以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。先ず、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示す構成図である。この画像形成装置1は、カラーレーザープリンタであり、そのプリンタ本体の中央には、中間転写ベルト30の展張方向に沿って4つの作像部4Y、4C、4M、4Kが並設されている。各作像部4Y、4C、4M、4Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容する以外は、同じ構成である。
具体的に、それぞれ画像ステーションを構成する各作像部4Y、4C、4M、4Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6と、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8などを備えている。なお、図1では、ブラックの作像部4Kが備える感光体5、帯電装置6、現像装置7、クリーニング装置8のみに色用符号を付し、その他の作像部4Y、4C、4Mにおいては符号を省略している。
作像部4Y、4C、4M、4Kの下方には、感光体5の表面を露光する露光装置9が配設されている。露光装置9は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて各感光体5の表面へレーザー光を照射するようになっている。
作像部4Y、4C、4M、4Kの上方には、転写装置3が配設されている。転写装置3は、転写体としての中間転写ベルト30と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ31と、二次転写手段としての二次転写ローラ36とを備える。さらに、転写装置3は二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33、テンションローラ34、及びベルトクリーニング装置35を備えている。
中間転写ベルト30は、無端状のベルトであり、二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33及びテンションローラ34によって張架されている。ここでは、二次転写バックアップローラ32が回転駆動することによって、中間転写ベルト30は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するようになっている。
4つの一次転写ローラ31は、それぞれ、各感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、各一次転写ローラ31には、プリンタ本体の電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が各一次転写ローラ31に印加されるようになっている。
二次転写ローラ36は、二次転写バックアップローラ32との間で中間転写ベルト30を挟み込んで二次転写ニップを形成している。また、一次転写ローラ31と同様に、二次転写ローラ36にもプリンタ本体の電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ36に印加されるようになっている。
ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードを有する。
プリンタ本体の上部には、ボトル収容部2が設けられており、ボトル収容部2には補給用のトナーを収容した4つのトナーボトル2Y、2C、2M、2Kが着脱可能に装着されている。各トナーボトル2Y、2C、2M、2Kと各現像装置7との間には、周知のように補給路が設けられ、この補給路を介して各トナーボトル2Y、2C、2M、2Kから各現像装置7へトナーが補給されるようになっている。
一方、プリンタ本体の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ10や、給紙トレイ10から用紙Pを搬出する給紙ローラ11などが設けられている。ここで、記録媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。また、周知のように、手差し給紙機構が設けられていてもよい。
プリンタ本体内には、用紙Pを給紙トレイ10から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向上流側には、二次転写ニップへ用紙Pを搬送する搬送手段としての一対のレジストローラ(位置合わせローラ)12が配設されている。
