JP6097651B2 - 黒鉛材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、黒鉛材料に関する。
黒鉛材料は、高い耐熱温度を有し、4価であることから、イオン注入装置、エピタキシャル成長装置、単結晶引き上げ装置などの半導体製造装置の構造部材、部品などとして使用される。しかしながら、黒鉛は、6方晶系の結晶構造を有しており、ファンデルワールス力で結合するc軸方向は、剥離しやすく黒鉛粒子の飛散の原因となっていた。黒鉛粒子が飛散すると、黒鉛に含まれる不純物が一緒に飛散したり、パーティクルの原因となり、高純度かつ微細な加工を必要とする半導体産業においては、問題となっている。
このような課題に対して、特許文献1では、黒鉛からなる基材部と、該基材部の表面に被覆されたコーティング膜とよりなり、かつ上記コーティング膜は熱分解炭素により形成されているイオン注入装置用カーボン材料(黒鉛材料)が提案されている。
特開平8−171883号公報
しかしながら、特許文献1に記載された黒鉛材料は、コーティング層で黒鉛材料の表面を覆った材料であって、表面が消耗すると、元の黒鉛粒子が飛散しやすい表面が露出する。また、所定の形状にするために加工をすると、新しい表面が露出してしまう。このためコーティング層の形成は加工後に行う必要があるが、コーティング後の加工は制約条件が多く、黒鉛材料を用いた構造材料、部品の使われ方が制限されてしまう。
本発明は、耐熱性、加工性を備えつつ、容易に洗浄でき、加工してもパーティクルの発生しにくい黒鉛材料を提供する。
本発明の黒鉛材料は、かさ密度が1.72〜1.78g/cm、ショア硬度が40〜65、d002面間隔が0.3380〜0.3387nm、Lcが20〜30nm、ラマン分光法で測定されるR値が0.4〜0.7である。
本発明の黒鉛材料の一態様として例えば、固有抵抗が1.2〜1.8mΩcmである。
本発明の黒鉛材料の一態様として例えば、熱膨張係数が3.5〜4.5×10−6/℃である。
本発明の黒鉛材料の一態様として例えば、前記R値が0.6〜0.7である。
本発明の黒鉛材料によれば、耐熱性、加工性を備えつつ、加工してもパーティクルの発生しにくい黒鉛材料を提供することができる。
本発明の一実施形態による黒鉛材料の製造方法の製造工程を示すフロー図 本発明の一実施形態による黒鉛材料の製造方法の混練工程を示す模式図 本発明の実施例における混練装置の内容物の温度のグラフ
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本明細書においてメジアン径とは50%体積累積径を示し、径とは直径のことを示す。
本明細書において、粘結性とは、特に石炭および炭素系材料に使用される用語であり、軟化状態を経て炭化しうる性質のことを示し、軟化状態においては粘着性を有しているので互いに結合することができる。
本明細書において、「バインダピッチ」とは、「ピッチ」に包含される。バインダピッチとは、混練、混合の際に添加する目的で使用するピッチを示している。他にも、ピッチには含浸のために使用される含浸ピッチなどもある。含浸ピッチでもバインダピッチであっても、ピッチとしては同じものを使用することができる。
本発明の黒鉛材料は、基本的に以下の(1)〜(5)の要件を備える。
(1)かさ密度:1.72〜1.78g/cm
(2)ショア硬度:40〜65(JIS Z 2246)
(3)d002面間隔:0.3380〜0.3387nm(CuKα線を用いたX線回折法)
(4)Lc:20〜30nm(CuKα線を用いたX線回折法のd002の半値幅により算出されるc軸方向の結晶子の大きさ)
(5)R値(ピーク強度値の比):0.4〜0.7(=I1360/I1580:ラマン分光法による測定)
(1)のかさ密度は、材料の体積、質量を測定、算出して得られる一般的なものである。また、(3)のd002面間隔および(4)のLcは、標準シリコンを基準に用いて測定されるものである(炭素1963No36P25〜34、日本学術振興会117委員会「人造黒鉛の格子定数及び結晶子の大きさの測定法」参照)。
さらに黒鉛材料は、例えば以下の(6)、(7)の要件を備える。
(6)固有抵抗:1.2〜1.8mΩcm(電圧降下法)
(7)熱膨張係数:3.5〜4.5×10−6/℃(測定範囲:50〜400℃;測定器は押棒式熱機械分析装置)
R値とは、ラマン分光法により測定されるピーク強度値の比であり、I1360/I1580で示される。I1360は、1360cm−1の強度値であり、I1580は、1580cm−1の強度値である。
本発明の黒鉛材料は、かさ密度が1.72〜1.78g/cmであることが好ましい。かさ密度が1.72g/cm以上であると、充分な強度を備え、構造部材、部品として好適に使用することができる。かさ密度が1.78g/cm以下であると、適度に気孔を有しているので、加工時に大きなクラックが進展しにくく、目的の形状の構造部材、部品を容易に得ることができる。
