<全体構成>
図1は、本実施形態の画像形成装置の全体構成図である。
画像形成装置は、画像出力部1P、リーダ部4、及び操作部5を備える。リーダ部4及び操作部5は、画像出力部1P上に設けられる。操作部5は、ユーザにより操作されるボタン等の他に、ディスプレイ等の表示部が一体に構成されており、タッチパネルとしても機能する。ユーザは、操作部5により画像形成処理の各種設定、例えば画像形成に用いる記録材Pの紙種の設定を行うことができる。リーダ部4は、原稿画像を読み取るスキャナとして機能する。リーダ部4は、操作部5からの指示に応じて原稿画像を読み取り、読み取った原稿画像の画像データを生成して画像出力部1Pに送信する。画像出力部1Pは、操作部5からの指示及びリーダ部4から送信された画像データに応じて、画像形成処理を行う。
画像出力部1Pは、大別して画像形成部10、給紙部20、中間転写部30、定着部40、反転両面部50、両面搬送部60、排紙部70、及び制御部80を備える。画像形成部10は、同じ構成の4つのステーションを備える。
画像形成部10は、図中、矢印方向に回転駆動される像担持体である感光体ドラム11a〜11dを備える。感光体ドラム11a〜11dの外周面に対向する位置には、感光体ドラム11a〜11dの回転方向に並んで、一次帯電器12a〜12d、光学系13a〜13d、現像器14a〜14dが配置される。以降、感光体ドラム11a〜11d、一次帯電器12a〜12d、光学系13a〜13d、現像器14a〜14dを区別しない場合には、感光体ドラム11、一次帯電器12、光学系13、現像器14と記載する。
一次帯電器12は、感光体ドラム11の表面を均一に帯電する。光学系13は、画像データに応じて変調したレーザビーム等の光線を帯電した感光体ドラム11に照射することで、感光体ドラム11上に静電潜像を形成する。感光体ドラム11dには、イエローの画像データに応じてイエローの静電潜像が形成される。感光体ドラム11cには、シアンの画像データに応じてシアンの静電潜像が形成される。感光体ドラム11bには、マゼンタの画像データに応じてマゼンタの静電潜像が形成される。感光体ドラム11aには、ブラックの画像データに応じてブラックの静電潜像が形成される。
感光体ドラム11に形成された静電潜像は、現像器14に貯蔵されたトナーにより現像される。これにより感光体ドラム11には、トナー像が形成される。感光体ドラム11dに形成された静電潜像は、現像器14dからイエローのトナーが供給されて、イエローのトナー像として顕像化される。感光体ドラム11cに形成された静電潜像は、現像器14cからシアンのトナーが供給されて、シアンのトナー像として顕像化される。感光体ドラム11bに形成された静電潜像は、現像器14bからマゼンタのトナーが供給されて、マゼンタのトナー像として顕像化される。感光体ドラム11aに形成された静電潜像は、現像器14aからブラックのトナーが供給されて、ブラックのトナー像として顕像化される。感光体ドラム11の回転方向の下流側には、感光体ドラム11の表面をクリーニングするためのクリーナ15が配置される。
給紙部20は、画像が形成される用紙等の記録材Pを収納するカセット21を備える。記録材Pには、普通紙やOHTシートを用いることができる。カセット21に収納された記録材Pは、中間転写部30に向けて搬送される。そのために給紙部20は、カセット21から記録材Pを1枚ずつ取り出すピックアップローラ対22、ピックアップローラ対22により取り出された記録材Pをレジストローラ対26まで搬送する複数の搬送ローラ対23、及び搬送ガイド24を備える。
レジストローラ対26の記録材Pの搬送方向の上流側の搬送路には、記録材Pの搬送方向に直交する方向(記録材の幅方向)の記録材P及びその端部(横端)の位置を検知するラインセンサ25aが設けられる。ラインセンサ25aに対向する位置には、ラインセンサ25aからの照射光を吸収する黒シート25bが設けられる。レジストローラ対26は、記録材Pを挟んだ状態で、ラインセンサ25aで検知された記録材Pの幅方向にシフトすることで、記録材Pを幅方向の所定の位置にシフトさせる。またレジストローラ対26は、画像形成部10における画像形成のタイミングに合わせて記録材Pを中間転写部30に送り出す。