また、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置20が配設されている。さらに、定着装置20よりも搬送路Rの用紙搬送方向下流側には、用紙を装置外へ排出するための一対の排紙ローラ13が設けられている。また、プリンタ本体の上面部には、装置外に排出された用紙をストックするための排紙トレイ14が設けられている。
次に、画像形成装置の基本的動作を説明する。作像動作が開始されると、各作像部4Y、4C、4M、4Kにおける各感光体5が図の時計回りに回転駆動され、各感光体5の表面が帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
また、作像動作が開始されると、二次転写バックアップローラ32が図の反時計回りに回転駆動し、中間転写ベルト30を図の矢印で示す方向に周回走行させる。そして、各一次転写ローラ31に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ31と各感光体5との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
その後、各感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色のトナー画像が一次転写ニップに達したときに、一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、各感光体5上のトナー画像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー画像が担持される。また、中間転写ベルト30に転写しきれなかった各感光体5上のトナーは、クリーニング装置8によって除去される。各感光体5の表面は、その後、除電され、表面電位が初期化される。
画像形成装置の下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された用紙Pは、レジストローラ12によってタイミングを計られ、二次転写ローラ36と二次転写バックアップローラ32との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。
その後、中間転写ベルト30の周回走行に伴って、中間転写ベルト30上のトナー画像が二次転写ニップに達したときに、そのニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト30上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。また、このとき用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト30上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置35によって除去され、除去されたトナーはプリンタ本体内に置かれた廃トナー収容器へと搬送され、回収される。
その後、用紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー画像が当該用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの作像部4Y、4C、4M、4Kの何れか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの作像部を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
次に、定着装置の構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る定着装置の構成を一部断面化して示す構成図である。
図2に示すように、定着装置20は、回転可能な定着部材としての定着ベルト21と、定着ベルト21に対向して回転可能に設けられた対向部材としての加圧ローラ22と、定着ベルト21の内周側に配置され定着ベルト21を加熱する熱源としてのハロゲンヒータ23と、定着ベルト21の内側に配設されたニップ形成部材24と、ニップ形成部材24を支持する支持部材としてのステー25と、ハロゲンヒータ23から放射される光を遮蔽する遮蔽部材26と、加圧ローラ22を定着ベルト21へ加圧する公知の加圧手段等を備えている。
定着ベルト21は、用紙Pの未定着画像が担持された側を加熱するもので、薄肉で可撓性を有する無端状のベルト部材(フィルムも含む)で構成されている。詳しくは、定着ベルト21は、ニッケルもしくはSUS等の金属材料又はポリイミド(PI)などの樹脂材料で形成された内周側の基材と、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで形成された外周側の離型層と、によって構成されている。また、基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。
