JP2010175927A - 記録媒体通過検知装置並びにこれを備えた記録媒体搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】通過センサにチャタリングが発生している場合でも、記録媒体の通過の有無を簡単に且つ的確に判定することができるようにする。
【解決手段】レジストクラッチをオンとしてレジストローラによる記録媒体の搬送を開始してから定着入口センサの検出位置を記録媒体が通過することが予測される通過予測時間の範囲内で予め設定された監視期間内で定着入口センサの出力信号が一度でもオンとなれば、記録媒体が通過しているものと判定し、監視期間内で定着入口センサの出力信号が常にオフであれば、記録媒体が通過していないものと判定する。特に監視期間の開始時点で定着入口センサの出力信号がオンであれば、記録媒体が通過しているものと判定する。
【選択図】図5
【解決手段】レジストクラッチをオンとしてレジストローラによる記録媒体の搬送を開始してから定着入口センサの検出位置を記録媒体が通過することが予測される通過予測時間の範囲内で予め設定された監視期間内で定着入口センサの出力信号が一度でもオンとなれば、記録媒体が通過しているものと判定し、監視期間内で定着入口センサの出力信号が常にオフであれば、記録媒体が通過していないものと判定する。特に監視期間の開始時点で定着入口センサの出力信号がオンであれば、記録媒体が通過しているものと判定する。
【選択図】図5
Description
本発明は、通過センサの出力信号に基づいて記録媒体の通過の有無を検知する記録媒体通過検知装置並びにこれを備えた記録媒体搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
画像形成装置(例えばプリンタ、ファクシミリ装置、複写機、及び複合機など)においては、用紙がジャムを起こした場合に用紙の搬送を速やかに停止して装置の破損を防止するため、用紙の通過の有無を検知する通過センサが、搬送経路上の所要の位置に設けられているが、用紙が通過しているにも拘わらず用紙が通過していないものと誤って判断する誤検知が生じることがあり、この場合、無用に画像形成装置を停止させてしまう上に、ジャムを起こした用紙を取り除くジャム処理の作業を使用者に無駄に行わせることになるため、誤検知が生じない制御が望まれる。
このような誤検知を発生させる原因には、通過センサの出力信号がオン・オフを繰り返すチャタリングがあり、例えば、搬送路上に突き出た接触子が用紙に押されて変位することで用紙の通過を検知する接触式の通過センサでは、用紙にカールが発生したために通過センサから離れた位置を用紙が通る場合、用紙が通過センサの接触子を十分に押すことができないため、チャタリングが発生することがある。また、発光部からの光を用紙に反射させてその反射光を受光部で受光する非接触式の通過センサでも、紙粉等により受光面が汚れると、受光部の光電変換素子の出力レベルが全体的に小さくなるため、用紙が波打つように搬送されている場合には、光の反射面の角度が変化するのに応じて受光部の入射光の強度が変動することで、チャタリングが発生することがある。
一方、通過センサの出力信号に基づいて用紙の通過の有無を検知する方法としては、例えば、用紙の通過に伴う通過センサの出力信号がオフからオンへ切り替わるタイミング及びオンからオフへ切り替わるタイミングが、規定のタイミングと概ね一致するか否かで判定する方法が知られている(特許文献1参照)。
また、通過センサの出力信号を継続して監視して、その出力信号の変化状況に基づいて用紙の通過の有無を確定する、具体的には、通過センサの出力信号のオン状態が所定の判定時間継続した場合に用紙の通過があるものと判定し、通過センサの出力信号のオフ状態が所定の判定時間継続した場合に用紙の通過がないものと判定する方法が知られている(特許文献2参照)。
特開平1−122857号公報
特許第3302100号公報
しかるに、前記特許文献1に開示された方法では、通過センサの出力信号のオフとオンとの切り替わりのタイミングのずれに多少の余裕を持たせているものの、用紙の通過時には常に出力信号がオンとなることを前提としているため、通過センサの出力信号がオン・オフを繰り返すチャタリング時には誤検知を避けることができない。また、異常な信号が現れた場合に、通過センサ自体に異常がないかを判別する処理に移行するようにしているが、これは用紙の通過に関する誤検知そのものを防止するものではない。
また、特許文献2に開示された方法では、通過センサのチャタリングに対して誤検知を防止する効果があるものの、通過センサの出力信号が頻繁にオン・オフを繰り返すチャタリング時には、通過センサの出力信号のオン状態の継続時間が所定の判定時間に達しないために、用紙の通過がないものと誤検知する場合があり、また、状況に応じて判定時間を調整するようにしているため、制御手順が煩雑になるという問題点がある。