レジストローラ対26の記録材Pの搬送方向の上流側には、離間機構を有するレジ前ローラ対27が配置される。ラインセンサ25aを挟んで搬送ガイド24に対向する位置には、搬送ガイド24上の記録材Pの有無を判別するレジセンサ28が配置される。レジストローラ対26よりも記録材Pの搬送方向の下流側の搬送路には、搬送ガイド24上の記録材Pを検知する搬送センサ29aが設けられる。搬送センサ29aに搬送ガイド24を挟んで対向する位置には、搬送センサ29aからの照射光を回帰させるプリズム29bが設けられる。レジセンサ28、レジストローラ対26、ラインセンサ25a、及び搬送センサ29aを総称して「レジスト部」という。
中間転写部30は、中間転写体としての中間転写ベルト31を備える。中間転写ベルト31は、駆動ローラ32、図示しない弾性部材により付勢されて中間転写ベルト31に適度な張力を与えるテンションローラ33、及び二次転写ローラ34に巻回されている。駆動ローラ32は、中間転写ベルト31を回転駆動する。
中間転写ベルト31を挟んで感光体ドラム11a〜11dに対向する位置に、感光体ドラム11a〜11dと対をなして一次転写領域Ta、Tb、Tc、Tdを形成する一次転写ローラ35a〜35dが配置される。中間転写ベルト31を挟んで二次転写ローラ34に対向する位置に、二次転写ローラ34と対をなして二次転写領域Teを形成する二次転写ローラ36が配置される。二次転写領域Teの中間転写ベルト31の回転方向の下流側には、中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングするためのクリーナ37が配置される。
定着部40は、内部にハロゲンヒータ等の熱源を備えた定着ローラ41a、定着ローラ41aに加圧される加圧ローラ41b、定着ローラ41aと加圧ローラ41bとのニップ部へ記録材Pを導く定着前ローラ対42、及び定着前ガイド43を備える。なお、加圧ローラ41bは、定着ローラ41aと同様の熱源を備える構成であってもよい。
排紙部70は、定着部40により熱定着された記録材Pを搬送する内排出ローラ対71、記録材Pを外部に排出する外排出ローラ対72、記録材Pを反転両面部50及び外排出ローラ対72のいずれかに導くフラッパ73を備える。反転両面部50は、正転、逆転回転可能な複数の反転両面ローラ対51及び反転両面ガイド52を備える。また、反転両面部50は、反転排紙時に反転両面ガイド52により反転された記録材Pを外排出ローラ対72に導く排紙フラッパ53及び両面印刷時に記録材Pを両面搬送部60に導く両面フラッパ54を備える。両面搬送部60は、記録材Pを反転両面部50から給紙部20に搬送する複数の両面搬送ローラ対61と、記録材Pをガイドする両面搬送ガイド62とを備える。制御部80は、前述の各部の動作を制御するためのCPU(Central Processing Unit)やモータドライブ基板等で構成される。
<画像形成装置の動作>
このような構成の画像形成装置は、操作部5から画像形成の指示が入力されると、ピックアップローラ対22によってカセット21から記録材Pを1枚ずつ取り出す。取り出された記録材Pは、複数の搬送ローラ対23により、着状態で駆動するレジ前ローラ対27を経由して、搬送ガイド24をレジストローラ対26まで搬送される。このとき、レジストローラ対26は停止している。この状態でレジストローラ対26に記録材Pを突き当てて、記録材Pのループを形成することで記録材Pの斜行を矯正する。その後、画像形成部10の画像形成のタイミングにあわせて、レジストローラ対26は回転を開始する。
画像形成部10は、操作部5からの画像形成の指示に応じて、前述したプロセスにより、中間転写ベルト31の回転方向において最も上流側にある感光体ドラム11d上にトナー像が形成される。感光体ドラム11dに形成されたトナー像は、高電圧が印加された一次転写ローラ35dにより、一次転写領域Tdにおいて中間転写ベルト31に転写される。中間転写ベルト31上に転写されたトナー像は、次の一次転写領域Tcまで搬送される。感光体ドラム11cには、一次転写領域Tcに中間転写ベルト31上に転写されたトナー像が搬送されるタイミングにあわせてトナー像が形成される。一次転写領域Tcでは、一次転写領域Tdで転写されたトナー像に重ねて、感光体ドラム11cに形成されたトナー像が転写される。以降同様に、一次転写領域Tb、Taにおいて転写が行われることで、中間転写ベルト31上に、フルカラーのトナー像が形成される。
