JP6113845B2 - 魚肉加工品製造工程で排出される廃水からタンパク質を回収する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、魚肉のすりみ製造又はフィッシュミール製造工程において発生する廃水から魚肉の有用タンパク質を回収する方法に関する。
すりみ製造工程で魚肉を水で晒す水晒し工程がある。本工程によって魚肉中に含まれるゲル形成を阻害する物質を除去し、すりみの弾力を高めることができる。しかし、魚肉中の水溶性タンパク質が晒し水中に多量に流出するため、天然資源の有効活用の観点及び晒し廃液の水処理の観点から問題があった。
魚肉の水晒し工程において、すりみ晒し廃液中に流出するタンパク質を不溶化し固液分離により回収する方法が種々開発されている。
例えば、すりみ晒し廃液を一旦酸性にしてから中和し、水溶性タンパク質を不溶化して回収する2段階pHシフト法が報告されている(非特許文献1〜4を参照)。2段階pHシフト法で不溶化して凝集したタンパク質(フロック)は、実験室レベルでは遠心分離機によって簡単に分離できるが、凝集性が低いため工場レベルで連続的に固液分離することは容易ではなかった。
このため、ポリ塩化アルミニウム(PAC)などの無機凝集剤や合成高分子凝集剤によって凝集させて、加圧浮上法により固液分離する方法が開発された(特許文献1〜5を参照)。しかし、この方法では、凝集剤を使うため、回収タンパク質の用途に制限があった。また、加圧浮上法による分離では回収物中に多量に水分が含まれてしまうため、脱水工程が必要になるため、歩留まり低下や廃液水質の再低下が起こった。
一方、すりみ廃液中のタンパク質を回収する方法ではないが、でん粉製造時に出る廃水中のタンパク質を不要物として除去する方法が開発されており、該方法においては、廃水をpH3.5〜5で等電点処理し、あるいは60〜90℃に加熱処理し、不要タンパク質を不溶化する(特許文献6を参照)。該方法は、不溶化タンパク質の有効利用は目的としていないため、不溶化タンパク質の物性の変化は考慮されていなかった。
特開2003-251365号公報 特開平10-76279号公報 特開平11-285603号公報 特開平11-347593号公報 特開2004-174305号公報 特開2001-129590号公報
昭和53年度水産加工廃棄物等利用技術開発、水産庁研究部研究課(408-414頁) 昭和54年度水産加工廃棄物等利用技術開発、水産庁研究部研究課(505-517頁) 昭和55年度水産加工廃棄物等利用技術開発、水産庁研究部研究課(331-341頁) 昭和56年度水産加工廃棄物等利用技術開発、水産庁研究部研究課(263-268頁)
本発明は、魚肉のすりみ製造又はフィッシュミール製造工程において発生する廃水から魚肉の有用タンパク質を、高い回収率で、迅速かつ簡便に、過度に変性させずに回収する方法の提供を目的とする。
本発明者らは、すりみの製造工程で発生するすりみ晒し廃液からタンパク質を回収する方法において、回収したタンパク質を再度食用として利用できるよう、凝集剤や過度の加熱を行わずに、高い回収率で、かつ簡便に回収できる方法について鋭意検討を行った。
本発明者は、まず2段階pHシフトによって不溶化した水溶性タンパク質を固液分離する際に、加熱によりフロックを凝集させることで、凝集剤を使わなくても高い回収率で固液分離することが可能となることを見出した。さらに2段階にpHを動かさなくとも弱酸性に1段階シフトするだけで高い回収率が得られることを見出した。
加熱に関しては、高温ほど回収物の脱水度合いは大きくなるが、食用用途では性状的に適さないと考え、より低い温度での加熱について検討を行い、30℃以上60℃以下での加熱でも高い回収率を達成できることを見出した。
本発明者は、1段階のpHシフト及び30〜60℃の加熱を組合わせた方法で回収したタンパク質をデカンタ型遠心分離機で回収することにより、水分が多く除去され、それと同時に灰分が大幅に低下することを見出した。
本発明者らは、最終的に、1段階のpHシフト及び30〜60℃の加熱を組合わせ、さらにデカンタ型遠心分離機を用いることにより、すりみ晒し廃液から高い回収率で高品位のタンパク質を回収できることを見出し、本発明を完成させた。
