JP6153063B2 - 加圧力可変機構、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

加圧力可変機構、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、互いに加圧されて当接する当接部材間の加圧力を可変する加圧力可変機構、その加圧力可変機構を備える定着装置及び画像形成装置に関する。
画像形成装置においては、互いに加圧された状態で当接する一対のローラ等の当接部材が設けられているが、その代表的なものの1つとして、定着装置が備える定着部材と加圧部材とがある。定着部材と加圧部材はバネ等の加圧手段により互いに当接するように加圧されており、両部材同士が当接して形成されるニップ部に、未定着画像を担持した用紙を通過させることにより、画像を定着する。
ところで、この種の定着装置においては、ニップ部に詰まった紙の除去作業を行いやすくするためや、定着部材と加圧部材が長時間加圧されることによるクリープの発生を防止するためなどの目的で、両部材間の加圧力を低減できるように構成されたものがある。例えば、特許文献1では、カムを回動させることで、加圧スプリングによる加圧ローラの加圧力を低減する構成が提案されている。
カムを回動させることによって加圧力を可変する機構は、上記特許文献1に提案されているもの以外に、さまざまな構成が提案又は検討されているが、その構成によっては、カム部材の回動動作に伴い異音が発生する場合がある。
本発明は、斯かる事情に鑑み、カム部材の回動動作に伴う異音の発生を抑制することが可能な加圧力可変機構、その加圧力可変機構を備えた定着装置及び画像形成装置を提供しようとするものである。
上記課題を解決するため、本発明は、カム部材をカム受け部材に対して当接させつつ回転させることで、互いに加圧されて当接する当接部材間の加圧力を可変する加圧力可変機構であって、少なくとも、前記カム部材の回転中心からの距離が最大となる周面上の上死点が前記カム受け部材との当接位置を通過したときに、前記カム部材の回転を規制する回転規制手段を備え、前記回転規制手段は、前記カム部材と一体的に回転すると共に前記カム受け部材に当接する回転規制部材を有し、前記回転規制部材を弾性体で形成し、前記カム部材の上死点が前記カム受け部材との当接位置を通過したときに、前記回転規制部材が前記カム受け部材に対して弾性変形しつつ当接するように構成したことを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも、カム部材の上死点がカム受け部材との当接位置を通過したときに、カム部材の回転を規制することができるので、上死点が当接位置を通過した直後のカム部材の速度増加を抑制することができる。これにより、カム受け部材に対するカム部材の離間を回避することができるようになり、カム部材とカム受け部材が当接することによる異音(衝突音)の発生を防止することが可能となる。
本発明に係る画像形成装置の実施の一形態を示す概略構成図である。 前記画像形成装置に搭載された定着装置の概略構成図である。 遮蔽部材を退避位置へ移動させた状態を示す図である。 加圧ローラを支持する支持構造を示す図である。 図4の矢印B方向から見た図である。 回転規制作用について説明するための図である。 本発明の他の実施形態の構成を示す図である。 図7の矢印D方向から見た図である。 本発明のさらに別の実施形態の構成を示す図である。 図9の矢印G方向から見た図である。
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
まず、図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1に示す画像形成装置1は、カラーレーザープリンタであり、その装置本体の中央には、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kが設けられている。各作像部4Y,4M,4C,4Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的に、各作像部4Y,4M,4C,4Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6と、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8などを備える。なお、図1では、ブラックの作像部4Kが備える感光体5、帯電装置6、現像装置7、クリーニング装置8のみに符号を付しており、その他の作像部4Y,4M,4Cにおいては符号を省略している。
各作像部4Y,4M,4C,4Kの下方には、感光体5の表面を露光する露光装置9が配設されている。露光装置9は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体5の表面へレーザー光を照射するようになっている。
また、各作像部4Y,4M,4C,4Kの上方には、転写装置3が配設されている。転写装置3は、中間転写体としての中間転写ベルト30と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ31と、二次転写手段としての二次転写ローラ36と、二次転写バックアップローラ32と、クリーニングバックアップローラ33と、テンションローラ34、ベルトクリーニング装置35を備える。