定着ベルト21の軸方向両端部は、その内周に挿入したベルト保持部材29によって保持されている。このように、定着ベルト21の両端部のみをベルト保持部材29によって保持することで、両端部間では定着ベルト21が定着ニップNを除いてフリー変形可能な状態にある。また、定着ニップNをストレート形状にしたことに伴い、定着ベルト21には楕円状に変形しようと力が常時作用する。そのため、回転中の定着ベルト21は、その両端部で半径方向断面がほぼ真円形状となり、両端部の間の領域で半径方向断面が定着ニップNの法線方向を短軸とする楕円形となるように変形する。
定着ベルト21の低熱容量化を図るために、定着ベルト21を薄くかつ小径化している。具体的には、定着ベルト21を構成する基材、弾性層、離型層のそれぞれの厚さを、20〜50μm、100〜300μm、10〜50μmの範囲に設定し、全体としての厚さを1mm以下に設定している。また、定着ベルト21の直径は、20〜40mmに設定している。さらに低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト21全体の厚さを0.2mm以下にするのがよく、さらに望ましくは、0.16mm以下の厚さとするのがよい。また、定着ベルト21の直径は、30mm以下とするのが望ましい。
なお、本実施形態では、加圧ローラ22の直径を20〜40mmに設定しており、定着ベルト21の直径と加圧ローラ22の直径を同等となるように構成している。ただし、この構成に限定されるものではない。例えば、定着ベルト21の直径が加圧ローラ22の直径よりも小さくなるように形成してもよい。その場合、定着ニップNにおける定着ベルト21の曲率が加圧ローラ22の曲率よりも小さくなるため、定着ニップNから排出される用紙Pが定着ベルト21から分離されやすくなる。
加圧ローラ22は、芯金22aと、芯金22aの表面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等から成る弾性層22bと、弾性層22の表面に設けられたPFA又はPTFE等から成る離型層22cと、によって構成されている。加圧ローラ22は、公知の加圧手段によって定着ベルト21側へ加圧され定着ベルト21を介してニップ形成部材24に当接している。加圧ローラ22と定着ベルト21とが圧接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層22bが押しつぶされることで、所定の幅の定着ニップNが形成されている。また、加圧ローラ22は、公知のモータによって回転駆動するように構成されている。加圧ローラ22が、図2の矢印方向に回転駆動すると、その駆動力が定着ニップNで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が従動回転するようになっている。
本実施形態では、加圧ローラ22を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ22の内部にハロゲンヒータ等の熱源を配設してもよい。また、弾性層が無い場合は、熱容量が小さくなり定着性が向上するが、未定着トナーを押しつぶして定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラが生じる可能性がある。これを防止するには、厚さ100μm以上の弾性層を設けることが望ましい。厚さ100μm以上の弾性層を設けることで、弾性層の弾性変形により微小な凹凸を吸収することができるので、光沢ムラの発生を回避することができるようになる。弾性層22bはソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ22の内部に熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト21の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。また、定着ベルト21と加圧ローラ22は、互いに圧接する場合に限らず、加圧を行わず単に接触させるだけの構成とすることも可能である。
ハロゲンヒータ23は、両端部が後述するブラケット28に固定されている。ハロゲンヒータ23は、出力制御されて発熱するように構成されており、ハロゲンヒータ23の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に設定できるようになっている。また、定着ベルト21を加熱する熱源として、ハロゲンヒータ以外に、IH、抵抗発熱体、又はカーボンヒータ等を用いてもよい。なお、本実施の形態では、1つのハロゲンヒータを設けているが、複数のハロゲンヒータを設けてもよい。
