抑制されていないカルボキシメチル化澱粉)の添加区においては、口どけ及び弾力が無添加区よりも劣っていた。
[試験2:トマトソース]
表4に示す配合で、次のようにしてトマトソースを調製した。すなわち、1L容のプラスチック容器に水道水、試料1〜6のいずれかの試料を計量し、スターラー(350rpm)で撹拌し、分散させた。なお、ソースの粘度を同程度とするため、澱粉試料(試料1〜5)は添加量を2.0%、キサンタンガム試料(試料6)は添加量を0.5%とした。次いで上白糖、食塩、ホワイトペッパー、トマトペースト、コンソメチキン10%液を加えて撹拌混合した。得られた溶液をビスコグラフ(Brabender社製)に供することで、加熱処理を行なった。加熱条件は、75rpmで35℃から90℃にかけて毎分1.5℃の速度で昇温後、10分間維持した。その後、90℃から40℃まで毎分2℃の速度で冷却した。得られたソースにオリーブオイルを添加してよく混合した。ソースをパウチ袋に100g充填し、5℃で冷蔵保存した。
得られたトマトソースについて、冷蔵保存10日後に7名のパネラーによる官能評価を実施した。官能評価では、試料1の添加区を基準(0点)として保形性(ソースの保形性が高いほど高評価)、滑らかさ(食感が滑らかなほど高評価)、トマト風味(風味が強いほど高評価)を±3点で評価し、その平均点を算出した。その結果を表5に示す。
その結果、表5に示されるように、試料2〜5(膨潤抑制処理を施したカルボキシメチル化澱粉)の添加区で、保形性、滑らかさ及びトマト風味が向上した。試料2及び試料3の添加区では、トマト風味が特に強かった。これに対し、試料6(キサンタンガム)の添加区においては、保形性が低下し、トマト風味が低減した。
[試験3:フラワーペースト]
表6に示す配合で、次のようにしてフラワーペーストを調製した。すなわち、まず、全試験区分の原液を調製した。寸胴鍋に水道水を計量し、予め混合した脱脂粉乳、全脂粉乳、乳性蛋白、上白糖及び糖液を加えてホイッパーで撹拌溶解した。さらに予め粉体混合した食塩、クエン酸、ローカストビーンガム及びジェランガムを加えてホイッパーで撹拌溶解した後、予め流水解凍して混合しておいた冷凍20%加糖卵黄と冷凍卵白を加えた。以上の工程を加熱しながら30℃条件下で実施した。更に加熱し、50℃に達した時点で加熱を止め、原液とした。この原液をプラスチック容器に分注し、薄力粉、試料1〜5、7のいずれかの試料及び菜種油を加え、ホモジナイザー(T.K.HOMOMIXER MARK2)にて5,000rpm、5分間撹拌した。得られた溶液を鍋に移し、重量が90%となるまで加熱した。パウチ袋に充填し、放冷後真空パックし、沸騰湯浴中にて10分加熱してフラワーペーストを得た。
得られたフラワーペーストについて、7名のパネラーによる官能評価を実施した。官能評価では、試料1の添加区を基準(0点)として口どけ(口どけがよいほど高評価)及びボディー感(ボディー感が強いほど高評価)を±3点で評価し、その平均点を算出した。その結果を表7に示す。
その結果、表7に示されるように、試料2〜5(膨潤抑制処理を施したカルボキシメチル化澱粉)の添加区で、口どけ及びボディー感が向上した。これに対し、試料7(アセチル化アジピン酸架橋澱粉)の添加区では、口どけが悪かった。
[試験4:アイスクリーム]
表8に示す配合で、次のようにしてアイスクリームを調製した。すなわち、まず、試料1〜5及び7については澱粉試料を糊化するため、水道水で20倍に希釈し、90℃まで加熱して、予め試料1〜5、7のいずれかの澱粉試料を用いた5質量%糊液を調製した。なお、アイスクリームミックス液の粘度を同程度とするため、これらの澱粉試料(試料1〜5及び7)については固形分添加率を1.0%とし、他の試料8(安定剤)については添加量を0.3%とした。2L寸胴鍋に水道水(43%分)を計量し、脱脂粉乳を添加して50℃まで加熱撹拌した後、一晩5℃で保存した。得られた脱脂粉乳溶液に無塩バター、植物性固形脂、乳化剤、グラニュー糖(7%分)、残りの水道水を添加し、スターラー(500rpm)を用いて湯煎しながら加熱撹拌した。