また、本発明の方法は、フィッシュミール製造過程で排出されているスティックウォーターと呼ばれる廃液にも加熱温度30℃〜90℃で応用可能であった。さらに、回収したタンパク質の性状を確認したところ、すりみの増量剤やフィッシュミール原料として適していることも分かった。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 魚肉すりみ晒し廃液又はスティックウォーターから水溶性タンパク質を回収する方法であって、すりみ晒し廃液又はスティックウォーターのpHを4.5〜5.5に調整し水溶性タンパク質を不溶化し、30〜90℃に加熱し不溶化したタンパク質を凝集させフロックを形成させ、加熱した状態でデカンタ型遠心分離機で固液分離を行い、固形分としてタンパク質を回収する方法。
[2] 魚肉すりみ晒し廃液から水溶性タンパク質を回収する方法であって、すりみ晒し廃液のpHを4.5〜5.5に調整し水溶性タンパク質を不溶化し、30〜60℃に加熱し不溶化したタンパク質を凝集させフロックを形成させ、加熱した状態でデカンタ型遠心分離機で固液分離を行い、固形分としてタンパク質を回収する、[1]の方法。
[3] スティックウォーターから水溶性タンパク質を回収する方法であって、スティックウォーターのpHを4.5〜5.5に調整し水溶性タンパク質を不溶化し、60〜90℃に加熱し不溶化したタンパク質を凝集させフロックを形成させ、加熱した状態でデカンタ型遠心分離機で固液分離を行い、固形分としてタンパク質を回収する、[1]の方法。
[4] 回収したタンパク質中の灰分含量が、乾燥した回収タンパク質中の3重量%以下である、[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] [1]、[2]及び[4]のいずれかの方法で、すりみ晒し廃液から水溶性タンパク質を固形分として回収し、回収した水溶性タンパク質をすりみ増量剤として添加し、魚肉すりみを製造する方法、又は、回収した水溶性タンパク質を原料として、フィッシュミールを製造する方法。
[6] [1]、[3]及び[4]のいずれかの方法で、スティックウォーターから水溶性タンパク質を固形分として回収し、回収した水溶性タンパク質を原料として、フィッシュミールを製造する方法。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2013-168020号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
本発明の方法は、1段階のpHシフト及び30〜60℃又は30〜90℃の加熱を組合わせ、さらにデカンタ型遠心分離機を用いることにより、凝集剤を用いることなく、すりみ晒し廃液又はスティックウォーターから有用タンパク質を回収する。本発明の方法によれば、迅速かつ簡便に高い回収率でタンパク質を回収することができる。また、凝集剤を用いないため、回収したタンパク質を食用に用いることができる。さらに、極端なpHシフトや過度の加熱を行わないため、回収したタンパク質の変性も抑えられる。このため、回収したタンパク質を用いて加工食品を製造した場合にも高品位の食品を製造することができる。さらに、本発明の方法で回収したタンパク質は従来の方法で回収したタンパク質に比べ明確に灰分が減少している。これは、加熱による凝集効果で固液分離性が高まり、さらにデカンタ型遠心分離機を用いることにより液側に含まれる灰分が固形分側に混入しないためである。
このように、本発明の方法は、高いタンパク質回収と灰分の減少を同時に工業レベルで連続的に可能とした方法である。
各加熱温度で、水溶性タンパク質の回収率を示す図である。 スティックウォーターからの水溶性タンパク質の回収率を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、すりみ晒し廃液又はスティックウォーターから水溶性タンパク質を回収する方法である。
魚類のすりみは、スケソウダラ、ミナミダラ、パシフィックホワイティング、エソ、ホキ、サバ、サンマ等の魚を原料とし、魚体から採肉し、脱血したのちに、水晒しし、裏ごした後に脱水して得られる。すりみの製造工程において、魚肉中に含まれるゲル形成を阻害する物質を除去しすりみの弾力を高めるために水に晒す水晒し工程が入る。水晒し工程において、大量の魚肉タンパク質が廃液中に流出する。
また、すりみから魚肉加工品等を製造するときに得られるすりみ残滓を原料として、粉末状のフィッシュミールが製造される。フィッシュミールは、主に家畜や養魚の飼料として用いられる。フィッシュミールは、すりみ残滓をクッカーを用いて煮て、煮た魚体をスクリュープレスを用いて搾った後に、乾燥して魚粉として製造する。魚体を搾って得られる液体からは有用な油を採っていたが、油を除いた水溶性の部分をスティックウォーターと呼ぶ。スティックウォーター中にも大量の魚肉タンパク質が含まれている。
本発明は、廃液として出される、すりみ晒し廃液又はスティックウォーターからそれらに含まれる水溶性の魚肉タンパク質を回収する方法である。