本発明の黒鉛材料は、ショア硬度が40〜65(JIS Z 2246)であることが好ましい。ショア硬度が、40以上であると、充分な強度を備え、構造部材、部品として好適に使用することができる。ショア硬度が65以下であると、切削性が良くなり、容易に加工することができる。
本発明の黒鉛材料は、d002面間隔が、0.3380〜0.3387nmであることが好ましい。d002面間隔は、黒鉛化度との相関性が高く、d002面間隔が、0.3380nm以上であれば、黒鉛結晶の6角網面の広がりが小さいので、結晶が剥離しにくくパーティクルの発生を少なくすることができる。d002面間隔が、0.3387nm以下であれば、十分な熱履歴を受け黒鉛化が進行しているので、半導体装置内で黒鉛化が進行しないので、寸法収縮が無く好適に利用することができる。
本発明の黒鉛材料は、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が20〜30nmであることが好ましい。Lcの大きさは、黒鉛化度と相関がある。Lcが20nm以上であると、十分な熱履歴を受け黒鉛化が進行しているので、半導体装置内で黒鉛化が進行しないので、寸法収縮が無く好適に利用することができる。Lcが30nm以下であると、黒鉛結晶の6角網面の積層量が小さいので、結晶が剥離しにくくパーティクルの発生を少なくすることができる。
黒鉛は、グラファイト構造に起因する1580cm−1のラマンバンドを有しているが、構造の乱れが大きくなると、1360cm−1のラマンバンドが認められるようになる。このため、上記(5)におけるR値は、一般的に黒鉛結晶に構造上の乱れが大きくなるとエッジ面が多くなり高い値をとるようになる。本発明の黒鉛材料では、製造時に空気または酸素を導入し、バインダーの縮合を促進させているので結晶の乱れが生じやすく、ラマン分光法で測定されるR値が0.4〜0.7となる結晶のエッジ面の露出の多い黒鉛材料が得られる。このため結晶が剥離しにくくすることができ、パーティクルが発生しにくい黒鉛材料を提供することができる。
さらに、本発明の黒鉛材料は、固有抵抗が1.2〜1.8mΩcmであることが好ましい。固有抵抗が1.2mΩcm以上であると、特に誘導加熱、交流の抵抗加熱を用いる装置内で誘導を受け不用意に発熱しにくくすることができる。固有抵抗が1.8mΩcm以下であると、炉内で帯電しにくくすることができるので、炉内の電界を安定させることができ、安定して操業することができる。
さらに本発明の黒鉛材料の熱膨張係数は、3.5〜4.5×10−6/℃であることが好ましい。この範囲にあると、他の構造部材との間で熱応力の発生を小さくすることができる。
黒鉛材料の製造方法は、基本的に以下の(a)〜(e)の工程を備える。
(a)コークス粉にバインダピッチを加え、閉鎖空間で混練しコークス粉の集合体を形成する第1の段階と、空気または酸素を導入しながら前記コークス粉の集合体を混練し、コークス粉の集合体を構成する前記バインダピッチを縮合させ混練体を得る第2の段階とからなる混練工程
(b)前記混練体を粉砕し粉砕原料を得る粉砕工程
(c)前記粉砕原料を成形し成形体を得る成形工程
(d)前記成形体を焼成し焼成体を得る焼成工程
(e)前記焼成体を黒鉛化し黒鉛材料を得る黒鉛化工程
図1は本発明の一実施形態による黒鉛材料の製造方法の製造工程のフロー図を示し、図2は本発明の一実施形態による黒鉛材料の製造方法の混練工程を模式図で詳しく示す。
図2に記載されている本実施形態の製造方法における混練工程を以下に説明する。図2に記載されている内容は、図1のS1に該当する。
図2(A)は、コークス11を示している。コークス11は、層状の結晶が発達している代わりに内部に主にコーキング収縮によって生じた大きな気孔11aを有している。図2(B)は、前記コークス11を粉砕したコークス粉12を示している。図2(A)で見られたコークス内部の大きな気孔11aは、細かく粉砕することによって無くなっている。図2(C)は、コークス粉12にバインダピッチ1を添加してできたコークス粉の集合体13を示している。
図2(D)は、コークス粉の集合体13に空気または酸素を導入しながら混練し得られた混練体14を示している。前記バインダピッチ1を、縮合することによって、コークス粉を強固に結合させ、混練体に変化させる。
以下に本発明の黒鉛材料の製造方法における混練工程を、図面を参考にしつつ、説明する。
本発明において、混練工程の第1の段階では、まずコークス粉にバインダピッチ1を加え、閉鎖空間で混練することによりコークス粉12同士を結合し、コークス粉の集合体13を形成する。コークス粉が存在する段階では、微粉砕されメジアン径の小さいコークス粉12は比表面積が大きいので着火しやすいが、一旦コークス粉の集合体13が形成されると比表面積が小さくなり、加熱に際し蒸発潜熱が必要となるバインダピッチ1を含有するので着火しにくくすることができる(図2(C))。