レジストローラ対26の回転により搬送される記録材Pは、搬送センサ29a上を通過する。搬送センサ29aは、通過する記録材Pを検知する。この検知タイミングに応じて、中間転写ベルト31上に転写されたトナー像と記録材P上の画像形成位置とが二次転写領域Teで一致するように、レジストローラ対26の回転速度は調整される。
中間転写ベルト31上にフルカラーのトナー像が形成されると、記録材Pは、二次転写領域Teに搬送される。記録材Pが二次転写領域T2に進入して中間転写ベルト31に接触すると、二次転写ローラ36は、記録材Pの通過タイミングに合わせて高電圧が印加される。これにより、記録材Pには、中間転写ベルト31上のフルカラーのトナー像が転写される。
トナー像が転写された記録材Pは、定着前ガイド43によって定着部40の定着ローラ41aと加圧ローラ41bとのニップ部まで案内される。定着部40の定着ローラ41a及び加圧ローラ41bによる熱及びニップの圧力により、トナー像が記録材Pの表面に定着する。トナー像が定着した記録材Pは、内排出ローラ対71により搬送され、反転排紙時や、両面印刷時の裏面印刷の際には、フラッパ73により反転両面部50方向に搬送される。トナー像が定着した記録材Pは、片面印刷時や両面印刷時の裏面印刷後には、フラッパ73により外排出ローラ対72方向に搬送される。外排出ローラ対72は、記録材Pを画像出力部1Pの外部に排出する。
反転両面部50に搬送された記録材Pは、複数の反転両面ローラ対51により、反転両面ガイド52の奥まで引き込まれて停止する。その後、複数の反転両面ローラ対51が逆回転し、記録材Pは、両面フラッパ54により、反転排紙の場合は外排出ローラ対72に、両面印刷する場合は両面搬送部60に導かれる。反転排紙の場合、記録材Pは、両面フラッパ54を通過した後に、排紙フラッパ53により外排出ローラ対72に導かれ、外排出ローラ対72により画像出力部1Pの外部へ排出される。両面印刷時に記録材Pは、複数の両面搬送ローラ対61により搬送され、両面搬送ガイド62に導かれて、給紙部20の搬送ガイド24に合流する。その後、記録材Pは、表面印刷と同様のプロセスを経て、外排出ローラ対72により画像出力部1Pの外部へ排出される。
<紙種及び搬送状態の判定>
上記の通り、記録材Pには普通紙及びOHTシート(透明シート)を用いることができる。画像形成装置は、搬送される記録材Pの紙種をラインセンサ25a及び搬送センサ29aの検知結果により判別する。図2は、レジスト部を用いた記録材Pの紙種の判別及び記録材Pのジャムの発生を検知する動作の説明図である。ここでは、画像形成装置に、操作部5により記録材Pの紙種が普通紙であると設定されている場合について説明する。定着部40の温度条件等は、普通紙に最適になるように設定される。
図2(a)は、搬送される記録材Pが不透明な普通紙である場合の説明図である。ラインセンサ25aは反射型のセンサである。記録材Pが搬送されてくると、ラインセンサ25aの発光部から記録材Pへ照射された光は、記録材Pに反射されてラインセンサ25aの受光部に導かれる。そのために、ラインセンサ25aの受光部からの出力値は高く(High)なる。
搬送センサ29aは、プリズム回帰型の透過型センサである。レジストローラ対26により普通紙である記録材Pが搬送されてくると、搬送センサ29aの発光部から照射された光が記録材Pにより遮られて、搬送センサ29aの受光部の出力値は低く(Low)なる。
ラインセンサ25aの出力値(High)及び搬送センサ29aの出力値(Low)により、画像形成装置は、搬送された記録材Pが普通紙であると判別することができる。画像形成装置は、ラインセンサ25aを用いて記録材Pの横端位置を検知して横端位置補正を行い、搬送を継続して画像形成を行う。
図2(b)は、搬送される記録材Pが透明なOHTシートである場合の説明図である。記録材Pが搬送されてくると、ラインセンサ25aの発光部から記録材Pへ照射された光は、記録材PがOHTシートであるために記録材Pを透過して黒シート25bに吸収される。そのために、ラインセンサ25aの受光部からの出力値は低く(Low)なる。