本発明は、かかる問題点を鑑みてなされたものであり、その主な目的は、通過センサにチャタリングが発生している場合でも、記録媒体の通過の有無を簡単に且つ的確に判定することができるように構成された記録媒体通過検知装置並びにこれを備えた記録媒体搬送装置及び画像形成装置を提供することにある。
本発明の記録媒体通過検知装置並びにこれを備えた記録媒体搬送装置及び画像形成装置は、搬送経路上の所要の位置に設けられて搬送手段により搬送される記録媒体の通過の有無を示す信号を出力する通過センサと、この通過センサの出力信号に基づいて記録媒体が通過した否かを判定する制御手段とを有し、前記制御手段が、前記搬送手段による記録媒体の搬送を開始してから前記通過センサの検出位置を記録媒体が通過することが予測される通過予測時間の範囲内で予め設定された監視期間内で前記通過センサの出力信号が一度でもオンとなれば、記録媒体が通過しているものと判定し、前記監視期間内で前記通過センサの出力信号が常にオフであれば、記録媒体が通過していないものと判定する構成とする。
本発明によれば、通過センサの出力信号が頻繁にオン・オフを繰り返すチャタリング時でも、記録媒体の通過の有無を的確に検知することができる。そして、監視期間内で通過センサの出力信号のオン・オフの変化のみを監視すれば良く、制御手順を簡素化することができる。
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、搬送経路上の所要の位置に設けられて搬送手段により搬送される記録媒体の通過の有無を示す信号を出力する通過センサと、この通過センサの出力信号に基づいて記録媒体が通過した否かを判定する制御手段とを有し、前記制御手段が、前記搬送手段による記録媒体の搬送を開始してから前記通過センサの検出位置を記録媒体が通過することが予測される通過予測時間の範囲内で予め設定された監視期間内で前記通過センサの出力信号が一度でもオンとなれば、記録媒体が通過しているものと判定し、前記監視期間内で前記通過センサの出力信号が常にオフであれば、記録媒体が通過していないものと判定する構成とする。
これによると、通過センサの出力信号が頻繁にオン・オフを繰り返すチャタリング時でも、記録媒体の通過の有無を的確に検知することができる。そして、監視期間内で通過センサの出力信号のオン・オフの変化のみを監視すれば良く、制御手順を簡素化することができる。
この場合、監視期間の開始時点及び終了時点は、搬送手段による記録媒体の搬送開始時点を基準とし、この搬送開始時点から監視開始時点までの監視開始時間、及び搬送開始時点から監視終了時点までの監視終了時間をそれぞれ計時する計時手段を設ければ良い。また、通過センサの検出位置を記録媒体が通過するタイミングは記録媒体の搬送速度に応じて変化することから、監視期間の開始時点及び終了時点は、記録媒体の搬送速度に応じて設定すると良い。
前記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記第1の発明において、前記制御手段は、前記監視期間の開始時点で前記通過センサの出力信号がオンであれば、記録媒体が通過しているものと判定する構成とする。
これによると、早期に記録媒体の通過を検知することができる。
前記課題を解決するためになされた第3の発明は、前記第1・第2の発明に係る記録媒体通過検知装置を備え、前記制御手段が、記録媒体が通過すべき状態で記録媒体が通過していないものと判定した場合に、前記搬送手段による記録媒体の搬送を停止する構成とする。
これによると、記録媒体がジャムを起こした場合に記録媒体の搬送を速やかに停止して装置の破損を防止することができる。
前記課題を解決するためになされた第4の発明は、前記第3の発明において、前記監視期間の終了時点は、前記通過センサの上流側でジャムを起こした記録媒体を作業者が手で把持して抜き取り可能な所要長さ分だけ搬送経路上に記録媒体が残る位置で記録媒体を停止させることが可能なタイミングである構成とする。
これによると、ジャムを起こした記録媒体を抜き取るジャム処理が容易になる。
なお、監視期間の開始時点は、実機で通過センサにチャタリングが発生している状況での実験に基づいて、通過センサの出力信号が高い確率でオンとなる領域内に入るように設定すると良く、これにより搬送速度の変動やスリップなどの変動要因で通過センサの検出位置を記録媒体が通過するタイミングが多少ずれることがあっても、このような誤差に関係なく、確実に記録媒体の通過を検知することができる。
前記課題を解決するためになされた第5の発明は、電子写真方式により記録媒体に画像を形成する画像形成装置であり、前記第3・第4の発明に係る記録媒体搬送装置を備えた構成とする。
