JPH1179847A - 炭化ケイ素焼結体の製造方法 - Google Patents
炭化ケイ素焼結体の製造方法Info
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Abstract
伝導率を兼ね備えた高品位の、半導体工業、電子情報機
器産業などの分野において有用な炭化ケイ素焼結体の効
率のよい製造方法を提供する。 【解決手段】 炭化ケイ素粉末と窒素源と非金属系焼結
助剤との混合物を、2000〜2400℃の温度条件で
焼結する工程を含むか、又は、ケイ素源と、炭素源と、
窒素源と、重合又は架橋触媒と、を均質に混合して得ら
れた固形物を非酸化性雰囲気下で焼成して窒素を含有す
る炭化ケイ素粉末を製造する工程と、窒素を含有する炭
化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤との混合物を、200
0〜2400℃の温度条件で焼結する工程とを含み、得
られた焼結体の密度が2.9g/cm3 以上、体積抵抗
率が1Ω・cm以下であり、窒素を150ppm以上含
有することを特徴とする。ここで、窒素源が加熱により
窒素を生成する化合物であり、非金属系焼結助剤がレゾ
ール型フェノールであることが好ましい。
Description
の製造方法に関し、詳しくは、半導体製造装置用部品、
電子情報機器用部品、真空装置等の構造用部品として有
用な高密度で、且つ、導電性を有する炭化ケイ素焼結体
の製造方法に関するものである。
あり、従来より高温強度性、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品
性等の優れた特性を生かして多くの用途で用いられてき
た。最近では、電子情報機器材料、半導体製造用材料の
分野において、ウェハの処理温度の上昇、ウェハ径の増
大、処理単位の増大によって、従来の石英部品における
如き熱変形やフッ酸などの薬液洗浄による変質のない、
さらに耐熱性の良好で、且つ、密度と純度の高い炭化ケ
イ素焼結体が要望されている。
合性のために、難焼結性である。緻密質炭化ケイ素焼結
体を製造する方法としては、ホットプレス法、反応焼結
法、常圧焼結法が知られている。
焼結する方法であり、金属系焼結助剤として、アルミニ
ウムを添加したものが初期(J.Am.Ceram.S
oc.第39巻、11号386−389頁、1956
年)に報告されて以来、様々な金属系助剤を用いて研究
がなされており、中でもBeOを添加したホットプレス
焼結による高伝導性且つ電気絶縁性の焼結体が1980
年に開発されている(「炭化ケイ素セラミックス」第3
27−343頁、内田老鶴圃、1988年)。
ケイ素粉末と炭素粉末とを混合する工程)、(2)成形
加工工程、(3)反応焼結工程、さらに、所望によって
(4)後加工工程、という各工程からなる。この方法
は、(3)反応焼結工程において、既に成形された炭素
粒子をケイ化するものであり、成形体の寸法変化が少な
く、焼結助剤を必要としない利点があり、高純度の焼結
体が得やすいため、半導体用部品の製造などに利用され
ている。しかしながら、この方法で得られた焼結体は未
反応金属ケイ素を含有するため、耐熱性、耐薬品性や高
強度を要求される分野で使用される部品、治具に用いる
には制限があった。
たり、金属系焼結助剤を使用することを特徴とする方法
あり、1974年にS/Prochazkaの”Cer
amics for High Performanc
e Applicatins”第239頁により提案さ
れた。この方法によって高温強度を有する高密度構造部
材が得られるようになり、炭化ケイ素の研究開発が進展
した。ここで焼結助剤として、ホウ素、アルミニウム、
ベリリウム等の金属やその化合物である金属系焼結助剤
と、カーボンブラック、グラファイト等の炭素系焼結助
剤との二種類が組み合わせて用いられている。ここで重
要な金属系焼結助剤の作用としては、最適な焼結助剤と
して用いられるホウ素について述べれば、粒界への偏析
による粒界エネルギーの減少、炭素−ホウ素系物質の粒
界拡散の促進、表面拡散抑制等が挙げられ、炭素系焼結
助剤の作用については、炭化ケイ素粒子の表面酸化層の
除去効果が推定されるが、いずれも詳細は未だ明らかで
はない。
結助剤は、高温での使用時や薬液洗浄処理中に金属不純
物が溶出するため、得られた焼結体は半導体製造装置等
の分野への応用には適さなかった。
昭60−108370号において、シラン化合物を熱分
解して得られた特殊な超微粉炭化ケイ素を用いて、助剤
を添加することなく、ホットプレス法により緻密焼結体
を得る方法が提案された。しかしながら、得られる焼結
体の各種特性は明確にされていない。さらに、これに関
連して、「炭化ケイ素セラミックス」(内田老鶴圃、1
988年刊行)第89頁には、この製法で製造された粉
体を用いてもホウ素(焼結助剤として)の添加が不可欠
である旨の記載がある。
2−199064号には、CVDプラズマ法により合成
した超微粉炭化ケイ素粉末を用いて、助剤を全く用いず
にホットプレス法により緻密焼結体を得る方法が提案さ
れている。しかしながら、この文献に記載される方法に
おいても、鉄等の不純物が数ppm以上含まれており、
満足できるレベルとは言い難いこと、この系で焼結助剤
としての機能を果たしていると考えられる平均粒径30
nmの超微粉炭化ケイ素微粉末が高コストであること、
このような超微粉は表面酸化に対して取扱上の多大な注
意を必要とすること、などを考慮すれば、いまだ上記課
題が解決しているとはいい難い。
体製造装置用部品、電子情報機器用部品等への使用に適
する高密度で不純物含有量の少ない炭化ケイ素焼結体を
得ることは困難であり、そのような焼結体も市販されて
