以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、第2、第4、及び第5の実施の形態は、参考例に該当する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。なお、以下では、黄色をY、マゼンタ色をM、シアン色をC、黒色をKで表すと共に、各構成部品及びトナー画像(画像)を色毎に区別する必要がある場合には、符号の末尾に各色に対応する色の符号(Y、M、C、K)を付して説明する。また、以下では、各構成部品及びトナー画像を色毎に区別せずに総称する場合には、符号の末尾の色の符号を省略して説明する。
(全体構成)
図1に示すように、画像形成装置10の装置本体10Aの内部には、入力される画像データをY、M、C、Kの4色の階調データに変換する画像処理を行う画像処理部12が設けられている。
また、装置本体10Aの中央側には、各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット16が、水平方向に対して傾斜する方向に間隔をおいて配置されている。また、各色の画像形成ユニット16の鉛直方向の上方には、各色の画像形成ユニット16で形成されたトナー画像が多重に転写される一次転写ユニット18が設けられている。
さらに、一次転写ユニット18の側方(図1の左側)には、後述する供給搬送ユニット30によって搬送経路60に沿って搬送された記録媒体の一例としての用紙Pに、一次転写ユニット18に多重に転写されたトナー画像を転写する二次転写ロール22が設けられている。
二次転写ロール22に対して用紙Pの搬送方向(以下、「用紙搬送方向」という。)の下流側には、用紙Pの画像形成面を挟んで搬送する搬送手段の一例としての定着装置24が設けられている。また、定着装置24は、用紙Pに転写されたトナー画像を熱及び圧力によって用紙Pに定着させる。
本実施の形態に係る定着装置24は、加熱ベルト24A及び加圧ロール24Bを備えている。定着装置24は、電磁誘導を利用して加熱ベルト24Aを発熱させる方式の定着装置、所謂IH(Induction Heating)定着装置である。また、加圧ロール24Bは、駆動手段の一例としてのモータ112(図2参照。)により駆動(回転)し、加熱ベルト24Aは、加圧ロール24Bの回転に伴い、従動して回転する。
また、定着装置24に対して用紙搬送方向の下流側には、トナー画像が定着された用紙Pを画像形成装置10の装置本体10Aの上部に設けられた排出部26に排出する排出ロール28が設けられている。
一方、画像形成ユニット16の鉛直方向の下方及び側方には、用紙Pを供給し搬送する供給搬送ユニット30が設けられている。また、一次転写ユニット18の鉛直方向の上方には、装置本体10Aの正面から装置本体10Aに対して着脱可能とされ、現像器38に補給されるトナーが充填されるトナーカートリッジ14が色別に4個(14K〜14Y)装置幅方向に並んで配置されている。各色のトナーカートリッジ14は、装置奥行方向に延びる円柱状とされ、各色の現像器38と図示しない補給管を介して接続されている。
(画像形成ユニット)
各色の画像形成ユニット16は、図1に示すように、すべて同様に構成されている。そして、画像形成ユニット16は、回転する円柱状の像保持体34と、像保持体34の表面を帯電させる帯電器36と、を備えている。
また、画像形成ユニット16は、帯電した像保持体34の表面に露光光を照射するLED(Light Emitting Diode)ヘッド32を備えている。また、画像形成ユニット16は、LEDヘッド32による露光光の照射によって形成された静電潜像を現像剤(本実施の形態では、負極に帯電したトナー)で現像してトナー画像として可視化する現像器38を備えている。また、画像形成ユニット16は、像保持体34の表面を清掃する図示しない清掃ブレードを備えている。
現像器38には、像保持体34と対向して現像ロール39が配置されており、現像器38は、現像ロール39を用いて像保持体34に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー画像として可視化する。
そして、帯電器36、LEDヘッド32、現像ロール39、及び清掃ブレードは、像保持体34の表面と対向して、像保持体34の回転方向の上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
(転写部(一次転写ユニット・二次転写ロール))
一次転写ユニット18は、無端状の中間転写ベルト42と、中間転写ベルト42が巻き掛けられ、図示しないモータにより回転駆動して中間転写ベルト42を矢印A方向に周回させる駆動ロール46と、を備えている。また、一次転写ユニット18は、中間転写ベルト42が巻き掛けられ、中間転写ベルト42に張力を付与する張力付与ロール48と、張力付与ロール48の鉛直方向上方に配置されて中間転写ベルト42と従動回転する補助ロール50と、を備えている。また、一次転写ユニット18は、中間転写ベルト42を挟んで各色の像保持体34の反対側に各々配置される一次転写ロール52を備えている。