中間転写ベルト30は、無端状のベルトであり、二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33及びテンションローラ34によって張架されている。ここでは、二次転写バックアップローラ32が回転駆動することによって、中間転写ベルト30は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するようになっている。
4つの一次転写ローラ31は、それぞれ、各感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、各一次転写ローラ31には、図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が各一次転写ローラ31に印加されるようになっている。
二次転写ローラ36は、二次転写バックアップローラ32との間で中間転写ベルト30を挟み込んで二次転写ニップを形成している。また、上記一次転写ローラ31と同様に、二次転写ローラ36にも図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ36に印加されるようになっている。
ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードを有する。このベルトクリーニング装置35から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、図示しない廃トナー収容器の入り口部に接続されている。
プリンタ本体の上部には、ボトル収容部2が設けられており、ボトル収容部2には、補給用のトナーを収容する4つのトナーボトル2Y,2M,2C,2Kが着脱可能に装着されている。各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kと上記各現像装置7との間には、図示しない補給路が設けてあり、この補給路を介して各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kから各現像装置7へトナーが補給されるようになっている。
一方、プリンタ本体の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ10や、給紙トレイ10から用紙Pを搬出する給紙ローラ11等が設けてある。なお、記録媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等が含まれる。また、図示しないが、手差し給紙機構が設けてあってもよい。
プリンタ本体内には、用紙Pを給紙トレイ10から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向上流側には、搬送タイミングを計って用紙Pを二次転写ニップへ搬送するタイミングローラとしての一対のレジストローラ12が配設されている。
また、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置20が配設されている。さらに、定着装置20よりも搬送路Rの用紙搬送方向下流側には、用紙を装置外へ排出するための一対の排紙ローラ13が設けられている。また、プリンタ本体の上面部には、装置外に排出された用紙をストックするための排紙トレイ14が設けてある。
続いて、図1を参照して、本実施形態に係るプリンタの基本的動作について説明する。 作像動作が開始されると、各作像部4Y,4M,4C,4Kにおける各感光体5が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体5の表面が帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
また、作像動作が開始されると、二次転写バックアップローラ32が図の反時計回りに回転駆動し、中間転写ベルト30を図の矢印で示す方向に周回走行させる。また、各一次転写ローラ31に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ31と各感光体5との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
その後、各感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色のトナー画像が一次転写ニップに達したときに、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、各感光体5上のトナー画像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。かくして、中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー画像が担持される。また、中間転写ベルト30に転写しきれなかった各感光体5上のトナーは、クリーニング装置8によって除去される。そして、各感光体5の表面が図示しない除電装置によって除電され、表面電位が初期化される。
プリンタの下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された用紙Pは、レジストローラ12によって搬送が一旦停止される。