混練工程の第2の段階では、次に、得られたコークス粉の集合体13に空気または酸素を導入しながら混練し、混練体14を得る。この段階が終了すると、コークス粉12に加えられたバインダピッチ1は縮合が進行している(図2(D))。
本発明において、混練工程では、空気または酸素を導入するので、混練体に含まれるバインダピッチから水素が引き抜かれやすくなり、バインダピッチの縮合反応が促進されると考えられる。このため、バインダピッチの低分子量成分が揮発する速度よりも、バインダピッチの縮合が速く進行し、コークス同士を強固に結びつけ、緻密な黒鉛材料が得られると考えられる。さらに、混練工程では、第1の段階でコークス粉12はコークス粉の集合体13になり、比表面積が小さく着火しにくくなっている上に、きめ細かな組織を有している。第2の段階で更にバインダピッチ1の縮合を促進させることによって、揮発分を調整し、加え粘着性を付与することにより、成形性を良くし、さらに粘結性を高め、高密度、高強度の黒鉛材料が得られるようになる。
また、一般に黒鉛材料は、液相を経て炭素化する易黒鉛化性炭素を原材料に用い、液相段階でメソフェースを成長させながら黒鉛の結晶を成長させる。本発明の黒鉛材料は、空気または酸素を導入しながら混練し、バインダピッチを急速に縮合させるので、メソフェースの成長を阻害し、バインダピッチは乱れた結晶構造の黒鉛を形成しやすい。黒鉛が乱れた結晶構造を形成すると、6角網面の広がりが小さくなり、グラファイト構造の乱れに起因する1360cm−1のラマンバンドが認められるようになり、R値の値は0.4〜0.7となる。このR値の範囲では結晶の剥離によるパーティクルの発生が起こりにくくなる。さらに、結晶のエッジが露出するので親水性が高くなり、水による超音波洗浄でパーティクルを容易に除去することができる。
また黒鉛がさらに乱れた結晶構造を形成すると、6角網面の広がりが小さくなり、グラファイト構造の乱れに起因する1360cm−1のラマンバンドがさらに大きくなり、R値の値は0.6〜0.7となる。このR値の範囲では結晶の剥離によるパーティクルの発生がさらに起こりにくくなる。結晶のエッジがより露出するので親水性が高くなり、水による超音波洗浄でパーティクルをより容易に除去することができる。
これに対し従来の黒鉛材料の製造方法では、空気または酸素を導入することなく、コークス粉12にバインダピッチ1を加え、混練体14を形成している。このため、バインダピッチが充分に縮合せず低分子量成分が揮発しやすくなると考えられる。このため、コークス同士を強固に結びつけられず、高密度、高強度の黒鉛材料が得られにくくなると考えられる。
以下に本実施形態の黒鉛材料の製造方法についてステップ毎に詳しく説明する。
<混練工程の説明;図1のステップS1>
本実施形態において閉鎖空間とは、周囲を囲まれた空間のことを示している。具体的には例えば、混練装置に蓋をした状態など、ガスの拡散が制限される環境のことを示し、気密性までは要求しない。混練装置に蓋をした状態などガスの拡散が制限される環境であれば、外部からの空気、酸素の流入を制限されるので酸素濃度を低く維持することができ、後述するようにコークス粉又は生コークスに着火しにくくすることができる。
本発明において、空気または酸素を導入するとは、どのような方法でも良い。外部からブロアー空気または酸素を送り込んでも良いし、混練装置内で発生するバインダピッチの分解ガスを吸引することにより、外部から空気または酸素を取り込んでも良い。
本発明のコークス粉の原材料は、特に限定されない。石油系コークス、石炭系コークス及びそれらの生コークス、か焼コークスなどどのようなものでも良い。これらのコークスを微粉砕しコークス粉を得ることができる。コークス粉のメジアン径は特に限定されないが、例えば、3〜15μmに粉砕されたコークス粉が利用できる。
微粉砕されたコークス粉は、比表面積が大きいので熱を加えると、雰囲気中に含まれる酸素と反応し、酸化しやすくなる。コークス粉は、揮発成分が少ないあるいは含まれていないので気化熱を奪われることなく容易に加熱することができ、一旦反応が進み始めると急激に温度が上昇し着火あるいは発火する。
本実施形態の黒鉛材料の製造方法は、第1の段階で、まず閉鎖空間内でコークス粉とバインダピッチとが混練されることによりコークス粉同士をピッチで結合し比表面積を小さくし、酸素との反応性を小さくすると同時に、揮発成分を添加することにより加熱しにくくする。
引き続き、第2の段階で空気または酸素を導入することによって熱を奪いながらバインダピッチに含まれる揮発分を徐々に揮散させることができる。さらに酸素には、バインダピッチを縮合させる作用があり、バインダピッチのコークス化を促進する作用がある。空気または酸素を導入しながらコークス粉の集合体を混練することにより、バインダピッチの縮合を促進することができる。バインダピッチによる結合により、コークス粉の集合体を形成し、比表面積の大きなコークス粉を酸素と接触させることなく加熱混練する混練工程を経ることによって、粘結力の強い混練体を形成することができる。