本発明の方法は、すりみ晒し廃液又はスティックウォーターのpHを弱酸性に調整し、水溶性タンパク質を不溶化し、不溶化したタンパク質を加熱し、凝集させフロックを生じさせ、その後固液分離を行うことにより固体である凝集したタンパク質を回収する。
pH調整工程において、pHは魚肉タンパク質の等電点を示すpH付近に調整すればよく、pH4〜6、好ましくはpH4.5〜5.5、さらに好ましくはpH4.7〜5.3、さらに好ましくはpH4.8〜5.2、さらに好ましくはpH4.9〜5.1、特に好ましくはpH5.0である。pHの調整は、すりみ晒し廃液又はスティックウォーターに濃塩酸等の酸を添加することにより行うことができる。本発明の方法において、弱酸性に調整したpHを中和して中性にするという2段階のpH調整は不要であり、1段階のpH調整だけで足りる。1段階のpH調整により、液のpHを変化させることを1段階のpHシフトという。
pHを弱酸性に調整することにより、水溶性タンパク質が析出し、すりみ晒し廃液又はスティックウォーターは白濁する。
次いで、水溶性タンパク質を析出したすりみ晒し廃液を加熱する。加熱は30℃〜60℃、加熱の上限温度は、好ましくは59℃、さらに好ましくは57℃、さらに好ましくは55℃であり、加熱の下限温度は、好ましくは35℃、さらに好ましくは40℃、さらに好ましくは45℃、さらに好ましくは50℃、さらに好ましくは55℃である。加熱は、すりみ晒し廃液を前記温度に達するまで攪拌機の使用やバブリングにより撹拌しながら、加熱すればよい。すなわち、例えば、60℃達温で加熱すればよい。本発明において、60℃に達するまで加熱することも60℃で加熱するという。また、前記温度で一定時間撹拌することにより加熱してもよい。加熱方法は限定されないが、例えば、すりみ晒し廃液を入れた容器に蒸気配管を設け、配管中に蒸気を注入することにより加熱すればよい。60℃を超える、より高温、例えば90℃で加熱した場合、水溶性タンパク質の凝集力は増加し得る。例えば、タンパク質を含む廃液中から不要な灰分を除去する場合は、60℃を超える高温で加熱することが好ましい。しかしながら、高温で加熱した場合、最終的に廃液から得られる魚肉タンパク質の性状が劣り、食用に適さなくなることがある。例えば、高温で加熱してすりみ晒し廃液から回収したタンパク質を含むすりみを用いてかまぼこ等の加工品を製造した場合、色や舌触り等の官能的な特性が不良であり、食用として使用することは困難である。上記温度範囲で加熱することにより、食用として使用できる状態の魚肉タンパク質を回収することができる。
一方、スティックウォーターの場合は、タンパク質回収時に60〜90℃で加熱してもよい。これは、スティックウォーターは、主にフィッシュミール等に用いられるため、回収したタンパク質を加工した場合の色や舌触り等の官能的評価がそれほど高くなくてもよいこと、及びスティックウォーターは煮汁であり、もともと高温で加熱されているからである。スティックウォーターを冷やしてから上記温度に加熱してもよい。
加熱により、析出したタンパク質が凝集し、フロックを形成する。
加熱後フロックを形成したタンパク質を固液分離により回収する。固液分離は、デカンタ型遠心分離機を用いて行う。デカンタ型遠心分離機とは、遠心力により固形分と液体を連続的に固液分離を行う遠心分離機である。デカンタは、円筒部と円錐部からなる回転筒とその中に組み込まれたスクリュウコンベアを有し、スクリュウコンベアが回転筒と差速を持った状態で回転し、2,000〜5,000g程度の遠心力を発生させ、遠心分離を行う。回転筒の回転軸中心に固液分離を行う液体の給液口があり、給液口から供給され、回転筒に滞留した処理液のうち、比重の大きい固形分は遠心力により外側の回転胴内壁に分離、堆積し、固液分離が行われる。回転胴内部に沈積した固形分はスクリュウコンベアにより分離する部分である円筒部から、脱液する部分である円錐部にかき出されるように移動し、機外に排出される。清澄した液体は円錐部とは反対側に設けられた堰を超えて機外に排出される。すなわち、デカンタ型遠心分離機とは、回転する容器と容器内部に設置されたスクリュウコンベアを有し、遠心分離により容器内壁に固形分を分離、堆積させると共に、容器内部に設置されたスクリュウコンベアを回転させることにより容器内壁に堆積した固形分を連続的に機外にかき出す装置である。スクリュウコンベア排出型の遠心分離機ということもできる。処理能力を向上するため、デカンタ型遠心分離機の中でもBDコーン(邪魔板)を設けた濃縮型を使用する。BDコーンは回転筒の円錐部に合わせた形状をし、スクリュウコンベアの処理液供給口側に設けられている。BDコーンは処理液が攪乱されることなく、スムーズにボウル内へ供給し、遠心分離による固液分離を効率よく分離することが出来る。また、BDコーンは濃縮した固形分に分離した液体の侵入を防ぐ仕切板の役割も持つ。仕切板の作用により、濃縮された固形分はスクリュウコンベアのかき出しと清澄した液体の圧力を受けてスムーズに機外に排出される。BDコーン付濃縮型はタンパク質のように柔らかく、スクリュウコンベアによる搬送効率の低い固形分に適用される。