その後、所定のタイミングでレジストローラ12の回転駆動を開始し、中間転写ベルト30上のトナー画像が二次転写ニップに達するタイミングに合わせて、用紙Pを二次転写ニップへ搬送する。このとき、二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、この転写電界によって、中間転写ベルト30上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。また、このとき用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト30上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置35によって除去され、除去されたトナーは図示しない廃トナー収容器へと搬送され回収される。
その後、用紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー画像が当該用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの作像部を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
図2は、本実施形態の定着装置の断面図である。
以下、図2に基づき、定着装置20の構成について説明する。
図2に示すように、定着装置20は、定着部材としての定着ベルト21と、定着ベルト21の外周面に当接するように加圧される加圧部材としての加圧ローラ22と、定着ベルト21を加熱する加熱源としてのハロゲンヒータ23と、定着ベルト21の内周側から加圧ローラ22に当接してニップ部Nを形成するニップ形成部材24と、ニップ形成部材24を支持する支持部材としてのステー25と、ハロゲンヒータ23からの熱を定着ベルト21へ反射する反射部材26と、ハロゲンヒータ23からの熱を遮蔽する遮蔽部材27と、定着ベルト21の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ28等を備える。
上記定着ベルト21は、薄肉で可撓性を有する無端状のベルト部材(フィルムも含む)で構成されている。詳しくは、定着ベルト21は、ニッケルもしくはSUS等の金属材料又はポリイミド(PI)などの樹脂材料で形成された内周側の基材と、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで形成された外周側の離型層によって構成されている。また、基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。
また、弾性層が無い場合は、熱容量が小さくなり定着性が向上するが、未定着トナーを押しつぶして定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラが生じる可能性がある。これを防止するには、厚さ100μm以上の弾性層を設けることが望ましい。厚さ100μm以上の弾性層を設けることで、弾性層の弾性変形により微小な凹凸を吸収することができるので、光沢ムラの発生を回避することができるようになる。
本実施形態では、定着ベルト21の低熱容量化を図るために、定着ベルト21を薄くかつ小径化している。具体的には、定着ベルト21を構成する基材、弾性層、離型層のそれぞれの厚さを、20〜50μm、100〜300μm、10〜50μmの範囲に設定し、全体としての厚さを1mm以下に設定している。また、定着ベルト21の直径は、20〜40mmに設定している。さらに低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト21全体の厚さを0.2mm以下にするのがよく、さらに望ましくは、0.16mm以下の厚さとするのがよい。また、定着ベルト21の直径は、30mm以下とするのが望ましい。
上記加圧ローラ22は、芯金22aと、芯金22aの表面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等から成る弾性層22bと、弾性層22bの表面に設けられたPFA又はPTFE等から成る離型層22cによって構成されている。加圧ローラ22は、定着ベルト21側へ加圧され、定着ベルト21を介してニップ形成部材24に当接している。この加圧ローラ22と定着ベルト21とが圧接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層22bが押しつぶされることで、所定の幅のニップ部Nが形成されている。
また、加圧ローラ22は、プリンタ本体に設けられた図示しないモータ等の駆動源によって回転駆動するように構成されている。加圧ローラ22が回転駆動すると、その駆動力がニップ部Nで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が従動回転するようになっている。
本実施形態では、加圧ローラ22を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ22の内部にハロゲンヒータ等の加熱源を配設してもよい。また、弾性層22bはソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ22の内部に加熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト21の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。
