JP2020200195A - 黒鉛材料の製造方法 - Google Patents

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裕士 奥田
大橋 純
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Abstract

【課題】黒鉛材料そのものの表面輻射率を高めることが可能な、黒鉛材料の製造方法を提供する。【解決手段】カーボンブラック、フラーレン及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1の炭素微粒子、有機溶媒、コークス粉末、並びにバインダを混練し、混練体を得る混練工程と、前記混練体を粉砕し、原料粉を得る粉砕工程と、前記原料粉を成形し、成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼成し、焼成体を得る焼成工程と、前記焼成体を黒鉛化し、黒鉛材料を得る黒鉛化工程と、を含む黒鉛材料の製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は、黒鉛材料の製造方法に関する。
黒鉛材料は、高い耐熱性、化学的な安定性を有しているので、様々な分野で使用されている。
例えば、シリコン単結晶引上げ装置、真空炉、焼成炉などの、不活性雰囲気や真空下で使用する用途では、黒鉛材料は3000℃以上の耐熱性を有しているために広く利用されている。シリコン単結晶引上げ装置では、黒鉛材料を、ルツボ、ヒーター、外筒、ペディスタル等の様々な部材で使用することができる。
また、黒鉛は輻射率が大きいので、効率良く熱を受け渡しすることができる特徴がある。そのため、熱を受ける側の部材に用いた場合には、効率よく輻射熱を吸収することができるので、温度の上昇を速くすることができる。また、熱を発する側のヒーターに用いた場合には、ヒーターの温度を過度に上げることなく、熱を放射することができ、ヒーターの寿命を長くすることができる。
特許文献1には、単結晶引き上げ装置に用いられる熱分解炭素が表面部に形成された炭素繊維強化炭素複合材料であって、表面の熱放射率が、仮想黒体を1とした場合に、0.45〜0.75であることを特徴とする単結晶引き上げ装置用炭素繊維強化炭素複合材料が、記載されている。
このような材料で製造されたルツボは、単結晶引き上げ工程のなかで、ヒーターとは直接接触しておらず、このヒーターからの放射熱によって加熱される。このため、単結晶引き上げ工程において、工業生産上、ヒーターからの放射熱を有効に受けることが熱効率、電力消費上、重要となる。したがって、ルツボの表面の熱分解炭素を、従来の黒鉛ルツボの放射率に近いISO組織とすることにより効果的にヒーターからの放射熱を受けることができることが記載されている。
特開2000−219592号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明は、炭素繊維強化炭素複合材(C/C材)の表面部に熱分解炭素を形成することにより、材料における輻射率を改善したものである。このため、このC/C材をヒーターなどに使用した場合、高温で長期間使用すると炭素の昇華によって減肉し、表面部に形成された熱分解炭素も消耗されるために、輻射率改善の効果が得られなくなってくる。
そこで本発明では、黒鉛材料そのものの表面輻射率を高めることが可能な、黒鉛材料の製造方法を提供することを目的とする。
なお、特許文献1では、C/C材を用いた場合に、従来の黒鉛材料と比較してヒーターの電力使用量が大きくなる原因として、熱分解炭素の表面輻射率が、黒鉛材料の表面輻射率ほど高くないことを挙げている。すなわち、特許文献1では、炭素繊維強化炭素複合材料は、黒鉛材料ほど高い輻射率が得られないことを指摘するのみであり、複合材料の基材となる黒鉛材料そのものの表面輻射率を高めるものではない。
前記課題を解決するための本発明にかかる黒鉛材料の製造方法は、以下のとおりである。
(1)カーボンブラック、フラーレン及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1の炭素微粒子、有機溶媒、コークス粉末、並びにバインダを混練し、混練体を得る混練工程と、前記混練体を粉砕し、原料粉を得る粉砕工程と、前記原料粉を成形し、成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼成し、焼成体を得る焼成工程と、前記焼成体を黒鉛化し、黒鉛材料を得る黒鉛化工程と、を含む黒鉛材料の製造方法。