いなかった。
導体であるが、そのバンドギャップが非常に大きいため
に絶縁性を示す。このため、炭化ケイ素に安定した導電
特性を付与しようとする場合には、伝導電子を炭化ケイ
素焼結体に注入する必要があり、一般的には、B、A
l、Ga等のIII 族元素(pドーパント)及びN、P、
As等のIV族元素(nドーパント)等の不純物をドープ
させて導電性を付与することが考えられる。しかし、金
属元素は半導体プロセスに悪影響を与えることが知られ
ており、上述の元素の中で非金属であるのは窒素のみで
あるが、従来の炭化ケイ素焼結体では、前述の如くその
製造にホウ素等の金属系焼結助剤が不可欠であったた
め、半導体製造装置用部品、電子情報機器用部品等に使
用すると金属による汚染が発生するなどの問題を有して
いた。
な原料を必要とすることなく、高密度であって、且つ、
導電性を有し、高熱伝導率を兼ね備えた高品位の、半導
体工業、電子情報機器産業などの多くの分野において有
用な炭化ケイ素焼結体の効率的な製造方法を提供するこ
とにある。
した結果、特定の窒素源を原料として使用し、焼結温度
を制御することにより、この目的にかなう炭化ケイ素焼
結体を製造しうることを見いだし、本発明を完成した。
即ち、本発明の炭化ケイ素焼結体の製造方法は、炭化ケ
イ素粉末と少なくとも1種以上の窒素源と非金属系焼結
助剤との混合物を、2000〜2400℃の温度条件で
焼結する工程を含み、得られた焼結体の密度が2.9g
/cm3 以上、体積抵抗率が1Ω・cm以下であり、窒
素を150ppm以上含有することを特徴とする。
素焼結体の製造方法は、少なくとも1種以上の液状のケ
イ素化合物を含むケイ素源と、加熱により炭素を生成す
る少なくとも1種以上の液状の有機化合物を含む炭素源
と、少なくとも1種以上の窒素源と、重合又は架橋触媒
と、を均質に混合して得られた固形物を非酸化性雰囲気
下で焼成して窒素を含有する炭化ケイ素粉末を製造する
工程と、該窒素を含有する炭化ケイ素粉末と非金属系焼
結助剤との混合物を、2000〜2400℃の温度条件
で焼結する工程とを含み、得られた焼結体の密度が2.
9g/cm3 以上、体積抵抗率が1Ω・cm以下であ
り、窒素を150ppm以上含有することを特徴とす
る。
ル型フェノールであることが好ましい。
明する。
いられる炭化ケイ素粉末は、α型、β型、非晶質或いは
これらの混合物等が挙げられるが、特に、β型炭化ケイ
素粉末が好適に使用される。本発明の炭化ケイ素焼結体
においては、炭化ケイ素成分全体のうち、β型炭化ケイ
素の占める割合が70%以上であることが好ましく、さ
らに好ましくは80%以上であり、100%β型炭化ケ
イ素であってもよい。従って、原料となる炭化ケイ素粉
末のうち、β型炭化ケイ素粉末の配合量は60%以上、
さらには、65%以上であることが好ましい。
に制限はなく、例えば、一般に市販されているβ型炭化
ケイ素粉末を用いることができる。この炭化ケイ素粉末
の粒径は、高密度化の観点からは小さいことが好まし
く、0.01〜10μm程度、さらには、0.05〜1
μm程度であることが好ましい。粒径が0.01μm未
満であると、計量、混合などの処理工程における取扱が
困難となり、10μmを超えると比表面積が小さく、即
ち、隣接する粉体との接触面積が小さくなり、高密度化
が困難となるため、好ましくない。
径が0.05〜1μm、比表面積が5m2 /g以上、遊
離炭素1%以下、酸素含有量1%以下のものが好適に用
いられる。また、用いられる炭化ケイ素粉末の粒度分布
は特に制限されず、炭化ケイ素焼結体の製造時におい
て、粉体の充填密度を向上させること及び炭化ケイ素の
反応性の観点から、2つ以上の極大値を有するものも使
用しうる。
めには、原料の炭化ケイ素粉末として、高純度の炭化ケ
イ素粉体を用いればよい。
くとも1種以上の液状のケイ素化合物を含むケイ素源
と、加熱により炭素を生成する少なくとも1種以上の液
状の有機化合物を含む炭素源と、重合又は架橋触媒と、
を均質に混合して得られた固形物を非酸化性雰囲気下で
焼成する焼成工程とを含む製造方法により得ることがで
きる。
るケイ素化合物(以下、適宜、ケイ素源と称する)とし
ては、液状のものと固体のものとを併用することができ
るが、少なくとも一種は液状のものから選ばれなくては
ならない。液状のものとしては、アルコキシシラン(モ
ノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)及びテトラアルコキシ
シランの重合体が用いられる。アルコキシシランの中で
はテトラアルコキシシランが好適に用いられ、具体的に
は、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラ
ン、ブトキシシラン等が挙げられるが、ハンドリングの
点からはエトキシシランが好ましい。また、テトラアル
コキシシランの重合体としては、重合度が2〜15程度
の低分子量重合体(オリゴマー)及びさらに重合度が高
いケイ酸ポリマーで液状のものが挙げられる。これらと
併用可能な固体状のものとしては、酸化ケイ素が挙げら
れる。本発明において酸化ケイ素とは、SiOの他、シ
リカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部にOH
基やアルコキシル基を含む)、二酸化ケイ素(シリカゲ
ル、微細シリカ、石英粉体)等を含む。
ドリング性が良好な観点から、テトラエトキシシランの
オリゴマー及びテトラエトキシシランのオリゴマーと微
粉体シリカとの混合物等が好適である。また、これらの
ケイ素源は高純度の物質が用いられ、初期の不純物含有
量が20ppm以下であることが好ましく、5ppm以
下であることがさらに好ましい。