搬送センサ29aは、レジストローラ対26によりOHTシートである記録材Pが搬送されてくると、搬送センサ29aの発光部から照射された光が記録材Pを透過してプリズム29bにより回帰され、搬送センサ29aの受光部に導かれる。そのために 搬送センサ29aの受光部の出力値は高く(High)なる。
ラインセンサ25aの出力値(Low)及び搬送センサ29aの出力値(High)により、画像形成装置は、搬送された記録材PがOHTシートであると判別することができる。画像形成装置は、記録材Pの紙種が普通紙であると設定されているために、記録材PがOHTシートであると判別すると、記録材Pの搬送を停止する。
図2(c)は、搬送される記録材Pが普通紙であり、何らかの要因で搬送センサ29aの位置まで記録材Pが搬送されなかった場合の説明図である。記録材Pが搬送されてくると、ラインセンサ25aの発光部から記録材Pへ照射された光は、記録材Pが普通紙であるために反射されてラインセンサ25aの受光部に導かれる。そのために、ラインセンサ25aの受光部からの出力値は高く(High)なる。
搬送センサ29aの発光部から照射された光は、記録材Pが搬送されないためにプリズム29bにより回帰され、搬送センサ29aの受光部に導かれる。そのために 搬送センサ29aの受光部の出力値は高く(High)なる。ラインセンサ25aの出力値(High)及び搬送センサ29aの出力値(High)により、画像形成装置は、記録材Pの搬送が停止したと判別して画像形成を停止し、ジャムが発生したと判断する。
図3は、図2の場合の記録材Pの種類及び搬送状態と各センサの出力値との関係を表す図である。
図2で説明したように、ラインセンサ25a及び搬送センサ29aは、それぞれ、記録材Pの紙種に応じた検知結果を出力する。画像形成装置は、これらの検知結果から、記録材Pの紙種及び搬送状態を把握する。画像形成装置は、ラインセンサ25aの検知結果と搬送センサ29aの検知結果とが同じ紙種を表していれば、記録材Pが正常に搬送されていると判断する。画像形成装置は、ラインセンサ25aの検知結果と搬送センサ29aの検知結果とが異なる紙種を表していれば、記録材Pの搬送にジャム等の異常が生じて、正常な搬送ができなくなっていると判断する。画像形成装置は、記録材Pの正常な搬送ができない場合には、記録材Pの搬送を停止する。
また、ラインセンサ25aの検知結果から、予め設定されている画像形成に用いる記録材Pの紙種と同じ紙種の記録材Pが搬送されているか否かの判断が可能である。ラインセンサ25aが設定されている紙種とは異なる紙種の記録材Pを検知した場合、画像形成装置は、搬送に異常が生じたと判断して記録材Pの搬送を停止する。
図3は、設定された紙種が普通紙である場合を表す。画像形成装置は、ラインセンサ25aの出力(検知結果)が「High」且つ搬送センサ29aの出力が「Low」の場合には、正常に記録材Pが搬送されていると判断する。画像形成装置は、ラインセンサ25aの出力が「Low」の場合には、搬送された記録材Pの紙種が設定されている紙種とは異なると判断して記録材Pの搬送を停止する。画像形成装置は、ラインセンサ25aの出力が「High」且つ搬送センサ29aの出力が「High」の場合には、記録材Pの搬送にジャム等の異常が生じて正常な搬送ができなくなっていると判断する。
本実施形態では、ラインセンサ25aが普通紙を検知し、搬送センサ29aがOHTシートを検知する構成であるが、これは逆であってもよい。例えば、ラインセンサ25aがOHTシートを検知し、搬送センサ29aが普通紙を検知するようにしてもよい。つまり、ラインセンサ25aが検知する記録材Pの紙種は透明な記録材及び不透明な記録材の一方、搬送センサ29aが検知する記録材Pの紙種は透明な記録材及び不透明な記録材の他方としてもよい。
<制御部>
図4は、制御部80の構成図である。制御部80は、画像形成装置全体の動作を制御するが、図4では本実施形態にかかる構成のみを示す。図4では、制御部80により、レジセンサ28、ラインセンサ25a、及び搬送センサ29aを入力とし、レジ駆動モータ305及びレジシフトモータ306の制御を行う構成について説明する。