上記ハロゲンヒータ23は、定着ベルト21の内周側で、かつ、ニップ部Nの用紙搬送方向の上流側に配設されている。詳しくは、図2において、ニップ部Nの用紙搬送方向の中央Qと加圧ローラ22の回転中心Oとを通る仮想直線をLとすると、ハロゲンヒータ23はこの仮想直線Lよりも用紙搬送方向の上流側(図2の下側)に配設されている。ハロゲンヒータ23は、プリンタ本体に設けられた電源部により出力制御されて発熱するように構成されており、その出力制御は、上記温度センサ28による定着ベルト21の表面温度の検知結果に基づいて行われる。このようなヒータ23の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に設定できるようになっている。なお、定着ベルト21の温度を検知する温度センサの代わりに、加圧ローラ22の温度を検知する温度センサ(図示省略)を設け、その温度センサで検知した温度により、定着ベルト21の温度を予測するようにしてもよい。
本実施形態では、ハロゲンヒータ23は2本設けられているが、プリンタで使用する用紙のサイズ等に応じて、ハロゲンヒータ23の本数を1本又は3本以上としてもよい。また、定着ベルト21を加熱する加熱源として、ハロゲンヒータ以外に、抵抗発熱体、又はカーボンヒータ等を用いることも可能である。
上記ニップ形成部材24は、ベースパッド241と、ベースパッド241の定着ベルト21と対向する面に設けられた低摩擦性の摺動シート240とを有する。ベースパッド241は、定着ベルト21の軸方向又は加圧ローラ22の軸方向に渡って長手状に配設されている。ベースパッド241が加圧ローラ22の加圧力を受けることで、ニップ部Nの形状が決まる。本実施形態では、ニップ部Nの形状が平坦状であるが、凹形状やその他の形状としてもよい。摺動シート240は、定着ベルト21が回転する際の摺動摩擦を低減するために設けられている。なお、ベースパッド241自体が低摩擦性の部材で形成されている場合は、摺動シート240を有しない構成としてもよい。
ベースパッド241は、耐熱温度200℃以上の耐熱性部材で構成されており、トナー定着温度域で熱によるニップ形成部材24の変形を防止し、安定したニップ部Nの状態を確保して、出力画質の安定化を図っている。ベースパッド241の材料としては、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの一般的な耐熱性樹脂を用いることが可能である。
また、ベースパッド241は、ステー25によって固定支持されている。これにより、加圧ローラ22による圧力でニップ形成部材24に撓みが生じるのを防止し、加圧ローラ22の軸方向に渡って均一なニップ幅が得られるようにしている。ステー25は、ニップ形成部材24の撓み防止機能を満足するために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが望ましい。また、ベースパッド241も、強度確保のためにある程度硬い材料で構成されていることが望ましい。ベースパッド241の材料としては、液晶ポリマー(LCP)等の樹脂や、金属、あるいはセラミックなどを適用することができる。
上記反射部材26は、ハロゲンヒータ23と対向するようにステー25に固定支持されている。この反射部材26によって、ハロゲンヒータ23から放射された熱(又は光)を定着ベルト21へ反射することで、熱がステー25等に伝達されるのを抑制し、定着ベルト21を効率良く加熱すると共に省エネルギー化を図っている。反射部材26の材料としては、アルミニウムやステンレス等が用いられる。特に、アルミニウム製の基材に輻射率の低い(反射率の高い)銀を蒸着したものを用いた場合、定着ベルト21の加熱効率を向上させることが可能である。
上記遮蔽部材27は、厚さ0.1mm〜1.0mmの金属板を、定着ベルト21の内周面に沿った円弧状の断面形状に形成して構成されている。また、遮蔽部材27は、必要に応じて定着ベルト21の周方向に移動可能となっている。本実施形態では、定着ベルト21の周方向領域において、ハロゲンヒータ23が定着ベルト21に直接対向して加熱する直接加熱領域と、ハロゲンヒータ23と定着ベルト21との間に遮蔽部材27以外の他部材(反射部材26、ステー25、ニップ形成部材24等)が介在する非直接加熱領域とがあるが、熱遮蔽する必要がある場合は、図2に示すように、遮蔽部材27を直接加熱領域側の遮蔽位置に配設する。
一方、熱遮蔽の必要がない場合は、図3に示すように、遮蔽部材27を非直接加熱領域側の退避位置へ移動させ、遮蔽部材27を反射部材26やステー25の裏側へ退避させることが可能となっている。また、遮蔽部材27は耐熱性を要するため、その素材には、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属材料、又はセラミックを用いることが好ましい。
図4に、加圧ローラを支持する支持構造を示す。
なお、図4では、加圧ローラの一端部側の支持構造のみ図示しているが、この支持構造は加圧ローラの両端部側に1つずつ設けられている。ただし、各支持構造は基本的に同様の構成となっているので、説明を簡略化するため、以下、図4を参照しつつ、一方の支持構造の構成について説明する。
図4に示すように、加圧ローラ22の端部は、軸受50(玉軸受又は滑り軸受)を介して保持部材51に保持さている。保持部材51の下部は、定着装置の側板52に加締めて固定された支軸53に支持されている。この支軸53を中心に、保持部材51は図の矢印J方向に回動可能となっている。