また、第2の段階の途中でバインダピッチを追加しても良い。第2の段階の途中でバインダピッチを追加投入することによって以下の効果が期待できる。
混練工程の最初に加えられたバインダピッチは、第2の段階で空気または酸素を導入しながら縮合が進行する。縮合の進行したバインダピッチは、粘着力のある低分子量成分が少なくなっているので、後の成形工程で縮合の進行したバインダピッチを含む粉砕原料の粘着力が低下し、成形性が悪くなると考えられる。成形性が悪くなると、成形体の強度が低下し、成形体が割れやすくなる。このため、第2の段階の途中でバインダピッチを追加することにより、粘着力のある低分子量成分を添加し、成形体を割れにくくすることができる。
また、バインダピッチは、空気または酸素を導入しながら混練され、急速に縮合されるので、メソフェースの成長が阻害され、バインダピッチは乱れた結晶構造の黒鉛を形成しやすい。黒鉛が乱れた結晶構造を形成すると、ラマンのR値は、0.4〜0.7となり、親水性が高くなり、水による超音波洗浄でパーティクルを容易に除去することができる。
また、さらにバインダピッチが乱れた結晶構造の黒鉛を形成すると、ラマンのR値は、0.6〜0.7となり、さらに親水性が高くなり、水による超音波洗浄でパーティクルをより容易に除去することができる。
第2の段階の途中で追加するバインダピッチの量は、過剰に添加すると混練工程でコークス粉の集合体が大きな塊を形成し、混練しにくくなる。また、第2の段階の途中で追加するバインダピッチを大量に添加すると、後の焼成工程で追加したバインダピッチから大量の分解ガスが発生し、炭素材料の気孔が増え、高密度、高強度の黒鉛材料が得られにくい上に、内部クラックなどの原因となり得る。したがって、混練工程の第2の段階で追加するバインダピッチの量は、混練工程の最初に加えられたバインダピッチの量よりも少ないことが望ましい。
第2の段階の途中でバインダピッチを追加投入する場合、望ましくは、第2の段階の途中で追加するバインダピッチの量は、混練工程の最初に加えられたバインダピッチの量の15〜25%であることが望ましい。第2の段階の途中で追加するバインダピッチの量が、混練工程の最初に加えられたバインダピッチの量の25%を超えると、余剰なバインダピッチがコークス粉の集合体の表面に多量に残留することにより、混練工程でコークス粉の集合体の大きな塊が形成され混練しにくくなる。また、第2の段階の途中で追加するバインダピッチの量が、混練工程の最初に加えられたバインダピッチの量の25%を超えると、焼成工程で第2の段階の途中で追加するバインダピッチから大量の分解ガスが発生し炭素材料の気孔が増え、高密度、高強度の黒鉛材料が得られにくい上に、内部クラックが発生しやすくなる。第2の段階の途中で追加するバインダピッチの量が、混練工程の最初に加えられたバインダピッチの量の15%以上であると、混練工程で形成される混練体に十分な粘結性を付与できるので高密度、高強度の黒鉛材料を得ることができる。
混練工程で使用するバインダピッチは、特に限定されない。たとえば、石油系ピッチ、石炭系ピッチなどが利用できるが、中でも石炭系ピッチを使用することが好ましい。石炭系ピッチは芳香環が多く含まれているので、炭化の進行したコークスとの馴染みが良く、速やかにコークス粉の集合体を形成することができ、コークス粉への着火の防止効果が高い。
混練工程で使用するバインダピッチの軟化点は特に限定されないが、60〜100℃のピッチを使用することが好ましい。軟化点が60℃以上であると、炭化収率が高いので、効率良く生コークスを製造することができる。軟化点が100℃以下であると、速やかに溶融させることができるので、速やかにコークス粉の集合体を形成することができ、コークス粉への着火の防止効果が高い。
<粉砕工程の説明;図1のステップS2>
本発明の粉砕工程は、コークス粉と、バインダピッチとからなる混練体を粉砕する。下記に述べるように、粉砕原料のメジアン径は、出発原料のコークス粉のメジアン径よりも大きいことが望ましく、さらに望ましくはコークス粉のメジアン径の150%以上であることが望ましい。粉砕工程では、混練体の軟らかい部分から粉砕される。
混練体は、混練工程で添加されたバインダピッチとコークス粉とからなる。バインダピッチに比べ、コークス粉は硬く、粉砕されにくい。また、粘結性は、バインダピッチよりもコークス粉の方が小さい。粉砕原料のメジアン径がコークス粉のメジアン径よりも小さくなるように粉砕すると、さらにコークス粉を細かくするように作用するので、粘結性の無いコークス粉の破断面が露出する。粘結性の無いコークス粉の破断面が露出しないよう、粉砕原料のメジアン径は、コークス粉のメジアン径よりも大きくすることが望ましく、さらに粘結性の無いコークス粉の破断面が露出しないよう、粉砕原料のメジアン径はコークス粉のメジアン径の150%以以上であることが望ましい。