以上の構成により、各色の画像形成ユニット16の像保持体34上に順次形成されたY、M、C、Kの各色のトナー画像が、各色の一次転写ロール52によって、中間転写ベルト42上に多重に転写される。
さらに、中間転写ベルト42の表面に接して中間転写ベルト42の表面を清掃する清掃ブレード56が、中間転写ベルト42を挟んで駆動ロール46の反対側に配置されている。
また、中間転写ベルト42を挟んで補助ロール50の反対側には、中間転写ベルト42上に転写されたトナー画像を、搬送される用紙Pに転写する二次転写ロール22が設けられている。そして、二次転写ロール22は接地されており、補助ロール50は二次転写ロール22の対向電極を形成しており、補助ロール50には、二次転写電圧が印加されることにより、用紙Pにトナー画像が転写される。また、本実施の形態では、二次転写ロール22及び中間転写ベルト42による用紙Pの搬送速度は、定着装置24による用紙Pの搬送速度より速い速度とされている。
(供給搬送ユニット)
供給搬送ユニット30は、装置本体10A内において、画像形成ユニット16に対して鉛直方向の下方に配置され、複数の用紙Pが積載される給紙部材62を備えている。
さらに、供給搬送ユニット30は、給紙部材62に積載された用紙Pを搬送経路60へ送り出す給紙ロール64と、給紙ロール64によって送り出された用紙Pを1枚ずつ分離する分離ロール66と、用紙Pの搬送タイミングを合わせる位置合わせロール68と、を備えている。そして、各ロールが、用紙搬送方向の上流側から下流側に向けてこの順番で配置されている。
また、位置合わせロール68は、不図示のクラッチ機構を介して位置合わせロール68を回転駆動させるためのモータと接続されている。画像形成装置10は、用紙Pが位置合わせロール68の設置位置に到達するまでは、クラッチ機構を未接続の状態とし、用紙Pの用紙搬送方向の先端を位置合わせロール68に突き当てる。これにより、画像形成装置10は、用紙搬送方向に対する用紙Pの傾きを補正して位置合わせを行う。そして、該位置合わせの後、クラッチ機構を接続状態とすることにより、位置合わせロール68が回転し、用紙Pが搬送される。なお、位置合わせロール68は、本発明の補正手段の一例である。
以上の構成により、給紙部材62から供給された用紙Pは、回転する位置合わせロール68によって中間転写ベルト42と二次転写ロール22との接触部(二次転写位置)へ定められたタイミングで送り出される。
そして、定着装置24に搬送された用紙Pは、加熱ベルト24Aにより過熱され、かつ加熱ベルト24A及び加圧ロール24Bにより加圧されて、用紙Pの一方の面(画像形成面)にトナー画像が定着される。
さらに、供給搬送ユニット30は、定着装置24によって一方の面にトナー画像が定着された用紙Pを、排出ロール28によって排出部26にそのまま排出させずに、他方の面にトナー画像を形成するために用いる両面搬送装置70を備えている。
両面搬送装置70は、排出ロール28から位置合わせロール68に向けて用紙Pの表裏が反転されて用紙Pが搬送される両面搬送経路72と、両面搬送経路72に沿って用紙Pを搬送する搬送ロール74及び搬送ロール76とを備えている。
(その他)
画像形成装置10は、搬送経路60に沿って定着装置24の用紙搬送方向の上流側に設けられた用紙検知センサ80、及び下流側に設けられた用紙検知センサ82を備えている。本実施の形態に係る用紙検知センサ80、82は、一例として、一組の発光素子及び受光素子を備えた反射型のセンサである。用紙検知センサ80、82は、発光素子から設置位置に対応する搬送経路60上の検知位置に対して光を照射する。また、用紙検知センサ80、82は、受光素子で受光した光量に応じた信号レベルの信号(以下、「検知信号」という。)を出力する。用紙Pが上記検知位置を搬送されている期間は、発光素子から照射された光が用紙Pにより反射される。従って、用紙検知センサ80、82は、用紙Pが上記検知位置を搬送されている期間と搬送されていない期間で異なる信号レベルの検知信号を出力する。
このように、本実施の形態では、用紙検知センサ80、82として、反射型のセンサを適用しているが、これに限定されず、例えば、透過型のセンサ等、他のセンサを適用してもよい。
(画像形成工程)
まず、画像処理部12から各色のLEDヘッド32に各色の階調データが順次出力される。そして、LEDヘッド32から階調データに応じて出射された露光光は、帯電器36によって帯電した像保持体34の表面に照射される。これにより、像保持体34の表面には静電潜像が形成される。像保持体34上に形成された静電潜像は、各色の現像器38によって現像され、各々Y、M、C、Kの各色のトナー画像として可視化される。
さらに、一次転写ユニット18の一次転写ロール52によって、像保持体34上に形成された各色のトナー画像が、周回する中間転写ベルト42上に多重に転写される。
