JP5770754B2 - 炭化ケイ素焼結体のアニール方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化ケイ素焼結体のアニール方法に関する。
炭化ケイ素は、硬度、耐熱性、化学的安定性に優れ、各種半導製造材料として広く用いられている。電子部品の製造に用いられる炭化珪素焼結体、特にダミーウェハは、ホットプレス法、常圧焼結法、反応焼結法などにより製造されたバルク形状の炭化ケイ素焼結体から放電加工法、研削法等を用いて所定厚のウェハ形状に切り出すことにより製造されている。
特開2004−228337
シリコンウェハの大口径化に合わせて、ダミーウェハのサイズも大口径化が進んでいる。ウェハのサイズが大きくなれば、1枚のウェハに実装できるICの数が増加し、半導体の生産性が向上するからである。現在の主流は口径300mmウェハであるが、口径450mmウェハの開発が本格化している。ダミーウェハの大口径化が進むと、反りの低減が従来よりも大きな課題となる。従来技術に係るアニール方法では、ウェハ又はインゴットへの熱入れが不均一となるため、内部残留応力を十分に除去することが難しく、大口径でかつ平坦な炭化珪素焼結体からなるダミーウェハを得ることができなかった。
そこで、本発明は、口径400mm以上の炭化ケイ素焼結体ウェハの反りを低減する、アニール方法の提供を目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有する。まず、本発明の第1の特徴は、口径400mm以上の炭化ケイ素焼結体のアニール方法であって、前記炭化ケイ素焼結体を1300℃〜2250℃の雰囲気下で保持する熱処理工程と、熱処理された前記炭化ケイ素焼結体を500℃以下にまで徐冷する工程と、を含むことを要旨とする。
内部残留応力の除去効果を高めるためには、アニール処理において、4つの温度条件、すなわち、(1)熱処理の最高温度、(2)最高温度での保持時間、(3)徐冷速度、(4)徐冷完了温度、を最適化することが有効である。熱処理の最高温度が高ければ、概して、結晶組織が動きやすくなる。そして、最高温度での保持時間が長いほど、結晶組織の調整が進み、内部残留応力を多く除去することができる。一方、徐冷速度が速いと、温度ムラが出て歪が発生する。また、徐冷完了温度が高いことも、歪の発生原因となる。本発明の特徴によれば、アニール処理における温度条件を最適化することにより、内部残留応力を十分に除去し、反りを低減した炭化ケイ素焼結体ウェハを得ることができる。
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記熱処理工程において、前記炭化ケイ素焼結体が、2000℃〜2250℃の雰囲気下で保持されることを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、本発明の第1又は第2の特徴に係り、前記熱処理工程において、前記炭化ケイ素焼結体が、前記雰囲気下で0.5時間〜10時間保持されることを要旨とする。
加熱時の保持温度と熱処理された炭化珪素の徐冷工程温度とを組み合わせることによって、口径400mm以上の炭化ケイ素焼結体ウェハの反りを低減する、アニール方法を提供することができる。
以下、本発明に係る口径400mm以上の炭化ケイ素焼結体のアニール方法の実施形態について説明する。具体的には、(1)炭化ケイ素焼結体の作製工程、(2)炭化ケイ素焼結体のアニール処理工程、(3)加工、洗浄、製品化工程について説明する。
(1)炭化ケイ素焼結体の作製工程
本発明に係る炭化ケイ素焼結体の原料として用いられる炭化ケイ素粉末は、α型、β型、非晶質、又はこれらの混合物等が挙げられるが、特に、β型炭化ケイ素粉末が好ましい。β型炭化ケイ素粉末のグレードには特に制限はなく、一般に市販されているβ型炭化ケイ素粉末を用いてもよい。炭化ケイ素粉末の粒径は、高密度化の観点からは小さいことが好ましく、0.01〜10μm程度、さらには、0.05〜1μm程度であることが好ましい。粒径が0.01μm未満であると、計量、混合などの処理工程における取扱が困難となり、10μmを超えると比表面積が小さく、即ち、隣接する粉体との接触面積が小さくなり、高密度化が困難となるため、好ましくない。