保持部材51の定着ベルト21側とは反対側に、加圧レバー54が配設されている。加圧レバー54の下部は、保持部材51と同様に、支軸53に支持されており、この支軸53を中心に、加圧レバー54は図の矢印U方向に回動可能となっている。また、保持部材51と加圧レバー54のそれぞれの上部間には、加圧力付与手段としてのバネ55が圧縮された状態で保持されている。このバネ55の反発力を受けて、保持部材51が図の矢印F方向に加圧されることで、保持部材51に保持される加圧ローラ22が定着ベルト21に当接するように加圧されている。
さらに、加圧ローラ22の端部には、定着ベルト21と加圧ローラ22との間の加圧力を可変する加圧力可変機構60が設けられている。本実施形態における加圧力可変機構60は、回転軸62に偏芯するように設けられたカム部材61を備える。このカム部材61は、平行ピンやスプリングピン等の回り止め部材を介して回転軸62に固定されている。また、カム部材61は、加圧レバー54に設けられたカム受け部材としての対向コロ56に当接するように配設されている。
図5は、図4の矢印B方向から見た図である。
図5に示すように、カム部材61には、その回転中心からの距離が最大となる周面上の上死点Xと、回転中心からの距離が最小となる周面上の下死点Yとがある。カム部材61は、図の矢印E方向に回転するのに伴って、対向コロ56に対して上死点Xで当接した状態と、下死点Yで当接した状態とに切り換えられる。カム部材61が、対向コロ56に対して上死点Xで当接した状態では、カム部材61によって加圧レバー54が押し込まれるため、バネ55がさらに圧縮され、加圧ローラ22の加圧力が増す。反対に、カム部材61が下死点Yで当接した状態では、カム部材61による加圧レバー54の押し込み力が低減するため、加圧ローラ22の加圧力も低減するようになっている。特に、本実施形態のように、カム受け部材を回転可能な対向コロ56とすることで、カム部材61の回転に伴って対向コロ56が従動回転するため、加圧力の切換動作をスムーズに行うことが可能である。
加圧力を変更する目的としては種々あるが、例えば、定着装置で紙詰まりが発生した場合に、加圧ローラの加圧力を低減することで、ニップ部に詰まった紙の除去作業を行いやすくすることが可能である。また、画像形成装置を長期間使用しない場合は、加圧ローラの加圧力を低減しておくことで、ニップ部におけるクリープの発生を防止することができる。また、封筒等の厚紙を通紙する際に、加圧ローラの加圧力を低減することで、シワを発生させることなく定着処理を行うことが可能である。
なお、本実施形態において、加圧ローラの一端部側と他端部側とに設けられた各カム部材は、同じ回転軸に設けられており、それぞれ、上死点と下死点が周方向に同じ位相で配設されている。従って、加圧力の増減は、加圧ローラの一端側と他端部側とで同じタイミングで行えるようになっている。
また、本実施形態のように、定着ベルトを用いた構成においては、加圧ローラの両端部の加圧力にばらつきがあると、定着ベルトが軸方向の一方に寄ってしまう、ベルト寄りが生じる場合がある。このようなベルト寄りを抑制するため、一端部側と他端部側とに設けられた各カム部材の回転駆動を互いに独立して行えるようにし、加圧力のばらつきを解消できるようにしてもよい。
ところで、カム部材をカム受け部材に対して当接させつつ回転させて加圧力を可変する構成においては、カム受け部材に対するカム部材の当接位置が下死点から上死点に移行するにつれて、加圧ローラからの反発力が次第に強くなるため、カム部材に対する回転負荷が増す。そして、カム部材の上死点がカム受け部材に当接したとき、すなわち、カム部材によって加圧レバーが最も押し込まれたときに、加圧ローラの反発力が最も強くなり、カム部材に対する回転負荷も最大となる。
しかし、上死点が当接位置を過ぎると、カム部材に対する回転負荷が急激に低減することから、カム部材の回転速度が瞬間的に速くなることがある。このとき、カム部材の瞬間的な回転速度の増加によって、カム部材がカム受け部材の表面から一瞬離れると、再度カム部材がカム受け部材に当接するときに異音(衝突音)が発生する。
そこで、本発明では、上記のようなカム部材の瞬間的な回転速度の増加に起因する異音の発生を防止するため、カム部材の回転を規制する回転規制手段を設けている。
具体的に、図4に示す実施形態では、回転規制手段70として、カム部材61と一体的に回転する回転規制部材71を設けている。回転規制部材71は、カム部材61と隣り合うように回転軸62に設けられ、対向コロ56に当接する位置に配設されている。
回転規制部材71は、弾性体で形成されている。特に、本実施形態では、回転規制部材71が加熱される定着装置に設けられているため、回転規制部材71の材料として、シリコーンゴムやフッ素ゴム(ソリッドタイプ又はスポンジタイプ)等の耐熱性を有する弾性体を用いることが好ましい。
図5に示すように、回転規制部材71は、回転軸62に対して偏芯するように形成されている。また、回転規制部材71は、部分的に、カム部材61の外周面よりも外径方向に突出している。詳しくは、カム部材61の上死点Xから回転方向Eとは逆方向に移動して下死点Yを超えた辺りまでの範囲において、回転規制部材71がカム部材61よりも外径方向に突出している。
以下、図6を参照しつつ、上記回転規制手段(回転規制部材)によるカム部材の回転規制作用について説明する。