前記課題を解決するためになされた第6の発明は、前記第5の発明において、前記通過センサが、記録媒体上のトナーを熱及び圧力により記録媒体に定着させる定着部の入口に設けられた構成とする。
このような構成では、実際には記録媒体が通過しているにも拘わらず記録媒体の通過がないと判断する誤検知が発生して、記録媒体の搬送が停止されると、高温となる定着部に記録媒体が停止したままとなるため、望ましくないが、記録媒体通過検知装置を前記のように構成することで、誤検知を確実に防止して、定着部に記録媒体が停止したままの状態になることを避けることができる。
前記課題を解決するためになされた第7の発明は、前記第5・第6の発明において、記録媒体に形成する画像の解像度を切り替え可能なものであり、前記制御手段が、画像の解像度に応じて前記監視期間の開始時点及び終了時点を設定する構成とする。
これによると、画像の解像度に応じて記録媒体の搬送速度が異なる場合に、監視期間の開始時点及び終了時点が実際の記録媒体の搬送状態とずれることを避けて、適切な制御を行うことができる。
前記課題を解決するためになされた第8の発明は、前記第5〜第7の発明において、記録媒体の両面に画像を形成するものである構成とする。
このような構成では、記録媒体に大きなカールが生じ易いため、通過センサにチャタリングが発生して、記録媒体の通過がないと判断する誤検知が発生し易くなるが、記録媒体通過検知装置を前記のように構成することで、誤検知を確実に避けることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明が適用される画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置1は、電子写真方式、すなわち帯電、露光、現像、転写及び定着の各プロセスを経て用紙(記録媒体)Sに画像を形成する画像形成部2を備え、この画像形成部2には、紙収容部3に収容された用紙Sが搬送経路P1・P2を経由して逐次送り込まれ、画像形成部2にて所要の画像が形成された用紙Sが排紙部4に排出される。
画像形成部2は、イエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の各色のトナー像を形成する複数のプロセスユニット5〜8と、このプロセスユニット5〜8内の感光体ドラム5a〜8aの作像面に対して露光用のレーザ光を走査するLSU(レーザ・スキャニング・ユニット)9と、感光体ドラム5a〜8a上に作像された各色のトナー像が順次転写される中間転写ベルト(像担持体)10とを有し、各色の感光体ドラム5a〜8aが中間転写ベルト10に沿って並んで配置されたタンデム型の構造となっている。
プロセスユニット5〜8内では、帯電器5b〜8bにより均一に帯電させた感光体ドラム5a〜8aの作像面に対してLSU9から露光用のレーザ光が走査されることで静電潜像が形成され、この感光体ドラム5a〜8aの静電潜像が、現像器5c〜8cから供給される各色のトナーで現像されて各色のトナー像が感光体ドラム5a〜8aの作像面に形成される。現像器5c〜8cにはトナーボトル11から各色のトナーが補給される。
感光体ドラム5a〜8a上に作像された各色のトナー像は、中間転写ベルト10上に順次転写され、さらに転写部(2次転写部)12において、中間転写ベルト10と転写ローラ13との間に送り込まれた用紙Sに転写される。そして、各色のトナー像が転写された用紙Sが搬送経路P3を経由して定着部15に搬送され、ここで熱及び圧力の作用により用紙S上のトナー像を用紙Sに定着させる処理が行われる。
紙収容部3の用紙Sを画像形成部2に送り込む搬送経路P2上には、用紙Sを中間転写ベルト10上の画像と同期を取って送り出すレジストローラ(搬送手段)16が設けられている。定着部15の入口には、転写部12から搬送経路P3を経由して定着部15に送り込まれる用紙Sの通過の有無を検知するための定着入口センサ(通過センサ)18が設けられている。
またこの画像形成装置1は、用紙Sの両面に画像を形成する両面印刷が可能となっており、定着部15を通過して排出経路P4に送り出された用紙Sの表裏を反転させて再度画像形成部2に送り込むスイッチバック部P5及び反転経路P6が設けられている。スイッチバック部P5では、定着部15を出た用紙Sが搬送ローラ19により引き込まれた後、その搬送ローラ19を逆回転させることで用紙Sが反転経路P6に送り込まれる。この反転経路P6を搬送された用紙Sは、搬送経路P1との合流部を通過して搬送経路P2に送り込まれ、レジストローラ16により位置合わせされた上で転写部12に送り込まれる。