本発明の粉砕工程は、どのような粉砕機を用いても良く特に限定されない。ピンミル、ハンマーミルなど市販の粉砕機によって粉砕することができる。
<成形工程の説明;図1のステップS3>
本発明の成形工程はどのような方法を用いても良く特に限定されない。例えば、型押し成形、CIP成形(Cold Isostatic Press)などどのような方法でも利用することができる。また成形圧力は、特に限定されない。例えば20〜5000MPaの成形圧力で成形することができる。型押し成形では、一軸方向の加圧になり、扁平な粉砕原料の粒子が加圧方向に直交する平面に配列する傾向が高く方向性がつきやすいのに対し、CIP成形では、全方向から均等に加圧されるので方向性のつきにくい(異方比の小さな)黒鉛材料を得ることができる。このため、CIP成形によって成形することが好ましい。
<焼成工程の説明;図1のステップS4>
本発明の焼成工程は、どのような方法を用いても良い。たとえば、電気炉、燃焼炉などどのような方法でも利用することができる。焼成工程は、後の黒鉛化工程と同様に成形体あるいは焼成体を加熱するための工程である。焼成工程では、後の黒鉛化工程で割れないよう成形体の揮発分を十分に除去することが目的であり、揮発分の大半が除去できていること、昇温速度が、成形体の割れを誘発しない程度に遅いことが望ましい。望ましい処理温度は、800〜1500℃である。処理温度が800℃以上であれば、成形体の炭素化が十分に行われているので、後の黒鉛化工程で急激に加熱しても成形体にかかる熱衝撃を小さくすることができ、割れにくくすることができる。成形体から発生する分解ガスは1500℃までにほぼ収束するので、1500℃を超える温度で焼成しても、黒鉛化工程の割れ易さにほとんど影響を与えない。1500℃を超える温度で処理しても、熱エネルギーは無駄になるので、1500℃以下の処理温度で焼成されることが好ましい。
成形体を焼成する際の昇温速度は、成形体内部に発生する温度差に応じて適宜設定することができる。例えば、200×100×30mmのサイズの成形体であれば、20℃/hr以下の昇温速度で焼成することができ、例えば1000×500×300mmの成形体であれば、1℃/hr以下の昇温速度で焼成することができる。
<黒鉛化工程の説明;図1のステップS5>
本発明の黒鉛化工程は、どのような方法を用いても良い。アチェソン炉、誘導炉などを利用することができる。黒鉛化は、用途に応じて適宜処理温度を設定することができ、特に半導体用途では、結晶の乱れを残し極性を形成することにより、黒鉛材料に親水性を付与できるよう黒鉛化度を小さくすることが好ましく、例えば2000〜2800℃の処理温度で黒鉛化することが好ましい。
<その他>
混練工程の第1の段階は、バインダピッチの軟化点以上の温度環境下で行われることが好ましい。混練工程の第1の段階では、空気あるいは酸素の供給されない閉鎖空間内でコークス粉をピッチによって結合しコークス粉の比表面積を小さくすると共に、蒸発潜熱を有するピッチを混合(混練)することによって、急速な酸化反応の起きにくい原材料を調整することを目的とする。コークス粉の集合体を形成する段階が速やかに行われるためにはバインダピッチの軟化点以上の温度環境下で行われることが好ましい。バインダピッチの軟化点以上の温度環境下であれば、バインダピッチが液状で存在するので、機械的な摩擦力を特に必要とすることなく混合までの時間を短くすることが出来る。混合までの時間を短くすることにより、混練装置内に残留する空気または酸素との接触時間を短くすることができるので、コークス粉が着火しにくくすることができる。望ましい混練工程の第1の段階における混練装置の内壁温度は、150℃〜300℃でありかつ使用するバインダピッチの軟化点以上の温度である。150℃であればバインダピッチを十分に軟化させることができ混合の時間を短縮することができる。300℃以下であればバインダピッチをゆっくりと加熱することができるので後述するように混練装置の摩擦力と熱との相互作用によって粒状の生コークスを形成することができる。混練装置の内壁温度とは、混練装置の内壁のうち内容物の接する部分の温度を示す。
混練装置の内壁温度よりもコークス粉の集合体の最高温度が高いことが好ましい。コークス粉の集合体に含まれるバインダピッチが酸素と反応し縮合し、また混練装置のインペラー(羽根)の回転で摩擦熱を発し、混練装置の内壁温度よりも高くなるよう発熱することによって、縮合を進行させることができる。
コークス粉の集合体の最高温度とは、混練装置によって混練され、コークス粉の集合体の温度が時間的に推移していく中で到達する最高温度のことを指す。尚、バインダピッチの軟化点は、JIS K2425−2006の環球法によって測定することができる。