高純度の炭化ケイ素焼結体を得るためには、高純度の炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。高純度の炭化ケイ素粉末は、例えば、ケイ素化合物(以下、「ケイ素源」)と、加熱により炭素を発生する有機材料(以下、「炭素源」)と、重合触媒または架橋触媒とを混合し、得られた固形物を非酸化性雰囲気下で焼成することによって製造することができる。ケイ素源としては、液状、および固体状の化合物を広く用いることができるが、少なくとも液状の化合物を1種以上用いる。
液状のケイ素源としては、エチルシリケート、アルコキシシラン(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)の重合体等が挙げられる。アルコキシシランの重合体の中では、テトラアルコキシシランの重合体が好ましい。具体的には、メトキシシラン、エトキシシラン、プロピロキシシラン、ブトキシシラン等が挙げられるが、ハンドリングの点からはエトキシシランが好ましい。テトラアルコキシシラン重合体は、重合度が2〜15程度であると液状の低分子量重合体(オリゴマー)となる。その他、重合度の高いケイ酸ポリマーで液状のものもある。
液状のケイ素源と併用可能な固体状のケイ素源としては、炭化ケイ素が挙げられる。炭化ケイ素には、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO)の他、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液であって、コロイド分子内にOH基やアルコキシ基を含有するもの)、微細シリカ、石英粉体等も含まれる。これらのケイ素源の中でも、均質性やハンドリング性が良好であるテトラアルコキシシランのオリゴマー、又はテトラアルコキシシランのオリゴマーと微粉体シリカとの混合物等が好ましい。また、ケイ素源は高純度であることが好ましく、具体的には初期の不純物含有量が20ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがさらに好ましい。
炭素源としては、液状のものの他、液状のものと固体状のものを併用することもできる。残炭率が高く、かつ触媒あるいは加熱により重合または架橋する有機材料が好ましい。具体的には、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリビニルアルコール等のモノマー、およびプレポリマーが好ましい。その他、セルロース、ショ糖、ピッチ、タール等の液状物も用いることができる。特に、レゾール型フェノール樹脂が、熱分解性および純度の点で好ましい。有機材料の純度は、目的に応じて適宜、制御することができる。特に高純度の炭化ケイ素粉末が必要な場合は、不純物元素の含有量が各々5ppm未満である有機材料を用いることが好ましい。
炭素源とケイ素源との配合比率は、炭素とケイ素のモル比(以下、「C/Si」)を目安に、好ましい範囲をあらかじめ決定することができる。ここで、C/Siとは、炭素源とケイ素源との混合物を1000℃で炭化した炭化ケイ素中間体を元素分析し、その分析値より得られるC/Siをいう。炭素は、以下の反応式で表されるように、酸化ケイ素と反応し、炭化ケイ素に変化する。
SiO+3C→SiC+2CO … 式(I)
従って、化学量論的には、C/Si=3.0であると、炭化ケイ素中間体の遊離炭素は0%となる。ただし、実際にはSiOガス等が揮散するため、C/Si<3.0であっても、遊離炭素が発生する。