図2は、図1に示した定着部15を詳細に示す断面図である。定着部15は、用紙S上のトナーを熱定着させる定着ベルト21と、この定着ベルト21が巻き掛けられる加熱ローラ22及び定着ローラ23と、図示しないばねにより定着ローラ23に圧接する向きに付勢された加圧ローラ24と、加熱ローラ22に対する定着ベルト21の巻き掛け部分に対向配置されて電磁誘導作用により加熱ローラ22を発熱させる電磁誘導加熱ユニット25とを有しており、定着ベルト21と加圧ローラ24とによるニップ部に用紙Sが送り込まれ、熱及び圧力の作用で用紙S上のトナーが用紙Sに定着される。
定着入口センサ18は、レバー(接触子)26とフォトセンサ27とを有している。レバー26は、支軸30に揺動可能に支持され、定着ベルト21と加圧ローラ24とによるニップ部の入口側に設けられた両側のガイド28・29間の搬送路を遮る起立位置と、用紙Sの通過を許容する伏臥位置との間で起伏するように設けられており、図示しないばねにより起立向きに付勢されている。
レバー26には、フォトセンサ27を遮光する遮光部31が一体に設けられており、用紙Sがない通常の状態では、レバー26が起立位置にあり、遮光部31がフォトセンサ27を遮光しないため、フォトセンサ27からオフ信号が出力されるが、ガイド28・29間に進入した用紙Sに押されてレバー26が伏臥位置に変位すると、遮光部31がフォトセンサ27を遮光して、フォトセンサ27からオン信号が出力される。
図3は、図1に示した画像形成装置1における用紙通過検知及び用紙搬送制御に係る要部の概略構成を示す模式図である。レジストローラ16はモータ35により駆動され、レジストローラ16に対するモータ35からの動力の伝達を断続するレジストクラッチ36と、モータ35からの動力を変速して伝達する変速機構37とが設けられており、このレジストクラッチ36の断続動作及び変速機構37の変速動作は制御部(制御手段)41の用紙搬送制御部43により制御される。
用紙搬送制御部43では、中間転写ベルト10上の画像と同期を取ってレジストローラ16により用紙Sが送り出されるように、レジストローラ16の近傍で用紙Sの位置を検出するレジストセンサの検知タイミングに基づいて、レジストクラッチ36の断続動作が制御される。
また、画像形成部2では、高解像度(例えば1200dpi)と低解像度(例えば600dpi)とで切替可能であり、またカラーとモノクロとで切替可能であり、この画像の解像度とカラー及びモノクロの別に応じて画像形成部2のプロセス速度、すなわち用紙Sの搬送速度が異なる。このため、用紙搬送制御部43では、画像の解像度とカラー及びモノクロの別に応じて搬送速度が切り替えられるように、変速機構37の変速動作が制御される。
また、制御部41の用紙通過検知部42では、定着入口センサ18の出力信号に基づいて用紙Sが通過した否かを判定する処理が行われ、用紙Sが通過すべきタイミングで用紙Sの通過がないものと判定されると、用紙搬送制御部43に対して搬送停止の指示が行われ、これに応じて用紙搬送制御部43では、レジストクラッチ36をオフとしてレジストローラ16による用紙Sの搬送を停止する。
ところで、片面印刷時あるいは両面印刷時の第1面の定着処理の場合には、図2に示したように、定着部15に送り込まれる用紙Sに大きなカールは発生しないため、ガイド28・29間に進入した用紙Sに押されてレバー26が伏臥位置に変位してフォトセンサ27からオン信号が出力されるが、両面印刷時の第2面の定着処理の場合、特に薄紙で且つ第1面が高印字率で第2面が低印字率の場合には、用紙Sに大きなカールが発生して、レバー26の先端側のガイド28に沿うように用紙Sが通る場合がある。
この場合、用紙Sがレバー26を十分に押すことができないため、レバー26は起立したままで、フォトセンサ27からはオフ信号が出力されたままとなり、あるいは用紙Sが波打つのに応じてレバー26が僅かに変位するだけであり、フォトセンサ27の出力信号がオン・オフを繰り返すチャタリングが発生する。このような状態では、用紙Sが通過する期間中、フォトセンサ27の出力信号が常にオンとならないため、1つのタイミングのみで用紙Sの通過を検知する方法では、実際には用紙Sの通過があるにも拘わらず、用紙Sの通過がないものと判断する誤検知が発生する。
図4は、図1に示した画像形成装置1における両面印刷時の定着入口センサ18の出力波形を示しており、(A)は、正常時の定着入口センサ18の出力波形を、(B−1)及び(B−2)は、チャタリング発生時の定着入口センサ18の出力波形をそれぞれ示し、特に(B−2)は2面目を拡大して示している。
図4(A)に示すように、正常時には、レジストクラッチ36をオンとしてレジストローラ16による用紙Sの搬送を開始させると、用紙Sの先端が定着入口センサ18の位置に到達したところで定着入口センサ18の出力信号がオンとなり、用紙Sの後端が通り抜けたところで定着入口センサ18の出力信号がオフとなり、用紙Sが通過する間は定着入口センサ18の出力信号が常時オンとなる。