上記製造方法により、表面輻射率が高い黒鉛材料を得ることができる。これは、骨材であるコークス粉末に由来する黒鉛の表面が、粒子径が非常に小さい炭素微粒子で薄く覆われることに因る。
一般的に、黒鉛は、自由電子の存在に起因して、光が当たっても内部まで光が浸透することができず、表面で光を反射することから、特有の金属光沢を有する。これに対し炭素微粒子は、粒子径が非常に小さいことで、金属光沢の発現に寄与する自由電子の動きが制限され、その結果、金属光沢の発現が抑えられる。本発明に係る製造方法においては、コークス粉末やバインダを前駆体とする黒鉛の表面に、このような金属光沢の見られない炭素微粒子が存在することで、黒鉛材料としての高い表面輻射率が実現されることになる。
なお、有機溶媒は炭素微粒子との親和性が良く、良好に分散させることができる。この有機溶媒を分散媒として用いることにより、炭素微粒子はその添加量が少ない場合であっても、コークス粉末の表面を薄く均一に覆うことができるようになる。
本発明にかかる黒鉛材料の製造方法は、以下の態様であることが好ましい。
(2)前記混練工程において、前記有機溶媒に前記炭素微粒子を分散させた分散液を調製し、前記分散液と、前記コークス粉末及び前記バインダとを混練する。
混練工程において、先に炭素微粒子を有機溶媒に分散させることで、炭素微粒子がより均一に分散されやすく、コークス粉末の表面を効率良く覆うことができる。
(3)前記炭素微粒子1粒子あたりの平均体積が、前記コークス粉末1粒子あたりの平均体積に対して10−6〜10−10である。
炭素微粒子1粒子の体積を、コークス粉末1粒子の体積に対して10−6以下と十分小さいものとすることにより、より少ない添加量の炭素微粒子でコークス粉末表面を薄くコーティングし、高い表面輻射率を実現することができる。また、前記体積を、コークス粉末1粒子に対して10−10以上とすることにより、炭素微粒子がコークス粉末表面の凹部に埋没することなく、より高い表面輻射率の実現に寄与することができる。
(4)前記炭素微粒子はカーボンブラックである。
カーボンブラックは粒子間での電子移動が起こりにくく、粉体の導電性は比較的低い。そのため、光の反射能力も小さく、金属光沢も有さないことから、より高い表面輻射率に寄与することができる。また、フラーレンやカーボンナノチューブに比べて、安価であることから、黒鉛材料を低コストで製造することもできる。
(5)前記カーボンブラックの平均粒子径が5〜30nmである。
カーボンブラックの平均粒子径を5nm以上とすることにより、コークス粉末表面の凹部にカーボンブラックが埋没することなく、より少ない添加量で高い表面輻射率の実現に寄与することができる。また、平均粒子径を30nm以下とすることにより、輻射熱に影響の大きい赤外線の波長よりも十分小さい大きさとなることから、より高い表面輻射率の実現に寄与することができる。
(6)前記コークス粉末の平均粒子径が3〜30μmである。
コークス粉末の平均粒子径を3μm以上とすることにより、炭素微粒子よりも十分大きい骨材として機能することができる。また、平均粒子径を30μm以下とすることにより、得られた黒鉛材料を切削した際に、コークス粉末由来の黒鉛粒子が分割されて表面輻射率の低い新たな切断面が現れるのを防ぐことができる。
(7)前記炭素微粒子の添加量が、前記コークス粉末の添加量に対して5〜25質量%である。
炭素微粒子の添加量を、コークス粉末の添加量に対して5質量%以上とすることにより、コークス粉末の表面を十分に覆うことができ、黒鉛材料の表面輻射率を十分に高めることができる。また、添加量を25質量%以下とすることにより、炭素微粒子に起因する黒鉛材料の密度低下及び強度低下を抑制することができる。
(8)前記有機溶媒は芳香族化合物である。
有機溶媒の中でも芳香族化合物は炭素微粒子との親和性がより高い。そのため、芳香族化合物を分散媒に用いることにより、溶媒量が少なくても十分に炭素微粒子を分散することができる。また、炭素微粒子の添加量が少なくても、コークス粉末の表面に対してより薄く均一に覆うことができるようになる。
本発明にかかる黒鉛材料の製造方法によれば、混練工程で炭素微粒子及び有機溶媒を用いることにより、骨材であるコークス粉末の表面に前記炭素微粒子を薄くコーティングすることができ、その結果、黒鉛材料そのものの表面輻射率を効果的に高めることができる。
図1は、実施例1で得られた黒鉛材料の偏光顕微鏡写真である。 図2は、比較例1で得られた黒鉛材料の偏光顕微鏡写真である。 図3は、実施例1及び比較例1の黒鉛材料の表面輻射率と温度の関係を示すグラフである。