80℃に達した後、蒸発した水分量を添加した。第1のホモジナイザー(T.K.HOMOMIXER MARK2)にて5,000rpm、5分間撹拌した後、第2のホモジナイザー(SPXフローテクノロジージャパン製)に溶液を供し、150barで均質化した。得られた均質化溶液に試料1〜5、7のいずれかの澱粉試料を用いて調製した5%糊液、あるいは試料8(安定剤)と、残りのグラニュー糖を加え、スターラーで混合してミックス液を得た。得られたミックス液をパウチ袋に充填し、80℃に達するまで湯煎した。氷冷して品温を下げた後、5℃の冷蔵庫で一晩冷却した。ミックス液にバニラ香料を添加・混合した後、アイスクリーマーを使用して目的とするオーバーランの値が45となるまで冷却撹拌した。アイスクリームは120mL容プラスチック容器に分注し、−30℃の急速凍結機で凍結した。
得られたアイスクリームについて、−30℃で1カ月保存した後に7名のパネラーによる官能評価を実施した。官能評価では、試料1の添加区を基準(0点)として滑らかさ(滑らかなほど高評価)及び口どけ(口どけがよいほど高評価)を±3点で評価し、その平均点を算出した。その結果を表9に示す。
その結果、表9に示されるように、試料2(膨潤抑制処理を施したカルボキシメチル化澱粉)の添加区で、口どけが向上した。試料3〜5(膨潤抑制処理を施したカルボキシメチル化澱粉)の添加区で、滑らかさ及び口どけが向上した。これに対し、試料7(アセチル化アジピン酸架橋澱粉)の添加区では、口どけが悪く、重い好ましくない食感であった。また、試料8(安定剤)添加区では、滑らかさが低かった。
以上の結果より、膨潤抑制処理を施したカルボキシメチル化澱粉は、膨潤抑制されていないカルボキシメチル化澱粉と比べて、より有利な食感改良効果を有していることが明らかとなった。また、食感改良剤として広く用いられる増粘多糖類や既存の架橋澱粉と比較しても、より良好な食感改良効果を有していることが明らかとなった。

Claims (6)

  1. 加熱膨潤度が、澱粉の由来が同じで且つカルボキシメチル化度が同じである、膨潤抑制されていないカルボキシメチル化澱粉の加熱膨潤度に対して、相対値にして0.7倍以下であるように膨潤抑制されている該膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を0.1〜10質量%含有する食品
  2. ベーカリー食品、食品用ソース、食品用ペースト、冷菓から選ばれる食品である、請求項記載の食品。
  3. 加熱膨潤度が、澱粉の由来が同じで且つカルボキシメチル化度が同じである、膨潤抑制されていないカルボキシメチル化澱粉の加熱膨潤度に対して、相対値にして0.7倍以下であるように膨潤抑制されている該膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を、食品中に0.1〜10質量%含有せしめることを特徴とする食品の製造方法。
  4. ベーカリー食品、食品用ソース、食品用ペースト、冷菓から選ばれる食品の製造方法である、請求項記載の食品の製造方法。
  5. 加熱膨潤度が、澱粉の由来が同じで且つカルボキシメチル化度が同じである、膨潤抑制されていないカルボキシメチル化澱粉の加熱膨潤度に対して、相対値にして0.7倍以下であるように膨潤抑制されている該膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を含有することを特徴とする食品の食感改良用組成物。
  6. 加熱膨潤度が、澱粉の由来が同じで且つカルボキシメチル化度が同じである、膨潤抑制されていないカルボキシメチル化澱粉の加熱膨潤度に対して、相対値にして0.7倍以下であるように膨潤抑制されている該膨潤抑制カルボキシメチル化澱粉を添加することを特徴とする食品の食感改良方法。
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