中間転写ベルト42上に多重に転写された各色のトナー画像は、給紙部材62から給紙ロール64、分離ロール66、位置合わせロール68によって搬送経路60に沿って搬送されてきた用紙Pに二次転写ロール22によって二次転写位置で二次転写される。
さらに、トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置24へと搬送される。そして、トナー画像が定着装置24によって用紙Pに定着される。トナー画像が定着された用紙Pは、排出ロール28によって排出部26に排出される。
一方、用紙Pの両面に画像を形成させる場合は、定着装置24によって一方の面(表面)にトナー画像が定着された用紙Pは、排出ロール28によって排出部26にそのまま排出されない。排出ロール28が逆回転されることで、用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、この用紙Pは、搬送ロール74、76により両面搬送経路72に沿って搬送される。
両面搬送経路72に沿って搬送された用紙Pは、表裏が反転されて再度位置合わせロール68へと搬送される。そして、用紙Pの他方の面(裏面)にトナー画像が転写及び定着された後、用紙Pは、排出ロール28によって排出部26に排出される。
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の電気系の要部構成について説明する。
図2に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、画像形成装置10の全体的な動作を司るCPU(Central Processing Unit)100、及び各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)102を備えている。また、画像形成装置10は、CPU100による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)104、及びフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部106を備えている。
また、画像形成装置10は、外部装置と通信データの送受信を行う通信回線I/F(Interface)部108を備えている。また、画像形成装置10は、画像形成装置10に対するユーザからの指示を受け付ける一方、ユーザに対して画像形成装置10の動作状況等に関する各種情報を表示する操作表示部110を備えている。なお、操作表示部110は、例えば、プログラムの実行により操作指示の受け付けを実現する表示ボタンや各種情報が表示される表示面にタッチパネルが設けられたディスプレイ、及びテンキーやスタートボタン等のハードウェアキーを含む。
また、画像形成装置10は、加圧ロール24Bを回転駆動するモータ112の負荷(トルク)を検出する検出手段の一例としてのトルク検出部114を備えている。本実施の形態に係るトルク検出部114は、モータ112に接続されており、モータ112のトルクを、モータ112に流れる電流値として検出し、該電流値を電圧値に変換して出力する。
なお、本実施の形態に係るトルク検出部114の構成は、モータ112のトルクを検出可能であれば特に限定されない。例えば、トルク検出部114として、シャント抵抗間の電圧を測定して電流を検知する構成のものを適用してもよい。また、例えば、トルク検出部114として、モータ112に電流が流れる経路上に抵抗を設け、該抵抗間の電圧を測定して電流を検知する構成のものを適用してもよい。また、例えば、トルク検出部114として、モータ112に電流が流れる経路上にホール素子による電流センサを設けて電流を検知する構成のものを適用してもよい。さらに、例えば、トルク検出部114として、モータ112のトルクを検出するトルク検出器を適用してもよい。
そして、CPU100、ROM102、RAM104、記憶部106、通信回線I/F部108、操作表示部110、モータ112、トルク検出部114、及び用紙検知センサ80、82の各部がアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス116を介して互いに接続されている。
以上の構成により、本実施の形態に係る画像形成装置10は、CPU100により、ROM102、RAM104、及び記憶部106に対するアクセス、並びに通信回線I/F部108を介した外部装置との間での通信データの送受信を各々行う。また、画像形成装置10は、CPU100により、操作表示部110を介した各種指示情報の取得、及び操作表示部110に対する各種情報の表示を各々行う。また、画像形成装置10は、CPU100により、モータ112の制御、及びトルク検出部114から出力された電圧値の取得を各々行う。