図6において、横軸はカム部材の回転角度を示し、縦軸は対向コロとの当接箇所におけるカム部材及び回転規制部材の外周半径を示している。また、図6中、実線Sで示すのがカム部材の外周半径であり、点線Qで示すのが回転規制部材の外周半径である。なお、図6では、説明のため、カム部材が回転した際、従動回転する対向コロ56がカム部材の外周面(実線S)を転がって移動するイメージで表現している。
対向コロが図6の右端に示す下死点Yから左側の上死点Xに向かって移動する際、カム部材の外周半径が徐々に大きくなるので、対向コロはカム部材の外周面を駆け上る力が必要となる(実際は、カム部材の回転を抑制する力が増加する)。一方、対向コロが上死点Xを通過すると、対向コロはカム部材の外周面を下る状態となるので、駆け上がるときよりも移動方向への勢いが増す(実際は、カム部材の回転を抑制する力が低下する)。このとき、対向コロがカム部材の外周面を急激に駆け下りると、対向コロがカム部材の外周面に追従できなくなり、対向コロがカム部材から一瞬離れることがある。
しかしながら、本実施形態では、対向コロが上死点Xを通過したとき、すなわち、対向コロの移動方向への勢いが増す位置で、弾性体である回転規制部材の外周面がカム部材よりも外径側に突出しているので、対向コロは回転規制部材に対して当接して食い込む。これにより、対向コロの移動に対する抵抗が発生し、対向コロの急激な速度上昇が抑制される(実際は、カム部材の急激な回転速度の上昇が抑制される)。このように、本実施形態では、対向コロが上死点Xを通過した直後の対向コロの急激な速度上昇を抑制することができるので、対向コロがカム部材から離れるのを回避することが可能である。仮に、対向コロがカム部材から離れたとしても、対向コロは弾性体である回転規制部材と当接しているため、対向コロとカム部材とが当接する際の衝撃が吸収され、衝突音が発生することはない。
以上のように、本実施形態では、回転規制部材によって、カム部材の急激な回転速度の上昇を抑制することができるので、対向コロに対するカム部材の離間を回避することができる。また、カム部材が対向コロに対して離れたとしても、回転規制部材が衝撃吸収部材として機能することで、カム部材と対向コロとが再度当接した際の衝突音の発生を防止することが可能である。
なお、本実施形態では、回転規制部材71が、その周方向の広い範囲に渡ってカム部材61よりも外径方向に突出しているが(図5参照)、回転規制部材71は、少なくとも、カム部材61の上死点Xから回転方向Eとは逆方向近傍で突出していれば、上死点Xが当接位置を通過した直後の速度増加を抑制することが可能である。反対に、カム部材61の上死点Xから回転方向E近傍では、特にカム部材61に対する回転負荷が大きくなるので、カム部材61の回転をスムーズに行うために、回転規制部材71はカム部材61よりも外径方向に突出しないようにすることが好ましい。
図7は、本発明の他の実施形態の構成を示す図である。
上述の実施形態では、回転規制部材71が当接する相手部材を対向コロ56としているが、図7に示す実施形態では、回転規制部材71を、対向コロ56とは別の相手部材である回転体72に当接させている。また、回転規制部材71は、弾性体ではなく、例えばカム部材61と同様の材質の弾性変形しない部材で形成されている。一方、回転体72は、弾性体で形成されている。回転体72の材料としては、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム(ソリッドタイプ又はスポンジタイプ)等の耐熱性を有する部材が好ましい。あるいは、回転体72を、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PAI(ポリアミドイミド)、PA(ポリアミド)等の耐熱性と低摩擦性を有する樹脂材料で形成してもよい。
また、回転体72は、回転軸73によって回転可能に支持されている。この回転軸73は、定着装置の側板52に図の上下方向に移動可能に取り付けられている。すなわち、回転体72は、回転規制部材71に対して接近離間する方向に支持されている。さらに、回転体72は、付勢部材としてのバネ74によって回転規制部材71側へ付勢されている。これにより、回転体72は、回転規制部材71に対して当接した状態で保持されている。
また、回転規制部材71は、回転軸62に対して偏芯するように形成されている。詳しくは、図7の矢印D方向から見た図8に示すように、カム部材61の上死点Xが対向コロ56との当接位置を通過したときに、回転規制部材71の回転中心からの距離が大きくなる部分が、回転体72に対して当接するように偏芯している。
この場合、図8に示すように、カム部材61の上死点Xが対向コロ56との当接位置を通過したとき、回転規制部材71によって回転体72が弾性変形しつつ押し込まれることで、両者間の当接圧が大きくなり、カム部材61に対する回転負荷が増大する。この回転負荷の増大によって、カム部材61の回転が規制されるので、上死点Xが当接位置を通過した直後のカム部材61の速度増加を抑制することができる。このように、本実施形態においては、回転規制部材71と回転体72との当接により、カム部材61の速度増加を抑制することができるので、対向コロ56に対するカム部材61の離間を回避することができ、衝突音の発生を防止できる。
なお、特に、カム部材61の上死点Xが対向コロ56との当接位置を通過する直前は、カム部材61に対する回転負荷が大きくなるので、このときは、回転体72に対して回転規制部材71の回転中心からの距離が小さい部分(大きくない部分)が当接するようにして、カム部材61の回転をスムーズに行うようにすることが好ましい。