される加熱により炭素を生成する有機化合物としては、
液状のものの他、液状のものと固体のものとを併用する
ことができ、残炭率が高く、且つ触媒若しくは加熱によ
り重合又は架橋する有機化合物、具体的には例えば、フ
ェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタ
ン、ポリビニルアルコール等の樹脂のモノマーやプレポ
リマーが好ましく、その他、セルロース、蔗糖、ピッ
チ、タール等の液状物も用いられ、特にレゾール型フェ
ノール樹脂が好ましい。また、その純度は目的により適
宜制御選択が可能であるが、特に高純度の炭化ケイ素粉
末が必要な場合には、各金属を5ppm以上含有してい
ない有機化合物を用いることが望ましい。
炭化ケイ素粉体を製造するにあたっての、炭素とケイ素
の比(以下、C/Si比と略記)は、混合物を1000
℃にて炭化して得られる炭化物中間体を、元素分析する
ことにより定義される。化学量論的には、C/Si比が
3.0の時に生成炭化ケイ素中の遊離炭素が0%となる
はずであるが、実際には同時に生成するSiOガスの揮
散により低C/Si比において遊離炭素が発生する。こ
の生成炭化ケイ素粉体中の遊離炭素量が焼結体等の製造
用途に適当でない量にならないように予め配合を決定す
ることが重要である。通常、1気圧近傍で1600℃以
上での焼成では、C/Si比を2.0〜2.5にすると
遊離炭素を抑制することができ、この範囲を好適に用い
ることができる。C/Si比を2.5以上にすると遊離
炭素が顕著に増加するが、この遊離炭素は粒成長を抑制
する効果を持つため、粒子形成の目的に応じて適宜選択
しても良い。但し、雰囲気の圧力を低圧又は高圧で焼成
する場合は、純粋な炭化ケイ素を得るためのC/Si比
は変動するので、この場合は必ずしも前記C/Si比の
範囲に限定するものではない。
明で用いられる炭化ケイ素粉体の表面に被覆された非金
属系焼結助剤に由来する炭素によるものに比較して非常
に弱いため、基本的には無視することができる。
り炭素を生成する有機化合物とを均質に混合した固形物
を得るために、ケイ素源と該有機化合物の混合物を硬化
させて固形物とすることも必要に応じて行われる。硬化
の方法としては、加熱により架橋する方法、硬化触媒に
より硬化する方法、電子線や放射線による方法が挙げら
れる。硬化触媒としては、炭素源に応じて適宜選択でき
るが、フェノール樹脂やフラン樹脂の場合には、トルエ
ンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、しゅう酸、
塩酸、硫酸、マレイン酸等の酸類、ヘキサミン等のアミ
ン類等を用いる。
される。これは窒素又はアルゴン等の非酸化性雰囲気中
800℃〜1000℃にて30分〜120分間該固形物
を加熱することにより行われる。
性雰囲気中1350℃以上2000℃以下で加熱するこ
とにより炭化ケイ素が生成する。焼成温度と時間は希望
する粒径等の特性に応じて適宜選択できるが、より効率
的な生成のためには1600℃〜1900℃での焼成が
望ましい。
は、前述の焼成時に2000〜2100℃にて5〜20
分間加熱処理を施すことにより不純物をさらに除去でき
る。
得る方法としては、本願出願人が先に特願平7−241
856号として出願した単結晶の製造方法に記載された
原料粉体の製造方法、即ち、高純度のテトラアルコキシ
シラン、テトラアルコキシシラン重合体から選択される
1種以上をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高
純度有機化合物を炭素源とし、これらを均質に混合して
得られた混合物を非酸化性雰囲気下において加熱焼成し
て炭化ケイ素粉体を得る炭化ケイ素生成工程と、得られ
た炭化ケイ素粉体を、1700℃以上2000℃未満の
温度に保持し、該温度の保持中に、2000℃〜210
0℃の温度において5〜20分間にわたり加熱する処理
を少なくとも1回行う後処理工程とを含み、前記2工程
を行うことにより、各不純物元素の含有量が0.5pp
m以下である炭化ケイ素粉体を得ること、を特徴とする
高純度炭化ケイ素粉末の製造方法等を利用することがで
きる。
いては、炭化ケイ素焼結体に窒素を導入する工程とし
て、前記の原料炭化ケイ素粉末の製造時において、ケイ
素源と炭素源とを混合して焼成し、炭化ケイ素粉体を製
造する工程において、ケイ素源、炭素源に同時に少なく
とも1種以上の窒素含有化合物(以下、適宜窒素源と称
する)を添加する方法、又は、これらの原料炭化ケイ素
粉末から炭化ケイ素焼結体を製造する焼結工程におい
て、非金属系焼結助剤とともに窒素源を添加した後、焼
成する方法が挙げられる。
は、加熱により窒素を発生する物質が好ましく、例え
ば、ポリイミド樹脂及びその前駆体、ヘキサメチレンテ
トラミン、アンモニア、トリエチルアミン等の各種アミ
ン類が挙げられる。
粉末の製造時に、ケイ素源と同時に添加する場合には、
ケイ素源1gに対して80μg〜1000μgである。
また、非金属系焼結助剤と同時に添加する場合には、非
金属系焼結助剤1gに対して200μg〜2000μ
g、好ましくは1500μg〜2000μgである。
法において、前記炭化ケイ素粉末と混合されて用いられ
る非金属系焼結助剤としては、加熱により炭素を生成す
る、所謂炭素源と称される物質が用いられ、加熱により
炭素を生成する有機化合物又はこれらで表面を被覆され
た炭化ケイ素粉末(粒径:0.01〜1μm程度)が挙
げられ、効果の観点からは前者が好ましい。
ては、具体的には、残炭率の高いコールタールピッチ、
ピッチタール、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ
樹脂、フェノキシ樹脂やグルコース等の単糖類、蔗糖等