なお、固液分離の際に、フロックを形成したすりみ晒し廃液又はスティックウォーターが冷えてしまうと凝集状態が解消されてしまう。従って、デカンタによる固液分離はすりみ晒し廃液又はスティックウォーターを加熱した状態で行う。加熱した状態で行うためには、加熱工程で加熱したすりみ晒し廃液又はスティックウォーターを、直ちにデカンタ型遠心分離機に入れ、冷える前に固液分離を行えばよい。加熱したまま、固液分離する点は、従来法である加圧浮上法と異なる点である。
本発明の方法において、すりみ晒し廃液又はスティックウォーターから回収したタンパク質は食用として用いられるため、回収工程において、凝集剤は用いない。ここで、凝集剤として無機凝集剤や合成高分子凝集剤が挙げられ、ポリ塩化アルミニウム等を主成分とする凝集剤が挙げられる。pHを調整するための塩酸等は凝集剤には含まれない。
上記の方法により、すりみ晒し廃液又はスティックウォーター中に含まれるタンパク質が多く含まれる画分が得られる。
すりみ晒し廃液から得られる画分のタンパク質含量は、水を含む湿物において10〜25重量%、好ましくは12.5〜23.4重量%であり、湿物を乾燥させた乾物において80〜90重量%、好ましくは82.8〜87重量%である。また、湿物中の灰分含量は0.3重量%以下であり、乾物中の灰分含量は3重量%以下、好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1.1〜2重量%である。
また、スティックウォーターから得られる画分のタンパク質含量は、水を含む湿物において10〜18重量%、好ましくは14.8重量%であり、湿物を乾燥させた乾物において60〜70重量%、好ましくは66.7重量%である。また、湿物中の灰分含量は1重量%以下、好ましくは0.6重量%以下であり、乾物中の灰分含量は、3重量%以下、好ましくは2.7重量%以下である。
本発明の方法で回収したタンパク質は、加圧浮上法等の従来技術による方法で回収したタンパク質よりも明確に灰分が減少している。ここで灰分とは、食品材料に含まれる無機物、すなわち鉱物質をいい、カルシウム、鉄、ナトリウム等が含まれる。灰分(特に塩分)が多いと食用として用いる場合に問題となる。また、フィッシュミール原料として用いる場合、製造工程で乾燥を行うため、灰分は濃縮されて得られた製造物に含まれる塩分が高くなってしまう。また、灰分が多いと塩分による機械への塩害も問題になる。従って、回収タンパク中の灰分含量は低い方がよく、この点、本発明の方法は、従来の方法よりも優れた効果を奏することができる。
本発明の方法によりすりみ晒し廃液から回収したタンパク質は、すりみに添加して用いることができる。すなわち、すりみ増量剤として用いることができる。本発明の方法で回収したタンパク質添加したすりみを用いてかまぼこ等の加工食品を製造した場合、色、舌触り等の官能評価において、高評価の加工品を製造することができる。また、すりみ晒し廃液から回収したタンパク質は、フィッシュミール原料として用いることができる。
また、本発明の方法により、スティックウォーターから回収したタンパク質は、フィッシュミール原料として用いることができる。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1 すりみ廃液からの水溶性タンパク質回収及び回収タンパク質の性状
(方法)
すりみの水晒し廃液を対象に水溶性タンパク質の回収を試みた。スケソウダラすりみ製造時に脂肪分や血液成分を除く水晒し工程で生じた晒し廃液200Lをサンプルリングし、pHを濃塩酸を用いてpH5.0に調整して水溶性タンパク質を析出させた。廃液のpH調整を実施したタンクには蒸気配管が備わっており、その配管中に蒸気を注入することで廃液を加熱して凝集を生じさせた。サンプル温度が30℃、60℃、90℃の各温度に到達するまで加熱後、デカンタ型遠心分離器に供給し、固液分離を行った。各加熱温度で回収できた固形分の実測値としては30℃加熱:1.5kg、60℃加熱:14.5kg、90℃加熱:6.0kgであった。廃液のタンパク質濃度と固液分離後の分離液のタンパク質濃度をビウレット法にて測定し、回収率を求めた。また、固液分離後の固体を回収し、成分の一般分析及び増量剤としてすりみに20%添加し、常法にて作製したカマボコの官能評価を行った。