(発明の詳細な説明)
上記のとおり、本発明にかかる黒鉛材料の製造方法は、カーボンブラック、フラーレン及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1の炭素微粒子、有機溶媒、コークス粉末、並びにバインダを混練し、混練体を得る混練工程と、前記混練体を粉砕し、原料粉を得る粉砕工程と、前記原料粉を成形し、成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼成し、焼成体を得る焼成工程と、前記焼成体を黒鉛化し、黒鉛材料を得る黒鉛化工程と、を含む。
本発明にかかる黒鉛材料の製造方法は、有機溶媒の存在下で、コークス粉末及びバインダと共に炭素微粒子を混練することにより、骨材であるコークス粉末の表面に炭素微粒子を薄くコーティングでき、黒鉛材料そのものの表面輻射率を高めることができるようになるものである。これにより、黒鉛材料を高温で長期間使用することで、炭素が昇華によって減肉した場合であっても、黒鉛材料の表面輻射率は高いまま維持することができる。
本発明における黒鉛材料の表面輻射率が高くなるのは、以下の理由によるものと考えられる。
一般的に、黒鉛の結晶構造は炭素原子の六角網平面が規則性を持って積層した層状構造である。炭素原子同士の結合は、共有結合とvan der Waals力による結合との、二種類の結合で構成されている。層面内部(横軸方向)はπ結合を有する共有結合により炭素原子同士が結合された平面(基底面)であり、強い結合力である。これに対して層間の結合(縦軸方向)はvan der Waals力による弱い電子結合である。
このため、黒鉛材料は、六角網平面に有するπ結合が互いに結合し、電子は長いスパンで自由に移動することができる。
自由電子を持つ金属は、光が当たっても、自由電子の作用により光は内部に浸透することができずに表面で反射され、独特の金属光沢を有する。
金属と同様に、π結合が六角網平面内に広がった黒鉛材料でも、自由電子の影響による光沢(金属光沢)が見られ、表面輻射率を下げるように作用する。
これに対し、本発明では、混練工程でコークス粉末表面を炭素微粒子で覆うことにより、黒鉛化工程後も、結晶化の進行したコークス粉末を前駆体とした黒鉛の周囲は炭素微粒子で覆われていることとなる。この炭素微粒子の存在により、光の反射を抑制して黒鉛材料の内部に光が浸透しやすく、黒鉛材料の表面輻射率を高めることができる。
炭素微粒子も上述したような六角網平面の構造を有しているものの、粒子径が非常に小さいために、自由電子が自由に動ける範囲は非常に狭い。そのため、金属光沢を発現することなく、高い表面輻射率を有する。この炭素微粒子がコークス粉末を前駆体とした黒鉛の周囲を覆うことにより、黒鉛材料の表面輻射率も高めることができるようになる。
炭素微粒子は、カーボンブラック、フラーレン及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1の炭素からなる微粒子である。これら炭素微粒子は、表面に露出する結晶のエッジが少ないので、焼成工程や黒鉛化工程でコークス粉末やバインダが単素化、黒鉛化しても一緒に黒鉛化しにくい。そのため、黒鉛化工程を経て黒鉛材料が得られた後も、表面輻射率を高めるように作用することができる。
次に、工程ごとに詳細を説明する。
(混練工程)
混練工程では、カーボンブラック、フラーレン及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1の炭素微粒子、有機溶媒、コークス粉末、並びにバインダを混練し、混練体を得る。
有機溶媒は分散媒として機能するが、炭素微粒子との親和性がよく、炭素微粒子を凝集させることなく良好に分散することができる。このため、炭素微粒子の少量の添加で、効率良く骨材であるコークス粉末の表面を覆うことができ、黒鉛材料の密度や強度を低下させることなく、高い表面輻射率を実現することができる。
骨材となるコークス粉末の表面に炭素微粒子がコーティングされた混練体は、次ぐ粉砕工程の粉砕により原料粉となった後も、その破断面には炭素微粒子が存在する。そのため、黒鉛材料として高い表面輻射率を得るうえで悪影響を生じることはない。