の少糖類、セルロース、デンプン等の多糖類などの等の
各種糖類が挙げられる。これらは炭化ケイ素粉末と均質
に混合するという目的から、常温で液状のもの、溶媒に
溶解するもの、熱可塑性或いは熱融解性のように加熱す
ることにより軟化するもの或いは液状となるものが好適
に用いられるが、なかでも、得られる成形体の強度が高
いフェノール樹脂、特に、レゾール型フェノール樹脂が
好適である。
(近傍)においてカーボンブラックやグラファイトの如
き無機炭素系化合物を生成し、焼結中に炭化ケイ素の表
面酸化膜を効率的に除去する焼結助剤として有効に作用
すると考えられる。なお、カーボンブラックやグラファ
イト粉末を焼結助剤として添加しても本発明の効果を得
ることはできない。
系焼結助剤との混合物を得る際に、非金属系焼結助剤を
溶媒に溶解又は分散させて混合することが好ましい。溶
媒は、非金属系焼結助剤として使用する化合物に対して
好適なもの、具体的には、好適な加熱により炭素を生成
する有機化合物であるフェノール樹脂に対しては、エチ
ルアルコール等の低級アルコール類やエチルエーテル、
アセトン等を選択することができる。また、この非金属
系焼結助剤及び溶媒についても不純物の含有量が低いも
のを使用することが好ましい。
助剤の添加量は少なすぎると焼結体の密度が上がらず、
多過ぎると焼結体に含まれる遊離炭素が増加するため高
密度化を阻害する虞があるため、使用する非金属系焼結
助剤の種類にもよるが、一般的には、10重量%以下、
好ましくは2〜5重量%となるように添加量を調整する
ことが好ましい。この量は、予め炭化ケイ素粉末の表面
のシリカ(酸化ケイ素)量をフッ酸を用いて定量し、化
学量論的にその還元に充分な量を計算することにより決
定することができる。
は、上記の方法により定量されたシリカが非金属系焼結
助剤に由来する炭素で、下記の化学反応式により還元さ
れるものとし、非金属系焼結助剤の熱分解後の残炭率
(非金属系焼結助剤中で炭素を生成する割合)などを考
慮して得られる値である。
素焼結体中に含まれる炭化ケイ素に由来する炭素原子及
び非金属系焼結助剤に由来する炭素原子の合計が30重
量%を超え、40重量%以下であることが好ましい。含
有量が30重量%以下であると、焼結体中に含まれる不
純物の割合が多くなり、40重量%を超えると炭素含有
量が多くなり得られる焼結体の密度が低下し、焼結体の
強度、耐酸化性等の諸特性が悪化するため好ましくな
い。
いて、まず、炭化ケイ素粉末と、非金属系焼結助剤とを
均質に混合するが、前述の如く、非金属系焼結助剤であ
るフェノール樹脂をエチルアルコールなどの溶媒に溶解
し、炭化ケイ素粉末と十分に混合する。このとき、窒素
源を添加する場合には、非金属系焼結助剤と共に添加す
ることができる。
ー、遊星ボールミルなどによって行うことができる。混
合は、10〜30時間、特に、16〜24時間にわたっ
て行うことが好ましい。十分に混合した後は、溶媒の物
性に適合する温度、例えば、先に挙げたエチルアルコー
ルの場合には50〜60℃の温度、で溶媒を除去し、混
合物を蒸発乾固させたのち、篩にかけて混合物の原料粉
体を得る。なお、高純度化の観点からは、ボールミル容
器及びボールの材質を金属をなるべく含まない合成樹脂
にする必要がある。また、乾燥にあたっては、スプレー
ドライヤーなどの造粒装置を用いてもよい。
工程である焼結工程は、粉体の混合物又は後記の成形工
程により得られた粉体の混合物の成形体を、温度200
0〜2400℃、圧力300〜700kgf/cm2 、
非酸化性雰囲気下で成形金型中に配置し、ホットプレス
する工程である。
体の純度の観点から、成形体と金型の金属部とが直接接
触しないように、型の一部又は全部に黒鉛製の材料を使
用するか、金型内にテフロンシート等を介在させること
が好ましい。
0〜700kgf/cm2 の条件で加圧ことができる
が、特に、400kgf/cm2 以上の加圧した場合に
は、ここで使用するホットプレス部品、例えば、ダイ
ス、パンチ等は耐圧性の良好なものを選択する必要があ
る。
結体を製造するためのホットプレス工程の前に以下の条
件で加熱、昇温を行って不純物を十分に除去し、非金属
系焼結助剤の炭化を完全に行わせしめた後、前記条件の
ホットプレス加工を行うことが好ましい。
が好ましい。まず、炉内を真空下、室温から700℃に
至るまで、緩やかに加熱する。ここで、高温炉の温度制
御が困難な場合には、700℃まで昇温を連続的に行っ
てもよいが、好ましくは、炉内を10-4torrにし
て、室温から200℃まで緩やかに昇温し、該温度にお
いて一定時間保持する。その後、さらに緩やかに昇温を
続け、700℃まで加熱する。さらに700℃前後の温
度にて一定時間保持する。この第1の昇温工程におい
て、吸着水分や有機溶媒の脱離が行われ、さらに、非金
属系焼結助剤の熱分解による炭化が行われる。200℃
前後或いは700℃前後の温度に保持する時間は焼結体
のサイズによって好適な範囲が選択される。保持時間が
十分であるか否かは真空度の低下がある程度少なくなる
時点をめやすにすることができる。この段階で急激な加
熱を行うと、不純物の除去や非金属系焼結助剤の炭化が
十分に行われず、成形体に亀裂や空孔を生じさせる虞が
あるため好ましくない。
関しては、10-4torrにして、室温から200℃ま
で緩やかに昇温し、該温度において約30分間保持し、
その後、さらに緩やかに昇温を続け、700℃まで加熱
するが、室温から700℃に至るまでの時間は6〜10
時間程度、好ましくは8時間前後である。さらに700
℃前後の温度にて2〜5時間程度保持することが好まし
い。
に至るまで、前記の条件であれば6〜9時間ほどかけて
昇温し、1500℃の温度で1〜5時間ほど保持する。