(結果)
回収率は60℃加熱及び90℃加熱ともに80%程度であった。一方、30℃加熱では約30%であった(図1)。また、90℃加熱回収物は水分が少なく、タンパク質が多かった(表1)。この影響でカマボコの弾力が高くなったが、高温により凝集が強すぎてしまい舌触りが悪く、色も悪いなど官能面で劣っていた。一方、60℃加熱回収物では、官能面で90℃加熱回収物よりも優れていた(表2)。表2において、○の評価はその特性が非常に良いこと、△の評価は普通であること、×の評価は不良であることを示す。×の評価がつけられたものは市場性がなく、実施する意義がないと判断される。
Figure 0006113845
Figure 0006113845
実施例2 スティックウォーターからの水溶性タンパク質回収
(方法)
スティックウォーターを対象に水溶性タンパク質の回収を試みた。スティックウォーターはすりみやフィレ製造時に生じる頭部や中骨、内臓などの残渣から魚粉を製造する際に生じる廃液である。スケソウダラすりみ工場から生じた残渣をクッカーで蒸煮した際の煮汁として排出されたスティックウォーター200LのpHを濃塩酸を用いてpH5.0に調整して水溶性タンパク質を析出させた。廃液のpH調整を実施したタンクには蒸気配管が備わっており、その配管中に蒸気を注入することで廃液を加熱して凝集を生じさせた。加熱温度は実際の製造工程での状態を加味して90℃のみとし、設定温度に到達後、デカンタ型遠心分離器に供給し、固液分離を行った。廃液のTS(全蒸発物残留)濃度と固液分離後の分離液のTS濃度を工業排水試験方法(JIS K0102 14.2)に従い算出し、回収率とした。
(結果)
回収率は20%程度とすりみ廃液よりも低いものの(図2)、水溶性タンパク質を回収できた(表3)。
Figure 0006113845
実施例3 本法と従来法により回収した水溶性タンパク質の一般成分比較
(方法)
水晒し廃液から水溶性タンパク質をデカンタ型遠心分離機で固液分離する際の前処理として(1)pHシフトのみ(pH7.0→2.0(3N 塩酸で調整)→5.0(3N 水酸化ナトリウムで調整))、(2)pHシフト(pH7.0→2.0→5.0)+90℃加熱を行った場合の回収タンパク質の一般成分比較を行った。また、pHシフト後の溶液を加圧空気と混合し、微細な気泡を析出したタンパク質に付着させることでタンパク質を水と分離する加圧浮上法(特開2003-251365)により固液分離を行う従来法との比較も実施した。
なお、本発明の方法においては、pHシフトは1段階でpH5付近に調整することにより行う。本実施例においては、2段階でシフトさせているが、本実施例は、本発明のタンパク質回収方法における固液分離方法の効果を従来法と比較する目的で行った。
(結果)
加圧浮上法で回収したタンパク質は水分が多く残っており、その影響でタンパク質が少なく、灰分や塩分の割合が多かった。一方、デカンタ型遠心分離機にて回収したタンパク質は良く脱水されており、タンパク質含量が多く、灰分や塩分は少なかった(表4)。
Figure 0006113845
本発明の方法により、すりみ製造の水晒し工程で排出される廃液やフィッシュミール製造時に排出されるスティックウォーター中の有用タンパク質を高回収率で回収することができる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (3)

  1. 魚肉すりみ晒し廃液又はスティックウォーターから水溶性タンパク質を回収する方法であって、すりみ晒し廃液又はスティックウォーターのpHを1段階のpH調整により4.5〜5.5に調整し水溶性タンパク質を不溶化し、5060℃に加熱し不溶化したタンパク質を凝集させフロックを形成させ、加熱した状態でデカンタ型遠心分離機で固液分離を行い、固形分としてタンパク質を回収する方法。
  2. 回収したタンパク質中の灰分含量が、乾燥した回収タンパク質中の3重量%以下である、請求項1に記載の方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法で、すりみ晒し廃液から水溶性タンパク質を固形分として回収し、回収した水溶性タンパク質をすりみ増量剤として添加し、魚肉すりみを製造する方法、又は、回収した水溶性タンパク質を原料として、フィッシュミールを製造する方法。
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