制御部80は、閾値設定部313及び記録材判定部314を有するCPU301を備える。CPU301には、レジセンサ28の検知結果が直接入力される。制御部80は、CPU301とラインセンサ25aとの間に、アナログプロセッサ303a、ピークレベル検知部307、ローレベル検知部308、及びラインセンサ制御部302を備える。制御部80は、CPU301と搬送センサ29aとの間に、アナログプロセッサ303b及び搬送センサ制御部315を備える。制御部80は、CPU301とレジ駆動モータ305及びレジシフトモータ306との間に、モータ制御部304を備える。この他に制御部80は、記録材Pの横端位置を検知するためにD/Aコンバータ309、コンパレータ310、及びカウンタ311を備える。また、制御部80が備える機能は、例えば、CPU301が図示しない記憶装置から所定のコンピュータプログラムを読み込んで実行することで実現される。
レジ駆動モータ305及びレジシフトモータ306は、レジストローラ対26に接続されるモータである。レジ駆動モータ305は、レジストローラ対26を回転駆動する。レジシフトモータ306は、レジストローラ対26を記録材Pの搬送方向に対して垂直方向にシフト(横レジシフト)する。
ラインセンサ25aは、レジセンサ28による記録材Pの検知をトリガとして動作する。レジセンサ28は、記録材Pの有無を確実に検知するために、例えば記録材Pの搬送ガイド24上に設けられる物理的なフラグの移動を検知するような、フラグ検知型の構成が望ましい。
CPU301は、レジセンサ28から記録材Pを検知したことを表す検知結果が入力されると、ラインセンサ制御部302にラインセンサ25aの起動を指示する。ラインセンサ制御部302は、この指示により、ラインセンサ25aの動作に必要な制御信号をラインセンサ25aに送信する。制御信号には、例えば、クロック(CLK)、スタートパルス(SP)、ラインセンサ25aに付随するLED(Light Emitting Diode)等の光源を点灯させるLEDオン(LED_ON)信号等が含まれる。
ラインセンサ25aは、制御信号を受信して動作を開始すると、搬送されてきた記録材Pに照射した光の反射光の光量をアナログ信号(OUT1)として出力する。ラインセンサ25aから出力されたアナログ信号は、アナログプロセッサ303aに入力されて、デジタル信号に変換される。このデジタル信号は、ピークレベル検知部307及びローレベル検知部308に入力される。ピークレベル検知部307及びローレベル検知部308は、デジタル信号のピークレベル及びローレベルを検知してCPU301に入力する。
また、CPU301は、レジセンサ28から記録材Pを検知したことを表す検知結果が入力されると、搬送センサ制御部315に搬送センサ29aの起動を指示する。搬送センサ制御部315は、この指示に応じて搬送センサ29aを起動する。搬送センサ29aは、動作を開始すると検知結果をアタログ信号としてアナログプロセッサ303bに入力する。アナログプロセッサ303bは、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換してCPU301に入力する。
CPU301は、このようにして取得したラインセンサ25aによる検知結果及び搬送センサ29aの検知結果に応じて、記録材判定部314により、図2で説明したように、記録材Pの紙種の判別及び搬送状態の判定を行う。
また、CPU301は、取得したラインセンサ25aによる検知結果及び搬送センサ29aの検知結果に応じて、閾値設定部313により閾値を算出する。「閾値」は、ラインセンサ25aの検知結果を二値化するための値である。閾値設定部313で算出される閾値は、デジタル信号である。閾値設定部313で算出された閾値は、D/Aコンバータ309でアナログ信号に変換され、コンパレータ310に設定される。コンパレータ310は、ラインセンサ25aの検知結果を閾値と比較して二値化する。カウンタ311は、ラインセンサ制御部302から出力されるクロック信号により、二値化された検知結果の「High」の時間をカウントする。カウント結果は、CPU301に入力される。CPU301は、カウント結果に基づいて記録材Pの横端位置を演算し、目標とする横端位置とのずれ量、ずれ方向を算出する。CPU301は、算出したずれ量をモータのパルス数に変換して、レジシフトモータ306を駆動させる方向及びモータ駆動パルスをモータ制御部304へ出力する。