さらに、画像形成装置10は、CPU100により、用紙検知センサ80、82の各々から出力された検知信号を各々取得する。従って、画像形成装置10は、CPU100により、取得した該検知信号の信号レベルの変化によって、用紙Pの用紙搬送方向の先端及び後端の各々が用紙検知センサ80、82の各々による検知位置を通過したタイミングを検知する。なお、以下では、用紙Pの用紙搬送方向の先端及び後端を、単に用紙Pの先端及び後端ともいう。
ところで、本実施の形態に係る画像形成装置10では、用紙Pの厚さを検出する検出機能が搭載されている。
図3〜図7を参照して、上記検出機能について詳細に説明する。なお、図3は、用紙Pの先端が用紙検知センサ80による検知位置を通過した時点から用紙Pの後端が用紙検知センサ82による検知位置を通過した時点までに、トルク検出部114から出力された電圧値の時系列データを、3種類の厚さの用紙Pについて示している。また、図4〜図6は、図3に示した電圧値の時系列データを説明するための図であり、用紙Pの搬送位置を示している。また、図7は、用紙Pが定着装置24に突入する際に発生するノイズを説明するための図である。また、錯綜を回避するために、図4〜図7では、中間転写ベルト42を破線で示している。
まず、図3に示すように、トルク検出部114から出力された電圧値は、タイミングt1で上に凸のピーク値P1となり、その後、タイミングt2でその前より大きい値となり、タイミングt3で下に凸のピーク値P2となる。なお、図3では、タイミングt2の前後の電圧値の平均値の変動量をΔAと示している。
次に、図4〜図6を参照して、図3に示した電圧値の時系列の変化の原理について説明する。
図4に示すように、用紙Pが定着装置24に突入した際に、加圧ロール24Bには、加圧ロール24Bの回転方向とは逆方向の力(図4の矢印Bの力)が働き、モータ112のトルクが増加する。従って、トルク検出部114により出力される電圧値も増加し、ピーク値P1となる。その後、用紙Pは定着装置24に挟まれて搬送され、用紙Pが定着装置24に突入した際の上記逆方向の力が働かなくなるため、上記電圧値が減少する。
次に、図5に示すように、定着装置24の上流の中間転写ベルト42及び二次転写ロール22から用紙Pが排出されると、用紙Pを押し出す力(図5の矢印Cの力)により加圧ロール24Bの回転方向に働いていた力が働かなくなる。このため、モータ112のトルクが増加し、トルク検出部114により出力される電圧値も増加(図3に示したΔA)する。なお、上記用紙Pを押し出す力が発生することは、前述した二次転写ロール22及び中間転写ベルト42による用紙Pの搬送速度が、定着装置24による用紙Pの搬送速度より速いことによるものと考えられる。
さらに、図6に示すように、用紙Pが定着装置24から排出される際に、加圧ロール24Bには、加圧ロール24Bの回転方向と同一方向の力(図5の矢印Dの力)が働き、モータ112のトルクが減少する。従って、トルク検出部114により出力される電圧値も減少し、ピーク値P2となる。
すなわち、図3に示したタイミングt1は図4に示した用紙Pが定着装置24に突入するタイミングであり、タイミングt2は図5に示した中間転写ベルト42及び二次転写ロール22から用紙Pが排出されるタイミングである。また図3に示したタイミングt3は、図6に示した用紙Pが定着装置24から排出されるタイミングである。
また、図3に示すように、ピーク値P1の値は、用紙Pが厚くなるほど大きい値となり、ピーク値P2の値は、用紙Pが厚くなるほど小さい値となる。また、変動量ΔAは、用紙Pが厚くなるほど大きくなる。
但し、変動量ΔAは、ピーク値P1、P2と比較して小さい値であり、用紙Pが比較的薄い場合は、用紙Pの厚さが精度良く導出されにくいことが懸念される。
一方、図7に示すように、用紙Pが定着装置24に突入する際は、用紙Pのカールや、図7の上下方向に用紙Pの先端がばたつくことにより、用紙Pの先端の上記上下方向の位置が変動する場合がある。この場合、用紙Pが定着装置24に突入する際にトルク検出部114から出力された電圧値には、上記用紙Pの先端における上下方向の位置の変動に起因するノイズが含まれる場合、すなわち、用紙の姿勢に起因する誤差が生じる場合がある。従って、ピーク値P1から用紙Pの厚さを導出した場合、導出した用紙Pの厚さにも上記ノイズによる影響が含まれる場合があり、この場合、用紙Pの厚さは精度良く導出されない。
これに対し、用紙Pが定着装置24から排出される際は、用紙Pは定着装置24から排出されるまで定着装置24に挟まれて搬送されているため、用紙Pの後端の上記上下方向の位置は変動しない。従って、用紙Pが定着装置24に突入する際にトルク検出部114から出力された電圧値には、上記ノイズによる影響が含まれない。
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置10は、用紙Pが定着装置24から排出される際のトルク検出部114から出力された電圧値のピーク値P2から用紙Pの厚さを導出する。なお、ここでは、ピーク値P2として厳密に頂部である最小値を適用した例を用いて説明しているが、これに限定されず、最小値付近の最小値より大きい値を適用してもよく、本願で述べるピーク値P2にはこれも含まれる。ただし測定レートの範囲内で、取得された測定値の最小値を用いることが好ましい。