第1の段階と第2の段階との境界で、コークス粉の集合体の昇温速度は、非連続的に上昇していることが好ましい。第1の段階では、インペラーから与えられる摩擦熱でコークス粉の集合体の温度が上昇し、第2の段階は、インペラーから与えられる摩擦熱及びバインダピッチと酸素との反応熱によってコークス粉の集合体の温度が上昇する。このため、空気または、酸素を導入することにより、コークス粉の集合体の昇温速度が非連続的に大きくなる。
非連続的に大きくなるとは、前後で上昇速度が段階的な変化を有していることを示している。第1の段階と第2の段階との境界で、コークス粉の集合体の昇温速度は、非連続的に上昇するように十分な空気または酸素を供給し混練することで、バインダピッチの縮合を促進させることができる。
混練工程の第2の段階において、バインダピッチを追加投入する場合の製造方法を以下に説明する。
混練工程の第2の段階において、コークス粉の集合体が粒状となった段階でバインダピッチを加えることが好ましい。混練工程では、まず混練装置(ニーダー)の機械的摩擦力が作用し、コークス粉と混練工程の最初に加えられたバインダピッチとが混練される。第2の段階に移り、空気または酸素が導入されると、バインダピッチは時間の経過と共に熱と雰囲気の酸素の作用で熱分解し、重合度を高めていく。バインダピッチの熱分解と共に、コークス粉とバインダピッチとの混合物は、湿った粉末状(湿粉状)から1〜30mm程度の粒状に変化していく。湿粉状のコークス粉とバインダピッチとの混合物は、混練装置のインペラーと壁面との間で摩擦力と熱とを受けバインダピッチの縮合が促進される。ピッチの縮合が進むにつれて、1〜30mm程度の粒状に変化していくので、混練装置のインペラーと壁面との間に挟まれても、転がるように作用し、摩擦力、熱を受けにくくなる。また、大きな粒は混練装置のインペラーと壁面との間に挟まれることはなく、摩擦力、熱とも受けにくい。このため、コークス粉とバインダピッチとの混合物が粒状になった段階でバインダピッチの縮合の進行が鈍化する。さらに継続し混練を続けると、バインダピッチの縮合が少しずつ進行し粒が硬くなり、粒の表面が少しずつ研磨され、粉が発生するようになる。遅くとも粉が発生し始める段階までにバインダピッチを追加投入することが好ましい。粉が形成され始めると、コークス粉の集合体の比表面積が大きく変化するので必要とされる追加投入されるバインダピッチの量が不安定になり、得られる黒鉛材料の強度及び密度が不安定になり、高強度、高密度の黒鉛材料が得られにくくなる。
第2の段階の途中で追加するバインダピッチは、混練工程の最初に加えられたバインダピッチと同一であっても良いし、異なっていても良く、たとえば、石油系ピッチ、石炭系ピッチなどが利用できる。また第2の段階の途中で追加するバインダピッチと混練工程の最初に加えられたバインダピッチが同一であると、ピッチが炭化して形成された黒鉛材料組織は、不純物、結晶化度が類似するので、均質な黒鉛材料が得られ、欠陥の少ない高強度の黒鉛材料が得られると考えられる。混練形成工程に使用するバインダピッチの軟化点は特に限定されない。例えば軟化点が60〜100℃のピッチを利用することができる。
以下に本発明の実施例及び比較例を順に説明する。尚、実施例における混練装置の内容物の温度を示す図3を参照しながら説明する。
<混練工程>
混練装置は、双腕型ニーダーを使用した。双腕型ニーダーの壁面及び底面にはジャケットを有し、ジャケット内に熱媒オイルが充填され、内部のヒーターによって温度制御されている。双腕型ニーダーの混練部は上部に開口を有しているが、開口を蓋で覆うことにより混練部を閉鎖することができる。開口を蓋で覆うことによって混練部と外部との気体の移動を制限することができる。また、双腕型ニーダーの上部には、ブロアーにつながる排気管と、外気につながる吸入管を有している。吸入管には遮断弁を有し、遮断弁が解放時にブロアーで混練装置内のガスを吸引することにより、吸入管から空気を導入することができる。混練装置の内壁温度は、内容物が接する底部に設置される熱電対で測定される。
メジアン径14μmとなるように粉砕されたか焼コークスのコークス粉と、軟化点 85℃の固形の石炭系のバインダピッチとを原材料とし、混練工程を行った。
まずコークス粉400kgとバインダピッチ188kgとを、熱媒オイルによって内壁温度が220℃に温度制御された混練装置(双腕型ニーダー)に投入し、蓋をして混練部を閉鎖したまま20分保持し、コークス粉とバインダピッチとを加熱した。加熱後、双腕型ニーダーのインペラー(羽根)を回転し、コークスとバインダピッチとを混合しながらインペラーと混練装置の壁面との間で、圧縮、剪断作用を与えた。インペラーの回転開始後32分で(図3のA点)内容物(コークス粉とバインダピッチとの混合物)の温度がバインダピッチの融点を超える185℃に到達しブロアーで内部のガスの吸引を開始した。この時点では内容物は湿粉状(湿った粉状)であった。ブロアーで混練装置内部のガスの吸引を開始する第1の段階と第2の段階との境界(すなわちA点)で、内容物であるコークス粉の集合体の昇温速度が、非連続的に上昇していることが確認された。具体的には、ブロアーで内部のガスの吸引を開始する直前の昇温速度は、43℃/hrであったのに対し、ブロアーで内部のガスの吸引を開始した直後の昇温速度は60℃/hrであり、17℃/hrの非連続的な上昇が見られた。