ニップ形成部材24は、ベースパッド241と、ベースパッド241の表面に設けられた摺動シート(低摩擦シート)240とを有する。ベースパッド241は、定着ベルト21の軸方向又は加圧ローラ22の軸方向に亘って長手状に配設されており、加圧ローラ22の加圧力を受けて定着ニップNの形状を決めるものである。また、ベースパッド241は、ステー25によって固定支持されている。これにより、加圧ローラ22による圧力でニップ形成部材24に撓みが生じるのを防止し、加圧ローラ22の軸方向に渡って均一なニップ幅が得られるようにしている。なお、ステー25は、ニップ形成部材24の撓み防止機能を満足するために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが望ましい。本実施の形態では、ベースパッド241の加圧ローラ22との対向面が平坦面状に形成されており、そのために定着ニップNはストレート形状になっている。定着ニップNをストレート形状にすることで、加圧ローラ22による加圧力を軽減することができる。
ベースパッド241は、強度確保のためにある程度硬い材料で、かつ耐熱温度200℃以上の耐熱性材料で構成されている。これにより、トナー定着温度域で、熱によるニップ形成部材24の変形を防止し、安定した定着ニップNの状態を確保して、出力画質の安定化を図っている。ベースパッド241の材料としては、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの一般的な耐熱性樹脂の他、金属、あるいはセラミックなどを使用することが可能である。
摺動シート240は、ベースパッド241の少なくとも定着ベルト21と対向する表面に配設されていればよい。これにより、定着ベルト21が回転する際、摺動シート240に対し定着ベルト21が摺動することで、定着ベルト21に生じる駆動トルクが低減され、定着ベルト21への摩擦力による負荷が軽減される。なお、摺動シート240を有しない構成とすることも可能である。
遮蔽部材26は、定着ベルト21の内周側で、ハロゲンヒータ23の外周を覆うように配置されている。
次に、定着装置の基本動作について説明する。
プリンタ本体の電源スイッチが投入されると、ハロゲンヒータ23に電力が供給されると共に、加圧ローラ22が、図2,図5中の反時計回りに回転駆動を開始する。これにより、定着ベルト21は、加圧ローラ22との摩擦力によって、図2,図5中の時計回りに従動回転する。
その後、上述の画像形成工程により未定着のトナー画像が担持された用紙Pが、公知のガイド板に案内されながら搬送路Rを搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ22の定着ニップNに送入される。そして、ハロゲンヒータ23によって加熱された定着ベルト21による熱と、定着ベルト21と加圧ローラ22との間の加圧力とによって、用紙Pの表面にトナー画像が定着される。
トナー画像が定着された用紙Pは、搬送路Rの定着ニップNよりも下流側に搬出される。その後、分離された用紙Pは、上述のように、排紙ローラによって機外に排出され、排紙トレイにストックされる。
[第1実施形態]
次に、第1実施形態の機構について説明する。図3は、第1実施形態に係る機構を一部断面化して示す斜視図である。図4は、第1実施形態に係る機構を一部断面化して示す斜視図である。図5は、第1実施形態に係る機構を示す断面図である。
遮蔽部材26は、図2に示すように、円筒形状で、ハロゲンヒータ23を囲むように配置され、ハロゲンヒータ23の周囲を回動する構成になっている。遮蔽部材26は、耐熱性及び低摩擦性を有する樹脂材料、又は、金属板に耐熱性及び低摩擦性を有する樹脂をコートした部材で構成する。
遮蔽部材26の外周には、少なくとも1つの開口部が定着ベルト21の長手方向端部以外に設けられる。すなわち、遮蔽部材26は、少なくとも用紙の最大通過領域の内側に、少なくとも1つの開口部を有する。開口部の開口幅(通紙幅)以外の領域では、ハロゲンヒータ23からの輻射熱を遮蔽し、定着ベルト21の非通紙領域の過昇温による定着ベルト21の劣化を防止する。
具体的には、図3に示すように、遮蔽部材26には、3つの開口部26a,26b,26cを遮蔽部材26の周方向に設ける。ここで、例えば、市場で多く使用されるA3縦、A4横等の用紙サイズを用紙サイズAとし、市場で多く使用されるA4縦等の用紙サイズを用紙サイズBとし、ハガキ等の小サイズを用紙サイズCとする。開口部26aは、用紙サイズAに対応する開口幅Waを有する。開口部26bは、用紙サイズBに対応する開口幅Wbを有する。開口部26bは、用紙サイズCに対応する開口幅Wcを有する。なお、開口部の開口幅は、一例であり、この態様に限定されない。
遮蔽部材26の内周面は、鏡面処理を施して反射面26r(図6参照)としてもよい。
これにより、遮蔽部材26は、ハロゲンヒータ23からの輻射熱を遮蔽する機能と、ハロゲンヒータ23からの輻射熱を反射する機能とを合わせて有することができる。また、遮蔽部材26の輻射熱の吸収率及び透過率を低下させ、ハロゲンヒータ23からのステー25に向かう方向の輻射熱を、定着ベルト21に向かって反射させることができる。その結果、定着ベルト21の加熱効率を向上させることができる。