この工程では二酸化ケイ素、酸化ケイ素の還元反応が行
われると考えられる。ケイ素と結合した酸素を除去する
ため、この還元反応を十分に完結させることが重要であ
り、1500℃の温度における保持時間は、この還元反
応による副生物である一酸化炭素の発生が完了するま
で、即ち、真空度の低下が少なくなり、還元反応開始前
の温度である1300℃付近における真空度に回復する
まで、行うことが必要である。この第2の昇温工程にお
ける還元反応により、炭化ケイ素粉体表面に付着して緻
密化を阻害し、大粒成長の原因となる二酸化ケイ素が除
去される。この還元反応中に発生するSiO、COを含
む気体は不純物元素を伴っているが、真空ポンプにより
これらの発生気体が反応炉へ絶えず排出され、除去され
るため、高純度化の観点からもこの温度保持を十分に行
うことが好ましい。
ットプレスを行うことが好ましい。温度が1500℃よ
り高温に上昇すると焼結が開始するが、その際、異常粒
成長を押さえるために300〜700kgf/cm2 程
度までをめやすとして加圧を開始する。その後、炉内を
非酸化性雰囲気とするために不活性ガスを導入する。こ
の不活性ガスとしては、窒素あるいは、アルゴンなどを
用いるが、高温においても非反応性であることから、ア
ルゴンガスを用いることが望ましい。
000〜2400℃、圧力300〜700kgf/cm
2 となるように加熱、加圧をおこなう。プレス時の圧力
は原料粉体の粒径によって選択することができ、原料粉
体の粒径が小さいものは加圧時の圧力が比較的小さくて
も好適な焼結体が得られる。また、ここで1500℃か
ら最高温度である2000〜2400℃までへの昇温は
2〜4時間かけて行うが、焼結は1850〜1900℃
で急速に進行する。さらに、この最高温度で1〜3時間
保持し、焼結を完了する。
高密度化が不十分となり、2400℃を超えると粉体若
しくは成形体原料が昇華(分解)する虞があるため好ま
しくない。また、加圧条件が500kgf/cm2 未満
であると高密度化が不十分となり、700kgf/cm
2 を超えると黒鉛型などの成形型の破損の原因となり、
製造の効率から好ましくない。
の純度保持の観点から、ここで用いられる黒鉛型や加熱
炉の断熱材等は、高純度の黒鉛原料を用いることが好ま
しく、黒鉛原料は高純度処理されたものが用いられる
が、具体的には、2500℃以上の温度で予め十分ベー
キングされ、焼結温度で不純物の発生がないものが望ま
しい。さらに、使用する不活性ガスについても、不純物
が少ない高純度品を使用することが好ましい。
り優れた特性を有する炭化ケイ素焼結体が得られるが、
最終的に得られる焼結体の高密度化の観点から、この焼
結工程に先立って以下に述べる成形工程を実施してもよ
い。以下にこの焼結工程に先立って行うことができる成
形工程について説明する。ここで、成形工程とは、炭化
ケイ素粉末と、非金属系焼結助剤と、所望により窒素源
と、を均質に混合して得られた原料粉体を成形金型内に
配置し、80〜300℃の温度範囲で、5〜60分間に
わたり加熱、加圧して予め成形体を調整する工程であ
る。ここで、原料粉体の金型への充填は極力密に行うこ
とが、最終的な焼結体の高密度化の観点から好ましい。
この成形工程を行うと、ホットプレスのために試料を充
填する際に嵩のある粉体を予めコンパクトになしうるの
で、この成形工程を繰り返すことにより厚みの大きい成
形体を製造し易くなる。
じて、80〜300℃、好ましくは120〜140℃の
範囲、圧力60〜100kgf/cm2 の範囲で、充填
された原料粉体の密度を1.5g/cm3 以上、好まし
くは、1.9g/cm3 以上とするようにプレスして、
加圧状態で5〜60分間、好ましくは20〜40分間保
持して原料粉体からなる成形体を得る。ここで成形体の
密度は、粉体の平均粒径が小さくなる程高密度にしにく
くなり、高密度化するためには成形金型内に配置する際
に振動充填等の方法をとることが好ましい。具体的に
は、平均粒径が1μm程度の粉体では密度が1.8g/
cm3 以上、平均粒径が0.5μm程度の粉体では密度
が1.5g/cm3 以上であることがより好ましい。そ
れぞれの粒径において密度が1.5g/cm3 又は1.
8g/cm3 未満であると、最終的に得られる焼結体の
高密度化が困難となる。
予め用いるホットプレス型に適合するように切削加工を
行うことができる。好ましくは非金属系焼結助剤を表面
被覆したこの成形体を前記の温度2000〜2400
℃、圧力300〜700kgf/cm2 、非酸化性雰囲
気下で成形金型中に配置し、ホットプレスする工程即ち
焼成工程に付して、高密度、高純度の炭化ケイ素焼結体
を得るものである。このとき、炭化ケイ素粉体中にある
いは/及び非金属系焼結助剤とともに少なくとも500
ppmの窒素成分が含まれていれば、焼結後は焼結体中
に窒素がほぼ均一に200ppm程度固溶した、1Ω・
cm以下の体積抵抗率を有する焼結体が得られる。
と高緻密化(焼結)が不十分となり、また2400℃を
超えると粉体もしくは成形体原料が昇華(分解)する虞
があるとともに、含有窒素が蒸発してしまうため高密度
化と導電性が不十分となり、また、圧力が700kgf
/cm2 を超えると黒鉛型などの成形体破損の原因とな
り、製造効率上好ましくない。
係は、詳しくは明らかではないが、炭化ケイ素焼結体中
の微構造が2000℃未満では非金属系焼結助剤に由来
するカーボン相を電子が流れる機構が支配的であるのに
対して、2000℃以上で粒界を横切って電子が流れる
機構が支配的になることが分かっている。また、その他
の要因としては非金属系焼結助剤のうち特に好ましいレ
ゾール型のフェノール樹脂が炭化する過程において、ア
モルファスカーボン又はガラス状カーボンからグラファ