次に、図8を参照して、用紙Pが定着装置24から排出される際のトルク検出部114から出力された電圧値のピーク値P2から用紙Pの厚さを導出する処理について説明する。
前述したように、ピーク値P2は、用紙Pが厚くなるほど小さい値となる。そこで、本実施の形態では、画像形成装置10の実機及び複数の厚さの用紙Pを用いた実験等により、複数の用紙Pの厚さに対応するトルク検出部114から出力された電圧値を予め測定する。また、図8に示すように、予め測定して得られた結果を最小二乗法等により一次直線Lに近似する。そして、用紙Pの厚さTとトルク検出部114から出力された電圧値Vとの関係を表す演算式として、次の式(1)により示される一次直線Lに対応する一次式を予め導出する。
そして、画像形成装置10は、式(1)を用いて、用紙Pが定着装置24から排出される際のトルク検出部114から出力された電圧値Vのピーク値P2から用紙Pの厚さTを導出する。なお、これに限らず、例えば、単純なピーク値P2と用紙Pの厚さTをLUT(ルックアップテーブル)等にして厚さTを導出してもよい。
次に、図9を参照して、上記検出機能の実行時における本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。なお、図9は、用紙Pに対する画像形成指示が入力される毎にCPU100によって実行される厚さ導出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、本厚さ導出処理プログラムはROM102に予めインストールされている。また、ここでは、錯綜を回避するために、前述した画像形成工程による用紙Pに画像を形成する処理については説明を省略する。また、ここでは、ユーザにより、使用する用紙Pの厚さが画像形成装置10に対して予め設定されているものとして説明する。
図9のステップ150において、CPU100は、用紙検知センサ80から出力された検知信号を取得する。次のステップ152において、CPU100は、上記ステップ150の処理により取得された検知信号に基づいて、用紙Pの先端が搬送経路60上の用紙検知センサ80による検知位置を通過したか否かを判定する。CPU100は、この判定が否定判定となった場合は上記ステップ150に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ154の処理に移行する。
ステップ154において、CPU100は、トルク検出部114から出力された電圧値Vを取得する。次のステップ156において、CPU100は、用紙検知センサ82から出力された検知信号を取得する。次のステップ158において、CPU100は、上記ステップ156の処理により取得された検知信号に基づいて、用紙Pの後端が搬送経路60上の用紙検知センサ82による検知位置を通過したか否かを判定する。CPU100は、この判定が否定判定となった場合は上記ステップ154に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ160の処理に移行する。以上のステップ154〜ステップ158の繰り返し処理により、図3に示した電圧値Vの時系列データが取得される。
ステップ160において、CPU100は、上記式(1)を用いて、上記電圧値Vの時系列データにおける下に凸のピーク値P2から用紙Pの厚さTを導出する。次のステップ162において、CPU100は、上記ステップ160の処理により導出された用紙Pの厚さTが許容範囲外であるか否かを判定する。
具体的には、本実施の形態では、一例として、CPU100は、導出された用紙Pの厚さTと、ユーザにより予め設定された用紙Pの厚さとの差の絶対値が、該厚さの予め定められた割合(例えば10%)以上である場合に、許容範囲外であると判定する。CPU100は、上記ステップ162の判定が肯定判定となった場合は、ステップ164の処理に移行する。
ステップ164において、CPU100は、上記ステップ160の処理により導出された用紙Pの厚さTが許容範囲外であることを示すエラー通知画面を操作表示部110のディスプレイに表示した後、本厚さ導出処理プログラムを終了する。
図10に本実施の形態に係るエラー通知画面の一例を示す。図10に示すように、本実施の形態に係るエラー通知画面では、導出された厚さTが許容範囲外であることを示す情報、導出された用紙Pの厚さTを示す情報、及びユーザにより予め設定された用紙Pの厚さを示す情報が表示される。ここで、ユーザは、エラー通知画面の表示を終了する場合、該エラー通知画面の下部に表示されている終了ボタンを指定する。
一方、CPU100は、上記ステップ162の判定が否定判定となった場合は、上記ステップ164の処理を実行することなく、本厚さ導出処理プログラムを終了する。