<制御部の動作モード>
制御部80は、記録材Pの横端位置を検知する横端検知モード及び記録材PがOHTシートであるか否かの判定を行うOHT判定モードの2つの動作モードにより動作する。図5は、横端検知モード時及びOHT判定モード時のラインセンサ25aからの出力値による波形を示す図である。図5(a)は、横端検知モード時のラインセンサ25aの出力波形を表しており、図5(b)、(c)はOHT判定モード時のラインセンサ25aの出力波形を表している。ラインセンサ25aは、記録材Pの搬送方向に対して垂直方向に光を照射する。
図5(a)では、横端検知モード時のラインセンサ25aの発光量B(図6のS508)を得るために、ラインセンサ25aの発光素子に5[mA]の電流が流される。グラフの実線は、記録材Pが普通紙である場合の出力波形を表す。
制御部80は、記録材Pがレジストローラ対26に挟持されて搬送されるタイミングで横端検知モードで動作する。横端検知モードでは、構成上、ラインセンサ25aと記録材Pとの距離zが0.3[mm]程度になる。本実施形態で用いるラインセンサ25aの焦点距離は0.3[mm]である。そのために、ラインセンサ25aから照射される光は記録材Pにより効率的にラインセンサ25aに反射される。
本実施形態では、記録材Pが普通紙である場合、ラインセンサ25aからの出力値が、記録材Pによる反射光を受光したときは2.9[V]程度、記録材Pの周辺部分による反射光を受光したときは0.1[V]程度になり、十分な差がある。ラインセンサ25aが記録材Pの搬送方向に対して直交する方向に光を照射するために、記録材Pの横端を境にして、出力値が変化する。そのためにCPU301は、記録材Pの横端位置を容易に判別することができる。
図5(b)では、OHT判定モード時のラインセンサ25aの発光量A(図6のS505)を得るために、ラインセンサ25aの発光素子に5[mA]の電流が流される。グラフの実線は、記録材Pが普通紙である場合の出力波形、点線は記録材がOHTシートである場合の出力波形を表す。
制御部80は、記録材Pがレジストローラ対26より搬送方向の上流側に有るタイミングでOHT判定モードで動作する。OHT判定モードでは、構成上、ラインセンサ25aと記録材Pとの距離zが2.4[mm]程度と、横端検知モード時よりも遠くなる。ラインセンサ25aの焦点距離が0.3[mm]であるために、ラインセンサ25aからの光は、距離zが大きくなるほど、記録材Pによる反射効率が低下する。
そのために、記録材Pが普通紙の場合、ラインセンサ25aからの出力値のピークレベル(Vp_B1)とローレベル(Vl_B1)との差、つまり普通紙からの反射光と普通紙外からの反射光の差が0.3[V]程度となる。電気的なノイズや記録材Pの搬送時のばたつきを考慮すると、OHTシートであるか否かを判定するためのOHT閾値(OHT_th)は、1.0[V]程度が望ましい。そのために、この場合は、記録材Pが普通紙であるにもかかわらずOHTシートと誤判別してしまう。
図5(c)では、OHT判定モード時のラインセンサ25aの発光量A(図6のS505)を得るために、ラインセンサ25aの発光素子に16[mA]の電流が流される。グラフの実線は、記録材Pが普通紙である場合の出力波形、点線は記録材がOHTシートである場合の出力波形を表す。
図5(b)の状態と比較して、ラインセンサ25aの発光量が増加する。そのために、記録材Pが普通紙の場合、ラインセンサ25aからの出力値のピークレベル(Vp_B1)とローレベル(Vl_B1)との差、つまり普通紙からの反射光と普通紙外からの反射光の差が2.8[V]程度となる。このように出力値の差が所定値以上であれば、記録材Pが普通紙であると判定される。記録材PがOHTシートの場合、ラインセンサ25aからの出力値のピークレベル(Vp_B2)とローレベル(Vl_B2)との差は0.0[V]である。これは、ラインセンサ25aから照射された光が記録材Pで反射されない場合に黒シート25bで吸収されて反射光が無いために、ラインセンサ25aが受光する反射光が発光量に依存しないためである。このように出力値の差が所定値未満であれば、記録材PがOHPシートであると判定される。