なお、遮蔽部材26に反射機能を持たせる方法は、遮蔽部材26の内周面に鏡面処理を施す方法に限定されず、遮蔽部材26の材料を、アルミニウムや、ステンレス等の反射率の高い材料を用いる方法でもよい。
遮蔽部材26は、図2,図4に示すように、ハロゲンヒータ23を保持するブラケット28にネジ等で固定された遮蔽部材保持部材27に、回動可能な状態で保持される。
遮蔽部材保持部材27は、図2,図4に示すように、半円筒状であり、遮蔽部材26の開口部26a,26b,26cより大きな開口を有する。そして、遮蔽部材保持部材27は、定着ベルト21の内周面に、遮蔽部材の開口部26a,26b,26cの何れかを通して、輻射熱を伝える。
図6に示すように、遮蔽部材26の開口部26a,26b,26cに対応する遮蔽部材保持部材27の内周面に鏡面処理を施して、反射面27rを形成してもよい。
具体的には、例えば、用紙サイズAに対応した開口部26aが、図6に示すように、定着ベルト21と最も近い過熱する位置にくるまで、回転移動した場合、開口部26b,26cに対応する遮蔽部材保持部材27の内周面に鏡面処理を施した反射面27rを設ける。なお、反射面27rは、遮蔽部材保持部材27の内周面の全面に亘って設けてもよい。
これにより、遮蔽部材保持部材27は、ハロゲンヒータ23からの輻射熱を遮蔽する機能と、ハロゲンヒータ23からの輻射熱を反射する機能とを有する。また、遮蔽部材保持部材27の輻射熱の吸収率及び透過率を低下させ、ハロゲンヒータ23からのステー25に向かう方向の輻射熱を、定着ベルト21に向かって反射させることができる。その結果、定着ベルトの加熱効率を向上させることができる。
遮蔽部材26の外周に、突起部を設けることが好ましい。具体的には、図3に示すように、遮蔽部材26の長手方向両端部に、外周面に沿ってリング状の突起部26dを設ける。
これにより、遮蔽部材保持部材27と遮蔽部材26との間に、断熱層としての空気層を設け、遮蔽部材26の熱が、遮蔽部材保持部材27に直接伝わらないようにすることができる。そのため、遮蔽部材26の熱がステー25伝わり、加熱効率が低下するのを防止できる。その結果、定着装置の立ち上がり時に、ハロゲンヒータ23の熱を定着ベルト21に効率よく伝えることができる。
なお、突起部26dの形状、数等は、上述の態様に限定されず、遮蔽部材保持部材27と遮蔽部材26との間に、空気層を設けられる態様であればよい。また、突起部26dは、遮蔽部材26の外周に設けられる態様に限定されず、遮蔽部材保持部材27の内周に設けられてもよい。
遮蔽部材26の一方の端部には、図2,図4,図5に示すように、駆動歯車60が圧入されている。駆動モータ67の回転軸67aには、歯車66が設けられている。ブラケット28にカシメ等で固定されている支持軸65には、歯車63が設けられている。ブラケット28にカシメ等で固定されている伝達軸62には、歯車61が設けられている。駆動歯車60は、歯車61,63を介して、駆動モータ67の回転軸67aに設けられた歯車66に連結されている。
駆動モータ67に、信号(遮蔽部材26を回動指示する信号)が送られ、駆動モータ67が回転を始めると、この回転力が、歯車66,63,61を介して、駆動歯車60に伝わり、遮蔽部材26が回転するようになっている。
ブラケット28は、図2に示すように、支持軸65に回動可能に保持されている。ブラケット28に固定されている、ハロゲンヒータ23、遮蔽部材26、遮蔽部材保持部材27等も、図5に矢印で示すように、支持軸65を回動中心として、回動可能となっている。
支持軸65は、定着装置20の筐体の上側板にブラケット28を介して固定されている。支持軸65には、図2,図5に示すように、歯車68が設けられている。駆動モータ70の回転軸70aには、歯車69が設けられている。歯車69は、歯車68に連結されている。
駆動モータ70に、信号(ブラケット28、ハロゲンヒータ23、遮蔽部材26、遮蔽部材保持部材27等を移動指示する信号)が送られ、駆動モータ70が回転を始めると、この回転力が、歯車69,68に伝わり、ブラケット28、ハロゲンヒータ23、遮蔽部材26、遮蔽部材保持部材27等が移動するようになっている。
次に、第1実施形態に係る機構の通常時の動作について説明する。図6は、第1実施形態に係る機構の通常時の動作を説明する説明図である。
通常時では、ハロゲンヒータ23、遮蔽部材26及び遮蔽部材保持部材27は、ハロゲンヒータ23が定着ベルト21を加熱する加熱位置にある。加熱位置は、図6に示すように、ハロゲンヒータ23、遮蔽部材26及び遮蔽部材保持部材27が、定着ベルト21の回転方向において、定着ニップNより上流側で、定着ニップNの近傍である。