これは、吸入管から室温の外気を導入し、排気管から暖まったガスが排出されるので、混練装置内の熱を奪っているのに対し、実際にはブロアーで吸引することにより内容物の温度上昇の速度が大きくなるので、外気を導入することによって内容物が発熱していることがわかる。これは、バインダピッチと酸素との反応であり、酸素がバインダピッチの縮合反応に関与していることがわかる。
ブロアーで吸引を開始してから100分後、すなわちインペラーの回転開始後132分でインペラーを回転するモーターの負荷が減少に転ずるとともに(図3のB点)、内容物(コークス粉の集合体)の温度が下降に転じはじめた。このときの温度は253℃であった。このときの温度は、混練装置の内壁温度よりも高いので、インペラーから与えられる摩擦熱及び、バインダピッチと酸素とが反応し、縮合反応が促進し発熱していることがわかる。混練装置の内壁温度よりもコークス粉の集合体の温度が高くなっている。これ以降の内容物の温度は、測温する熱電対に内容物が付着し、連続的に測定できなかったため省略する。
さらに混練を続けると次第に内容物が粒状に成長していった。インペラーの回転開始から189分経過した時点では内容物(コークス粉の集合体)が1〜20mm程度で表面に光沢を有する粒状に成長していた。このため、インペラーから粒状となったコークス粉の集合体に充分に摩擦力を伝えることができず、内容物(コークス粉の集合体)の温度が下降していると推定される。
この時点で(インペラーの回転開始から189分後に)、さらにバインダピッチを46kg追加投入した。バインダピッチを追加投入すると、粒状となったコークス粉の集合体が付着しあって大きな塊を形成しはじめた。これと同時にインペラーには大きな回転トルクが必要となった。その後、取り出した内容物は、混練体として次の粉砕工程で粉砕する。
尚、バインダピッチを投入してから40分後に取り出したものを実施例1、50分後に取り出したものを実施例2、60分後に取り出したものを実施例3とする。
混練工程において、内容物には着火することはなかった。
<粉砕工程>
前記工程で得られた混練体を、粉砕機(ピンミル)を用いて粉砕した。粉砕機で繰り返し粉砕することにより、メジアン径21.2μmの粉砕原料を得た。
<成形工程>
前記工程で得られた粉砕原料をラバーバックに充填し、蓋を被せ密封しCIP成形機で成形した。CIP成形機の圧力は100MPaであった。成形工程によって、70×150×200mmの成形体が得られた。
<焼成工程>
前記工程で得られた成形体を焼成缶に詰め、900℃の処理温度で焼成し焼成体を得た。焼成工程の昇温速度は、1.3℃/hrであった。
<黒鉛化工程>
前記工程で得られた、焼成体を黒鉛の容器に詰め、誘導炉を用いて2500℃まで加熱し、黒鉛材料を得た。得られた黒鉛材料を切断すると、内部クラックなどのない緻密で微細な組織の断面が得られていた。
さらに、得られた黒鉛材料からテストピースをサンプリングし、かさ密度等の物性を測定した(表1参照)。
比較例
<混練工程>
混練装置は、実施例と同じ双腕型ニーダーを使用した。実施例と同様、メジアン径14μmとなるように粉砕されたか焼コークスのコークス粉と、軟化点85℃の固形の石炭系のバインダピッチとを原材料とし、混練工程を行った。
実施例と同じ条件で材料を双腕型ニーダーに投入し、同じ条件で加熱をしつつ、インペラーを回転させ、回転開始後32分において、ブロアーで内部のガスの吸引を開始した。そして、実施例とは異なり、ブロアーで吸引を開始してから100分後に(図3のB点)内容物を取り出した。このときの温度は253℃であった。
混練工程において、内容物には着火することはなかった。
<粉砕工程>
前記工程で得られた混練体を、粉砕機(ピンミル)を用いて粉砕した。粉砕機で繰り返し粉砕することにより、メジアン径21.2μmの粉砕原料を得た。
<成形工程>
前記工程で得られた粉砕原料をラバーバックに充填し、蓋を被せ密封しCIP成形機で成形した。CIP成形機の圧力は100MPaであった。成形工程によって、70×150×200mmの成形体が得られた。
<焼成工程>
前記工程で得られた成形体を焼成缶に詰め、900℃の処理温度で焼成し焼成体を得た。焼成工程の昇温速度は、1.3℃/hrであった。
<黒鉛化工程>
前記工程で得られた、焼成体を黒鉛の容器に詰め、誘導炉を用いて2400℃まで加熱し、黒鉛材料を得た。得られた黒鉛材料を切断すると、内部クラックなどのない緻密で微細な組織の断面が得られていた。