また、上記とは反対に、回転規制部材71を弾性体で形成し、回転体72を非弾性体で形成してもよい。この場合も、両者間の当接圧の増大により、カム部材61の回転を規制することが可能である。
以上、本発明の他の実施形態について説明したが、上記説明した以外の構成は、図1〜図5で示す上記実施形態の構成と同様であるので、説明を省略する。
図9は、本発明のさらに別の実施形態の構成を示す図である。
図9に示す実施形態において、駆動手段である駆動モータ76からカム部材61への駆動力の伝達は、まず、駆動モータ76の駆動軸76aと噛み合う第1のアイドラギア77に伝達され、次いで、これと噛み合う第2のアイドラギア78に伝達される。第2のアイドラギア78を支持する回転軸86には、第3のアイドラギア79が設けられており、第2のアイドラギア78が回転すると第3のアイドラギア79も回転するようになっている。そして、駆動力は、第3のアイドラギア79と噛み合う第4のアイドラギア80へ伝達され、さらに、カム部材61の回転軸62に固定された駆動ギア81に伝達され、駆動ギア81とカム部材61が一体的に回転駆動するようになっている。なお、駆動モータ76及び各アイドラギア77〜80は、画像形成装置に設けられた支持板等の支持部材84によって支持されている。
また、駆動伝達部材としての上記第4のアイドラギア80には、カム部材61の回転を規制する回転規制手段70として、トルクリミッタ75が設けられている。トルクリミッタ75は、内輪75aと外輪75bとを有している。内輪75aは、スプリングピン82によって固定軸83に固定されている。外輪75bは、第4のアイドラギア80に対して固定されている。内輪75aと外輪75bの間には、常時、バネ力あるいは磁力によって所定の負荷がかかっており、この負荷によって、外輪75bが内輪75aに対して回転しないようにする保持力が作用している。しかし、この保持力を超える回転トルクが外輪75bに付与された場合は、外輪75bが内輪75aに対して回転する仕組みとなっている。すなわち、トルクリミッタ75は、前記保持力よりも大きい回転トルクに対しては第4のアイドラギア80の回転を許容し、保持力よりも小さい回転トルクに対しては第4のアイドラギア80の回転を規制するように構成されている。
ここで、外輪75bを回転させないようにする前記保持力を、トルクリミッタ75の設定値と称すると、この設定値は、駆動モータ76から付与される回転トルクよりも小さく設定している。これにより、駆動モータ76の駆動力が第4のアイドラギア80に伝達された場合は、当該アイドラギア80の回転を許容し、カム部材61を回転させる。
一方、カム部材61の上死点Xが対向コロ56との当接位置を通過したときに(図10参照)、カム部材61を回転方向Eに増速させるように生じる回転トルクに対しては、回転を規制するようにしている。すなわち、トルクリミッタ75の設定値を、カム部材61を回転方向へ増速させる回転トルクよりも大きく設定し、回転方向の回転トルクが生じてもカム部材61を増速させないようにしている。このように、本実施形態においては、トルクリミッタ75により、カム部材61の速度増加を抑制することで、対向コロ56に対するカム部材61の離間を回避し、衝突音の発生を防止している。
また、トルクリミッタ75に代えて、粘性流体の粘性抵抗によってカム部材61の回転に抵抗を付与するオイルダンパを、回転規制手段として用いてもよい。この場合、長寿命で安定したトルク付与を実現できる。ただし、オイルダンパを搭載する場合は、オイルの粘性が熱により変化する可能性があるので、定着装置から離れた位置にオイルダンパを設けることが望ましい。
ところで、カム部材61を駆動させる駆動モータ76の駆動力を、カム部材61以外の他部材(図示省略)の駆動にも利用できるようにすると、共通のモータで複数の部材を駆動させることができるため、低コスト化、装置の小型化を図れる。ただ、その場合、他部材をカム部材61と一緒に回転駆動させようとすると、他部材を駆動させる負荷に加え、カム部材61の回転負荷やトルクリミッタ75の負荷もかかるため、駆動モータ76を出力の大きい大型のものにする必要がある。
そこで、図9に示す実施形態では、他部材の駆動時には、カム部材61及びトルクリミッタ75の負荷がかからないように、カム部材61及びトルクリミッタ75との連動を解除する機構を設けている。具体的には、駆動モータ76を正逆回転可能に構成し、駆動モータ76とトルクリミッタ75との間の第2のアイドラギア78にワンウェイクラッチ85を設けている。
ワンウェイクラッチ85は、一方向の回転のみを伝達するクラッチ機構であり、駆動モータ76からカム部材61を回転駆動させる正方向の駆動力が伝達されると、第2のアイドラギア78と回転軸86との間で駆動力を伝達する。一方、駆動モータ76から逆方向の駆動力が伝達されると、第2のアイドラギア78は回転軸86に対して空転することで、第3のアイドラギア79以降への駆動力の伝達が行われないようになっている。
このように構成することで、駆動モータ76を逆方向へ回転駆動させた場合は、カム部材61及びトルクリミッタ75への駆動力の伝達を行わずに、他部材を駆動させる可能となる。これにより、他部材の駆動時に、カム部材61及びトルクリミッタ75の負荷がかからないようにすることができるので、小型の駆動モータを採用することができ、低コスト化及び装置の小型化を図れるようになる。