炭素微粒子は、1粒子あたりの平均体積が、コークス粉末1粒子あたりの平均体積に対して10−6〜10−10であることが好ましい。炭素微粒子1粒子の平均体積は、電子顕微鏡で直接大きさを測定し、その体積の平均値を求めることにより得ることができる。具体的には任意の10個の粒子の大きさを求め、その体積の平均値を1粒子あたりの平均体積とする。また、コークス粉末1粒子の平均体積は、レーザー回折式粒度測定器で平均粒子径を求め、平均粒子径を直径とする球の体積を算出することにより求めることができる。
炭素微粒子1粒子の平均体積を、コークス粉末1粒子の平均体積に対して10−6以下と十分小さいものとすることにより、電子の移動範囲が抑制されより高い表面輻射率を実現することができる。また、前記平均体積を、コークス粉末1粒子に対して10−10以上とすることにより、炭素微粒子がコークス粉末表面に凹凸がある場合でも、その凹部に埋没することなく、より高い表面輻射率の実現に寄与することができる。
炭素微粒子1粒子の平均体積は、コークス粉末1粒子あたりの平均体積に対して10−9以上がより好ましく、また、10−7以下がより好ましい。
炭素微粒子は、カーボンブラック、フラーレン及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1の微粒子であればよいが、カーボンブラックの微粒子であることが好ましい。
カーボンブラックは、自由電子を持っているものの、ごく小さな微粒子内での導電性が高いのみであり、粒子間では電子が移動しにくく、粉体の導電性は黒鉛に比べて低い。そのため光の反射能力も小さく、金属光沢を有しておらず、より高い表面輻射率の実現に寄与することができる。また、フラーレンやカーボンナノチューブに比べて、安価であることから、黒鉛材料を低コストで製造することもできる。
炭素微粒子がカーボンブラックである場合、その平均粒子径は5〜30nmが好ましい。当該平均粒子径は電子顕微鏡で任意の10個の粒子の大きさを測定し、その直径の平均値より求めることができる。
平均粒子径を30nm以下とすることにより、輻射熱に影響の大きい赤外線の波長よりも充分に小さくなることから、より高い表面輻射率に寄与することができる。また、平均粒子径を5nm以上とすることにより、骨材であるコークス粉末表面に凹凸がある場合でも、凹部に埋没することなく、カーボンブラックで当該表面を覆うことができる。その結果、コークス粉末を前駆体とする黒鉛表面での反射を防止することができる。
カーボンブラックの平均粒子径は10nm以上がより好ましく、また、20nm以下がより好ましい。
炭素微粒子がフラーレンである場合、直径は0.7〜1nm程度である。当該炭素微粒子の直径は、電子顕微鏡で確認することができる。また、炭素微粒子がカーボンナノチューブ(CNT)である場合、直径は0.4〜50nm程度であり、コークス粉末を良好に覆う観点から、その長さは500nm以下が好ましい。
前記コークス粉末は、平均粒子径が3〜30μmが好ましい。当該平均粒子径はレーザー回折式粒度測定器により得ることができる。
コークス粉末は黒鉛材料の骨材となる前駆体であり、炭素微粒子がコーティングされる。このため、コークス粉末は、炭素微粒子よりも充分に大きいことが必要である。そこで、コークス粉末の平均粒子径は3μm以上が好ましい。また、コークス粉末の平均粒子径を30μm以下とすることにより、得られた黒鉛材料を切削した際に、コークス粉末を前駆体とする黒鉛粒子が分割されて、表面輻射率の低い新たな切断面が現れるのを防ぐことができるため好ましい。
コークス粉末の平均粒子径は5μm以上がより好ましく、また、20μm以下がより好ましい。
炭素微粒子の添加量は、コークス粉末の添加量に対して5〜25質量%であることが好ましい。
炭素微粒子は、それ自体の結晶化がそもそも進行していることから、後述する黒鉛化工程を経ても、焼成に伴う収縮が起こりにくい。そのため、炭素微粒子の、得られる黒鉛材料の高密度化に対する寄与は小さい。すなわち、炭素微粒子を多く入れ過ぎると、黒鉛材料の密度および強度が低下することから、その添加量はコークス粉末の添加量に対して25質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下がより好ましい。また、炭素微粒子の添加量はコークス粉末の添加量に対して5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。これにより、コークス粉末の表面を充分に覆うことができ、表面輻射率がより高い黒鉛材料を得ることができる。
混練工程では、炭素微粒子、有機溶媒、コークス粉末、及びバインダを混練するが、先に有機溶媒に炭素微粒子を分散させた分散液を調製し、次いで、前記分散液とコークス粉末及びバインダとを混合して、練り合わせることが好ましい。