一方、図2に示したように、両面印刷時の第2面の印刷時に、用紙Sに大きなカールが発生して用紙Sがレバー26を十分に押すことができない状態では、図4(B−1)及び(B−2)に示すように、用紙Sが定着入口センサ18の位置を通過する間、定着入口センサ18の出力信号がオン・オフを繰り返すチャタリングが発生し、1つのタイミングのみで用紙Sの通過を検知する方法では、その検知タイミングで定着入口センサ18の出力信号がオフとなっていると、実際には用紙Sの通過があるにも拘わらず、用紙Sの通過がないものと判断する誤検知が発生する。
そこで、このような定着入口センサ18にチャタリングが発生している場合の誤検知を避けるため、制御部41の用紙通過検知部42では、以下のような制御が実施される。
図5は、図3に示した制御部41で行われる用紙通過検知の要領を説明するタイミング図である。図6は、図3に示した制御部41で用いられる監視開始時間T1の設定の要領を説明する模式図である。図7は、図3に示した制御部41で用いられる監視終了時間T2の設定の要領を説明する模式図である。
制御部41の用紙通過検知部42では、所定の監視期間内で、定着入口センサ18の出力信号が一度でもオンとなれば、用紙Sが通過しているものと判定し、監視期間内で定着入口センサ18の出力信号が常にオフであれば、用紙Sが通過していないものと判定する。さらに、監視期間の開始時点で定着入口センサ18の出力信号がオンであれば、以後の出力信号の状態に関係なく、用紙Sが通過したものと判定する。
すなわち、図5(A)に示すように、監視期間の開始時点で定着入口センサ18の出力信号がオフで、監視期間の途中で出力信号がオフからオンに変化したときは、その時点で用紙Sが通過したものと判定し、図5(B)に示すように、監視期間の開始時点で定着入口センサ18の出力信号がオンであれば、その時点で用紙Sが通過したものと判定する。
監視期間は、レジストローラ16が用紙Sの搬送を開始してから定着入口センサ18の検出位置を用紙Sが通過することが予測される通過予測時間の範囲内で予め設定される。この監視期間を長く設定することで検知精度を向上させることができるが、監視期間を必要以上に長く設定することは制御部41の演算負担を増大させるため、望ましくない。そこで、以下のように監視期間の開始時点及び終了時点を設定する。
監視期間の開始時点は、レジストローラ16が用紙Sの搬送を開始する搬送開始時点を始点とした監視開始時間T1で定められ、この監視開始時間T1は第1のタイマーにより計時される。
ここでは、実験に基づいて、定着入口センサ18の出力信号が確実にオンとなる領域内に監視期間の開始時点が入るように監視開始時間T1を設定する。具体的にはまず、図6に示すように、レジストクラッチ36をオンとしてレジストローラ16による用紙Sの搬送を開始してから定着入口センサ18の出力信号がオンとなるまでに要する時間TONと、用紙Sの搬送を開始してから用紙Sの先端が定着入口センサ18を通過し、定着入口センサ18のチャタリングによって最初に定着入口センサ18の出力信号がオフとなるまでに要する時間TOFFとを計測する。
そして、図6(C)に示すように、時間TONの最大値TON max、すなわち定着入口センサ18の出力信号が最も遅いタイミングでオンとなるケースでの所要時間と、図6(B)に示すように、時間TOFFの最小値TOFF min、すなわち定着入口センサ18の出力信号が最も早いタイミングでオフとなるケースでの所要時間を求め、このTON maxとTOFF minとの概ね中間となる値を監視開始時間T1に設定する。これにより、監視期間の開始時点に高い確率で定着入口センサ18の出力信号がオンとなるようにすることができる。
監視期間の終了時点は、定着入口センサ18の上流側の中間転写ベルト10のニップ部でジャムを起こした用紙Sを作業者が手で把持して抜き取り可能な所要長さ(把持代)分だけ搬送経路上に用紙Sが残る位置で用紙Sを停止させることが可能なタイミングである。この監視期間の終了時点は、レジストローラ16が用紙Sの搬送を開始する搬送開始時点を始点とした監視終了時間T2で定められ、この監視終了時間T2は第2のタイマーにより計時される。
転写部12では、中間転写ベルト10のニップ部を用紙Sが通過した後に中間転写ベルト10からの用紙Sの剥離が適切に行われないことが原因でジャムが発生し易く、用紙Sが中間転写ベルト10に張り付いて引き込まれることで搬送経路から逸脱する。このとき、用紙Sの後端部が搬送経路上に残っている状態で用紙Sの搬送を停止すれば、その搬送経路上に残った用紙Sの後端部を作業者が手で把持して抜き取ることができ、これによりジャム処理が容易になる。
そこで、搬送を開始してから所要長さの把持代L5分だけ搬送経路上に用紙Sが残る位置に用紙Sが到達するまでに要する時間を監視終了時間T2を設定し、この時点までに用紙Sの通過を検知することができなかった場合には、用紙Sの搬送を停止するものとする。