通紙される各紙幅に対応した開口部26a,26b,26cが、定着ベルト21と最も近い過熱する位置にくるまで、遮蔽部材26が回転移動し、通紙される各紙幅に対応して定着ベルト21を加熱する。すなわち、遮蔽部材26は、駆動モータ67によって、定着ベルト21への輻射熱のうち、不必要な領域を加熱する輻射熱を遮蔽する位置に移動する。
具体的には、例えば、用紙サイズAの用紙が通紙される場合、用紙サイズAに対応した開口部26aが、図6に示すように、定着ベルト21と最も近い過熱する位置にくるまで、遮蔽部材26は、駆動モータ67によって、回転移動される。用紙サイズBの用紙が通紙される場合、用紙サイズBに対応した開口部26bが、定着ベルト21と最も近い過熱する位置にくるまで、遮蔽部材26は、駆動モータ67によって、回転移動される。用紙サイズCの用紙が通紙される場合、用紙サイズCに対応した開口部26cが、定着ベルト21と最も近い過熱する位置にくるまで、遮蔽部材26は、駆動モータ67によって、回転移動される。
これにより、用紙サイズに合わせて定着ベルト21の加熱に不必要な領域を遮蔽できる。そのため、紙幅の狭い転写紙を連続通紙した場合でも、定着ベルト21の非通紙領域が過昇温状態になることがなく、過昇温状態を解消するために生産性を落とす等の制御をする必要もない。
次に、第1実施形態に係る機構の異常時の動作について説明する。図7は、第1実施形態に係る機構の異常時の動作を説明する説明図である。
ジャム等の異常を検知した場合、ハロゲンヒータ23、遮蔽部材26及び遮蔽部材保持部材27は、加熱位置から退避した退避位置に移動する。退避位置は、図7に示すように、ハロゲンヒータ23、遮蔽部材26及び遮蔽部材保持部材27の中心が、定着ベルト21の対称軸上にある位置をいう。すなわち、ハロゲンヒータ23及び遮蔽部材26の退避位置は、定着ベルト21の内周面からほぼ等距離にある。
ジャム等の異常を検知した場合、定着装置20又は画像形成装置1が備える制御部により、駆動モータ70を回転させる信号が出力される。駆動モータ70が回転すると、ブラケット28が支持軸65を中心として、図5中、時計周り方向に回転する。ブラケット28が回転すると、ハロゲンヒータ23、遮蔽部材26及び遮蔽部材保持部材27が、図6に示す通常時の加熱位置から、図7に示す異常時の退避位置に、一体で移動する。
これにより、ジャム等の異常時に、ハロゲンヒータ23を定着ベルト21から離間することができる。そのため、ハロゲンヒータ23を定着部材に近接して配置できると共に、ハロゲンヒータ23による、定着ベルト21の異常過熱を防止し、定着ベルト21の劣化、破損を防止できる。
また、遮蔽部材26を円筒形状とすることで、遮蔽部材の退避スペース必要とせず、省スペース化が図れる。
また、ハロゲンヒータ23と遮蔽部材26が一体で移動可能とすることで、遮蔽部材26の温度の影響を回避できる。
また、通常時に、ハロゲンヒータ23は、定着ベルト21の回転方向において、定着ニップNより上流側で、定着ニップNの近傍の位置することで、定着ベルト21の加熱効率を向上させることができる。
また、ハロゲンヒータ23及び遮蔽部材26の退避位置を、定着ベルト21の内周面からほぼ等距離の位置にすることで、異常時の定着ベルト21の温度上昇を極力抑えることができる。
[第2実施家形態]
次に、第2実施形態の機構について説明する。図8は、第2実施形態に係る機構の異常時の動作を説明する説明図である。
第2実施形態では、異常時の遮蔽部材の動作が第1実施形態と相違する。
第2実施形態では、図8に示すように、遮蔽部材26が、ハロゲンヒータ23と定着ベルト21との間を遮蔽する遮蔽位置にあるとき、開口部26a,26b,26cは、遮蔽位置以外の位置に設けられる。
ジャム等の異常を検知した場合、定着装置20又は画像形成装置1が備える制御部により、駆動モータ67を回転させる信号が出力される。駆動モータ67が回転すると、この回転力が、歯車66,63,61を介して、駆動歯車60に伝わり、遮蔽部材26が、図6に示す通常時の加熱位置から、図8に示す異常時の遮蔽位置に移動する。
これにより、ハロゲンヒータ23から定着ベルト21への輻射熱は、遮蔽される。そのため、ハロゲンヒータ23による、定着ベルト21の異常過熱を防止し、定着ベルトの劣化、破損を防止できる。
なお、第1実施形態の異常時のハロゲンヒータ23、遮蔽部材26及び遮蔽部材保持部材27の動作と、第2実施形態の異常時の遮蔽部材26の動作を組み合わせてもよい。
具体的には、ジャム等の異常を検知した場合、定着装置20又は画像形成装置1が備える制御部により、駆動モータ70を回転させる信号が出力される。駆動モータ70が回転すると、ブラケット28が支持軸65を中心として、図5中、時計周り方向に回転する。ブラケット28が回転すると、ハロゲンヒータ23、遮蔽部材26及び遮蔽部材保持部材27が、図6に示す通常時の加熱位置から、図7に示す異常時の退避位置に一体で移動する。