遊離炭素は、粒成長を抑制する効果を有するため、目的とする粉末粒子の粒径に応じてC/Siを決定し、その値に応じてケイ素源と炭素源とを配合すればよい。例えば、約1気圧、1600℃以上で、ケイ素源と炭素源との混合物を焼成する場合、C/Siが2.0〜2.5の範囲になるように配合すると、遊離炭素の発生を抑制することができる。同条件で、C/Siが2.5を超えるように配合すると、遊離炭素の発生が顕著となり、粒子の小さな炭化ケイ素粉末が得られる。
このように、目的に応じて、ケイ素源と炭素源との配合比率を適宜決定することができる。なお、炭化ケイ素粉末に起因する遊離炭素の作用および効果は、焼結助剤から生じる遊離炭素の作用および効果と比較して非常に弱いため、炭化ケイ素粉末に起因する遊離炭素は、本発明の効果に本質的な影響を与えることはない。
ケイ素源と炭素源との混合物を硬化させ固形物にすることもできる。硬化の方法としては、加熱による架橋反応を利用する方法、硬化触媒により硬化する方法、電子線や放射線を利用する方法等がある。硬化触媒は、用いる有機材料に応じて適宜選択できるが、フェノール樹脂、フラン樹脂を有機材料に用いた場合は、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、シュウ酸、塩酸、硫酸等の酸類、ヘキサミン等のアミン類等が挙げられる。
ケイ素源と炭素源を含有する固形物は、必要に応じ炭化される。炭化は、窒素またはアルゴン等の非酸化性の雰囲気下において、800℃〜1000℃で30〜120分間加熱することにより行われる。さらに、この炭化物を、非酸化性雰囲気下において1350℃〜2000℃で加熱すると、炭化ケイ素が生成する。焼成温度及び焼成時間は、得られる炭化ケイ素粉末の粒径等に影響するため、適宜決定することができるが、効率性の観点からは、1600〜1900℃で焼成することが好ましい。
次に、炭化ケイ素粉末及び非金属系焼結助剤を有機溶媒に混合してスラリー溶液を調製する。溶媒としては、水、エチルアルコール等の低級アルコール類やエチルエーテル、アセトン等が挙げられる。溶媒としては不純物の含有量が低いものを使用することが好ましい。消泡剤としてはシリコーン消泡剤等が挙げられる。また、炭化ケイ素粉末からスラリー状の混合粉体を製造する際に有機バインダーを添加してもよい。有機バインダーとしては、解膠剤、粉体粘着剤等が挙げられる。
非金属系焼結助剤には、炭素源を含有するものを用いる。炭素源を単独で、または炭素源を炭化ケイ素粉末(粒度:約0.01〜1μm)表面に被覆させたものを焼結助剤として用いてもよい。効果の点からは、炭素源を単独で用いるのが好ましい。非金属系焼結助剤としては、具体的には、残炭化率の高いコールタールピッチ、ピッチタール、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂の他、各種糖類、例えば、グルコース等の単糖類、ショ糖等の小糖類、セルロース、でんぷん等の多糖類等が挙げられる。
炭素源を炭化ケイ素粉末と均質に混合するには、炭素源は、常温で液状のもの、溶媒に溶解するもの、または熱可塑性、熱融解性を有するもの(加熱により軟化するもの)が好ましい。中でも、フェノール樹脂を用いると炭化ケイ素焼結体の強度が向上するので好ましく、さらにレゾール型フェノール樹脂が好ましい。これらの炭素源の作用機構は明確にはなっていないが、炭素源は加熱されると系中にカーボンブラック、グラファイトの如き無機炭素系化合物を生成する。この無機炭素系化合物が焼結助剤として有効に作用しているものと考えられる。但し、カーボンブラック等を焼結助剤として用いても、同様な効果は得られない。
非金属系焼結助剤は、所望により有機溶媒に溶解し、その溶液と炭化ケイ素粉末を混合してもよい。使用する有機溶媒は、非金属系焼結助剤により異なる。例えば、焼結助剤としてフェノール樹脂を用いる場合、エチルアルコール等の低級アルコール類、エチルエーテル、アセトン等を選択することができる。高純度の炭化ケイ素焼結体を作製する場合は、高純度の炭化ケイ素粉末を使用するのみならず、焼結助剤および有機溶媒も不純物含有量の少ないものを用いることが好ましい。