イトに変化することも考えられる。
焼結体は、十分に高密度化されており、密度は2.9g
/cm3 以上である。得られた焼結体の密度が2.9g
/cm3 未満であると、曲げ強度、破壊強度などの力学
的特性や電気的な物性が低下し、さらに、パーティクル
が増大し、汚染性が悪化するため好ましくない。炭化ケ
イ素焼結体の密度は、3.0g/cm3 以上であること
がより好ましい。
と、耐熱性、耐酸化性、耐薬品性や機械強度に劣る、洗
浄が困難である、微小割れが生じて微小片が汚染物質と
なる、ガス透過性を有する等の物性的に劣る点を有する
ことになり、用途が限定されるなどの問題点も生じてく
る。
素焼結体の不純物元素の総含有量は、10ppm以下、
好ましくは5ppm以下であるが、半導体工業分野への
適用の観点からは、これらの化学的な分析による不純物
含有量は参考値としての意味を有するに過ぎない。実用
的には、不純物が均一に分布しているか、局所的に偏在
しているかによっても、評価が異なってくる。従って、
当業者は一般的に実用装置を用いて所定の加熱条件のも
とで不純物がどの程度ウェハを汚染するかを種々の手段
により評価している。なお、液状のケイ素化合物と、非
金属系焼結助剤と、重合又は架橋触媒と、を均質に混合
して得られた固形物を非酸化性雰囲気下で加熱炭化した
後、さらに、非酸化性雰囲気下で焼成する焼成工程とを
含む製造方法によれば、炭化ケイ素焼結体に含まれる不
純物元素の総含有量を10ppm以下にすることができ
る。なお、ここで不純物元素とは、1989年IUPA
C無機化学命名法改訂版の周期律表における1族から1
6族元素に属し、且つ、原子番号3以上であり、原子番
号6〜8及び同14の元素を除く元素をいう。
体の好ましい物性について検討するに、例えば、室温に
おける曲げ強度は50.0〜65.0kgf/mm2 、
1500℃における曲げ強度は55.0〜80.0kg
f/mm2 、ヤング率は3.5×104 〜4.5×10
4 、ビッカース硬度は2000kgf/mm2 以上、ポ
アソン比は0.14〜0.21、熱膨張係数は3.8×
10-6〜4.2×10 -6(℃-1)、熱伝導率は150W
/m・k以上、比熱は0.15〜0.18cal/g・
℃、耐熱衝撃性は500〜700ΔT℃であることが好
ましい。
られた焼結体は、密度2.9g/cm3 以上の高密度品
であり、良好な焼結をもって得られるため、導電性を発
現する多結晶半導体となる傾向にある。即ち、電気伝導
に寄与する伝導電子は、粒界を挟んで炭化ケイ素結晶間
を流れるため、粒界相と炭化ケイ素の接合部も導電性の
発現に重要である。伝導電子の移動特性は、トンネル伝
導と熱励起伝導とに大別される。
pm以上固溶状態で含有することにより粒界に生じる空
間電荷層のバリアが約0.15eV以下となるため、良
導電性が達成される。このときの炭化ケイ素焼結体の体
積抵抗率は100 Ω・cmを示す。窒素の含有量を20
0ppm以上にすると、粒界の空間電荷層のバリアが
0.026eV以下となり、常温(300K)でもこの
バリアを熱励起で飛び越えることができ熱励起伝導を発
現するのみならず、トンネル伝導も起こる。
温度上昇に伴って減少した後(NTC領域)、上昇に転
ずる(PTC領域)ことが知られている。このとき、体
積抵抗率の温度変化が小さい程、通電発熱体として使用
した場合の温度制御は容易になる。ここで炭化ケイ素焼
結体に含まれる窒素固溶量が多い程、NTC領域とPT
C領域の変局温度は低温側へとシフトする。即ち、本発
明の炭化ケイ素焼結体の如く、窒素の含有量を150p
pm以上、好ましくは200ppm以上とすることによ
り、体積抵抗率の変化が最も大きい低温部におけるNT
C領域を小さくすることができ、これにより、常温から
高温までの温度変化による体積抵抗率変化量を低減でき
る。
図1は、炭化ケイ素焼結体の粒界近傍を流れる電流の模
式図で、Ev−Ecは炭化ケイ素のバンドギャップ、E
d−Ecはドナーレベル、そして山型になっている部分
が粒界バリアである。炭化ケイ素焼結体(多結晶系)の
導電機構は、室温付近では導電キャリアである電子に粒
界バリアを乗り越えるだけの熱エネルギーが不足してい
るため、電子がトンネル効果により粒界バリアを突き抜
ける伝導が支配的であり、500〜700℃以上の高温
域では熱励起により粒界バリアを乗り越える伝導が支配
的である。 高温での抵抗温度特性を正特性にするため
には、固溶した窒素が放出する電子が全て粒界バリアを
乗り越えるだけの熱エネルギーを得た状態(半導体理論
でいうドナー枯渇と同じ状態)で且つ、格子振動による
フォノン散乱によって移動度が低下して、抵抗が増加す
る状態になる必要がある。したがって、炭化ケイ素焼結
体は、室温付近では単結晶にほぼ等しい導電性を示す。
すなわち、炭化ケイ素焼結体の室温抵抗Rは、次式で表
される。
動度) 前記式中、eは物理定数であるから一定である。μは温
度によって変化するが室温では一定である。したがっ
て、室温付近での炭化ケイ素焼結体の室温抵抗Rが窒素
の含有量に支配されることになる。すなわち、窒素をよ
り多く固溶すれば炭化ケイ素焼結体の室温抵抗Rは低く
なり、好ましい導電性を達成するためには、焼結体中の
窒素の含有量は150ppm、好ましくは200ppm
であり、安定性の観点から、窒素は固溶状態で含まれる
ことが好ましい。
化ケイ素焼結体は、使用目的に応じて、加工、研磨、洗
浄等の処理が行なわれる。本発明の焼結体は、ホットプ
レス等により円柱状試料(焼結体)を形成させ、これを
径方向にスライス加工することによって製造することが
でき、その加工方法として、放電加工が好適に用いられ
る。そして、半導体製造部品、電子情報機器用部品等の
使用に供される。