このように、図5(c)では、普通紙とOHTシートとではピークレベルの差が2.8[V]程度と大きいために、記録材Pの紙種を正確に判別することができる。
このように、OHT判定モード時のラインセンサ25aによる発光量(発光量A)を、横端検知モード時の発光量(発光量B)よりも大きくすることが望ましい。なお、上記の具体的な数値は本構成におけるデータであり、各数値を限定するものでは無い。
<運用形態>
図6は、制御部80による画像形成時の処理を表すフローチャートである。画像形成時には、ユーザが操作部5により画像形成のための各種の設定を行う。例えば、記録材Pの紙種が設定される。
ユーザにより操作部5から印刷開始の指示があると(S501:Y)、CPU301は、記録材Pの紙種の設定を取得する(S502)。ここでは、CPU301が、記録材Pに普通紙とOHTシートとのいずれが設定されているかを取得する。
CPU301は、記録材Pの紙種を取得すると、レジセンサ28が搬送されてきた記録材Pを検知したか否かを判定する(S503)。レジセンサ28が記録材Pを検知すると(S503:Y)、CPU301は、ラインセンサ25aの動作を開始させる(S504)。CPU301は、ラインセンサ制御部302によりラインセンサ25aの発光量を発光量Aに設定して(S505)、OHT判定モードの処理を行う(S506)。OHT判定モードにより、CPU301は、搬送されてきた記録材PがOHTシートであるか否かを判定する。OHTシートである場合、CPU301は、OHTフラグを「1」にセットする。OHT判定モードの処理については後述する。
OHT判定モードの処理が終了すると、CPU301は、モータ制御部304によりレジ駆動モータ305を駆動して、レジストローラ対26の回転を開始させる(S507:Y)。レジストローラ対26が回転を開始すると、CPU301は、横端検知モードに処理モードが移行する。横端検知モードでは、CPU301は、ラインセンサ25aの発光量を発光量Aよりも少ない発光量Bに設定して(S508)、記録材Pの横端位置の検知を行う(S509)。
記録材Pの横端位置を検知すると、CPU301は、ラインセンサ制御部302によりラインセンサ25aの動作を終了させる(S510)。CPU301は、記録材Pの横端検知結果に応じて、レジシフトモータ306の動作量を導出する(S511)。その後、CPU301は、モータ制御部304により導出した動作量だけレジシフトモータ306を駆動することで、レジストローラ対26の横レジシフトを行う(S512)。これにより横レジ補正が行われる。
横レジシフト後にCPU301は、設定された記録材Pの紙種がOHTシートであるか否かを判断する(S513)。設定された記録材Pの紙種がOHTシートであり(S513:Y)、OHT判定モードの結果、OHTフラグが「1」であれば(S514:Y)、CPU301は、記録材Pへの画像形成を行う(S522)。この場合、設定された紙種と実際に搬送された記録材Pの紙種とが一致するために、通常の画像形成処理になる。
設定された記録材Pの紙種がOHTシートであり(S513:Y)、OHT判定モードの結果、OHTフラグが「1」でなければ(S514:N)、CPU301は、操作部5の表示部にジャムが発生したことを表示して処理を終了する(S515)。この場合、設定された紙種と実際に搬送された記録材Pの紙種とが一致しない。具体的には、設定された紙種がOHTシートであり、実際に搬送された記録材PがOHTシートではない。CPU301は、実際に搬送された記録材PがOHTシートではないためにジャムが発生したと判断して、ジャムの発生を表示部に表示する。
設定された記録材Pの紙種がOHTシートではない場合(S513:N)、CPU301は、S507でレジストローラ対26が回転を開始してから所定時間経過するまで待機する(S516)。本実施形態では、記録材Pの紙種の設定がOHTシートではない場合、設定が普通紙である。所定時間経過すると(S516:Y)、CPU301は、搬送センサ29aが記録材Pを認識しているか(搬送センサ29aの出力が「Low」であるか)を判断する(S517)。搬送センサ29aが記録材Pを認識している場合(S517:Y)、記録材の紙種は普通紙である。この場合、設定された紙種と実際に搬送された記録材Pの紙種とが一致する。そのためにCPU301は、記録材Pへ通常の画像形成を行う(S522)。