炭化ケイ素粉末と混合される非金属系焼結助剤の添加量は、少なすぎると焼結体の密度が上がらず、多過ぎると焼結体に含まれる遊離炭素が増加するため高密度化を阻害するため、一般的には10重量%以下、好ましくは2〜5重量%となるように添加量を調整することが好ましい。この量は予め炭化ケイ素粉末の表面のシリカ(酸化ケイ素)量をフッ酸で定量し、化学量論的にその還元に充分な量を計算することにより決定することができる。
また、本発明の炭化ケイ素焼結体においては、炭化ケイ素焼結体中に含まれる炭化ケイ素に由来する炭素原子及び非金属系焼結助剤に由来する炭素原子の合計が30重量%を超え、40重量%以下であることが好ましい。焼結体が不純物を全く含まないときは、焼結体中の炭素原子の含有量は理論的には30重量%になる。即ち、焼結体中に含まれる不純物の割合が多くなると焼結体中の炭素原子の含有量が30重量%以下となり好ましくない。また、含有量が40重量%を超えると炭素含有量が多くなり得られる焼結体の密度が低下し、焼結体の強度、耐酸化性等の諸特性が悪化するため好ましくない。
なお、スラリー溶液を調製する際、炭素源としてフェノール樹脂を用いる場合、炭化ケイ素粉末(SiC)とフェノール樹脂の成分比(重量比)は、SiC:フェノール樹脂=92〜84:8〜16が好ましい。これらを有機溶媒に混合する手段として、公知の混合手段、例えば、ミキサー、遊星ボールミルなどを用いることができる。混合は、10〜30時間、特に、16〜24時間にわたって行うことが好ましい。十分に混合した後は、溶媒の物性に適合する温度、例えば、先に挙げたエチルアルコールの場合には50〜60℃の温度、で溶媒を除去し、混合物を蒸発乾固させたのち、篩にかけて混合物の原料粉体を得る。なお、高純度化の観点から、ボールミル容器及びボールの材質は、金属をなるべく含まない合成樹脂にする必要がある。次に、スプレードライヤー装置などの造粒装置を用いてスラリー溶液を乾燥させ、溶媒を除去し、炭化ケイ素原料粉体を形成する。
次に、炭化ケイ素原料粉体を焼結する。焼結方法としては、ホットプレス法、反応焼結法、常圧焼結法等が挙げられるが、ここではホットプレス法について説明する。
ホットプレス工程の前処理として、昇温工程により、不純物の除去、非金属係焼結助剤の炭化を行う。好ましい昇温工程の一例を以下に示す。まず、原料粉体をいれた成形モールドを加熱炉内に配置し、炉内を1×10−4torrの真空状態にする。室温から200℃まで穏やかに昇温し、その後、700℃まで6〜10時間で昇温し、2〜5時間700℃に保つ。室温から700℃までの昇温工程で、吸着水分や有機溶媒の脱離が起こり、また、非金属系焼結助剤の炭化も進行する。一定温度の保持時間は、炭化ケイ素焼結体のサイズによって異なり、適宜好適な時間に設定すればよい。また、保持時間が十分であるか否かの判断は、真空度の低下がある程度少なくなる時点を目安にすることができる。
次に、700℃〜1500℃まで6〜9時間で昇温し、1〜5時間程1500℃に保持する。1500℃に保持している間に、酸化ケイ素が還元されて炭化ケイ素に変化する反応が進行する(式(I))。保持時間が不十分であると、二酸化ケイ素が残留し、炭化ケイ素粉末表面に付着するため、粒子の緻密化を妨げ、大粒の成長原因となるため好ましくない。つまり、還元反応を十分に完結させることが重要であるため、1500℃での保持時間は、還元反応の副生成物である一酸化炭素の発生が完了しているかを目安にする。すなわち、真空度の低下がおさまり、還元反応開始前の温度である1300℃付近における真空度に回復するまで、1500℃に保持する。
ホットプレスは、焼結が開始する1500℃程度まで炉内を昇温し、次に炉内を非酸化性雰囲気とするために、不活性ガスを充填した後に行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、あるいはアルゴンガス等が用いられるが、高温においても非反応性であるアルゴンガスを用いることが好ましい。高純度炭化ケイ素焼結体を製造したい場合は、不活性ガスも高純度のものを用いる。炉内を非酸化性雰囲気とした後、温度が2000℃〜2400℃、圧力が300〜700kgf/cmとなるように炉内を加熱および加圧する。