具体的には、搬送開始時点で、図7(A)に示すように、用紙Sの先端がレジストローラ16のニップ部に位置し、この搬送開始時点から、図7(B)に示すように、用紙Sの後端が把持代L5を搬送経路上に残した位置に到達するまでに要する時間、すなわちレジストローラ16のニップ部から中間転写ベルト10のニップ部までの距離L1に用紙Sの長さLSを加算した距離L1+LSから把持代L5を減算した距離L6(=L1+LS−L5)を用紙Sが移動するのに要する時間を監視終了時間T2に設定する。
また、画像の解像度とカラー及びモノクロの別に応じて用紙Sの搬送速度が異なるため、監視期間の開始時点及び終了時点を規定する監視開始時間T1及び監視終了時間T2は、画像の解像度とカラー及びモノクロの別に応じて設定される。
図8は、図3に示した制御部41で行われる制御の手順を示すフロー図である。レジストクラッチ36をオンとしてレジストローラ16による用紙Sの搬送を開始してから監視開始時間T1が経過すると(ST101)、定着入口センサ18の出力信号がオンか否かの判定が行われ(ST102)、ここで定着入口センサ18の出力信号がオンであれば、用紙Sが正常に通過してジャムが発生していないものと判断する。
一方、定着入口センサ18の出力信号がオフであれば(ST102でNo)、監視終了時間T2が経過したか否かの判定が行われ(ST103)、監視終了時間T2が経過していなければ、次に定着入口センサ18の出力信号がオンとなったか否かの判定が行われ(ST104)、ここで定着入口センサ18の出力信号がオンであれば、用紙Sが正常に通過してジャムが発生していないものと判断する。
一方、定着入口センサ18の出力信号がオフであれば(ST104でNo)、監視終了時間T2が経過したか否かの判定(ST103)に戻り、定着入口センサ18の出力信号がオフのままで監視終了時間T2が経過すれば、用紙Sの通過がなく、ジャムが発生したものと判断する。
このように、監視期間の開始時点で定着入口センサ18の出力信号がオンであるか、あるいは監視期間の途中で定着入口センサ18の出力信号が1度でもオフからオンに変化した場合には、それ以降の定着入口センサ18の出力信号の如何に関係なく、用紙Sの通過があるものと判断し、監視期間が終了するまでに1度も出力信号がオンとならなければ、用紙Sの通過がないものと判断する。
以上のように、監視期間内で定着入口センサ18の出力信号が一度でもオンとなれば、用紙Sが通過しているものと判定し、監視期間内で定着入口センサ18の出力信号が常時オフであれば、用紙Sが通過していないものと判定するようにしたため、定着入口センサ18の出力信号が頻繁にオン・オフを繰り返すチャタリング時でも、用紙Sの通過の有無を的確に検知することができる。そして、監視期間内で定着入口センサ18の出力信号のオン・オフを監視すれば良く、制御手順を簡素化することができる。
また、監視期間の開始時点で定着入口センサ18の出力信号がオンであれば、用紙Sが通過したものと判定するようしたため、早期に用紙Sの通過を検知することができ、以後の監視は不要となるため、制御部41の演算負荷を軽減することができる。
また、実機で定着入口センサ18にチャタリングが発生している状況での実験に基づいて、定着入口センサ18の出力信号が高い確率でオンとなる領域内に入るように監視期間の開始時点を設定するようにしたため、搬送速度の変動やスリップなどの変動要因で定着入口センサ18の検出位置を用紙Sが通過するタイミングが多少ずれることがあっても、このような誤差に関係なく、確実に用紙Sの通過を検知することができる。
また、監視期間の終了時点を、定着入口センサ18の上流側でジャムを起こした用紙Sを作業者が手で把持して抜き取り可能な所要長さ分だけ搬送経路上に用紙Sが残る位置で用紙Sを停止させることが可能なタイミングとしたため、ジャムを起こした用紙Sを抜き取るジャム処理が容易になる。
また、用紙S上のトナーを熱及び圧力により用紙Sに定着させる定着部の入口に設けられた定着入口センサ18において、実際には用紙Sが通過しているにも拘わらず用紙Sの通過がないと判断する誤検知が発生して、用紙Sの搬送が停止されると、高温となる定着部に用紙Sが停止したままとなるため、望ましくないが、前記のように構成することで、誤検知を確実に防止して、定着部に用紙Sが停止したままの状態になることを避けることができる。
また、画像の解像度に応じて監視期間の開始時点及び終了時点を設定するようにしたため、画像の解像度に応じて用紙Sの搬送速度が異なる場合に、監視期間の開始時点及び終了時点が実際の用紙Sの搬送状態とずれることを避けて、適切な制御を行うことができる。
また、用紙Sの両面に画像を形成する両面印刷時に、用紙Sに大きなカールが生じ易いため、定着入口センサ18にチャタリングが発生して、用紙Sの通過がないと判断する誤検知が発生し易くなるが、前記のように構成することで、誤検知を確実に避けることができる。