有機溶媒は炭素微粒子との親和性が高く、先に炭素微粒子を有機溶媒に分散させることで、炭素微粒子がより均一に分散されやすい。そのため、次いでコークス粉末とバインダとを混練した際に、コークス粉末の表面を炭素微粒子でより良好に覆うことができるようになる。
また、分散液調製の際に、バインダの一部を有機溶媒に溶解させた後に、炭素微粒子を添加して分散液を調製してもよい。この場合、得られた分散液に対して減圧乾燥等を行い、有機溶媒の一部を揮発させ濃縮するのも好ましい態様である。これにより、バインダが濃縮された分散液中に炭素微粒子が分散した状態となっている。この分散液にコークス粉末及びバインダの残部を加えて混練することによって、コークス粉末の表面は、黒鉛微粒子によってより良好な状態で覆われる。
有機溶媒は、混練工程において、加熱しながら混練されることで揮発する。また、混練工程後も有機溶媒が少量残存していた場合であっても、後に行われる焼成工程等により、当該有機溶媒は揮発する。
また、炭素微粒子を有機溶媒に分散した後、コークス粉末及びバインダのどちらを先に分散液に混合するかは任意であり、これらを同時に混合してもよい。
混練工程に用いられる有機溶媒は、炭素微粒子を分散させることができれば特に限定されない。中でも、芳香族化合物は、炭素微粒子との親和性がより高く、炭素微粒子の添加量が少なくてもコークス粉末の表面を薄く均一に覆うことができるため好ましい。
芳香族化合物は、特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、キノリンなどが挙げられる。
(粉砕工程)
粉砕工程では、混練工程で得られた混練体を粉砕し、原料粉を得る。
粉砕工程で細かな原料粉を得ることで、後の成形工程、焼成工程、及び黒鉛化工程を経た後、微細な組織の高強度の黒鉛材料を得ることができる。
粉砕方法は特に限定されず、従来と同様の方法を用いることができる。
(成形工程)
成形工程では、粉砕工程で得られた原料粉を成形し、成形体を得ることができる。原料粉の成形は加圧により行われる。加圧する方法は、特に限定されないが、例えば、1軸加圧である押出し成形や型込め成形、等方性加圧であるCIP(Cold Isostatic Pressing、冷間静水圧加圧)成形などを適用することができる。これらの成形方法により、原料粉を圧力で固め、所望の形状を容易に得ることができる。
(焼成工程)
焼成工程では、焼成により、成形体に含まれる炭素前駆体である成分を炭素化させ焼成体を得る。炭素化させることにより、材料の熱伝導率、強度を高め、次の黒鉛化工程でのガスの発生を抑制するとともに割れを防止することができる。
焼成温度は例えば600〜1500℃である。
焼成工程は1回に限らず、2回以上行ってもよく、他の工程と組み合わせて行うこともできる。具体的には、一度目の焼成工程(一次焼成)で得られた焼成体には、揮発成分等に起因して間隙が生じることがある。そのため、この間隙にピッチを含浸させるピッチ含浸工程や、当該ピッチをさらに炭素化するための焼成工程を繰り返し行うことも可能である。
(黒鉛化工程)
黒鉛化工程では、得られた焼成体を加熱して黒鉛化を進行させ、黒鉛材料を得る。黒鉛化の温度に応じて得られる黒鉛材料の黒鉛化度は変化する。黒鉛化工程の処理温度は例えば2000〜3200℃である。
黒鉛化工程の後、切削等による加工工程や、高純度化処理工程を行うこともできる。
このようにして得られた黒鉛材料は、骨材であるコークス粉末を前駆体とする黒鉛粒子の周りが炭素微粒子で覆われていることから、高い表面輻射率を実現することができる。
(発明を実施するための形態)
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
(実施例1)
炭素微粒子としてカーボンブラック(三菱ケミカル社製#2650、平均粒子径13nm、DBP(Dibutyl phthalate)吸収量(JIS K6217:2001年)75cm/100g)60g、バインダとしてピッチ120g、コークス粉末として石炭系生コークス(平均粒子径8μm)340g、有機溶媒としてトルエン200mLをそれぞれ使用した。
<混練工程>
ピッチ10gをトルエン200mLに溶解したのち、カーボンブラック60gを混合した。混合液はロータリーエバポレータを用いてトルエンの一部を揮発させて、ピッチがトルエンに溶解し、カーボンブラックの表面が当該ピッチで薄くコーティングされた分散液を得た。