加圧条件が300kgf/cm未満であると、高密度化が不十分となる。また、700kgf/cmを超えると黒鉛製の成形金型がダメージを受けることもあり、製造効率上好ましくない。最高温度が2000℃未満であると、高密度化が不十分となる。一方、最高温度が2400℃を超えると、粉体もしくは成形体原料が昇華(分解)するため好ましくない。1500℃近傍〜最高温度までの昇温は2〜4時間かけて行い、最高温度で1〜8時間保持することが好ましい。1850〜1900℃で焼結は急速に進行し、最高温度保持時間中に焼結が完了する。
(2)炭化ケイ素焼結体のアニール処理工程
次に、炭化ケイ素焼結体の内部残留応力を除去するための、アニール処理について説明する。具体的には、ホットプレス法によって得られた炭化ケイ素焼結体のインゴットを、加熱処理装置に配置し、非酸化性雰囲気下において、所定の温度で一定時間保持する。加熱処理装置は、公知の熱処理装置、例えばカーボン製マッフル炉などの熱処理炉を用いることができる。非酸化性雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを充填することにより形成されるが、好ましくは、高温においても非反応性のアルゴンガスを用いる。
炉内の温度は、1300℃〜2250℃まで昇温させた後、最高温度で一定時間保持する。これにより、焼結体の結晶組織が動き、調整されるため、内部残留応力を緩和することができる。最高温度が1300℃未満であると、組織が十分に調整されず、内部残留応力の除去も不十分となる。一方、最高温度が2250℃を超えると、α−SiCへの相転移により強度が低下する。最高温度を2000℃〜2250℃で保持すると、結晶組織が動きやすくなり、内部残留応力を除去する上で最適である。なお、加熱方式としては、抵抗加熱方式であってもよく、誘電加熱方式であってもよい。昇温速度は、温度ムラによる歪を生じない範囲であれば適宜設定することができるが、概ね60〜1200℃/h、好ましくは180〜720℃/hである。また、炉内の圧力は、10−4Torr(1.3×10−2Pa)以下とすることが好ましい。
炉内の温度は、好ましくは、最高温度で0.5時間〜10時間保持される。これにより、焼結体の結晶組織が動く時間を確保することができ、結晶組織の調整が進むことから、内部残留応力を十分に除去することができる。保持時間が0.5時間未満であると、組織が動く時間を確保できず、内部残留応力を十分に除去することができない。一方、保持時間を10時間より長くしても、内部残留応力の除去効果に大きな差は見られず、製造効率を低下させる。
炉内の温度は、上述した最高温度で一定時間保持された後、徐冷速度83℃/h以下で、500℃まで徐冷される。徐冷速度が83℃/hを上回ると、焼結体の内部に温度ムラが生じ、歪が発生する。また、徐冷完了温度が500℃より高くても、焼結体の内部に温度ムラが生じ、平坦度が十分ではない。徐冷完了後は、自然冷却に切り替えられる。
(3)加工、洗浄、製品化工程
アニール処理を施した炭化ケイ素焼結体は、使用目的に応じて、加工、研磨、洗浄等の処理が行なわれる。ウェハは、焼結体を径方向にスライス加工することによって製造することができ、その加工方法として、放電加工が好適に用いられる。そして、半導体製造部品、電子情報機器用部品等の使用に供される。
ここで、本発明による焼結体製部品が使用される主な半導体製造装置としては、露光装置、レジスト処理装置、ドライエッチング装置、洗浄装置、熱処理装置、イオン注入装置、CVD装置、PVD装置、ダイシング装置等を挙げることができ、部品の一例としては、ドライエッチング装置用のプラズマ電極、防護リング(フォーカスリング)、イオン注入装置用のスリット部品(アパーチャー)、イオン発生部や質量分析部用の防護板、熱処理装置やCVD装置におけるウェハ処理時に用いられるダミーウェハ、また、熱処理装置、CVD装置やPVD装置における発熱ヒーター、特にウェハをその下部において直接加熱するヒーター等が挙げられる。