さらに、得られた黒鉛材料からテストピースをサンプリングし、かさ密度等の物性を測定した(表1参照)。
<パーティクル試験>
実施例及び比較例の発塵性を比較するため、パーティクル試験を行った。実施例及び比較例の黒鉛材料を3×40×40mmのサンプルに砥石を用いて加工した。得られたサンプルを超音波洗浄機(35W、41KHz)の槽の中央に入れ、水を媒体として洗浄を行った。洗浄開始後、発塵がなくなるまでの時間を比較した。
テストピースについて測定された各種物性値とパーティクル試験の結果を以下の表1に示す。
かさ密度は、切り出されたサンプルの体積と、質量を計測し算出することによって得た。
ショア硬度は、JISZ2246に準じショア硬度計で計測する。熱膨張係数は、押棒式熱機械分析装置、Rigaku製TMA8310で測定した。測定は1℃/minで行い、50〜400℃の範囲で測定した。
固有抵抗は、φ9mm程度の円柱状テストピースの長手方向に1Aの電流を流し、1cmの区間の電圧降下から、固有抵抗を算出した。
曲げ強度は、島津製作所製オートグラフ、AG−IS5kNを用いて3点曲げ試験法により測定した。
X線回折測定は、Rigaku製Rint−UltimaIV、Sampling間隔1秒、測定角(2θ)10〜90°、加速電圧40kV、加速電流30mA、d002測定時のベースラインは2θ=29°の条件において行った。
ラマン分光器は、HORIBA製HR800型、レーザー波長784.74nm、レーザー出力調整フィルター無し、対物レンズ100倍、測定時間5秒、測定回数5回spectrumRTD1秒の各値に設定した。なお測定は標準試料(シリコン単結晶)の波長520cm−1にて較正したのち測定した。
Figure 0006097651
上記のように実施例では比較例に比べ、d002面間隔が大きく、Lcは小さく、R値は大きい。特にR値が高いほど黒鉛結晶のエッジ面が多くなり、結晶の乱れが生じやすく、結晶が剥離しにくくすることができ、パーティクルが発生しにくい黒鉛材料となった。
また、結晶に乱れを有していることにより、極性のある水が黒鉛材料の内部に浸透しやすくなり、気孔内部に含まれるパーティクルを容易に除去することができ、発生するパーティクルを装置の構造部材、部品からあらかじめ容易に除去することができると考えられる。このようなR値が高い結晶は、製造工程(混練工程)における空気または酸素の導入に起因する。
黒鉛材料は、固有抵抗が1.2〜1.8mΩcm、熱膨張係数が3.5〜4.5×10−6/℃であることが好ましいが、熱膨張係数は3.5〜4.0×10−6/℃であることがさらに好ましい。
本発明の黒鉛材料のR値は0.4〜0.7であることが好ましく、0.6〜0.7であることが更に好ましい。R値が0.4以上であると、黒鉛結晶のエッジ面が露出し、洗浄に使用する水が浸透しやすくすることができ、黒鉛材料の洗浄性を高めることができる。R値が0.7以下であると、黒鉛材料の結晶構造が発達しているので、熱的に安定であり容易に加工できるので半導体製造装置などの構造部材、部品として好適に利用することができる。また、R値は、0.6以上であることがさらに望ましい。R値が0.6以上であると、黒鉛結晶のエッジ面がさらに露出し、洗浄に使用する水がさらに浸透しやすくすることができ、黒鉛材料の洗浄性をさらに高めることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、特許請求の範囲及び明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更又は応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
本発明によれば、微細な組織を有する高密度、高強度の黒鉛材料を安全かつ効率的に形成することができることとなる。
1 バインダピッチ
2 バインダピッチの炭化物
11 コークス
11a 気孔
12 コークス粉
13 コークス粉の集合体
14 混練体

Claims (4)

  1. かさ密度が1.72〜1.78g/cm、ショア硬度が40〜65、d002面間隔が0.3380〜0.3387nm、Lcが20〜30nm、ラマン分光法で測定されるピーク強度値の比、I1360/I1580(R値)が0.4〜0.7である黒鉛材料。
  2. 請求項1に記載の黒鉛材料であって、
    固有抵抗が1.2〜1.8mΩcmである黒鉛材料。
  3. 請求項1または2に記載の黒鉛材料であって、
    熱膨張係数が3.5〜4.5×10−6/℃である黒鉛材料。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の黒鉛材料であって、
    前記R値が0.6〜0.7である黒鉛材料。
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