以下、本発明に基づく実施例について説明する。
図9は、画像形成装置の各部の間隔距離及び搬送所要時間を示している。ここでは、図3に示したように、レジストローラ16のニップ部から中間転写ベルト10のニップ部までの距離L1、中間転写ベルト10のニップ部から定着入口センサ18までの距離L2、定着入口センサ18から定着ベルト21のニップ部までの距離L3、及びレジストローラ16のニップ部から定着ベルト21のニップ部までの距離L4(=L1+L2+L3)を示す。
また、画像の解像度とカラー及びモノクロの別に応じて搬送速度が異なる3つの搬送モードごとに、距離L1〜L4を用紙Sが移動するのに要する搬送所要時間を示す。
図10は、定着入口センサのオン及びオフまでの所要時間及び監視開始時間(第1タイマー設定値)の一例を示している。ここでは、3つの搬送モードごとに、図6に示したように、レジストクラッチ36をオンとしてレジストローラ16による用紙Sの搬送を開始してから定着入口センサ18の出力信号がオンとなるまでに要する時間TONと、用紙Sの搬送を開始してから用紙Sの先端が定着入口センサ18を通過し、定着入口センサ18のチャタリングによって最初に定着入口センサ18の出力信号がオフとなるまでに要する時間TOFFとを複数回計測した。
そして、前記の計測により取得した時間TONの最大値TON max、すなわち定着入口センサ18の出力信号が最も遅いタイミングでオンとなるケースでの所要時間と、時間TOFFの最小値TOFF min、すなわち定着入口センサ18の出力信号が最も早いタイミングでオフとなるケースでの所要時間を搬送速度ごとに求め、このTON maxとTOFF minとの概ね中間となる値を搬送速度ごとに監視開始時間T1に設定した。
なおここでは、温度及び湿度の異なる3つの環境条件、すなわちL/L(7℃/20%)、N/N(実験室)、及びH/H(30℃/80%)の各条件で計測を行った。また、定着入口センサ18のレバー26のシート状先端部が正常なもの(新品)と、長期間の使用によるへたりが発生したものに相当するものとして、レバー26のシート状先端部を下流側に折り曲げたものとを用いて計測を行った。
このようにして監視開始時間T1を設定することにより、定着入口センサ18の出力信号が高い確率でオンとなる領域内に入るように監視期間の開始時点を設定することができるようになり、搬送速度の変動やスリップなどの変動要因で定着入口センサ18の検出位置を用紙Sが通過するタイミングが多少ずれることがあっても、このような誤差に関係なく、確実に用紙Sの通過を検知することができる。
図11は、用紙の後端が中間転写ベルトのニップ部に到達するまでの搬送所要時間を示している。ここでは、正常な状態で、最小サイズの用紙(ここではハガキ(長さLS=148mm))について、レジストクラッチ36をオンとしてレジストローラ16による用紙Sの搬送を開始してから用紙Sの後端が中間転写ベルト10のニップ部に到達するまでに要する時間を計測した。これは、図7に示したように、レジストローラ16のニップ部と中間転写ベルト10のニップ部との離間距離L1に用紙Sの長さLSを加算した距離L1+LSを用紙Sが移動するのに要する時間である。
中間転写ベルト10のニップ部でジャムを起こした用紙Sを作業者が手で把持して抜き取り可能な把持代(余裕長さ)L5を確保するには、図11に示した搬送所要時間より監視終了時間T2を短く設定する必要がある。
図12は、監視終了時間(第2タイマー設定値)の一例とその場合の用紙の後端が搬送経路上に残る余裕時間及び余裕長さを示している。ここでは、最小サイズの用紙(ここではハガキ(長さLS=148mm))について、搬送モードごとに設定された第2のタイマーの設定値、すなわち監視終了時間T2と、用紙Sの抜き取りのための把持代に相当する、中間転写ベルト10のニップ部から用紙Sの後端が搬送経路上に残る余裕時間及び余裕長さを示す。この場合、把持代(余裕長さ)を6〜11mm程度確保することができ、これより把持代を長く確保したい場合には監視終了時間(第2のタイマーの設定値)T2を短く設定すれば良い。
本発明にかかる記録媒体通過検知装置並びにこれを備えた記録媒体搬送装置及び画像形成装置は、通過センサにチャタリングが発生している場合でも、記録媒体の通過の有無を簡単に且つ的確に判定することができる効果を有し、通過センサの出力信号に基づいて記録媒体の通過の有無を検知する記録媒体通過検知装置並びにこれを備えた記録媒体搬送装置及び画像形成装置などとして有用である。
1 画像形成装置
2 画像形成部
10 中間転写ベルト
12 転写部
13 転写ローラ
15 定着部
16 レジストローラ(搬送手段)
18 定着入口センサ(通過センサ)
21 定着ベルト
22 加熱ローラ
23 定着ローラ
24 加圧ローラ
26 レバー