電子情報機器用部品としては、ハードディスク装置用のディスク基盤や薄膜磁気ヘッド基盤等が挙げられ、また、光磁気ディスク表面や各種摺動面に対する薄膜形成のためのスパッタリングターゲットもこの部品に包含される。光学用部品としては、シンクロトロン放射光(SR)、レーザー光等の反射鏡等にも使用できる。
炭化ケイ素焼結体の製造方法においては、上述した加熱条件を満たすものであれば、特に製造装置等に制限はなく、公知の加熱炉や反応装置を使用することができる。
原料粉体である炭化ケイ素粉体及び原料粉体を製造するためのケイ素源と非金属系焼結助剤、さらに、非酸化性雰囲気とするために用いられる不活性ガス、それぞれの純度は、各不純物元素含有量1ppm以下であることが好ましいが、加熱、焼結工程における純化の許容範囲内であれば必ずしもこれに限定するものではない。また、ここで不純物元素とは、1989年IUPAC無機化学命名法改訂版の周期律表における1族から16族元素に属し、且つ、原子番号3以上であり、原子番号6〜8及び同14〜16の元素を除く元素をいう。
次に、本発明の効果を更に明確にするために、実施例及び比較例に係るアニール方法を施した炭化ケイ素焼結体の比較評価について説明する。具体的には、(1)各炭化ケイ素焼結体の構成、(2)試験方法、(3)評価結果について説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
(1)各炭化ケイ素焼結体の構成
まず、実施例及び比較例に用いた炭化ケイ素焼結体について、簡単に説明する。各炭化ケイ素焼結体は、ホットプレス法によって、口径500mmに成形したインゴットを使用した。口径を500mmとした理由は、汎用性が高く、他の製品にも使用可能だからである。また、ウェハが大口径化してもデバイスの寸法は変わらないため、厚みは現行の口径300mmウェハと同じ0.7mmtとした。アニール処理における温度条件を、表1に示す。
(2)試験方法
各炭化ケイ素焼結体のインゴットを径方向にスライス加工し、最上面、中間部、底面から3枚のウェハをサンプリングした。次に、各ウェハについて反りを測定し、平均値を算出した。反りの平均値が小さいほど、平坦度が良好であることを意味する。なお、JEIDA規格によると、ウェハ平坦度とは、吸着固定しない状態で静置されたウェハについて、基準平面からウェハ表面までの距離の最大値と最小値の差として定義され、基準平面はその値が最小となるように選ばれる(JEIDA規格「JEIDA−43−1999、シリコンウェハ平坦度に関する用語」、社団法人日本電子工業振興協会)。試験結果を表1に示す。
Figure 0005770754
(3)評価結果
比較例1の平坦度(反り)を100として、実施例1〜3の平坦度を指数評価した。平坦度は、数値が小さいほど、ウェハの反りが小さく、平坦性が良化していることを示す。表1に示すように、実施例に係るアニール方法を施した炭化ケイ素焼結体ウェハは、反りが低減していることが確認された。
以上のように、本発明は、口径400mm以上の炭化ケイ素焼結体ウェハの反りを低減する、アニール方法に利用することができる。

Claims (2)

  1. 口径400mm以上の炭化ケイ素焼結体のアニール方法であって、
    前記炭化ケイ素焼結体を2000℃〜2250℃の雰囲気下で保持する熱処理工程と、
    熱処理された前記炭化ケイ素焼結体を管理された冷却温度で300℃〜500℃にまで徐冷する工程と、
    徐冷された前記炭化ケイ素焼結体を自然冷却する工程と、を含む、アニール方法。
  2. 前記熱処理工程において、前記炭化ケイ素焼結体が、前記雰囲気下で0.5時間〜10時間保持される、請求項1に記載のアニール方法。
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