される主な半導体製造装置としては、露光装置、レジス
ト処理装置、ドライエッチング装置、洗浄装置、熱処理
装置、イオン注入装置、CVD装置、PVD装置、ダイ
シング装置等を挙げることができ、部品の一例として
は、ドライエッチング装置用のプラズマ電極、防護リン
グ(フォーカスリング)、イオン注入装置用のスリット
部品(アパーチャー)、イオン発生部や質量分析部用の
防護板、熱処理装置やCVD装置におけるウェハ処理時
に用いられるダミーウェハ、また、熱処理装置やCVD
装置における発熱ヒーター、特にウェハをその下部にお
いて直接加熱するヒーター等が挙げられる。電子情報機
器用部品としては、ハードディスク装置用のディスク基
盤や薄膜磁気ヘッド基盤等が挙げられ、また、光磁気デ
ィスク表面や各種摺動面に対する薄膜形成のためのスパ
ッタリングターゲットもこの部品に包含される。
光(SR)、レーザー光等の反射鏡等にも使用できる。
記加熱条件を満たしうるものであれば、特に製造装置等
に制限はなく、焼結用の型の耐圧性を考慮すれば、公知
の加熱炉内や反応装置を使用することができる。
び原料粉体を製造するためのケイ素源と非金属系焼結助
剤、さらに、非酸化性雰囲気とするために用いられる不
活性ガス、それぞれの純度は、各不純物元素含有量10
ppm以下、さらには500ppm以下であることが好
ましいが、加熱、焼結工程における純化の許容範囲内で
あれば必ずしもこれに限定するものではない。また、こ
こで不純物元素とは、1989年IUPAC無機化学命
名法改訂版の周期律表における1族から16族元素に属
し、且つ、原子番号3以上であり、原子番号6〜8及び
同14の元素を除く元素をいう。
するが、本発明の主旨を超えない限り本実施例に限定さ
れるものではない。 (実施例1)アミンを含むレゾール型フェノール樹脂
(熱分解後の残炭率50%)6gと平均粒子径0.5μ
mで1つの粒度分布極大値を有する高純度n型β−炭化
ケイ素(以下、適宜、SiCと称する)粉体94gをエ
タノール溶媒50g中で湿式ボールミル混合した後、乾
燥し、直径20mm、厚さ10mmの円柱状に成形し
た。この成形体に含まれるフェノール樹脂量及びアミン
量はそれぞれ6wt%及び0.1wt%であり、含有窒
素量は1000ppmであった。
より700kgf/cm2 の圧力下、アルゴンガス雰囲
気下にて2300℃の温度で2時間焼結して炭化ケイ素
質焼結体を得た。
の方法で測定した。 (体積抵抗率)抵抗率計(ロレスターAP、三菱化学社
製)及び半導体用途四深針(電極間隔1mm)を用い
て、両端の電極間に1mA通電した時に電位差を内側の
電極で読み取る四深針法で測定した。 (β型比率)試料をメノウ乳鉢解砕した後、X線回折装
置を用いてX線回折を行い、得られたスペクトルをRu
ska法(Journal of Materials Sience 14 (1979) 2
013- 2017)にて解析して結晶形比率を算出した。 (粒界バリア)電気伝導度σは以下の式で表される。
性化エネルギー、kはボルツマン定数、Tはケルビン温
度を表す。
と、以下のようになる。 ln(σ・T-3/2)=(−Ed/kT)+ln(N・e
・a) これにより、1/Tに対して、ln(σ・T-3/2)をプ
ロット(アーレニウスプロット)し、任意の2本の直線
を近似することにより、その傾きから伝導電子生成の活
性化エネルギー(Ed)が算出でき、その差を粒界バリ
ヤとした。 (窒素分析)窒素分析はメノウ乳鉢解砕した焼結体10
mgを日本アナリスト社製ニッケルカプセルにいれ、L
ECO社TC−436型酸素窒素同時分析装置で分析し
た。試料はLECO社グラファイト製るつぼ中で30秒
間脱水処理を施した後、2000℃で加熱燃焼させた。
この時発生するガスを一旦ダストトラップで浄化した
後、熱伝導度検出器を用いて分析した。
の密度は3.13g/cm3 であり、200ppmの窒
素を含有しておりその体積抵抗率は10-1Ω・cmであ
った。本焼結体におけるβ−SiC結晶粒の含有量を粉
末X線回折法(Ruska法)に従って解析したとこ
ろ、90%がβ型であった。残る10%はα型であり、
この比率は焼結時に高温安定型に相転移した結果である
と考えられる。このようにして作成した炭化ケイ素焼結
体の粒界バリアは0.1eVであった。これらの結果を
下記表1に示す。
体を得て、この成形体をホットプレス法により700k
gf/cm2 の圧力下、アルゴンガス雰囲気下にて23
50℃の温度で3時間焼結して炭化ケイ素質焼結体を得
た。
と同様に評価したところ、密度が314g/cm3 であ
った。全炭化ケイ素質に占めるβ型SiCの割合は70
%であり、残る30%はα型であった。窒素固溶量は1
50ppmであり、体積抵抗率は1Ω・cmであった。
微構造には粒成長が見られた。
較すると、ホットプレス法における加熱温度を50℃上
げたことにより、α型SiC結晶が多くなり、窒素固溶
量が減少したことが特徴であり、窒素固溶量の減少に伴
い体積抵抗率も1桁大きくなった。このときの粒界バリ
アは0.148eVであり、実施例1に比較すると温度
変化における体積抵抗率変化の大きさも若干大きくなっ
た。評価結果を下記表1に示す。 (実施例3)出発原料の炭化ケイ素粉末として、含有窒
素量は500ppmのものを用いたほかは、実施例1と
同様にして炭化ケイ素質焼結体を得た。
様に評価したところ、密度が3.10g/cm3 であっ
た。全炭化ケイ素に占めるβ型SiCの割合は90%以
上であり、焼結体中の含有窒素量は150ppmであっ
た。その体積抵抗率は100Ω・cmを示した。このと
き粒界バリアは0.146eVであった。 (実施例4)出発原料の炭化ケイ素粉末として含有窒素
量が2500ppmであるものを用いた他は、実施例1