上記で得られたカーボンブラックを含む分散液、コークス粉末340g、及びピッチ110gを200℃に加熱したニーダーに投入し、1時間混練し混練体を取り出し空冷した。
<粉砕工程>
得られた混練体を粉砕し、原料粉を得た。原料粉の平均粒子径をレーザー回折式粒度測定器(マイクロトラック・ベル社製、マイクロトラックMT3300EXII)を用いて測定したところ、25μmであった。
<成形工程>
粉砕工程で得られた原料粉を型に詰め、100MPaで成形し成形体を得た。
<焼成工程>
得られた成形体を焼成缶に詰め、1000℃で15時間焼成し、焼成体を得た。
<黒鉛化工程>
得られた焼成体を黒鉛化炉に詰め、2800℃まで通電加熱し、黒鉛化処理を行った。通電加熱後自然放熱し、400℃以下になった段階で取り出し、黒鉛材料を得た。
得られた黒鉛材料の物性の分析値は表1に示すとおりであり、黒鉛材料の偏光顕微鏡写真を図1に示す
(比較例1)
炭素微粒子であるカーボンブラックと有機溶媒を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして黒鉛材料を製造した。なお、原料の配合量は、コークス粉末100g、バインダ40gであり、ニーダーに直接コークス粉末とバインダを投入し、200℃に加熱して1時間混練した。
得られた黒鉛材料の物性の分析値は表1に示すとおりであり、黒鉛材料の偏光顕微鏡写真を図2に示す。
実施例1及び比較例1で得られた黒鉛材料について、JISR1693−3:2012年に基づき表面輻射率の測定を行った(アドバンス理工社製、RMP−1)。各温度における表面輻射率の測定結果を図3及び表2に示す。
上記の結果から、実施例1の黒鉛材料は、従来の黒鉛材料(比較例1)と同程度の各物性を示すことが確認された。また、原材料にカーボンブラックを添加することにより、添加しなかった比較例1と比較して、高い表面輻射率を得ることができた。
本発明にかかる製造方法によれば、黒鉛材料そのものの表面輻射率を高めることができる。そのため、当該黒鉛材料をヒーターなど、高温下で長期間使用し、炭素の昇華によって減肉する用途に用いた場合であっても、当該表面輻射率改善の効果を維持することができる。

Claims (8)

  1. カーボンブラック、フラーレン及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1の炭素微粒子、有機溶媒、コークス粉末、並びにバインダを混練し、混練体を得る混練工程と、
    前記混練体を粉砕し、原料粉を得る粉砕工程と、
    前記原料粉を成形し、成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を焼成し、焼成体を得る焼成工程と、
    前記焼成体を黒鉛化し、黒鉛材料を得る黒鉛化工程と、を含む黒鉛材料の製造方法。
  2. 前記混練工程において、前記有機溶媒に前記炭素微粒子を分散させた分散液を調製し、前記分散液と、前記コークス粉末及び前記バインダとを混練する、請求項1に記載の黒鉛材料の製造方法。
  3. 前記炭素微粒子1粒子あたりの平均体積が、前記コークス粉末1粒子あたりの平均体積に対して10−6〜10−10である、請求項1又は2に記載の黒鉛材料の製造方法。
  4. 前記炭素微粒子はカーボンブラックである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の黒鉛材料の製造方法。
  5. 前記カーボンブラックの平均粒子径が5〜30nmである、請求項4に記載の黒鉛材料の製造方法。
  6. 前記コークス粉末の平均粒子径が3〜30μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の黒鉛材料の製造方法。
  7. 前記炭素微粒子の添加量が、前記コークス粉末の添加量に対して5〜25質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の黒鉛材料の製造方法。
  8. 前記有機溶媒は芳香族化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の黒鉛材料の製造方法。
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CN114702329A (zh) * 2022-04-18 2022-07-05 湖南大学 一种低维碳材料增强炭石墨材料及其制备方法

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