以上説明したように、本実施の形態では、定着装置24の加圧ロール24Bを駆動するモータ112のトルクに基づいて用紙Pの厚さを導出している。定着装置24による用紙Pの画像形成面を挟む力は、二次転写ロール22と中間転写ベルト42、位置合わせロール68、及び分離ロール66等の他の搬送手段と比較して強い。従って、本実施の形態によれば、上記他の搬送手段を駆動するモータのトルクに基づいて用紙Pの厚さを導出する場合と比較して、用紙Pの厚さが精度良く導出される。
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成は、上記第1の実施の形態と同様である(図1、図2参照。)ため、ここでの説明は省略する。
まず、本実施の形態に係る上記検出機能について説明する。本実施の形態に係る画像形成装置10は、用紙Pが中間転写ベルト42及び二次転写ロール22から排出されてから定着装置24から排出されるまでの期間内の予め定められた期間(以下、「第1期間」という。)におけるトルク検出部114から出力された電圧値Vとピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。なお、上記中間転写ベルト42及び二次転写ロール22から排出されてから定着装置24から排出されるまでの期間は、図3に示したタイミングt2からタイミングt3までの期間に相当する。なお、中間転写ベルト42及び二次転写ロール22は、本発明の第2搬送手段の一例である。
具体的には、画像形成装置10は、上記第1期間の電圧値Vの平均値を導出する。なお、第1期間は、タイミングt2からタイミングt3までの期間内であれば特に限定されない。第1期間は、例えば、タイミングt2からタイミングt3までの期間の中央を含む該期間の予め定められた割合(例えば50%)の期間であってもよいし、タイミングt2の直後の該割合の期間であってもよいし、タイミングt2からタイミングt3までの全期間であってもよい。
そして、画像形成装置10は、導出した平均値とピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。図3に示すように、平均値とピーク値P2との差は、用紙Pが厚くなるに従って大きくなる。
そこで、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様に、画像形成装置10の実機及び複数の厚さの用紙Pを用いた実験等により、複数の用紙Pの厚さに対応する上記平均値とピーク値P2との差を予め導出する。また、予め導出された差を最小二乗法等により一次直線に近似し、用紙Pの厚さTと上記差との関係を表す一次式を予め導出する。
そして、画像形成装置10は、上記一次式を用いて、上記第1期間の上記平均値とピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。
次に、図9を参照して、上記検出機能の実行時における本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用は、上記第1の実施の形態とはステップ160の処理が異なるため、ここでは、ステップ160の処理について説明する。
図9のステップ160において、CPU100は、上記第1期間内に上記ステップ154の処理により取得された電圧値Vの平均値を導出する。そして、CPU100は、予め得られた上記一次式を用いて、導出した平均値とピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成は、上記第1の実施の形態と同様である(図1、図2参照。)ため、ここでの説明は省略する。
まず、本実施の形態に係る上記検出機能について説明する。本実施の形態に係る画像形成装置10は、ピーク値P1とピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。
図3に示すように、ピーク値P1とピーク値P2との差は、用紙Pが厚くなるに従って大きくなる。
そこで、本実施の形態では、上記各実施の形態と同様に、画像形成装置10の実機及び複数の厚さの用紙Pを用いた実験等により、複数の用紙Pの厚さに対応するピーク値P1とピーク値P2との差を予め導出する。また、予め導出された上記差を最小二乗法等により一次直線に近似し、用紙Pの厚さTと上記差との関係を表す一次式を予め導出する。
そして、画像形成装置10は、上記一次式を用いて、上記差から用紙Pの厚さTを導出する。
次に、図9を参照して、上記検出機能の実行時における本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用は、上記各実施の形態とはステップ160の処理が異なるため、ここでは、ステップ160の処理について説明する。
図9のステップ160において、CPU100は、予め得られた上記一次式を用いて、上記ステップ154〜ステップ158の繰り返し処理により取得された電圧値Vの時系列データにおける上に凸のピーク値P1と下に凸のピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。