また、ジャム等の異常を検知した場合、定着装置20又は画像形成装置1が備える制御部により、駆動モータ67を回転させる信号が出力される。駆動モータ67が回転すると、この回転力が、歯車66,63,61を介して、駆動歯車60に伝わり、遮蔽部材26が、図6に示す通常時の加熱位置から、図8に示す異常時の遮蔽位置に移動する。
これにより、ハロゲンヒータ23は、定着ベルト21から離間し、ハロゲンヒータ23から定着ベルト21への輻射熱は、遮蔽される。そのため、ハロゲンヒータ23を定着部材に近接して配置できると共に、ハロゲンヒータ23による、定着ベルト21の異常過熱を防止し、定着ベルトの劣化、破損を防止できる。
[第3実施家形態]
次に、第3実施形態の機構について説明する。図9は、第3実施形態に係る機構の異常時の動作を説明する説明図である。
第3実施形態では、遮蔽部材保持部材27に開口を設ける点で第1実施形態と相違する。
第3実施形態では、遮蔽部材保持部材27に、開口を設ける。開口27aは、図9に示すように、遮蔽部材26の開口部26a,26b,26cと同程度の大きさで設けられる。開口27aは、遮蔽部材26の開口部26a,26b,26c間がハロゲンヒータ23から定着ベルト21への輻射熱を遮蔽する場合に、開口部26a,26b,26cの何れかに対応する位置に設けられる。
これにより、遮蔽部材26の内部が過熱し過ぎるのをさらに防止できる。なお、開口27aの数、大きさは、この態様に限定されない。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の構成について説明する。図10は、第4実施形態に係る機構の異常時の動作を説明する説明図である。図11は、第4実施形態に係る機構の異常時の動作を説明する説明図であり、(a)は、通常時の加熱位置を示し、(b)は、異常時の退避位置を示す。
第4実施形態では、遮蔽部材を備えない点で第1実施形態と相違する。
第4実施形態では、図10に示すように、遮蔽部材が設けられておらず、それ以外の構成は、第1実施形態と同様の構成である。そして、ジャム等の異常を検知した場合、ハロゲンヒータ23を、図11(a)に示す通常時の加熱位置から、図11(b)に示す異常時の退避位置に、移動する。
これにより、ジャム等の異常時においてハロゲンヒータ23のみを移動(退避)させることで、過熱防止が可能となる。
なお、遮蔽部材を有しない構成に限定されず、遮蔽部材26を有する構成としてもよい。この場合、遮蔽部材26は、ハロゲンヒータ23とは独立して移動する。これにより、遮蔽部材26を有する場合でも、遮蔽部材26を移動させることなく、ジャム等の異常時においてハロゲンヒータ23のみを移動(退避)させることで、過熱防止が可能となる。また、用紙サイズに合わせて定着ベルト21の加熱に不必要な領域を遮蔽できる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態の構成について説明する。図12は、第5実施形態に係る機構の通常時の動作を説明する説明図である。図13は、第5実施形態に係る機構の異常時の動作を説明する説明図である。
第5実施形態では、遮蔽部材26及び遮蔽部材保持部材27の異常時の動作方向が異なる点で第1実施形態とは相違する。
第5実施形態では、ジャム等の異常を検知した場合、第1実施形態と同様の駆動方法を用いて、図12に示す通常時の加熱位置から、図13に示す異常時の退避位置に、移動する。この場合における加熱位置は、定着ベルト21の内周側で、図12において上方の定着ベルト21の近傍である。また、この場合における退避位置は、定着ベルト21の内周側で、図13において中央に凹溝状に形成されているステー25の凹溝内に、遮蔽部材26及び遮蔽部材保持部材27がほぼ収まる位置である。すなわち、ジャム等の異常を検知した場合、ハロゲンヒータ23、遮蔽部材26及び遮蔽部材保持部材27が、加圧ローラ22と対向する方向に移動する。
これにより、ジャム等の異常時に、ハロゲンヒータ23を退避させた場合、遮蔽部材26及び遮蔽部材保持部材27を、ステー25の内側に退避可能となる。そのため、定着ベルト21への過熱を抑えることができ、さらに、遮蔽部材26内の温度上昇も抑えることが可能となる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜変更したり、上述した実施形態を組み合わせたりすることが可能である。
上述の実施の形態では、ハロゲンヒータ23及び遮蔽部材26が定着ベルト21の内径側に配置される場合について説明したが、この態様に限定されない。他の異なる実施の形態では、ハロゲンヒータ23及び遮蔽部材26が定着ベルト21の外径側に配置されてもよい。
また、本発明の定着装置を備える画像形成装置としては複写機あるいはプリンタに限らず、ファクシミリや複数の機能を備える複合機であってもよい。