27 フォトセンサ
28・29 ガイド
35 モータ
36 レジストクラッチ
37 変速機構
41 制御部(制御手段)
42 用紙通過検知部
43 用紙搬送制御部
S 用紙(記録媒体)
2 画像形成部
10 中間転写ベルト
12 転写部
13 転写ローラ
15 定着部
16 レジストローラ(搬送手段)
18 定着入口センサ(通過センサ)
21 定着ベルト
22 加熱ローラ
23 定着ローラ
24 加圧ローラ
26 レバー
27 フォトセンサ
28・29 ガイド
35 モータ
36 レジストクラッチ
37 変速機構
41 制御部(制御手段)
42 用紙通過検知部
43 用紙搬送制御部
S 用紙(記録媒体)
Claims (8)
- 搬送経路上の所要の位置に設けられて搬送手段により搬送される記録媒体の通過の有無を示す信号を出力する通過センサと、この通過センサの出力信号に基づいて記録媒体が通過した否かを判定する制御手段とを有し、
前記制御手段が、前記搬送手段による記録媒体の搬送を開始してから前記通過センサの検出位置を記録媒体が通過することが予測される通過予測時間の範囲内で予め設定された監視期間内で前記通過センサの出力信号が一度でもオンとなれば、記録媒体が通過しているものと判定し、前記監視期間内で前記通過センサの出力信号が常にオフであれば、記録媒体が通過していないものと判定することを特徴とする記録媒体通過検知装置。 - 前記制御手段は、前記監視期間の開始時点で前記通過センサの出力信号がオンであれば、記録媒体が通過しているものと判定することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体通過検知装置。
- 請求項1若しくは請求項2に記載の記録媒体通過検知装置を備え、
前記制御手段が、記録媒体が通過すべき状態で記録媒体が通過していないものと判定した場合に、前記搬送手段による記録媒体の搬送を停止することを特徴とする記録媒体搬送装置。 - 前記監視期間の終了時点は、前記通過センサの上流側でジャムを起こした記録媒体を作業者が手で把持して抜き取り可能な所要長さ分だけ搬送経路上に記録媒体が残る位置で記録媒体を停止させることが可能なタイミングであることを特徴とする請求項3に記載の記録媒体搬送装置。
- 電子写真方式により記録媒体に画像を形成するものであり、
請求項3若しくは請求項4に記載の記録媒体搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記通過センサが、記録媒体上のトナーを熱及び圧力により記録媒体に定着させる定着部の入口に設けられたことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
- 記録媒体に形成する画像の解像度を切り替え可能なものであり、
前記制御手段が、画像の解像度に応じて前記監視期間の開始時点及び終了時点を設定することを特徴とする請求項5若しくは請求項6に記載の画像形成装置。 - 記録媒体の両面に画像を形成するものであることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009019576A JP2010175927A (ja) | 2009-01-30 | 2009-01-30 | 記録媒体通過検知装置並びにこれを備えた記録媒体搬送装置及び画像形成装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012176808A (ja) * | 2011-02-25 | 2012-09-13 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 後処理装置および画像形成システム、並びにステープル異常の検出方法 |
JP2012181518A (ja) * | 2011-02-10 | 2012-09-20 | Canon Inc | 画像形成装置 |
-
2009
- 2009-01-30 JP JP2009019576A patent/JP2010175927A/ja active Pending
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JP2012181518A (ja) * | 2011-02-10 | 2012-09-20 | Canon Inc | 画像形成装置 |
JP2012176808A (ja) * | 2011-02-25 | 2012-09-13 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 後処理装置および画像形成システム、並びにステープル異常の検出方法 |
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