[第4の実施の形態]
以下、本発明の第4の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成は、上記第1の実施の形態と同様である(図1、図2参照。)ため、ここでの説明は省略する。
まず、本実施の形態に係る上記検出機能について説明する。本実施の形態に係る画像形成装置10は、用紙Pが中間転写ベルト42及び二次転写ロール22と、定着装置24との双方により搬送されている期間内の予め定められた期間(以下、「第2期間」という。)におけるトルク検出部114から出力された電圧値Vとピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。なお、上記双方により搬送されている期間は、図3に示したタイミングt1からタイミングt2までの期間に相当する。
具体的には、画像形成装置10は、上記第2期間の電圧値Vの平均値を導出する。なお、第2期間は、タイミングt1からタイミングt2までの期間内であれば特に限定されない。第2期間は、例えば、タイミングt1からタイミングt2までの期間の中央を含む該期間の予め定められた割合(例えば50%)の期間であってもよいし、タイミングt2の直前の該割合の期間であってもよいし、タイミングt1からタイミングt2までの全期間であってもよい。
そして、画像形成装置10は、導出した平均値とピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。図3に示すように、平均値とピーク値P2との差は、用紙Pが厚くなるに従って大きくなる。
そこで、本実施の形態では、上記各実施の形態と同様に、画像形成装置10の実機及び複数の厚さの用紙Pを用いた実験等により、複数の用紙Pの厚さに対応する上記平均値とピーク値P2との差を予め導出する。また、予め導出された上記差を最小二乗法等により一次直線に近似し、用紙Pの厚さTと上記差との関係を表す一次式を予め導出する。
そして、画像形成装置10は、上記一次式を用いて、上記第2期間の上記平均値とピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。
次に、図9を参照して、上記検出機能の実行時における本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用は、上記各実施の形態とはステップ160の処理が異なるため、ここでは、ステップ160の処理について説明する。
図9のステップ160において、CPU100は、上記第2期間内に上記ステップ154の処理により取得された電圧値Vの平均値を導出する。そして、CPU100は、予め得られた上記一次式を用いて、導出した平均値とピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。
[第5の実施の形態]
以下、本発明の第5の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成は、上記第1の実施の形態と同様である(図1、図2参照。)ため、ここでの説明は省略する。
まず、本実施の形態に係る上記検出機能について説明する。本実施の形態に係る画像形成装置10は、用紙Pが定着装置24に突入する前の期間内の予め定められた期間(以下、「第3期間」という。)におけるトルク検出部114から出力された電圧値Vとピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。なお、上記突入する前の期間は、図3に示したタイミングt1より前の期間に相当する。
具体的には、画像形成装置10は、上記第3期間の電圧値Vの平均値を導出する。なお、第3期間は、タイミングt1より前の期間内であれば特に限定されない。第3期間は、例えば、図3に示す左端の0(用紙Pの先端が用紙検知センサ80による検知位置を通過したタイミング)からタイミングt1までの期間の中央を含む該期間の予め定められた割合(例えば50%)の期間であってもよいし、タイミングt1の直前の該割合の期間であってもよいし、図3に示す左端の0からタイミングt1までの全期間であってもよい。
そして、画像形成装置10は、導出した平均値とピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。図3に示すように、平均値とピーク値P2との差は、用紙Pが厚くなるに従って大きくなる。
そこで、本実施の形態では、上記各実施の形態と同様に、画像形成装置10の実機及び複数の厚さの用紙Pを用いた実験等により、複数の用紙Pの厚さに対応する上記平均値とピーク値P2との差を予め導出する。また、予め導出された上記差を最小二乗法等により一次直線に近似し、用紙Pの厚さTと上記差との関係を表す一次式を予め導出する。
そして、画像形成装置10は、該一次式を用いて、上記第3期間の上記平均値とピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。