また、上記のような他部材の駆動時にカム部材61及びトルクリミッタ75との連動を解除する構成は、トルクリミッタ75を用いた実施形態に限らず、その他の上述の実施形態においても、同様に適用可能である。
以上、本発明のさらに別の実施形態について説明したが、上記説明した以外の構成は、図1〜図5で示す上記実施形態の構成と同様であるので、説明を省略する。
以上のように、本発明によれば、少なくとも、カム部材の上死点がカム受け部材との当接位置を通過したときに、カム部材の回転を規制することができるので、上死点が当接位置を通過した直後のカム部材の速度増加を抑制することができる。これにより、カム受け部材に対するカム部材の離間を回避することができるようになり、カム部材とカム受け部との当接による異音(衝突音)の発生を防止することが可能となる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。図3又は図7に示す上述の実施形態では、回転規制部材71と相手部材(対向コロ56又は回転体72)とが、基本的に常時当接しているが、両者は必ずしも常時当接していなくてもよい。つまり、回転規制部材と相手部材は、少なくとも、カム部材の上死点がカム受け部材との当接位置を通過したときに、一方が他方に対して弾性変形しつつ当接すれば、その当接による抵抗でカム部材の回転を規制することが可能である。
また、本発明は、定着装置以外の装置にも適用可能である。すなわち、本発明を適用可能な加圧力可変機構は、カム部材をカム受け部材に対して当接させつつ回転させることで、互いに加圧されて当接する当接部材間の加圧力を可変するものであれば、当接部材は、定着部材と加圧部材に限らない。
具体的には、例えば、二次転写ローラの加圧力を変更する加圧力可変機構にも、本発明を適用可能である。二次転写ローラと二次転写バックアップローラとの間に厚紙を突入させると、二次転写バックアップローラの負荷が大きく増加することで、中間転写ベルトの搬送方向における移動速度にブレーキがかかり、速度変動が生じる問題がある。この問題を解消するため、厚紙突入時において、二次転写ローラの加圧力を低減することがあるが、このような二次転写ローラの加圧力を可変する機構にカム部材を用いた場合、本発明を適用することで異音の発生を防止することが可能である。
また、本発明を適用する画像形成装置の作像方式は、上記のような電子写真方式に限らない。インクジェット方式等の任意の作像方式の装置にも本発明を適用可能である。また、画像形成装置としては、プリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいはこれらの複合機であってもよい。
20 定着装置
21 定着ベルト(定着部材)
22 加圧ローラ(加圧部材)
23 ハロゲンヒータ(加熱源)
56 対向コロ(カム受け部材)
60 加圧力可変機構
61 カム部材
70 回転規制手段
71 回転規制部材
72 回転体(相手部材)
75 トルクリミッタ
76 駆動モータ(駆動手段)
85 ワンウェイクラッチ
X 上死点
Y 下死点
特開2009−139682号公報

Claims (5)

  1. カム部材をカム受け部材に対して当接させつつ回転させることで、互いに加圧されて当接する当接部材間の加圧力を可変する加圧力可変機構であって、
    少なくとも、前記カム部材の回転中心からの距離が最大となる周面上の上死点が前記カム受け部材との当接位置を通過したときに、前記カム部材の回転を規制する回転規制手段を備え
    前記回転規制手段は、前記カム部材と一体的に回転すると共に前記カム受け部材に当接する回転規制部材を有し、
    前記回転規制部材を弾性体で形成し、
    前記カム部材の上死点が前記カム受け部材との当接位置を通過したときに、前記回転規制部材が前記カム受け部材に対して弾性変形しつつ当接するように構成したことを特徴とする加圧力可変機構。
  2. 前記回転規制部材を、少なくとも前記上死点から回転方向とは逆方向近傍で前記カム部材の外周面よりも外径方向に突出するように配設した請求項1に記載の加圧力可変機構。
  3. 前記カム部材を回転駆動させる駆動手段を、正逆回転可能に構成すると共に、前記駆動手段と前記回転規制手段との間にワンウェイクラッチを設け、
    前記ワンウェイクラッチは、前記駆動手段が前記カム部材を回転駆動させる正回転時は前記回転規制手段に駆動力を伝達し、前記駆動手段が他部材を回転駆動させる逆回転時は前記回転規制手段に駆動力を伝達しないように構成された請求項1又は2に記載の加圧力可変機構。
  4. 加熱源によって加熱される定着部材と、
    前記定着部材に当接してニップ部を形成する加圧部材と、
    前記定着部材と前記加圧部材とが当接するように加圧力を付与する加圧付与手段とを備える定着装置であって、
    前記定着部材と前記加圧部材との間の加圧力を可変する加圧力可変機構として、請求項1から3のいずれか1項に記載の加圧力可変機構を備えたことを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載の加圧力可変機構を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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