と同様の方法で炭化ケイ素焼結体を得た。
様に評価したところ、密度が3.14g/cm3 であ
り、その焼結体中の含有窒素量は600ppmであっ
た。このとき、体積抵抗率は10-3Ω・cmを示した。
粒界バリアは0.012eVを示し、常温でも熱励起電
子伝導及びトンネルあるいはバルク電子伝導が容易に起
こることが確認できた。評価結果を下記表1に示す。 (実施例5)実施例1と同様にして、成形体を得て、こ
の成形体をホットプレス法により700kgf/cm2
の圧力下、アルゴンガス雰囲気下にて2200℃で2時
間焼結して炭化ケイ素焼結体を得た。この焼結体の粒度
分布は極大値が一つであった。
様に評価したところ、密度が2.98g/cm3 であ
り、全炭化ケイ素に占めるβ型SiCの割合は90%以
上であり、その焼結体中の含有窒素量は350ppmで
あった。このとき、体積抵抗率は10-2Ω・cmを示
し、粒界バリアは0.024eVであった。評価結果を
下記表1に示す。 (比較例1)実施例1と同様にして、成形体を得て、こ
の成形体をホットプレス法により700kgf/cm2
の圧力下、真空下にて1200℃で2時間焼結して炭化
ケイ素焼結体を得た。
様に評価したところ、密度が1.25g/cm3 であ
り、その焼結体中の含有窒素量は830ppmであっ
た。また、全炭化ケイ素に占めるβ型炭化ケイ素の割合
が約100%であった。体積抵抗率は1Ω・cmであっ
た。評価結果を下記表1に示す。微構造には粒成長が見
られなかった。このため、伝導電子は炭化ケイ素のグレ
イン間を移動できず、グレイン外周部のカーボン相を主
に移動すると推定された。したがって粒界バリアは測定
できなかった。 (比較例2)実施例1と同様にして、成形体を得て、こ
の成形体をホットプレス法により700kgf/cm2
の圧力下、真空下にて1700℃で0.5時間焼結して
炭化ケイ素質焼結体を得た。
様に評価したところ、密度が1.35g/cm3 であ
り、その焼結体中の含有窒素量は450ppmであっ
た。また、全炭化ケイ素に占めるβ型炭化ケイ素の割合
が約100%であった。体積抵抗率は1Ω・cmであっ
た。評価結果を下記表1に示す。この比較例2も比較例
1と同様に粒界バリアは測定できなかった。 (比較例3)粒度分布の極大値が2つであり、それぞれ
のピークの中心値が0.5μm及び10μmでD90/
D10値が6.5である高純度n型β−SiC粉体94
gとレゾール型フェノール樹脂6gとを、エタノール溶
媒中で混合/乾燥して、6%フェノール樹脂被覆β−S
iC粉末を調製した。この焼結原料粉末の窒素含有量は
1000ppmであった。この原料粉末を用いて、実施
例1と同様にして、焼結体を製造した。
様に評価したところ、体積抵抗率は10-2Ω・cmを示
したが、密度が2.62g/cm3 であり、高緻密化は
達成しなかった。これは、原料充填の際、大粒成分が二
次気孔を生成するために気孔率が大きくなり、さらに、
粒成分が焼結時に異常粒成長するために気孔が増加し、
この結果として低密度化したと考えられる。 (比較例4)実施例1と同様にして、成形体を得て、こ
の成形体をホットプレス法により700kgf/cm2
の圧力下、2380℃温度で2時間焼結して炭化ケイ素
焼結体を得た。
様に評価したところ、密度が3.03g/cm3 であっ
たものの全炭化ケイ素質に占めるβ型の割合が50%で
あった。窒素固溶量は130ppmであり、体積抵抗率
は101 Ω・cmであった。微構造には粒成長が見られ
た。評価結果を下記表1に示す。
なように、本発明の製造方法により得られた炭化ケイ素
焼結体は、十分な密度を有する高密度焼結体であり、窒
素含有量も充分であり、実用上好適な導電性を示し、各
種の用途に好適に用いうることが分かった。
比較例の製造方法によっては、高密度で、かつ、好まし
い導電性を有する炭化ケイ素焼結体を得ることはできな
かった。
よれば、特殊な原料を必要とすることなく、高密度であ
って、且つ、導電性を有し、高熱伝導率を兼ね備えた高
品位の特性を有し、半導体工業、電子情報機器産業など
の多くの分野において有用である炭化ケイ素焼結体を効
率よく得られるという優れた効果を奏する。
模式図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 炭化ケイ素粉末と少なくとも1種以上の
窒素源と非金属系焼結助剤との混合物を、2000〜2
400℃の温度条件で焼結する工程を含み、 得られた焼結体の密度が2.9g/cm3 以上、体積抵
抗率が1Ω・cm以下であり、窒素を150ppm以上
含有することを特徴とする炭化ケイ素焼結体の製造方
法。 - 【請求項2】 少なくとも1種以上の液状のケイ素化合
物を含むケイ素源と、少なくとも1種以上の液状の有機
化合物を含む炭素源と、加熱により窒素を生成する少な
くとも1種以上の窒素源と、重合又は架橋触媒と、を均
質に混合して得られた固形物を非酸化性雰囲気下で焼成
して窒素を含有する炭化ケイ素粉末を製造する工程と、 該窒素を含有する炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤と
の混合物を、2000〜2400℃の温度条件で焼結す
る工程とを含み、 得られた焼結体の密度が2.9g/cm3 以上、体積抵
抗率が1Ω・cm以下であり、窒素を150ppm以上
含有することを特徴とする炭化ケイ素焼結体の製造方
法。 - 【請求項3】 前記非金属系焼結助剤がレゾール型フェ
ノールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の
炭化ケイ素焼結体の製造方法。
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