次に、図9を参照して、上記検出機能の実行時における本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用は、上記各実施の形態とはステップ160の処理が異なるため、ここでは、ステップ160の処理について説明する。
図9のステップ160において、CPU100は、上記第3期間内に上記ステップ154の処理により取得された電圧値Vの平均値を導出する。そして、CPU100は、予め得られた上記一次式を用いて、導出した平均値とピーク値P2との差から用紙Pの厚さTを導出する。
以上、各実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記各実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また各実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した各実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。各実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
例えば、上記各実施の形態では、本発明の搬送手段として、定着装置24を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の搬送手段として、中間転写ベルト42及び二次転写ロール22や位置合わせロール68等の用紙Pの画像形成面を挟んで搬送する他の搬送手段を適用してもよい。この場合も、上記各実施の形態と同様に、該搬送手段を駆動する駆動手段の負荷から用紙Pの厚さが導出される。
また、本発明の搬送手段として、搬送経路の上流に設けられた搬送手段を適用する場合、導出された用紙Pの厚さに基づいて、搬送経路の下流の部材を制御する形態としてもよい。
この場合、例えば、位置合わせロール68を駆動するモータの負荷(トルク)から、上記各実施の形態と同様に、用紙Pの厚さを導出する。そして、導出した用紙Pの厚さに応じて、補助ロール50に印加する二次転写電圧の電圧値を変更する形態が例示される。さらに、導出した用紙Pの厚さに応じて、位置合わせロール68より下流の搬送経路60における用紙Pの搬送速度を変更する形態や、加熱ベルト24Aにより加熱される熱量を変更する形態も例示される。
また、上記各実施の形態では、搬送手段(定着装置24)による用紙Pの搬送速度より、搬送手段の上流側の第2搬送手段(中間転写ベルト42及び二次転写ロール22)による用紙Pの搬送速度が速い場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、搬送手段による用紙Pの搬送速度より第2搬送手段による用紙Pの搬送速度が遅い形態としてもよい。
この形態例における上記各実施の形態の図3に対応するグラフを図11に示す。図11も図3と同様に、用紙Pの先端が用紙検知センサ80による検知位置を通過した時点から用紙Pの後端が用紙検知センサ82による検知位置を通過した時点までに、トルク検出部114から出力された電圧値の時系列データの一例を示している。また、図11のタイミングt1、t2、t3は、図3のタイミングt1、t2、t3と対応する。この形態例においても、上記各実施の形態と同様に、ピーク値P2を用いて、用紙Pの厚さが導出される。
また、上記各実施の形態では、厚さ導出処理プログラムがROM102に予めインストールされている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、厚さ導出処理プログラムが、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)等の記憶媒体に格納されて提供される形態、又はネットワークを介して提供される形態としてもよい。
さらに、上記各実施の形態では、厚さ導出処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、厚さ導出処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。
その他、上記各実施の形態で説明した画像形成装置10の構成(図1、図2参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
また、上記各実施の形態で説明した厚さ導出処理プログラムの処理の流れ(図9参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
さらに、上記各実施の形態で示したエラー通知画面の構成(図10参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、一部の情報を削除したり、新たな情報を追加したり、表示位置を変えたりすることができることは言うまでもない。