搬送センサ29aの出力が「High」で搬送センサ29aが記録材Pを認識していない場合(S517:N)、CPU301は、記録材Pの搬送を停止する(S518)。記録材Pの搬送を停止したCPU301は、OHTフラグの値を判断する(S519)。
OHTフラグが「1」の場合(S519:Y)、設定された紙種がOHTシートではなく、実際に搬送されてきた記録材PがOHTシートとなる。そのためにCPU301は、操作部5の表示部にジャムが発生したことを表示して処理を終了する(S520)。CPU301は、設定された紙種と実際に搬送された記録材Pとが異なるためにジャムが発生したことを表示部に表示することでユーザに通知する。
OHTフラグが「1」ではない場合(S519:N)、設定された紙種がOHTシートではなく、実際に搬送されてきた記録材PもOHTシートではない。この場合、CPU301は、搬送センサ29aに記録材Pが到達していないことを操作部5の表示部に表示して処理を終了する(S521)。CPU301は、通常の記録材Pのジャムが発生したことを表示部に表示することでユーザに通知する。
なお、通常の画像形成処理を行った場合(S522)、CPU301は、次のジョブの有無を判断する(S523)。例えば連続プリントのように次のジョブがある場合には(S523:N)、CPU301は、S502からの一連の処理を繰り返し行う。次のジョブが無くなると(S523:Y)、CPU301は処理を終了する。
<OHT判定モード>
図6のS506のOHT判定モードの処理について、図7のフローチャートにより説明する。
OHT判定モードを開始すると、CPU301は、最初にOHTフラグをクリアして「0」をセットする(S601)。OHTフラグのクリア後にCPU301は、ラインセンサ25aの出力値のピークレベル「Vp」をピークレベル検知部307から取得し、ローレベル「Vl」をローレベル検知部308から取得する(S602、S603)。
CPU301は、取得したピークレベル「Vp」及びローレベル「Vl」の差がOHT閾値(OHT_th)より小さい場合(S604:Y)、記録材PがOHTシートであると判定する。その結果、CPU301は、OHTフラグを「1」にセットしてOHT判定モードの処理を終了する(S605)。CPU301は、取得したピークレベル「Vp」及びローレベル「Vl」の差がOHT閾値(OHT_th)以上の場合(S604:N)、記録材PがOHTシート以外であると判定する。その結果、CPU301は、OHTフラグをそのままにしてOHT判定モードの処理を終了する。
以上のように、ラインセンサ25aの出力値に応じて、記録材PがOHTシートであるか否かが判断され、その結果がOHTフラグにより表されることになる。
<レジスト部動作>
図8は、レジスト部の動作のタイミングチャートである。図6のフローチャートで説明したように、レジセンサ28が搬送されてきた記録材Pを検知した後に、ラインセンサ25aがOHT判定モードで動作する(a点)。OHT判定モードによる処理が終了すると、レジストローラ対26が駆動される(b点)。レジストローラ対26の駆動により、記録材Pが搬送される。
記録材Pが搬送されると、ラインセンサ25aの動作モードが横端検知モードに移行する(c点)。横端検知モードに移行したラインセンサ25aは、記録材Pの横端位置の検知を行う。横端位置の検知結果に基づいて、レジストローラ対26が、記録材Pを挟持したまま記録材Pの搬送方向に対して垂直方向に移動して横レジ補正を行う(d点)。横レジ補正後、搬送センサ29aが、搬送されてきた記録材Pを検知するか否かを判断する(e点)。
このように、記録材Pの搬送に合わせてラインセンサ25aと搬送センサ29aとの出力値を判断することで、記録材Pの紙種及び搬送状態を判別することができる。搬送センサ29aが記録材Pを所定時間内に検知できない場合、記録材PがOHTシートであるか搬送不良が発生しているかを判別できる。